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1958-12-19 第31回国会 参議院 商工・農林水産・建設委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年十二月十九日(金曜日)    午後二時開会   —————————————  委員氏名   商工委員    委員長     田畑 金光君    理事      上原 正吉君    理事      小幡 治和君    理事      相馬 助治君    理事      大竹平八郎君            小沢久太郎君            木島 虎藏君            古池 信三君            小西 英雄君            高橋進太郎君            高橋  衛君            西田 隆男君            堀本 宜実君            阿部 竹松君            海野 三朗君            栗山 良夫君            島   清君            藤田  進君            加藤 正人君            豊田 雅孝君   農林水産委員    委員長     関根 久藏君    理事      秋山俊一郎君    理事      堀本 宜実君    理事      東   隆君    理事      清澤 俊英君    理事      北 勝太郎君            青山 正一君            雨森 常夫君            伊能 芳雄君            河野 謙三君            重政 庸徳君            田中 茂穂君            仲原 善一君            藤野 繁雄君            堀  末治君            横川 信夫君            安部キミ子君            大河原一次君           小笠原二三男君            河合 義一君            棚橋 小虎君            戸叶  武君            島村 軍次君            千田  正君            北條 雋八君   建設委員    委員長     早川 愼一君    理事      稲浦 鹿藏君    理事      岩沢 忠恭君    理事      前田佳都男君    理事      田中  一君            石井  桂君            上林 忠次君            小山邦太郎君            酒井 利雄君            西岡 ハル君            松野 孝一君            武藤 常介君            山本 利壽君            内村 清次君            阿具根 登君            秋山 長造君            重盛 壽治君            山口 重彦君            村上 義一君            吉田 萬次君   —————————————  出席者は左の通り。   商工委員    委員長     田畑 金光君    理事            上原 正吉君            小幡 治和君    委員            高橋  衛君            阿部 竹松君            海野 三朗君            栗山 良夫君            島   清君            加藤 正人君   農林水産委員    委員長     関根 久藏君    理事            秋山俊一郎君            堀本 宜実君            東   隆君            清澤 俊英君            北 勝太郎君    委員            青山 正一君            重政 庸徳君            田中 茂穂君            堀  末治君           小笠原二三男君            河合 義一君            棚橋 小虎君            千田  正君            北條 雋八君   建設委員    委員長     早川 愼一君            稲浦 鹿藏君            岩沢 忠恭君            前田佳都男君            田中  一君    委員            西岡 ハル君            松野 孝一君            武藤 常介君            内村 清次君            村上 義一君   衆議院議員            赤路 友藏君            中村 幸八君   国務大臣    農 林 大 臣 三浦 一雄君    通商産業大臣  高碕達之助君    国 務 大 臣 三木 武夫君   政府委員    経済企画庁調整    局長      大堀  弘君    農林政務次官  高橋  衛君    通商産業政務次    官       大島 秀一君    通商産業省企業    局長      松尾 金藏君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    厚生省公衆衛生   局環境衛生部長  聖成  稔君    水産庁漁政部長 武田 誠三君    運輸省海運局次    長       辻  章男君    海上保安庁警備    救難部長    松野 清秀君    建設省河川局長 山本 三郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○公共用水域水質保全に関する法  律案内閣提出衆議院送付) ○工場排水等規制に関する法律案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————   〔商工委員長田畑金光委員長席 に着く〕
  2. 田畑金光

    委員長田畑金光君) これより商工農林水産建設連合審査会を開会いたします。先例によりまして私が連合審査会委員長の職を務めさせていただきます。  それでは公共用水域水質保全に関する法律案及び工場排水等規制に関する法律案を一括して議題といたします。  両案は昨日衆議院において修正議決され、本院に送付され、商工委員会に付託されました。つきましては、この際、修正点につきまして説明を聴取いたします。
  3. 赤路友藏

    衆議院議員赤路友藏君) ただいま議題になりました公共用水域水質保全に関する法律案工場排水等規制に関する法律案につきまして衆議院修正いたしました修正部分について御説明を申し上げたいと思います。  お手元に差し上げておりますように、この要綱によって御説明をさせていただきたいと思います。  まず修正の第一は、調査基本計画を第四条に追加したことでございます。経済企画庁長官は、調査基本計画を立案し水質審議会の議を経てこれを決定し、公表するとともに関係行政機関の長に通知しなければならないこととする。これを変更するときも、同様とする。  第二の点は、関係行政機関義務を第八条として追加いたします。関係行政機関の長は、事務処理にあたっては、水質基準を尊重しなければならないということでございます。  第三点といたしましては、仲介員指定でございます。第二十三条二項にこれを挿入いたしまして、紛争の申し立てが二以上の都道府県知事になされた場合、当該都道府県知事は、協議によって仲介員指定することができることを追加いたしました。  第四は、第四条の第一項、これは新しく修正されましたもので、第五条第一項になるのでありますが、中におそれの高いもの云々というのがございますが、この「高い」という文字を取りまして「おそれのあるもの」に改める。こういうふうに修正をいたした次第でございます。  で、その修正部分は一枚めくっていただきますと、ここに原案修正案との対照表がございます。  第四条は全文これを新しく挿入したわけでございます。別に読みませんので御了承を願いたいと思います。  旧原案の第四条はこれは第五条に変りまして、訂正いたしましたものは、これを読んでいただきますと、「経済企画庁長官は、公共用水域のうち、当該水域水質汚濁原因となって関係産業に相当の損害が生じ、若しくは公衆衛生上看過しがたい影響が生じているもの又はそれらのおそれのあるものを、水域を限って指定水域として指定する。」こういうふうに、原案では「おそれの高いもの」とこうなっておりますが、この「高い」という文字を取りまして「おそれのあるもの」こう修正をいたした次第であります。  それから「関係行政機関義務」でありますが、これは第八条に新しく挿入をいたしました。「前条第一項の通知を受けた関係行政機関の長は、指定水域水質保全に関する事項に係る事務を処理するにあたっては、当該指定水域に係る水質基準を尊重してしなければならない。」行政機関義務づけをいたしたわけでございます。  その次は第十二条、旧十条でございますが、十二条はこの章に定めるもののほか、「調査基本計画決定及び変更」この文字を挿入いたした次第でございます。  次に旧十一条、修正の十三条でございますが、これでは二項の「審議会は、経済企画庁長官の諮問に応じ、次に掲げる事項を調査審議する。」の次に一として「調査基本計画決定及びその変更に関すること。」を新しく挿入いたしました。従って第一号にこれが入りますので、第四号目原案は「前二号」でありましたが、これを一号ふえたので「前三号」に変更する。それから「基本的事項に関すること」という文字を「重要事項に関すること」という文字に置きかえた次第でございます。  次に、仲介員のところでございますが、旧二十一条でございます。これは二十三条といたしまして、「都道府県知事は第二十一条の規定による申立があったときは、前条第一項の名簿に記載されている者のうちから、仲介員五人以内を指定しなければならない」の次に2が新しく入りまして、「前項の場合において、一の紛争に係る申立が二以上の都道府県知事になされたときは、当該都道府県知事は、協議により仲介員指定することができる。」  以上が公共用水域水質保全に関する法律案に対しまする修正部分でございます。  従ってこれに関連いたしまする工場排水等規制に関する法律案に対しましても、当然修正部分が出て参るのでありまして、公共用水域水質保全に関する法律案修正に伴って関係条項の整理をいたします。第二条第七項中「第四条第一項」を「第五条第一項」に改める。この部分だけが修正されるごとになります。  以上概略でございますが、修正点について御説明申し上げました。
  4. 田畑金光

    委員長田畑金光君) これより御質疑のある方は、順次、御発言願います。なお修正案提出者に御質疑のある方は、先に御発言を願いたいと思います。
  5. 青山正一

    青山正一君 修正案に対しての質疑はないんです。  幸い経済企画庁長官農林次官運輸当局がお見えになっておりますので、五、六点お聞かせ願いたいと思います。最近船舶廃油による漁業被害漁業者にとって非常に重大な脅威となってきたのでありますが、この事実を政府はどう見ておるかという点につきまして、三責任者にお聞きいたしたいと思います。
  6. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 青山委員の御指摘のような事実はその通りだと考えます。
  7. 青山正一

    青山正一君 このような事実に対して船舶廃油による水質汚濁防止し、漁業を保護するため、政府はどういう方針を持ってどういう方策を実施し、その成果はどうなっておるか、その点について承わりたいと存じます。これは海上保安庁ですか。
  8. 松野清秀

    説明員松野清秀君) 海水汚濁防止関係のある法律としましては、現在、港則法それから清掃法等がございますが、海上保安庁といたしましては、これらの法令の違反の予防それから取締り等につきましては、従来から鋭意努力いたして参っておりますが、昭和三十年六月から本年の十二月現在、今日までの間におきまする船舶による海水汚濁事件について申しますと、お手元に資料が差し上げてあると思いますが、港則法対象となる事件が、二十一件ございます。また、清掃法対象となる事件が、十四件ございます。なお、港則法対象となります事件におきましては、これは、汚濁物質は、すべて油類でございます。また、清掃法対象となりまする事件につきましては、これは、投棄物質は、すべて糞尿でございます。なお、海上保安庁といたしましては、今後もこの取締りにつきましては十分厳重にやって参りたい、かように存じております。
  9. 青山正一

    青山正一君 ただいま海上保安庁部長からいろいろ御説明があったわけでございますが、今回提出された水質汚濁防止関係二つ法律案において、ただいま保安庁部長から御説明のあったいわゆる船舶廃油による水質汚濁防止については、全然考慮が払われていないようでありますが、この辺の事情について、一つ経済企画庁長官あるいは運輸当局からその所見を承わりたいと存じます。
  10. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 青山委員も御承知のように、本法には、第二条に、「何人も、公共用水域及び地下水水質保全に心掛けなければならない。」という一般的な規定があって、その規定の中には当然に船舶も入るわけであります。また、水質審議会、これは水質保全に関する重要な事項審議するわけでありますから、船舶からくる公共用水域汚染に対しては、これは当然取り上げらるべき問題になると思います。また、そういう結論に従って、必要があれば、企画庁長官は、本法勧告権によってこれを勧告することもできるわけであります。法律規定の中には、船舶による汚染ということがダイレクトリーには出ていないのでありますけれども、こういう規定で今申したような場合に対しては適用することが可能でありますが、しかし、運輸当局においてもいろいろ関係法規に基いて行政的な処置を強化しようという考えがあるようでございますので、そういう弊害については、運輸省ともよく連絡をとりたいと思っておる次第であります。
  11. 青山正一

    青山正一君 船舶廃油による水質汚濁防止については、現状が示しているように、ただ単に港則法とかあるいは港湾法だけではこれは不備であって、もっと根本的な対策が必要であろうと認めてしかるべきだと、こういうふうに私は考えておりますが、ただいま企画庁長官お話によりますと、まあ今後運輸大臣といろいろ話し合いの上できめたいと、こういうふうにお話があったわけでございますが、この工場排水等規制に関する法律案船舶廃油処理にも及ぼすように実施することができるかどうか、その点について承わりたいと思います。
  12. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は、可能だと考えておる次第であります。法的には十分だとは思いませんけれども、今指摘しましたような一般的な規定で、これに対して水質審議会などのいろいろ議を経て勧告をいたしますようなことも可能でありますし、これに対処することは可能であるというふうに考えております。
  13. 青山正一

    青山正一君 そのような措置が絶対に、ただいま三木大臣の仰せでは、困難でないと、こういうふうにおっしゃっていますが、これは法律案を改める必要があると思うのでありますが、その点について三木大臣から御意見を承りたいと思います。特に被害者の立場を代表する農林省側の御意見はどうか、その点もあわせてお聞きしたいと存じます。
  14. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 今申したように、この御審議を願っておる法律によってこれが可能であると考えますけれども、もし、それが十分でないというときには、将来において法的措置を講じたいと考えております。この国会においては、今申したように、本法によってできるだけのことをするということで御審議を願って、それが将来非常に万全を期されないというときには法的処置をいたしたいと考えております。
  15. 高橋衛

    政府委員高橋衛君) ただいま青山さんの御質疑の点でございますが、農林省に対して各府県から報告されておりまするところの油による漁業被害事件を調べてみますると、たまたまこれは昭和二十九年度しかないのでございますが、総件数で六十一件あるのでございます。ところが、六十一件のうち、船舶廃油原因するのが十八件あるというふうな点から考えまして、この問題につきましては農林省としては相当な関心を持っておる次第でございます。主としてその被害を受けた対象ノリでございまして、しかも、そのノリ沿岸に存在するものでございますので、もしも、船舶廃油について現行法であるところの港則法及び港湾法においての制限規定がございますが、この規制が完全に行われれば、一応それらの被害は除去されるのではないかというふうに考えられます。が、しかし、将来もこの被害程度いかんによっては、その問題についてなお検討を要するかと考える次第でございます。
  16. 青山正一

