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1959-03-10 第31回国会 参議院 建設委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月十日(火曜日)    午前十時三十七分開会   —————————————   委員異動 三月五日委員稲浦鹿藏辞任につき、 その補欠として小沢久太郎君を議長に おいて指名した。 三月六日委員小沢久太郎辞任につ き、その補欠として稲浦鹿藏君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     早川 愼一君    理事            稲浦 鹿藏君            岩沢 忠恭君            田中  一君    委員            石井  桂君            上林 忠次君            小山邦太郎君            松野 孝一君            秋山 長造君            内村 清次君            上條 愛一君            重盛 壽治君            村上 義一君            安部 清美君   政府委員    建設省計画局長 美馬 郁夫君    建設省道路局長 佐藤 寛政君    建設省道路局次    長       關盛 吉雄君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    建設省計画局総    務課長     国宗 正義君    建設省計画局区    画整理課長   五十嵐醇三君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選参考人出席要求に関する件 ○土地区整整理法の一部を改正する法  律案内閣提出) ○道路法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○道路整備緊急措置法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○日本道路公団法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 早川愼一

    委員長早川愼一君) これより建設委員会を開会いたします。  この際、理事補欠互選についてお諮りいたします。稲浦鹿藏君が一時委員辞任されましたので、理事が欠員になっております。従って、その補欠互選を行う必要がありますが、この互選の方法は、成規手続を省略して、便宜委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 御異議ないと認めます。それでは稲浦君が再び委員に選任されましたので、委員長稲浦鹿藏君を理事に指名いたします。   —————————————
  4. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 次に、参考人に関する件についてお諮りいたします。建築基準法の一部を改正する法律案については、過日の委員会関係者出席をお願いいたし、参考意見を聴取したのでありますが、その後、さらに参考人出席を求め意見を聴取する必要を生じましたので、本法律案について参考人から意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 御異議ないと認めます。  なお、参考人東大教授加藤一郎君とし、その出席を求める日時は、来たる十二日午前十時からとして、その他の手続についてはこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 御異議ないと認めます。そのように決定いたしました。   —————————————
  7. 早川愼一

    委員長早川愼一君) それでは土地区画整理法の一部を改正する法律案を議題といたします。前回に引き続き質疑を続行いたします。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。  なお、この前は、要綱案並びに新旧対照表についての説明を願いましたが、それの第七から始めていただきたいと思います。
  8. 美馬郁夫

    政府委員美馬郁夫君) それでは権利異動届出の問題につきまして御説明いたします。要綱の七でございます。要綱の方を読みますと「所有権以外の権利登記のないものは申告を義務づけられているが、申告権利移転変更又は消滅があった場合の届出については、当事者双方又は一方からの権利異動を証する書類による届出をも認めるものとすること。」説明の方に参りまして、お配りいたしました印刷物の十三ページでございます。土地区画整理事業においては権利申告制度が設けられておりまして、施行地区内の宅地について所有権以外の権利例えば地上権賃借権等登記のない権利を行する者は当該宅地所有者連署するか或いは権利を証する書類を添えて権利の種類及び内容を書面をもって申告することになっておりますが、一度申告した権利移転変更又は消滅した場合には当初の申告の場合と異なり当事者連署しなければ施行者届出ることはできないこととなっております。従って当事者の一方が行方不明である場合とか正当な理由がなくて相手方の承認が得られない場合には権利変動届出ができず非常に不合理なのであります。従いまして、今回第八十五条第三項を改正し当初の申告の場合と同様当事者連署の外に双方又は一方から権利を証する書類によって届出を認めることにしようとするのであります。
  9. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 御質疑のある方は御発言を願います。
  10. 田中一

    田中一君 これをもし、一方的な届出が不正であったという場合ですね、正しくなかったという場合ですね、それが不正だったということがわかった場合、どこで、いつ、どういうことに手続上しようとするのか、御答弁願いたいと思います。
  11. 美馬郁夫

    政府委員美馬郁夫君) これは、たとえば公正証書でありますとか、あるいは権利移転をはっきり示します契約書であるとか、そういう書類を調査することになっておりますから、不正であるということはそこで一応除ける仕組みになっております。
  12. 田中一

    田中一君 法律制定のときには、そういうような答弁をしていないのですがね。そういう契約書があるとか、それから公正証書があるとかということは当然のことであって、そんなことは論外なんです。たとえば永代借地権なんというものをきめる場合がないのです、何といいますか、今日の習慣として。そうすれば、地代領収書がある、これは土地を借りているのだという証文になるというように、法律を作ったときには、そういう了解をしておったのですが、それは一ぺん調べて下さい。われわれはそういうふうに理解しているのですよ。たとえば今の所有者公正証書だとか、あるいは契約書がなくても、地代領収書を持っていれば認めるというように了解してこの法律は作ってあるのです。あなたのような、そういうことを言ったのでは、そういうことは不可能なんです。そういうことを言うからこの委員会で十分に質疑を尽さなければならないのですよ。審議をしなければならないのですよ、そんな公式的な答弁では運営ができないのです。あなたは実態を知らないからそんなことを言うのですよ。
  13. 美馬郁夫

    政府委員美馬郁夫君) 私の言葉が足りませんでしたが、ここにあります当該移転変更もしくは消滅があったことを証する書類と申しますのは、ただいま例示であげましたが、一応ずっと申し述べてみますと、確定判決書和解調書それからただいま申しました公正証書契約書、これはまあ正規なものでありますが、そのほかに地代の対価の受領証書等がありまして、こういうふうに実際地代を払っている、あるいは受けているというふうな受領証明書があれば、それを信用いたしまして採用する制度になっております。
  14. 田中一

    田中一君 それがもし不正であった。偽造であったということが発見された場合、どう処理するかというのです。公正証書賃貸契約書は、印鑑証明その他がついていればいいとしているのです。そうじゃなくて、通例地代なんというものは、それこそ名刺の裏に書いてあった場合もあるのです。長年のことですから、火災にあって燃してしまう場合もある、状さしにさしてなくしてしまう場合もある。しかし、それでも何年前に何があったということを認めようということできめてある。特に土地区画整理を行うというような場所は、当該本人というものは常に——今はまだいいですが、当時は異動ただならざるもので、常に変っており、権利者権利が輻湊するわけです。今言う通り地主とか、所有者とか、借地権者はまだいいかもしれないけれども建物所有者、それから賃貸を受けている者なんというものの間というものは、下手すると領収書判こも取らずやっているのが通例なんです、ああいう場所では。区画整理しょうという前後の状態では。そういう場合に、どうして認めたかということを、実例をもって話して下さい。そういうあなたが言ったような書類がない場合が多いのです、当時は。そういう場合に、どうしてそれを処理したか、そうして今度もそういう問題があったから緩和しょうというんでしょう、これから緩和しょうというのですから、双方の混乱があったから緩和しょうというに違いない。事例説明して下さい。五十嵐君知っているはずだから。
  15. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 従来申告がありまして整理施行者におきまして十分それを確実なものであるかどうかを審査いたしておりまして、間違っておったというふうな例は、まだ私実は聞いておらないのでございますけれども……。この換地と、それから申告を受けましたことは、最初の占拠権利を持つということと、それから換地指定をするという二つの問題でありまして、その問題以外の問題については、申告としては取り扱わないことでございますから、あと権利係争なんかは、出事者間の問題として扱っておるわけであります。
  16. 田中一

    田中一君 そうすると、後に不正であったことを発見しても、一応受理したものは、あとの問題は係争として法廷できめてくれ、こういうことなんですか。
  17. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 正しく間違いであることがわかりますれば訂正をいたします。
  18. 田中一

    田中一君 間違いであることがわからぬから受理したんでしょうから、それが裁判でものをきめるよりも、あなた方が常識で、あるいは裁判にかける前に、たとえば証人なり何なりでもってきまった場合には、認めておったのですか、全部認めないで係争解決によってのみ認めておったのですか、従来は。
  19. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 従来やはり問題点がございますれば、双方からの申し出がございまして、それを十分審査いたしまして、間違いであればそこで訂正をいたしますし、私どもの方で間違いでないと認めました場合にはそのままにいたしまして、なお問題がありますれば、御本人同士係争があるわけでございますけれども、従来は、私どもの方で間違いであることがわかれば直すことで、大体話が落ちついておるように聞いております。
  20. 田中一

    田中一君 そうすると、当初間違いであるか間違いでないかの判定には、十分に調査をすると、間違いであったと発見しても、これは間違いでないという判定もとに受理したものだから、自後起った新しい事実に対しては裁判できめてもらってやっているのだということなんですか。
  21. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 換地指定をいたしまして後に間違いというふうな問題になりますと、一応指定が済んでしまいますと、あと係争になると思うのでございますけれども、まあそれがはっきり間違いだということがわかりますれば、その後におきましても土地区画整理審議会になおかけまして訂正をいたしております。
  22. 田中一

