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1959-02-26 第31回国会 参議院 建設委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年二月二十六日(木曜日)    午前十時三十七分開会   —————————————   委員の異動 二月二十五日議長において、上條愛一 君を委員に指名した。 本日委員紅露みつ君及び草葉隆圓君辞 任につき、その補欠として松野孝一君 及び小山邦太郎君を議長において指名 した。   —————————————  出席者は次の通り。    委員長     早川 愼一君    理事            稲浦 鹿藏君            田中  一君    委員            石井  桂君            小山邦太郎君            西岡 ハル君            秋山 長造君            内村 清次君            上條 愛一君            村上 義一君            安部 清美君   政府委員    建設政務次官  徳安 實藏君    建設省住宅局長 稗田  治君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    農林省農地局管    理部農地課長  中島 正明君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○建築基準法の一部を改正する法律案  (内閣提出)   —————————————
  2. 早川愼一

    委員長早川愼一君) これより難渋委員会を開会いたします。  まず委員変更について御報告いたします。二月二十五日上條愛一君が委員に選任されました。   —————————————
  3. 早川愼一

    委員長早川愼一君) これから建築基準法の一部を改正する法律案議題といたします。本案については先日の委員会建設大臣から提案理由説明を聴取いたしましたので、本日はまず住宅局長より補足説明を聴取することにいたします。ちょっと速語をとめて下さい。    〔速記中止
  4. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 速記を始めて。
  5. 稗田治