    青山正一君 最後に、これは確認したいと思いますが、今回提出されておる公共用水域水質保全に関する法律案適用船舶排出水にも及ぼす必要があると思われるかどうか、その点を三木大臣から再確認したいと存じます。また、その趣旨においても政府において今回提案されたこの二つ法律案を今後すみやかに改正する意思があるかどうか、その点を再確認したいと思います。
  17. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは水質審議会において私はこれを取り上げて船舶の廃液による汚染に対しては取り上げたい、そうしてこの問題に対しても本法の精神を適用したいという考えであります。もし、それでも十分でないときには、将来において法的な処置を講じたい、こう考えております。
  18. 清澤俊英

    清澤俊英君 ただいまの問題、船舶に対する適法考えていると、こう三木長官は言われています。それらの適法考えたいということはどういうことなんです。具体的に申しますれば。現在行われておりますのは、廃油分析機というようなものをつけて、清浄した水を流して、廃油は適当な港湾等に集めるとか、あるいは、これを他の方法で適当なところへ廃棄するというような方法を講じているのでありますが、そういったことを考えておられるのかどうか、この点を明らかにしていただきたい。
  19. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 御承知のように、水質審議会公共用水域汚染に関する重要事項を全部ここで取り扱うのですから、船舶の場合もこれを議題にいたしまして、どういうふうに対処するかということは、その審議を通じて、運輸省とも連絡して適当な方法をとりたい。それに法的な措置が要るならば、これはできるだけすみやかに法的な措置も講じましょう、これを青山さんにお答えをしたわけであります。
  20. 清澤俊英

    清澤俊英君 その次に、農林省にお伺いしますが、ただいまの御説明によりますと、船舶による被害ノリが受けるものが十八件、これらはすべて現行法で片がつく、こうおっしゃっておりますが、それはどういう根拠で言うておられるのか。それをいま少し明確にしてもらわぬと困ります。ということは、われわれが知っている範囲でも、これでなかなか片がつかぬものがあるのではないか。まだ解決がつかないのは富岡の問題だと思うのです。具体的な例を申し上げますれば、富岡の問題のごときは、被害者はわかっているでしょう。被害者はわかっているのです。その船舶主は、廃棄をある請負者に請負わした。その条項の中に、どこどこの地域へ持っていって、東京湾汚水汚濁条項によって、東京湾外三海里と指定している。これを適用したものに指定している。その契約をして、それがまた第二のその下請業者が、またその次の下請業者に同じ方法で下請さしている。犯人はわかっていますけれども、第三番目の責任者に現在数億の、沿岸漁民が、ノリ場の人間が、漁民がその損害を請求しようとしてみても、こじきに物を請求するのと同じことで、請求するだけ損害なんじゃないですか。こういう現実があるのです。それはどういう法規で取り締るのか。  それからその前に起きました、いわゆる保安庁の演習によるノリ損害です。これは原因がわからぬでしょう。捨てたのが、だれが捨てたのかということがわからぬことになってしまっている。わからぬで、そんな簡単なことで片がつきますか。港則法による港外一万メートルの以外に捨てましても、保安庁側は、潮流に乗って外へ流れ出て被害を与えないと言うし、漁民側はそうではない、潮流に乗ってわれわれのところへきたと言う。こういう争いになっている。一万メートルの外でやってもそういう問題が起きている。これを港則法でどのように片がつきますか。つかぬでしょう。つくのですか。そういうふうなところは、農林省がそういうあやふやなことでは、その問題は解決がつきませんよ。できぬものはできぬとはっきり言ってくれないと、問題は解決つきませんよ。そんなばかなことがありますか、それはどうなんですか。
  21. 武田誠三

    説明員武田誠三君) ただいまの御質問の点でございますが、先ほど政務次官から申し上げました趣旨は、現在船舶廃油投棄いたしますことにつきましては、御承知のように、これは目的が違うわけでございましょうが、港則法あるいは港湾法におきまして区域内制限をいたしているわけでございます。従いまして現在の港則法適用になっております港から一万メートルの範囲内におきます廃油投棄につきましては、全面的に禁止に相なっているわけでありますから、船舶運航者の方におきましてこれを完全に守っていただければ、その範囲内におきましてノリ被害は一応除去されるというふうに考えざるを得ないという趣旨で申し上げたわけでございます。従いましてなおそれによりましても、お話のごとく廃油その他によりまして、沿岸廃油その他が流れまして、ノリ被害を生じているというようなことが顕著でございますならば、その廃油投棄を禁止いたしました区域なり何なりをさらに広げて除去する。この方法港則法なり、港湾法規制を強化してもらいたいということの必要でありますことはお話通りであります。  なお、この点におきまして、現在の御審議を願っております保全法なり何なりを、将来におきまして何らかの形で拡充をしていただくというような必要も生じてくるかもしれないというふうに思うわけでございます。
  22. 清澤俊英

    清澤俊英君 どうも私には納得いかないのだ。一万メートルのところで流したのか、一万メートル以内で流したのか、それすらもわからないのです、現実においては。そういうものが幾つも重なって、現在年々歳々一部のノリ漁民が数億の損害をこうむっているのだ。それが一銭の補償もなく、これを補填してやる道も講じていない。損害受けっぱなしという形になっているのです。しかも一万メートル以外でこれを野放ししたならば、なおるであろうというふうな根拠は私は考えられないと思うのだ。あなたそれで必ずなおるのですか。私はどうしてもこういう点を考えられるならば、船舶それ自身に何らかの方法を講ずるというようなことが一番いいのじゃないかと思う。港則法だけでは私はだめだと思う。農林省が言われるのが正当ではないと思う。その点はどうなんですか。
  23. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 私が申し上げました点は、現在港則法等によりまして、一万メートル以内での廃油投棄を一応制限されておるわけでございますから、これを十分船舶所有者の方で守っていただくのでなければ、取り締る関係においても、先ほどお話がございましたように、強化をしていただくということによりまして、一つ目的を達し得るのではないか。さらにお話にありましたように、油水分離器等船舶に備えつけまして、油を、廃油投棄しないで、陸上の油水分離器で分離いたしまして、投棄するなり、棄てるというような方法がさらに講じられ得るようなことになりますれば、さらに適当なことだろうというふうに思います。
  24. 千田正

    千田正君 まずこれを立案しましたところの経済企画庁三木長官にお伺いいたします。公共用水域水質保全に関する法律案と、表題は非常に広い意味におけるところの表題でありまして、内容を検討しますというと、これは逆に近代産業と、それから原始産業の間に終始起るところの紛争解決する一つの基本法を作りたい、そこに狙いがあるようにわれわれは考えております。ところが今も問題になりました、船舶の航行によって投棄、廃棄された廃油の問題、こういう問題は除去——この問題には触れていないで、水質汚濁をある程度防止するということでありますけれども、やはり産業面の紛争解決するとともに、国民の公衆衛生という面も含んで考えなきゃならんところの点であると私は思うのであります。これは先ほどの御説明にありました通り、将来その点がそれで足りなければ、新たに法律を作る、これはある程度了承いたしますが、現在起きているようないろいろな問題は、たとえば先ほど青山君、あるいは清澤君からも話がありました、東京湾の問題にしてもそうです。日々何千トンという糞尿を東京湾の外へ、いわば早く言えば領海の外にこれを投棄しましても、海流、あるいはその他の結果によって逆流してきて、ノリあるいはその他の魚介類を侵している。こういう問題を拘束する何ものも、この法案では見出すことができないわけであります。これはやはり重大な問題として考えていかなければならないと思うのであります。そこでこの法案の内容を検討していってみましたときに、大体これは基本法でありますから、これによって今まで十分でなかったものを補強していく、こういうねらいだろうと思うのであります。そうするとすれば、通産関係でありますれば鉱業法であるとか、あるいはその他の水洗炭業法であるとか、あるいは水産庁の関係でありますれば水産資源保護法という法律があるのでありますけれども、守られておらない。おらないというところにこういう法案が出てきたのですが、この法案で十分守っていけるという自信があるかという点を私はお伺いしたいのであります。というのは、十分今まで勧告もされ、あるいは訴訟も起きておるけれども、ほとんど法律によってこれを拘束することができなかったことが多い。今後ともそれができるかどうか。幸いにして三木長官のように実際の実力者がいまして、通産省の長官であるところの大臣であるとか、あるいは建設大臣に対して水質審議会決定した事項を守ってくれなかった場合に、守るかどうか、この点は非常に私は疑問に思うのであります。いわゆる拘束力のない法律ではないか。この法案を出す以上は受け入れる方の鉱業法なり、あるいは水産の資源保護法なり、そういうような法律にもこの法案によって、この審議会によって決定して、経済企画庁長官勧告のあった場合は、これを厳守してやらなければならないという受け入れ側の法律も改正しなければならない。そうこの法案ができておらないというところに私は非常に物足りない、こう思うのですが、その点はどういうふうにお考えでありますか。
  25. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 従来この公共用水域水質保全に関する問題がやはり大きな社会的な問題でありながら、これが立法、こういう基本法ができなかったのであります。諸外国はすでにそういうものがずいぶん前からできておる。そこでこの法案は御指摘のように、いろいろな不備な点もあると思います。しかし一歩前進であることは間違いがない。そういうことで、今申したように、十分これが完備したものではないけれども、将来においていろいろ不都合が生じたならば改正もしたいし、あるいは広範なこの問題に対しては企画庁長官勧告権も発動できるというような権限も与えられておるのでありますから、どうしてもこの機会に産業上からいっても、あるいは国民の保健衛生からいっても、水質保全ということは、これはやはり相当厳粛に取り扱わなければならぬ課題でありますので、法律は不備であっても、企画庁長官勧告権というものは、厳重にここの勧告権を行使して水質保全に寄与したいという決心であります。
  26. 千田正

    千田正君 三木長官のような党内においても実力者が企画庁長官におった場合にいういう問題が出れば勧告しても受け入れるでしょう。しかしはなはだ失礼な話であるけれども、貧弱な大臣が出て勧告したって守られないとこれは意味がなくなる。たとえば現在までもそういう問題がたくさんある。人事院ができてからもうすでに数年になりますが、人事院の勧告法律によって内閣に対して勧告をしても、人事院の勧告が守られたということは、私は第一回から国会に出ておりますが、おそらく一回もない。それと同じようなもので、よほどこれは厳重に勧告しない限りにおいては守られない、こういうおそれがあるのですね。ですから私から言いますれば、これを勧告を受ける方の側の、しかもそういう問題の起きる鉱業法なり、あるいは水洗炭業法なり、水産資源保護法なり、あるいは先ほど海上保安庁の方の言っておる港則法とか、そういう法案の方にも修正、改正を加える必要があるのではないか、これは十分考えていただきたい。  それから第二点としましては、この水質審議会でありますが、紛争が起きたときの判定はどうするか。従来でありまするというと、いわゆる工場側から問題が起きた場合においては、工場それ自体の科学者によってその水質汚濁していないのだという主張の方が多かった。農林省なり水産庁なりの被害を受けた農民なり漁民なりの主張の方の場合は、これは農事試験場なり、あるいは水産試験場なりの技師たちがこれは汚濁を受けておる、こう主張して、遂に判定がつかない。そこでこの前、吉田内閣の時であったと私は記憶しておりますが、国立科学研究所を置いて、そういう紛争解決のために国家の権威のある科学研究所を置いて、そして判定をしなければ、こういう紛争は跡を断たないのじゃないか、こういう問題があったのです。途中で立ち消えになったけれども、私はこの際こういうりっぱな一応前進しましたところの法案が出た以上、審議会がある以上、審議会の直属したところの国立の科学研究所の判定のいわゆる実測の基礎になるところの、そういうものを置かない限りは、これまた紛争原因になる、こう思いますが、この点においては何か施設するというような意味においで考えておられるかどうか。その辺はどうですか。
  27. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 御指摘の点はもっともなことだと思います。将来はやはりそういうものが要ると私は思う。しかしとりあえずは科学技術庁に、やはり調査は企画庁でやるにしても、基準の研究、水質基準の研究は、今年度も科学技術庁で予算を要求しまして、科学技術庁でこれをやろう、将来は今御指摘のようなことを考えざるを得ないのじゃないかと私も考えております。
  28. 千田正

    千田正君 きのう農林水産委員会で提案の御説明を承わって質問したのでありますが、その中に指定水域、大体今度の場合は、この指定水域を河川に限って考えておられるのでありますが、これはなぜ沿岸あるいは港湾その他に対して考えておられないのか。その点はどういうわけでありますか。
  29. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 条文に関しますことで私から御説明を申し上げますが、第三条の一項の「公共用水域」とは、河川、湖沼、港湾、沿岸海域その他の公共の用に供される水域」と書いてございまして、沿岸海域の指定水域指定される範囲に入っておるわけでございます。
  30. 千田正