    田中一君 私、伺っているのは、この条文は、権利移動なんですよ、換地するとかしないとかいう問題じゃないのですよ。権利というもの、権利者というものが移動した場合にどうするかという問題なんですよ。私の言っているのは、換地とか何とか言っているのじゃないのです。権利者移動をどう確認するかということなんですよ。今度の場合には、何かの立証書類をもって、一方的に——今までは双方でもってそれを認めて届ければよかった。今度は一方だけが出すのですからね。それが一方だけということになると、それが正しいか正しくないかわからぬ場合があるのですよ。多いのですね。なぜ一方的ということでこの法律案を緩和しなければならかったかということなんですよ。それはおそらく今まで事業執行するのに、いろいろな解決のできない問題が多かったからそうしたのだと思うのですが、では、従来どうしてやったかと聞いているのです。どういう紛争があって、こういう緩和をしなければならないかと。何と言ったって、一方的な権利の主張を認めようということなんですから、これは重大な問題なんですよ。いいですか。相手が行方不明になっていようと、どこにいようと、権利者は厳として権利者なんですよ。便宜上、事業遂行に非常に困るものだから、だからまあ一方の申し出があれは、それを聞いておいて、あとで問題が起きれば、聞いてそれを認めれば事業執行ができるわけですね、そのまま。けれどもあとから出たものは全部法廷でもって解決してほしいというのは無責任過ぎると思うのですよ。しかし、どうしてもそうしなければならぬという理由があるならば、今までに区画整理事業を十年もやっているのですから、その間にどういう事例があったか。少くとも権利移動というものを一方的にそれを認めるという措置は、これは異常なるものなんですよ。正常なるものじゃないのですよ。いいですか。換地とか何とか言っているのじゃないのです。権利者がどう変ったかという問題を本人が言っているなら、問題ございません、立証されるものがあるならば。しかしながら、それが変ってくる場合に、移動の場合を言っているのです。一方的な移動申し出を、それを正当と認めて受理するということとなると、問題が起る。あとからそうじゃないと言った場合には、そうした場合には裁判できめてもらいましょうということを言う。それは、なるほど事業執行、これにはいいでしょう、既成事実を作るということだから。それがあまり官僚的だと言うのです。しかしながら、一歩下って、そうしなければ事業執行ができない場合もあったろうと思うから、その場合というのはどういう事例かと言って伺っているのです。もしもそういう一例も説明せずにやるのじゃ、とってもこれは問題ですよ。
  23. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 従来は、権利移動がありました際には連署を求めておりました関係で、どうしても相手がいないような場合、それから相手が承知しないという場合に、取り扱うことができなかったわけでございまして、困っておったわけなんで、何とかこれを解決するような方向に持っていきたい。換地指定ができなくて、前の人にやるというようなことになりますと、非常に不都合でございますので、それを一応改正していただきたいというわけでございます。
  24. 田中一

    田中一君 それはわかるのですよ。しかしながら、権利者がいるのに、それをそのまま届出をしない。書類を送るにも送り先がわからぬという場合に困るから、一方それは私のものでございますといえば、それを認めるという考え方なんです。立証するといったって、相手がいなければ立証にならないのですよ、ね。非常に危険なんですよ。むろん民法失効というやつがありますね。刑法にも失効はあります。あるいは公告して何年間のうちに申し出なければその権利がないものだということがある。これは法律に照しての問題なんです。今度のこの条文が発効しますと、人のものでも、これはいないのだ、これは監獄に入っているのだ、それはうっちゃっておく。それを知っていて、自分がこうして借りているんだと言えば、認めなければならぬという、これは異常な法律改正になってくるのです。正常なものじゃないのです。だから、それにも一歩下って、これが土地登記しているものなんというものには問題がないと思うのですが、諸権利です。単なる所有権を言っているのじゃないのですから、借地権借家権もいろいろなものがあると思うのですよ。そういうものには、大して登記をしたり契約書を作ったりしない場合が多いと思うのです。ことに土地区画整理を行うという場合、土地には割合にそういうものが多いということなんですね。その場合に、一方的な申告によってうそ申告、しいていえば、後にうそ申告によってそれを認めたということになると、うそ申告をしたという刑法上の問題もあるでしょう。私文書偽造とかいう問題もあるでしょう。けれども一応受理したという執行者ですね、ここにもやはり間違いがあるのじゃないかと思うのですよ。やはり民法上の裏付けというものがあって、あるいは法律裏付けがあってそれを認めたということになれば文句ないが、こういう条文を作るというのは危険だということを言っているのです。そういう事例がどのくらいあったか。そういう問題が比較的ないならばなかった、多いなら多かった、この場合にはどういうものをもって立証さしたかという点を、やはり説明しなければならぬと思うのです。
  25. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 従来どれくらい事例があったか、まだ十分調べておりませんけれども、私ども地方の方から伺っております範囲におきましては、移動がありましても、相手がいなくなるので、そしてその相手の居所をつかまえることができないので常に困っているのだという事例は非常にたくさんございまして、係争のあるというふうな問題点はままあるようでございますけれども、あまりないのでございまして、今まで困っておった事例というのは、相手が不明になった場合が非常に多いのでございます。この場合に何とか処理したいということが主たるねらいなんでございます。
  26. 田中一

    田中一君 しかるに、そのまま土地なら土地がある、だれもそれを申告していない。空地になっている。だれも申し出ない場合にはどうしますか。空地があって、だれも申し出ない。たとえば所有権はちゃんと土地台帳に登録してある。空地になっている、だれも意思表示をしないという場合にはどういうふうにしていますか、今まで。
  27. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) ただいまの御質問は、所有権が確定しておるということで、それはもちろん所有権でございますから、登記されておる場合だと思うのでございますが、その場合には、所有権登記された方を相手としての指定をしておるわけなんです。
  28. 田中一

    田中一君 その所有権を、所有権者が行方不明の場合どうします。
  29. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 整理施行者におきまして新しい換地は、土地登記いたしまして、それでまあ終りになるわけでございます。
  30. 田中一

    田中一君 利害関係者意思がはっきりわからないので、勝手にそういうことはできないで、しょう。
  31. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 利害関係者申し出が別にないと思いますし、ない場合でございますから、一応その換地計画地区民に全部縦覧をいたしておりますので、申し出がなければそれを続けていいわけでございます。
  32. 田中一

    田中一君 その場合に、これは自分が今まで借りているのだと言って申し出た場合には受理しますか。自分は借りているのだ、この人は今行方不明だけれども、かつて借りておったという意思表示をした場合には、それを認めますか。
  33. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 確実な借地をしておるという証明がありませんければ、それは認めない。
  34. 田中一

    田中一君 そこにその人が住んでいたらどうしますか。その土地に家を建てて。
  35. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) それは不法占拠だと思います。
  36. 田中一

    田中一君 不法占拠ということは、土地所有権者不法であるということで申告して初めて不法占拠になるので、土地所有者は知らぬ顔しておる。どこにおるかわからぬ。そこに自分でその家を建てて住んでおる。私はこの通り何年も住んでおりますよ、それこそ同じ建築基準法によるところの確認書をもって住んでますよ、税金も納めてますよ、家屋税を納めてますよ、それは家屋税を納めておるということは確かに居住権があるということを認めることになる。民法に非常に関係が深いので……。そういう点はどうなんです。どういう工合に割り切って提案したのか、もう少し評しく説明して下さいよ。
  37. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) ただいまの場合ですと、もと土地が新しい換地へ移されました際に、その上に物件がありますれば、区画整理法によりますと、もと土地の上にあったものをそのまま新しい換地へ移すわけでございまして、そのときには、そこにあった建物はやはり新しい換地へ移すということをするのでございまして、区画整理法では、結局換地というものは、もと土地権利関係すべてが新しい換地へ移るのだというふうな建前でございまして、確実にもと土地にあった権利なんかは、登記されており、あるいは申告されておりました権利は、新しい換地に移すのでございまして、そのほかのものは一応どんなまあ争いがありましても、強制的にもと土地にあったものは新しい土地に移すという建前でやっております。
  38. 田中一

    田中一君 私がここで言っているのは、事実でなくて、権利移動を何で確認するかということを言っているのですよ。実際にこういう問題が起きているのですよ。とにかく大へんな数の区画整理事業ですものね。あり得るのですよ、こういうことが。それこそあなたの方で執行者捜査権を発動して警察に頼んで行方を探すなんということは不可能です、これは。そうでしょう、そうすると、やはり縦覧に供したからいいということだけでは済まないと思う。それならば現行法のままで置いた方がいい。双方の合意の権利移動ということが出なければ認めない。今度の場合にはそれを一方的に認めるというのだから非常に危険が伴う。その場合の紛争というものは、全部裁判でやればいいというけれども、事実において事業執行しようということが急なものだから、そういう便法——一種の便法なんです、これは——便法だけで利害関係者に対するその不当な損害があっちゃならぬということから伺っているのですよ。しかし、土地区画整理法というものは、もっともあまりいい性格の事業じゃないですから、そういうこともあり得ると思う。あり得ると思うけれども、問題があったかないか、事例として。一方的な意思表示でもってそれが自分権利がなくなるなんということはあり得ないのです、今までのわれわれの通念では。こいつもう少し法律的にこうだという根拠を明らかにしてほしい。
  39. 国宗正義

    説明員国宗正義君) 今御質問のございましたところの八十五条に関しまして、まず今回の法律改正の趣旨は、局長からも御説明申し上げましたように、登記のある権利者につきましては、その登記を信じた手続を自後進めるわけでありまして、なお登記しないその他の権利でここに列挙したものにつきましては、申告制度をとっておるわけであります。これは第一項に規定するところでございます。  今回の改正は第三項の改正でございまして、今申し上げました申告のあった権利が、その申告後、自後移動した場合の権利でございます。その場合、従来双方連署を要求いたしておりましたのを、双方連署、または当事者だけの移動を証する一方の証書をもって自後の手続に入ろうというわけでありますが、元来公用換地の理論からいたしますれば、この公用換地処分、これは仮換地処分換地処分をもって新しい民法上の権利関係を創設するものではなくて、当該目的物である土地の上にございます所有権だとか地上権だとか、あるいは登記のない権利だとか、場合によっちゃ権限のない不法占拠あるいは争われる状態権利関係もございますが、それらの権利関係は、一切あげてそのまま次のAからBの土地へ持っていくだけでありまして、そのような本件の争いは依然争いを許しておるわけであります。ただここで問題になりますのは、このように届出をし、あるいは以前に申告をし、さらに届出をした人に対しましては、換地処分相手方にいたす、あるいは占拠の場合の占拠権を与える、こういう手続上の関係が入ってきまして、実体上にも影響いたすことはなきにしもあらずでございますが、この区画整理事業は、元来実質審査をいたしまして、新たなる民法関係あるいはその他の司法関係を創設するものではなくて、形式の正当性を要求される関係上、そのような場合に実質審査いたしますればすぐわかることでございますが、裁判所のような実質審査をいたしませんで、むしろ申告あるいは届出というものをもって、自後の手続に入ることを許しているわけでありますが、ここで、このようにして目的物である場所が変った場合の争いでございますが、先ほどの説明では、直ちに裁判所という話でございましたが、実はこのような換地処分、あるいは仮換地処分につきましては、簡易なる訴願の手続区画整理法百二十七条をもって許しているわけでございまして、一カ月以内に訴願の道をもって、そこで手続の違法等は争い得るようにいたしているわけであります。さらに裁判できることももちろんでございます。そのようにいたしまして、場所を変えましても、御指摘のようなたとえばその申告が明らかに虚偽な書類であると、なきに等しい書類でない限りは、こちらも見ればわかるのでございますから、その人を手続の中に入れておく。そして場所が変りましても、なおその法律関係不法占拠でございますれば、その不法占拠状態で続いておるわけでございます。それから取り消される、あるいは争われる状態賃貸借契約でございますれば、それが続いておるわけでございます。そのようにいたしまして、何ら換地処分がございましたがゆえに損得はないものと考えるわけであります。
  40. 田中一

