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1959-03-18 第31回国会 参議院 決算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月十八日(水曜日)    午後一時三十四分開会   —————————————   委員の異動 三月十三日委員豊田雅孝辞任につ き、その補欠として中山福藏君を議長 において指名した。 三月十四日委員高野一夫君及び小柳勇辞任につき、その補欠として小山邦 太郎君及び羽生三七君を議長において 指名した。 三月十六日委員小山邦太郎君及び中山 福藏辞任につき、その補欠として鶴 見祐輔君及び豊田雅孝君を議長におい て指名した。 三月十七日委員鶴見祐輔君及び竹中恒 夫君辞任につき、その補欠として高野 一夫君及び千田正君を議長において指 名した。 本日委員羽生三七君及び千田正辞任 につき、その補欠として小柳勇君及び 竹中恒夫君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     西川甚五郎君    理事            西岡 ハル君            平島 敏夫君            増原 恵吉君            小柳  勇君    委員            稲浦 鹿藏君            手島  栄君            武藤 常介君            相澤 重明君            東   隆君            大矢  正君            大河原一次君            森中 守義君            岸  良一君            天坊 裕彦君   政府委員    内閣参事官兼内    閣総理大臣官房    会計課長    吉兼 三郎君    警察庁長官官房    会計課長    大津 英男君    皇室経済主管  高尾 亮一君    自治庁長官官房    会計参事官   中西 陽一君    防衛庁人事局長 山本 幸雄君    防衛庁経理局長 山下 武利君    防衛庁装備局長 小山 雄二君    調達庁総務部会    計課長     鐘江 士郎君    経済企画庁総合    開発局長    淺村  廉君    法務大臣官房経    理部長     大澤 一郎君    外務大臣官房会    計課長     吉田 健三君    大蔵政務次官  佐野  廣君    大蔵省主計局司    計課長     未廣 義一君    文部大臣官房会    計参事官    天城  勲君    厚生大臣官房会    計課長     山本 正淑君    農林大臣官房経    理厚生課長   丸山 幸一君    通商産業大臣官    房会計課長   阿部 久一君    運輸大臣官房会    計課長     向井 重郷君    運輸省港湾局長 中道 峰夫君    労働大臣官房会    計課長     松永 正男君    建設大臣官房会    計課長     南部 哲也君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    科学技術庁資源    局計画課長   来正 秀雄君    林野庁業務部監    査課長     森田  進君    水産庁生産部漁    港課長     林  真治君    建設省河川局治    水課長     川村 満雄君   —————————————   本日の会議に付した案件理事補欠互選昭和三十二年度一般会計予備費使用  総調書(その2)(内閣送付予備  審査) ○昭和三十二年度特別会計予備費使用  総調書(その2)(内閣送付予備  審査) ○昭和三十二年度特別会計予算総則第  十三条に基く使用調書(内閣送  付、予備審査) ○昭和三十二年度特別会計予算総則第  十四条に基く使用調書(内閣送  付、予備審査) ○昭和三十三年度一般会計予備費使用  総調書(その一)(内閣送付予備  審査) ○昭和三十三年度特別会計予備費使用  総調書(その一)(内閣送付予備  審査) ○昭和三十二年度一般会計国庫債務負  担行為総調書内閣提出) ○昭和三十二年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和三十二年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和三十二年度国税収納金整理資金  受払計算書内閣提出) ○昭和三十二年度政府関係機関決算書  (内閣提出) ○昭和三十二年度物品増減及び現在額  総計算書内閣提出)   —————————————
  2. 西川甚五郎

    委員長西川甚五郎君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず委員の変更を申し上げます。三月十三日、豊田君が辞任せられまして、中山君が補欠選任されました。三月十四日、小柳君が辞任せられまして、羽生君が選任されました。三月十六日、中山君が辞任されまして、豊田君が補欠選任せられました。二月十七日、竹中君の辞任に伴いまして、千田君が補欠選任されました。また本日羽生君及び千田君が委員辞任され、小柳君及び竹中君が補欠選任せられました。   —————————————
  3. 西川甚五郎

    委員長西川甚五郎君) 次に、理事補欠互選を行いたいと存じます。去る三月十四日、理事小柳君が委員を一時辞任されたため、理事に欠員を生じております。従来の慣例もあり、理事互選委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 西川甚五郎

    委員長西川甚五郎君) 御異議ないと認めます。それでは小柳君の補欠として小柳君を理事に指名いたします。   —————————————
  5. 西川甚五郎

    委員長西川甚五郎君) 昭和三十二年度一般会計予備費使用調書(その2)、昭和三十二年度特別会計予備費使用調書(その2)、昭和三十二年度特別会計予算総則第十三条に基く使用調書昭和三十二年度特別会計予算総則第十四条に基く使用調書昭和三十三年度一般会計予備費使用調書(その一)、昭和三十三年度特別会計予備費使用調書(その一)、並びに昭和三十二年度一般会計国庫債務負担行為調書を議題といたします。  ただいまの案件につきまして質疑を行います。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 相澤重明

    相澤重明君 三十二年度の予備費使用の中の、災害補助に出したものの説明を先に一つ求めたいと思います。
  7. 西川甚五郎

    委員長西川甚五郎君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  8. 西川甚五郎

    委員長西川甚五郎君) 速記を始めて。  それでは三十二年度の予備費使用につきまして農林省運輸省建設省の順に順次説明を願います。まず農林省
  9. 丸山幸一

    政府委員丸山幸一君) 三十二年度の、すなわち三十三年一月から三月までの分でございますが、このうち災害関係といたしまして水産関係漁港施設復旧関係が千五百二十二万円余りでございます。それからもう一つは、農林水産業共同施設災害復旧が百三十六万円、前者につきましては、すでに支出済みが千四百十二万円でございまして、若干請負資金等によりまして、見積りよりも若干少く入札したというような関係で、不用額漁港関係で百十万円程度出ております。それから共同利用施設は、これはごくわずかでございますが、もともと金額が百三十六万円でございまして、これは主として庁費並び共同利用施設復旧でございます。不用額が二十三万円で、両方とも完了いたしておるわけでございます。
  10. 西川甚五郎

    委員長西川甚五郎君) 次に、運輸省の御説明を願います。
  11. 中道峰夫

    政府委員中道峰夫君) 昭和三十二年に発生いたしました台風によります被害を生じた港湾事業の中で特に緊急復旧を要するものに充当をいたしました。直轄港湾災害復旧費といたしまして五百万円、これが使用承認額でございまして、支出済額は四百九十九万七千四百四十円でございます。不用額といたしまして二千五百六十円、それから補助関係といたしまして、福島新潟におきまする港湾事業災害復旧に対して補助をいたしております。金額は七百四十八万一千円でございまして、福島県に四十七万七千円、新潟県に七百万四千円、支出済額も同様でございまして、不用額はございません。  以上でございます。
  12. 西川甚五郎

    委員長西川甚五郎君) 次に建設省に願います。
  13. 南部哲也

    政府委員南部哲也君) 三十二年度の災害復旧費並びに河川等災害関連事業総額十一億四千三百二十九万六千円でございますが、このうち災害復旧融雪風浪並びに十二月豪雨に基くものでございまして、栃木県外二十八県、並びに名古屋市、京都市の二市の災害復旧に充当したものでございます。災害関連のうち、河川等災害関連は冬期の風浪、五号台風並びに八月、九月下旬の豪雨に基くものでありまして、河川につきましては二千二百六十八万六千円、これは福島県以下八県でございます。それから海岸につきましては二百十三億円、茨城県、熊本県の二県でございます。それから砂防につきましては二百六十万円、愛知県の分でございます。それから道路におきまして百三十万円は鳥取県、大分県の分でございまして、主として七、八月豪雨に基くものでございます。
  14. 相澤重明

    相澤重明君 ちょっとそこで今の農林省災害補助関係で、千五百二十二万のうち、千四百十二万円で仕事をしたというのが、実際の見積りよりは百十万ほど安かったと、こういうことなんですね。この災害復旧地元で非常に困っておるのに、政府計画をしたよりは安くなったというのはどういう理由なのか。これはもうどこへ私ども決算現地調査に行っても、非常に災害では困っておる。そういう点から考えて、具体的な、一つ内容説明をしてもらいたい。このことについては、ともするとこの各省災害復旧というものがおざなりに済む傾向がある。こういう点はまことに国会として予備費等支出する場合に重要な問題点になるので、私としては今のこの一応の農林省としての計画を立てたのに、見積りが安くて済んだと言って、いかにも得々としているような報告であるけれども、これは私どもから見ると、少し足りない点があると思うのですから、一つ工事概要、それを説明してもらいたい。それから請負会社、こういうものも一つ説明をしていただきたい。
  15. 林真治

    説明員林真治君) 三十二年度のただいまの予備費関係使用についてでございますが、災害発生につきましては、申請がありましたものにつきまして、農林省といたしまして現地査定をなるべく励行いたしまして、最近におきましては、ほとんど全部の個所につきまして現地査定を行なっておるわけであります。査定を行いますにつきましては、事業の設計上の単価、歩がかり等につきまして一応の標準的なものがあるわけでございます。なおそれらの標準によりまして、現地によりましてのいろいろなこまかい条件がございますので、それらに基きまして適正な査定額決定に努力をいたしておるわけでございますが、工事実施に当りましては、都道府県監督あるいは府県みずから営むものもございますが、多くは町村工事でございますので、都道府県がその監督に当りまして、工事実施の適正に努めておるわけでございますが、ここに出ましたいわゆる不用額は、各工事実施上の点から入札等をいたしました結果、そこに多少の差額が出ましたわけでございます。それらが集計されましてこの金額に相なったわけでございます。これは適正な査定額決定をいたしまして、工事執行に当りましても、たとえば請負工事に付しました場合に、入札残金等が出ないように努めなければならないと考えておりまするが、なかなか実際問題としては全部そういうふうにというわけにも参りかねるのであります。そのために工事がうまく執行されないということはない、こういうふうに確信はいたしておりますが、結果におきまして、多少の各事業個所ごと残金が出て参ったような次第であります。
  16. 相澤重明

    相澤重明君 私の御質問申し上げておるのは、水産漁港災害復旧工事をしたわけでありますから、その概要説明してもらいたいということをあなたに求めておるわけです。そこで具体的にそれでは御質問いたしましょう。どことどこの港で、その請負はだれであるか、これを一つ説明をして下さい。私どももずいぶん決算で方々を見て歩いておるのですから、あなたの説明を先に聞いておきたいと思います。
  17. 林真治

    説明員林真治君) 各工事個所ごと工事執行の状況につきましての資料につきましては、ただいま直ちにお答え申し上げかねる点もございますので、資料をもってお出しいたしたいと存じます。御了承を得たいと思います。
  18. 相澤重明

