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1959-03-27 第31回国会 参議院 運輸委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月二十七日(金曜日)    午後一時五十二分開会   —————————————   委員異動 三月二十六日委員平島敏夫君、江藤智 君、内村清次君及び杉山昌作辞任に つき、その補欠として柴野和喜夫君、 林田正治君、天田勝正君及び前田久吉 君を議長において指名した。 本日委員柴野和喜夫君、森田義衞君及 び林田正治辞任につき、その補欠と して平島敏夫君、廣瀬久忠君及び江藤 智君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大倉 精一君    理事            江藤  智君            成田 一郎君            相澤 重明君    委員            植竹 春彦君            平島 敏夫君            柴谷  要君            松浦 清一君            市川 房枝君            岩間 正男君   政府委員    警察庁保安局長 木村 行藏君    運輸大臣官房長 細田 吉藏君    運輸省自動車局    長       國友 弘康君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    警察庁保安局交    通課長     内海  倫君   参考人    大和運輸株式会    社営業部長   新井 平八君    全国自動車運輸    労働組合連合会    委員長     引間 博愛君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選 ○小委員長並びに小委員辞任及び補  欠に関する件 ○運輸事情等に関する調査の件  (交通事故防止に関する件)   —————————————
  2. 大倉精一

    委員長大倉精一君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  三月二十六日、内村清次君が辞任、その補欠として天田勝正君、三月二十六日、杉山昌作君が辞任、その補欠として前田久吉君がそれぞれ選任されました。   —————————————
  3. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 次に、委員辞任に伴い欠員中の理事補欠互選は、先例により、便宜委員長から指名いたします。  理事江藤智君を指名いたします。   —————————————
  4. 大倉精一

    委員長大倉精一君) この際、お諮りいたします。今国会中、委員異動等に伴い欠員になりました交通事故防止に関する小委員及び同小委員長補欠選任並びに小委員等辞任の許可及び補欠の選定は、委員長に御一任願いたいと存じまするが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 御異議ないものと認め、よってさように取り計らいます。   —————————————
  6. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 本日は、運輸事情等に関する調査のうち、交通事故防止に関する件について、全国自動車運輸労働組合連合会委員長引間博愛君、大和運輸株式会社営業部長新井平八君のお二人の参考人の方から御意見をお述べを願いまして、今後の当委員会調査に資したいと存じます。  まず、参考人の方にごあいさつ申し上げます。  本日は御多忙中のところ、当委員会に御出席をいただきまして厚くお礼を申し上げます。  当委員会は、昨年以来、交通事故防止に関する件につきまして小委員会を設け、主としてタクシー事故防止について調査を行なって参りましたが、今回は特にトラックによる交通事故防止につきまして重点的に調査を進めたいと存じます。参考人の方からは、この点につきまして率直に御意見の御開陳をお願いを申し上げます。よろしくお願いいたします。  なお、この席には自動車行政を担当しておられる運輸省國友自動車局長全国交通取締りを担当しておられる警察庁木村保安局長及び同局の内海交通課長も御出席をしておられますことを申し添えておきます。  議事の進め方といたしましては、まず、大和運輸新井平八君から御意見事情を聴取し、それから引間博愛君から御意見を伺い、続いて、運輸省自動車局長並びに警察庁木村保安局長及び国内海交通課長から御意見を伺うと、こういう順序で差しつかえございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 柴谷要

    柴谷要君 その前に、きょうは、前回運輸委員会で小委員会を持つと、その小委員会参考人出席を求めて参考意見を聴取するということが決定になっていたのです。運輸委員会でそのような決定をしてやって決議をしておる。それを中途変更されて委員会になったという理由を聞かしてもらいたいということと、それから、前回運輸委員会の議決というものがそのなりになっておるのだけれども、その取扱いをどう運輸委員会としてされるのか。その入る前に処理すべき事項があるのではないか、こう思うのですが、この点いかが取りはからうという考えであるか。
  8. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 申し上げます。  先回の委員会におきまして、本件を小委員会の審議に付託する、こういう決定をしましたが、その後、江藤智君から、小委員長辞任の件もあり、いろいろ手続上の問題もありまして、便宜上委員会において事情を聴取する、こういうことにしたいという工合に、きのう委員長理事会において打ち合せをして決定した次第でありますから、どうか一つ御了承を願います。  ちょっと速記とめて。    〔速記中止