    田中一君 大体わかりました。そこで、どうして連署を一方の届出をもって許すことになったのか。非常に事業の進捗のために相当だと思うのだけれども、ここにある八十五条の三にある建設省令というのは、書式を言っているのですか、八十五条の三のおしまいの方で「連署し、建設省令で定めるところにより、」それは何を言っているのか。
  41. 国宗正義

    説明員国宗正義君) 先ほどの八十五条第三項による届出の建設省令は、様式を定めておりまして、「別紙様式六による権利変動届出施行者に提出しなければならない。」その様式には生年月日、住所、氏名並びに権利移動を届け出ることになっておりまして、それにつきましては、印鑑証明書を添付することを要求いたしてあるわけでございます。
  42. 田中一

    田中一君 そうすると、問題はもとに戻りますが、では、一方的に届出によって認めようということは、何かそうしたような事業執行上困難な事例がたくさんあったと思うのですよ。どのくらいあったのですか。大体あなた方の方に、むろん、執行者の方から、こうしてくれぬと困るというような陳情、請願があったと思うのですがね。それはどういう状態ですか。
  43. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 書類による申し出というのはございませんで、口頭でいろいろ疑問点が提出されまして、そうして私どもの方で、どうしても処理ができない状態であったわけでございまして、まあ件数をなんぼというふうに数字ははっきり覚えておりませんが、まず大体私の見当では、十数都市くらいから、そういうふうな申し出がございましたものですから、何とか処理できない問題を解決さしていただきたい、こう思った次第であります。
  44. 田中一

    田中一君 これは、事業執行者に悪用されると、とんでもないことになるんですよ。一定期間縦覧に供すればいいじゃないかと言うかもしれないが、それに対しては、書類が戻ってきたということだけで処理されたのでは、やはり問題が多いと思うのです。これは相当慎重にしなければならぬと思う。同時にまた、こういう法律で作ってしまうのですから、今度法律改正されるのですから、どんどんやるほかないですよ。一ぺんくらい郵便が戻ったって、すぐやってしまうかわからぬですよ。やはり当該権利者を求めるには、相当慎重に、できる範囲の調査をして、やはり原則は、双方連署ということが原則なんです。やむを得ぬ場合にこうしなければならぬ、してもいいということになるのですから。ところが、やむを得ぬ場合の方に行ってしまって、あるいはそんなものを出さないで知らぬ顔して、個人々々通知として出さないでやる場合が起るのではないかと思うのです。事ほどさように土地区画整理法というものは、利害関係者が重なっており、かつまた、権利者というものが輻湊しておるのですよ、ことに利権にも通ずる。あまり表面へ出ないけれども、これは汚職の温床なんです。だから、こういう予算措置をとるということは、例外であり、かつまた、そういう困難が十数事業場から起きたというけれども、運用に当っては悪用されることのないように、どういう措置をとるか、一ぺん伺っておきます。そうして、それに対して、どこかのだれかがチェックするような制度がほしいと思うのです。事業執行者というのは、自分の仕事を早くしてしまいたいために、そういう非常手段を喜んで使うわけなんです。どういう方法をとるつもりですか、そういう不正がないようにするには。
  45. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 取扱いといたしましては、連署というものを原則といたしまして、こういう場合は、例外的措置というふうな考え方に立ちまして、しかも、こういうふうな一方からの申し出を受けつける場合には、相当慎重に処理するようにいたしたいと思います。で、その方法としましては、考えられますることは、整理施行者以外というような形でいたしますと、県なら県というようなものを推して、さらに慎重に検討させるというような方法をとるべきかと思います。
  46. 田中一

    田中一君 だから、それは土地区画整理審議会委員もいるのですからね、そういうものを十分活用する、事業執行者の方の吏員なら吏員を使うとかんなとか、そういうおそれのないように、だめ押しを二へんなり三べんなりして、どうもいよいよこれでも権利者が発見できないということがはっきり確認されて、するということにしないといかぬと思うのです。ことに、区域が、小さい区域の方が多いのですから、工区がそれくらいできるのです。どうしてこれは、相手方がわからないのだということを確認しなければいかぬ思う。それには、それだけの調査した書類なら書類というものを一人でなく、二人なり三人なりでそれを調査して、事業執行者に出させて、それでもやむを得ぬということで措置がとられるならいいですけれども、えてして不法便法ばかりを用いて、権利者権利を侵害することが往々あるのです。それでなくてさえあるのですよ。そういう点は、一つ十分注意して、そういう指導をしていただきたいと思うのです。
  47. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 次を一つ……。
  48. 美馬郁夫

    政府委員美馬郁夫君) それでは要綱の八に参りまして、「公共施設の用に供されている宅地に関する措置」、要綱の五ページでございますが、これは九十五条になっております。要綱の方を読みますと、「私道敷のような公共施設の用に供されている宅地については、事業の施行によりそれに代るべき公共施設が設置された場合等においては、当該宅地について換地を定めないで金により清算することができる。」。説明いたしますと、説明の方の十五ページでございますが、公共施設の用に供している宅地と申しますのは、例えば道路、水路等の敷地になっている私有地をいうのでありますが、これらの私有地については現在でも第九十五条第一項の規定によりまして換地計画を定める場合に、換地照応の原則の例外として位置、地積等に特別の考慮を払って定めることができることとされております。土地区画整理事業は、公共施設の整備改善を図って、これらの私有地をなくしていくのがその目的でもありますし、特に私道敷につきましては、適正な換地により生ずる公道に面するようにいたしますので、もはや私道敷は不用になるのであります。従いまして、今回第九十五条に一項を設けて、事業の施行によりましてこれらの私有地の上にある公共施設にかわる機能を持つ公共施設が設置された場合その他特別な事情がある場合には、——この特別な事情がある場合と申しますのは、この本文の方は、区画整理事業によって公共施設ができる場合でありますが、特別な事情と申しますのは、区画整理事業以外の、たとえば都市計画の街路事業あたりで、やはり道ができて、私道敷が不用になる場合、そういう場合でありますが、当該私有地については換地を与えずに適正な金銭により清算することができるようにするのであります。この規定が適用されるのは特別な場合だけであって、この場合には、これらの事情をよく知っている地区民の代表機関である土地区画整理審議会の同意を必要とするのであります。これに伴いまして、従来施行令第五十八条第六項第三号に規定されていた「公共施設の用に供している宅地」を法律第九十五条第一項に引き上げて第六号とする等の手続改正をいたしております。
  49. 田中一

    田中一君 これは「道路、水路等」となっていますが、この「等」とは何ですか。
  50. 美馬郁夫

    政府委員美馬郁夫君) これは道路、公園、広場、河川、運河、水路、堤防、護岸、公共物揚場とか緑地、こういうものに大体限定していこうというふうに考えております。
  51. 田中一

    田中一君 建築基準法でいう通路、道路というものは、すっかりわかっておりますね。建築基準法では、道路というのは、起点と着点とがあって、貫通しているものが大体道路というんですがね、通念は。路地というものは、これはどういうふうに解釈するんですか。路地は、基準法では行きどまりの路地をというものを認めてないのです。たとえば、左右というか上下というか、貫通していない道の面に出入口を作ることは認めないのですね、建築基準法ではたしかそうなっているはずです。そうすると、路地的なものがある。これは私有地なんだ。いつでも締めていいです。締めていいのだけれども、どうも知らぬうちにそこへ、何というか、その敷地だものだから、ちっぽけな三尺のところに入口を作る。そうなると、自分の私有地でも通路あるいは道路として締め切りができなくなるのです、基準法の面からいうと。そういう場合、そういうものまでもこれは減歩率に加算される権利を持たないで、その分はその分だけ道路か通路かはっきりわからぬ。道路法の道路というものと、通路は一体どう考えるかということになるのですよ。そうなると、そういうものでも金銭賠償法の対象になっちゃって、他の方で、減歩率の場合に過当な減歩率を課せられるということが、ある場合にはあるのではないかということが考えられるわけなんですね。まあ公園とか広場とか緑地とかいうもの同じ公園だって私有地である公園もありますよ。自分で公園を、すなわち庭を解放すれば公園になる。だれでもいらっしゃいと言えば、これは公園と認定するか、それとも自分の庭園の一部と認定するかいろいろな問題があると思う。そういうことを一体どういう工合に解釈するのか。
  52. 美馬郁夫

    政府委員美馬郁夫君) これの建前でありますが、これは建前はあくまでも特別な減歩でやるのが建前になっております。ですから、あくまでその土地に対しては土地をやりまして、ただし、その場合にそういう公けの施設の場合に、減歩が多少きつくなるような場合が想定されますが、とにかく物でやるというのが建前になっておりまして、しかし緑地の場合、今の通路の場合等のように、たとえばこれが通路の場合でも、自分だけの屋敷が利用しておったというふうな場合には、これはもうこの適用を受けないことになると思いますが、それが全く多人数の公共の適用を受けておったというふうな場合には、相当公け性が強かったというような立場になりまして、その場合には今の物には物でかえるという原則の例外の適用を受けるようになります。しかし、この例外の適用も、やはりその地区内の事情を最もよく知っている土地区画整理審議会の同意というものにかけておりますから、決して不当に乱用されるようなことはないんじゃないかというふうに考えております。
  53. 田中一