    千田正君 それはよくわかっております。法案はそういうようなわけであるが、今度の法案で第一に対象になるところのあれはどこかというと、大体しぼって全国のうちの七河川か六河川、こういうことは御答弁があった。しかし港湾なり沿岸なりについては、指定した個所については何らお話がなかった。この点はどことどこを指定してあるのか。
  31. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) ただいま御指摘のように、水域指定及び水質の基準の設定に相当技術的な準備及び調査を要しますので、一挙に多数のものを設定するわけに参りませんが、初年度としては六河川ないし七河川程度で、その河川という中に、あるいはこれは水質審議会の議を経まして決定いたすわけでございますが、海域についても候補地が上っておりまして、いずれにしますか、水質審議会におきまして慎重に審議いたしまして決定いたすことになっております。河川だけではなく、海面につきましても候補地点が考えられておるわけでございます。
  32. 千田正

    千田正君 私は第一にあげたいのは東京湾でありますが、これは企画庁長官も、高碕大臣もおられるから、特に私は申し上げたいのであります。東京湾で起きてくる問題の大部分というものは海によって生じた損害かと、たとえば沿岸の零細漁民が魚介が斃死した。これは今のような船舶が放棄した油であるのか、あるいは江戸川その他の河川から流れてきたところの汚水によって魚介が斃死したのか、そうした判定さえもできない。そうして次から次へとそういう問題が提起されてきておるのであります。私はそういう意味から言いましても、大都市を控えたところの港湾、あるいは中小工業その他を背後に控えたところの沿岸、こういうところは当然やはり指定して、一日も早くそういう法的に、法律目的の効果をあげるべきである、私はさように思うのでありますが、その点はどうでありますか。
  33. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 東京湾なんかは御指摘の通り、いろいろやはり問題が衛生上産業上あると思います。そういうことで、あらかじめいろいろ委員会を通じて申し上げたのですけれども、そういう御意見水質審議会等において十分検討をして、必ずしも幾ら幾らの河川——それはやはり調査能力もありますから一ぺんにはできぬとしても、御意見のようなところは十分審議会等においても検討をいたしたいと思います。確かに大きなやはり問題であるということは同感であります。
  34. 千田正

    千田正君 最後に、いろいろ私は今までお尋ねしましたが、結論的に、私はこの法案に対してずっと研究をしてみましても、ざっと読んだだけでもはなはだ足りない点が多々ある。しかし先ほどの長官の御答弁にありましたように、一応これで前進した、窓をあけるんだと、こういう点であれば一応了承しますが、私はただいま申し上げましたように、海の問題にしましても、今海洋問題、国際問題からいきましても、沿海あるいは領海三マイル説、あるいは十二海里説、そういう問題を中心にいろいろ問題が起きてきておる。港湾にしましても沿海にしましてもそういう問題が多々将来起きてきます。起きてくるから、そういう面における、船舶によって廃棄されるところの汚物、その他の問題も将来考えていただかなければ、将来これは非常に困る。これも次の改正に際しては十分考えてもらいたい。  それから、さっきたびたび繰り返して申し上げましたが、国立水質研究所のようなものを置いて、真剣に国家の権威ある機関をもって、最終的においては判定するようなものを置かない限りにおいては従来とちっとも変らない。  それから勧告、これは非常に法的にはいろいろな理由があるし理屈もつけられるでありましょう。しかし勧告というものをされて、そうしてその通り効果をなしたものはほとんど今までに私はないと思う。勧告をすると、また良心的にそれを受けて、そうして実行するというのはなかなか容易でない。実行させるためにはどうするか。そうした勧告を受けた側の方においては実行せなければならないという、やはり規則なり何なりというものを、作らなかったならば、一方的なものにしかならない。この点は私は深く憂えるのでありまして、こういう点を十分お考えになって、次の段階においては万遺漏のない、しかもこの法案が効果的になって、近代産業も、また国民大衆のためにも、この法案によって憂いのない生活のできるような、そういう法案を作っていただきたい。これを強く私要望いたしまして、私の質問を終ります。
  35. 清澤俊英

    清澤俊英君 本州製紙のあとのきまりがつきましたか。
  36. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 本州製紙の問題につきましては、まだ最終の解決はついておりません。
  37. 清澤俊英

    清澤俊英君 ただいま千田君から御質問がありましたが、この紛争解決をするために仲裁委員会を、和解仲裁委員会を設ける、この仲裁委員は都道府県だ、こうなっております。東京都が中心になって、あれだけの政治問題となりましたものが、まだなかなか解決しない、これが実際だと思う。果してこの法案のもので、こういう和解がスムーズにいくとお考えになっておるか、私は不可能な問題であると思う。条文にはなるほどこういうふうに書いて、解決するのだというが、私はおそらくはだめのものではないかと思う。その点どうお考えになりますか、これでできるとお考えになりますか。
  38. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは実際、紛争問題というものの解決は厄介だと思います。しかし今までと違って、こういう法律もできまして、全般的に水質保全というものを全国民が考えようじゃないかということで新らしい前進をしたわけでありますから、これで全部解決するかと、こう聞かれればいたしますというようなことは言えますまい。しかしやはり前とは違って、皆がこの公共用水域水質保全ということに関心の高まることは事実でありましょうから、これはいろいろ困難はあっても、それは克服せなければならぬ、またこれは相当解決にこの法案が寄与することは間違いない、こう考えております。
  39. 清澤俊英

    清澤俊英君 それはだから幾らかの前進であり、幾らかの解決はできるでしょうが、これで、解決のめどは何年ぐらいやったら国民の精神が全部改まって直るかということは保証の限りでない。現実においてあれだけの重大問題を起して議会の問題にもなって、そうしてやっているものがまだ解決されない。しかも強力な東京都知事あるいは千葉県知事等の近県知事はもちろん、農林大臣も通産大臣も関与せられてこれの解決に当っておられることと私は考えております。決して放棄しておられないと思う。その問題がまだ片づかない。そのあと引き続いて直ぐ名古屋で問題が起きてなぐり込みがあった、新聞に出ておる。これは私どもよく調べておりませんから、あとはどうなっておるかわかりません。おそらくこれも解決がついていないと思う。そういう実情の中、県知事にまかした、比較的おくれた地区でこういう問題をかりに知事が公正なものをしろといっても、うまくいくかどうかわからない。むしろ私は中央にそういう仲裁委員会のようなものを設けるというようならまだ幾らか納得ができるけれども、都道府県にまかして地方のものは地方で片づける、それに対して何ら最終的な、最後の決定権を持つような、勧告権を持つような強い機関を設けていない。書いただけであって、実際の被害を受ける漁民であるとか、あるいは農民に対しまする現実の問題は一つ解決しないと思う。それが一つ。  いま一つはいろいろ東京湾等を中心にして魚介類並びにノリ類等の被害に対してこれから調査する、非常にめんどうな問題があろうと思うが、その期間は大体どのくらいになるかわかりませんか。これが完全なものになって、そういう水質の基準指定区域指定というようなものができ上るまでには相当な期間を要する。今年またあるかもしれない被害、その間長い間放置しておく、その期間に起きた被害というものは一体どうすればいいか。これは一日の急を要する問題だと私は思う。それでこそこれが問題になって、議員提案から政府提案にこれはかわったと、こう思うんですが、こういうふうな工合にして、議員提案はもっと強いものだった、それが非常に緩和せられて、弱いものになって、しかもこれを見ますと、千田さんが、あるいは先ほどから青山さんが言われる通り、海域に対しては、考えているというが、海域について考えているだけで、文字には書いてありますけれども、実際の問題についてはこれからのことである、まだこの法案の中には一つもない。これからです、あなたの御答弁を聞いていると。何のために海域に対して、現に被害は一番多いところなんです、これを放置してあるのか。比較的河川におきまする災害では、原因が明確であるから解決がつきやすいんです。問題は港湾を中心にした沿岸というところに私は大きな問題点が残されている。それを残してある。これからだといっておられる。だから一歩進歩した。私らの言葉で言わせますならば、一足踏み出したのだからこの法案に通します、こうは考えるが、全くわれわれはこれに対して納得できない。急速に何かこれをやっていただくお考えがあるのかどうか。これは重要問題です。ときによりますれば、私らの考え方としては、こんなあってもなくてもわからぬような法案ならば一応御返却申し上げて、そうして別なものを出した方がいいんじゃないかというようなところまで実は考えざるを得ないほどの弱い法案ではないか、その点をいま一つはっきりしていただくと同時に、その港湾とでもいいますか、河川との取り合わせの部分並びに沿海等に対します油、その他の汚染に対しての処置に対するお考えですね、お考えの基本的なものを一つ伺っておきたいと思うのです。
  40. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いろいろお話、非常に御心配になっておるところはよくわかりますが、そんならこういう立法がなくて、そんなら放っておいてこの問題がやはり解決に前進するかというと、そうは思いません。やはりこういう法的な根拠があって、それは完全なものでないにしても、これからやはりこの水質保全ということが国民的な関心にもなり、政府もこういう法律の基礎の上に立って、これに対して政府もいろいろ行政指導をしていく、この努力を積み重ねないと、一ぺんにこれはやるとしても簡単なものではないのですから、水質の基準というような問題は、千田さんのお話のように、こういう問題は国立のそういう研究所でも作れという御意見があるくらい、少し時間をかけてこういう問題は考えないと、一気にこれはできるものではないのであります。そういう点でわれわれは不備な点は将来においてこれは改めるべきは改めるし、法律の改正も必要なものはして、何とかして日本の水質保全にこの法案は寄与したいと、こう考えておるのであります。海域とか、あるいは沿岸とかいうものはこの中に当然に入っておるのであります。御指摘のように河川に劣らず、これは水質保全上重要な地点でありますから、当然これも入れて考えておるので、河川だけではない、沿岸も海域もこれはみな入っているのだ、法律の明文の上にも、それはこの中に入れているのでありますから………、さように考えているのであります。
  41. 清澤俊英

    清澤俊英君 今長官の言われることはよくわかります。だからこれは一足踏み出す意味合いにおいてわれわれも考えているのです。考えて申し上げているが、端的に言えば、そういうことになるわけです。ほとんど実行がそれらの点において行われておらないのではないか、こういう点を強く申し上げたのです。  次にお伺いいたしますことは、第三条ですか、大体私の質問しまする法案の条文は、衆議院で共同修正をして参りました法案を中心にしてお伺いしたいと思っておりますが、三条かと思いますが、汚濁防止は、三条の、指定水域に排出する水が汚染の許容限度を云々と、こうなっていますね。工場から流れて出る水が許容限度をこさないようにすると、こういうふうに書かれている。ところが江戸川あるいは大阪湾等の問題を見ますれば、方々から集まったもので、港湾あるいは港の河口ですか、河口の水質が非常に高度に汚染せられている、一つの工場は非常に弱いというような場合は、これはどう補償していただけるのですか。
  42. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 一つ水域につきまして、むろん被害を受けます部分が河口でございますとか、あるいは海岸に出たところに被害の地点があるわけでございます。その場合に本流の流れについて一応水質をどの程度の水質にしなければならぬという基準を考えますが、結局今度の法律におきまして、排出工場から水が出ます。その排出口において水を浄化する、それを通産省が提案しております工場排水法によって規制するわけでございます。結局工場側から出る排出水規制するというのが直接の規制対象になるわけでございまして、その意味で本流の流れももちろん査定もいたしますけれども、結局各地点、水域ごとの排出水の規準をきめまして、それによって必要な防除施設をするという行政指導をするわけであります。
  43. 清澤俊英

    清澤俊英君 その基準が変るのですがね。集積した場所へ行きますと河川は変ります。だからここで、工場の施設で完全浄水するなら別ですよ、工場排液を全部完全浄水をするのですか、工場廃液は……。
  44. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) この水の量が変りますので、各河川ごとにその量に応じて各工場から出ます水の、排出水の基準というものを一CCどのくらいということを規制いたしまして、それが全部集まって下に流れ二参りますが、その場合にそれによって下の、下流の受けます被害が必要限度以上に悪くならない、必要以上に水が悪化しませんように出口の所で縛る、ですからこれはむろん個別にはきまりますが、総合して被害産業の立場も加害工場側の防除施設もあわせ考えましてやっていくつもりであります。
  45. 清澤俊英

    清澤俊英君 そこが非常に危険なところじゃないか、工場はだんだんふえて参ります。あるいは多量の廃液等が出ました場合に、それが甲の廃液と乙の廃液が下流において合致したような場合に、また急速に被害等を高めると思います。これは今の流水域に対する汚濁基準をこれだけにしたとかりにきめて出されるものが、その工場が動かぬものならいい。将来、たくさんそれが集まりまして河口に行った、沿岸に行きます。そこで沈澱したようなことになればいろいろな問題が起きて、そういう基準はなかなかむずかしいものだ、そのときになってあらためてせっかく作りました工場の汚水浄水設備というようなものを改めさせるまでの御意思があるのですか。それがなかったら、場合によりますと、全然作ったものが無効に帰する、こういうことになりはしませんか。
  46. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 工場の密集度によりまして水質の基準はおのずから寛厳がございまして、非常に密集している場合は基準がきつくなるようになっております。また御指摘のように将来変って参りました場合は、水質許容基準そのものについて再検討を加えるということは閣議の了解事項の方針にも決定いたしておるわけでございます。
  47. 清澤俊英