    相澤重明君 それでは後刻資料提出していただきたいのでありますが、昨年、一昨年と私ども漁港関係参議院決算委員会として現地調査を実はしておるわけであります。そういう中で、ともすると災害による復旧工事というものがあまり芳ばしくない。あるいは避難港としての価値が半減をするというところも実は見ておるわけです。特にそういう点について予備費使用を一応国会承認を得るという場合に、緊急措置をとる場合には、やはり地元人たちが実際に災害復旧ができて喜ばれるという方向にいかなければならぬと私は思う。農林省関係としては今度は少いけれども、実際は農林省関係は非常に多いわけですが、災害関係については農林省は多い。そういう点から私どもとしては非常に注意を払って農林省関係については調査をしておるわけです。そういう点で、後刻こまかい資料を今あなたのおっしゃったように一つ提出をしていただきたい、こう思うわけです。それから委員長、その資料提出をあとで求めます。  その次に運輸省建設省両方の問題でありますが、三十三年度の関係にもなると思うのですが、三十二年度に新潟地盤沈下についての調査費等が出されたと思うのでありますが、運輸省建設省それぞれは三十二年度のこの予備費の中ではそういう点はなかったかあったか、この点を説明願いたい。
  19. 向井重郷

    政府委員向井重郷君) 運輸省には三十二年度にはございません。
  20. 南部哲也

    政府委員南部哲也君) 三十二年度には建設省にはございません。三十三年度でございます。
  21. 相澤重明

    相澤重明君 三十二年度は了承しました。次に三十三年度について先ほどのこの新潟地盤沈下対策等もありますので、三十三年度の予備費使用について説明を求めたいと思います。
  22. 西川甚五郎

    委員長西川甚五郎君) 三十三年度予備費使用について、厚生省農林省運輸省建設省、順次御説明を願います。
  23. 山本正淑

    政府委員山本正淑君) 三十三年度につきまして、百五ページでございますが、災害関係では災害救助に必要な経費といたしまして二十二号台風による被害関係の応旧救助五千五百七十八万八千円、これを計上いたしました。それからその次に二十二号台風によりまして国民公園施設災害復旧、これは皇居外苑のがけくずれその他によりまして災害を受けまして、それが千五百九十四万五千円、これを今工事中でございます。その次は災害防疫費及び公衆衛生施設災害復旧関係でございますが、中身はたくさんございます。二十二号台風が主でございますが、伝染病予防関係法定伝染病予防費補助金二千五百九十四万七千円、それから伝染病施設災害復旧伝染病院隔離病舎災害復旧でございまして、これが百八十七万四千円、水道施設災害復旧簡易水道上水道でございますが、これは特別措置をいたしまして、簡易水道については平常の四分の一補助を二分の一に引き上げまして五百二十五万六千円、上水道災害につきましては、特にこの際災害復旧というので二分の一補助いたしまして、千三百二十八万五千円、清掃関係清掃事業災害対策につきまして二千七十七万三千円、これも平常の場合の補助率を引き上げ実施をいたしております。その次は第十一号台風による厚生省施設その他災害復旧、これは国立衛生試験所災害の設備の復旧費でございます。それから国立療養所施設災害復旧千二百三万円、これも関係国立療養所施設復旧費でございます。  それから百五十二ページでございます。これは第十一号台風等による国立病院災害復旧関係国立病院災害復旧施設費といたしまして、千百三十四万七千円を計上いたしておるわけでございます。
  24. 西川甚五郎

    委員長西川甚五郎君) 次は農林省願います。
  25. 丸山幸一

    政府委員丸山幸一君) 農林省所管といたしまして一般会計で総計十七億円、八十二ページにございます。これは農地、林野水産等公共事業費関係台風関係復旧に要する経費でございます。その系列一つと、それから例の韓国の拿捕された乗組員の帰還の援護の関係経費系列一つと、それから三番目といたしまして牛乳の乳価対策関係及び繭の調整の関係の緊急に支出を要すべきものの系列、この系列が第三でございまして、これら必要な経費合計十七億円でございます。  なお、特別会計におきましては、百四十五ページにございますが、食糧管理特別会計で三百五十億円の繰り入れの関係、それから国有林野、これは国有林野におきまする災害復旧、これが七億円、それから糸価安定の関係で借入金の償還等に要する経費が三十三億円でございます。特別会計は以上三件でございます。
  26. 西川甚五郎

    委員長西川甚五郎君) 次は運輸省願います。
  27. 中道峰夫

    政府委員中道峰夫君) 昭和三十三年の一月から三月までの冬季風浪によりまして、北海道及び東北地方発生した災害新潟港外五十数件、一億五千万円の復旧工事と、同年四月に発生しました豪雨災害九州西部外二件、一千万円の復旧工事のうちで、特に緊急復旧を要するものを施行いたしました。直轄港湾災害復旧費港湾施設災害復旧事業費補助と分れておりますが、直轄港湾災害復旧事業といたしましては千六百八十一万円でございます。第一港湾建設局のものが千六百十五万円、第二港湾建設局のものが六十六万円でございます。港湾施設災害復旧事業関係いたしますのは、北海道、青森、秋田、茨城、千葉、新潟、富山、島根、香川、愛媛、熊本静岡県でございます。総額二千七百七十九万四千円でございます。  次に新潟地盤沈下対策としまして、新潟地区地盤沈下応急対策事業費といたしまして、直轄港湾改修費直轄港湾事業調査費直轄港湾改修費補助海岸保全施設整備事業費補助に分れて施行いたしましたが、金額は一億一千八百三十六万八千円でございます。  次に昭和三十三年七月第十一号台風によりまして静岡県外十一県にわたる被害を受けました田子浦防波堤外二十数件、約二億円の復旧工事のうち、特に緊急を要するものを施行いたしました。港湾施設災害復旧事業といたしまして北海道静岡、岡山、福島大分、宮崎でございます。事業費は二千五百二十五万一千円でございます。なお昭和三十三年に発生した災害査定に要する検査費といたしまして二十九万円。以上でございます。
  28. 西川甚五郎

    委員長西川甚五郎君) 次に建設省願います。
  29. 南部哲也

    政府委員南部哲也君) 百三十四ページでございますが、百三十四ページの下の八千八十二万一千円、河川等災害復旧事業に必要な経費、これは融雪風浪並びに七月災害におきます直轄河川手取川外四ヵ所の災害復旧に要した経費でございます。それから百三十五ページに参ります。河川等災害復旧事業に必要な経費二億二千四百八十九万一千円は、同じ災害でございますが、補助河川使用した補助金でございます。次の百三十六ページの新潟市及びその周辺地区地盤沈下応急対策に必要な経費六千二百九十六万三千円、内千六百三十三万三千円は河川改修事業に対する補助でございまして、新潟周辺の新栗ノ木川並び通船川堤防かさ上げに要した経費でございます。それからその下の三千九百六十三万円並びに七百万円は、この両方合しまして都市下水路応急復旧使用いたしまして、大体において排水路整備とか、ポンプ施設整備をいたした費用でございます。次の河川等災害復旧事業に必要な経費七億九千六百三十七万四千円は、七月の豪雨並びに十一号台風使用した経費でございまして、これは河川災害並びに砂防災害道路災害災害補助事業全部に使用したものでございます。  次は百三十八ページに飛びまして、河川等災害復旧事業に必要な経費は、二十二号台風、いわゆる狩野川台風使用したものでございます。その下の河川等災害復旧事業及び災害復旧処理事務に必要な経費五億五千七百三十九万円、これも二十一号並びに二十二号の台風使用したものでございます。それから百四十ページに参りまして、百九十七万一千円、これは二十二号台風による施設復旧使用した費用でございます。  災害関係につきましては、大体以上のようなものでございます。
  30. 相澤重明

    相澤重明君 建設省運輸省のそれぞれの新潟地盤沈下に対するこの処置でありますが、当時新潟県から要請されておった額は幾らであったか、あなた方の方に陳情をせられた額があると思うのですが、それとの関連で私お尋ねしたいと思うのですが、実はこの両省で地盤沈下調査費並びにそれらの対策費を出したわけでありますが、私ども現地を見に行ったときに、あそこのすでに堤防がこわれておる、非常に流水の汲み上げが多いために沈下がはなはだしくなっておるというので、何とかこれは根本的に処置をしてもらわなければならぬというのが、昨年ですね、各省に要請をされたと思うのですが、当時の新潟県の要請された金額は、一つ建設運輸ともにどの程度であったか、御発表をいただきたい。
  31. 中道峰夫

    政府委員中道峰夫君) 昭和三十三年度に運輸省として実施をいたしました事業につきまして、最初に申し上げたいと思います。運輸省関係といたしましては、港湾区域内の海岸施設及び港湾施設に対しまして、直轄事業と、新潟県において施行いたしますものに対しまする国庫補助事業二つに分けて工事実施いたしております。まず直轄工事でございますが、予算約一億九千万円をもちまして、港湾内の浚渫工事五十四万立方メートル、物揚場工事四十五・五メートル及び西突堤かさ上げ等、延長約六百メートルを実施いたしましたが、昭和三十三年の六月ごろより地盤沈下が著しくなって参りましたために、予備費三千五百六十七万円をもちまして、この西突堤の元付部かさ上げ百九十三メートルを緊急実施をいたしまして、港湾機能確保に努めました次第でございます。  次に県が施行いたしました国庫補助工事でございますが、既定予算といたしましては、港湾内の海岸保全防潮対策といたしまして一千四百万円、同じく地盤沈下対策といたしましては、他の港湾から振りかえました五百四十万円、計一千九百四十万円をもちまして、東海岸地区護岸新設補強かさ上げ実施いたしております。これに続きまして緊急沈下対策七千二百三十万円をもちまして、同地区護岸新設補強かさ上げ実施いたしております。で、このほかにこの地区災害復旧工事が約八千万円実施されておるわけでございます。  次に港湾施設関係既定予算といたしましては、四千五百万円をもちまして、信濃川下流港湾地帯におきまする突堤護岸導流堤かさ上げ実施いたしております。  次にこの地区緊急沈下対策といたしまして、三千六百九十八万円をもって西突堤導流堤かさ上げ実施いたしております。  以上でございますが、これらの工事費合計は三億九千九百三十五万円でございまして、このほかこの地区災害復旧工事が約八千五百万円実施されておりまして、結局四億八千四百三十五万円を実施いたしまして、背後地浸水防止及び港湾機能確保に努めておるような次第でございます。特に毎年発生を見ております冬季風浪災害は、本年はほとんど現在までのところ被害を受けておりませんので、それから見ましても、これらの緊急対策工事実施いたしました効果があったものと考えておる次第でございます。
  32. 南部哲也

    政府委員南部哲也君) 地盤沈下建設省関係といたしましては、先ほど申しました通船川並びに新栗ノ木川堤防かさ上げ工事と、それから都市下水路二つに分れるわけでございますが、河川の方におきましては、地元のただいま明確な数字は、当時の要望資料等手元にございませんからわかりませんですが、事業費で約一億六百万円、国費で三千五百三十三万円ほどの要求がございました。それから都市下水道関係でございますが、これにつきましては事業費で二億六千万円、国費で八千六百六十七万円の程度要求がございました。それに対しましてこの予備費、ここにあります予備費と、並びに建設省自体の三十三年度事業費から回しまして、事業を施行した次第でございます。
  33. 相澤重明

    相澤重明君 ここで大蔵政務次官にお尋ねをしたいのでありますが、各省で、特にこの新潟沈下問題は非常に大きな問題で、住民も戦々きょうきょうとしておるわけです。各省からそういう要求が出ておるわけでありますが、これはこのほかにもちろん農林省なり関係の省があるわけですが、大蔵省として、そういう問題を総合的に検討されたのか、各省要求をもってこの程度は必要であるという考え方に立ったのか、いわゆる政府として、とにかく財布のひもを握っておる大蔵省として、一体この新潟の地盤対策についてはどういう方針をとったのか、その点を大蔵省から説明を願いたい。
  34. 佐野廣