    田中一君 土地区画整理審議会というものは、みんな利害関係者なんです。これは特殊な人があって、自分のところの二十坪の土地を、遊動円木や何か鉄棒などを置いて、子供の遊び場にして提供しておる。それは一つのこれは特殊な人なんです。これは自分の私有地なんです。これは確かに公共のために使っているに違いない。その場合に、一応そういう特殊な人と見てもいいけれども、また一面非難されている人がある。審議会でもって、あれはどこまでも寄付しないけれども、われわれ使っておったのだというので、そいつも金銭賠償の対象になったというので、えらいひどい目に会うわけです。そういう場合には、それはちょっとまとまったものですが、あとの問題は、私の言っているのは、審議会の人たちが常識を働かして、これは普通の減歩に加算するのだ、金銭賠償の特別な減歩じゃないと思うのですけれども、お互いに持ち寄っている通路は、これはなんか道路という観念に入らないのですか、どういう工合に認めるのですか、法律的に見て。お互いに各二メーターずつ持ち寄らなければ通路にならないのです。建築基準法からいく場合には、うちを建てる場合に、隣地の境というものに……。建築基準法にあります、そういう条文が。それは道路か通路か、裏の敷地を持っている人のために通路をあけてやる、これは建築基準法にあります。そいつは、調べて下さい。それは通路に見るか、道路に見るか、これはそういうこまかい問題が、こういう法律を原則論から今度は例外的なものになってくると、問題がたくさんあるのです。個人々々のほんとうに小さい問題でもって、大きなトラブルを起すような問題がたくさん起っておるのです。そういうところを法律上の根拠をもって説明していただきたい。
  54. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 区画整理法上の建前からいきますと、幅員四メーター以下のものは道路としては扱わないことにいたしておりますが、建築基準法におきましては二メーター七十、従前からあるもので二メーター七十以上は道路とみなされることになりますので、それ以下のものは通路というふうに扱うことになります。結局私ども区画整理の立場からしますと、従前の姿において二メーター七十、これは建築の確認のあった、あるいは従来からあったという二メーター七十以下のものは、通路というふうに扱っております。区画整理が終りましたあとでは、四メーター以下にいたしますので、四メータ以下のものを作ります際には、特例といたしまして通路というふうな扱いにいたしております。
  55. 田中一

    田中一君 今の説明ではわからないのですが、現在でも建築基準法建前は、隣地に家を設ける場合には、隣り合っている者がお互いに二メーターずつ持ち寄って通路を作らなければならないということになっているのです。四メーターか、あるいは五メーターにしても差しつかえないのです。四メーター以上最低四メーター持たなければならぬ、その場合に、これは通路として今度の特別措置に該当するかしないかの問題を聞いておるのです。区画整理後の問題を聞いているのではないのです。
  56. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 両方の宅地から出し合っておりまして、建築線の働いております四メーターの道路、あるいは従前からあった二メーター七十以上の道路というものは、いわゆる私道として私どもは扱っております。これを今度はそういう私道をなくしまして、全部公共の道にいたしたいわけでございます。従いまして、そういう私の道がありました際には、これを公道に直しました際には、その分は替地を差し上げないというようにいたしたいと思っております。
  57. 田中一

    田中一君 その場合に、それは金銭賠償の対象になるのですか、幸い道路局長来ているから、道路の定義は、何メーターまであるか、道路と通路、それをちょっと。こういうことなんです。道路法上の道路、それから建築基準法上の道路、これはうしろうの方に、背面におる人たちは、これをしょっちゅう通っている、これは公共の道路だね、本人だけ使うものは私道と言うかもしれぬが、道路法上の道路、建築基準法上の道路の違い方はどうなっておりますか、こういう問題は非常に多いのです。起きるのだ、問題が。
  58. 佐藤寛政

    政府委員(佐藤寛政君) 私ども道路法におきまして道路と申しますのは、いわゆる道路法に所定の手続をいたしまして、つまり県道なり市道なり町村道なり、所定の手続をいたしまして路線を認定し、区域を定めて共用を開始したものを道路、こう言っておりまして、道路法上は、幅員について規定はございません。しかしながら、道路法で整備工事をいたします場合には、それぞれ必要な幅員を取らなければなりませんので、道路構造令において各種道路に応じまして、それぞれこの最小幅員、そのほか最小構造上の規定がございます。それによりまして築造いたしておるわけであります。
  59. 田中一

    田中一君 そうすると、公共施設の用に供している宅地、私道ですね、これを全部金銭買収にすると、減歩が非常に高くなってくるのですね。だから換地が小さくなってくるというのですね。その分だけ金銭補償だと言われれば——これはあり得ると思うんですよ——そういう不公平を、どこでもって直そうとするのですか、こういう規定をきめた場合ですね。
  60. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) この規定を設けさしていだきましたのは、すでに従来から宅地ではありますけれども、公共の用地として公共に使われておるわけなんでございまして、すでにあとの残っております宅地が基準になって、それから減歩されるわけです。その公共施設として使われておりました宅地は、金銭でもって清算するということになります。結局そういうふうにいたしますことは、従来からすでに公共施設として使われておるのだから、金銭で清算いたしまして、そのために全部の人に減歩が大きくかかることを緩和したいという考え方になっておるわけでございます。つまり、すでに公共に使われておる宅地がありますれば、それを先に公共のものにいたしまして、その上であとの必要な土地をみんなから減歩するということになりますと、みんなの減歩が軽くなるわけであります。目的はそこにあるわけであります。
  61. 田中一

    田中一君 みんなの減歩が軽ければ、本人の減歩が重くなるのじゃないか。これは建築基準法第三章第四十二条の五に「土地を建築物の敷地として利用するため、道路法または都市計画法によらないで築造する道で、これを築造しようとする者が特定行政からその位置の指定を受けたもの」、これは当然そうなるのです。建築基準法はいやおうなしに四メートルの道路を作なければ許可しないんだから、強制されているのだ、これはね。しかも過去においてそのまま勝手に建ったものが認められているのです。これは建築基準法で見る場合には、当然道路でなければならぬはずだ。しかし、そのまま強引にやっておるということは、過去にあるのですよ。この法律の制定は二十五年ですからね。これは当然減歩の対象になって、法を守ってやった人が、今度はそれだけは別に換地の対象にならないで、金銭の補償ということでは、不公平ではないかということなんです。
  62. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 従来、建築線が指定されておりましたということは、結局、その宅地を買収して公道にすべき性格のものなんでございますが、それを買収しないで、建築線で押えておったということが、まあ私どもから見ると矛盾がある。この際、区画整理する際には、その土地を買収してしまうという形をとって、ちゃんとした公道にしたい。しかし、それでは幅が狭いから、それをちゃんとした幅員のものに区画整理によってやりたい、こういう考え方なんでございます。
  63. 田中一

    田中一君 あなたね、区画整理事業をやるためにばかりものを考えておるけれども、ほかにも法律があるんですよ。建築基準法では、いやおうなしに四メートルの道路を作らなければ宅地として許可しない。宅地の面を公共のために提供しなければならないと法律ではっきりきめられておるんだから。しかし、法律のできる前は、全部そんなものを勝手にぎりぎり一ぱいまで作っておった。ところがこの法律ができてから家を作ろうとする人たちは、いやおうなしに二メートルというものを公共のために提供しなければならない。いいですか。そうすると、建築基準法が出る前に勝手にそういう提供もしないでやった人たちは得をするんです。今度は建築基準法でこれを守って建築した——お互いに二メートル持ち寄って道路にしたという人たちは、損をするんですよ。そういうことにならないのか。どうも五十嵐君の説明じゃ納得できないんで、一ぺん建築基準法を扱っておる人たちに来てほしいんだが。
  64. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) どちらの場合にも同じに扱っておるのでありまして、いわゆる狭い道路で、従前からありましても、宅地であって公共施設に使われておるところは、同じ扱いなんです。ですから、正直にやった人でも前からあったというものも、同じに扱れます。
  65. 田中一

    田中一君 これは公共の用に供している宅地と書いてある。私の質問している前の段階は、これは公共の用に供してない宅地なんですよ。法律では必ず公共の道路を作れといってきめておるんです。けれども、この法律前のやつは、当然この法律から見ればああいうふうにしなければならんけれども、供してないんです。そうすると不公平ではないかというんです。それも公共の用に供してないけれども、この法律から見る場合は、当然ここには道路が必要なんだという場合には、それをむろん金銭扶助でもってやって、換地には加算しない、換地の減歩から除外しようとするんですか。
  66. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 法律的に申し上げますと、公共施設というのは、この区画整理法の解釈でいきますと、道路とか河川、水路、そういうものに使われておって、国または都道府県、公共団体の所有になっておるものは公共施設というふうになっております。公共施設というものは道路、公園、水路その他を言いまして、宅地というのは、そういう公共施設以外の土地で、国または地方公共団体の所有以外のものというふうになっております。結局ただいま仰せられました従前からあった土地というのは、いわゆる現在道路その他に使われておりましても、国または公共団体の所有でなければ、あくまでも宅地に入ると解釈されておるわけです。それが公共施設として道路なんかに使われておれば、いわゆるここで言っております公共施設である宅地、こういうことなんでありまして、強制したものばかりが公共施設というわけではないのでございまして、一般に人が通っておるという道路という形のものがありまして、一般に人が通っておるならばこれが道路になる、公共の施設だ、こういう考え方であります。
  67. 田中一

    田中一君 だから伺っているのですがね。今の建築基準法では二メートルの空地を置かなければならない、道路としての空地をね。これは道路でしょう。
  68. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 道路です。
  69. 田中一

    田中一君 従来はそういうものは作らなくてもよかったのですよ、建築基準法のできる以前は。だから、隣地との境はぎりぎりまで民法の何条かの一尺五寸あければいいんだということになっていた。今の基準法では、建てる場合には、必ずお互いに二メートルずつ持ち寄って道路を作れということになっているのです。その道路というものは、もっとずっとうしろの方から通っている公共用道路なんです。これは実質的には両方の家が所有権というものを持っている。そういう場合に、今度の法の改正によって道路とみなされて、二メートル分というものは減歩して換地の対象にならないで、これは別に金銭補償でもってやるということなのか。そういう規定と私は見たわけです。そうすると、従来過去においてそうでないものがたくさんある。この基準法ができる前はね。そんな道路を作らないで、ちょこっと作ってしまっている。これは確かに宅地なんですよ。宅地であって道路ではない。その場合は、これは金銭賠償と換地とは非常に違うのですよ。値段、価値が違う。減歩は非常に低い方を喜んでいるのですから、減歩率が減った方がいいのですよ、へたな金をもらうよりもね。金はどっちみち安いんですから……。だから、その場合には、基準法によれば、当然それは公共用の道路になっていなければならないはずのものが、なっていなかった。これは、基準法によって道路に作ったものとの間で、換地の減歩が非常に差異ができてくるのじゃないかということなんですよ。それは不公平じゃないか。
  70. 国宗正義