    清澤俊英君 そのときには、通産大臣、あなたに一番関係がある。補助金でも全部出して作りかえさせるだけの腹があるのですか。それまで閣議決定お話になっておるのですか。それをやらなくては無効なものになる。せっかく作った、その次にまた工場ができた、またその次にできた。これが三年でもってぱっぱっとできてしまった。これができ上らぬうちに汚濁が出るから自然変えなければならぬ。お前変えろと言ったって、それで変える人間がありますか。それだけの心がまえがあるのですか、それだけの御検討が済んでいるのかどうか。
  48. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 今回提案の法律が今日まで等閑に付せられておったということはまことに残念と思って、一日も早くやらなければならぬと思います。この基準はどこにありますかというと、工場から排出される水がどの程度のものならいいか、その水質の基準をまずきめなければならない、それすらまだきまってないわけであります。工場だけでなく、下水道ももちろんでございます。従いまして、今日この法律が通過いたしますれば、まず第一に、工場から排出される水質の基準をどこにおくかをきめ、それに応じて大工場は大工場の費用によってそれを設立させる。これは一文もかせがぬものだから、できるだけ税金——資産税、財産税等において考慮する、あるいは償却を考慮するという場合もありますが、中小企業の方はそうはいかないものでありますから、中小企業者の方の分におきましては、なるべく共同の排水路を作りまして、その排水路の最後の出口において、どういう水質まで認めるか、それをやるためには、政府としても相当の金を融資をし、あるいは補助をしてそれを実行に移したい。  そのほかに非常に大きな問題は、私どもは工場だけを考えておりますけれども、下水道の問題、これは都市が発達するに従って下水道というものが非常に関係して参るものでありまして、これともよくかみ合わせて、下水道の最後の排水口にどの程度の水ならいいか、ある基準をきめる、これすらきまってなかったということのために、これを実行することができなかったというのが現状でございます。どうかこれを一つ実行することを一日も早く御賛成願いたいと思います。
  49. 清澤俊英

    清澤俊英君 おっしゃることはよくわかりますが、ちょっと違うところがあります。大事なところがちょっと違う。あなたのおっしゃるそこまではわかる。私もようわかるのですが、そういう工場がたくさんだんだんできてきたら、それが集積したら汚水限度をこえてしまうのではないか。こさぬようにするという何かあるのでありますか——それならいいですけれども、これからあとできるものは、一応現存のものはこうきめたんだと、もしこの次に出てくるものを含んでこれだけにきめたと、これから出るものは全部浄水にして出すという考えでなければ、大臣の言われるようなうまい工合にはいかないのではないか。こういうものができ上ると思いますが、これはどうなりますか。
  50. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) ただいまの御指摘の点は、ある指定水域の基準をきめます場合に、やはりその地域に近くできます工場等も考慮に入れまして水質基準考えて参りますので、そう急に変更するという必要に迫られないように基準は考えて参りたいと、かように考えております。
  51. 清澤俊英

    清澤俊英君 しからば、工場を作りますときに、汚水等の出ない工場を作らせる等のことは考えないのですか。工場の設立それ自身に制約を加えるだけの腹がまえがなければ、あなたのおっしゃるようなことはできないと思う。こういう点はどうなんですか。
  52. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 非常に極端に汚濁度が高いような場合におきましては、あるいは排出水が非常に汚濁するような工場について遠慮をしていただくということもあり得るかと思いますが、一般的に申しましては、大体一般の工場から出る予測される範囲において将来も考えて基準をきめて参りたい、かように考えております。
  53. 東隆

    ○東隆君 先ほど清澤君が質問をしたところに関連をするのでありますが、先年、経済企画庁水質汚濁防止に関する勧告をされたことがあると思うのです。そのときの立法の考え方は、企画庁でもって立法をするお考えだったのですか、それとも、よその官庁にそういうものを考えさせるおつもりだったのか、そういう点をお聞きいたしたいと思います。
  54. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) ただいまの御質問の点は、資源調査会がかつて勧告をいたしました、水質汚濁に関して勧告した文書がございますが、その際には、やはり行政委員会を設置してやるのがいいという勧告になっておるわけでございます。今回提案いたしております態勢は、現在各省におきまして、それぞれの行政とともに——工場については通産省、あるいは鉱山についてもございますが、まあ下水道、上水道、それぞれ建設省、厚生省、所管がございまして、それぞれの行政とともに水質に関する仕事をやっておられますので、今度の態勢は、これらの各省の行政の総合運営が欠けておりました点を考慮して、総合調整を企画庁において扱いまして、実施は各省がそれぞれやる、企画庁では水質基準の設定と審議会の運営を通じて全体の行政の総合をやっていく、こういう態勢で行政委員会の案は採用していないわけでございます。
  55. 東隆

    ○東隆君 今のお話ではっきりするのですが、経済企画庁そのものが、企画と調査、こういうことが中心になっておるために、この法律が実は非常に弱い法律になって、行政面において威力を発揮しない形になっている、こういうふうに考えるのですが、その点はどういうふうにお考えですか。
  56. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) この法律は、しばしば委員の方々から御指摘されるように、非常に難問題なんですね、水質汚濁というのは。そういうことで、一元的に経済企画庁が権限を持ってやるということには適せないと思う。やはり、農林省もあれば、あるいは通産省もあり、運輸省もあり、そういう行政官庁が、いろんな法規上にも、そういう施設の保全にも関連するいろんな行政上の義務を持っておるわけですから、どうしてもこういうふうな法律で、基本法的な法律をここで持っておる。実際の面においては各省が当るということがよろしいのであって、これが東君の言われるような非常に強力な法律でこれがやれるかというと、実際にこういう形以上は出ないと思います。こういう考え方が実際的だと私は思います。
  57. 東隆

    ○東隆君 この形が実際的だと、こう言われても、実は、先ほどからいろいろ質問がありましたように、きわめて弱くて、そうして実際に効果が上らないのじゃないか。水質の基準であるとか、あるいは水域の設定であるとか、そういうような点は、これは一向差しつかえないと思います。それから審議会を開催することも、少し行政的な方面にわたっているのは仲介の項ぐらいなものであって、ほとんどないわけです。そこで、私は、企画庁はそういうようなことについてのなし得る範囲内のことをおやりになることは一向差しつかえないけれども、しかし、これをやる場合に、各省に分れておるがゆえに、私はなお一そう困難性があると思う。たとえば農林省と通産省の関係考えてみても、これは被害を受ける者と被害を与える者、こういうようなことに完全になるわけです。そこがお互いに自分の関係をしている範囲内において取締りをする、こういうような形になっておれば、これはなかなか解決のつくもんじゃないと思う。そこで、私はやはり一つの行政的なことをやり得るものを総理府の中に置くとか、その他の形でもってこれをやるべきが適当なものであって、それを経済の企画であるとか、調査をやることを主にしておる企画官庁がこういう問題をお取り上げになるのは、これは問題を提起することは、私は大へんいいことだと思うのですけれども、法律の中心の主務官庁として乗り出してこられたのは、私は非常にこの法律が弱くなったゆえんだろうと思うのです。  そこで、本音を一つ私は聞きたいのですが、ほんとうに効果のある法律水質保全をするためにどういうような機構を作る方がよかったか、こういう点について、これは私は本音があろうと思うのです。経済企画庁長官の権限においてはこれしかできなかったと、こういうのが私はどうも本音のように考えるのですが、ほかの方はなかなかこれに取り組んでこない、こういう問題も私はあったと思う。私は早急にこの法律ができることには賛成をしているのですけれども、しかし、将来これをもう少し効果のある、力のあるものに直していくために、やはりそういう点についての考え方をお聞きしておく必要があろうと、こう思いますので、お聞きいたします。
  58. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 経済企画庁でこれを、この法案を提出いたしておるのでありますから、この機会に本音を言えといいましても、本音といっても違った本音は出てこないのでありますが、しかし、まずこういう一つの画期的といえば画期的な法案でありますから、これでやはり前進して、行政機構の問題も、これは好んで企画庁がとらぬならぬというものでもございません。やりたくて仕方なくしてやったものでもないのでございますから、そういう問題は将来においても、東さんの言われる意味もよくわかります。現在は各省にまたがって調整的な問題が多いもんでありますから、これを農林省というわけにもいかぬし、通産省というわけにもいかぬので、やはり常識的には経済企画庁でこういうことをやることが妥当であろうという判断に落ちついたんでありましょうが、将来においては、これは国民からいっても、国家的にいきましても重大な問題でありますから、こういう問題が円満に処理されるように、法制上の不備な点も改正するし、機構の点も将来において検討するという余地は残していいと、この機会に本音を吐けといっても、本音は違うのだということは申し上げかねるのでございます。
  59. 清澤俊英

    清澤俊英君 一つ残っておりますのはね、さきの船舶の排水分離機の問題でございますが、この問題について参考資料を見ますと、一九五四年の油による海水汚濁防止のための国際条約、これは昭和二十九年八月十一日に日本が署名している。これは批准にかけないので発効にならない、こういうことになっておりますが、この事情はどういうわけなんですか。一応運輸当局からお伺いしたいということと、これがもし行われておりますとするならば、二条、三条等によりまして、廃液の投棄禁止区域が五十海里になるとか、あるいは五百トン以上の船がこれを全部つけるとかいうようなことができるようになります。先ほど一番先言われました企画庁長官の、だんだんこういう観念を植えつけられて、そして全体の公益のために、産業並びに公衆衛生等の立場から、水面域をきれいにする、こういうものができるという立場からいっても、直ちにこれを批准してこれに入って、全部が、これにすべてが従っていくと、そういう立場においてどうお考えになるか、それをお伺いします。お答えにより一言申し上げたいと思います。
  60. 辻章男

    説明員(辻章男君) お答え申し上げます。今御質問のございました水質汚濁の条約でございますが、これは日本も一応署名はしておるのでございますが、主として起りましたのは、イギリスを中心にしました欧洲の諸国から非常にそういう声が起りまして、これは欧洲側のイギリスを中心としましたあの欧洲の水域が、非常に海流の関係で相当沖合いに廃液を処理いたしましても、すぐに回り回って沿岸に来るというような海流の状況のようでございます。  それでこの条約をなお批准しないのはどういうことかということでございますが、これはいわゆる水質分離機その他の廃液処理につきまして施設をしますことは、まあ船舶の、海運の企業からしますと、直ちにそれだけの経費の負担にもなるわけでございますので、各国の動向を見ながら、模様を見ておるというのが現状でございます。  それから、先ほど来のこの今案件になっております水質汚濁防止に関してのいろいろ御質問がございましたが、これらにつきましても、私どもといたしましては、農林御当局、その他いわゆる被害を受けられる方の御関係の官庁の方と十分連絡をいたしまして、経済企画庁はもちろんでございますが、先ほど三木長官からお話がありましたようなラインで、現状のままでできるだけそういうことのないように取り締りますとともに、それでは目的が達せられない場合には、現在の港則法の改正も考えますし、場合によりましてはこの本法の改正によりまして、そういうことのないように万全をしたい、かように考えております。
  61. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは昨日大体お伺いしたのです。その際には、水質分離機を作るには大体百五十万ぐらいかかる。船一隻作るのに大体どれだけかかりますか、九百トン以上の船を作るのに。そんなものは九牛の一毛というけれど、それ以上の経費じゃないかと思うのです。船長の部屋のちょっと飾りつけでも少し直せば、百二十万や五十万出てくるじゃないですか。  その次の理由といたしましては——経済的な理由はそうなんです。百五十万なんです。何万トンの船になりましたら何億でしょう。百五十万です。私は経済的な問題はないと思うのだ。これは全部、当日の農林委員会におきましては、全部そういう考え方でした。ところが技術的にはいろいろの面がある。水質の分離機ぐらいなものは、私は今の日本の科学として技術的に考えられなければならぬほど停滞しておると思いません。通産大臣は、そんなことを言われて黙っておられるのかどうか。私は通産大臣にその点を聞きたいと思うのだ。もっと進んで、化学的処理で何か入れて固形にするくらいなことは考えられる時代にもう来ていると思うのだ。水質分離機をつけて、水を入れて二つに分けますなんという、そんな時代は私はもう過ぎているのじゃないかと思うのだ。それくらいなことを考えられるときに、技術的にうまくいきません——私はこれは方便だと思う。聞きますると、何かこれは大きなバック会社が牽制している、それでこういうものができ上らぬ、こういうふうにわれわれは聞いておるのです。それが本質じゃないかと思うのです。そんなことはまさか……。それでありますから、これをつけませんとかなんとかいうことは決して言われまいと思うけれども、そんなことではだめだと思うのだ。そんな様子では、現にいかに困っているかということは、このやはり同じ参考資料の中にあります大阪府がですよ、府が作りましたこの水質汚濁の、これは工業用水となっておりますね。これに対しまするところの府の処置法から見ましても、この方がずっと上である。府の方がもっとずっと上のことが書いてある。それも全国的に見まして、いろいろな関連においてやむを得ないとして、われわれは承認するとしても、農林省でもさっきそう言っておるんだが、これは港則法等によって、一万メートルを二万メートルにするとか三万メートルにするとか、それによって直されると言っているが、それぐらいに、それがなかなかうまくいっておらない。そうしてみまするならば、船舶自体につけまして、そうしてそれを押えることがいいんじゃないかと思う。現在は清掃法等によりましても考えられるでしょう。ということは、あながち河川等の汚染が、工場から出るものばかりでないということは、企画庁長官も言われている通り、だから、橋の上からごみを捨てますれば、これは清掃法などで問題になってくるんだろうと思う。それと同じことで、船が通り過ぎにぽつぽつと出していく、それでよごれる。それが潮流に乗って、五十海里ほど外へ投げんければならぬほどのものが、回り回ってノリを毎年いためておる。いためられている農民のことを考えておれば、そんななまぬるいことを言っておられてたまったものじゃないんです。これは一体どうなるんです。私はきょうは運輸大臣がおられるならば、どうしてもこれをやるんだというだけの言質を取りたいと思うんだけれども、おられないからやむを得ないが、農林大臣どうですか、一つあなた方、たびたび東京湾ノリが油で損害を受けたことについて、農林省は一文もめんどうを見ていない。見る場所がない。そうしてみまするならば、これぐらいのことをしてくれてもいいだろうといって、厳重に談判する気持はあるんですか。
  62. 三浦一雄