    政府委員(佐野廣君) 新潟県の地盤沈下につきましては、地方の非常に大きな問題でございまして、私も現地調査いたしまして、もっとも調査と申しましても、私そのために行ったのじゃございませんでしたが、地元の大きな問題といたしまして、熱烈な要望がありまして、現地を見まして、対策を至急講じて差し上げなくちゃいけないと考えておりました。その後におきまして、地元からいろいろ陳情がございまして、つぶさに状況も聞きまして、そして大蔵省といたしましては、もちろん各省の御意見を聞きまして、この予備費支出ということを決定いたした次第でございます。これであそこのガスでございますとか石油でございますとか、いろいろこの原因は、なお当時におきましてはっきりしないということもお聞きいたしておりましたので、その後の御調査によりまして、なお今後恒久的な抜本的な対策を講じなくちゃいけない、かように考えておる次第でございます。
  35. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、今大蔵政務次官の答弁で、調査の方法でありますが、これは特に建設省が主体になろうかと思うのですが、具体的な調査の結論というものが得られたのか、こういう点について一つ建設省から答弁を求めたいと思うのです。
  36. 南部哲也

    政府委員南部哲也君) 建設省といたしましては、科学技術庁その他の委託に基きまして、現在まで、三十三年度並びに三十四年度も、引き続き地理調査所におきまして水準測量の測定をいたしております。これは地盤がどれだけ現実にさがっておるかということを調査いたしますものでありまして、沈下の原因につきましては、各省総合で調査をいたさなければならないものだと思っております。建設省自体で現在やっておりますのは水準測量だけでございます。
  37. 相澤重明

    相澤重明君 これは大蔵政務次官ではちょっと無理かと思うのですが、しかしまあ一応政府の代表としては大蔵政務次官ですから、佐野君に一つこの点はどうですか。今建設省建設省でやっているというのですがね。これはやはり根本的な問題は、全体として新潟地盤沈下の対策というものを立てなければならぬと私は思うのですが、そういう点は内閣でたしかやっておられたと思ったのですが、これはどうなったのですかね。どうですかね。
  38. 中道峰夫

    政府委員中道峰夫君) 沈下の原因調査につきましては、昭和三十二年の九月に関係各省現地機関と新潟県及び新潟市が中心となりまして、現地新潟地区地盤沈下調査委員会が構成されました。そして沈下原因のあらゆる要素を取り上げまして、前に申し上げました関係各省機関が緊密な連絡をいたしまして、総合的な調査実施いたしております。一方中央におきましても、科学技術庁の資源調査会に昭和三十三年四月に資源調査新潟地盤沈下特別委員会が発足いたしております。この特別委員会は地盤沈下の権威者を集めまして、原因の究明を行なっているところでございますが、これら委員会の運営を円滑にし、沈下の原因調査を総合的に実施いたしますために、昭和三十三年の十二月に、関係各省庁の間に覚書が提出されております。その内容を申し上げますと、関係各省庁は科学技術庁の資源調査会、これは新潟地盤沈下特別委員会でございますが、の意見を基礎として調査計画を立てること、この調査計画及び実施の分担は、経済企画庁に設けられた新潟地盤沈下応急対策協議会において調整すること、具体的な調査実施に当りましては資源調査会の意見を尊重し、現地組織において十分連絡すること、調査結果は現地組織で十分連絡した上で資源調査会の特別委員会に提出すること新潟地盤沈下調査についての現地組織は、新潟地区地盤沈下調査委員会によるものとすること、以上のようになっているわけでございます。この調査の方法につきましては、ただいま建設省の方の方法がお話しがございましたのですが、運輸省で行なっておりますのは、地盤の調査のためにボーリングを行う。それから地盤のある深さまでの、これは相当の深さでございますが——までの収縮量を観測するための井戸を掘りまして、この観測井戸によりまして測定すること、同じくこの観測井戸によりまして沈下の推移を測定すること、並びに一部水準測量をやりまして、各地区沈下量を測定することを分担いたして実施をいたしております。これらの調査いたしました結果につきましては、前に述べました新潟地区地盤沈下調査委員会を通じまして、資源調査新潟地盤沈下特別委員会に提出をいたしておるわけでございますが、おもな調査結果を申し上げますと、観測井戸によりまする地盤のある深度までの収縮量につきましては、昭和三十四年の二月までに実測結果が得られておりまして、これは大体井戸の深さが六百十メートルあるいは三百八十、二百六十、百三十、二十というふうに各種の井戸がありまして、平均いたしまして一日〇・五六ミリからあるいは〇・八ミリ程度に及びまして、大体平均いたしまして六百十メートルの深さの井戸におきましては一日〇・七二二ミリの収縮量でございます。井戸の深さが六百十メートルの深さの井戸でございますが、七月に観測されました平均は〇・五六ミリ、八月に観測いたしましたのが〇・六四七、九月が〇・七二八、十月が〇・七八八、十一月が〇・八三四、十二月が〇・六五二、一月が〇・八八七、二月が〇・七九、平均いたしまして〇・七二二、こういう数字になっております。この結果は、地盤の沈下量が一日に一・二ミリの地点で実測されたものでございまして、沈下量につきましては、ただいま申し上げましたように、地表から六百十メートルの深度までの収縮量を観測したものであります。  以上が運輸省でやりました調査の方法でございます。
  39. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、そういう調査の結果の資料を今度提出してほしいと思うのです。そこで私は、先ほど御答弁があったように、関係の省庁でこの問題に本格的に取っ組んだということはわかりました。最終的には経済企画庁が調整をするというのであります。経済企画庁は、今までの調査の結果に基いて具体的にどのくらい——今言った総合的に沈下をしておると調査の結果出ておるか、それから今後の見通しとして、これはボーリング等をやって実際に調査中ということになればわからぬわけでありますが、一体沈下に対する対策として、予算的にはどういうようにお考えになっておるのか、こういう点について経済企画庁から一つ御答弁いただきたいと思う。
  40. 淺村廉

    政府委員(淺村廉君) 新潟地盤沈下問題に対しましては、経済企画庁といたしまして、各省が所管をしておられます行政の何と申しますか、総合調整と申しますか、そういうような面でお手伝いをいたしておるわけでございます。しからば、どのようにお手伝いをいたしておるかということを申し上げますと、この問題は、非常に大きな問題として最近浮んで参りましたので、御承知のように、昨年予備費からこの応急対策事業費並びに調査費が支出されたのであります。この予備費は、各省予算にそれぞれ計上されたものでありますけれども、結局は新潟地盤沈下を防ぐための応急対策工事に使われる金であり、あるいはまたその原因を調査するための調査費として用いられるものでありますので、その使い方等については各省よく意見を交換し合いまして、むだのないようにしなければならないということから、昨年の八月に、先ほども運輸省の局長からお話がございましたが、新潟地盤沈下応急対策協議会というものを設置いたしたのであります。これはどういうものかと申しますと、別に法律に根拠のあるものでも何でもございませんので、関係各省の局長が委員となりまして、私経済企画庁の開発局長でございますが、私が幹事となりまして、必要のつど開いて、いろいろな話し合いを進めるということで、事務局が私どもということになっておるのであります。そこでいろいろな問題が話し合われておるのでありますが、まず原因を早く突きとめることが先決問題ではないかという考え方が、当然これは出たのでありますが、そこら辺は、はっきり分野を分けまして、この協議会は応急対策協議会だから、応急対策事業の方を推進するように持っていこう、それから原因究明の方は、これは先ほどもお話が出ておりましたが、科学技術庁に資源調査会というものがございまして、そこに地盤沈下問題を扱います特別委員会が設けられておりますので、そこで各省と十分意見を交換しながら調査結果を取りまとめ、そうして果して何が原因であるかという結論を出すべくただいまやっておられるわけであります。そちらの方で原因の方ははっきりさせていただく。今申しました私どもが幹事役をいたしておりますこの応急対策事業に対する協議会は、応急対策の方を取り上げてやっていこうということで現在までに至っております。  そこで、私どもといたしましては、自分の省で予算を持って事業をやっておる立場にございませんので、各省の方々とお話し合いをしておるわけでありますが、来年度の予算編成時期を控えまして、昨年でございましたが、大体各省どのくらいの規模でこの問題を取り上げ予算要求されるか、いろいろな問題について忌憚なく意見を交換し、私どもで大体のところを取りまとめまして、各省から——もちろん各省の所管事業として大蔵省に御折衝になりましたが、私どもといたしましては、また全体を一括いたしまして、来年はこのくらいなことで各省もやるという考え方であるということをまとめまして、大蔵省とお話し合いをいたしたわけであります。そういうようなわけでありまして、ただいまお尋ねがございました、現在どのような状態であるか、それから原因は一体どういうことにあるかというような問題は、これはむしろ科学技術庁の方の系統でただいませっかくやっておられるわけであります。
  41. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、大蔵省に各省が折衝をして見込んだところの三十四年度の予算は全体で幾らになっておりますか。
  42. 淺村廉

    政府委員(淺村廉君) 実は、各省予算において、この対策事業がその一部になっておる関係で、私どもといたしまして、まだまだ最終的に正確に数字をつかまえておりませんけれども、ただいま私の方で一応まとめましたものを申し上げますと、事業費にいたしまして——事業というのは応急対策事業の意味でありますが、事業費といたしまして九億四百万円、これは国費、つまり補助金を含んでおります。項目は補助金でございますので、国費にいたしますと、九億四百万円というのは五億二千万になります。それからそれと並びまして調査費でありますが、調査費は、これは事業費国費も同じくなっております。金額でございますが、金額で四千三百九十一万二千円、両方合計いたしますと、国費の方では五億六千三百九十六万二千円、それからそれを事業費に直しますと、九億四千七百九十一万二千円となっております。しかしこれは今申し上げましたように、まだ各省におきまして最終的に整理をされておらない面もございますから、若干の変更があることをあらかじめ申し添えておきたいと思います。
  43. 相澤重明

    相澤重明君 大蔵省でどうでしょう。これは私が今の御説明を聞いたところでは、実際調査費もそうですが、事業費等については、全くこれでは根本的な対策にはならぬと、あくまでもこれは応急対策費だということになると思うのですが、少くとももう三年も前から実は騒がれて、そして昨年度は非常な新潟県がどうなるかというところまでいった大きな問題ですから、こんなことでは私はやはり対策にはならぬと思うのですよ。やっぱりこれは一つ政務次官の方から、大蔵省はなぜこの程度の金しか出せないのか、その理由を一つ明らかにしてもらいたい。
  44. 佐野廣