    説明員国宗正義君) 御質問建築基準法第四十二条の二項によりますところの現行法によって申し上げますと、中心線から二メートルずつ取って境界線といたしまして、建築基準法の確認を得た私道——そもそも私道というものにつきましては、どのように私道を認定するかというむずかしい問題がありますが、それは別といたしまして、そのような道が私道として存在し、かつ公共の用に供せられておる、こういうような場合におきましては、区画整理事業におきまして、そのような私道を廃止しまして、公共の道路、街路等を作りまして、そうして建築ができる。このようになりました場合に、私道に供せられておった宅地に対しましては、金銭で換地処分の際に清算をいたそう、こういう考え方でございまして、そのようにいたしまして、一般の減歩率を緩和し、そうして当該所有者に対しては、従来も道に供しておったものであるから、その権利者は特別の損も得もない。公道に面することになり、従って私道を廃しても差しつかえない、こういう状態になろうかと思うのであります。ところが、御指摘のように、建築基準法は昭和二十五年に公布されましたが、建築基準法施行以前に二メートルずつの壁面線をとらない建築物の場合に、宅地内に二つ以上の建築物が建っておった場合、従って現行法からすると、確認を受けられない状態のものにつきましては、その分の私道の点を考えて、建築基準法に合うようにした上で、さらに、それにかわる公共施設ができる結果になれば、なぜそれを減歩しないか、その辺の不公平の指摘でございますが、今これで議論になっておりますのは、現に公共の用に供せられておる、そのような特別の宅地については、公共の用に供せられておるがゆえに、特別の換地処分におきまして清算でいこう、後の例の場合におきましては、建築基準法の違法でございますが、現に区画整理をやらなければ、その建築物は直ちに撤去、除去さるべき運命のものではなくて、その建物の命数に従って、向う十年なり、十五年なり、その状態が続けられる状態であったわけでございますが、ここに区画整理をやったがゆえに、特に建築基準法その他の法規もございましょう、消防、美観、風致等を配慮して、この際、減歩率を特にきつくして公道を利用すればいいじゃないか、こういう実体上の御意見もあろうかと思いますが、その辺に及びますと、区画整理法のよくできない所であろうかと思うわけでございます。と申しますのは、現に公共の用に供せられておる宅地について、特に区画整理の観点から判断するわけでございますので、違法な建築物がある場合に、その分を特に考慮して道路分——私道分を特別にはじき出して、実際にないものをはじき出して減歩率をかけ、金銭で補償し、賠償するというところまでは、他の行政分野に立ち入ることになろうかと思うのでございます。と同時に、先ほど申し上げましたように、このような人は違法ではございますが、その建物は直ちに撤去せられる運命ではないわけでございますので、やはり宅地としては特別の減歩扱いをしないことの方が実際上に合うのじゃないか、このように考えるわけでございます。
  71. 田中一

    田中一君 あなた自身が不公平を承知でこれをやったのだというなら何をか言わんやです。不公平ですよ、確かに、あなたの説明を聞いてみても。そうでしょう、それならば宅地宅地としてこういう特別措置をしなければいいのです。これは確かに不公平ですよ。
  72. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) そういう公共施設があります際には、いわゆる私道があるということが、従前の土地の価値に考えられまして、その私道に面している宅地は新しい、公道に面する宅地としての取扱いがされるわけでございまして、先ほどお話のありましたように、そういう勝手に建築物を作ったような、道も作らないで作ったようなものは、やはり道路に面しない宅地ということで、そういう従前の土地の評価がなされるわけでございます。従いまして、従前道路がないような所にありましたものは、区画整理しましたら道路に面するようになりますけれども、比較的悪い所に換地されるということになりまして、従前から私道に面しておる宅地は、道路に面する宅地としての土地の価格におきまして評価をするわけでございますから、土地の価値はよく考えられて換地されるわけであります。道路に面しない宅地は、道路に面しない宅地として価値が非常に悪く評価せられまして、整理後、換地が与えられるということに相なるわけでございまして、そこの点において不公平のないようにいたしておるわけでございます。
  73. 田中一

    田中一君 それは施行令ではっきりと示すのですか。そういうこまかい換地の方法なども、今あなたがおっしゃっているようなことは、そのまま施行令のどこへ入るようになるのですか、これによって……。
  74. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 区画整理法の八十九条に換地の原則がございまして、「換地計画において換地を定める場合においては、換地及び従前の宅地の位置、地積、土質、水利、利用状況、環境等が照応するように定めなければならない。」と書いてございますが、これは従前の位置なんかをしんしゃくしまして、位置がちゃんとした道路に面していれば——道路に面するか面しないかは、区画整理がありますから、面しないことはないのですけれども、それをしんしゃくしまして、照応するように換地を割り振るわけでございます。
  75. 早川愼一

    委員長早川愼一君) それでは次に移ります。
  76. 美馬郁夫

    政府委員美馬郁夫君) 次の要綱の九でございます。六ページの保留地の処分方法でございます。「保留地の処分については、施行者土地区画整理審議会の回想を得て定める方法によることとなっていたのを改め、あらかじめ施行規程で定める方法によることとすること。」これは条文で申しますと、百八条の一項、五十三条、五十六条に関係して参りますが、その説明をいたしますと、現在、保留地を処分する場合は、土地区画整理審議会の同意を得て定めた方法により処分することになっておりますが、この保留地は第九十六条の規定により土地区画整理事業事業費に充当するために施行地区内の宅地所有者及び当該宅地について権利を有する者の平等な負担によって生み出されたものであるから、その処分方法については、これらの権利者は大きな関心を有しているのであります。従って、この保留地の処分方法は、土地区画整理審議会の同意によって定めるよりも、権利者の総意の反映によって決定されるよう施行規程であらかじめ定めることにした方が、より公平でかつ民主的であるので、今回第百八条第一項の改正をいたすものであります。  なお、施行規程は、公共団体施行の場合は条例で定めるものであります。行政庁施行の場合は規則、建設大臣施行の場合は省令で定めるのでありますが、この場合は二週間利害関係人の縦覧に供することになっており、利害関係人はこれに対し意見を申し述べることができるようになっているのであります。  なお、この改正に伴い施行規程の必要的記載事項を規定している第五十三条第二項に保留地の処分方法を加え、土地区画整理審議会の権限について規定している第五十六条第三項から保留地の処分方法に関する事項を削除する改正を行なっているのであります。これはこの保留地の処分方法を、たとえて申しますと、保留地は競争入札にするかあるいは随意契約にするか、あるいは一般入札か指名入札か、こういうふうな一般的な処分方法でございますから、これは利害関係人で構成しております土地区画整理審議会にかけるよりも、むしろルールでございますから、施行規程なり、そういうところでやった方がいいのではないかという意味の改正でございます。
  77. 田中一

    田中一君 これは非常にこの方がいいと思います。そこで、一体今までの事業を完成したところに保留地はどのくらい作っていますか。保留地というものを、パーセンテージでもいいから、一つのどこかモデル・ケースでもって示してほしいのですがね。
  78. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 区画整理事業はいろいろございまして、たとえば戦災復興の区画整理のように、あるいは土地改造の区画整理のように、町中でやります際には比較的保留地の出る量は少いのでございます。それから郊外地でありますような区画整理におきまして、整理後の土地価格の値上りが非常に大きい場合は保留地が出るわけでございまして、保留地の出る割合がどのくらいかということは各事業々々によりまして、整理前と整理後の土地の価格の違いによりまして差があるわけでございます。
  79. 田中一

    田中一君 方針としては何ですか、あなた方指導しているのでしょうけれどもね、保留地を余分に取った例というのはどのくらいのパーセンテージがありますか。
  80. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 公共用地のための減歩というものと、それから保留地のための減歩と、減歩には二色ございますが、これを両方加えまして最高のものが四〇%くらいのがございます。そのうちで公共減歩が二五%くらいでございますので、保留地として取っております多いのは一五%、一番多いといいますと一五%くらいで、一般的に平均を申しますと、郊外地にありますような区画整理では、大体公共減歩と保留地減歩を加えまして三〇%くらいが標準でございまして、そのうち約二〇%くらいが公共減歩でございまして、一〇%くらいが保留地減歩、こうなっております。それが大体の平均でございます。
  81. 田中一

    田中一君 今説明した地区の一五%の保留地というのはどう処分されていましたか。今あなたが資料でお示しになった、どこか知らぬけれども一五%、これはどういう処分……、何に使ったか。
  82. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) いろいろございまして、どういうところにというふうに簡単に割り切って申しにくいのでございますけれども、公共のものに使っております例としましては、小学校の用地に充てるとか、そういうできるだけ地区の人のために使いたいというふうなのが割合多いのでございまして、そのほかまあ特別に、その中心部を作りますために郵便局敷地に充てるとか、そういうふうな例とか、それからそのほかでは、大体住宅地に処分しているのが多いわけでございまして、また工業地でございますと、これを工業用の宅地に処分するという例が多いわけでございます。
  83. 田中一

    田中一君 もしこれを学校に使用し、公共の用に供したとしても、対価は計算して支払われるのでしょう。ただやるのじゃないのでしょう。
  84. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) もちろん有価でございます。
  85. 田中一

    田中一君 公共用の減歩ですね。それを市なり何なりが勝手に自分が建築したりなんかして使った場合には、それはどうなりますか。建設大臣がそれは建築を認めなければならないのでしょう。どういうことになるのです。
  86. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) ただいまの御質問は、公共の減歩というふうに聞いたのでございますけれども、公共減歩を勝手に変えることは認めておらないのでございます。
  87. 田中一

    田中一君 勝手に変えた場合に建設大臣はどうします。
  88. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 勝手に変えますというと、公共用地じゃなくて宅地に変えたということでございますから、これは設計上の違反でございますから、建設大臣が設計の認可を持っておりますから、違反として扱うことになります。
  89. 田中一