    国務大臣(三浦一雄君) 運輸当局とも十分に打ち合せまして、だんだん改善して参りたいと、こう考えております。
  63. 田中一

    田中一君 これは三木さんに伺いますが、水質の問題以前の問題が残っていると思うんです。今度は水質だけの問題を自分のところで扱うんだということを言っておりますけれども、水に対する政治的な、物理的なものはわかっております。政治的にどう扱うのが一番正しいかという点についての御見解を伺いたいんです。水に対しては、政治的にどういう扱い方をするか、どういう定義をすべきが一番正しいかということを伺いたいと思うんです。  御承知のように、工業用水法という法律を作って工業用水の方に持ってくる。地下水はそれではどうだ、上水道はどうだ、農業用水はどうだといって、水を勝手に分断をして、多目的に使える水を、これはおれの領域だといって持ってくるのが今の政治のあり方なんです。従って水質の問題以前の問題、これに対する政府の見解、これをまず伺いたいと思うんです。水というものは何であるか、水というものは国民生活にどういうウエートを持っているか、水というものは政治的にどういう形が一番正しいのであるか、扱い方をどうすべきかという点を、数々学者も論議しております。政府としても、当然もう結論が出ていると思います。これに対する各担当大臣のお一人お一人明快な御答弁を願いたいと思います。
  64. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 非常に難問でございまして、お話趣旨はわかるのでありますけれども、水とは何ぞやということは、なかなかこれはむずかしいと思いますが、とにかく、水に対しての行政というものは、これはいろいろ総合的に考えなければならぬ段階にきておることは事実でしょう。あまりにも水の利用というものがそれぞれ、いろいろそういうような立場から分れておって、もう少し水に対してのやはり総合的な行政というものが必要だという感じは持っておりますが、しかし、水を政治的にどう考えるかということは、これはなかなかむずかしい御質問で、また、私も、そういう水に対しての権威を持っておる学者でもございませんので、これを一つの行政上からこういう点があるじゃないか、こういう点は改革しなければならぬ、こういう点については、いろいろお話があれば承わりますが、全般的な問題について、なかなか私では答え切れぬ難問題であるということを告白いたす次第でございます。
  65. 田中一

    田中一君 それじゃ水質の窓口なんかはおやめになったらいいんです。何も自信も持たないで、水の管理なり水の利用なりというものに対するところの、生物等の関係等も、政治的な理解がないならば、おやめになればいいんです。これはあなたの間違いです。従って高碕さんは工業用水の方を担当しておりますから、工業用水に対する見解、むろんこれは他に水を利用しているところの水もございますから、その考えをまず伺いたいと思います。今のようなものでいいのかどうか、またどういう形が一番正しいと思うか、そういう点について、最初に工業用水の方の分で通産大臣、次に農業用水を確保する側の農林大臣に、それぞれ御答弁を願いたいと思います。
  66. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 水というものは、日本が持っております唯一の豊富な資源だと存じております。その意味から申しまして、三木長官が言われたごとく、これを総合的にやはり考えていかなければならぬ。通産省は工業用水だけ考えて、あるいは電力の発電用として考えるというだけの考え方では、これはまた間違いが起ると思います。同時に、これは農業用水としても考えなければならぬ。また都市の飲料用水としても考えなければならぬ。そういうふうなことを総合的に、根本的に考えていかなければならぬと思われますが、工業用水といたしましても、水が日本の唯一の資源であるといいながら、ある地方では、一トンの水が十円する。そうしてこれからだんだん工業が発達するにつれまして、ある工場は一日に十万トンの水を消費するといえば、一つの工場の水の消費で一日に百万円を払う。これが工場経営に対する大きな原価になっている。そういうふうな点から考えて、工業用水とすれば、少くとも三円五十銭から四円以下で上げなければならぬということを通産省は痛切に考えておるわけなんでございます。しからば、工業用水はどのくらい要るかといえば、現在千五百万トンでしたか、正確な数字はわかりませんが、これが三年くらいのうちに三倍になる、あるいは四倍になる、こういうふうな数字が出ておるわけだと思いますから、今後通産省といたしますれば、工業用水をどうして確保するか、これは工場経営、生産原価を低減するという上からいっても、重要に取り上げていきたいと存じておる次第であります。
  67. 三浦一雄

    国務大臣(三浦一雄君) まず、水の第一の問題は、水源を涵養するということで、この天然の水を、いわば水源涵養施設によってこれを保水し、これを利用する素地を作りたい。従いまして、われわれの方としましては、治山施設をもってその効用を最高度に高めていくということが第一であります。  その次におきましては、この水を利用するという面でございますが、すでに建設省関係におかれましても、多目的ダム等によって広大な水の資源を貯水しまして、そうしてこれを利用に充てるわけでございますが、その場合といえども、これは御承知通り、農業用水等には非常に重大な関係を持っておりますから、各省間の緊密な連絡によって、その計画の遂行なり実施につきまして万全を期して参りたい、こう考えます。  第三番目には、流れてきますところの天然の水を灌漑用水その他に使います場合におきましても、同様の考え方でもって、その利用につきましても最高度に能率を上げて参る。そういうふうな観点でこの問題を理解して参りたい、かように考えているわけでございます。
  68. 田畑金光

    委員長田畑金光君) ちょっとあらかじめ委員各位の御了解を願っておきたいと思うのですが、高碕通産大臣は、アラブ経済協力問題についてアラブ側との会談のため、午後四時まで大体おられますから、質問のおありの方は、先に高碕大臣にお願いしたいと思います。
  69. 田中一

    田中一君 そうおっしゃっても、水を使う人たちがたくさんいるのです。総合して考えなければ、三木さんに対する質問が出てこないのですから、建設大臣、厚生大臣に今と同じ質問をしなければならぬと思いますけれども、御答弁願いたいと思います。大臣おらなければ政府委員でいい。まず厚生大臣からこの処理に関して……。
  70. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 聖成環境衛生部長がおられますから……。
  71. 聖成稔

    説明員聖成稔君) 現在、厚生省で主管しております水の問題は、御案内のように上水道並びに簡易水道でございますが、人間が生活して参りますためには、少くとも一日に一人二リットルの水が必要である。この水をいかにして確保するかという問題が、国民の生活上一日として欠くことのできない重要な問題であることは申すまでもないと思いますが、同時にまた、この水は量的にも確保されるとともに、衛生的にも安全な水でなければならない。従来もしばしばこの水のために、逆に消化器系の伝染病等の多発を見たというような苦い経験をしばしば持っておるわけでございまして、これがためには塩素滅菌その他の完全な衛生的な処理を行いまして、安全かつ必要十分な水を確保いたしますように、今後とも厚生省といたしましては、諸般の計画を進めていく方針になっておる次第でございます。
  72. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 水の問題につきましては、非常にたくさん流れて参りますと、洪水の被害があるわけでございます。また渇水になりますると、非常に不足をいたしまして、各般に支障を及ぼすわけでございます。従いまして、ただいま農林大臣からもお話がありましたように、降りました雨をなるべく水源に貯留いたしまして、これを渇水期に放流いたしまして利用に充てるという方策をとらなきゃならぬと思っております。また下流に流れてきた水は最も有効に利用しなければいかぬわけでございますので、大事に使うということと、それから最も目的といたしまして合理的に、しかも経済的なものに使うという方法をとらなければならぬというふうに考えておる次第でございます。
  73. 田中一

    田中一君 およそ四つの行政官庁がおのおのの立場で主張しております。そこで三木さんに伺いたいのでありますが、おのずから自分の持っている行政部門の繁栄のためと申しますか、助成のために、水をいかに高度に利用するかという点であります。むろん、それに付随するところのものは何かといいますと、汚濁の問題が起ってくるわけであります。ことに、水が日本の立地条件から見て非常に有望な、台風等によって水を持ってきてくれますが、これまたない場合もある、渇水の場合がある。ここに深刻な問題が起きてくる。  そこで、こういう立場々々の主張というものが、利用度の面で水質の問題が論議されなければならぬことになるのです。経済効果と申しますか、それを上げるために。そこでそういうことになるといたしますと、これは経済企画庁で水の管理をもあわせてするというようなことにならなければならぬと思うのです。単に水質の問題じゃない、その前の問題なんです。そうならなければ、自分の確保する水というものは勝手に自分の担当する行政面で使い、どうなろうと知ったこっちゃないという気持が各大臣にある。しいていえば迷惑な話なんです、各主務大臣の腹からいいますと。しかし、この水に対するところの規制の制度というものは今まで等閑に付されておったということが第二の問題点だと思う。従って、なぜこの法律案を提案しなければならないか、また、当然、これをしなければならない場合には、科学的なあらゆる見地からの検討が行われ、そうしてこの法によって正しい行政にするという結論に達すると思うのです。従って、なぜこの法律案を出さなければならぬか、どういう機縁があり、どういう問題があってこの法律案を提案しなければならないか。むろんこれは政府の責任です。水というものは、利用する分には国民の水でございますけれども、全体の水というものはこれは民族のものです。従ってこれは共有すべきものです。それが自分の利用する範囲だけは利用権を認めるのが水の現状である。そうすると水全体の管理ということに対するところの各省間の意気込みというものが生まれてこなければ、水質の問題にまで十分の判定を下すことはできない。従ってこの法律案を提案するという理由、それから、なぜここにきたかという今までの諸般の情勢というものを、短かい言葉でいいですから、一つ御披瀝願いたいと思います。
  74. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 経済企画庁で御承知のように開発局というものが全国の総合開発の計画促進というような仕事をしておるわけであります。その中でやはり中心になるものは水だと思います。御指摘のように、やはり水というものは民族の活動力の一つの源泉であると思います。そういう点でこれは重視して、総合的な計画を立てておるのでありますが、これも一歩進んで、水の管理そういうことまでいきますと、これは私は行き過ぎだと思います。やはりその水の利用を、今各大臣が言われたように各省がいろいろな見地からばらばらにやってはいけない。総合的な見地から水を最高度に利用するような仕組みを作ることが、やはり地方開発の中心の課題である、そういう点で考えておりますが、それならば、なぜこういうふうな法律案を出したかということは、御承知のように、最近、河川あるいは沿岸海域等も含めて水質汚濁ということが、非常にやはり工場の建設なんかも進んで参りまして、これが顕著にそういう弊害が現われてきておる。また、これを通じて各産業間の対立というものがいろいろな紛争問題を起しておる。そこでこういう法律を作ることによって紛争解決にも資しますと同時に、これ以上日本の公共水域水質汚濁させないように、また、そういう汚濁しておる水域に対しては、これをできるだけきれいな水質を保持できるように改善をいたしたいということの社会的ないろいろな問題が起ってき、また公共水域水質汚濁に関する最近の傾向にかんがみて、こういう立法の必要を感じて提案をいたした次第でございます。
  75. 田中一