    政府委員(佐野廣君) 相澤委員のおっしゃいますように、この問題は実際地元といたしましても、また国といたしましても、非常に重要な問題であることは十分認識をいたしております。そしてできるだけ、事生命にも関するようなことにならぬとも限りません。抜本的な対策を講じなくちゃいけないのでありますが、先ほど来担当政府委員からるる御説明申し上げておりますように、まだこの原因等につきまして、私も現地へ参りましたが、その原因等につきましては的確なものがっかまえられておらないような状況でございます。私どもといたしましても、今申し上げました経済企画庁あるいは科学技術庁その他各政府機関を動員いたしまして、できるだけ早くこの原因を突きとめ、対策を立てたいと思っております。従いまして予算の面におきましても、今仰せのように十分なものとなっておらないかとも存じます。しかし、できるだけ原因をきわめ、抜本的な対策を立てまして、こういう地盤沈下等の除去につきましては、十分督励をいたしまして、対策を立てるとともに実行にも移しまして、単なる調査というその域をすみやかに脱して、事業の方に移していくという方針をとる決意でおるわけでございます。
  45. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、それでは科学技術庁にお尋ねをしたいと思うのですが、当面の目標として、いつごろまでに一体この調査というものを、第一目標といいますか、完了をするつもりでおるのか、これはまあ刻々に沈下の非常に激しい所もあるわけですから、まごまごすると埋没してしまうんじゃないかという心配までしておるわけです。そういう点で、調査をするんだからといって、のんびりされておったんではたまったものじゃない。そこで科学技術庁は第一目標はいつごろまで、そういう点について目標をつけておるのか、科学技術庁の方から一つ答弁願います。
  46. 来正秀雄

    説明員(来正秀雄君) この問題は地下数百メートルの非常に深いところで、調査が非常にきわめて困難な問題でありますが、それからもう一つ調査の方法というものは世界でも確立されておらない問題でございます。従ってこの問題はなかなか結論を出しがたい問題でありますが、この調査の方法といたしまして、世界でも初めての六百メートルから千二百メートルという深いところに観測井を、ボーリングをいたしまして、鉄管を入れまして、その中にさらに二重の鉄管を入れまして、それによって沈下の推移を見るという方法でございます。全く初めての調査を始めておるわけです。で、これは六百十メートルというのをば一本やりました。むしろ一本だけでは問題は究明することは困難でありますから、従いまして、この二月には数本は完成すると同時に、千二百メートルの観測井が三月に完成する予定でございます。その上に測量記録が出て参るわけです。これにはどうしても二、三ヵ月というものは当然必要になって参ります。その結果におきまして、この問題が相当究明されてくるということを、われわれとしては期待しておるわけでございます。この調査につきましては、資源調査会の方に、先ほど申し上げましたように特別委員会が設置されまして、各界の権威者を集めてやっておりますが、科学的な究明ということは応急対策ではなくて、むしろ恒久的対策の面で非常に必要でありますので、われわれとしては非常に急いでやっていただきたいということで、特別委員会の方にも非常に御努力を願っておるような事情でございます。従いまして、この観測井の完成によってデータが出て参りますと、われわれとしては、かなり調査が進んでくるということを期待しておる次第でございます。
  47. 相澤重明

    相澤重明君 最後に一つだけ大蔵政務次官にお尋ねしておきたいと思うのですが、今のような形で総体的に沈下をしておるわけですから、突然の事故というものは、私は一応避けられるとは思うのですが、政府も一生懸命やっておるから、避けられると思うのですが、この新潟地盤沈下の際に、いまの天然ガスを取っておりますね。あの関係でかなり影響が私は出ると思うのです。そういう点で、この今回の予備費支出のことはわかりましたし、また将来の計画についても若干展望がわかったわけですが、不幸にして突然に悪い事態が起きた場合には、政府としては直ちにそれの対策費というものを支出できる考えを持っておるのかどうか、この点一つ政務次官の方からお答えを願っておきたい。
  48. 佐野廣

    政府委員(佐野廣君) これは申すまでもなく、すみやかに措置を講じまして、応急の対策を立てる覚悟でございます。
  49. 相澤重明

    相澤重明君 新潟地盤沈下については以上で一応終りまして、建設省にお尋ねをしておきたいのは、二十一号、二十二号台風の際の予備費支出行為があったわけでありますが、その御説明の中で一つ具体的にお尋ねしたいのですが、二十二号台風のときに、東海道本線が実は浸水のためについに通ることができなかったという不祥事態があったわけでありますが、その際、私は決算委員会で、あるいは運輸委員会でも早急にこの問題を善処しろということを関係の大臣に言っておいたわけでありますが、建設省は、鶴見川あるいは帷子川等の東海道幹線の河川のいわゆる補強工作というものはどういうふうに考えておるのか、この点について台風使用した額と、それから今後の計画一つ発表していただきたい。
  50. 川村満雄

    説明員(川村満雄君) ただいまの御質問にお答えいたします。鶴見川の改修計画につきましては、昭和十四年から改修工事をやっておるのでございますが、一応重点といたしましては、鶴見川の鉄橋が昭和十三年の出水によりまして水につかって東海道線が不通になった事故があったものでございますから、それ以後東海道線の打上につきまして、極力努力いたしまして、一応継ぎ足し打上は完了したわけでありますが、今回の二十二号台風につきましては、上流の未改修の地域からはんらんをいたしまして、鉄道をとめたことがあったわけでございますが、その上流の未改修地域につきましては、即刻三十三年の既定予算から流用いたしまして、その個所を着手いたしまして、…十四年度の予算につきましても十分に計上いたしまして、三十四年度中にそういう汽車をとめる個所につきましては、一応改修は終る予定になっております。以上簡単でございますが御説明にかえます。
  51. 相澤重明

    相澤重明君 あなたの今お話になっておるように、昭和十四年から今日まで使ったのは五億です。今までの建設省予算でいくと、百年河清を待つがごとしというのだ、この言葉は百年経ってもこれはできないというのですから、そういうことで戦前は軍事輸送のために、実は昭和十三年の河川はんらんの実際の経過から考えて鶴見川を一つ補強工事をやろうということを内閣がきめたわけです。ところが、年々そういう方針は立っておっても予算をつけないで実際に仕事をしなかったから今日までに見なさい、とにかく昭和十四年からもうとにかく二十年も経っているのに、今までわずか五億そこそこの金しか出してない。だからこの間の二十二号台風で東海道の幹線といわれる所が実際に汽車の運行ができないということで、これでは、国の重要交通路線というものをとめるということは、まことにもってのほかだと思うのです。そこで今のお話で三十三年に一部流用し、三十四年には完成するというが、予算としては三十三年はどのくらい使ったか、三十四年はどのくらい計上しておるかを伺いたい。
  52. 川村満雄

    説明員(川村満雄君) ただいまの御質問にお答えいたします。三十三年度の当初の予算におきましては、直轄河川改修費が鶴見川におきまして三千万円でございますが、二十二号台風後におきまして既定予算のほかに、河川から一千二百万円流用いたしまして矢上川の支線のはんらんした所の工事をやっておりまして、その措置を完了いたしておりますし、鶴見川の三千万円の中からもいろいろ穴のあいておる所を措置いたしておりますし、三十四年度におきまして、鶴見川の改修費を大体八千万円程度経費をもちまして措置をいたしたい、こういうように考えておりまして、一応はんらんのおそれのある区域は全部完了する予定でございます。
  53. 相澤重明

    相澤重明君 次に、運輸省にお尋ねいたしますが、今の建設省の鶴見川並びに矢上川の補強工事というものが行われるということが言われたのですが、実際問題としてあそこの河川の深度からいくと、今の鉄橋というのはかさ上げをしなければならないだろうということが考えられるが、運輸省としてはそういう方向をとっておるのかおらぬのか、ただ建設省のいわゆる護岸工事というものが行われたから、それでもう補強工事ができたということは、東海道幹線というものに対する認識度合というものに大へん問題があるわけです。私どももこの運輸交通については少くともそういう点十分考えておるわけですが、運輸省としては一体どういうふうにこれを考えておるのか、また水が多く出れば、この前の愛知用水公団のようにどうも思わざる豪雨のために堤防が決壊したのだといわれては実際金を使った意味がなくなってしまう。そこで今後は台風があっても豪雨があっても、東海道幹線は列車の通行ができるのだという自信を持った方針というものを私は立ててもらいたいと思うので、運輸省としては建設省がそういうことをやると同時にどういうように考えておるか、御答弁をいただきたいと思うのです。
  54. 向井重郷

    政府委員向井重郷君) ただいまの御質問に対してお答えを申し上げます。東海道線の改良工事につきましては、御承知のように国鉄関係予算に計上されるものでございますので、その点につきましては国鉄の方から御説明を願いたいと存じますが、運輸省といたしましては、この二十二号台風で東海道線の不通を来たしたということは、まことに遺憾のことであると存じておりますから、少くとも幹線のそういう事態の起らないように十分国鉄とともに努力していきたいと考えております。
  55. 相澤重明

    相澤重明君 まああなたの立場ではその程度の御答弁しかできないと思うのですが、まあ私も了承します。了承しますが、少くとも二十一号、二号台風によって国の動脈である東海道線が不通になるというようなことでは、これは建設省であろうと、運輸省であろうと、国鉄であろうと、そういう各省の派閥のことを——派閥ではないでしょうが、とにかく各省のことを言っておるのではなくて、国全体としてこういう問題の考え方を、先ほどの新潟地盤沈下ではないけれども、やはりこういう点については政府自体として総合的な対策を立てて、そうして各省にそれを専門的にやらせるという方向に行くのが私は当然な考えだとこう思う。そういう点で一つ運輸省の今の答弁では、具体的な作業を進める内容というものは発表できませんでしたから、国鉄から聞いて、それで運輸省としてはこの決算委員会資料提出をしていただきたい。以上でこの鶴見川の問題は終りますが、次に厚生省一つお尋ねしておきたいのですが、厚生省予備費支出項目は説明をまだ求めておりませんが、大体わかりますから、私の方から一つ質問だけ申し上げておきたいと思うのですが、在日朝鮮人の帰還問題というのが今政府として大きく取り上げておる問題ですが、これは国際赤十字が今中に入っておるわけですが、もしまとまった場合に一体支出行為というものは予備費でするのか、それとも何かはかに別に対策費というものは現在あるのかどうか。こういう点まあ厚生省であろうと思うのですが、一つ厚生省としてお答えをいただきたいと思うのですが。
  56. 山本正淑

    政府委員山本正淑君) ただいまの御質問でございますが、具体化いたしました際には予備費を考えております。
  57. 相澤重明

    相澤重明君 それからその場合あれですか、まあこれは帰国の場合ですが、そういう場合のプランは今はまだ何にもできておりませんか。つまり収容をしてどこから出すとか船をどこに着けてもらうとか、こういうような点については運輸省なり厚生省では原案というものは、これはまあ外務省の関係もあるかもしれませんが、そういう点についてはまだ厚生省は何にもきめておりませんか。
  58. 山本正淑

    政府委員山本正淑君) どの港から出すかという問題は収容施設の問題、輸送の問題等と関連いたしておりまして、まだ各省と相談する段階に至っておりません。
  59. 小柳勇

    小柳勇君 私は農林省林野関係予備費の使い方について質問しておきたいと思います。昭和三十二年の四月六日公企体労働委員会の裁定が出て、このために仲裁裁定の実施などに必要な経費として四億七千万の予備費支出されておりますが、これが昭和三十三年三月十四日、ちょうど一年後に閣議で決定されております。この間に補正予算などほかの支出の方法があっ、たと思うが、予備費で出された事由をお聞かせおき願いたいと思います。
  60. 森田進