    田中一君 事業施行者が勝手にそれをやる場合がある。いい事例は浜松市なんです。庁舎が建っているでしょう。何なら行って見ていらっしゃい。その場合どうします。鉄筋の家を建てたら処分はどうします。
  90. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 公共用地にそういう建築をしている事実がございますれば、これは違反として扱わなければならぬと思いますが、もし保留地のような形でございますと、これは正当な手続を経て処分されておればいいのでございますが、もし正当な手続を経てないとすると、これはよくないと思います。
  91. 田中一

    田中一君 よくないのじゃなくて、どう処分しますかというのです。どう処分しますか。
  92. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 建設大臣の監督権がございますから、これで処分することになると思います。
  93. 田中一

    田中一君 それから、今回のこの法律改正によって、初めに提案されたように、立体宅地の問題ですね、これが相当各市民の中に認識されてくると、保留地も余分にとって、そこに自分たちも行こうということが多くなろうと思うのです。むろん、ねらいはそういう方面にも、そういう新しい権利者を収容する境地を開こうというつもりなんでしょうね。どっちみちそういうつもりなんでしょう。
  94. 美馬郁夫

    政府委員美馬郁夫君) その通りでございます。
  95. 田中一

    田中一君 岐阜県の岐阜市の完成した各工区、十一工区を見てみますと、これは全然保留地というものをとっておらないのですね。これは当然保留地を持ち得なかったんだということなんですか。あるいはこの中に、保留地のほかに、公共用の地区というのを、どのくらいとったんですか。
  96. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) この岐阜の例は保留地がございませんでしたわけでございます。で、まあ減歩率が平均しまして一五%くらいで、非常に軽いのでございますけれども、整理前と整理後の土地の価格の評価が、約算しまして一五%くらいの値上りというふうな考え方になっておるわけでございます。ですから、公共減歩だけしかとれなかった、こういう勘定になるわけです。
  97. 田中一

    田中一君 保留地を出さない方がいいのですか、出した方がいいのですか。これは保留地がないから減歩率が非常に低いんだと思うんですがね。
  98. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 区画整理の整理前後の土地の価格の評価をいたしまして、整理後の方が非常に値上りのあります場合には、保留地をとりまして、その保留地を処分しました費用でもって地区内の整備をはかるという方が建前でございますが、しかしながら、あまりに減歩がひどいということは、地区民に対しての受益の還元が非常に少くなりますので、できるだけ減歩を少くして、地区民に受益が還元するということもあわせて考えていかなければなりませんので、一般の場合には、二倍ぐらいの値上りになりましても、まあ三〇%ぐらいの減歩というふうに押えているわけでございます。
  99. 田中一

    田中一君 最後に伺いますが、今度は権利者の総意でもって決定しようということは、初めに作る施行規程というもの、これは事業施行者がどういう形で総意を反映さした規程を作るか。方法はどうしますか。何か施行規程のひな型でもあるんですか。
  100. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 施行規程の標準は、一応建設省で作りまして、全国的に流してあるわけでございます。これは地区ごとにいろいろ性格的に違うものでございます。私どもの方で流しました施行規程標準をもとにしまして、実情に合った形に施行者が直して、これを地区民縦覧いたしまして、その意見を聞きまして、意見が出なければそれを決定するわけでございます。
  101. 田中一

    田中一君 土地区画整理審議会委員は、権利者の総意が反映しないという前提に立っているのですか。
  102. 美馬郁夫

    政府委員美馬郁夫君) ここでかけておりますのは、個々の処分の問題じゃなくして、処分方法ということでありまして、先ほど御説明しましたように、これは随意契約とするか、あるいは一般の競争にするかという、その方法をかけるわけでございまして、個々にだれそれにどうするというような、個々の処分の問題ではございませんから、これはルールの問題だから、市町村であれば条例で施行規程にきめて、そうして一般の公告でやった方がいいんじゃないか、こういうことでございます。
  103. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 次に、清算金の延滞金徴収規定について。
  104. 美馬郁夫

    政府委員美馬郁夫君) 要綱第十でございますが、「清算金を滞納する者に対して、施行者が延滞金を徴収することができるようにすること。」、説明は十八ページでございます。第百十条は、清算金の徴収または交付に関する規定でありますが、現行法では清算金を滞納する者に対して、その延滞金を徴収することが認められておりませんので、清算金の徴収交付事務を円滑にするため、今回第百十条に延滞金の徴収規定を設けたのであります。それとともに、従来清算金の徴収交付に関する手続について検討を加え、第百十条第二項の徴収交付の根拠規定、第二項の分割の場合の利子の規定はそのままにして、第三項以下の手続規定を全面的に整備いたしましたので、条文的には大きな改正となったのであります。すなわち、第三項を督促の規定とし、第四項を督促手数料と延滞金の徴収規定とし、第五項を公共団体と行政庁の場合の滞納処分及びこれらの先取特権の順位の規定とし、第六項を清算金等の充当順位の規定とし、第七項及び第八項は組合施行の場合の強制徴収手続、清算金等の時効及び時効中断の規定といたしたものであります。なお、新たに設けた延滞金は、百円につき一日三銭の割合を乗じて計算した額の範囲内とし、地方税法等の税金の延滞加算金額と同様としたのであります。なお、これに伴い、第百二十条第二項の受益者負担金の滞納処分規定を条文整理いたしております。
  105. 田中一

    田中一君 せんだって報告された清算終了の地区はどのくらいありますか。完全に清算が終了した所です。
  106. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 換地処分が終りましたのは二十四都市でございますが、完全に清算が終りました都市は、はっきりした数字はちょっと持ち合せませんけれども、約十都市くらいあると思います。
  107. 田中一

    田中一君 土地区画整理審議会委員が清算までタッチするんですか。清算完了までその任務があるわけですか。委員としてこの仕事に関係するんですか。
  108. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 区画整理審議委員の任務は、最後の換地計画を定めるときまででございまして、換地計画の内容は、換地と、それに伴いますところの清算金が幾らになるかということがくっついておるわけでございまして、清算金が幾らということまで審議会の委員にやっていただきます。あとの徴収交付の事務は、整理施行者がやることになっております。
  109. 田中一

    田中一君 この現行法にも、途中で仮清算という制度が今まで都市計画法にあったたわけです。今度もあるわけですが、仮清算をした地区はございますか。
  110. 美馬郁夫

    政府委員美馬郁夫君) まだございません。
  111. 田中一

    田中一君 先日も話したんですけれども、昭和二十六年か七年かに特別都市計画法を一部改正して、仮清算の支払いをすることができるよう法改正したことがあるのです。これは、やはり当時の実情に応じて措置しなければならないということであって、政府提案で出した法律案でありますけれども、現在までに、特別都市計画法の清算も戦後やったことはございませんか、仮清算は。
  112. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) ただいま局長から仮清算をやったところはないと申し上げましたけれども、全体の事業の清算ではありませんで、一部工区の仮清算というのをやっております。これは都市の数にいたしますと、やはりこれも十都市くらいのものでございますけれども、この特別都市計画法の改正後になされておるわけでございます。
  113. 田中一

    田中一君 今は物価もそう変動はありませんし、むろん通貨の変動もないからいいですけれども、十年も続けてやっていて、仮清算を受けたものの方の貨幣価値が下っているわけですね、実際に。変動があるということを予想した場合、今度は将来貨幣価値が下るという見通しの場合は早くしてもらった方がいいということになるわけですが、おおむね換地処分が決定して、そうしてどのくらいの期間に清算しなければならないことになっていますか、法律案にそういう条文はなかったですか。
  114. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 法律には、仮清算をしてから清算までの期間は規定いたしておりません。
  115. 田中一

    田中一君 換地処分を決定してからです。
  116. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 換地処分を決定いたしましてから、五ヵ年間の分割徴収交付が認められておるわけです。これは申し出によりまして、分割徴収または交付がなされるわけでございます。ですから、五年間という期限の余裕があるわけでございます。
  117. 田中一

    田中一君 今度は清算金をもらう方の側は。
  118. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 同じでございます。
  119. 田中一

    田中一君 たとえば学校とか、市役所とか、区役所とかいうものが、それらを使った場合に、使用している場合には、これは当然買収という形になるのでしょう、買った対価というものは当然払うのでしょう、公共のものでも。それも五年間の分割払いでいいのですか。
  120. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 公共の場合におきましても、別に規定はないのでございますけれども、私ども指導といたしましては、そういう公共のものに処分したものは、これを即金で納めてもらいまして、それを一時の立てかえ払いの財源として、早く交付すべきものは交付するようにというふうに私ども指導はいたしております。
  121. 田中一

    田中一君 そうしますと、先に自分だけ特別に精算金をくれといいっても、収入というか、納入に見合う支払いということになるのですか。平均してそれははっきりと区分して毎年々々支払っておりますか。
  122. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 分割徴収交付をします際には、本人申し出とかあるいは本人の了承を得た上でやるわけでございますので、その計画を立てまして、徴収金が十分でない場合には、立てかえて交付をしていくということになるわけでございます。
  123. 田中一

    田中一君 清算が赤字になった場合は。
  124. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) もちろん整理施行者が負担しなければならないと思います。
  125. 田中一

    田中一君 清算の結果剰余金が出た場合は。
  126. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 前の特別都市計画法には、剰余金ができましたならば、整理施行者のものになる、こう書いてあったのでございますが、今度の区画整理法には、整理施行者の所有に帰するというふうになっておらないのでございます。もちろんその剰余金は、剰余金と申しますか、清算に要する事務費には使えるということにいたしておりますけれども、それがさらに剰余があります際には、地区民に還元されなければならないと、こう考えます。
  127. 田中一