  9. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 速記を入れて。  それでは参考人新井平八君からまず御意見を承わります。
  10. 新井平八

    参考人新井平八君) 大和運輸株式会社営業部長新井でございます。  交通事故防止に関する委員会参考人として出席いたしましたが、私一介のサラリーマンでございまして、あまり交通事故防止に関する大きな抱負を持っておりませんし、また、それほどの経験もございませんが、私の考えるところを申し上げますと、交通事故発生原因にはいろいろあると思いますが、まずあげられることは、今、世間でいろいろ取りざたされておりまする、いわゆる過労からくる交通事故ということも一応考えられます。それからまた、乗務員規律違反、これは内容的に申し上げますと、法規違反あるいは勤務上の規律違反というようなことがいわれると思いますが、そういう点から無理運転をして起きる事故と、それからまた、車両故障原因で起きる事故ということもいえると思います。その他、道路欠損等による事故、あるいはまた、いわゆるもらい事故と称しまして、当方では注意しておっても相手方から事故をもらうというような事故と、大体以上のようなふうに分類できると思いますが、これに対して、私ども業者といたしましては、交通事故社会公共に及ぼす影響というものを非常に重大に考えまして、常に乗務員指導訓練ということに重点を置いて事故防止に努めておるわけでございます。  当社は、御承知のように、一般路線トラック事業、それから一般区域貨物運送事業、そのほか通運事業、そのほか軽車両並びに航空、海運等仕事をしておりますが、それに使われておりまするところの車両の台数が現在七百五十七両に及んでおります。この内訳は、普通自動車、四トン車以上のものが三百九両、小型四輪、三輪含めまして三百七十四両、二輪型自動車、これが七十四両、合計して七百五十七両、これに従事する運転者の数は七百四十七名でございまして、これらの運転者が日夜車を駆使して運送事業に当っておるわけでございますが、先ほど申し上げました区域関係仕事は、大体東京都内を中心に走行しておりますので、その日のうちに仕事が終了して車庫へ帰るという仕事が多いわけでございまして、また通運その他の集配関係仕事は、ほとんどその営業所の周辺を主として作業をしておるという関係でございますので、きょうのおそらく事故防止の焦点というものは、路線関係のものにしぼられてくるのじゃないかというふうに考えられます。それから同じ路線関係におきましても、大体日帰りのコース近距離のものは比較的に従業員過労とかその他の面で楽な仕事でございますので、長距離運行にしぼられてくるのではないかと考えます。  当社におきますこの実情を御参考までに申し上げますと、当社長距離と申しますのは、大体東京—仙台間、路線の免許は塩釜でございますが、一応塩釜としましても片道四百三キロでございます。このコースを一応取り上げて、現在どういうふうに運行されているかということを申し上げてみたいと思います。  東京から塩釜までの間に、近距離は別としまして、郡山どまりの便と、それから福島どまりの便と、仙台どまりの便というふうに分れております。これらの便は、日野ヂーゼルもしくは民生ディゼル七トン車を使用しております。運行ダイヤを申し上げますと、きょうの十四時に出勤をいたします。始業整備その他の手入れ、また、その始発営業所の若干の荷物を積み込みまして、十五時にその出発点営業所を、これは蒲田にございますが、出社します。出社した車は、都内主要営業所を回りまして、集荷された荷物を積み込みまして、大体夜の二十一時ごろに都内を出る、都内最後営業所を出るということになっております。それから仙台線におきましては、仙台までの車におきましては、翌朝の十時に仙台へ到着する。それから福島どまりの車は、大体二十二時に都内を離れまして、翌朝八時に福島へ到着する。それから郡山どまりの車は、二十二時に東京を離れまして翌朝の七時に郡山へ到着する。これが私どものいわゆる長距離線運行ダイヤになっております。この所要時間は、仙台で十三時間、これは東京最後食事までしまして、出発点から実際に走っている所要時間が十三時間、それから福島線が十時間、郡山線が九時間というふうに仕組んでございます。で、向うへ着いた運転手は一応営業所に到着しまして、大体の荷おろしが終りますと、すぐに仮眠所仮眠をいたします。その時間は午後六時までということになっておりまして、荷物の多い少いあるいはそのときの状況によって若干の違いはあると思いますが、これが標準になっておりまして、六時に仮眠所を出まして、今申し上げたと同じような方式で逆に今度は上ってきます。上ってきた車はその翌日の朝いずれも東京へ入りまして、それで荷物を全部各営業所へおろした上でその日は一日休みになる。翌日のまた十二時に出発点営業所へ出勤しまして、今申し上げたと同じようなコースをもう一回やつて、二往復いたしまして、その次の七日目が一日休みということを繰り返しているわけでございます。そうしまして、今のようなコースでやっておりますから、平均運行時速というものは三十キロを目標にしております。それから、その走行中に乗務員運転手が正副二名担当しておりますので、途中で運転交代をいたします。その交代の時期は百キロ限度ということになっておりまして、仙台の場合には二人が二回ずつで四回交代をやる。それから福島郡山の場合には、距離が短かいために三交代をやります。これは同じ組の者が毎コース行っていますので、きょう二回運転した者はその次のコースでは一回というふうになりまして、三交代の場合でもお互いに同じ労働力でやっていくという方法をとっております。東京を離れまして到着地までは、途中は別段交代するために休憩というものは与えておりません。走り出したらば途中で交代運転をしながらそこまで到着する。もちろん、東北方面は寒さがきびしいために冬の間はカー・ヒーターで暖房装置をしてございます。それから一人の運転手運転中は、一人の運転手は横臥して仮眠ができるような装置を車に施してございます。それから向うへ行ってのいわゆる仮眠に対する休養施設というものは、それぞれ営業所付属の宿舎がございまして、普通の畳敷の六畳ないし八畳の間ですが、ありますが、食堂並びに浴場は、仙台には直営の食堂がございます。