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1959-03-19 第31回国会 参議院 外務委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月十九日(木曜日)    午前十時三十五分開会   —————————————   委員異動 三月十七日委員宗雄三君、笹森順造 君、苫米地英俊君及び鶴見祐輔辞任 につき、その補欠として野田俊作君、 岡崎真一君、井上知治君及び林田正治 君を議長において指名した。 三月十八日委員野田俊作君、井上知治 君、林田正治君、岡崎真一君及び柴野 和喜夫辞任につき、その補欠として 重宗雄三君、苫米地英俊君、鶴見祐輔 君、笹森順造君及び野村吉三郎君を議 長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     杉原 荒太君    理事            鶴見 祐輔君            苫米地英俊君            森 元治郎君    委員            鹿島守之助君            笹森 順造君            重宗 雄三君            野村吉三郎君            加藤シヅエ君            石黒 忠篤君   政府委員    外務政務次官  竹内 俊吉君   事務局側    常任委員会専門    員       渡邊 信雄君   説明員    外務参事官   田中 弘人君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選国際情勢等に関する調査の件  (国際情勢に関する件)   —————————————
  2. 杉原荒太

    委員長杉原荒太君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  まず、委員異動について報告いたします。  昨日、柴野和喜夫君が委員辞任され、その補欠として野村吉三郎君が選任されました。   —————————————
  3. 杉原荒太

    委員長杉原荒太君) 理事補欠互選についてお諮りいたします。  一昨日、理事鶴見祐輔君、理事苫米地英俊君が委員辞任されましたので、理事に二名の欠員を生じておりましたところ、昨日再び委員になられました。よって鶴見祐輔君、苫米地英俊君を理事に指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 杉原荒太

    委員長杉原荒太君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。   —————————————
  5. 杉原荒太

    委員長杉原荒太君) 去る十二日の委員会における加藤委員質疑に対し、政府から答弁を保留されておりますカナダにおける移住者等に関し発言を求められておりますので、これを許可いたします。
  6. 田中弘人

    説明員田中弘人君) 太平洋戦争が始まりました直後、カナダに在住をいたしておりました邦人のうち、西海岸に非常に近い地域にいた人たちは、百マイル以上の奥地に強制的に移住をさせられまして、その当時、その人たち財産カナダ政府で接収をいたしまして、これを売却処分をした事実がございます。その後戦争が終りまして、カナダ市民権を持っている人たちだけにはその売却代金が返還をされたわけでございますが、その他の人たち補償を受けていないと、こういうことがございまして、アメリカ事例に比べまして、カナダに在留した人たちは、その点では非常に困っておる人もあるということは、私ども承知をいたしております。ただ、この問題は、性質日本政府が表立ってカナダ政府交渉をするということは、ちょっと建前上むずかしい点もあるかと思っておりますので、米国事例を見ますと、日系市民協会その他が国内で非常な努力をいたしまして、コングレスを動かし、ああいうふうな補償措置がとられたわけでございますので、カナダの場合も、やはりこの問題の解決は、そういうカナダ国内における、米国でやりましたような方法以外にはないのではないかと、まあ私どもは考えておるわけでございます。そういう点について、日本政府、あるいは外務省の出先としてお役に立つことがございましたら、これはもちろん協力をする用意がございます。  それから、国内補償関係につきましては、厚生省引揚援護局関係で、外地から引き揚げた人に対して、引揚者給付金等支給法という法律に基きまして、一人当り一万五千円ないし二万円程度の支給金が出されておりますが、カナダ関係につきましてこれを適用することにはちょっと疑義がございまして、一時カナダ関係にはこれは適用さるべきではないというような解釈が出ておったわけでございますが、最近では、関係省の間で協議をいたしまして、あるいはそういう方法も取り得るのではないかというように考えまして、現在協議中でございます。いずれそのうちに結論を出すことができると思っておる次第でございます。
  7. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 今のその引揚援護金を出すことについて法律的に疑義があるというのは、どういう点に疑義があるのですか。
  8. 田中弘人

    説明員田中弘人君) これは終戦に伴って外国官憲の命令、生活手段喪失等やむを得ない理由により日本に引き揚げた、こういう建前になっております。当時引き揚げが自発的な措置であったというようなことも一つの点でございます。  それからその次に、これは法律問題ではございませんが、実はカナダからの引揚者確認の問題につきまして、当時は非常に混乱をした時期でございまして、その引き揚げた方々をはっきり確認するということにつきまして、援護局あたりはむずかしい事情があるというように私どもは聞いております。
  9. 野村吉三郎