    田中一君 しかし、清算事務の場合でも、事業執行者がその費用を負担するのは当然でしょう。剰余金はどこまでも事業執行者が自由に使っていい金ではないわけです。当然これは権利者に還付されるべき性質のものだと思いますが、実際はどうしているのですか。事業執行者が事務費とか何とかに使えるということになると、なるべく換地処分のときに余るような形でもってする場合も、作為的にする場合もあると思います。全部やはり利害関係者に返すという建前でなければ不明朗なものになると思います。土地区画整理事業そのものが国民の犠牲の上に立って環境をよくしなければならぬという建前の上に立っているのですから、実際の事例はどうなんですか。
  128. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 大体剰余金が出ました場合は、それを整理施行者がふところに入れるということは絶対にやっておらないのでございまして、その場合にはその地区に対して工事で還元するとか、金銭で還元するとかいうふうな方法で、いずれにしましても一切地区に還元する方法をとっております。
  129. 田中一

    田中一君 もう一ぺん局長に念を押しますが、そうしますと、今五十嵐君が言っているように、清算の事務費に使うなんということもなしに、結論として、清算の結果赤字の場合には事業執行者がこれを負担する。剰余金があった場合には全部還元する、こういうことでいいんですね。
  130. 美馬郁夫

    政府委員美馬郁夫君) 大体いいと思いますが、ただその中で区画整理事業関係の事務費に要した経費としては、その金は使えるものだと、こういうふうに解釈しております。
  131. 田中一

    田中一君 事務費って、全部が事務費じゃないですか、現に国が付与しているものじゃないですか。
  132. 美馬郁夫

    政府委員美馬郁夫君) 私が事務費と申しましたのは、清算に要する事務費という意味でございます。
  133. 田中一

    田中一君 土地区間整理事業というのは、清算が終らなければ事業の完成と言えないのです。清算事務に入ってのものは、剰余金があった場合には剰余金でやるということは、これは剰余金というものは事業執行者が取るのだということなんです。当然土地区画整理事業というものは初めから清算までが事業なんです。だからこそ条文にたくさん清算の問題が書いてあるのです。その事務費を使っていいということは、事業執行者が余ったものはふところに入れるということになる、これはちょっとおかしいと思う。現行法でどこにそういう使っていいという条文がございますか。そうすると法の建前というものはすっかりくずれて参ります。
  134. 内村清次

    ○内村清次君 ちょっと答弁を一緒にやって下さい。赤字の場合には施行者の側で負担する、こういうお話ですが、施行者が赤子を負担して、損害は全部施行者の負担だ、こういうようなことの事例、それでもそれがほんとうに清算を完了したということになるのですか、どうですか。それも一つあわせて答弁していただきたい。
  135. 美馬郁夫

    政府委員美馬郁夫君) 田中先生の御質問ですが、私どもが清算金剰余金という言葉で言っているのは、これは事務費あたりも全部相殺した場合の最後の金だというふうに考えておりますので、そういう場合に、剰余金が出た場合には、これはもう当然地区民の金銭なりあるいは工事に還元すべきものだと、こういうふうに考えております。  それから、事業主体に赤字が出た場合の関係でございますが、これは従来そういう事例はございませんで、法の建前から申しますと、これは換地計画をきめますときに、おおむね赤字が出ないような仕組みになっておりまして、その場合には、ここにありますような強制徴収とか、あるいはいろいろな規定によりまして、清算をうまくやりまして、赤字をあくまでも出さないようにするというふうな建前になっております。
  136. 田中一

    田中一君 建前はそうであるけれども、赤字になる場合がある。あなた方が年度予算を完全に使って旅行したりするのなんかと違うのだから、赤字になる場合も、余る場合もある。それが事業の形ですよ。そういう建前を言っておるのではないので、内村君の質問は、赤字の場合はどうするのだというのだ。僕に答弁したのは、赤字の場合は、事業執行者が負担するということでいいんじゃないか。どうですか。
  137. 美馬郁夫

    政府委員美馬郁夫君) まだ現実の問題として、赤字が出ておるところはございませんが、法律の解釈としては、最後にはそれは事業者の責任になって参りますから、結局責任者としての事業者が負担していくと、こういうふうになると思います。
  138. 田中一

    田中一君 それでいいじゃないか。  それから、剰余金ですね、これは最初に戻りますが、土地区画整理事業というものを認可する場合、この費用は事業費ですよ。事業費は全部、組合施行なら組合、行政なら行政ときまっていますね。それは最初から幾らというきめ方をして、予算を計上して、国の補助金を出すのでしょう。その場合の事業というものは、清算完了までを言っているのじゃないですか。どこまでを言っているのですか。
  139. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 清算完了までを言っております。
  140. 田中一

    田中一君 清算完了までが事業ならば、事業費というものは、事業執行者が国の補助を受けて完全にするのが建前であって、清算事務に剰余金を流用するなんというのは、建前じゃないと思うのです。もう一ぺんそこのところを明確にして下さい。
  141. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 清算のやり方には、いわゆる比例清算というのと、差額清算というのがございまして、比例清算という方は、一〇〇対一〇〇——徴収が一〇〇、交付も一〇〇という計算でやる場合でございまして、差額清算という場合は、交付に対して徴収の方が多いような差額のできる場合でございます。この差額清算というのは、いわゆる土地でとれば保留地がとれるという——せり後の値上りの方が大きいのですから、保留地がとれるという形です。それで、普通なら保留地をとって、それでもって、工事をするとかいうふうな事業費に充てられるわけなんですが、保留地をとらないで、清算でもって差額を金銭でとるという方法があるわけでございます。この費用が事業費に充てられるというふうになっておるわけであります。すべて事業に使わなければならぬという原則になっております。
  142. 田中一

    田中一君 そうすると、そうした剰余金を当てにして事業を遂行しているのですか。そこに不当なものがあると思うのですよ。たとえば今審議した中にも、保留地の処分は施行規定を設けてやろう、入札にするか何にするかということを言っておる。むろん、事業執行する場合の後日の土地の値上りという面から見ても、入札した場合に自分が予期していたものよりもよけいに売れる場合があるのですよ。あるいは安く売れる場合もあるかもしれない。そうすると、赤字も生れれば、剰余金の生れることもあるかもしれない。大体剰余金が生れるようにやっているのでしょう。予定価格よりもよけいに高く売れた場合には、そういうことになるでしょう。そのときに初めて剰余金が出るのですよ。だから、事業費というものは、国が認めている事業費というものと剰余金というものとはおのずから性格が違うのです。剰余金目当て事業を施行しているのではないわけですね。事業費というものをちゃんと握って事業の施行をやっているのです。それが減歩でもって相当とられたと、自分の町内だけがきれいになったというよりも、自分の町内だけの問題ではなくて、全市民がそれを利用しておるわけですからね。公共用地として利用しておるわけなんです。そういうことが法律のどこにありますか。つまり、剰余金は事業に使えということがどこにありますか。
  143. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 先ほど申し上げましたいわゆる差額清算ということは、結局せり後の方の値上りが多いから清算でとるという形にいたしておりますけれども、実際の扱いは受益者負担という規定になっておりまして、保留地でとれる場合か、受益者負担かということになってくるので、保留地は土地でとる、受益者負担というのはお金でとれるわけでありまして、受益者負担分だけを余分に清算者にとっておくと、こういうことになります。この受益者負担の規定は百二十条にございます。九十六条には保留地がございまして、これがせり後の方が値上りがする場合には保留地をとることができると、百二十条の方は、せり後の方が値上がりが多い場合には受益者負担を課することができるということになっておるわけでございまして、結局せり後の値上がりがありますと、清算におきまして剰余金が出る形になるわけでございます。
  144. 田中一

    田中一君 これは百二十条は、施行規程で定めてとれるのですね。とらなくてもいいのでしょう。
  145. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) とらなくてもよろしいのでございますけれども、せり後の方が上ります場合には、とることができるようになっております。
  146. 田中一

    田中一君 実際はどうなるんですか。
  147. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 実際はいろいろまちまちでございますけれども、保留地でとっている場合と、それから差額清算で、いわゆる受益者負担でとっている場合とあるわけでございます。
  148. 田中一

    田中一君 剰余金があった場合に、どのくらいとっているのですか。たとえば、私の手元にある岐阜市の区画整理事業の場合でも、清算金が五百九十六万という金が余っているのですね。これをどう処分しましたか。
  149. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) 大体清算金の一割くらいまでは清算事務費という見込みをつけまして、いわゆる受益者負担でとっておるわけであります。
  150. 田中一

    田中一君 それは施行規程でもって初めからきめてあるのですね。
  151. 五十嵐醇三

    説明員五十嵐醇三君) たしかきめてあると思います。
  152. 早川愼一

    委員長早川愼一君) では次をどうぞ。
  153. 美馬郁夫

    政府委員美馬郁夫君) 次に、第十一の「土地区画整理事業と農地等の関係の調整。」、「都道府県知事が事業計画を認可し、または定めようとする場合は市町村の農業委員会意見を聞くこととなっているが、これを都道府県農業会議の意見を聞くことに改めること。」、説明は最後の二十ページでございます。  御承知のように、土地区画整理事業は、市街地の造成を目的とするもので、区域内に農地が含まれる場合は将来宅地化されることを前提といたしていますので、農地との関係が非常に深いわけであります。従いまして、本条は土地区画整理事業と農地等の関係の調整について規定しておりますが、現在は都道府県知事が農地の廃止を伴うものであるときは、事業計画について市町村農業委員会意見を聞かなければならないことになっておりますが、農地法の規定によれば、農地の改廃については、市町村農業委員会は都道府県知事への農地転用の申請の場合の経由機関にすぎず、農地法によって都道府県知事の転用の許可を与える場合は、都道府県農業会議の意見を聞くこととなっておりますので、今回農地法の体系に従って第百三十六条を改正し、市町村農業委員会のかわりに都道府県農業会議の意見を聞くこととしようとするものであります。
  154. 田中一

    田中一君 これは、大体今の改正案は農業委員会等もこれは了承しているわけですね。
  155. 美馬郁夫

    政府委員美馬郁夫君) これはこの法律を提案するときに農林省等といろいろ折衝いたしまして、主として農林省の方で農地法の体系からこういうふうにしてもらった方が自後の土地区画整理事業が非常にスムーズに行くからという意見がありまして、こういう改正になったわけであります。
  156. 早川愼一