それからほかの郡山福島は、近所の食堂食事して、お風呂へ入って休むという工合に、浴場はいずれの営業所にも備えつけてございます。途中の食事の場合には、これは実費会社負担ということで一応線を引いて、途中の食事の費用は給食の制度になっております。そうして過労を努めて防止するために努力しておりますが、当社の昨年の長距離東北線についての交通事故実情を御参考までに申し上げてみますと、一カ年間に十三件ございます。そのうち、被接触なり被衝突、いわゆる相手方のために事故を惹起したという事例が五件ございます。あとの八件が当方の不注意によって事故が、主たる、原因が出方にあったためにできたという事故でございます。この八件を分類してみますと、追突が三件、それから接触が一件、それから電柱に接触したのが一件、それから人身事故が一件、それから目測を誤まってすれかわりのときに左に寄り過ぎましてどぶにはまったというようなもの、以上のような状況でございます。人身の場合には、自転車乗りを追い越すときに目測を誤まりまして、自転車乗り接触をして人身事故を起したというのが一件あります。あとはほとんで車両車両との接触事故が多い、こういう実情でございます。  それから問題になるのは、給与の問題だと思いますが、当社においての乗務員給与、これを御参考までに申し上げてみますと、給与体系としましては、東貨労組の方から大体一定の線が出ておりまして、基本給としましては、年令給能力給勤続給というのがございますし、その他の手当、これを含めまして、一応固定給的なものとなっております。そのほか、当社では古くから歩合制度を一部とっております。これらのものを総合しまして、運転手給与は、当社全体の運転手としての平均給与は、月二万二千八百円になっております。それから路線関係の、この中からピックアップしてみますと、近距離平均は二万八千九十五円、それから長距離、今申し上げました東北線のものは三万三千七百十七円、これは昨年度の平均一カ月当りの賃金ということになっております。さらに、従業員勤続並びに年令、特にこれは運転手の場合だけでございますが、これを申し上げてみますと、当社全体の運転手平均年令は三十才四カ月ということになっております。勤続年数平均は五年六カ月、これを特に東北線長距離運行乗務員運転手年令勤続年数を申し上げますと、年令は三十三・五才となっております。それから勤続年数は九年、以上のように長距離は相当当社としても重要視しまして、勤続並びに年令から申し上げましても、老齢の運転手を配置しておるということでございますので、大体、長距離線給与休養施設、その他のことについて申し上げましたが、交通事故防止対策といたしましては、会社の方でも、先ほど申し上げましたように、社会に及ぼす影響が非常に大きいので、もっぱら防止対策を講じておりますが、何としましても、若い従業員も多いことですので、なかなか指導訓練の徹底しないうらみもあると思います。なるべく事故を起さないようにというので、品性の陶冶ということを特に重点的に私どもの方では考えておるわけですが、何しろ一つの車を持って、いわゆる野放しになるわけですから、そこまで監督の目がなかなか届かないといううらみが多分にあるわけです。これは長距離になればなるほどそういうこともあり得るわけでございまして、会社がきめた通りダイヤをほんとうに守ってやってくれれば、過労ということも今申し上げたような時間なり施設を利用してくれれば問題はないと思うのですが、中には途中で夕飯の時間が長過ぎたり、むだ話が多かったり、これを挽回するためにある程度のスピードも出すというような無理もしかねないので、私どもの方でも路線の監査ということを時宜に応じてやりまして、会社で規定した運行ダイヤの順守ということを、もっぱら始めておる次第でございます。  それから近距離の問題は、大体縦、横の関連性がございまして、それを早く通っても、おそく通っても、実はお客さんに及ぼす迷惑ということが非常に大きいわけでございまして、比較的無理なスピードを出すというような運転はしておらない、また、しては非常に困る、いろいろな問題に影響しますので、特に、いわゆる神風トラックといわれるような傾向のあるのは、どうしても一般路線を、ターミナルからターミナルへ突っ走らかすというところに起きやすいのではないかというふうに考えております。途中の営業所を何カ所か寄るということになりますと、どうしても毎日、毎晩でたらめなことはできませんので、お互いに協調しまして各営業所と連絡をとって、その時間にその車が着くように運行していく、これが定期路線の使命でございますので、そういう点からも無理な運転はする必要はない。会社できめた通りの時間を運行すればよろしいということになるわけでして、そういう関係からか比較的過労による交通事故というようなふうに見られるものも当社ではあまり起きていないというのが実情でございます。  あとまた何か御質問がありますれば、知っている限りのことはお答えいたしますが、以上をもって一応終らせていただきます。
  11. 大倉精一

    委員長大倉精一君) ありがとうございました。  次に、全国自動車運輸労働組合連合会委員長引間博愛君の御意見を伺います。
  12. 引間博愛