    説明員(森田進君) ただいまお話にございましたように、三十二年の四月に仲裁裁定が下されたのでございますが、そのときにおきましては公企労法第十六条第一項の規定によりまして、予算上又は資金上、不可能な資金の支出を内容とするもの、この規定によりまして国会承認を求めたものでございます。ところがその後に至りまして、既定予算の移流用等によりまして裁定実施の可能なことが見通し得るに至りましたので、この旨閣議の決定を経まして、国会に手続いたしております。このように裁定実施の見通しを持つに至ったのでございますが、とりあえず既定予算の差し繰り流用でまかないまして、予算執行の過程におきましても、災害発生、あるいは事業計画の変更等も予想されましたので、これらを含めまして、あるいは節約し得る限度におきまして節約可能なものは節約に努めるという方針で予算執行いたしまして、最終的な段階におきまして各事業ごとの過不足額を把握いたしまして、流用または予備費使用等の予算的な措置を講じた次第でございます。このような予算的な措置を講じました事情といたしましては、早期に予算の措置をいたすことによりましてかえって逆流用等の措置の発生することも予想せられまして、このようなことではかえって経理上の妥当を欠くものというように考えられたからでございます。
  61. 小柳勇

    小柳勇君 ただいまの話では、大体予算の流用でまかない得ると初め認定した、このような話でありますが、年度当初予算を立てて、裁定が出たからこれで一つ一年間ほかの方でやりくりしようというようなことで、そのような余裕のある予算を初めお立てになったのでございますか。
  62. 森田進

    説明員(森田進君) 実は三十二年度の国有林野事業特別会計予算でございますが、これはやはり補正予算ということも考えられるわけでございますが、実は当時の国有林野の伐採量は、北海道におきましては、風倒木の処理ということに伴いまして、調整年伐量を相当大幅に上回る伐採を予定いたしておりましたし、なお内地の国有林におきましても、調整年伐量を満度に伐採するという計画でおりましたので、財源を新たに求めますためには、どうしても増伐によるよりほかに方法がないというような状態であったわけでございます。ところが一方支出の面におきましては、三十三年度におきましては、相当木材市況の好調が予想せられました関係上、国有林の年次計画の一部を三十三年度以降の事業につきまして、それを三十二年度に繰り上げ実行をするという計画を立てておったのでございます。従いまして、そのような繰り上げ事業の中には、たとえば保安林の買い入れであるとか、あるいは林野整備法によります民有林の買い入れであるとか、そういった事業につきましては、やはり市況の好況に伴いまして、なかなか所有者との間に売買の話し合いがつかないというようなことも予想せられるに至りましたので、一部繰り上げ実行を予定しておりました事業を、さらにもとへ返しまして、そういった経過によりまして事業費から流用をはかったわけでございます。
  63. 小柳勇

    小柳勇君 この裁定を完全実施するための総経費と、それからどのよに操作していかれたか、項目別に一つ金額を教えて下さい。
  64. 森田進

    説明員(森田進君) 裁定実施のために必要な金額総額は十八億八千三百二十五万八千円でございます。で、これを充足いたしますためには、既定予算の移流用あるいは予備費使用をいたしたのでございますが、その詳細につきましては、できますならば資料で御提出いたしたいと思いますが。
  65. 小柳勇

    小柳勇君 資料もあとでまたもらいますけれども、私はそのような、たとえば予算の節約という言葉をお使いになりました。あるいは何かの移流用という言葉をお使いになりました。その中で、節約については、職員にいろいろの面の労働のしわ寄せがございましょう。あるいは移流用の中に、もしその年度の人件費などを、当然雇うべきものを雇わなかったとか、あるいはその年に早くやめさせたとか、いろいろそういうものがあるとするならば、これは問題でございますから、数字について、また詳しくはもらいますけれども、概算でもよろしゅうございますから、お教えいただきたいと思います。
  66. 森田進

    説明員(森田進君) 今、先生がおっしゃいましたように、このために特に人件費の面におきまして節約をいたしたということはございません。で、管理費におきまして、約一億九百万ばかりの既定予算使用をいたしておりますが、これは大部分はこの年度におきます欠員の充足が満度に行われなかったことによる金額でございます。それから事業費につきましては、先ほど申し上げましたように、保安林の買い入れが予定通り行われなかったこと、あるいは林野整備法によります民有林の買い入れが計画通りに行われなかったこと、あるいは官行造林事業におきまして、これは三十三年度におきましては、水源林を中心に実行いたしますことにいたしました関係上、私有林がその対象になりまして、この契約事務に予想しないようなめんどうがございましてそのために事業を圧縮せざるを得なかったというようなことに原因いたしております。
  67. 小柳勇

    小柳勇君 総額は十八億です。その中で予備費支出されたものは四億七千万です。そのほか流用とか予算の節約があります。管理費の節約は今おっしゃったように一億九百万です。そういたしますと、節約費用だけでも八億か九億になりませんと数字が合いません。林野庁の予算というものは、八億か約九億は、やはり予算が節約できるというような予算であるかどうか。お答えおきを願いたいと思います。
  68. 森田進

    説明員(森田進君) これは先ほど申し上げましたように、たまたま三十二年度におきましては、相当木材市況の好調が予想せられましたので、大体その当時におきます国有林の経営事業規模と申しまするのは、四百十億程度のものでございますが、それを約二十数億を上回るような歳入が予想せられるに至りましたので、それ相当分だけを、特別に事業の増強を計画いたしておったわけでございます。従いまして、三十二年度の予算はそのような特別な事情にあったわけでございます。
  69. 小柳勇

    小柳勇君 管理費で一億九百万——一億から一億一千万くらいの金を捻出しておられますけれども、一体これはどういうことでございましょうか。
  70. 森田進

    説明員(森田進君) これは先ほど申し上げましたように、欠員を満度に補充しなかったことによる余剰の経費でございます。
  71. 小柳勇

    小柳勇君 さっきあなたは、人件費については手をつけてないとおっしゃいましたけれども、欠員というものは、当然これはそれだけの必要人員でありますから、欠員というものを補充しなければならぬとわれわれは心得ておるわけです。そういうことを、林野庁としてはそういう考えでおられるのかどうか。お答えおき願いたいと思います。
  72. 森田進

    説明員(森田進君) これは年度の途中のことでございまして、採用の対象になる試験の合格者というようなものを急速に得られませんので、このような状態になったのでございます。
  73. 小柳勇

    小柳勇君 数字については正確に一つ資料にして出していただきたいと思うのです。  抽象的な問題でありますが、ほかの公社などにも関係ございますが、裁定が出た場合に、この予備費あるいは補正予算を組むことがわずらわしいために、自分のうちの予算でこの人件費を持ってきたりあるいは節約したりと、そういうことでやる思想というものが各省なり各公社なりにあるのではないか。そういう点について、特に具体例として一つ林野庁からお聞きしておきたいと思う。農林省から聞いておきたいと思うのです。
  74. 森田進

    説明員(森田進君) そういうことはございません。
  75. 小柳勇

    小柳勇君 なかった。——今実際はここに出ているわけですね。この調書の中にそういうあなたの考えがそのまま出ているわけです。補正予算を途中二回やっておる。しかしまあ予備費からも何とかなるだろうということで、どうしてもならないから、その年の年度の最後に、三月に、一年間たって三月に、予備費支出を閣議にはかっておる。このような処置については、われわれとして納得できないわけです。従って、もう少し詳細に一つその内部の数字、数字的に詳細に資料を出していただきたいと思います。  質問を終ります。
  76. 西川甚五郎

    委員長西川甚五郎君) いいですか。
  77. 森田進

    説明員(森田進君) はい、資料として提出いたします。
  78. 小柳勇

    小柳勇君 それでは防衛庁に、この国庫債務負担行為の中で一件出ておりますが、駆潜艇「きじ」の事故による復旧工事に必要な経費、この問題について概要説明をお願いいたします。
  79. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 駆潜艇「きじ」の問題についてのお尋ねでありますが、この事故の概要について御説明を申し上げます。  この事故は、昭和三十二年の十二月十八日に、駆潜艇「きじ」を下関基地隊の吉見港に係留いたしておりました間に、強風のために係留のブイが主鎖から離脱いたしましたために、駆潜艇が漂流をいたしまして、風によって陸岸に押し流されまして、防波堤の外側に押し上げられたためのものでございます。従って、この事故の直接の原因は、昭和三十一年の六月に施工いたしました係留のブイの主鎖とブイの鉄架とを接続いたしておりますところのピンが、当日の強風及び激浪に抗し切れずに、ピンが頭部から抜けまして主鎖がブイから離脱したことによるのであります。当時駆潜隊の司令及び艇長は、一応、寒冷前線が接近することに対しまして、万一の事態に備えて警戒をいたしておったのでありますが、このブイの使用実績等からも、主鎖がブイから離れるというようなことは全く予期いたしておらなかったところでございました。しかるに、当夜の寒冷前線の通過によるところの風速の急速な増大といったような、非常に異常な気象現象のために、ブイの離脱といったような不測の事態が発生し、しかもブイの離脱いたしましたときには、驟雨を伴うところの暗夜となりまして、加うるに、強風等のために、駆潜艇の動揺がきわめて激しく、そのために漂流を認めることがきわめて困難な状況でありまして、漂流を発見したときには時すでにおそく、艇を安全に守ろうとする乗組員の懸命な努力にもかかわらず、ついに今回の事故となったものと認められております。  で、事故の原因の検討につきましては、三十二年の十二月二十七日、海上幕僚監部に、海上幕僚副長を長といたします事故調査委員会を設けまして、三十三年一月から三月にかけまして四回委員会を開催し、十分にその究明をいたしました。  で、事故の原因は、上に述べました通り、ほとんど大半が不可抗力と認められるのでありますが、なお、結果から見まするというと、関係者の完璧の措置に欠ける点があったと認められる点もありますので、この点につきましては、国損額の多大である等の事情も考慮いたし、また将来の事故発生を戒めるために、下関基地隊及び駆潜隊、駆潜艇の各関係者について、懲戒処分をいたした次第でございます。  復旧工事の状況につきましては、この調書にございますように、三十三年の三月七日に、一億五千万円を国庫債務負担行為額として閣議の決定をいただきました。翌日、三月八日に一億四千七百五十万円で契約の締結をいたしました。越えて三十三年四月一日には、これは三十三年度の歳出予算で措置いたしたのでありますが、さらに二千九百五十万円の追加契約を締結いたしました。それから四月十七日には、これは三十二年度の予算で一部前払いをいたしておりますが、八百七十三万八千円の第一次支出をいたしました。さらに七月二十日に、これはわずかでございますが、十一万九千円ばかりを契約更改によって契約額を増加いたしました。これによりまして、契約の総額は一億七千七百十一万九千円と相なっております。三十三年の八月二十九日には、第二次の出来高払いとして、八千二百九十二万円を支払いました。現在支払いの残額は、八千五百四十六万一千円でございます。一億七千七百万余りに上ります契約額の内訳といたしましては、船体、機関分が一億三千五百九十七万円、武器の部分が二千三百五十二万円、通信の部分が一千七百六十二万九千円でございます。  で、この工事の進捗状況でございますが、当初の契約上の完成期日は、三十三年の十二月七日でございましたが、工事の中途におきまして、主機械の一部に手直しの必要が生じたために、若干工事がずれることに相なっております。現在の見込みでは、あと二、三ヵ月を要するものと考えられておりますので、目下大蔵省に対しまして、事故繰り越しの手続をとっておるところでございます。
  80. 小柳勇

    小柳勇君 ブイにつないであったのに、荒れて、ブイが切れて、突堤に衝突したという話でありますが、当時の乗組員の員数並びに当時駆潜艇「きじ」と同じようにその港に停泊しておった船の被害の状態をお聞かせを願いたい。
  81. 山下武利