    政府委員稗田治君) ただいま議題となりました建築基準法の一部を改正する法律案について逐条的に御説明申し上げます。なお今回の改正はこの法律の全般にわたります関係上、単なる字句の修正とか表現の不明確であった条文を明確にいたしました点もかなりございますが、これにつきましては説明を省略させていただきます。  目次の改正につきましては、法律全体を見やすくするために、その立て方を一部改めたものであります。  第二条、これは用語の定義に関する規定でございますが、これの改正につきましては、防火規定を整備するため耐火建築物及び簡易耐火建築物の定義を追加したものであります。このうち簡易耐火建築物は、耐火構造防火構造との中間的な防火性能を有する構造として新たに追加した構造でありますが、これは外壁が耐火構造で屋根を不燃材料でふいたものと、鉄骨造のように主要構造部不燃材料で作ったものとに大別されます。  第三条、これは適用の除外に関する規定でございますが、これの改正につきましては、災害等で滅失しました国宝、重要文化財等を再建いたします場合にも、本法の適用を除外てきるように改めたものであります。なお既存の建築物に対する緩和規定につきましても従来明確を欠く点もございましたので、これを整備したものであります。  第六条、確認及び申請に関する規定でございますが、これの改正につきましては、手数料の額が、昭和二十五年に本法が施行された当時のまま据え置かれておりますので、実情に沿うようその限度を増額したものであります。  第九条、これは違反建築物に対する措置規定でございますが、これの改正につきましては、明かに違反する工事中の建築物について、緊急の必要がある場合は、聴聞などの手続を経ずに、直ちに工事の施工の停止命令を出すことができるように改め、また違反した者を確知することができず、違反を放置しておくことが公益上支障がある場合には、一定の手続を経て公示した後、行政庁みずからその出置を行うことができるように改めたものであります。  第九条から第十一条までの是正措置改正につきましては、建築物敷地に関しても必要な措置がとれるよう改め、字句を修正したものであります。  第十二条、これは報告、検査等に関する規定ございますが、これの改正につきましては病院、学校、映画館等第六条第一項第一号に掲げる特殊建築物で、特定行政庁が指定するものの所有者または管理者に対しまして、定期にその状況に関する報告を特定行政庁に提出するよう義務づけ、技術的に必要な等項に関しては建築士調査報告を添えさせることとしたものであります。さらに昇降機等建築設備特定行政庁の指定するものにつきましても、定期に建築主事の検査を受けるよう新たな規定を加えたものであります。  第十五条、これは届出に関する規定でございますが、これの改正につきましては、着工届は、工事施行者義務者となっておりますのを建築主に変えることとし、確認申請と同時に着工届出が済ませるよう手続を簡略化し、除却届出に対しましては、事後通知事前通知に変えることとしたものであります。  第十八条、これは国等の建築物に対する手続の特例に関する規定でございますが、これの改正につきましては、第九条の改正等にあわせて字句の修正をしたものであります。  第十九条、これは敷地についての規定でございますが、これの改正につきましては、第四項におきましてがけ地等に対する安全上の措置規定を明確にしたものであります。  第二十二条、これは屋根の防火措置を要する区域についての規定でございますが、これの改正につきましては、区域指定に際して、関係市町村の同意を要することとなっておりますのを、都市計画区域内では都市計画審議会の意見を聞くことに改めたものであります。  第三十四条第二項、木造の特殊建築物内装制限に関する規定でございますが、これの改正につきましては、第三十五条の二で内装制限について一括規定することとしましたので、本項を削除したものであります。  第二十七条、これは特殊建築物構造制限に関する規定でございますが、これの改正につきましては、耐火構造としなければならないものの一部を簡易耐火灘築物でもよいことにし、木造で建築できたものの一部を簡易耐火建染物としなければならないこととして防火制限を整備したものであります。具体的な制限につきましては表を作って見やすいように改め別表第一としたものであります。  現行法と変った点を大略御説明いたしますと、用途として追加しましたものは別表第一(二)項のホテル、旅館、養老院と(三)項の体育館でありますが、頻発する災害に対処するためこれらの構造制限を強化したものであります。百貨店、マーケット、遊技場の類につきましては、従来三階部分が三百平方メートルをこえるものは耐火構造としなければならないことになっておりますが、これを強化しまして、三階以上の階をこれらの用途に供するもの及び延べ面積が三千平方メートル以上のものは耐火建築物としなければならないこととし、さらに二階部分が五百平方メートル以上のものは簡易耐火建築物としなければならないこととしたものであります。病院、共同住宅の類につきましては、現行法で二階部分が四百平方メートルをこえるものは耐火構造としなければならないこととなっておりますが、二階部分が三百平万メートル以上のものは耐火建築物又は簡易耐火建築物としなけれ、はならないこととしたものであります。学校又は体育館では二千平方メートル以上、倉庫では千五百平方メートル以上のものについて簡易耐火建築物としなければならないこととしたものであります。自動車車庫につきましては従来三百平方メートルをこえるものにつき耐火構造としなければならないこととなっておりましたが、今回百五十平方メートル以上のものを簡易耐火建築物としなければならないこととして、強化整備をはかったものであります。  第二十八条、これは採光、換気に関する規定でございますが、これの改正につきましては、ただし書に、最近増加の傾向にある無窓工場等を加えて取扱いを明確にしたものであります。  第三十条、これは地階における住居の居室の禁止に関する規定でございますが、これの改正につきましては、学校の教室、病院の病室又は寄宿舎の寝室を加えたものであります。  第三十三条、これは避雷針の設置に関する規定でございますが、これの改正につきましては、周囲の状況により安全上支障のない場合の除外規定を加えたものであります。  第三十五条、これは特殊建築物等の避難及び消火に関する技術的基準に関する規定でございますが、これの改正につきましては、頻発する災害に対処するため、三階以上の灘築物及び第二十八条第一項ただし書に規定する居室を有する建築物、すなわち無窓の建築物地下建築物についても避難施設消火施設等を整備すべきものとしたものであります。  第三十五条の二、これは特殊建築物の内装に関する規定でございますが、これにつきましては、最近の火災の例にかんがみまして、現行の第二十四条第二項に規定する木造の特殊建築物に限らず耐火建築物簡易耐火建築物特殊用途に供するもの及び第二十八条第一項ただし書に規定する居室についても内装制限を強化したものであります。なお必要な技術的基準は政令で定めることとしたものであります。  第三十五条の三、これは無窓の居室等主要構造部に関する規出定でございますが、これにつきましては、第三十八条第一項ただし書に規定する居室、すなわち無窓建築物地下建築物等居室を区画する主要構造部耐火構透とし、又は不燃材料で作ることとして、災害の場合の危害防止に備えようとするものであります。  第三十六条の改正につきましては給水、排水のための配管設備の工法をその設置及び構造に改める等の改正をしたものであります。  第四十二条、これは道路の定義に関する規定でございますが、これの改正につきましては、従来は幅員四メートル以上のものを道路として取扱っており、さらに緩和措置としまして、現に建築物が立ち並んでいる道で幅員が四メートル未満のもののうち一・八メートル以上のものは、その道の中心線から二メートル後退した線を道路境界線とみなして、道路として取扱っておったのでありますが、最近町村合併により都市計画区域が広範囲にわたって広がりました関係上、一・八メートル未満の道がかなりの数に上りますので、第三項を改めましてこれらの道で特定行政庁の指定によって道路と認める道を開いたものであります。道路幅員に関しましては、片側ががけ地川等に沿っております。場合とか、その他土地の状況によりやむを得ない場合自には四メートルの幅員を確保することが無理な点もございますので、第三項におきまして、これらの場合には、特定行政庁の指定により、幅員を二・七メートルまで緩和できるよう改めたものであります。ただしこれらの緩和措置につきましては、乱に流れないよう第四項において、建築審査会の同意を要することとしたものであります。  第四十三条、敷地道路との関係に関する規定でございますが、これの改正につきましては、自動車専用道路は一般の歩行を禁止しておりまして、ふだんの使用上から見ても災害時の避難通路としても適当でないので、これを道路とみなさないこととしたものであります。同条第二項につきましては、映画館等特殊建築物及び自動車車庫敷地道路関係について、必要な事項を地方条例で定めることを規定したものでありますが、自動車修理工場自動車車地と同様の条件にありますのでこれを追加したものであります。  第四十七条、壁面線による建築制限に関する規定でございますが、これの改正につきましては、従来、建築物の壁又はこれにかわる柱は、壁面線から突出してはならないこととなっておりますが、今回、構造上必要な歩廊の柱等は壁面線をこえて建築ができるよう改めたものであります。  第四十九条、これは用途地域内の建築制限に関する規定ございますが、これの改正につきましては、産業の発達のため、新たな業態を加える必要が生じた反面、除害装置等の進歩により上制限緩和の必要もありますので、これらを整理いたしたものであります。すなわち、新たに追加したものの大略としましては、住居地域におきましては、魚肉の練製品の製造、金属のつち打加工。プレス又は切断、印刷用平板の研磨、糖衣機を使用する菓子の製造セメント製品製造、撚線、金網の製遊、製粉等であります。商業地域におきましては、魚粉の製造、レディミクストコンクリートの製造、金属の溶射、砂吹、鉄板の波付加工ドラムカンの洗浄又は再生、パルプの製造等であります。  準工業地域におきましては、木材を原料とする活性炭の製造、動力つちを使用する金属の鍛造、動物の排泄物を原料とする医薬品の製造等であります。次に緩和いたしましたものとしましては、商業地域におきまして、塗料の吹付の馬力数をゆるめましたのと、準工業地域におきまして、化粧品製造、石けんの製造手すき紙製造、少量の金属の溶融、出力の合計が四キロワット以下の金属の圧延欣寺であります。