    参考人引間博愛君) 交通事故防止についての所見を述べてみたいと思うのですが、昨年神風タクシー問題というのがこの委員会で取り上げられ、世論がいろいろ巻き起り、乗距離制限というような形で運輸規則の中にも入れられることになるというようなことになりました。神風タクシーというのは比較的世の中に知られ、世論もいろいろな形で支持し、そういうような形でいったわけです。ところが一方で同じ交通機関である、同じ自動車を運行しているトラックの方については、比較的にお客がすぐ乗るというようなものではなくて、荷を運ばなければならない、人のいないところで。あるいは人がすぐ直接乗らぬというような関係から注目を引かないような状況でした。ところが、内部に入ってみますと、事故の件数なり、いろいろ調べてみますと、むしろタクシーより多いという状況で、事故被害も非常に大きい、トラックはとにかくタクシーと比べて比較にならない重さと大きさとを持っておりますから、事故を起すと非常に大きなものになってくるという、こういう状況があるわけです。比較的世論が起らないのですけれども内容としてはむしろ神風タクシーより——あまり自慢はできませんけれども、まさるとも劣らないという事故内容を持っております。私どもは、人道上の問題としても、社会福祉の問題としても重要な問題だというふうに考えております。これに対して私たち労働組合でも、事故防止という観点社会のために事故をなくすという観点でいろいろ努力を続けてきたわけです。最近世の識者の認められるところとなって、この問題について取り上げられ、特にこの委員会で取り上げられたことについては敬意を払う次第です。  交通事故をなくしていく道は何かという点については、すでに神風タクシーの問題のときにこの委員会でも十分各先生方が検討されて結論が出されていると思うのです。重複するような面になると思うのですが、先ほどの新井参考人意見につけ加えて申し上げますと、いろいろ事故原因はたくさんあります。交通量道路事情が一番問題になってくる。道路と比較して、日本の道路は悪いというのは世界でも定評があるわけですが、それに比較して車両が多い。すでにトラックだけでも八十数万両、九十万両になろうとする車両数を持っておる、こういう状況である。もちろんそれにタクシー、バスが幅湊してきますから、道路状況に見合う車両状況になっておらぬこういう点がまず第一点にある。特にトラック立場から言いますと、道路というものが、単に道幅でそういう交通量と見合わないばかりでなくて、道路の基盤が非常に薄くて、常に故障をして、補修しなければならぬという問題がある。こういう点が確かに政治的な問題として解決しなければならぬ問題であると思うのです。こういう一つの問題と、次にはもちろん、通行人並びに運転者交通道徳なり法規の知識がまだまだ欠けているところがあって、通行人はもちろん、勝手に横断歩道でないところから通行してしまう。あるいは運転者の中にも技術の未熟な者、あるいは教育の不徹底な者で、つい交通違反をやってしまう、こういう点もあると思うのです。この点についてはわれわれの方でも鋭意……。先ほどの政治的な問題についてはもちろん各政府当局においてこれは取り上げてもらうよりない、あるいは国会においても努力していただきますが、通行人交通道徳だとか運転者教育については、それぞれの立場でわれわれも努力してきたところです。  そこで、そういう問題があるとともに、もう一つ重要な問題として、労働組合立場から申し上げると、どうしてもその運転する労働者自体にその環境を与えてもらうということが必要ではないか。労働者が全く疲労こんぱいした形の中で大きなトラック運転したり、あるいは小型トラックもそうですが、めちゃくちゃに走らせるということではなくして、お客がいないだけに、むしろ安易に突っ走るというようなことになると思うのですが、そういう労働者に対して適切な労働条件なり労働環境を与えられておらぬ、この点が何といっても問題ではないか。道路の問題なり、あるいは交通量をどう規制するかという問題がすぐ根本的に片づくとは思わないので、そういうことをやらせる中で、さらに労働条件について適切なものがあれば、幾らかでもわれわれの念願する交通事故をこの面からなくしていくことができるのではないかと考えております。特に神風タクシーの場合には、とにかく飛ばすというので、三百六十五キロに制限されたのですが、トラックの場合は単に飛ばすだけではなくして、中に置かれている条件というものは飛ばさざるを得ないものがあるとともに、さらに荷物の量を多くする。タクシーの場合には荷物の量を多くするということはなかなかできないのですが、トラックの場合は五トン車にたとえば十トンあるいは七トン車に十数トンの物を積むというような形でやります。こういうような大きな荷物を積む、あるいはスピードで走るということは、その事故が大きな被害になることは当然だと思うのです。そういう面で、私たち労働条件を適正化するということの中でそういった原因というものを取り除いていきたいというふうに考えているわけです。  具体的に現在私たちが把握している限りにおいてのトラック労働者の実態を申し上げますと、これは神風タクシー——何だかんだといっても、一日交代で非番には休めるのです。ところが、往々にして神風トラックといわれる、特に長距離運送労働者の場合は、公休制週休制があるというのは、よほど大きな会社労働組合があるところでなければないという状態があるのです。さらに厚生施設どもタクシーに比べれば見るべきものがない。仮眠所なり睡眠所でも、宿泊施設についても見るべきものがないという状態があります。賃金が、とにかくタクシーは、平均二万幾らといわれておりますが、トラックにおける全平均となりますと、労働省統計によっても一番低いわけです。道路交通運送業というのは、一九五三年三月の労働省統計によってもそれは一万三千なにがしである。長距離運行の場合はもちろんこれより若干高くて二、三万になると思います。ところがその内容たるや、労働時間が一週百時間をこえるものがざらである。時には二百時間をこすというような状況にあって、どうやら二万、三万もらうというのが状況です。そういうような長時間労働がそういう観点から問題になって、さらにそれに加って多い積荷、それからスピードで飛ばすというようなことが加って事故が起る。そういう面から私どもはこの問題を取り上げていただきたいと思うのです。  これはさらに砕いて、どうしてそういうことになるかについてもっと立ち入って申し上げてみたいと思うのです。ある静岡県の運送業者労働者について私たちが調べたところによると、一カ月のうちに帰宅睡眠した時間がわずか十八時間という例がありました。これは組合に行っての話ですが、労働者の要求の中に、どうしても公休制をとってもらいたい、週休制というものは労働基準法できまっているのですが、週休が取れない。だから一カ月に一日でも二日でもいいから公休制を取ってもらいたい。なぜかというと、毎日毎日休みなしで働いて、家に帰らないので、家庭争議が起きる。海員労働者みたいで全然家に帰れない。