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政府委員(山下武利君)
昭和三十二年度の
防衛庁の
決算につきまして
会計検査院から御
指摘を受けましたものにつきまして、
防衛庁といたしましての
概略の御
説明を申し上げます。
御
指摘を受けましたものは、「
不当事項」として十三件、十一番から二十三番まででございます。この十三件の内訳は、予算経理
関係が二件、工事
関係が一件、物件
関係が八件、役務
関係一件、その他一件となっておりますが、これらにつきまして以下
概略の御
説明を申し上げます。
まず第十一番、「物品購入代金の支払にあたり
処置当を得ないもの」という件でありますが、
本件につきましては、
会計検査院御
指摘の
通りでありまして、まことに遺憾であります。事故の防止につきましては指導監督を厳にいたしますとともに、隊員の教育、
事務取扱いの改善等によりましてその根絶を期しております。
次に、第十二番、「ロケット弾および発射装置の購入にあたり
処置当を得ないもの」という件であります。
本件は、
契約の相手方でありますスタッキーニ社の長期にわたる不利のストライキによりまして、ついに
契約不履行となり、
会計検査院御
指摘のような状態に立ち至っているということはまことに遺憾でありますが、当庁といたしましては目下イタリーの法廷に訴訟を提起いたしている次第であります。
次に、第十三番、「飛行場照明
施設工事の予定価格の積算が過大と認められる」という件についてであります。
本件につきましては、
会計検査院御
指摘の
通りでありまして、まことに遺憾でありますが、今後この種経費率の取扱いにつきましては十分注意するように
措置いたしておりますので、御了承願います。
次に、第十四番、「「T—34」練習機機体部品の購入にあたり
処置当を得ないもの」という件についてでございますが、T—34練習機は、富士重工が親
会社として、ピーチクラフト社と技術提携のもとに開発生産した戦後
最初の国産機でありまして、これに装着する計器類等も、親
会社たる富士重工の技術開発指導を要するものがあり、また、親
会社を経由して一括購入することによりまして、調達
事務が簡素かつ円滑に運ばれるものと認め、同社を通じて一括購入したものでございます。しかしながら、
会計検査院御
指摘の
通り、親
会社を通じて購入した計器類等のうちに、製造業者から直接購入することが可能であったと思われるものが一部あったことは遺憾であります。なお、今後は、親
会社の指導を要しない程度に技術が向上し、規格の安定した製品については、調達
体制の整備ともにらみ合せまして、
会計検査院御
指摘の趣旨に沿って直接購入するよう検討いたしたいと存じます。
次に第十五、「不急の正帽を購入している」件についてでありますが、当時の
状況からいたしまして
関係法規の改正すなわち貸与基準三年に一個を六年に二個とすることを見込みまして、円滑なる補給を期するために調査したものでありますが、
会計検査院御
指摘のような結果となったことは遺憾であります。今後はこのようなことのないように注意いたす所存であります。
次に、第十六、「不用の工具研ま盤および平面研ま盤を購入しているもの」という件についてでありますが、航空地における航空機等の整備作業内容の検討及び野整備の実情把握が不十分でありましたために工具及び平面の両研ま盤を購入したことは遺憾であります。しかしながら、購入いたしました研磨盤は、すでに再配分いたしまして、工具、平面の両研磨盤はジエット
基地に、また、万能研磨盤はレシプロ
基地にそれぞれ配備いたしましたので、今後は技術員の充足と練度向上に意を用い、さらに一そう研磨盤を活用するように改善いたしたいと存じております。
次に第十七番、「艦船用造修材料の購入にあたり
処置当を得ない」件についてでありますが、
会計検査院御
指摘のような結果となったのは、オイルシール外三十三点については、当時需給統制隊が未発足の状態にあり、調達計画策定の前提となる在庫量の調査集計が遅延したためであり、またシールリング外六十五点については、調達時期に
関係資料が整うことが困難であると判断したことによるものであります、今後はこのようなことのないように十分注意する考えであります。
次に第十八番、「ジェットエンジンテストスタンドの購入にあたり
処置当を得ない」という件についてでありますが、調達所要分の二台については輸入品の調達要求をしたのでありますが、検討した結果、
昭和三十三年二月に至り、推力測定装置及び計器類等を除き国産が可能であるとの見込みを得たのであります。しかるに、
本件ジェットエンジンテストスタンドはわが国
最初の国産品でもあり、高価品でもあるので、調達に慎重を期し、前記二台のうち一台を国内で調達することとしたものであります。しかしながら、結果において
会計検査院御
指摘の
通り、高価な輸入品を買い付けるに至ったことは遺憾であります。
次に、第十九番、「使用目的に適しない規格のフライス盤を購入した」という件についてでありますが、当時二馬力のもので所要の性能を有する国産品が得られないものと速断したため、能力過大のフライス盤を購入したことは遺憾であります。しかしながら、今後は、部隊の整備能力の向上に努めるとともに、整備すべき他の工作機械ともにらみ合せ
本件フライス盤の効率的使用をはかるように特に留意いたしたいと存じます。
次に、第二十番、「普通実包の予定価格の積算が過大なため購入価額が高価と認められる」というものでありますが、
会計検査院の御
指摘の点は、予定価格の積算に当り調査検討が不十分であったため高価となっているというものであります。
本件予定価格の計算方法につきましては、実は当庁としても
会計検査院御
指摘のような方法を一応は考えたのでありますが、当時は
会社側の原価計算上の
資料が十分整備されていなかったので、そのような方法を採用することができなかったものであります。しかして、
本件は当庁としては
最初の弾丸発注でもありますので、予定価格の作成に当っては、指名業者二社について信頼し得る
資料はできる限り収集し、これに慎重な検討を加えて積算したものであります。しかしながら、
会計検査院の御
指摘も、計算方法の考え方としては貴重な御意見と思いますので、できる限りその線に沿うように努める所存であります。
次に、第二十一番、「航空揮発油の予定価格の積算が過大なため購入価額が高価と認められるもの」という件についてでありますが、予定価格の積算の方法について調査不十分の点があったと思われますので、今後は十分注意する所存であります。
次に、第二十二番、「電子機器点検修理の予定価格の積算が過大なため点検修理費が高価と認められるもの」という件についてでありますが、レーダーの修理費については価格の実積調査を行わなかった点、また、材料費については燃料費の積算に当り機体
関係工事との
関係の調整を考慮しなかった点、その他に
会計検査院御
指摘のような点のあったことは遺憾であります。今後は十分注意したいと思います。
次に、第二十三番、「用地の取得にあたり
処置当を得ないもの」という件でありますが、
本件につきましては、
土地の交換等について、
会計検査院御
指摘の
通りの
措置をとることができなかったこと及び作物
補償に当り
資料の内容検討に不十分な点があったことについてはまことに遺憾に存じます。
土地の買収に当りましては、今後十分配慮するようにいたしておりますので御了承を願います。
以上をもちまして
会計検査院の御
指摘に対する一応の御
説明を終ります。