なお、これらは準工業地域において緩和しましたものを、商業地域で禁止するようにしたものであります。さらに従来、危険物の貯蔵、処理につきましては、工業地域以外の用途地域では一律に禁止されていましたが、準工業地域等では多少厳に過ぎる面も見られますので、危険物の質、量等により、地域別に差をつけて制限をするようにしたものであります。  第五十一条、これは既存建築物に対する緩和でございますが、この改正につきましては、現行の内容は第八十六条の二で一括規定することとしましたので、現行の第五十四条に相当する内容をここに規定したものであります。  第五十二条、これは特別用途地域に関する規定でございますが、この改正につきましては、地方的な特殊産業等に対して、特別用途地区制をさらに活用できるように、第四項におきまして建設大臣の承認を得て条例で、用途地域専用地区基本的制限の一部を緩和できるよう改めたものであります。  第五十三条につきましては、現行の第五十三条に相当する内容は次条に送りまして、本条では現行地域制建築物用途のみを制限しておりますが、建築物構造建築設備についてもこれを規制するごとにより、用途地域の指定の目的を達成できるよう条例を制定する根拠条文規定したものであります。  第五十四条、これは卸売市場等用途に供する特殊建物の位置に関する規定でございますが、この改正につきましては、都市計画の施設として決定しているものを除きまして、現行法では、建築審査会の同意と公開による聴聞を行なって、特定行政庁が許可することになっていますが、この許可は広域的な都市計画として検討するのが適当でありますので、都市計画審議会の議を経るごとに改めたものであります。また政令で定める軽微なものの新築、増築については、許可を要しないものとしております。  第五十五条、これは敷地面積に対する建築面積の割合に関する規定でございますが、この改正につきましては、第一項第三号を追加して公園、道路川等の内に建つものについては、この制限をはずすこととし、第二項において過少宅地が多い等土地の状況により、やむを得ない場合は規行法敷地面積から三十平方メートルを差し引く制限は、実状に沿わない面もありますので、特定行政庁建設大臣の承認を得て、第三十三条第一項の市街地について指定する区域につきましては、敷地面積の六割まで建築できるように改めたものであります。  第五十六条、これは空地地区に関する規定でございますが、この改正につきましては、第四項において隣地に公園等がある場合その他政令で定める場合には、建築物外壁等隣地境界線との保有距離制限をはずしたものであります。  第五十七条、これは高さの限度に関する規定でございますが、この改正につきましては、現行法ただし書き同等程度の効果を有し、都市計計画上支障のないものについても例外規定適用できるなら改めたものであります。  第五十八条、これは道路幅員建築物の高さの関係に関する規定でございますが、この改正につきましては、第五十七条第一項各号の一に該当する場合には、建築審査会の同意を得て特定行政庁の許可によりこの制限緩和できるように改めたものであります。この場合第五十七条に規定する高さをこえるものにつきましては、第五十七条ただし書きの許可と同一の観点から審査することになりますので、どちらか一方の許可でよいことに調整したものであります。  第五十八条の二、これは高架の工作物内に設ける建築物等の高さの制限緩和に関する規定でございますが、これにつきましては、事柄の性質上、一般の建築物と同一に規制するのは不合理と思われますので、特定行政庁が、交通上、安全上、防火止及び衛生上支障がないと認めるものについては、第五十七条及び第五十八条の規定適用しないこととしたものであります。  第六十一条、これは防火地域内の建築物に関する規定でございますが、これの改正につきましては、耐火建築物または簡易耐火建築物を定義つけたことにより字句修正をするとともに、階数が三以上のものは耐火建築物としなければならないこととしたものであります。  第六十一条の二、これは防火地域内における既存の建築物に対する制限緩和に関する規定でございますが、これの改正につきましては、これを第八十六条の三で一括規定することとしたため削ったものであります。  第六十二条、これは準防火地域内の建築物に関する規定でございますが、これの改正につきましては、現行法で階数が三以上であるか、または延べ面積が五百平方メートルをこえる建築物耐火構造とすることになっておりますが、これを簡易耐火建築物でもよいことにし、四階以上または延べ面積が千五百平方メートルをこえる建築物は、耐火建築物としなければならないことに改めまして、都市のすみやかな不燃化を図ったものであります。  第六十四条、これは開口部防火戸に関する規定でございますが、これの改正につきましては、耐火建築物及び簡易耐火建築物の定義を設けたことにより、字句の修正をしたものであります。  第七十九条、これは建築審査会の組織に関する規定でございますが、これの改正につきましては、第二項で市町村委員と都道府県の委員との兼任を禁じておりましたが、実情にかんがみましてこれを除くことにしたものであります。  第八十条、これは委員の任期に関する規定でございますが、これの改正につきましては、現行法では委員の任期が満了した場合、議会等関係で後任の委員の任命がおくれ、法運営上支障を生ずることがありましたので、第三項におきまして、任期の満了した委員は後任の委員が任命されるまでその職務を行うこととしたものであります。  第八十条の二及び第八十条の三につきましては、従来建築審査会委員欠格条項解任事由に関する規定が全く欠けておりましたので、この際他の審議会等委員なみに整備したものであります。  第八十五条、これは仮設建築物に対する制限緩和に関する規定でございますが、これの改正につきましては、仮設建築物について適用を除外する条項及び期間を整理したものであります。  第八十六条、これは総合的設計による一団地の建築物取扱いに関する規定でございますが、これの改正につきましては、耐火建築物または簡易耐火建築物相当数一面配置して建築する場合には、木造密集市街地の火災と状況が異なり、特に外瞳の開口部防火戸を設ける必要がないと思われますので、特定行政庁がその位置及び構造について防火上支障がないと認めるものについては、防火戸の設置を緩和できる規定を設けたものであります。  第八十六条の二、これは既存の建築物に対する制限緩和についての規定でございますが、これにつきましては、法適用前から存する建築物については、第三条第二項により、増改築等をする場合を除いて、本法を適用しないこととされていますが、増改築等をいたします場合には、本法の規定が全面的に適用されることとなりまして、構造全体に影響を及ぼすような規定、すなわち第二十六条防火壁の設置に関する規定、第二十七条、特殊建築物構造制限に関する規定、第四十九条、第五十条用途地域等建築制限に関する規定、第六十一条、第六十二条第一項防火地域、準防火地域内の構造制限に関する規定につきましては、経済上無理と思われる場合も出て参りますので、政令で定める範囲内で適用緩和しようとするものであります。なお、本条と同趣旨の第五十一条及び第六十一条の二の規定を本条に吸収したものであります。  第八十七条、これは用途の変更に対するこの法律適用についての規定でございますが、これの改正につきましては、従来明確を欠いた点もありましたので、これを全面的に改めてその関係を明らかにしたものであります。  第八十七条の二、これは建築設備への準用規定でございますが、これにつきましては、昇降機その他の建築設備を設ける場合にも、これらの建築設備重要性にかんがみ、建築工事灘の確認を要することとし、この場合一つの建築設備について千円以内の手数料を納めるべきものとしたものであります。  第八十八条、これは工作物への準用の規定でございますが、これの改正につきましては、ウォーター・シュート飛行塔等遊技施設につきましても構造耐力規定を準用することとしたものであります。  第九十条、これは建築工事現場の危害の防止に関する規定でございますが、これの改正につきましては、危害防止措置に違反がある場合に、建築物に対すると同様是正措置をとれるように明確にしたものであります。  第九十一条、これは建築物敷地区域地域または地区の内外にわたる場合の措置に関する規定でございますが、これの改正につきましては、建築物は、その敷地の過半が占める区域地域または地区制限規定を受けることになっておりますが、高度地区に関しましては、指定された部分だけ高さに関する制限を課すれば、目的を達成できるものでありますから本条から除いたものであります。  第九十三条、これは許可または確認に関する消防長同意等についての規定でございますが、これの改正につきましては、今回の改正により、設備だけ設置する場合にも手続を要することとしたことに付随しまして、消防及び衛生方面との連絡を整備したものであります。  第九十四条、これは異議の申し立てについての規定でございますが、これの改正につきましては、第三項において、建築審査会裁定期間を、公聴会事務処理等から見て従来の二十日から一月に延期したものであります。  第九十八条、これは罰則についての規定でございますが、これの改正につきましては、第九条第一項の違反是正命令に従わない者のに対して、現行法罰金刑のほか六カ月以下の懲役刑を課すことができるように改めたものであります。なお第九条第十項に規定する緊急の場合の工事施工停止命令に違反するものに対しても同じ刑が課せられることとしたものであります。  第九十九条から第百二条までの罰則関係は、実体規定改正に伴って整備したものであります。  付則関係につきましては、施行期日を公布の日から起算して八カ月をこえない範囲で各規定につき政令で定めることとしたものであります。なお住宅金融公庫法簡易耐火構造に関する部分改正は、貸付条件等関係から昭和三十五年四月一日から施行することとしたものであります。  関係法律の一部改正につきましては防火規定の整備に伴いまして防火地区内借地権処理法住宅金融公庫法官公庁施設建設等に関する法律耐火建築促進法の用語を整備いたしましたことと、手続関係消防法住宅金融公庫法清掃法日本住宅公団法を整備いたしましたものであります。  以上本法案の概要を御説明いたしましたが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決下さるようお願いいたします。
  6. 早川愼一

