○
説明員(
大島靖君)
提出いたしました「
賃金資料(二)」という印刷物について簡単に御
説明申し上げたいと思います。第一ページの第一表でございますが、これはいわゆる
わが国の
就業構造ないしは
産業構造の
特異性についての表でございますが、第一表は、
就業者の
従業上の
地位別に見まして、
日常業主、
家族従業者、
雇用者、これらの
割合が
就業者総数の中でどういうふうになっておるか、
雇用者が四五・五%であります。この点、
西欧諸国ないし
アメリカあたりに比べまして、
雇用者のパーセンテージが非常に低いという点が特徴的であります。
第二表は、その
就業者が
産業別にどうなっているかという点は、第一次
産業が三七・四%であります。第二次
産業が二五%、第三次
産業が三六%、第一次
産業がなお相当大きな部分を占めておるということが特徴的であります。
第三表は、
事業所及び
従業者が
規模別にどういうふうに分れておるかということであります。
事業所の方を見ますと、
総数の中で
就業者が四人以下のところが八〇・二%、五人から二十九人のところが一七・八%、大体百人以下のところが
事業所の数から言いますと、大体九九%になるわけであります。その
従業者、
労働者の方がどういうふうに分れておるかと申しますると、大体百人以下のところで七割六分ぐらいになっておるわけであります。この点が、この三表によって
わが国の
就業構造、
産業構造の
特異性を表象したものであります。
その次、二ページの第四表、これは
産業別地域別賃金格差、この
賃金が
地域別にどういう
格差を持っておるかという点を示したものであります。この上の欄に全
産業、
製造業、その他
産業別の分類が出ておりますが、たとえば全
産業で、
全国平均を一〇〇といたしますと、高いところでは、たとえば
東京は上から三段目の
まん中にありますが、一一四になります。大阪が一二、それから福岡が下から二番目の欄で一一四になります。この辺が高いところになります。低いところでは、四段目の
まん中の福井は六七というふうな
数字になっております。下から二番目の徳島が六八、この
程度の
地域別の
賃金格差が出て参るわけであります。ただ、これが各
産業によってかなりこの
数字はでこぼこがありますが、大体におきましては、高いところと低いところは一致してくるわけであります。
第五表は、今申しましたのは全
労働者の
平均賃金の
地域別格差でありますが、これを
生産労働者だけとってみた場合、
事務職員だけをとってみた場合、さらに男と女とを分けてみた場合、どういうふうになるかということであります。これによりますと、総
平均で見ました場合よりも
格差が縮まるところもありますし、また、逆にふえるところもあるわけなのであります。従って、
地域別格差を見ますときにおきましても、やはり
労働者の
職種別、
性別に見なくては、詳しい点はわからないわけであります。
その次の第六表、これも同じく
地域別の
賃金格差を、今度は
企業規模を同じくして考えたらどうか、
企業規模を三十人以下のところ、小
規模だけをとって各府県で
比較してみた場合はどうか、さらにその中で
職種を同じくしてとってみた場合はどうか、それから
企業規模千人以上の大
企業をとってみた場合はどうかという点、これは
東京を一〇〇としておきますと、大体こういうふうなあれで、これまた全
労働者の
平均で見ました場合とかなりの偏差が出てくるわけであります。以上が
地域別の
賃金格差についての代表的な表でございます。
それから第七表は
職種別にみた
賃金というものはどういうふうになるかという点であります。で、これは毎年
労働省におきまして、
職種別賃金調査というのを実施いたしまして、相当たくさんの
職種についての
賃金を調べているわけなんです。ただ、
職種別の
賃金格差を見ました場合に、やはり
年令の点
——性別の点はもちろんでありますが、
年令の点、
勤続年数、
経験年数、これらを勘案して
比較しないと、正確な
比較にはならないわけなんです。そういう点で、ここに
職種別の
平均給与額をあげまして、かつ
平均年令、
平均勤続年数、
平均経験年数と、
平均労働時間、これらをあげて御参考に供したわけです。これが十三ページの第七表の(9)まで、各種の
職種について一応表示しておきました。
十四ページの第八表は、今度は
産業別の
賃金格差の表でございます。その左側の欄は
実額を書きまして、右側に
産業別格差を、
総数一〇〇と置いた場合、
産業別にどうなるかという
数字を出したわけです。それをさらに
規模を同じくして見た場合、
産業別格差がどうなるかということを出しております。これによりますと、
調査産業総数を一〇〇といたしまして、
規模、計のところでごらんいただきますと、高いところが一番下の
電気・
ガス・
水道業、それから運輸・
通信業あたりが高い、
金融・
保険業が高い、それから
鉄鋼業が高い、
