○
国務大臣(
倉石忠雄君) 大へん大事なことで、ま
たちょっとむずかしいことでありますが、
一般財界、
金融界、政界などで話をされておりました通説に対して、私は若干の疑問を持っておる一人でありますが、それはいわゆる
神武天皇以来の好
景気ということで、これはテレビだとかラジオだとか、
電気洗たく機というようなものがうんと売れるだろうという
見込みを商売人が立てるのは、これは当然のことでありましょうが、そういうことの結果、非常に設価過剰になった、そのために
外貨事情が悪くなったのだというふうなことを一がいに言っておりますが、私
どもは、そういう安直な
見方には少し粗雑過ぎるところがあるのではないかと思います。なぜかと申しますというと、その
設備それ
自体は、今
小柳さんも御指摘になりましたように、やはりどこか、地球の一角のどこかで
オートメーションシステムというものが取り上げられてきたというときに、それを
自分の国だけはそんなものは
関係ないということを言っておったのでは、
自分の国が取り残されてしまう。一昨年私がILO総会の帰りにイギリスに行きましたときに、ちょうどそのILO総会でもイギリスの
労働大臣は、
オートメーションシステムと労働組合運動というふうなことで総会で演説をやっておりましたが、非常にこれは大問題であって、英国の労働組合会議でも大きな議題として、ブラックプールの総会では長い時間このようなことで論議いたしておったようであります。しかしながら、結論としてやはり今私が申し上げましたように、外国でほかの国で
オートメーションシステムを取り入れるというようになって、
自分の国だけそれをやらぬわけにはいかない。従って、TUCなどでもこのオートメーションを取り入れるということの結果、
労働者の
生活がどうなるかということについてわれわれ
自体が検討していくべきである、こういうこと々述べておりますが、私はやつはりそうだと思います。そこで今申し上げましたように、
日本の
設備過剰というのは、二面においては
設備過剰ではなくて、やむを得ずそういう新しい進歩した機械を取り入れるにあらざれば、
日本のその
一つの
産業が
国際競争力に立ち向っていくことができない。簡単に
考えますならば、
労働省に総合職業訓練所というのがあります。あすこを私がたびたび見ますけれ
ども、たまたま
一つの工作機械を見ました。
予算の
関係で、実に古くさいマシンツールを備えつけてある。あんな所で育てられた
労働者が、近代的な工作機械を使っている所に行っても役に立たないのであります。それですら現在は非常に就職は、パーセンテージはいいのでありますが、そういうふうに、もう
一つの工作機械
自体でもどんどん新しいものが出てきているときに、古くさいものを使っておったのでは歯が立たない。従って、そういうものは、もう
自分の事業を継続していくために、どうしてもやらなければならないと運命づけられておる
設備の交換でありまして、そういうものは、いわゆるむだな
設備投資とはいえない。それを一般に見のがしておられる人が多いと私は思うのでありますが、しかし、最後のところで、
小柳さんの御指摘になりましたそういう
科学技術の進歩に伴って
設備された近代的機械
設備を利用することによって余剰
労働力がそこに出てくる、こういうことについてどう
考えているか、これは非常に大事な問題であります。私は
労働省が
雇用、
失業の問題を
考えますときに、このことは非常に大事な問題であり、このことに対して対処していくことを
考えなければならないと思うのですが、究極するところ、生産性本部などで皆さんが相談いたしており、労使双方の話を聞いてみましても、オートメーションそれ
自体は一時的にはやっぱり摩擦的
失業をその面で出すことは確かにあます。しかしながら、現在
オートメーションシステムを取り入れた結果、大量にそのために
失業者が続出してきているという現象は御
承知の
通り、ございません。それはどういうことで救済されておるかといろいろ調べてみますというと、部分的にその面で新しい機械を
設備した所で、その余った
労働力というものが出て参りますけれ
ども、その事業
自体でもいろいろ私
どもの
労働省も手伝いまして、そこで出てきた余剰
労働力というものを他に転換をしていく、あるいはその
企業内でほかの方の仕事の方に転換していくということで、それぞれの職業訓練をあるいは事業なり、あるいは私
どもの方で引き取ったりしてやりまして、そういうものを他の方へ配置転換をしていく、それからもう
一つは、そういう近代的な新しい機械を
設備することによって、その
産業が
国際競争力を増して、さらにまた、
設備が
拡大されていく、そういうところに配置転換をされていく、こういうようなことで、一応今のところでは、そのために大きな問題になっているところはございませんが、しかし私は、やはり、
小柳さんの御指摘になりましたような問題は、絶えずこれから起きてくることだと思う。従って、私
どもは、そういうことを、実際に
産業面と緊密な連絡をとらなければいけませんからして、
労働省の中に、最近、昨年の秋ごろからでありますが、
雇用懇話会というものを設けまして、あらゆる
産業面の
人々を集めまして、そして現実に、たとえば鉄鋼業界あるいは石炭業界あるいは造船業界というふうな業界が、いろいろ
計画を立てますのに、ともに
雇用の
計画を立てますからして、そういうものとほんとうにマッチした政策を
労働省としても立てられるように、そういう実際に人を使ってくれる面との実際的協調を試みて、緒についたばかりでありますが、そういうふうなことで、今の
お話のような、大事な
日本の
産業の問題と
労働力を善用していくという面について、極力
努力をいたしておる、こういう最中であります。