    田中一君 私は、前段に申し上げておるように、水というものは、今日の身近な社会情勢から、これに対する水質規制をしなければならなくなったということではございません。日本に民族がある以上、生物がある以上、人間だから、これに対する規制考えていく。日本の歴史が示す一番最初、たとえば降下してくるところの民族が水へ水へと自分の居住を求めていくことは御承知通りです。歴史の示すところです。水辺にのみ都市、村落が生まれてきた。従って今あなたが言うように、最近の状態から、水質が国民生活の上に非常な悪影響があるから水質の問題を取り上げようというのじゃございません。これはあなた方が数々の、新しい平和な憲法下に、国民が自分の言いたいことを言える、この憲法のもとに、あなたはよろめいているけれども、だから、それをいかにごまかそうかと思って、そういう立法の問題を出したまでにすぎません。われわれの歴史を見ればはっきりしております。良質の水を追って民族は発展して参っております。あなたが、そういうような卑近な近視眼的な水に対する行政、水に対する認識であっては、これはいかなる法律を作りましても、実効は上らないものです。今言った通り、三人か四人の水を管理するところの大臣は、おのずから自分らの行政本位の利益代表者にすぎません。  そこで、あなたは水質に対するところの窓口を持ったならば、水全体の問題につきまして一つの意思がなければならぬと思う。従って、今あなたがおっしゃっているように、今、現在の社会情勢から見て、国民生活の上から見て悪影響があるからこれを規制しようということは、そんなまことに貧しい知識で、水の問題と取っ組むなんということはあり得ません。従って水質の問題であなたが、中労委か何だか知らぬけれども、そうしたあっせんの労をとろうとするということはナンセンスです。もう少し民族が水、生物の生活と水というものに対する基本的な態度をきめなければならない。今こそ、せめても水質の問題をこういう立法化するならば、今こそ政府は水に対するところのあらゆる角度からの価値と申しますか、利用、こういう点についての判断をすべき段階にきたと思うのです。  従って、もう一点伺いますが、ただ水質の問題ばかりではないのです。あなたは今、水の管理までいくのは行き過ぎである。各行政大臣がやればよろしいという御答弁でありましたけれども、各行政大臣がやっておるからここに問題が起るのです。これに対してはもう一ぺんあなたが、おわかりにならなければならないでけっこうです。将来こうしようという、少くとも自民党の水に対するところの、今の政府の方向、これだけでもいいから御答弁願いたいと思います。
  76. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 今言われておる水に対する基礎的なものの考え方は、これは何人も否定しない。自民党も、それは当政府も、これはそれはその通りだと思います。ただ、やはり政府というものが、これはいろいろ、必ずしも水に対する哲学的な究明というものが——それも必要でありましょうけれども、政府がやらなければならぬことは、その水をどうして総合的に利用するか、また水質汚濁に対してどのような規制措置をとるかということが、行政の範囲だと私は思っております。そこで、あなたの考えておるその水に対する考え方に対しては異議をはさむものではないし、またその通りだと思う。何人も否定しないけれども、政府の行政の責任というものは、おのずから今私が申し上げたようなものに限ると思う。そこで企画庁が水の管理までと申しますけれども、今言われたように、民族が良質の水を追って流れるように、やはり地方の、水というものが必ずしも国のものであるという私は観念ではなく、やはり地方の地域社会というものがこの水によって生活をしているのでありますから、やはり地域社会というものが水に対して発言権を持つべきものである。そういう点において、水を全部これは国の管理のもとに置くというような考え方は不自然なのではないか。やはり地域社会というものが、それぞれ御承知のように水に対する管理はやっておるわけであります。そういう形でもって、水質保全に関する法律案を出す前提に、企画庁が進んで全国の水を管理すべきであるという考え方には賛成いたしかねるのであります。
  77. 田中一

    田中一君 当然そういう問題は、少くとも経済企画庁長官が、党議のいかんにかかわらず、水に対するところの、一政治家としての三木武夫の領分が、この方向に行くのが正しいのであるという考え方がなくちゃならぬと思うのです。しかしこれ以上、あなたがはっきり答弁しないから言いませんが、そこで伺いたい。そこまで御意見というか御見解がわかれば伺いますが、三十四年度の予算の上に国並びに地方行政機関が、この法律の発効と指定される河川、これを見合いながら、国としてはどのような予算的措置考えられておるか。これは二、三日うちには大蔵省の方から出て参るでございましょうけれども、あなた方は、どういう考え方で予算の上にこれを盛り込んだかという点、それから民間におきますところの、先ほども中小企業、大企業等の問題を言っておりましたが、これらがどのくらいな負担がかかるだろうかということを想定しているか、この点について各省大臣がそれぞれ御見解をお示し願いたいと思う。
  78. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 数字にわたりますので私から御説明申し上げます。水質基準の策定に関する関係の経費といたしまして九千万円予定いたしております。
  79. 田中一

    田中一君 ちょっと。経済企画庁に対して伺っているのじゃないのです。各省がこれによって強制されるわけです。これにはむろん罰金もあれば体刑もあるのです、強制されるわけですから。私が言うのは、たとえば厚生省、下水道の問題に対しましても、厚生省は、終末処理というものは厚生省の所管であるということになっている。従って終末処理に対して万全を期するには、どういう予算を計上しているか、同時にまた、地方公共団体としては、その場合には地方公共団体がどのくらいの負担をしなければならぬか、同時にそれに対するところの補助等はどう計上していくかという点であります。経済審議庁に対する水質審議などの問題等は後ほど伺います。各省大臣から御答弁願いたい。
  80. 松尾金藏

    政府委員(松尾金藏君) 今お話のございましたこの法律の施行運用に当って、どれくらいの企業がどれくらい新たな負担がかかるかという計算は、私どもいろいろ試算をいたしておりますけれども、必ずしも的確な試算は非常にむずかしゅうございます。のみならず、法律の運用に当って水質基準を、いつの時期にどの程度のものをやるかということが、今具体的にはっきりしているわけでもございませんので、われわれの試算が非常に大ざっぱなところもあるかと存じますが、かりにそういう前提で試算をいたしますれば、政府支出として数十億の政府負担になるのではないかという非常に大まかに推算いたしております。これに対しまして大企業につきましては、その企業におきましてもそれ相当の負担力もあるという前提で、これにはそのような新たな処理施設等につきましては、融資のベースで国ができるだけのめんどうをみたいということで、その中で現在私どもが想定し、要求しておりますのは、開銀資金で、五億の開発銀行融資をするようにしたいという要求をいたしております。しかし中小企業につきましては、企業の負担能力が非常に弱いわけでありますから、これには融資ベースだけでは足りないと思われますので、現在は予算要求としては十一億の国庫補助金の要求をいたしております。なお、この水質処理につきましては技術上の問題がいろいろあるのでございます。これにつきましては工業技術院を中心といたしまして、国の試験研究機関が特別研究をいたしております。さらに民間の試験研究機関に対しまして、試験研究の補助金を出しております。その両方のものに対しまして一億三千万円の来年度予算要求をいたしておりますが、これは目下大蔵省その他と話し合い中でございます。
  81. 三浦一雄

    国務大臣(三浦一雄君) 本法適用を受けますところの補助でございますが、農林省所管としましてただいま想定しておりますのは、澱粉工場でございます。その廃棄に伴う汚水ということでございまして、これは御承知通り非常な中小企業のものでございまして、たくさん数はございます。従いましてこれらの受ける損失等はどうなるかということは、実はまだ推計いたしかねております。同時に直接に関連しますことは、その汚水がどういうふうな影響を及ぼすかということにつきましても、実はまだ周到精密な研究はできておりませんので、その方面の検討を重ねたいというので試験研究、検討を今しているような事情でございまして、これはわずかに二百万程度であろうと、こういうふうに思っております。
  82. 聖成稔

    説明員聖成稔君) ただいま御質問のございました下水道終末処理に関しましてお答え申し上げます。本予算は、本年度の関係は三億八千万でございますが、昭和三十四年度の要求といたしましては、本年度よりの継続三十カ所、新規十七カ所、合計四十七カ所分といたしまして、事業費は四十五億、三分の一国庫負担といたしまして、国庫補助金十五億を大蔵省当局に要求して、目下折衝中でございます。
  83. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 経済企画庁は九千万円の要求をしております。
  84. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 建設省の下水道計画に対する予算の状況を御説明申し上げます。  昭和三十三年度は、国費にいたしまして約八億五千万円でありまして、三十四年度におきましては六十一億を要求いたしております。御承知通りこれは国費でございまして、総額の事業費といたしますると、三十三年度が六十八億でございまして、これには先ほど申し上げました国費のほかに起債並びに私費が入っております。三十四年度は国費が六十一億でございますが、総額といたしましては二百八十三億でございます。
  85. 田中一

    田中一君 民間のこの法律の発効によるところの負担というものはまだわからぬと思いますけれども、大体まあ通産省の方ではどの工場はどう、どの工場はどうと、わかっているはずなんです。これはある機会に、その法律ができましたら、実施前に資料をお出し願いたいと思います。  そこで、三木さんに伺いますが、どういう機関でその水質を的確に把握するかという問題です。清沢さんもさっき言っております。水は流れております。動いております。従って、どういう場合にどういう場所で的確にその水質というものをつかんで、科学的に分析をやって、その可否をきめるかという点です。問題が起きたからといってこれがきまるものじゃない。問題が起きたごろにはもう過ぎたときです。過去になる。これはこの法律が出れば正常的に流れるものではございません。何とか自分の方でも罰金や体刑は困るから何とかしょうと、措置をとりますけれども、それよりも流れる場合があるという場合、だれがどういう機関で、それをつかまえるか。相手方が反対したから、相手方がこうだと指摘したから初めてやるというふうなら、これは審議会も何も要りません。常時国が日本の河川、あるいは指定されたところの河川の状態というもの、あるいは港湾地区の状態というもの、水質の状態というものを常時検査をしておる。そうしてこの上流にはどういう工場がある、これは分析すればすぐわかる。そういう措置をとらなければ、とうてい仲介員とか何とかいいますけれども、これは結論が出るものじゃない。お互いにまあまあといって、お互いがこの辺で手を打とうというような、夜店のバナナのたたき売りと同じです。そういうことでは国民は納得するものじゃないです。従って経済企画庁は九千万の予算を取るなんといいましても、こんなものじゃ、とてもできるものじゃございません。たとえば大学その他に依頼する、学者に依頼する学者はむろん、学者の良心というものは、その自分の学問に対して、理論に対しては忠実であろうけれども悪い政治を行なっているところの今の世の中、社会情勢では、これは常に引っ張られるのです。依頼する人間の利害に引っ張られる。こういう点は千田委員のさっき指摘しておったように非常に危険であります。従って科学的な水質の証明というようなものがなされるような措置を経済企画庁はとらなければ、何もしないと同じだということです。また大蔵省の内示はないと思いますから、三木さんはこれから飛んでいって、妥当なる、せめて二十億程度のものを取って、大水質試験所というものを設け、そうして指定される河川、港湾に対して人間を配置して、常時、二十四時間なら二十四時間、あるいは夜間作業がございますから二十四時間働かなければならぬが、常時水質の流れ方、これに対して分析をするような方法をとらなければ、この法律は何らの実効をもたらさない。従って九千万程度のものであなたが何をしようとするか、三木さんの一つ信念を伺いたいと思う。九千万で何を仕事をしようとするのか、おそらく、審議会委員の月給と食糧費、あるいは仲介員の手当にすぎないと思う。それに対するところの御見解を伺います。
  86. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 二十億円、今行って取ってこいというお話でありますが、二十億あるいは五十億、理想的にいえば、これはずいぶんこの問題は、今お話しのように全国の河川を回って、あるいは沿岸海域、こういうものに対して緻密に水質の基準をきめようとすれば、それは言われる二十億でも少いと思います。ただしかし、こういうことが、今私が当初から言っておることは、理想的なものじゃない。しかし、ほうってはおけないじゃないか。一歩こういう一つの法的根拠を作って、今後千田君の言われたような研究所も要るでしょうし、いろいろな問題を完備して解決していくよりほかはない。今直ちに理想的なことを申しましても、第一技術者の問題もございましょうし、必ずしも金ばかりではないが、この法案によって国民も水というものの、水質保全というものに対して関心を持とうし、あるいはまた、政府も一段とこういう問題に対して行政上関心を持って参りましようし、また研究や、そういう水質保全に関する技術者の養成も行なっていく、こういうことで漸進的にこれは解決をしていかなければ、いろいろな問題が私はそうだと思う。理想的に考えて金だけつけたから解決するという問題ではない。そういう面で、これは予算の金額は多いとは思われませんけれども、一歩これで前進したいんだ。さらに理想的な形に全国の河川に及ぶようにやりたい。けれども最初は六、七河川を選んでやらざるを得ない。それは金以外のいろいろ制約があるから、順を追うてやる以外にはないんだということを申し上げておるわけであります。
  87. 田中一