    政府委員(山下武利君) ただいまの初めの方のお答えでございますが、「きじ」の乗組員は七十八名でございますが、当夜船に乗っておりましたのは四十名でございます。それからもう一つ「たか」という船がつないでございましたが、そちらの方には被害はございませんでした。
  82. 小柳勇

    小柳勇君 その他の船は当時そこに係留してなかったのですか。
  83. 山下武利

    政府委員(山下武利君) ただいま申し上げましたように、「きじ」と「たか」という二つがつないでございました。被害がありましたのは「きじ」だけでございます。
  84. 小柳勇

    小柳勇君 平素もそういうように自衛隊の船だけしかその所には係留しないわけでございますか。
  85. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 吉見港は大体防衛庁専用の港になっておりますが、時としては海上保安庁の船も入ることがございます。
  86. 小柳勇

    小柳勇君 ブイの鎖が切れたように説明を受けましたけれど、どのくらいの強度で切れるものですか。
  87. 山下武利

    政府委員(山下武利君) ただいま御説明いたしましたように、通常の波とか風とかではとうてい切れるものと予想しておらなかったのでございまして、それ以前にも海上保安庁の船等が始終使っておった所でございます。ただ、当夜は先ほど御説明しましたように、異常な風速の増大がありました。具体的に申し上げますというと、当夜の午後十一時半には十六メートルの風速でございました。それが十二時には二十六メートルといったような非常な、異常な気象現象がありました。そのために切れたものと判断されます。
  88. 小柳勇

    小柳勇君 四十名の乗組員がおったのでありますし、海上自衛隊でございますが、見張りとか当直者というのはいないのでございますか。
  89. 山下武利

    政府委員(山下武利君) むろん船には見張り等もおるのでございますが、先ほど御説明申し上げましたように、当夜は非常に雨を伴ったまつ暗な晩でありました。ことに風でもって非常に船の動揺が激しかったために、それを確認することがおくれたという事情がございます。
  90. 小柳勇

    小柳勇君 当時のその船の責任者は、いつ大体その事故を知ったのですか。
  91. 山下武利

    政府委員(山下武利君) その後の調査によりますと、船の鎖がはずれましたのはおそらくは零時四十五分見当であったと思われます。「きじ」の機関長がこれに気がつきましたのは零時五十五分でございました。
  92. 小柳勇

    小柳勇君 その場所から突堤までの距離というのは、一体どのくらいあるのですか。それから、離れまして突堤へ行くまで、時間は一体どれくらいかかるのですか。
  93. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 係留場所から岸壁までの距離は約五百メートル程度でございました。
  94. 小柳勇

    小柳勇君 機関長が零時五十五分に発見いたしまして、その後の処置はどのような処置をなされたのでございますか。
  95. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 発見いたしましたときには、すでにもう時がおそくて、発見後間もなく岸壁に乗り上げるというような非常に不幸な事態を生じました次第でございます。
  96. 小柳勇

    小柳勇君 そうすると、発見して何も手だてができなかったということでございますか。
  97. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 機関長は事故を発見いたしまして、すぐにスクリューを回して船を後退させるように指示をいたしたのでありますが、吉見港は非常に浅い所でありまして、砂に埋もれましたために、その処置が十分にとれなかったといったような事情がございました。
  98. 小柳勇

    小柳勇君 そうすると座礁いたしましたのは、砂の上に座礁いたしたのですか。
  99. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 岸壁に打ち上げたのでございます。
  100. 小柳勇

    小柳勇君 そうすると、砂で浅くてスクリューがきかないということは理由にならないと思うのだけれども、どうでしょうか。
  101. 西川甚五郎

    委員長西川甚五郎君) よく相談してはっきり答弁して下さい。
  102. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 座礁いたしましたのは、岸壁にぶつかったのでございます。ただ、スクリューを回しますのにあまりに浅過ぎたものでありますから、じかに砂にぶつかったというよりも、むしろこのスクリューが砂をかんで十分に回らなかったといったような事情があったようでございます。
  103. 小柳勇

    小柳勇君 何かその当時の事情のよくわかった方いらっしゃいますか。
  104. 西川甚五郎

    委員長西川甚五郎君) 速記をとめて。    〔速記中止
  105. 西川甚五郎

    委員長西川甚五郎君) 速記をとって。
  106. 小柳勇

    小柳勇君 これは債務負担行為についてはただ一件ですから、このようにめんどうをかけないで、事情が詳しくわかった人が来るのが私は防衛庁として当然だと思う。よくわかりませんので、この問題については、きょうは質問を保留いたしまして次にやりますが、よくわかった方をよろしかったら現場からでも呼んでいただいて、詳しくわれわれが納得できるようにしていただきたいと思います。  それから宿題として申し上げておきますが、「たか」と「きじ」の問題ですが、「たか」の方はそのまま大丈夫だったと言うのでありますから、ブイの方の鎖などについても私は問題があると思う。責任者の処分については、船の方のことは聞きましたけれども、ブイの方の話はまだ聞いておらないので、そのブイの方の責任は一体どうなったのか。それからその他の船があの辺の下関かいわいにはおるのですが、そのような損傷を受けたということは聞いておりません。従って、そのようなことも一つお調べになって……。次に私は質問をきょうは保留いたしておきたいと思います。
  107. 西川甚五郎

    委員長西川甚五郎君) ほかに本日は御質問ございませんか。——御質疑がないと認め、本日は、本件に関する質疑はこれにて終了いたします。  なお、委員相澤君並びに小柳君の資料請求に対して、要求せられました各省は、来週の火曜日までには資料提出願います。  なお先般の委員会において防衛庁に対して資料を請求しておりまするが、請求の資料が大へんおくれておりますから、すみやかにまとめて提出を願います。   —————————————
  108. 西川甚五郎

    委員長西川甚五郎君) 次は昭和三十二年度一般会計歳入歳出決算、昭和三十二年度特別会計歳入歳出決算、昭和三十二年度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十二年度政府関係機関決算書並びに昭和三十二年度物品増減及び現在額総計算書を議題といたします。  本日は防衛庁の部を審議いたしますから、他の関係なき方は御退席を願います。  御苦労さまでした。  これより質疑を行います。
  109. 相澤重明

    相澤重明君 防衛庁にお尋ねしたいのですが、これは実は三十三年の二月に起きた問題なんです。陸上自衛隊の富士学校の自動車が起した事故ですが、演習ではなくて、何か私用で自動車に乗っておった。自動車とは戦車ですが、戦車をよけておった——道寄りのはたに高い所がある、そこによけておった人が、その戦車のためにひかれたという事故がある。しかもそれがついにその人は足を切断されたという事故なんです。これは事故が起きたのは昭和三十三年の二月九日でありましたのですが、そのけがをした本人は神奈川県の足柄下郡橘町前川の二百七十六番地、昭和十一年一月九日生まれ、岩堀正という人ですが、この人の勤め先は小田原の富士写真工業というところなんです。その後、これに対してこの富士学校の総務課人事班長からいろいろ連絡をとっておるようでありますが、私は第一にお尋ねしたいのは、当時の経緯というものはどうなっておったか。これはおそらく本庁に、防衛庁の方に書類が提出されておるというふうに書いてあるのですが、人事班長が。経理局長これは担当のことでしょうからおわかりになると思うのですが、まず最初に御説明一ついただきたいと思います。
  110. 山下武利

    政府委員(山下武利君) ただいまのお尋ねの件は、陸上幕僚監部までは書類はきておるということは、つい私は最近聞いたばかりでありまして、実はまだ書類の内容について審査いたしておりませんので、十分調査した上でお答えいたしたいと存じます。
  111. 相澤重明

    相澤重明君 そうすると、三十三年の二月九日にけがをして、それ以降入院料を払っておったと思うのですが、そういうものについては別に経理局では関知をしなくていいのですか。
  112. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 補償の責任は各幕僚監部で当りますので、特に問題になったものにつきましては、内局に相談があるわけでございますが、本件につきましてはまだ私の方で調査をいたしておりませんので、十分調査した上でお答えをいたしたいと思います。
  113. 相澤重明

    相澤重明君 まあ知らないと言えばそれまでのことだと思うのですが、私の方の手元で書類を調べてみると、すでにこういうふうになっておるのですね。書類はすでに全部陸上幕僚監部法務課に送付してあります、こういうことであって、現地の富士学校の方ではこまかい資料が手元になくなったというようなことを言っておるわけです。これは陸上幕僚監部法務課の方に行っておるのだが、本人としては非常に不服で、今まで何回か催促をしても補償金も出さぬあるいは連絡にも来ない。ところが手紙だけは連絡が、業務連絡ということで親御さんに手紙が行っておるわけなんです。手紙が行っておるのだけれども、こういう自分の方が悪いときに、事故を起したときに、一体自衛隊なりあるいは幕僚部としては見舞に自分たちが出かけていかないのかどうか。これで見ますというと、手紙はもう二、三回やったらしいのです。手紙はやったのだけれども、実際に行っておらぬらしい。しかもその若い人が、とにかく足を切ってしまったというようなことになっておるのに、現地に見舞にも行かないというのはずいぶん不都合な話だと思うのですが、一体経理局長、こういう場合はあなたは何も知らなければしょうがない話だけれども、どうですか、自衛隊はそういうこをやっておらぬのですか。何か自分の方では報告だけは聞いておって、まあ書類の整理さえすればいいんだ、こういう考え方であなたの方の処置はしておるのですか。どうでしょう。
  114. 山下武利

    政府委員(山下武利君) お説の点につきましては、私はまだ先ほど申し上げましたように存じておらないのでございます。いろいろ車両その他による事故を起しました場合におきましては、各幕僚監部または各部隊の長がそれぞれ誠意をもって被害者に対してお見舞をするというのが従来の例であったと私は考えております。この件につきましてはどういうふうになっておりますか、よく調べてからお答えをしたいと思います。
  115. 相澤重明

    相澤重明君 それじゃ私から御説明しましょう。これは三十三年の二月、この事故が起きたことを私は実は昨年聞いたわけです。聞いて、それで決算委員会の池田君の方に連絡をとって、当時あれは六月ころだったが、六月ころ私が小田原からわざわざこういうものがあるから、一つ自衛隊の方へ連絡をとって、そうして本人に見舞でもしてやったらどうか、こういう点まで私は親切に教えてあげたわけです。ところが、その後の話を聞いてみると、手紙だけはやっている、業務連絡ということで手紙はやっているが、本人が返事をしないとか、あるいは出て来ないからということで、いまだに問題の解決がついておらぬ、これを見ると、会社の方には、たとえば三十三年の十二月十日に業務連絡ということで富士学校の人事班長から手紙が行っておりますが、そういうものを見ても「十二月七日付当校係官宛の貴書簡拝見いたしました、湯ヶ原整形外科病院並びに富士フィルム株式会社への照会のため、その後の手続及び御連絡が遅延し恐縮に存じております。実はお申立のありました七月十一日以降の補償について年内に支払実施すべく現在予算上申中ですが一応その内訳を別紙のとおり御通知致します。」、こういうふうにして「湯河原病院の証明により十月二十二日現在病状は固定しておられる御様子なので障害補償の請求を頂きたく用紙を同封しましたが、」、この用紙があなたの方から出されているわけです。出されているが、この手紙はそういうふうにやっておっても一回も行っていない。この足が切断されちゃっているものが、手紙だけやっておって、お前の方でどうということは、ずいぶん失礼な話だと思うんです。そういう点について、一体自衛隊としてはそういう自分たちの方で起した事故に対して、親切に国民にそういう場合に出かけて行って謝罪なり、あるいは慰問をするくらいのことがあってもしかるべきだと私は思うんですが、そういう点は、今までやったことはないんですか。この点いかがでしょうね。
  116. 山下武利