長距離に乗ったら連続運行のし通しで、極端な場合には月に十八時間しか家にいない。帰ったとしても一、二日しか帰れない。これではかなわんから公休制を実施してくれ。これは誇張ではなしに、静岡県というようなところに本拠を持つような定期路線会社というようなものは大ていそういう状態です。今の新井さんのお話は、東京に本拠を持ち比較的近距離の運送会社は、東京にいて、地方に行ってまた東京に帰ってきますから、自分の家で休めますが、途中から東京、大阪をやるような会社は、たとえば例を申しますと、静岡から東京に上る、東京から今度は大阪に行ってしまう。それから大阪から静岡に帰る。静岡に帰ってから休めればいいけれども、五日に一ぺんぐらいようやく家に帰る。その一回もこれまた大ていの場合帰れない。定員が不足であるとか、いろいろの点がありますが、賃金が低いために何といっても残業時間でも稼いで多くしなければならないというようなことになりまして、結局会社からも言われるし、自分の賃金の低さからくる要求からも、どうしてもまたやってしまう。そうするともう一回それに足したことには、十日目でなければ家へ帰れぬという状況です。私たち労働組合立場から定休制をはっきり取らせない限り、疲労の度合いというものが激しくなる。疲労すれば居眠り運転も出てくるし、注意力も散漫になりますから、いろいろな形で事故を起す、あるいは法規違反を犯す、そういうようなことになると考えます。そういうような実態があります。  さらに、先ほども申し上げましたように、どうしてスピード違反したり、あるいは積荷制限を違反するかという問題ですが、これは賃金体系に非常に関係があると思うのです。スピード違反の例を申し上げますと、これは警察庁の方が来ているのですから、あとで詳しく申し述べていただきたいと思うのですが、東京—大阪間の例をとりますと、これは六百二十キロのキロ数がありますから、法定速度で行って、さらに休憩を取るという形で行っても、通常二十二、三時間はかかると見られているのです。前の十月以前の法規改正になる前に私たちが実地調査したところ、前の法定速度においては大体二十九時間かかるというのが法定速度に従った場合です。さらに労働組合のいろいろな状況から適正な運行時間がどれくらいかと調べたところが、大体二十二時間という数字が出た。ところが実際に走っている時間はどうかというと、十五時間ぐらいのフルスピードで走る。これは簡単な算術計算でわかるのですが、六百二十キロを十五時間で走るということは、平均四十数キロで、箱根の山を越えて、さらに休憩時間を取り、食事をしながらどうしてそんなに行けるかというふうに思えるぐらい摩訶不思議なことが行われている。十五時間よりもっと早く走る会社もあると思います。ですから、どこの定期会社のどこの看板を見ても、弾丸便だとか特急便だとか、神風便とは書いてありませんけれども、(笑声)そういうふうないろいろな形で競い合っているわけです。ですから、もうスピード違反というのは平気なことです。これがどうして起るかということは、やはりこれは歩合制に関係がある。それから奨励金制度というものがあって、早く着いた者は金がもらえる。あるいは往復を何回やれば、東京—大阪の場合は、月に五回やるというのが標準で、普通四回ぐらいやると思いますが、五回、六回やれば一往復幾らという歩合給のところ、積み高幾らというところ、両方からいっても、やはり回数を多くやった方がいい賃金ということになる。ですから残業時間が二百時間をこすというようなことになると思います。そういうふうなことが行われているので、スピード違反を幾ら警察の方が取り締まっても、実際に十五時間でどんどん走っておるということになります。ですからある時点では法定速度の五十キロをこえて七十キロを飛ばさなければならない。あるいはある時点では三十キロか四十キロということになる。たとえば箱根の山は七十キロでは飛ばせませんから二、三十キロになる。そういうような状況が出ているのです。積載制限の問題でどうしてそういうふうな違反が起き、事故が起きてくるかというと、これがやはり積み高歩合に関係するわけです。何トン積んで何万円の品物に対して幾らという賃金歩合になっているのです。ですから、積めば積むほど労働者の収入になるという考え方がこびりついている。ですから無理しても積む、会社の方もどんどん積み上げてしまう。ですから、五トン車に十トンぐらい積むのはわけない。現在では定期路線というのは主として七トン車というのが走っております。七トン車にはもうどうしても十二、三トン積むというようなことになって、これは相当警察庁でやかましく言っているので、だいぶそういう点についてはなくなったようですが、まだまだ横行していると思うのです。そういう形は、今申し上げたような賃金体系にやはり問題があるのだというふうに考えます。それからまれでは、全部とは申し上げませんが、東京—大阪間の長距離運転で一人運転をやらせるところがあります。先ほど新井さんは百キロごとに交代すると言っておりますが、そういう会社というのはおそらく日通以外にはあまりないのではないか、乗り継ぎ制にしたり、途中で交代にするということはあまりやらないでどんどんやってしまう。われわれは、もちろん二人乗り以上を主張しているわけですが、まれな会社には一人運転というようなところがある。一人運転ですから、もう東京—大阪でも、東京—名古屋間ぐらいは一人で行ってしまう。これは疲労度からいって科学的に見ても大へんなものだというふうに私たちは考えます。そういうような状況があるから、やはり事故を大きくしているというふうに私たちは見ております。  厚生施設の面ですが、最近長距離運行会社では、たとえば大阪や名古屋に割合大きなターミナルが建っている。げたばき住宅というやつですが、下で作業をしながら二階、三階、四階に寄宿舎なり仮眠所を設けるというものがはやって参りました。これはいい傾向だと思うのです。そういう形になっておりますが、たとえば東京の方を見ると、まだまだそういう点については完備しておらないし、仮眠施設あるいは睡眠施設というのは全く不十分です。基準法では、一人当り一・五畳の畳数がきめられたりいろいろしていると思うのですが、これはタクシー状況を調べたならおわかりだと思いますが、トラックはもっとひどいような状況です。