    田中一君 まあ、おそらくその程度の御答弁でしょう、やる意思はないから。  第二に、第二というか、もうだいぶおしゃべりしているから、たくさん言いませんけれども、規制の問題と保全の問題はおのずから違うわけです。私が先ほどから言っておるところは、保全をどうするかという問題を伺っておるけれども、あなた、逐次やるというから、来年は九千万に一千万ぐらいふえて一億ぐらいになるでしょう。ますますこの法律を作るために国民間の相剋というものは激しくなるんです。この法律が出るために激しくなる。これはもう何にも持たない、科学的裏づけを持たないところの仲介員という職業的あっせん業者が、何をするかと思うと、常に大きな資本に支配されることは当然なんです。あなたが今経済企画庁長官をしておるから、あなたが本音をはきたくても言えないでしょうけれども、あなたはよくその事例を知っておるはずだと思う。かえって弱い国民のために、農民なり漁民なり、あるいは中小業者にしわ寄せがくるのじゃないかという心配を私は持っている、この法律が出るために。損害補償の問題につきましては、これは裁判官がきめるのでございましょう。おそらく、あなたの所管するところの仲介員というものが、これは裁判の場合にはこの発言というものが相当大きなウエートを持つ。ここに、政治的にこれを使われてはたまらないという気持を私は持っております。この点についても、まあ適正にやりますという答弁をする以外にないと思いますけれども、適正にやりますという答弁は、科学的根拠なくしては適正になれないのです。こういう点については三木さんどういうお考えを持っていらっしゃるか、どういう態度でもってこれを運営しようとするか。
  88. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私はこうだと思うのです。やはりおっしゃる通り、仲裁をすると言っても、これがあまりにも政治的なものは、いわれるように弊害が起ってくると思う。結局、科学的に水質の基準というものをきめる。そのきめることが、非常に合理性のあるようなきめ方をするということが、紛争解決の唯一のかぎにならなければならぬと思います。そういう点では十分だとは言われません。従ってそういう技術者というような、あるいは研究官というものを整備して、そうしてそういう合理的な基準というものが各河川にできて、それが中心になって仲裁が行われるというところに持っていかなければ、ただ政治的な解決ということだけで問題は解決できないし、いろいろ社会的な弊害が出てくるということは同感であります。そういう点を今後きめていこうとするためには、合理性を持った水質の基準というものをきめる。それが紛争解決、この問題を解決するかぎになっていくように仕向けていきたい、これが私の考えでございます。
  89. 田畑金光

    委員長田畑金光君) ちょっと申し上げますが、先ほどお話しいたしましたように、高碕通産大臣、四時になれば退席さしてくれという先ほど来のお話がありますので、高碕通産大臣への御質問があったら先に一つお願いしたいと思うのです。三浦農林大臣は、間もなく衆議院本会議に出席される関係がございますので、農林大臣に対する質問もできれば先にお願いしたいと思います。
  90. 田中一

    田中一君 御承知のように、これは各省にまたがっている法律案なんです。従って所用があって行かなければならぬというなら行ってもかまいません。そのかわり、的確に答弁ができる政府委員がおればかまいません。これは大臣がもっと真剣にならなければいかぬのです。あなた方は自分の担当するところの行政範囲の各産業の利益代表者なんです。そうしなければ支持が減りますよ。  一つ伺います。まあ三木さん、その程度しか言えぬでしょう。ただ、地下水規制がここにないわけなんです。地下水、動く水、表面を動く水は入っておりますけれども、地下水もこれは流れております。地下水は決してたまっているものじゃありません。流れております。地下水に対してはどういう規制をしようとするのか、伺います。
  91. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 御指摘の地下水の問題につきましての規定といたしましては、第二条の「何人も、公共用水域及び地下水水質保全に心掛けなければならない。」という一般的な義務については、地下水を含めて書いてございます。さらに水質審議会審議事項地下水の問題を取り上げるということを明記いたしているわけでございます。水質基準の問題につきましては、現在地下水につきましては、なお実態の把握及び実行の面について十分でない点がございますので、今、直ちにその規定適用ということは考えておりません。今後十分研究して参りたいという考え方でいるわけであります。
  92. 田中一

    田中一君 尼ケ崎市は、これは高碕さんよく知っているはずです。地盤沈下がございまして、くみ上げた水、これに対してまた排水を注入しているような現状です。浄水を注入しておりません。排水を注入する。これは依然、地下の下層を通って浄化されたものがくみ出されるという仕組みになっている。これが現在地盤沈下に対して排水を注入しているという現状から見ると、これをこの法律に載せないのは間違いです。そういう地域がないなら別ですけれども、たとえば地下水を吸い上げた、その地下水には水を一切入れてはならない、こういう規制があれば別ですけれども、やっております。東京の江東区方面では、最近の著しい地盤沈下に対しては水を注入しなければならないのじゃないかというような案も出ております。もしこれが悪水、ひどい悪水を入れた場合はどうなるかということを考えますと、この法律にそれがないということは画竜点睛を欠く、目がないのと同じでございます。これは良識ある商工委員の方々が、どうかその点はここに修正をもってこれにおこたえ願いたいと思います。私はしろうとでございますけれども、これは十分に学説等もございますから、お調べになりましてこの修正を願いたい、私はこう考えます。今の御答弁では満足いたしません。これに対するところの御見解を一つこれは通産大臣に願いたいと思います。
  93. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 地下水の問題は、これは地盤降下と一緒に考えまして非常に重大な問題でございまして、通産省の考えといたしますれば、工業用水はやはりほかから持っていって、地下水は取らないという方針をとろうじゃないかという方針でやっている次第でございますが、まだ、それに対してどういう施策を講ずるかということは考えておりませんが、根本においては、その地下水は今後取らさないという規制をしていく、こういう考えでございます。
  94. 田中一

    田中一君 そういうことを言ってもあなた困りますよ。たとえば、むろん区域をきめてそうやるというのですけれども、井戸を掘るには許可は要らないはずだと思う。これは河川局長か計画局長に伺いますが、許可が要りますか。自分のところの井戸を掘るには一一許可をもらって井戸を掘りますか。河川局長がもし管轄でなければ、計画局長でもいいです。
  95. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 特殊の地域として指定された以外の地域は許可は要らないわけであります。
  96. 田中一

    田中一君 これは目的が工業用水であるということになった場合と、飲料水であるという場合、どちらもこれは許可なしに掘れます。それは今の深層式の、ボーリングして深い層から水をくみ上げるのでなくて、たまり水、飲料水程度のものを利用する場合には、これは許可などでございません。これはどういう工合にそれを制限しようとするのか。それからもう一つ、現在掘られて地盤沈下しつつあるところのもの、これをどういう形で処理をするかという問題について御答弁願いたいと思います。
  97. 松尾金藏

    政府委員(松尾金藏君) 先ほどお話のございました工場排水を地下に、きたない水を地下に注入している、そういう関係から、この一連の法案と関係があるじゃないかという第一の質問でございますが、現在までのところ、御承知のように地下に水を注入するまあ技術的な方法でありますとか、あるいはそういう方法で地盤沈下が十分防げるものかどうか、この辺にはまだ相当技術的な問題があると、われわれは聞いております。現実に今御指摘ございましたように、尼ケ崎その他でそういう方法をある程度やっておりますけれども、現在までではやはり地盤沈下に対する対策としては、地下水のくみ上げを制限をして、しかし地下水のくみ上げを制限するだけでは工場、事業場が困るわけでありますから、当然それに対する対策として工業用水を供給する方法を別途工業用水道事業で補って、そのめどがついたところで、次々に地域を指定して地下水のくみ上げを制限していくというのが現在の建前でございます。もちろん、今御指摘ございましたように、地下水をくみ上げ、それを使って地下に注入するという際に、その技術的な方法としてどの程度の深さのところまで地下に注入をすれば、一般に利用される地下水に影響がないで済むかどうかというような技術的な研究問題が、まだ相当課題として残っておりますので、現在この法律には、先ほど企画庁から御説明のありましたように、地下水についても、それをきたなくしないようにという一般的な義務規定は設けておりますけれども、それを制度としてどういうふうに具体的にするかという点につきましては、もう少し私どもの研究いたした上で、そういう効果のある方法考えていきたいというのがこの一連の法律考え方でございます。
  98. 田中一

    田中一君 地下水を吸い上げないという段階まではやはり規制をせねばならぬと思うのです。これはもう私は商工委員にお願いいたしますけれども、また、これに対するところの関心というものを強く持たせなければ、現に注入をやっておるのです。あなたはよく知っているはずです。やっておる現状をどうするかということを考慮しなければならぬと思うのです。  最後に、これは商工委員の方々にお願いしたいのでございますけれども、衆議院修正案を拝見いたしました。これを見ますと、一点、二点、三点とございますが、一点、二点は、これは大体私も妥当なる付帯決議であろうと思います。ただ三点の、御承知と存じますけれども、下水道はこれは一貫した行政になっておらないのです。下水の道、道の部分は、これは建設省が所管しております。そして終末処理、最後に水を浄水にしようというような処理は、一切厚生省がこれを持っております。連絡はとっておりまするが、一貫したものではございません。ことに、下水道法の建前といたしましては、今後補助をしないで、使用料をとって、使用料によって一切の問題を解決しようという観点に立っております。衆議院の付帯決議は一点、二点、ともに水質汚濁のために補助金とかあるいは融資とかいう点を考慮されておりますけれども、下水道に関してはその配慮はございません。従って、商工委員の方々にお願いしたいのは、下水道に対しても補助金の交付あるいは融資等の措置をとられるような付帯決議をお付け願いたいということをお願い申しまして、私の質問を終ります。
  99. 阿部竹松

    阿部竹松君 委員長にお願いしますが、大蔵省関係の方来ておりますか、きのうお呼びすることになっておったのですが。
  100. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 大蔵省は主計局次長の出席を……。
  101. 阿部竹松

    阿部竹松君 農林大臣行かれるのですか。
  102. 三浦一雄

    国務大臣(三浦一雄君) 済み次第……。
  103. 阿部竹松

    阿部竹松君 また来られるのですね。
  104. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 農林大臣、本会議済んだら一つ御出席願いたいと思います。  実は、先ほど主計局次長の出席を求めたのですが、予算編成の関係で出席まだしておりません。求めておりますが、そういうことであります。
  105. 阿部竹松

    阿部竹松君 議事進行についてですがね。本法案は、私ども商工委員会で二日間いろいろと質疑応答をやりまして、きょう合同審査となって、いろいろと他委員会の委員から御意見が出ておるのですが、やはりきょうの質問の中にも出ておるように、商工委員会としましても、いろいろ直していただきたい点とか要望がたくさんある。しかしながら、予算がもう確定する段階に来ていますから、なるべく予算のきまらぬ前に一つ法案を上げてくれないかというようなことで、法律に直接関係ないけれども、やはり裏づけがなければ、仏作って魂入れず、こういうことで、大蔵大臣に出席を願って、大蔵大臣の意向等も確めた上で法案を上げましょう、こういうことになっておったので、大蔵大臣がもし都合悪ければ、次官もおられることであるし、全然不可能なんですか。
  106. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 阿部君にお諮りしますが、きょうさっそく大蔵大臣か大蔵次官の出席を求めますか、明日委員会もありますので、大蔵大臣の出席を求めますか、どうしましょうか。
  107. 阿部竹松

    阿部竹松君 きょう不可能であれば、この法案上る前に、いつでもけっこうですから、一応私どもは予算の関係があるといって、追い立てられるように法案を上げようとしておるわけです。従って、法案を上げるということに賛成ですが、いろいろやはりただすところはただしたい、特に金の問題ですから。なお、この種の法案でございますと、全部が全部とは言いませんが、開銀から五億円出すとか、こういうことは、一応明確になっておったけれども、今度は法律はできるけれども、一切裏づけはきわめてばく然としているから、やはり明確に大蔵当局からも、一体幾ら出すのかという、交渉は当該大臣がやられるでしょうけれども、われわれとしても、やはりただすところはただしておきたい、こういう気持です。
  108. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 御趣旨ごもっともでございますので、明日は大蔵大臣の出席を求めるように委員長としても善処したいと思います。
  109. 阿部竹松

    阿部竹松君 そのように取りはからっていただいて、何分よろしくお願いしたいと思います。  その次に、私、経済企画庁と通商産業当局にはお伺いしましたので、農林省関係の方にちょっと二、三点をお尋ねいたしますが、第一番ですが、さいぜん質問の中で、東委員の御発言を借りれば、農林省関係被害者であって、通産省関係は加害者であるというお言葉を承わったのですが、確かにその通りかもしれません。従って、今まで何年の例でもけっこうですから、一体、通産省関係の工場とか、あるいは企業が薬品を使ったために稲が枯れたとか、あるいはまた、公害のために地下沈没したとか、あるいは農林省関係漁業関係でどのくらい魚が死んで、取ることができなかった。それを食べたために気違いができたとか、こういう被害があらましわかっておられると思いますので、大体今まで年々被害が出ているとかいうことを、まず第一番にお尋ねいたします。
  110. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 水質汚濁によります漁業関係被害の概要を申し上げますが、ごく最近の事例といたしまして、私どもが各都道府県当局から被害の実情を御報告を願った内容でございますが、(「全然聞えませんよ」と呼ぶ者あり)三十二年度の被害の事例としましては八百十件、それによります被害の数量としては五百六十五万貫程度、これは魚と海草と両方全部含めていると思います。この関係の事業場数としては約千七百件ほどということに相なっております。産業別に申しますと、鉱山関係、それから金属関係、紙パルプの関係、それから紡織関係、その他に相なっております。
  111. 阿部竹松