    委員長早川愼一君) それではこれより質疑に入ります。本日は、説明員として建築指導課長前岡君、農林省農地局中島農地課長が見えております。御質疑のおありのお方は順次御発言を願います。   ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  7. 早川愼一

    委員長早川愼一君) 速記を始めて下さい。
  8. 田中一

    ○田中一君 政令におそらくいろいろなものを譲るのだと思うのですが、たとえば、不燃材料とは何か、どんなものをいっているのか。せんだっても参考人にも質問しておいたのですが、不燃材料という定義だけでは、どこで不燃材料と認めているものが不燃材料かというと、たとえばせんだっての参考人の意見では市川さんは省令できめてくれ、それから古川さん、大須賀さんはJISで認めてくれ、統一してくれ、それから内藤さんはいろいろ役人らしい理屈を言っていましたがね。どういうものを不燃材料定義づけるかということです。まただれがそれをきめるかということですね。というのは新しい材料がどしどし出ております。そういう点に対する認定といいますかね、この法律できめておりますところの不燃材料というものは何か。また政令でどういうようなきめ方をするのか。最初にそれを伺いたいと思うのです。
  9. 稗田治

    政府委員稗田治君) 防火関係の材料につきましては、一応防火性能に関するJISの試験の規格をきめるわけでございます。従いまして、その規格に合っておれば新しい製品でも使えることになるわけでございますけれども、やはり一般にただJISの何号の規格というような表現でも、かえってわかりにくい面もあるかと思いまして、石綿板であるとかあるいは鉄網、ラス・モルタル塗りとか、そういった平易にわかる普通名詞は例示として使いたいと思っております。
  10. 田中一

    ○田中一君 どこでその不燃材料という決定をする権限を持っておるのですか。法律規定するとこれは強制されるのです。従って、ラス・モルタルというものというその決定する権利はどこにあるのですか。権利はだれが持っているのですか。あの工法をやってみたが今まで燃えなかったから不燃材料だ、こういうような今までの経験からくるところの通念でやるのか、もっと学問的にごうなっているからこうなんだということでもなければならないと思うのです。同じ不燃材料でも火災の場合熱が千度をこえる場合と七百度である場合とでは、その結果というものはおのずから迷ってくるわけです。千度が瞬間千五百度、千八百度になった場合にどうなるかということになると、これまたむずかしい問題が起ってくるわけです。単に火災現場に行って熱度を調べたりするわけではないのですから、推定とか経験をもって判断をすると思うのです。従って、もう今日の自由経済の世の中では続々と新製品というものは生まれてきている。またそれを実際にすすめているような設計技術家もいるわけです。そうした場合実験するような学校は日本にたくさんあります。京都大学でやったらいいというものも東京大学では否定する場合だってある思うのです。そういう不燃材料法律できめる以上その不燃材料を便わなければならないのです。その場合これが不燃材料である、安心なものであるということを決定づける権限はどこにあるのか。
  11. 稗田治

    政府委員稗田治君) 不燃材料につきましては一応通常の火災程度の温度では発火して燃えない、という材料が不燃材料になるわけでございますけれども、それぞれ政令規定する場合、たとえば不燃材料で被覆すると申しましても、厚味等の関係から熱の伝導の工合等も違ってきますので、燃えない材料であっても厚味が何ミリ以上なければいけないとか、そういうことを同じような防火性能を有する規格に統一しまして定めるわけでございます。
  12. 田中一

    ○田中一君 たとえば鉄板ても熱を伝導しますから、鉄板は燃えないでも裏が燃えるということはあり得る。しかし間隔をおいたならば熱が遮断されて燃え移るのが違ってくるということ、従って不燃材料というものは工法、工作によって度合いが違ってくるわけです。特に燃焼性の板に鉄板をもって、熱を加えた場合には板は伝導しますから燃えてくる。間をおいた場合にはどうなるか、間をかりに何寸おいたとかいうことになるとどうなるか、というような場合には追うと思うのです。だから政令ではそうした工法の点からも、あるいは材料そのものの質の問題からも、今言っている厚味の問題もそういうこまかく規定するつもりなのかどうか。
  13. 稗田治