輸送用機械器具あたりが高いわけであります。それから
石油製品・
石炭製品あたりが高い。逆に低いところは、上から二
欄目の
繊維工業、
衣服その他の
繊維製品、
木材・木製品、
家具・
装備品、この
あたりが
産業別に見ますと大体低いところなんです。
そこで、これは大
企業も小
企業もひっくるめての
数字でございますので、今度はその小
規模のところをとって見ますと、やはり低いところは大体
繊維工業、
衣服その他の
繊維製品、この辺が低くなって参ります。高いのは
電気・
ガス・
水道業、
金融・
保険業、この
あたりが高く出て参ります。もっともこの
統計は
事業所単位になっておりますので、
電気・
ガス・
水道業等におきましては、小
規模と申しましても、実質的には大
企業に入っているものもあるのでありますが、大体の
傾向としては
繊維、
衣服、
木材、
家具と、その辺が低い、
産業別にはそういう
数字が出て参ります。
十五ページの第九表、それは
男女別の
賃金格差であります。一番右の欄でごらんいただきますと、
産業の
総数で
男子を一〇〇といたしまして、
女子の
賃金はどの
程度になるかと申しますと、四一・四%
程度になります。大体四割から六割の間を占めておるわけなんであります。ただこの点につきましても、
性別賃金格差についても、やはり全部ひっくるんでの勘定でございますから、たとえば
女子の場合は、
年令の若い者が
労働者構成としては多いというような点、
勤続、
経験年数が短かいというような点、これらの点は別に考慮に人っていないわけなんであります。そこで、ある特定の
職種につきまして、
年令を同じくし、
勤続、
経験を同じものと仮定しまして
比較をいたしますと、これは大体七割から八割、場合によっては男よりも商いという
数字も出てくるわけなんです。ここに示しましたのは一応総
平均の
数字でございます。
その次の第十表、十六ページでありますが、
規模別賃金格差の表であります。ここには一応
賃金の
実額を掲げております。
格差は別の表で出しております。
さらに十一表におきまして、
所得階級別の
雇用者数の
分布を掲げております。これは
雇用者総数千七百万人のうち、
所得階級別にどの
程度の
分布になっておるかという表であります。この左の端の
総数というところが、これは従来ときどき御
説明申し上げた
数字でありまして、大体千七百万人のうち、六千円
未満の
所得の者が約二割、八千円
未満の者が約三分の一という表であります。
これを
産業別に分けますと、
農林業、漁業、
水産業、
鉱業、
建設業、その他、こういうふうな
分布になるわけであります。
その次の十八ページの第十二表、これが
規模別の
賃金格差の表示でありまして、
昭和二十六年から三十三年
——昨年までに、
規模別格差はどういうふうに推移してきたかということであります。五百人以上のところを一〇〇にしまして、三十人から九十九人
——百人以下の小
企業の
賃金は、二十六年の六一・七%、これが三十三年には五四・七%と、逐次低下して参りました。ということは、
賃金格差が毎年拡大してきておるということであります。
その次の第十三表、
産業別に見た場合は
規模別の
賃金格差はどうかという点でありますが、この
産業計の一番上の点でごらんをいただきますと、五百人以上の
規模の大
企業を一〇〇と置きまして、百人から四百九十九人の八二・二%、七一・七%、五四・二%、三五%と、こういうふうに落ちて参るわけであります。大体四人以下のところで三割台に落ちて参るわけであります。ただ、これも今申しましたように、
労働者構成を全部ひっくるめての
平均の
賃金の
格差でありますから、たとえば同質の
労働が、大
企業と小
企業でどの
程度違うかという精密な
比較については、さらに
年令構成とか、
男女構成とか、
勤続、
経験年数の
構成を固定して考えなくちゃいかぬのでありますが、それを若干の例で調べてみますと、必ずしもこういうふうに五割、四割と落ちるものではないのでありまして、
職種によりましては
一定年令のある
職種の
男子労働者について調べたところでは、たとえば七割とか八割
程度にしか落ちないという
数字も出て参るわけであります。
その次、十九ページの十四表、これは今申しましたように、
規模別賃金格差を
職種を同じくし、また
学歴を同じくし、また
年令を同じくして
比較してみた場合どうなるかという
数字であります。たとえば
石炭鉱業の男の
採炭夫の
年令三十才から三十五才までの
労働者の
賃金が、大
企業と小
企業でどう違うか、これは五〇
程度に落ちるわけであります。ところが、
紡織業の女の織
布工の二十才から二十五才というところでは七三になるわけであります。こういうふうに
職種により、
年令により、
学歴によりあるいは
勤続、
経験年数によって
格差は非常に違うわけなんですが、総じてこういうふうに固定して考えてみますと、