    野村吉三郎君 今のに関連をして。私はカナダのヴァンクーヴァーのスチーヴンソンなんかに行ったことがあるのでありますが、あそこのものが引き揚げてきて、和歌山の御坊市の近所に集団帰ってきまして、アメリカ村というておるのでありますが、そこのものが絶えず陳情にくるのでありますが、厚生省の方でもこのごろだいぶ御研究になって、同情ある御検討を下さっておる。それは、外務省の方で私ども聞いておるのは、当時領事領事補くらいやっておった方がこのごろ外務省にお帰りになって、当時の事情はだいぶ詳しくなっておるということを聞きましたのですが、どうか一つ好意ある御調査の上、しかるべくお取扱いのほどを切望いたします。絶えず陳情を受けておるのです。
  10. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 カナダの二世協会というのもまだあまり有力な団体ではないようでございますけれども、やはりできておりますから、そういう方面とも連絡をしていただいて、大へん困っておる方のあるような話でございますから、もう少しそういう問題について検討していただくことを希果したいと思います。  それから、その引揚者というのは、それじゃ全然外務省の方では人数がどれくらいいるかということはおわかりにならないのでございましゃうか。
  11. 田中弘人

    説明員田中弘人君) ただいまちょっと数字を持ち合せておりませんですが、大体の推定はついております。ただ、個々のケースにつきましての確認について、あるいはむずかしいケースのあるものもあるということを援護局から聞いております。
  12. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 今の前の御答弁で、アメリカのような、一時接収された財産をまた返してもらったり、補償してもらったりというようなことが、カナダでは行われていない。それは向うにいる人たちが自発的に運動を起すのでなければ、日本政府としてはそういうことができにくいという御答弁を伺ったのでございますけれども、やはり日本政府が全然そういうことに対して無関心、あるいはノータッチというような態度で済ますべき問題ではなくて、やはり何かの形でそういうふうな運動が起る場合には、日本政府としてもむしろそういうことを積極的に、せめてアメリカ並みぐらいにはなるように援助をするとか、間接に援助するとか、あるいはいろいろ必要なことについては協力するとか、そういうようなことはなすべきことじゃないかと思うのでございますけれども、そういうことについて、何か御計画がおありになるでございましょうか。
  13. 田中弘人

    説明員田中弘人君) 先ほど申し上げましたように、日本政府がこの問題を公式に取り上げまして、カナダ政府交渉をするということは、問題の性質上、これは問題かと思うのでございますが、カナダに在留をしている邦人あるいは日系市民が、米国において、マイク正岡等がやりましたようなそういう運動と申しますか、そういうことを、現在のところ、ほとんど私ども調査では、そういう動きがないと聞いているわけでございます。もしそういうことがありましたら、日本政府としても表立ったことはしない方がいいかと思いますが、もちろん適当な方法協力することは当然かと考えております。
  14. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 今の御答弁で、そういう動きは全然お聞きになっていらっしゃらないようでございますけれども、この間カナダのパイオニアとか何とかいう、三十年も四十年もあるいは五十年も向う移住しておった人たちが、戦後の日本を訪問されたわけでございます。それで、二世協会もせんだってこれを歓迎して、いろいろの問題について自主的にどういうふうなことができるか、また、ぜひそういうことをやりたいという希望が今ちょうど起っているわけでございますから、ぜひやっぱりそういうような問題を外務当局としても知っていただきまして、やはり援助する方針などについても検討を加えていただくことが適当じゃないかと思います。今の御答弁によりますと、まあカナダ政府とそういうような問題について、いわゆる外交の事務的な折衝というようなものは、今すぐ突如としてそういうことはなされないだろうと思いますけれども、やはり外務大臣として、政治的な意味の外交折衝と申しますか、あるいはカナダ政府に対して、あるいは日本におけるカナダ大使に対して、やはりもう少しそういうことについて考えられたらどうかというような、トップ・レベルの交渉というようなものがあってもいいのではないかと思うのでございます。それは、アメリカ合衆国において現にそういうことができているのに、カナダも十分それだけする力がありながら、全然そういうことをただ見のがしているというようなことは、非常に遺憾だと思います。この点につきまして御所見政務次官から一応承わっておきたいと思います。
  15. 杉原荒太