    政府委員稗田治君) その使用上の目的に従いまして、工法におきましても規定するわけでございます。
  14. 田中一

    ○田中一君 そういうこまかくほんとうに規定するわけですか。
  15. 稗田治

    政府委員稗田治君) 不燃材料を使用する場合、不燃材料の厚味であるとか今委員のおっしゃいましたように空間を設ける、またパッキングで空間を設けるとか、そういうことは同じ防火性能を持たせるように規定するつもりでございます。ただ厚味を全然要しないというような目的の場合には規定はしないわけでございますけれども、防火性能の必要な所には同じような水準で線を引くつもりでございます。
  16. 田中一

    ○田中一君 いろいろな名称なり商号なりを登録して、材料に固有名詞というものをつけて自分の商売を保護するためにたくさんやつております。そこであなた方が政令指定する不燃材料の場合、むろんそうした登録されているような名称はおそらくしないものと思うのですが、その点はどういう形で材料に対する指定をするのですか。あるいは規格というものを明らかにして、たとえば不燃板というものはかくかくかくかくのものであるというような規定をしようとするのか。通念でわれわれの使用しているところの名前、宣伝が行き届いているものは、そんなことを言われるよりも何か一つの材料の名前を言った万が、ああこういうものかということになる。これは建築技術家の問題ではない、しろうとの施工主がこんなものがほしい、あんなものがほしいという場合もあるわけですれ。そういうものはどんなように規定をするつもりであるのかですね。
  17. 稗田治

    政府委員稗田治君) 政令等に材料の例示をいたします場合には、普通名詞で例示をするつもりでございます。従いまして商品名などは取り入れないというつもりでございます。なお性能につきましてはJIS等で規格をきめることになるわけでございます。
  18. 田中一

    ○田中一君 たとえば現在建築基準法の施行令にある第百十一号の「(防火上主要である材料)」というところに「セメント、メタルラス、ワイヤラス、木毛セメント板、」とありますが、あるいはこの木毛セメント板というのは、名称登録をだれか取っておった場合にはこれは変えますか。これは今までに往々あるのですよ。たとえばある人が火山砂利を原料にした壁構造体を作ったが、こんなものは何年も前からずっと普通やっているのです。にもかかわらず特殊局がこれに特許を与えている。そのために毎年莫大なる特許料を取っているという例もある。二年も三年も前から実際やっている。  やっているにもかかわらずそういう登録なりあるいは特許の申請なりをして、それが間違いだか正しいか知らぬけれどもそういう権利を与えられて、国民が莫大なる不当支出をしているのですよ、こういう事実がある。この点につきましては、当時の住宅局長の大村己代治君が抗告をしたけれども取り上げられなかったということがあるのです。従って政令で材料を指定する場合には非常に慎重にしなけはばならぬのです。あなたの方で特許局全部調べて、こういう名詞の登録があるかないか、ただここにあるように木毛セメント板などというものはどこかで名称を取っていたらどうします。そういう点は慎重に特許局その他を全部調べて政令指定するということになるのか。この点非常に危険を感ずるわけですね。あなた方も迷惑な話なんですよ。しかしまた今日の特許法なり登録制なりというものがある以上、その権利も守らなければいかぬ、そういう点の態度を一つ伺いたいと思うのです。
  19. 稗田治

    政府委員稗田治君) 品名につきまして例示をいたます場合は、普通にたとえば鉄であるとか、セメントであるとか、材料そのものを示すような言葉で、商品名と誤解のおそれのないような、一般に流布されているそういう言葉を使いたいと思っているわけであります。なお木毛セメント板につきましては、日本工業標準規格ではっきり質につきましては規定されておるわけであります。
  20. 田中一

    ○田中一君 ここに建設大臣指定する日本工業規格、JISの問題が書いてありますがね、これは規格の問題です。規格の問題はそうするとこの通りですね。JISできめているものに適合するものをむろんとると思いますけれども、名称の問題なんです、結局。これは今言う通り全部調べますか、特許局にどういうものが今名称登録になっているかというような点を。
  21. 稗田治

    政府委員稗田治君) 名称につきましては、できるだけ材料そのものを表わすような名前、そういうものを政令に入れていきたい。従いまして、今、田中委員のおっしゃいましたような非常に疑義の生ずるようなものは、これは一応の例示でございますから、そういうものは避けたいと思っております。
  22. 田中一

    ○田中一君 第六条の確認及び申請手数料の額が昭和三十五年に本法が施行されたままで据え置かれておる、実情に沿うようにその限度を増額するというが、増額する限度はどういうものを持っているか、一つここに当委員会に提出願いたいと思います。政令改正案の内容というものを。
  23. 稗田治

    政府委員稗田治君) 手数料の上限の増額につきましては、物価水準等によりまして、それにならいまして引き上げたわけでございますけれども、零細な建築主に負担を増すということも今日の状態におきましてはいかがかと思いますので、できるだけ、たとえば十五、六坪以下の住宅といったようなものにつきましては、現在政令指定されておる程度に押えておきたい、そういうように考えておるわけでございますが、現在政令案としましてわれわれが研究中であります詳細の各規模等につきましての段階につきましては、後刻案をお届けいたします。
  24. 田中一

    ○田中一君 せんだっても参考人に質問したときも申しヒげたように、建設省が所管する手数料、各種の手数料等の金額も全部出していただきたい。それから他の役所の所管の手数料等も、何年にこういう手続によって幾らの手数料を払ったということを全部あけていただきたい。と申しますのは、単なる建設省の問題ばかりでないのです。二十五年から今日までの間に——これはむろん地方の監督をしたり指導をしたりする面の予算の計上が足りないのじゃないかということを内藤参考人も旨っておりました。実態はどうなっておるかということを調べなければいかぬと思うのですよ。それはまあめんどうでも一つそれは当委員会に提出してほしいと思います。そうした後にこの質疑はいたします。
  25. 稗田治

    政府委員稗田治君) 手数料の増額につきましては、他の法律の施行の手数料との均衡の点もございますので、できるだけ調べたわけでございます。なお漏れなく調査いたしまして、資料としてお届けいたします。
  26. 田中一

    ○田中一君 ちょっと、今農林省の農地課長が来ているようですから、その方を先に一つだけさしていただきます。  現在、農地の地目変更という問題ですね、これはどういう手続によって行なっているか伺いたいのです。
  27. 中島正明