これは実際見ていただければわかることですが、厚生施設として見るべきものはないという状況です。  もう一つは、ターミナルを建てて、げたばき住宅を建てて、いいように見えますが、一方では労働組合があり、あるいは労働慣行が確立しているところではいいのですが、かえってむしろ寄宿舎の制度がありまして、なまじっか仕事場の上にうちがあるために、常に引っ張り出される危険性あるいは率が多いわけです。これは特に運転手ばかりでなくて、そこに働いている集配する人とか、あるいは荷を扱う人などは年がら年中呼び出されてしまう。寮があるために便利なんで引っ張り出されて使われてしまうわけです。ですから積み込む人もみんな疲れ切ってしまうのです。そういう形の中で引っ立てられていく運転手はなお疲れるという状況です。労働時間という観念については、労働者自体がはっきりしておらないというようなことがあります。たとえば定期路線労働者に、お前は一体一カ月どのくらいの労働時間をやるかということを聞いても、すぐ答えができるのはよほどいい会社です。普通のところでは、なかなか自分の時間についてはっきりできないような状態になっている。なぜかというと、朝たとえば出てくる。普通朝八時か九時に出て晩五時に帰る。あるいは四時に帰るのが普通の勤務状態ですが、長距離路線の場合には、朝出てきて、たとえば車を直し、荷が運ばれてくるやつを積み込んでいく、そうして出発するのは、大ていそういう大きな東海道線なり仙台線の場合は晩の九時か十時という状況です。あるいは七時か八時というのがありますが、大体夜出ていくというのが多い、そうすると普通の労働時間から考えても四時で帰らなければならないやつを、さらに延長して九時からいよいよ本腰の仕事ということになる。ですからほかの労働時間とは全く比較にならない。九時なら九時に出るのじゃないのです。朝の八時から出ていって、そうして夜の九時にようやく自分の本業に取りかかる、こういう状態であります。そうして夜の夜中走って向うへ行って、向うへ着いたらそこで少しく仮眠する。いい会社では二十四時間ぐらい仮眠させておりますけれども、大ていの会社はわずかの時間しか睡眠させない。そうして折り返しトンボ返しで帰ってくる。そうして自分の店へ帰ってくるけれども、それからまたすぐうちへ帰るならいいのですが、先ほど静岡の例のようにまた行くという形です。静岡などは一番よくても、二往復で一回休みというのが一番いいくらいです。ようやく二回行って一回休みですから、どうしても四日か五日に一回ぐらいせいぜいうちへ帰れる。これは休日ではないと思います。休日でなくて非番制というか、とにかく二十四時間のうち八時間働いて、あとの十六時間は自分の持ち時間のはずですから、これはうちへ帰っても休みではないと思うのですが、これが休みに代用されてしまうのです。こういう形になっている。そういう状態定期路線、主として長距離路線に対してですが、ほかの地場運送といわれるところ、あるいは小型運送のところは、そういうような形の極端なものはありません。しかし賃金が低いということ、歩合制が多くて、やはりかせがざるを得ないという形の中でスピード違反をやり、積荷違反をやって事故を起していくという形が出てくるのだと思います。  私たちは、そういう実態をぜひ国会先生方に知っていただき、また関係の当局にもそれぞれ前から申し入れてあるのですが、適切な指導をしていただきたいというように考えておるわけです。去年労働省が調べた結果、労働省でも驚いているのですが、事業所全部調べた結果、実に八割が労働基準法違反だという状況が出ております。そういう点で関係当局に一そうの指導をお願いしたいというように思っております。  いろいろ実態を申し述べたのですが、さらにもう一つの問題で、事故の負担金というものがあります。事故を起すといろいろなことがあるのですが、まず企業の中では、事故を起した原因にもいろいろよると思いますけれども、大体相当の負担をさせられる。労働組合があってしっかりしたところでは、もちろん事故弁償金というのは出しませんけれども、そうでないところは、やはり一生ついて回るような事故負担金を課せられてしまう。あるいは減俸、あるいはさらに警察庁関係からは二重処分という形で行政、司法の処分を受ける、就業停止を食うというようなことになる。自分で、もちろん事故を起すということはいけないことですから、われわれとしてもそういう点は注意しているわけですが、しかし今申し上げましたような労働環境あるいは疲労度が加わっておればだれだって、運転手自体は、事故を起すとけがもするし損害も食うのですから、だれも望んでおらないのですが、結局そこへ陥れられてしまうというか、そのままにどうしてもそこにいってしまうという状態があるということです。そういう中でさらに罰を食う。こういう例があります。警察庁から罰金を食う、就業停止を食う、それを何とかまた月々のかせぎから、賃金から支払わなければならない。あるいは家庭生活をまかなっていけないというために、なお今言ったように、フルスピードで走る、荷物をうんと積んで、休みもないで走るというようなことになる、ここらが悪循環しておると思う。一生懸命働くから、さらにそういうようなことで事故を起す。罰金を食う、会社からは処分される。そうしてまたそれに追いつかなければならない。こういう悪循環を今繰り返しておると思うのです。大体こういう点がトラックの実態だと思う。  私たちは、この点について昨年来から運動を進めて、関係当局にぜひ適切な指導をしてもらいたいという要請をいたしました。ただいま運輸省については、神風タクシーでやったように、運輸規則の二十一条にぜひ具体的に、定期路線に対しては、これこれの運行ダイヤなら運行ダイヤを、運輸省の認可にしてやるべきである。そうしてその上でそういうようなむちゃくちゃな、定期事業は公益事業だといっておるけれども、公共事業の役目を果さないような状況をなくするようにしてもらいたい。運行ダイヤに対して適切にやってもらいたいという形で出しております。ぜひ運輸省としましては運輸規則の中に、そういう形で定期に対する規制処置を入れてもらいたいというふうにしております。