    阿部竹松君 そこで、金額は大体見積って幾らくらいになっておりますかという質問もあるわけなんです。
  112. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 金額につきましては、これは被害数量のそういった価格をこれに当てはめますが、非常にむずかしい問題があるわけでございますが、一応、各府県から報告のありました金額としては、約十三億ほどの閥金額に相なっております。
  113. 阿部竹松

    阿部竹松君 今までそういう点をどういうふうに農林省措置しておったのですか。たとえば熊本の水俣、一例をあげてみても、ある工場から流れて、薬品は何か私よくわかりませんが、流れて、その工場のとにかく汚水によって魚が死んで、これでは漁師も全部お手あげだ。しかもそれを顕微鏡で調べたところが、九州大学と東京工大の意見が食い違ったというような、いろいろな事例があるのですが、そういうのを今までどういうふうに処理しておったのですか。
  114. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 水俣の問題でございますが、これにつきまして、厚生御当局で中心になられまして、その原因その他の究明に当っておられるわけでありますが、私どもといたしましては、水俣の問題については、とりあえず、あの地先の海面におきます漁業ができなくなって参っておりますので、それに伴いまして、その水の影響のないところの魚礁の設置につきまして、昨年度並びに本年度におきまして補助金を出しまして、一応の措置はいたしておるわけでございます。そのほか、そこの漁業者が他の漁村の地先に入り会いをいたす希望がありますれば、それについてのあっせんも試みたいということで、熊本県当局の方とも話を進めておるのでありますが、現在のところでは、地先の魚礁の設置ということに力を入れてほしいということで、そういった面での措置を講じておるわけでございます。
  115. 阿部竹松

    阿部竹松君 それから農林省の当局では、本法案が通って施行されても、完全にその水質はもとに返らぬという御見解ですね。
  116. 武田誠三

    説明員武田誠三君) これはもとに返る、返らないと申しますと、いつの時点と比べてどうかという問題になってくると思うのでありますが、少くとも現在よりは水質の状態がよくなるように、水質基準その他をきめていくようにしていただきたい、こういうように考えておるわけでございます。
  117. 阿部竹松

    阿部竹松君 そこで、僕がきわめて疑問に思うのは、これは農林省の方にお聞きするのがいいか、それとも企画庁に聞くのがいいか、わかりませんけれども、この法案の中に、仲介員を初めからきめておられるわけですね。それで仲介員によって、とにかく被害者と加害者ともつれた場合に、幾ら幾ら補償しましょうとか、あるいは幾ら幾らしなさいという、すでに初めから紛糾を予定したる法案ですよ。つまり、紛争処理機関のような条項が入っておる。そうすると法律をこしらえて、水を汚濁にしないのだといったところで、結論は同じだということになりはせぬですか。ただ紛争に第三者が入るという、その第三者を初めから任命しておくにすぎない。今まではそういう機関がないものだから、最後には農林省、水産庁あたりにお世話になったかもしれぬけれども、そういう点については農林省の方では御意見はないわけですか。
  118. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 仲介員の制度につきましては、水質基準の設定について先ほど来申し上げましたように、一挙に全国の河川の水質の基準を決定できない事情でございますので、逐次やって参ります関係で、水質基準がきまりまして、はっきり出て参りますれば、紛争は次第に少くなってくると考えられておりますけれども、その間におきましては、きまらない地点におきましても、かりに争いことが起きましたならば、仲介人の制度によりまして、現在よりも円満に調停ができますようにやって参りたい、かような考えになっておるわけであります。
  119. 阿部竹松

    阿部竹松君 あなたは、いつから農林省にくらがえになったのですか。こういう条項について、農林当局はどうお考えになりますかという質問を僕はしておるのです。
  120. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 今の仲介員の制度でございますが、水質基準がきまりまして、これがすぐにきまるという問題でありますれば、それによって紛争もきわめて少くなってくると思うのでありますが、先ほど来からいろいろ御答弁のございますように、指定水域指定し、さらにそれぞれの水質基準をきめていくということに相当の時間を要するものと思っております。従いまして、その間におきまして各種の紛争がもし発生をいたしました場合には、一定のルールのもとに、その間の調停がはかられるということが望ましいというように考えております。
  121. 阿部竹松

    阿部竹松君 最後に、三木さんにお尋ねいたしますが、実は予算のことについて、私きのうまで、長官の方は三億円だというように承わったつもりですが、これは私の聞き間違いで、田中委員の答弁には長官から九千万円というお答えでございましたから、九千万円の方が正しいのでしょう。そこで、やはり問題になるのは、通産省の方は十一億円ですね。田中先生の言をかりれば、これは九千万円が二十億あっても足りないというお話ですけれども、問題はやはり予算がなければ、金々いうようですけれども、問題は、予算がなければ実行ができない。われわれここでけんけんごうごうと論議しても、とにかく、今週中か来週になるか、わかりませんけれども、さて、法案ができてみると、立法者の手から行政府に移ってしまって、われわれがいかにやかましく言うても思うようにいかない。そうすると予算措置いかんによっては、五カ年計画でやるというお話でございましたが、これはやはり残り得るということも今から考慮に入れておかなければならぬということになりましょうか、それともどういう結果になりましょうか。最後に、そのあたりでいいとか悪いとかいうことじゃなしに、明確に承わっておきたいと思います。
  122. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 三億円というお話は何かの誤まりだ、九千万円であります。企画庁は御承知のように、これはこの基本法に従って水質審議会を設けて、水質基準をきめるわけでありますから、どうしてもその費用というものは、調査をしたり、あるいは水質審議会の運営等であって、現在のところ、こういう基本法のもとにおいては、やはり九千万円で運営ができると思っております。予算はできるだけ多いに越したことはないのでありますから、その水質保全に関しては、私も国務大臣として、できるだけ骨を折りたいと思うのでございます。
  123. 阿部竹松

    阿部竹松君 なお、通産省は十一億ですね、それから農林省は幾らかわかりませんけれども、大体例年ですと、今ごろ、明確な数字がなくても、この予算はこういうように要求している、こういうことで項目別に、最終的には違った数字が出てきますけれども、大体わかっておったわけですよ。ですから、最後に通産省の十一億の内容、これが補助金で、これがどうで、これが人件費だというような、大ざっぱでもわかればけっこうですから、お示しを願いたい。  それから、もう一つ農林省の点ですね。さいぜん、農林省でいろいろ討議がございましたが、大体農林省はどのくらい予定なさっておるか、それと、内容をもしわかれば、これぐらいのものをやりたいという計画であるということをお示し願えればけっこうです。
  124. 松尾金藏

    政府委員(松尾金藏君) 先ほどから十一億と申しましたのは、大体中小企業を中心にして二分の一程度の補助がいくようにしたいというのが、われわれのした要求の基礎であります。これに対しまして、先ほど申しましたように、法律運営の仕方によって、これもきちんと必ずしも計算はできないのでありますけれども、一応、私どもの希望要求といたしましては、中小工場、中小企業につきまして、その汚水を出すおそれのある中小企業につきましては、できれば五カ年ぐらいの間に徐々にだんだんと汚水処理施設を施設してもらってやっていくというような計算で参りますと、工業、それからマイニング、それからそれの工業、これを合せまして、大体十一億六千万ぐらいの計算の基礎ができて参るのであります。しかし、これは前に申しましたように、この法律の施行、運用の状況と調子を合せていくわけでありますから、この金額が非常に正確なきちんとしたものだということは、法律の運用とかね合せて考えていかなければならない性質のものであると思います。
  125. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 農林省といたしましては、水質汚濁に関連いたします予算要求としては先ほど大臣が申し上げましたような、農林省所管の工場についての調査経費と申しますか、研究経費としては二百数十万のものを要求いたしておりますが、そのほか、水質汚濁につきましての汚濁河川について、その汚濁源なり、あるいはたとえば汚水が流れ出まして、それの拡散の度合いがどういうふうになっていくとか、いろいろな水質汚濁に関します研究費、調査費というようなものを別途に要求をいたしておりますが、この関係が約千八百万円ほどのものを要求をいたしております。
  126. 海野三朗

    海野三朗君 今日までこの水質汚濁について政府が使った金をちょっと伺いたい。農林省、通産省、それから厚生省、はっきりしたことを伺いたい。さっき農林省の方もはっきりしてないのですが、なんぼずつ支払いましたか、なんぼずつ金がかかっておるか。
  127. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 農林省関係の要求経費は、澱粉工場に関係いたします調査費の要求が二百六十七万円でございます。それから水産庁といたしまして、各学者の方その他に委託をいたしまして、汚濁河川についての基礎的な調査経費として要求をいたしておりますのが約七百二十五万円ほどでございます。それから、地方の水産試験場に対しまして研究費の補助金として要求をいたしておりますのが四百万円でございます。それから農林省農林水産技術会議の研究費といたしまして要求をいたしておりますのが八百万円でございます。
  128. 海野三朗

    海野三朗君 全体として幾らになりますか。
  129. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 全体を合計いたしますと、約二千万円ほどに相なります。
  130. 松尾金藏

    政府委員(松尾金藏君) 従来、これまでに幾ら金を使ったかという御質問でございますので申し上げますと、工場関係につきましては、従来、今御審議願っておりますような法律の直接の規制がございませんでしたので、その意味では、従来補助金というようなものはあまり大きなものがございません。ただ、従来でも、これはむしろあるいは建設省の方から御説明があるかとも思いますが、地域的に非常にまあ集団的にあります中小工場で、しかも、その工場がいずれも非常に汚い水を流すというような地域のものにつきまして、三十二年度におきまして三千万円の共同排水の補助金が出ております。三十三年度におきましては五千九百万円の補助金が出ております。これは建設省の方のまあ共同排水という意味での補助金で出ておるわけでございます。それから、先ほど申しましたが、工場排水、特にその汚水処理、さらにはその水を循環使用するというような点、あるいは廃液の中から有効成分を回収をして、できるだけ有効な利用をはかるという意味の試験研究を従来実施いたしております。これにつきましては、工業技術院管下のそれぞれの試験研究所におきまして、特別試験研究費というものを従来計上して実施をして参っておるのでありますが、これは昭和二十六年度から始まりまして、昭和三十三年度までの累計で申しますと、四千三百五十万円の特別研究をいたしております。さらに、民間の試験研究機関に対しまして、試験研究の補助金を出しておるのであります。これは昭和二十九年度から始まりまして、三十三年度まで、合計で五千五百万円の試験研究補助金を出して参っております。
  131. 武田誠三

    説明員武田誠三君) ちょっと私答弁を間違えておりましたから……。さっき私、来年度の要求額を申し上げましたので……。御質問の本年度の農林省におきます水質汚濁に関します経費を申し上げますと、水質汚濁防止対策費といたしましての、各河川について各種の大学その他の研究機関に対しまして、委託調査費として出しておりますのが約八十万円でございます。それから農林水産技術会議におきまして、これは水産研究所で研究をする経費になるわけでございますが、これが約三百万円でございます。それから応用研究費として、同様に水質汚濁に関します研究費として補助をいたしておりますものが百三十万円でございます。で、総計で約五百万円ということに相なります。
  132. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 企画庁といたしましては、まだこの仕事を始めておりませんが、本年度、審議会の費用五十二万円だけ三十三年度に計上いたしておりますが、発足いたしておりませんので、まだ使用に至っておりません。
  133. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 建設省関係といたしましては、下水道の事業でございますが、昭和二十七年からやっておりますが、厚生省の処理場を含んでおります数字でございますけれども、国費といたしまして約二十五億やっております。それに、先ほど御説明申し上げました三十三年度の建設省関係のやつが八億五千万円でございますから、約三十二億くらい下水道は国費を出しております。そのほかに本年は、調査費といたしまして、河川の中の水質の調査費といたしまして約百七十万円出しております。  それから、もう一つは、直接水質汚濁の水源の問題には関係ございませんけれども、汚濁河川の中の浚渫を補助金を出しております。これは本年初めてでございまして、国費が三千万円でございます。
  134. 海野三朗

    海野三朗君 大体この法案が、ないよりはある方がいいということは、先ほど企画庁長官の言われた通りでありますが、この九千万円ばかりでその仕事をやっていけるのですか。あなたの所信、それから今年度は九千万円であるが、来年度はどのくらい増していこうというお考えがあるか、そのあなたの抱負を最後に承わりたい。
  135. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 御承知のようにこの法律は、水質保全に関する基本法のような性格で、いろいろ具体的には各省に分れていろいろやるわけです。企画庁はそういう意味において、いろいろやるといっても、企画庁がやるのは、水質の基準をきめるような基礎的な調査でありますから、これが各省とは予算のたちが違うと思います。けれども、これで十分だとは思っておりませんので、将来やはり、できるだけ早くこの各河川に対しての水質の基準をきめるようなことが、紛争の処理の上においてもこれは好ましいでしょうから、今どれだけ昭和三十五年度をふやすのかということはまだ考えておりませんが、必要な経費はこれは将来にわたってふやしていきたいと考えております。
  136. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 他に御質疑もないようでありますので、以上をもって連合審査会を終了することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 御異議ないと認めます。  これをもって散会いたします。    午後四時三十九分散会