平均のごとく三割、四割と落ちるものではないわけであります。
その次、二十ページの
規模別に見た全
産業事務職員の
賃金分布であります。これは
男子の
事務職員だけをつかまえて、それを
規模別に区分いたしまして、
賃金階級別に表示した表であります。
二十一ページの第十五表は、
事務職員の女の
賃金分布であります。
二十二ページの十六表は、先ほど申しました
年令別に固定して考えてみた場合の
規模別の
賃金格差であります。
それから二十三ページの十七表は、
勤続年数を固定いたしまして考えてみた
規模別の
貸金格差であります。この辺になりますと、かなり千人以上の大
規模と、十人—二十九人の小
企業との幅は狭くなって参ります。
それから二十四ページの十八表は、
前歴別の入
職者構成の
規模別比較であります。
十八表以下は、先般来
労働大臣から
賃金の
規模別格差というものは、最も大きくは
生産性の
規模別格差によるということを申し上げておるのでありますが、と同時に、また、大
企業と小
企業、
零細企業の
労働者の
構成と申しますか、質がかなり違うわけでありまして、その辺の点を若干の
統計でもって表示したものであります。この十八表は新しくその
企業に入って
きた者が未
就業であるか
既就業であるか、すなわち
フレッシュ・
マンであるか、それとも
転々として変って
きた者であるか。未
就業者の
割合は、五百人以上の大
企業が四七・二%、五人—九人になりますと三九・六%、
既就業者は五二・八%に対して六三二%であります。こういうふうに
フレッシュ・
マンが大
企業において多く、
転々として移り変ります者が小
企業において多いということであります。
その次のページの第十九表は新しく入ってきます場合にどういうふうな経路で、
安定所で紹介されてきたか、
学校で紹介されたものか、あるいは
縁故募集かというふうな率であります。これによって見ますと、大
企業の方が
安定所から
きた者が圧例的に多く、
学校紹介もまた然りでありますが、逆に
縁故募集につきましては、小
規模の方が非常に多いという
数字が出ております。
第二十表は
規模別の
労働異動率、これは
規模別に見ますと、その
企業に新しく入ってきます者、離職いたします者、この辺の激しさはどういうふうに違うか、この入
職率は新しく入ってきます者の数を全
労働者で割った数、
離職本は
離職者を全
労働者で割ったもの、
異動率はこの両者を合計した数でありますが、これで全
常用労働者について見ますと、五百人以上の大
企業では、わずかに二二・四%でありますが、五人—九人の
小規模事業所におきましては八八%と、非常に小
規模におきましては
異動事が高いということが表示されております。
二十一表は、
勤続年数、
経験年数はどういうふうに
規模別に違うか。
鋳物工をたとえばとってみますと、大
企業におきましては
勤続年数は十年、十人—二十九人の小
規模で五年間、
旋盤工におきましても大
企業で九・九年、小
規模で四・二年、約倍も
勤続年数は違うのであります。
経験年数そのものは、ほとんど大差はないわけであります。これは
転々として変りましても、
経験そのものは同じでございますので、
勤続年数が倍
程度違うということであります。
それからその次の二十六ページの二十二表は、
年令別の
労働者構成がどういうふうに違うかということであります。これでごらんいただきますと、千人以上と一番右の端の十人—二十九人をごらんいただきますと、二十才
未満の若いところが、大
企業では一六・三%、小
規模は二・九%、逆に五十才以上のところ、一番下をごらんいただきますと、大
規模では四・五彩、小
規模で一〇・三%、こういうふうな
数字になっております。すなわち小
規模におきましては
若年労働者が多いのでありますが、しかし同時に、
高齢労働者も非常に多いということであります。従って、
中略層の
労働者は大
規模の方が多い、こういうふうな大体の
傾向でございます。
第二十三表は、
学歴別に
構成はどうなっておるか、これは小学、
新中卒は小
規模の方が多いわけであります。逆に
大学卒業者になりますと大
規模が多い、これはまあ
常識通りの
数字であります。
第二十四表は、
家内労働の
概況につきまして、先般来
基準局長から申し上げておりますように、
家内労働の実情については、今後なお詳細に
調査を要しますし、また、
調査を行なっていく予定になっておるわけなんでありますが、三十一年に
基準局の手によりまして一応
概況を調べたところによりますと、
家内労働者の
世帯の概数といたしまして五十七万
世帯、
家内労働者の
総数は八十三万人、そのうち男が十一万人、女が七十二万人、大体こういうふうな
調査になっております。ただしこれはごくあらましの
数字でございます。詳細確実のところを、さらに内容の詳細にわたっては今後の
調査に待たなければならないかと思います。
以上、
概要を御
説明申し上げました。