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衆議院議員(
八木一男君)
社会党の案が非現実的だというようなことは、
年金というものを知らない人が世の中で言っているようであります。非常に
年金制度というのは構成がむずかしいので、そういう何といいますか熟さない意見があったわけでありまするが、国会で
政府案並びに
社会党案が
審議されるに従って世の中の
関心が高まりまして、そういうことがだんだん解消してきたように思うわけであります。衆議院の公聴会並びに
委員派遣の地方公聴会で私がこの耳で伺ったところによりますると、衆議院の公聴会においては途中退場されました方にだけは
質問はできませんでしたけれ
ども、そのほかの
委員の方の一人を除いた全部は
社会党案だとできる、やるべしというような御発言でございまして、お一人は
社会党案と
政府案のまん中ぐらいのものを、これは未亡人会の会長の方でございますが、やってほしいというような御意見でございました。九州地区の地方公聴会に参りましたのでございまするが、大体において半数は、全面的に
社会党案を逐次やるべし、半分は、これは自民党推薦の方でございますが、いろいろ御説明をいたしますると、
社会党案は——とにかく説明の前に
社会党案は案の内容としてはよろしい、しかし、
財政その他から見て実現がすぐには困難ではないかという御意見でございましたけれ
ども、論議を重ねた結果は、
政府案は非常に乏しい、そして
社会党案とまん中ぐらいの線まで持っていかなければならぬということを与党の推薦の公述人が言われたような状況でございました。ところで、今
坂田さんの方から、初年度の
金額その他について言われましたので御説明をさせていただきますると、
厚生省の方はどのような計算をなさったか存じませんが、私
どもは私
どもなりに今の統計のあらゆる点を……、統計が非常に不偏でございます。非常に不備でございまするから、ぱっぱときちっとこれがあるからこうだということは、
厚生省の方も私の方も論戦するような根拠のあるきちっとした統計は今、世の中にございません。で、あらゆる統計を組み合せてこれに推計を入れて計算をしなければならないような現状にあることはこれは
厚生省もお認めになると思う。そこで、推計その他について幾分の差異ができることはこれは当然起り得ることであろうと思いまして、私の案も一銭一厘違いませんとはこれは申し上げませんけれ
ども、
厚生省の御計算が一銭一厘違わないということもないわけであります。そこで
一つ違いの大きな原因ではないかと思いますることは、身体障害者につきましては、私の方は十九才までの間は無
拠出年金に入れる。それから五十五才以上は無
拠出年金で、二十才ないし五十四才までの年令該当年令に達している者は
拠出年金の方でまかなうということに相なっております。それも全部通算されて二十才から五十四才までの方ものんで全部身体障害者とすれば、
社会党の無
拠出身体障害者の
金額は多うございますし、対象者も多くなりますので、それを御計算になりますると相当の
金額の差異が出てくると思うわけであります。そういうことでございまして、一銭一厘迷わないとは申し上げませんけれ
ども、私
どもとして最も良心的な計算をいたしましたのが平年度一千二百十二億になるということで、私
どもは自信を持っております点をぜひ皆さん方に御理解を願いたいと思うわけであります。
その次に、一千二百十二億円という問題でありますが、千二百十二億円が予算その他の
関係で
坂田さんから現実性がないじゃないかと言われますが、これは初年度にいたしますと六百六億円でございます。私
どもの党の、
日本社会党の党の
政策としてかねがね
政府に進言を申し上げておる点がございまして、租税特別措置法のうち、たとえば農村の
方々の早場米供出に対する特別措置あるいはまた、御商売の
方々の青色申告の特別措置あるいはまた、単価の少いことの代償として置かれております診療担当者に対する現在の特別措置というような必要なものは置いておきまして、そういうもの以外の大資本に対する特別措置法を改廃いたしますことによって約七百億円の税金が入ってくるわけであります。いろいろの財源の計算が必要でございますが、この六百六億円の初年度を入れて、それさえ実行すれば直ちに余りがあるわけであります。
次に、それでは来年度はどうするかというお話でございますが、来年度は平年度になりますので、一千二百十二億円に、わずか三億か四億の人口構成による増加がございますと思いますが、大体それくらいの
金額、そうなりますと七百億を、それだけ引きますと五百億円それ以上ちょっとの
金額が必要ということになります。ところが、毎年租税の自然増収によりまして相当の
金額が、石橋内閣のときにおきましては二千億以上の自然増があって、一千億の積極予算、一千億の
減税というような
政策をうたわれ、各年度においても同様なことが起っております。ここで、
社会保障の
考えが徹底され、また、この際に、ただ一面の
減税にわたる
金額をこの
社会保障の
国民年金並びに
医療保障——生活保護も必要でございましょうし、そっちに回されましたならば、平年度におきましては十分に余りがあるわけであります。来年度の推算はいたしておりませんけれ