    政府委員(山下武利君) お説の点まことにごもっともでございまして、私は従来からこういうふうな例につきましては、当該責任者が十分誠意をもって被害者をお見舞しているというふうに聞いておりましたし、また今後もそういうふうにするつもりでおります。
  117. 相澤重明

    相澤重明君 それから根本の原因については、私は、今経理局長が知らないと言うんですから、一つ調べて、どうしてこの事故が起きたかということを調べて報告をしてもらいたいと思うんです。どうも当時の、私の聞いたときには、これは正規な演習等による問題ではなかったというふうに私は聞いているわけなんです。しかし真相は、私が直接見ているのじゃありませんから、当時の模様を報告してもらいたいことが一つ。  それから、少くとも若い人が、昭和十一年生まれの人ですから、将来ある人ですね。この人が足をすでに切断をしてしまって、満足な仕事はできませんね、これは。従って、そういう生命財産に関する補償というものは、一応の基準であなたの方も算定をしているようでありますが、これは単に机上の算定だけでは、私はなかなか補償というものはむずかしいと思うんですよ。だから誠意をもってやはり解決をする努力というものがなくてはいかぬと思うんですが、ただ通り一ぺんの手紙を出して、あなたの日給は六百何円になります、その計算は補償九百日なら九百日かけまして、これがあなたの補償額です。こういうやり方だけでは、いかにも自衛隊のやり方というものは私は不親切だと思うんです。そういう点について、誠意をもって解決するお気持があるのかどうか、私は手元に書類は持っているのですが、あなたが知っておらぬということですから、内容を詳しく申し上げてもしようがないので、まずその概念を、自衛隊としてはそういう点については、自分たちが事故を起した場合に相手方に誠意を持って解決するつもりがあるのかないのか、この点を経理局長から一つ答弁を求めておきたいと思う。
  118. 山下武利

    政府委員(山下武利君) お説まことにごもっともでございまして、十分な誠意をもって解決いたしたいと存じます。
  119. 西川甚五郎

    委員長西川甚五郎君) 委員長から伺いますが、こういう事件に関しては、防衛庁の何課がおやりなるんですか。
  120. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 第一次的には各幕僚監部並びにその配下にありますところの部隊が直接の責任者でございまして、そこが賠償なり、または損害補償の措置をとるわけでございます。
  121. 西川甚五郎

    委員長西川甚五郎君) 次回の場合にその責任者の出席を願いたいと思います。
  122. 森中守義

    ○森中守義君 出席を求めておりました長官が御出席できないようでありますので、その理由はどういうことであるか知りませんが、一応了といたしまして、次回長官の出席を強く要求し、その際に、本日の質問が若干重複することがあるとも思われますので、そのことをあらかじめ御了承願って、二、三御質問を申し上げます。  先般私が要求しておきました資料一つとして、通信関係資料をきょうちょうだいいたしました。この中身を拝見いたしますと、電信電話公社に、マイクロあるいはその他有線無線専用回線を多分に防衛通信のために使用されておるようであります。そこで私は、いろいろ条文をまだこまかに見ておりませんが、今察知し得るこの専用回線の関係条項を見てみますと、自衛隊法百四条、これだけが一般公衆通信を利用し得る保障条項のようになっておるようです。いうところの「長官は、第七十六条第一項の規定により出動を命ぜられた自衛隊の任務遂行上必要があると認める場合には、緊急を要する通信を確保するため、郵政大臣に対し、公衆電気通信設備を優先的に利用し、又は有線電気通信法(昭和二十八年法律第九十六号)第三条第三項第三号に掲げる者が設置する電気通信設備を使用することに関し、必要な措置をとることを求めることができる。」これに対して「郵政大臣は、前項の要求があったときは、その要求に沿うように適当な措置をとるものとする。」この条項があります。これ以外に公衆通信を利用してよろしいという法律上の保障はどこにも発見できません。もちろん私は、こういう関係の専門家でありませんから、他にこのことを可能とする法律があるとするならば、当局から承わっておきたい。そこで、百四条にいう七十六条の一項とは何かということになりますと、これは防衛の出動を規定しております。この防衛の出動とはいつ行われたのか。また出動が行われないにしても、出動寸前の態勢、少くとも七十六条の状態というものを防衛庁はいつ判断をされたのか、この七十六条の規定以外には、公衆通信を防衛通信に利用するということは許されておりません。多少の意見になりますが、今日電信電話公社は、第二次五カ年計画の設定を行い、さなきだに国民が電話の架設のために、長きにわたっては四年、五年、六年という長期にわたっても、一般の加入電話は容易に架設し得ない状態にあります。もとより戦後における荒廃の中から、電気通信事業が国民の便に供するという目的を持ちながら、ようやくにして第二次計画に入っておりますが、かように四年、五年、六年という長期にわたっても、国民が電話の施設もできないでいるという状態に対し、防衛庁が許されていない状態にありながら、公衆通信を防衛通信に専用するということは、私は何としてもこれは重大なる問題である、かように考えるのでありまして、この点について、いずれ長官にも明確にこの問題はしなければなりませんから、再び質問をいたしますが、きょう答え得る範囲で当局の所見を承わっておきたい。
  123. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 自衛隊の関係で公衆電気通信設備の関係のことを書いた条文は、お説の通りこの第百四条だけでございます。ただ百四条は、これまた御指摘の通り七十六条一項によりまして、防衛出動のあったとき、防衛出動というのは、これもまた御存じの通り原則として国会承認を得てやることでありまして、非常に大きな事柄でございます。そういう場合には、百四条によりまして、ある程度優先的に公衆電気通信設備を使わしてもらうこともあるという前提でこの百四条はできておるわけでございます。現在公社からマイクロを初め一般の電信電話回線を相当専用的に借りております。また無線専用のこともございます。これらはいわば何と申しますか、一般私契約的に、防衛庁はこれだけ使うんだ、公社は全体のバランスを見まして、それは公社の営業としてやり得るんだという話で、その話のついたところで協定ができておる。防衛庁は元は予算で締められますから、予算の認められ許される範囲で申し込む、公社は全体の営業を考えてやるということで、現在やっておりますことは、いわば通常の防衛庁の仕事と公社の仕事の関係でやっておる。法律に規定してありますのは、いわゆる出動時のむしろ人為的なといいますか、優先使用というふうなことを考えてきておる、われわれはこう考えております。
  124. 森中守義

    ○森中守義君 非常に控え目な御答弁で、その事情はよく了承いたします。しかし問題は、この資料としていただいた内容をもう少し検討してみれば、さらに正確な結論が出ると思うのです。しかし一読しただけでも完全に防衛通信のネット・ワークができておる。しかもこれは完璧に近いほど固定した専用回線、もちろんただいま回答がありましたように、防衛庁は大口の電電公社の顧客である、こういう解釈も成り立ちましょう。また公社側にしてみても、御利用いただくお方には、どなたこなたという差別はありません、すべてお得意さんです。こういう公社の性格からして、それすらも私はいけないというのではない。しかしこの固定化された、しかも完璧に近いネット・ワークというものは、果してこれを公衆通信として理解し、かつまた解釈をすべきかどうか、明らかに私は防衛通信と公衆通信というものは、利用するもの、されるものという相関性においては、相対性においては、お得意という解釈が成り立つにしても、この際に特に防衛庁が固定したネット・ワークを作っておくという意味においては、防衛通信と公衆通信は混同して見るべきではないと思う。しかもそのために演繹をしてこの問題を考えていくならば、先刻二回ほど申し上げたように、一般国民は電話を一つ架設するのに四年も五年もかかる。しかも社債を買わなければなりません。東京の世田谷、渋谷の方に行ってごらんなさい、あまり公社の方がこれをつけてくれないので、電話機一台が三十五万円しておる、全国至る所にこういう現象があるのです。きょう電電公社の正副総裁おいでいただいておらないので、あながち防衛庁のみをこの問題で追及していくのは、私も必ずしも当を得たとは思いません。しかし、少くとも先刻出席しておりました前の次長の増原君、それと前の電電公社副総裁の靱君との間に協定が結ばれておる。この協定は何によったのですか、利用するもの、されるものの協定として私はこういうものは存在しないと思う。また電電公社が、今まで、公社の施設を利用する諸官庁、あるいは諸会社に対し、特定に協定を結んだ実例はありません。しいてあるというならば、これは営業用回線ではなくして、定時通話のようなのを、正式に文書の交換ではなくて、一定のワクを確保するということで、朝日、読売、毎日、こういう新聞社等が話し合いをつけておるようですが、この協定というものは、明らかに防衛通信に充当しようという意図が濃厚である。そのように私は考えるのであります。ただいまの御答弁ではどうしても納得できないし、またそういうことを将来も継続すべきでないと思う。公衆電気通信と防衛通信というものは混同すべきでありません。明確に区別をすべきです。それともう一つ、一般の通話をされる場合に、防衛通話、軍事通話というのが正しい呼び方であるかどうかわかりませんが、一般の通話の際に優先扱いをするというような、こういう約束がありますか。その点も一つあわせてお答えをいただきたい。
  125. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) だんだんの御意見でございますが、防衛庁といたしましては、やはり各地に部隊を持っておりまして地区的の関係から見ましても、それの指揮、管理の関係で、連絡、いわばネット・ワークを持ちたいという平生からの需要があります。ことに海上自衛隊の関係では、船との連絡のこともございますし、航空自衛隊は、一刻もゆるがせにできない警戒、指揮の関係等もございまして、そういうネット・ワークを持ちたい需要があるわけであります。これは、公衆通信の立場から考えましたときにどうなるか、立法論といいますか、政策論としましては、先生の言われたような議論も立つかと思います。しかし、ただ私どもといたしましては、防衛庁がそういう通信がほしいという需要に対して、予算的にも十分別途にそういうものを全部持つというような予算も認められないし、大ざっぱに申しまして、おそらく防衛庁が電電公社から借りまして専用その他をやっておる事情というものは、全体の需要の数%にもならないだろうと思います。そういう関係で、従来公社の方もいろいろ御計画を立てられるときも、防衛庁の需要はどうだということを聞かれて、向うの計画に組み込めるものは組み込んでいただいて、それで需要をまかなっている。そういう実情でございます。考え方として、これを分けて考えるという考え方も成り立つわけなんです。あるいはその方がいいのかもしれませんが、むしろわれわれの方としても、そういう予算をもらってやれば、あるいはいいのかと思いますが、現状はそういう程度  でございます。  それから電電公社副総裁と防衛庁次長との間に協定がございますのは、マイクロ・ウエーブに関する両者の協定でございまして、これも、いわば極端に言いますと、まあこういうものはなくていいわけです。普通の申し込みをして、受け付けて、金を払うということでいいと思いますが、設備負担金等は一括してやりますが、使用はあちこちでやって、金の出場所も、実は予算的なことで恐縮なんですが、海幕、空幕、陸幕で共通したような扱い方で、扱い者がたくさんいますので、防衛庁全体としてこの問題については一般的にこういうやり方でやろうと、いわばわれわれとしては、個々の契約の一般的な基準として考えておるわけでございまして、書いてあることをごらん願いましても、防衛庁はこういうものを専用するのだ、それに対してこういう部面は公社がやる、こういう面は防衛庁でやれとか、金の支払いはこういう基準でいついつ払えとか、たとえば電波法上の手続等は、かわり合ってやるというきわめて事務的なこと、一般的なことしか書いてないのでありまして、これでもって公衆通信に防衛庁が押し込んでいってなにするというような建前のものではないと考えます。  なお、最後にお尋ねのありました一般公衆通信を防衛庁の方が先にやるというようなことは全然ございません。
  126. 森中守義

