○棚橋小虎君 時間があ
まりないようでありますから、ごく簡単に申し上げたいと思いますが、岸
総理は、第一回の組閣の初めに当りまして、三悪追放ということを施政の第一の目標として掲げられてお
つたのであります。私
どもは、それに対しまして、心から共感を感じまして、岸
総理が施政をやつておられる間に、この腐敗した官界の空気が一掃されるであろうと、大いに心から期待をしておったのであります。三悪の他の二つであるところの暴力であるとか、あるいは貧乏であるとかいうような問題については触れませんが、この汚職という問題
一つを
とつてみましても、いよいよますます岸
総理が、
政府をやられるようになりましてから、汚職がひどくなってきている。この
決算の
報告を見ましても、
一般会計で五百件、十五億円、その他、これは
公社であるとか
特別会計を合わせるというと、莫大な額に上るであろうと私は思うのであります。
こういうことに対しまして、
一体総理はどういう対策を
考えておられるのかというようなことを、先ほど
小柳委員からも
質問をいたしましたが、あ
まり満足の御
答弁を得られなかった。ただいま、また
相澤委員の
質問に対しましては、
行政管理庁の機構を強化して指導
監督を厳にするというような
お話がありました。私は、そういうことも大事であるが、それよりも、もっと大切なことがあるのじゃないか。最近衆議院の方においても、いろいろ問題がありましたけれ
ども、こういう下の方のいろいろな不正不当な支出というようなことのほかに、
政府の首脳部が、大臣とか、
総理大臣とかいうような人の身辺に対して、自動車がどうこう、グラマン機がどうだとか、あるいは別荘がどうだとかいうようなことが、ひんぴんと話題に上ってきておる。ことに外交
関係について、インドネシアの賠償問題というようなことについても、どうも変な
関係があるのだろうというようなことが言われておる。これについては、まだ真相が十分に究明されておらないし、
総理は、絶対にそういうことは無根であるということを言われておるようでありますけれ
ども、私は、そういうようなことを、真相を究明して、そういう事実があったかなかったかというようなことは、二の次でありまして、少くとも一国の
総理大臣、
閣僚というような人に対して、そういうことが、
国会で問題にされるということが、これは私は、非常な国民に悪影響を与えるのじゃないか、こう
考えます。
で、こういうような
会計検査院から
指摘されておるような、いろいろな問題も、これは私は、こんなことは、もし
総理を初め各大臣が、日本の官紀を
粛正しなければいかぬと、
綱紀を振張しなければいかぬという強い御決心があつて、そうして
自分の身辺を清浄にして、みずから先へ立って全体を率いていかれると、そういうほんとうの熱意が下々まで徹底するならば、こんな小さな問題は、自然に私は影をひそめるだろうと思う。
ところが、ああいうことが大つぴらに
国会で、いろいろ問題にされて、それもあとから何が出るやらわからぬということになってくると、官界だけではない、国民全体が、
一体政府の首脳なんというものは、みんなあんなもんだ、われわれも、ちつとはつまみ食いぐらいは、当り前じゃないかというような気持が、私はびまんしてくるのじゃないか、現に、もうそうなっておる。こういうことに対して、
総理は、三年前にりつぱな三悪追放というようなことを宣明されて、国民に約束をされております。
現在の官界の状況、国民に与えた印象をごらんになりまして、どういう御感想を持っておられるか、一応その御感想をお聞きしたいと思うのであります。