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参考人(堀義雄君) 私は、本州製紙専務取締役の堀でございます。本日は
社長が出るように御要請がありましたが、何分にも急でございましたので、よんどころのない先約がありまして、どうしても本日は
出席できませんので、まことに申しわけございませんが、私がかわりまして
出席いたしましたわけでございます。どうか御了承のほどお願いいたします。
今回の問題につきましては、再三にわたる当
委員会の御
審議をわずらわしまして、諸先生方に大へん御迷惑をおかけしましてまことに申しわけなく存じております。事件発生以来、当社は新設備の運転を休止いたしまして、学識経験者の御
意見を仰ぎまして、排水の
処理設備と
被害の実情
調査に
努力を続けて参った次第でございます。
まず、排水
処理設備について御
説明申し上げます。もともとSCP製法は、外国においても日本においても盛んに行われておりますが、その廃液
処理については設備らしい設備をしているものは少いのでございまして、当社といたしましても、この
処理対策には苦心に苦心を重ねた次第でありまして、六月から、会社独自の
処理計画を進めたのでございます。
その概要を申し上げますと、第一は、米国特許の荏原インフィルコ会社製のクラリハイヤー新設によるパーク
処理装置でございまして、第二に、パルププレス新設によるSCP廃液抽出装置の新設でございます。この
処理設備案を七月二十日に
東京都に
提出いたしますとともに、工事を進めて参りましたが、その後、万全を期するために、排水
処理の権威者であります工学博士柴田三郎先生に御
研究をお願いいたしまして、その結果、八月末、修正
処理案を作成いたしました。その要点の
一つは、SCP洗滌排水と晒排水とを合せて曝気槽においてエアレーションを行い、しかる後にインフィルコ特許によるアクセレーターで沈澱させることでございます。第二に、抄紙排水は、他のアクセレーターで沈澱させて、その沈澱物の
処理は連続遠心分離機使用方式によるもので、世界最初の試みでございます。この排水
処理設備案を九月二十五日に都及び県に
提出いたしまして、その案に従って工事を進めまして、工事は十月末に一応完成いたしました。しかるところ、十一月上旬におきまして、両県の合同会議が開かれ、その結果、本設備については、柴田博士に設計を一任すべきであるとの強い御要望をいただきましたので、会社としましては、全面的にその御指示に従った次第でございます。柴田博士の御
研究の結果、十二月九日に
最終的の設計が示されましたので、その設計に基きましてSCPの抽出廃液を単純曝気する設備の追加工事を実施中でありまして、この工事は年内に完成の
予定でございます。従って
東京都の御許可があり次第、明年早々SCP設備の運転を再開し得る態勢となっております。
この排水
処理設備は現在のわが国紙業界における最高のもので、一部の技術者からは、それほどまでやる必要はないのではないかという
意見さえもありましたが、会社としましては、最高の設備をして両県の御要請にこたえ、かつまた、問題の円満解決のために最善の
努力を払った次第でございます。
つきましては、諸先生方御多忙の折とは存じますが、この新しい
処理設備の御視察を賜わり、お力添えによりまして、一日も早く操業が再開されますように心からお願いいたす次第でございます。
次には、関係漁業組合の
方々に対しまするところの
被害の補償の問題について申し上げますと、会社といたしましては、六月十二日及び十三日に、
東京都及び
千葉県の両知事殿に対し調停あっせんをお願いいたしまして、その解決に
努力を続けて参りましたが、何分にも関係漁業組合が両都県にまたがって八カ浦もあります上に、
関係者の
被害に対するお
考えがまとまりにくいので、御当局の御尽力にもかかわらず、今日まで決定を見ていない状態でございます。
さようなわけでありまして、当社といたしましても、補償額の算定については、
一つは不況下における当社の経営状態と、また
一つには業界全般の事情をも考慮いたしまして、できるだけのことはいたしたいと
考えておりますが、何分にも両都県にお願いしてありまして、いまだはっきりした
結論は出ておらない現状でございます。
本日の
委員会の御取り計らいを契機といたしまして、諸先生方の御尽力を賜わり、円満解決ができますならば、まことに仕合せと存ずる次第でございます。
どうぞよろしく御賢察のほど、お願いいたします。終ります。