    委員長早川愼一君) ほかに御質問ございませんか……。御質疑がなければ、本案に対する討論採決は次回に譲ります。   —————————————
  157. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 次に、道路法の一部を改正する法律案道路整備緊急措置法の一部を改正する法律案日本道路公団法の一部を改正する法律案、これらを一括して議題といたします。  これらの法律案については、過日の委員会に大臣より提案理由説明を聴取いたしましたので、本日は道路局長より補足説明を聴取することといたします。なお道路局長、道路局次長、道路公団監理官、路政課長等が出席されております。
  158. 佐藤寛政

    政府委員(佐藤寛政君) ただいま議題となりました道路関係三法、まず道路法の一部を改正する法律案の内容につきまして、逐条的な御説明を申し上げます。  まず最初に目次の文字から改正いたしてございますが、この改正は、道路の管理について規定しております第三章に新たに第五節を設けることといたしましたことに伴うものでございます。  次の第二条の改正でございますが、第五節に新たに自動車専用道路に関する規定を設けまして、自動車による通行とそれ以外の方法による通行について取扱いを異にすることといたしましたので、自動車に対する概念をここで明らかにしたものでございます。  次の第三十九条の改正は、高速自動車国道法第二十五条との関係から字句の整理をいたしました形式的な修正を行ったものでございます。  第五節は、自動車専用道路に関する規定でございますが、自動車専用道路と申しましても、第三条に定められております道路の種類のほかに新しく道路の種類を追加するというものではなく、供用の仕方が従来の混合交通の場合と異なるというだけにすぎませんので、いわば、道路の管理権の作用として、自動車専用道路を指定することができることといたしたわけであります。この自動車専用道路の機能の確保のために必要な特別な規制を規定することが適当と考え、第三章の中に入れた次第でございます。  次の第四十八条の二、これ以下が自動車専用道路に関する主要な条項でございますが、第四十八条の二は、自動車専用道路の指定に関する規定でございます。第一項は、道路管理者は、交通が著しく混雑している市街地及びその周辺の地域において、交通の円滑をはかるために必要があると認めるときは、まだ一般交通の用に供されていない道路、すなわち新設道路とお考えいただいてよろしいかと存じますが、こうした道路につきまして自動車専用道路を指定することができることといたしました。第二項は、すでに一般交通の用に供されている道路の交通緩和のために必要があると認められるときは、道路管理者は、既存の道路のバイパスこれは迂回路でございます。バイパスを新設した場合におけるその新設部分等道路の区域の一部を自動車専用道路として指定することができることといたしました。ただし、第二項の場合には、自動車以外の方法による通行に支障のない道路の部分が残されていなければならないことは当然でございますので、そういうふうになっております。第三項は、自動車専用道路の指定は、道路運送法による一般自動車道との調整について特に考慮して行わなけれなばらないことといたしました。すなわち企業として設置される一般自動車道とも自動車交通としては有機的な関連を有しておりますので、それとの連結位置、構造等について特に調整をはかることが望ましいと考えられるからであります。第四項は、自動車専用道路の指定は、一般に周知させる必要がありますので、指定及び指定の解除は公示しなければならないことといたしました。  次は第四十八条の三でございますが、自動車専用道路の機能を十分に発揮させるために、自動車専用道路を他の道路、軌道等と交差させる場合には、原則として立体交差としなければならないことを定めたものでございます。御承知のごとく高速自動車国道は完全立体交差を建前といたしておりますが、今回の自動車専用道路は多少の平面交差がありましても、その機能を保持することができると考えたからであります。しかしながら前述のように、原則としては立体交差ということになっておるわけでございます。  第四十八条の四は、他の道路等を自動車専用道路に連結させ、または平面交差させようとする場合には、それらの管理者、自動車専用道路の道路管理者と協議し、または許可を受けなければならないことといたしました。この場合において、自動車専用道路の管理者は、連結については自動車専用道路の効用を妨げない場合、平面交差については交通量が少ない場合等に限りまして協議に応じ、または許可を与えることができることといたしたわけでございます。  次に第四十八条の五は、自動車専用道路の出入制限に関する規定でございます。専用道路でございますので、みだりに自動車専用道路に立ち入り、または自動車による以外の方法で通行することを禁止することとし、これを明らかにするために道路管理者は、必要な場所に道路標識を設けなければならないことといたしました。  第四十八条の六は、自動車専用道路の出入制限に違反している者に対しては交通の危険防止のためそうした行為の中止を命ずる等の措置をすることができる旨を規定したものであります。  その次の第七十一条の改正は、建設大臣から権限を委任された北海道開発局長も、他の道路管理者と同様にその職員の中から道路監理員を命ずることができることとし、自動車専用道路の道路管理者は、出入制限に違反している者に対する監理権限を道路監理員に行わせることができることといたしたものでございます。  第七十六条の改正は第四十八条の二においてすでに道路運送法という字句が出ておるので、その関係における形式的な改正でございます。  第九十六条の改正は、建設大臣の委任を受けた北海道開発局長または地方建設局長の処分について異議の申し立て訴願及び訴訟の道を開くとともに、自動車専用道路に他の道路等を連結させ、または交差させることに関する自動車専用道路の道路管理者の処分も異議の申し立て等の対象とすることができることといたしたものでございます。  第九十七条の改正は、このたび追加されました自動車専用道路の指定、連結または交差の許可、出入制限に関する道路標識の設置及び出入制限の違反者に対する措置命令の権限は、道路管理者が公共団体である場合には、その長が行うことといたしたものでございます。  第九十七条の二は、道路の管理事務を円滑に運営いたしますために、道路管理者である建設大臣の権限の一部を地方建設局長または北海道開発局長に委任することができることといたしたものでございます。道路の占用許可等件数の多い日常事務について一々本省の決裁を求めさせることは事実上不可能でありますので、対外的処分については、法律上の明確な委任規定を設けることといたしたものであります。  第百三条の改正は、自動車専用道路の出入制限に違反し、かつ道路管理者または道路監理員の命令に違反した者について罰則を設けたものでございまして、その量刑につきましては、高速自動車国道法と軌を一にいたしております。  次に付則でございますが、第一項は施行期日を公布の日としたものでございます。第二項は、道路運送法の一部改正でございまして、一般自動車道には道路法の道路で自動車のみの一般交通の用に供するものは含まれない旨を明らかにするとともに、一般自動車道の免許基準として、その路線の選定が自動車専用道路との調整について特に考慮してなされていることを追加し、第四十八条の二第三項と相待って相互調整をはかったものでございます。第二項は、道路整備特別措置法の一部改正でございまして、自動車専用道路を有料道路事業として新設する場合の料金について建設大臣が許可をするに当っては運輸大臣と協議するものとするほか、日本道路公団による権限の代行その他について道路法改正に伴う必要な規定を整備しようとするものでございます。第四項は高速自動車国道法の一部改正でございますが、道路法第七十一条の改正に伴う形式的な修正をしようとするものでございます。  以上、この法律案条文の逐条説明を申し上げた次第でございます。  引き続きまして、道路整備緊急措置法の一部を改正する法律案でございますが、この法案の改正は内容的に法律第五条のみでございます。この点につきましては、先般要綱で御説明いたしましたので、省略さしていただきます。  次は、日本道路公団法の一部を改正する法律案でございます。これにつきまして逐条御説明を申し上げます。  この法律案は、現行法の規定を改正して、公団は必要があるときは、その資本金を増加することができることとし、その場合には、政府は公団に出資することができることとすることと、公団が国際復興開発銀行と外貨資金の借入契約を締結するために必要な同契約の債権者としての国際復興開発銀行の地位を保護する等の規定を整備することとをその主たる内容といたしております。  第四条の改正は、同条に二項を加えまして、公団が事業の合理的な運営をはかりますために、公団は必要があるときは、建設大臣の認可を受けて、その資本金を増加することができることとし、またこの場合において、政府は予算に定める金額の範囲内で公団に出資することができることといたしたものであります。  第二十六条の改正は、まず、公団が国際復興開発銀行と外貨資金の貸付契約を円滑に締結することができるようにするために、第四項を改正して、国際復興開発銀行も道路債券の債権者と同様に、公団の財産について他の債権者に先だって自己の債権の弁済を受ける権利を有することにいたしたものであります。次に、同条の第八項を第十項として、同条に第八項及び第九項の二項を加えました。すなわち、第八項におきましては、国際復興開発銀行との前述の契約により、公団は国際復興開発銀行の要求があったときは、いつでも道路債券を発行して、同銀行またはその指定人にこれを交付しなければならないことになり、この交付が外国でなされることが予想されますので、その場合に、公団は建設大臣の認可を受けて、その道路債券の発行に関する事務の全部または一部を外国の銀行または信託会社にも委託することができることといたしました。第九項におきましては、外資に関する法律により、同法第三条に規定する外国投資家が前述の道路債券を譲り受けたときは、その元金及び利息の支払について、同法第十三条の規定による大蔵大臣の指定を受けなければならないことになりますので、円滑な事務処理をはかりますために、本項で前述の外国投資家がこの道路債券にかかる貸付金債権について指定を受けたものとみなして、同法の規定を適用し、その元金及び利息の外貨による支払いができることとするとともに、その外国投資家がその支払いを受領することができるものといたしたものであります。  第三十条の改正は、前に述べましたように、第四条で、公団の業務の合理的な運営をはかるために、公団は必要があるときは資本金を増加することができることとし、この場合に、政府は公団に出資することができることといたしましたので、災害復旧工事に要する経費の補助以外の補助についての規定を削除いたしたものであります。  第三十九条の改正は、前述の通り、第四条第二項で、政府は公団が資本金を増加するときは、公団に出資することができることとし、また、第二十六条第八項で、建設大臣は公団が、国際復興開発銀行に道路債券を引き渡す場合に、その発行の事務の全部または一部を外国の銀行または信託会社に委託するときは、その認可をすることといたしましたので、これらの行為が国の財政政策等に大きな関係を有しますので、建設大臣がこれらの行為をする場合は、大蔵大臣と協議しなければならないことといたしますために、所要の改正を加えたものでございます。  以上、この法律案条文の逐条説明を申し上げた次第でございます。
  159. 早川愼一

    委員長早川愼一君) それでは、本案に対する質疑は次回に譲ることにいたしまして、本日はこの程度において散会いたしたいと思います。    午後零時五十一分散会