    説明員(中島正明君) 農地の転用につきましては、農地法の第四条、第五条並びに第七十三条に規定がございまして、第四条は、これは自分の持っております農地を自分が転用する場合でございます。それから第五条は、これは他人から農地を買いまして、あるいは他人の農地の上に借地権を設定をいたしまして転用する場合でございますが、いずれも五千坪以下の場合は都道府県知事の許可を要する、一件面積が五千坪をこえる場合には農林大臣の許可を要することになっております。  それから、第七十三条でございますが、これは開拓地でございまして、開拓地につきましては、売り渡しをいたしまして、政府が未墾地買収をいたしまして売り渡しをいたしますが、開拓者に売り渡しをいたしましてから五カ年たちますと、そこで成功検査をいたします。その成功検査を終りましてから三カ年間は、これはすべて農林大臣の許可を要することになっておりまして、ただいま申し上げました五千坪以下は知事の権限ということがこちらの方ではございませんで、すべて農林大臣の許可を要するということになっております。
  28. 田中一

    ○田中一君 大体われわれ今まで通念として、農地委員会がこれに対する意見を答申しておるというようになっておると理解しておるのですが、現在でもやはり農地委員会の答申ということに基いて比較的その線で許可されるというようなことがあり得るのでしょうか、実際の運用の面においては。
  29. 中島正明

    説明員(中島正明君) ただいまの許可申請手続でございますが、それはまず地元の農業委員会申請書を、それぞれ知事あてなりあるいは農林大臣あてなりの申請書を提出をいたしまして、農業委員会で意見をつけまして、それを知事に進達をする、こういう手続を経ることになっております。なお、知事が許可をいたします際は、都道府県にあります農業会議の意見を聞いて許可をするという手続にいたしております。ただいま田中先生から御指摘の点でございますが。相当件数が——私正確な資料を持ってきておりませんが、一年間に十数万件というような多数の一件数にわたりますので、県で許可をいたします際に、一々現地を見るというだけの費用も、あるいは余力もございませんので、非常に面積の大きいものあるいは承要なもの等につきましては、県でみずから現地調査をするというようなことをやっております。こまかいものにつきましては、現地の事情なり何なりよくわからない点につきましては、農業委員会の意見を尊重用して、それに基いて許可をするというような工合の通常になっておると思います。
  30. 田中一

    ○田中一君 そこで、今お話しの農地法第四条、第五条と、次に私が伺いたいのは、建築基準法の第六条の許可申請の運用の点でありますけれども、現在この建築基準法許可申請には、農地が宅地に転用が許可されたという決定がなくてもうちが建てられるのです、許可できるのです、いまの現行法は。そこに正しいものであっても違反したとか不正であるとかといって宅地業者等が引っぱられる例がたくさんある。事実調べてみるとこれは違法ではないのですよ、慣例としてやっていることは。ここに法の欠点があるのではないかと思うのです。建築基準法の万で第六条の規定でもって、何もそれが農地であろうが、宅地であろうと、家を建てるなら、それは宅地であるという前提に立って許可をするわけです。こういう点はあなたの方でも非常に迷惑な話でしょう。何か農業委員会あるいは農業会議とだれかとが結託して、とやかくいわれるようなこともある。何も許可しないのに家が建つたじゃないか。ところが事実、建築許可申請する方は建築基準法許可してあるのです。許可してしまうから建ってしまうのです。ところが事実また農業委員会または農業会議でもって決定されておらぬという場合はたくさんあるのです。ここに問題があると思うのです。これは農地法の欠陥かあるいは基準法の欠陥か、この点は農地局の万から一つ卒直に、何も遠慮することありませんよ、次官がおったって。率直に言って下さい。
  31. 中島正明

    説明員(中島正明君) ただいまの御指摘の点につきましては、実は私どももかねてからそういう建築基準法と農地法の運用上の連絡がどうもうまくいっていないという話を聞いておりまして、建設省にも、実はできるならば法律改正をして、農地法と建築基準法の連絡をもう少しよくするようにしていただきたいというようなお願いをいたしておったわけでございますが、これは建設省の方でも、伺いますと、農地法のみならず、あるいは河川、道路の占用許可等についても同じような問題がございまして、それらについて総合的な調整をできたらしいということで、法制局にもそういう案で実は交渉をされたというように伺っておりますが、私ども伺いました範囲では、建築基準法は、これは許可ではございませんで、これは建設省からお答えになった方が適当かと思いますけれども、建築許可ではなくて、建築物が一定の基準に適合する場合には確認をしなければならないという規定になっておりまして、従って極端に申しますと、土地について当てがあろうとなかろうとと、言うとおかしいのですが、農地の転用許可があるなしということには一応かかわりなく、一定の基準に適合しておれば確認をしなければならない、こういう建前になっておりますので、特に農地の問題だけを取り上げまして、農地の転用の許可のあったものだけ建築確認を与えるというような取り扱いは、法制上の問題として困難であるということを伺いまして、それではまあ法律改正の問題としては、あるいは将来の問題としてさらに検討は要するとしても、さしあたりの対策といたしましては、建設省の住宅局長と農林省の農地局長の連名の通達を都道府県知あてに出しまして、建築主事建築確認と農地の転用許可の連絡を一つ密接にやっていくようにという指示をしようということで、ただいまその文案につきまして住宅局の方と協議中でございます。たとえて申しますと、建築確認申請がございました際には、そういう農地に建築をしようとする場合には、できるだけ、あらかじめ農地法の許可を受けてこいというような御指導を建築主事に願いますとか、あるいは建築確認を通知をいたします際に、農地に建築をしようとする場合にはあらかじめ農地法の許可を受けてから建築に着手しなさいというような指示をしていただきますとか、そういう方法によりまして、農地の転用許可建築確認との連携を密にいたしまして、今先生から御指摘のございましたような事態をなるべく防止したい、こういうことでただいま具体的な案を建設省の方と協議中でございます。
  32. 田中一