またさらに、歩合給なり、最低賃金の保障がないという状態からそういうことが出てくるのですから、そういう歩合給の賃金体系についての改善の処置を、労働省と相談して運輸省もやってもらいたい。あるいは最低保障も出してもらいたい、こういう形において要請しておりますが、運輸省必ずしもこれに熱心でなくて、今日まで見るべき成果がないというのが実態です。それから労働省についてはもちろん監査という立場でやっておられるわけです。警察庁といたしましては、単に運転手をびしびし取り締られても、実は私たちの方でも困ってしまう。そういう実情の中で出てくるのですから、根本的な策として、経営者あるいは運輸省に対して、そういう処置を警察庁から申し入れしていただきたいということをこちらからも申し入れている。さらにできることとして、警察庁の方には、ぜひ、たとえば主要な街道の法定スピードに乗った場合には何時間で運行するのが普通なのかというような基準をこしらえてもらいたい。今のように東京—大阪間十四、五時間で走るなんということは、それが法治国だといっておりますが、全然法律が守られていない状態を暗に認められているのだと思うのです。そういう状態をなくして参りますために、ぜひ基準の時間を算定していただきたい、こういうふうに思っております。業者団体に対して、われわれはそういう点に対して業者の自覚を求める。大和の新井さんなどの会社にはある程度の条件ができておると思うのですが、定期路線全国では五百社あります。運輸業者は全国で一万二、三千の数に上っております。そういう企業の中で、小企業が乱立し、競い合っているために、やはりお互い会社自体、経営者自体もまず企業競争という形にどんどん追いやっておる。そこへさらに七十万も八十万も自家用がある。こういう状態で競い合ってきていると思うんですが、まず当該業者団体が自粛自戒の策を講ずべきではないか、こういう形でいろいろ申し入れしているんですが、なかなかこれもうまくいっていないというのが実情です。こういう点、ぜひ国会において総合的に取り上げられて、総合的な対策というものを立てていただきたい。そういう中で、いわゆる神風トラックといわれるトラック部門における事故は少しでも是正できるのではないかというふうに考えております。一番、実地調査をしていただけばわかるんですが、ただ実地調査する場合も、時間だとか、いろいろの点をよほど勘案しないと骨だと思う。たとえば向うから東京に入ってくる車というのは、大てい明け方に入ってきます。たとえば名古屋でも大阪でも大体夜仕立てて、夜立ってきて、こちらへは朝に入り込むという形になっておりますが、東海道で例を申しますと、箱根の山を通ってくるのが明け方なんです。そうしてこっちへ入ってくるのが八時、九時という状況です。ですから一番、労働者はほんとうは十五時間ないしは二十時間乗ってくる、そういう疲れ切っている中で実は東京や神奈川県で事故を起すのが多いのですから、実際そういう状態を見ていただいて、業者に対する警告なり、運輸省に対して正しい処置をとるように要求していただきたいと思っております。大体私たちの方で前から運動を続けた中で、事故防止をしてゆくには、根本的には労働者条件労働環境をよくしてゆくことが、たくさんの施策の中の重要な施策の一つだというように考えるんです。  その他増車の問題とか、交通道路の問題とか、そういう点については、先ほど申し上げましたようなことで、ぜひまた総合的な立場運輸委員会でお取り上げを願いたいというように思います。ともかく、今のところ手近な問題として解決できる方途としては、労働者条件をよくしてゆく、神風タクシーでとられた処置のように、はっきりした策でもって臨まれることがいいんではないかというように考えております。  大体、以上申し述べました全自運の労働組合立場でそういう措置をお願いしたいと思います。
  13. 大倉精一

    委員長大倉精一君) ありがとうございました。   —————————————
  14. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 委員異動について御報告いたします。  森田義衞君が辞任せられ、その補欠として廣瀬久忠君が選任せられました。   —————————————
  15. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 次に、國友自動車局長から御説明をお伺いいたします。
  16. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) 昨年の二月に神風タクシーの問題が取り上げられましてから、いろいろと施策を練りまして、内閣の事故防止対策本部でも事故防止対策要綱を作り、さらに国会でも参議院におかれましても衆議院におかれましても、神風タクシーについての問題点を取り上げられまして、いろいろと勧告もいただいて、それに基きまして運輸省といたしましては、先ほどお話の出ましたような自動車運送事業運輸規則の改正をいたしたわけでございますが、これに関しましてトラック事業にまで関係のございます条文といたしましては、乗務員休養施設の整備、それから運行管理者の資格要件について特に定めましたが、その規定、それから事業計画を遂行するに十分な数の運転者を選任するという規定、それから日々雇い入れられる者等の選任の禁止の規定というような規定を、トラック事業につきましても適用するような改正をいたしましたわけでございますが、これらに続きまして、引間委員長からお話のございましたような申し入れ等も運輸省にございまして、それらに対しましては御回答も申し上げ、措置についても実行に移して参ったわけでございますが、その中で特に昨年の昭和三十三年十二月十二日付で自動車局長から各陸運局長あてに出しました通達の内容につきまして申し上げたいと思うのでございますが、これに関しましては、根本的には事故防止の見地から、ことに十二月等は事故が非常に多くあります時期でもありますし、まあこれは十二月だけをねらったわけではございませんで、今後こういうふうにやるべきであるという通達をおろしたのでございますが、その第一点は、運転業務の適正を期せよということであります。