ども、今までの例によると、少くとも数百億ということは予想されますし、それで十分まかない得るわけであります。これで
国民年金で
社会党がいい案を出したが、
医療保障はどうする、それからまた、生活保護はどうするというようなことを言われる方がございますけれ
ども、その
金額をもってすれば
医療保障も生活保護も漸進をして
年金もやって十分まかない得るものであります。さらに
社会党の
基本的な
政策に自民党並びに
政府が御賛成になって自衛隊を削減されましたならば、さらに莫大な財源があるわけであります。もし自衛隊をどうしても置こうとお
考えになりましても、
国民年金だけは熱心におやりになる
考え方であるならば、今言ったような財源で十分に
社会党案ぐらいのものではけちくさい、もっと大きなことをしようというぐらいの、そういう
財政の組み方だっていいわけであります。また、
医療保障の方のおもな問題は
社会保障に対する
国庫負担でございますが、そのうちの半分は結核に対する問題であります。結核の全額
国庫負担をすべしということは
社会党が主張し、
社会保障制度審議会も全額
国庫負担でございます。
政府は二、三年前までそれを持っていながら、それをあきらめて、濃厚感染源ということでごまかしております。たとえば三百億つぎ込むべしという
社会保障制度審議会の勧告であります。これは別に
考えてもいいと思う。三百億を五、六年支出いたしますと、結核がなくなってしまって、その後は結核に対する治療費、予防も含めてもいいですが、そういう費用が激減するわけであります。こういう四、五年出せば
あとは激減するということについては、
通り一ぺんの
考え方をしなくてもいいわけです。科学的の別な
財政の組み方ができるわけであります。その年にだけの公債を発行してもできるわけであります。後に費用が減るわけでございます。そういうことを
一つも
考えない
財政方式をとっておられるので、それで
社会保障は進展しないわけであります。
次に、そういうことで、初年度並びに次年度というような最初の出だしは
ほんとうにおやりになる気があれば優にできる。
厚生省は、
社会党の計算は不確実である、千二百億は、今の障害者
年金を入れてももっと多いという御主張をなさって、その
立場において
年金案を組まれるとしても、今のような
ほんとうに
国民のための
財政方式で組まれるならば、それは可能であります。二千億でも可能であります。そういうことであります。
次に、完成時のことが一兆になるような推算をされました。これも解せないわけであります。千二百億と二千億の差のことで今申し上げたことをお聞き下されば、この推算について、私
どもの
考え方と、ほかの方が
考えられた案というのとは幾分相違があることはお気ずきであろうと思います。
厚生省が出された人口動勢の統計で推算をいたしますと、七千億をちょっとこえることになります。一兆には足りません。七千億です。私
ども四千二百億と、いうことを申し上げましたが、これは三十五年後の時点だけでなくて、四十年、五十年、あるいは百年、長く続きますから二百年のそういうような時点においても、それを比較しなければならないのでありまして、その比較は非常に長時間を要し、困難をきわめる問題でございます。しかし、大まかにいって、絶対に大丈夫なことであるという立証はつくわけであります。かりにそのような御
質問が出るであろうと思いまして、さっき計算をいたしたわけでございますが、私が年率四%で
経済が伸張するであろうと申しましたのは、四%ということと、四千二百億ということとからみ合せて全体的にこれが可能であるということを
政府側にお知り願いたいということで言ったわけであります。それがごつち側だけがいけない、こっち側がいいという論議になりましたならば、あらゆる点を申し上げなければならない。四%の率で計算をいたしますると、五年後には
日本の
経済は四倍に拡大をいたしまして、そうして
財政も今の
考え方をもってすれば同じく拡大し得るわけであります。三十五年後の四%
経済の伸張率による拡大は、五兆六千億でございまするけれ
ども、
経済企画庁の
経済伸張計画は六・五%である。本年の実績は五・五。
社会党は一割ぐらいの
経済の伸張を見て、最低五・五で見積りをいたしますと、その三十五年後には六・五の二倍、九兆二千になります。六%で見積れば十一兆の規模になるわけであります。
次に、三十五年という時点が一番苦しいわけであります。将来の見通しがつけは、その苦しい時点は、中の積立金の運用でこれをまかなえるわけであります。見通しで申しますると、五十年後の見通し、完成時から十五年後でございます。五十年後の見通しを申し上げますると、四%で計算しても十兆の
財政額になります。五・五でございますと、二十兆の
財政額になります。六%の伸張率だと二十五兆の
財政額になるわけであります。そういうことを総体的にお
考え下されば、たとえ
厚生省の計算が
社会党の計算よりも正しいという根底において御論議をなさいましても、その
金額も一向心配はないということになるわけであります。しかもこの計算においては
立場の違いがございます。この点についてどうか御理解を願いたい。