    ○森中守義君 この問題は、先刻も申し上げましたように、ひとり防衛庁を責めるのも必ずしも当を得ておりません。次回に電電公社の正副総裁も御出席願って、もう少し明確に区別をしたいと思う。ただ、この際にもう一言、この問題に関連してつけ加えておきますが、今わが国の電話の充足の状態は、世界各国の状態を調べてみて、けつから五番目にあります。しかも具体的には、積滞があまりにも多過ぎて非常に国民は困っておる状態である。しかも電電公社の施設あるいは経営の目的、目標というものは、公衆電気通信法によって行われるのでありまして、特定の者に特定の便宜をはかるために公衆電気通信法は存在しないし、電信電話公社は存在をしないのです。ここのところを一つ十分防衛当局もお考えをいただきたい。  それと、少し気になることは、占領軍がわが国の通信施設を長く使っておりました。それでこのマイクロの防衛庁の使用の状況あるいは専用回線の使用の状況等は、占領軍撤退後そのまま踏襲したというように私は見る。いずれの回線も地域的に見て。これはいずれ電電公社に行って、詳しく、占領軍がどことどことの間の有線電信を使っていた、あるいは超短波、極超短波を使っていたというような、その内容を調べてみますが、今ここで一覧したところ、占領軍撤退後そのまま防衛庁が専用回線を使用した、こういったように私は見ておるのであります。この実情はどういうことでしょう。
  127. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 進駐軍が使っているものは、撤退してリリーズになったときに防衛庁が使うというお話の問題だろうと思いますが、マイクロは全然新しいものであります。進駐軍は別にマイクロを持っております。これは全部かどうか知りません。部分的かもしれませんが、別に持っております。それはまだリリーズされておりません。このマイクロは全然電電公社が新しく作ったものの一部を防衛庁が専用している。その他の回線につきまして、進駐軍が使わなくなってこちらに回ってきたものは部分的には相当ございます。特に航空関係の防衛情報、指揮装置、レーダー・サイトでつかんでそれを本部に流して、本部から指揮をするという関係の通信、これは向うからもらわないとやっていけないわけです。原則として逐次レーダー・サイトの移管は受けつつありますが、これは受けたらこっちでもらわないと、それはそれとして使わないと意味をなさぬわけですから、これは、専用がどうなるかしりませんが、これはもらわなければならない。防衛庁の関係にくるのか、あるいは運輸省に行くのか、その辺はわかりませんが、いわゆる航空管制の関係の一環として持っておるわけで、これを別に作るというのも大へんですから、国が一般の公衆電話と区別して、施設的にも技術的にも、私は詳しく存じませんが、こういうものはまとめてもらうことは当然だと思います。思いますが、それ以外のものは部分的にはありますが、進駐軍のリリーズしたものは防衛庁が必ず取るというような考え方はとっておりませんし、また、一般的に申し上げまして、ほかの基地その他の問題に比べますと、通信関係は、陸上部隊はみな撤退しましたが、補給部隊、通信関係等は相当残っておりますので、割に関係のリリーズが少い、今までのところ。従って、今までのところは、今お示しのようなのは、分量的には少いのであります。
  128. 森中守義

    ○森中守義君 きょうはこの問題はこれ以上深く入りませんが、とにかく防衛庁という一つの国の組織を通じて、電電公社に対し、まとめた話をされたことは事実であります。それは増原君と靱君の協定が示す通り、マイクロにしても、あるいはその他の有無線にしても同じことが言えると思うのです。それで、お得意だ、あるいは使ってもらうものだというそういう相関性の立場からいえば、一利用者、一加入者という、こういう状態でなければ、公衆電気通信法にもとる結果になります。いわんや大量にマイクロを専用する、大量に有無線の回線を専用するということは、これは防衛庁が防衛組織により効率的に運用するというこういう観点であるかもしれないけれども、何としてもこれは明らかにこの百四条以外にはそういうことが許されておりませんから、たとえそれが悪意であったり意図的でなかったにしても、これは許されないことです。このことを強くここに指摘をして、後日公社の正副総裁及び長官の出席を願って、この問題については明確にしたいと思います。  それからもう一つ承わっておきたいのは、つい一週間ほど前に、神奈川県の座間、ここに米軍と電信電話公社職員との間に発生をした事件が、朝日新聞で相当大きく報道されました。内容をお読みになりましたか。お読みになって、防衛当局としてどうお考えになりましたか。もちろんこの問題の扱いは、日米合同委員会の所管でもありましょうし、ひいては外務省とアメリカ国務省との関係にもなりましょうが、とりあえずそのことを承わっておきたい。さらにこの座間における米軍の施設というものは何をやっておるのか、こういうことを御答弁願いたいと思います。
  129. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 新聞の話は、私恐縮ですが、よく読んでいないのでございます。  それから座間は米軍の在日陸軍の本部があります。これは陸軍の実力部隊はおりませんが、いろんな補給その他の部隊本部があります。
  130. 森中守義

    ○森中守義君 お断わりして質問をしましたように、こういうことが防衛庁の所管であるかどうか、それは少し私も……。どうかすると合同委員会あるいは外務省、調達庁、こういう関係じゃないかとも思うのですよ。しかし、いやしくも防衛庁に関係のある軍施設なんですから、当然防衛庁はこういうことには重大な関心をお持ちでなければならない。新聞を読んだか読まぬかということじゃない、私はそういうことは新聞を読まなくてもいち早く情報として防衛庁は御存じであろう、そういう観点に立って質問をしている。装備局長でなくても、どなたかこの問題の内容を御存じの人おりませんか。
  131. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) ちょっと聞きましたが、いませんでした。
  132. 森中守義

    ○森中守義君 お聞きになっていない。これは電電公社の職員があの中で人権の侵害を受けて、日米行政協定に違反するような事実があったということです。これをNHKも朝日新聞も大大的に報道したし、いわんや外務省のアメリカ局長はいち早くこの問題に手をつけております。そして防衛庁当局に対しても、この座間における通信施設が果して今日その存在を必要とするかどうかということを協議してみたい、こういう話も進んでいるのです。それを防衛庁が御存じない、これは私ははなはだもって、一体防衛庁とは何をおやりになっておるのか、どうも日常の防衛庁のお仕事そのものに大きな疑問を持たざるを得ない。もう少し座間の米軍施設について詳しい人おいでになりませんか。
  133. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) ただいまおりません。これは実は御説明するようで、なんですが、私のところに通信課という課がございますが、運営の方は防衛局でむしろやっておるのでありますから、合同委員会その他は防衛庁で関係のあることは、また別な渉外課がございます。私は、はなはだうかつにして知らなかったのです。聞いてみます。
  134. 森中守義

    ○森中守義君 今の、前の方で声があっておるようですが、防衛庁ざまなりという状態で、これも次回に回しておきましょう。  それからもう一つお尋ねしておきますが、これはどうしても長官との間に少し問題にしなければならない点でありますが、わが国の防衛力の理想とする目標はどういう状態に到達したときを理想とするのですか。今、年次計画をお作りになっておるようですね、そして今国会に隊員の増加がだいぶ出ておるようです。昨年も、私は内閣委員会でだいぶこの問題に触れたことがありますが、毎年々々なしくずしのように一万五千人ふやしている、二万二千人ふやしている、とてもじゃありません。だんだん、だんだんふえてくる。しかるに防衛庁を除くその他の国の行政機関の定員あたりは、人員整理の方向に向っていて、人間がふえるような状態にはない。いたずらに陸上、海上、あるいは航空の自衛隊だけがどんどん増高されていっております。どういう状態を最高の理想とするのですか、強いて言うならば、いつだか三十二万とか三十三万が日米の間に話のついたわが国の兵員の必要数であるというように聞いたことがありますが、そこまでいくのですか。どういう状態が最高の理想であるのか、むしろこのことは長官に聞くべきでありましょうが、一応当局には戦略の専門家もおいでのようですから、そういう観点から具体的に陸上何名、海上何名、航空何名、飛行機幾つ、艦艇幾ら、何が幾ら、こういう理想の内容をここで一つ明らかにしておいてもらいたいと思います。
  135. 山下武利

    政府委員(山下武利君) まことに根本的な問題でございまして、私からお答えするのが適当であるかどうかわかりませんが、たまたま長官おりませんものですから、かわってお答え申し上げます。  防衛力につきましては、あくまで日本の国力、国情に応じた限度で漸増していくという基本的な方針があるわけでございます。それに基きまして、予算定員その他を毎年御要求しておる次第でございます。ただいまは、一昨年きまりました防衛力整備目標というものに基きまして、三十五年ないし三十七年末におきまして、陸上十八万、海上十二万四千トン、航空千三百機、こういう目標に向いまして、その年度の予算の許す範囲において漸増の計画を立てておるというのでございます。それに引き続きますところの次期防衛計画につきましては、やはり同じ心がまえでもって国力、国情に応じた限度で考えていくと、こういうことを目下内部でもって寄り寄り検討中でございます。
  136. 森中守義

    ○森中守義君 国力に応じたなどということではとても済ませる問題ではありません。いわんや私の今の質問のピントとだいぶはずれておる、最高の理想は幾らと、こう聞いておる。防衛計画をお作りになるについては、国力に応じて漸増するということであれば、国力はどんどん、どんどんこれは伸長していかなければならないし、そのためにみんなが努力しておる。そういったように国力の増進に従って防衛力を増強していくというならばいわゆる限度のない無制限ということです。これはここであなた方とやってもしようがないような気もするし、また機会も次回にあることですから、これはまあ一つ長官がお見えになったり、総理が見えたときに防衛問題の基本的な問題として進めていきたいと思います。ただ、近来本院の予算委員会等で違憲か合憲かという問題や核兵器の問題等が非常に熾烈になってきておりますが、とりあえず私どもとしては、予算決算という入口と終局点という、こういう立場からいくならば、どうしても国の防衛の基本的な概念の問題や具体的な内容の問題に言及するのが至当であると思います。  これは一つ次回に譲りまして、本日はこれで私の質問を終ります。
  137. 西川甚五郎

    委員長西川甚五郎君) 本日の防衛庁に対する質疑は、この程度で終ることにいたします。
  138. 森中守義

    ○森中守義君 この前お願いをしておきました資料ですね、大へんお世話になってここに出ておりますが、できましたならば促進してもらうように、先刻ちょっと御注意もあったようですが、お願いしておきます。
  139. 西川甚五郎

    委員長西川甚五郎君) 防衛庁の経理局長に申し上げますが、先ほど私が申し上げました防衛庁に対する資料ですね、至急にお出し願いたいと思います。重ねて申しておきます。  では、本日はこれで散会いたします。    午後四時十二分散会