    ○田中一君 徳安さんに伺いますが、今私が農地課長に質問しておるような事態なんです。従って宅地に関するトラブルは、建設省が所管する建築基準法の一面不備とは言えるのですけれども、そこに一つの盲点がある。解釈の盲点です。これは建築基準法であって宅地の問題ではないといわれれはそれまでなんです。ところがそごに盲点がある。それで数々の不正問題や何かが起り得る余地を残している。あなたはこれは建設政務次官だからどうも言いませんが、国務大臣である大臣が、これは何も、おれは建設だ、おれは農林だ、おれは建設だから農地のことは知らぬなんというようなことは言えないんです。こういう盲点があって、今伺ってみると、何万件というような問題が年々農地委員会または農業会議の方で審議されているんです。われわれはそういう事例をたくさん知っております。それが摘発されるんです。そうすると、誇大に何か不正があるようなことをいわれることも往々にあり得るのです。今まで農地問題でそうした問題でもって片方は建設省が許可をして家を建つちゃう。それは何かというと、当法この農地は宅地に転用されるものという前提でそれは許可を受けるから、許可を与えられて建ってしまうということになるんです。こういうことは、同じ責任ある政府の中でもって、これはいたずらに犯罪を作る余地を残しているということであって、これはよい政治じわございません、従って、ただ単に行政指導でものを解決するなんということじゃなくてほかの関係があろうとなかろうと、この問題は、今回の基準法の改正でもってどっかにそれは織り込んだっていいんではないか。河川の問題、道路の問題あるでしょうけれども、現実に河川、道路の場合には公共性の強いものが多いからいいけれども、建築の場合には全くの個人の私有財産が多いんです。その点に対してどういう考えを持っているか、伺いたいと思うんです。
  33. 徳安實藏

    政府委員徳安實藏君) ただいまの田中委員の御質問、私ども実はもっともだと思いまして、この案をこしらえますときに、そうした一般の万に迷惑がかからないような処置をこの法に織り込むべきだ、こう実は考えまして、強く法制局と折衝さしたのであります。ところが、これは私も法律家でないから詳しいことはわからぬですけれども、この基準法は建築物構造規定するものであって、そこに建築をしろという許可はないのだ、こういう、法律の解釈がそうでございまして、従って、建築物構造を規制する建築基準法、これによってかりにきめられまして、いいということが確認されましても、家を建てるということはまた別なんだ。ですから、農地法によって許可を得ないところにこれを建てたのでは、これはいけないんで、やはり二段の法律適用を受けるわけだから、農地が宅地に転用されてから、その基準法による認定のものを建てるのだ、こういう行き方をしなければいかぬのだというような、どうしても法制局では承知しない結果ですね、やむなく一応今は見送りの姿になったわけでありますが、非常にこの法律には矛盾が今日多いように思います。従って、今のところでは、先ほど農林当局からもお話がございましたように、今、せめても両方の連携を密にいたしまして、そうして受付の窓口で十分指導しまして、建築基準法による認定を得ましても、建てる場合には当然宅地として十二分に確認された場所、農地ではいけないのだ、農地に建てるときにはこういう手続をして宅地にして下さいというような指導を十分しょうということで了解事項になったようでございましてこれは、私ども非常に遺憾に思います。  ですから将来は、法の建て方、こうはっきりと割っての考え方で、法制局では、そういうことを言っておるようでございますけれども、建築物を建てる場合におきましては、やはりこういう場所でなければ建てられないのだ、建つちゃいけないのだということぐらい一カ条入れてもいいんじゃないか、こう思うのですが、今申し上げたような関係で、法制局との折衝の結果、どうしても入れられませんので、こうしたことになったわけであります。
  34. 田中一

    ○田中一君 そこに、市川君なんかがこの間言っておるように、都市計画との関連を持った建築基準をやらなければいかぬということですね。  この基準法の中に、ただ建築構造物ということに対する規制ばかりじゃなくして、政治性が入っておる、社会性も入っておる、これは全くの技術上の問題ばかり言っているのじゃないです。やはり社会性なり政治性が入っておるのです。この中に織り込んであるのです。だから宅地法という法律を作るつもりですか——どうすれば、それが規制されるか、国民が知らず知らずに、建築基準法という法律によって犯罪を助長されるのです。建築基準法という法律の、不備のために、あるいは建築基準法という法云々を言わないまでも、いわゆる建築物を建てるという、この国民の意思、これを間違った方へ力を貸していくというような形の法律、これは、やはりあっちゃならぬと思うのですよ。建築基準法は、全部建物そのものに対する規制ばかりじゃないのです。国民生活も、社会生活も、あらゆる面において、全部言ってておるのです。火事の問題にしても、道路の問題にしても、全部そうです。全部これは、そのために、道路制限なり何なりあるわけですよ。宅地そのものに対してはないのだということはあり得ない。ただ単に、建築物だけの構造なら、構造という技術的な面だけを規制しておるところの法律ならいざ知らず、たくさんあります、そういう社会性というものを織り込んであるものは、私はやはり、これはよくないと思うのです。法制局が、そう言ったから、これは今度入らないのだというのはいかん。  そういう間違いを知らず知らず国民が犯していくのですよ。その間違いを犯していくということに、建築基準法が手を貸しておるのです。これはいけない。どうすれ、はいいか。一つ政府の見解を伺いたいと思うのです。
  35. 徳安實藏

    政府委員徳安實藏君) 最も国民にわかりやすい方法で、建築するときに、違反を犯させないような措置をとることが最も必要だと思います。従って親切なやり方で申しますならば、こうした法律の中にも、わかりやすく一条書き入れるということも必要ではないかと、私ども実は考えたのです。  ただ農地法に関しましては、農地法によるいわゆる農地は、宅地ではないから、住宅は建てられないのだという原則ができておるわけでありますから、そこに宅地として家を建てるということは、法に違反しておるわけです。従って農地には、家を建てるということはいけないわけですから、そのいけないということを国民に徹底させるという、今の段階では、そういうこと以外にないと思いますが、それに当りましても、農地に、この住宅その他の建造物を建ててならぬということは、これは、大体今、国民で知らない人は、おそらくないと思いますが、もしそうでないとしましても、今申しましたように窓口で、そういうものを許可いたしまするときには、これをお建てになるときには、農地ではいけませんよということを十二分に理解させるようにいたしまして、そうして、もし農地でありますれば、宅地の手続をとって転換して、地目を変更させてからお建て下さいというようなぐらいの指導を十二分にするという以外に、ただいまの建前ではないわけであります。  しかし、ただいま田中委員のお話のように、もっと親切なやり方で申しますならば、農地には建つちゃいかんのだ、だからしてはならない、いけないのだから、建築物構造を規制して、建築基準法による認定につきましても、まず宅地であるということを明示してから、認可をしてやるというような考え方も、一応織り込んでもいいのじゃないかというふうに、私ども実は、常識上は考えるわけなんであります。もっとも今お話のように同意見になりますけれども、法の建前から、どうしても法制局の方で承知しないで、こうした結果になったのでありますが、この点につきましては、今後十分研究さしていただきます。
  36. 田中一