    委員長杉原荒太君) 政務次官に申し上げますが、ただいまの加藤委員に対しお答えを願いますとともに、先ほど野村委員から希望の表明がありましたのに対して、何らかの所見を述べられた方がいいと思いますが、発言はありませんか。それをあわせて御発言願います。
  16. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) ただいま加藤委員のお述べになりました点につきましては、その御趣旨藤山外務大臣にも伝えまして、外務省としても首脳部においてよく相談しまして、時宜に適したように善処いたしたいと思います。また先ほど野村委員の御発言になった点も、同様の扱いをしまして、善処いたしたいと思います。
  17. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 ここに石黒委員もおいでになりまして、アメリカ合衆国の方としては三年間にわたる農業移住企画というものがまあ運ばれているように伺っております。私も現在それを拝見いたして参りましたのですけれども、そういうものの企画外務省というものはどういうふうな関係になるのでございますか。
  18. 田中弘人

    説明員田中弘人君) 今のお話の点は、いわゆる農業実習生ということで毎年参っておりますので、あるいはその関係ではないかと思うのでございます。もう一つ短期移民、これはまあ相当数行っているわけでございます。いずれにいたしましても、そういう二つのケースがございます。農業実習生関係は、主として農林省が担当いたします。もちろん外務省として、向うへの渡航、その他着きましてからのことは協力をしております。短期移民の方は移住局の方の所管でございまして、もちろんこれも国内選考等農林省がやっておりますが、現地におきましても外務省が全面的に責任をもってやっておるわけでございます。
  19. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 そういうような問題も、まあ石黒先生なんかもいろいろ御意見がおありになると思いますけれども、私としては、やはり外務当局一つそういうことを考慮にお取り上げになったらどうかしらと考えまして、御要望申し上げておきます。さらに私、まあ今度藤山外務大臣にも伺いますけれどもカナダというようなああいう広い土地で、日本ともお互いに友交関係を持っている国で、もう少しさっき御答弁願いました向うの接収された財産の問題とか、あるいは将来もう少し何らかの形で向う移住者を受け入れてもらう問題とか、こういうような問題に対して、外務当局が何も事柄が起ってこなければいつまでたっても放任しておおきになるというような態度は、私はどうもあまり納得できないわけでございます。幸い今カナダ大使も非常に日本のことをよく理解して下さる方なんですから、こういうような時期に、やはり積極的に政治的折衝としてそういうような問題は取り上げていただきたい、これを御要望申し上げておきます。
  20. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) この問題は、ただいままでのところでは、カナダ東京大使館等とも正式の折衝は一度もしたことがないわけでございます。外務省としては内々この問題については、いろいろ考えてはおったのでありますが、今お述べになったようなこと全体をもう一度さらに具体的に調査をし、検討もして、適当の方法でそういうお困りになっておる方々の意思を向うに伝えるように努力したいと思います。
  21. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 私が申し上げたのは、特に困っておる方ももちろん含みますけれども、将来もう少し日本カナダというああいう友好的な、しかも非常にスペースの余っておる国に対して、もう少し日本の人口が非常に負担が重いという現状を、何らか友好的に解決するということに対して協力的な態度に出ていただくように、そういうような政治的な折衝をしていただきたい、こういう希望なんでございます。
  22. 竹内俊吉

    政府委員竹内俊吉君) ただいまの御発言は、前段の問題とは別個の問題だと思います。お述べになった御趣旨に沿うて、適当の方法でさようなこともいたしてみたいと思います。
  23. 杉原荒太

    委員長杉原荒太君) 次に、国際情勢等に関する調査を議題とし、質疑を行うことといたします。  なお、本日は藤山外務大臣予算委員会から要求がありまして、この委員会への出席が都合つきかねる状況でございますから、御了承願います。
  24. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 外務大臣いつお出になるのでございますか。
  25. 杉原荒太

    委員長杉原荒太君) きょうは都合はつきかねますが……。
  26. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 来週の火曜ですか。
  27. 杉原荒太

    委員長杉原荒太君) 火曜はもちろん要求いたしますが、御承知のように、大体今までの原則としては、来週木曜日の定例会ということになっております。なおしかし、火曜日にも要求はもちろんいたします。  ほかに御質疑のおありの方はございませんか。それでは、本日はこれにて散会いたします。    午前十時五十六分散会