    ○田中一君 現在一定規模以下の建築申請というものは、届出制になっているのです。あなたの方では届けができたら、すぐに登記所へ行ったり、あるいは現場へ行って、これが宅地としての転用が許可になっているかどうかという問題を確認して出すという親切をしますか。
  37. 稗田治

    政府委員稗田治君) 今、田中委員が御意見を述べられた点につきまして、多少正確に申しますというと、建築基準法におきましては、確認というのと、それから建築基準法が、都市計画上その他から禁止しているというものを、解除する許可という三つの手続がございます。それで確認いたします区域というのは、これは全国に行きわたっているわけ、はないわけでございます。大体は、都市計画区域内は、全部確認を要するわけでございますけれども、都市計画区域外でございますというと、これは確認は、特に必要なところは、区域指定して、確認手続を義務づけているわけでございます。そういうようなことになっておりまして、確認は、御承知のように小さなものであれば、申請が出てから、もし内容が基準法に違反していなければ七日以内、それから大きなもの、あるいは特殊な構造のものにつきましては、三週間以内で、これを確認しなければならないというようになっているわけでございます。  それで全国の、全般的に申しますというと、確認区域外でございましても、着工の届けば、これは出すことになっているわけでございます。着工の届けば、ごく簡単なものでございまして、これは届出を、別に、受領したというような、相手に通知するものではなくて、建築の勅態統計上必要でございますので、そういうことを法律で実施しているわけでございます。  従いまして、われわれが、この農地法の許可関係との支障につきまして、現在考えておりますことは、建築基準法は、おのずから第一条に書いてございますような国民の生命、財産を守り、なおあわせて都市計画的な観点からも、公共の福祉を増進するというような、そういう建前で全部制限規定かできているものでございますから、もし、そこに建てるとすれば、こういう形、こういう用途のもの、こういう構造でなければならないということで、確認あるいは許可を実施しているわけでございます。  従いまして農地等の場合に、建築確認なり許可がありましても、なお他の法律適用は、当然受けるわけでございますので、農地法の適用を受けるような危惧のある敷地を選んで参りました場合には、着工する前に農地法の許可を得なければ、農地法の違反になりますという注意書きをつけて、申請者によく説明して渡す、あるいははっきり、受付のときに農地であるということが、建築主事の方で確認できる場合には、これは農地であるから、先に農地法の許可をやられたらどうですかといったような指導で、建築基準法許可なり確認が、全部他の法律のあらゆる許可を得たものだというような誤解のないように指導していきたいというように考えておるわけでございます。  従いまして、こちらが建築基準法の実施を担当しておる特定行政庁としまして、農地法の関係に密接に連絡し、御協力する範囲は、確認手続許可手続が興るというものだけに限られるのではないかというように考えるわけでございます。
  38. 田中一

    ○田中一君 今、何でしょう、小さい住宅などは届けをすればいいのでしょう。
  39. 稗田治

    政府委員稗田治君) 今の都市計画区域内とか、確認区域内は、これは市衛地建築物法の場合には、届出と認可と二つの事項にわかれておりましたけれども、現在は、全部それが確認申請という手続に変っておるわけでございます。  確認申請は、この基準法の制限条項に照らして、全部趣旨が合っておるというという証明をして渡すといったような形のものになっておるわけでございます。  なお多少、あまり事務の手続が煩項では困るというので、準防火地域とか、あるいは防火地域以外では、小さな増築というようなものは、これは確認を要しないということになっております。
  40. 田中一

    ○田中一君 小さな住宅の場合は、えてして農地の中に、ぼんぼん建っていくのですよ。それは政府が一生懸命宅地造成に対して力をかしているからですね。どうも、そういう傾向があるのですね。  もう宅地として分譲もしてしまっておる。農地としては安いものだから、高いもので分譲してしまって、なおかつ、農地法の転用の決定が下りていないにかかわらず、やっておるところが、たくさんあるのです。こんなことないどころじゃない、あり過ぎるのです。あり過ぎるから、各地から、そういうような法律改正の要望があるわけですよ。で、行政指導といっても、こういう法律がございますよ、と教えただけでは、徹底しないものなんですよ。この建築主事が、確認をすると、それは、もう完全なものだというように誤認するわけですよ。それは行政指導といっても、どういう形で行政指導するか、それは一つ、もう少し農地局の方で納得するような方法でやっていただきたいんです。  それで、今、原案について相談中というから、この法律の仕上る前に、そのお互いの申し合せ事項なり、具体的な、こういう方法をもって、それを行政指導いたしますと、効果ある行政指導ということを目途にして、了解事項を出して下さい。  このものについては、私ここで質疑をやめますが、それに対する御答弁を願いたいと思うのです。両方から出して下さい、農地局の万からと。
  41. 稗田治

    政府委員稗田治君) 効果のある行政指導を、もちろん考えなければならないわけでございますが、現在、建設省として考えておりますのは、窓口で受け付ける場合に、農地法の適用を受けるおそれのある敷地につきましては、一応の注意を与える。なお確認申請書にも、先ほど言いましたように、農地法の許可を要する場合には、それを得てからでなければ、農地法の違反になるという注意書きを全部添付する。そういうことで、申請人の手元には確認書が参るわけでございますので、建築主の万に、農地法に違背するといったような積極的な意図がなければ、大体目的は達せられるのではないかというように考えているわけでございます。  なお、特定行政庁なり府県なりに、共同通牒で出します案文につきましては、目下協議中でございますので案がまとまりましたら、お届けいたします。
  42. 中島正明

    説明員(中島正明君) ただいま住宅局長の方からお話がございましたように、目下案文につきまして、相談をいたしておりますので、まとまり次第、お届けするようにいたします。
  43. 早川愼一

    委員長早川愼一君) それでは、本日は、この程度にして散会いたします。    午後零時十五分散会