第二点は、適正な運行ダイヤの確立をせよということでございます。それから第三点は、折り返し運行の際の休養を十分にさせよ。こういうこの三点につきまして通達をおろしまして、これに基きまして各陸運局長は管下の事業者を指導いたしておるわけでございます。  それからさらに、トラック事業者の全国の組織体である、先ほど引間さんのお話しにありました日本トラック協会におきましても、三十三年の九月から三十四年の三月までサービス向上及び事故防止運動というのを展開いたしておりまして、これで事故防止に対する措置及び熱意を、事故防止の措置をするようにということで運動をいたしたわけでございますが、さらにこの運動はことしの三月で一応終るわけでございますが、今後五月一ぱいを期しまして、正しいトラック運送月間というのを現在計画してございます。これは四月一ばいを準備期間といたしまして、五月一ぱいを実施期間として正しいトラック運送月間というのを実施するような計画をいたしております。  そこで、事故の件数等につきまして申し上げるのは、警察庁の保安局長も来ておられますので、警察庁の方の統計をわれわれも利用さしてもらっておりますので、むしろその方にお譲りいたしまして、私どもの方で昨年調べました給与とか勤務時間とかにつきまして御報告を申し上げたいと存ずるのでございますが、この調査は昨年の八月、昭和三十三年の八月中の四週間にわたりまして、各陸運局五業者ずつ、事業者にいたしまして四十五業者について調査をいたしました結果、集計をしたのでございますが、この中で調査対象といたしまして四十五業者のうち三十七業者、運転者百五十八人の平均をずっととってみたのでございますが、この平均によりますと、平均一日当りの拘束時間——勤務時間と申しますか、拘束時間は、事業者により、また運行系統によりまして乗務キロの長短があるわけでございますが、全事業者の平均の一日当り拘束時間は十二時間であります。最も長いものが十五時間で、最も短かいものは七・八時間ということになっております。  で、これから申し上げるのもこれは全国の統計でございますので、東京とか大都市以外のものも含んでおりますので、相当平均としては低い数字があるいは出る場合があるかと思います。たとえば給与その他についても低い数字が出るかと思いますが、一応その全部について申し上げてみますと、この平地十二時間の拘束時間のうちで、乗務時間は七・八時間となっております。平均一日当り七・八時間になっております。で、この七・八時間のうちに、やはり乗務時間の中でも休息なり睡眠なりを、先ほど大和運輸営業部長からお話しもありましたが、休息なり睡眠なりをいたしますが、それが平均一・三時間になっております。すなわち、作業または乗務をしておる実際の時間は六・五時間という統計になっております。それから作業時間といたしまして、出発前または到着後に作業をする時間があるわけでございますが、これが四・二時間ありまして、この中で集配、積みおろし、点検等の時間が平均二時間という統計が出ております。それでこの調査をいたしました四週間のうちで一人当りの平均休日は二・七日ということになっておりまして、従いまして、これは月間で申しますと、二日から四日の休日をとっておるということが言えるのではないかと思うのでございます。  それから、これは先ほど御説明にもありましたので、ちょっと触れますと、運転者平均年令は、百四十七人につきまして調査しました結果は三十二才でございます。最高五十三才から最低二十才まで。それから運転者平均勤続年数は、百三十八人について調査しました中では、平均年数は六年、最高年数は十七年ということになっております。  それから後刻これはまたお話が出ると思いますので申し上げますと、給与につきましては、百四十六人の総与関係を、先ほど申し上げました労務状況と同一の昭和三十三年八月について調査しましたところによりますと、平均給与は、固定給が七千九百二十六円でございまして、全部の合計の収入が一万九千三百四十二円となっております。賞与は一カ月平均千五百円程度になるというのが全国調査しました平均でございます。  それから、ちょっと先ほど事故の負担のことも出ましたので、事故の負担の割合を、この調査しましたところについて申し上げますと、三十四業者について調査しましたところ、全額を会社負担にいたしておりますのが十業者、それから経営者と労組の委員会のようなものがあったりしまして、そういう機関で審議をした上で決定する業者が二十二業者、それから損害額の一%を運転者が負担いたします業者が一業者、それからそのつど決定するものが一業者、こういうような比率をこの調査のときには示しておるのでございます。  以上、申し上げましたのが大体今まで措置いたしました概要でございますが、たとえば先ほど引間さんからお話しのありました運行ダイヤ等につきましても、自動車運送事業運輸規則の二十一条につきましては、「過労防止を十分考慮して、事業用自動車乗務員の勤務時間及び乗務時間を定めなければならない。」というふうに規定してございますが、これらにつきましては事業計画の面で——この法定をするあるいは省令できめるということは無理な点もございますので、これは事業計画の認可あるいは事業計画を実行します場合の指導という面で、私の方としても過労防止事故防止の見地から陸運局を通じて検討をさし、実施させるという方向をとっておるわけでございます。  簡単でございますが、以上御説明申し上げます。
  17. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 次に、木村保安局長から御説明をお伺いいたします。
  18. 木村行藏

    政府委員木村行藏君) 現在警察といたしましては、いろいろな重要問題をかかえておりますけれども、特に交通問題、交通事故防止につきましては、非常に憂慮もし、また一生懸命これらの面について取締り、あるいは行政措置を講じておるわけでございます。たとえば、各県の警察本部なり管区警察局なり、あるいは私たち警察庁におきましても、その年その年の重点事項というものを策定する場合に、いつも人身事故防止、人の生命や身体に関係する事故、生命の厳粛な意味をほんとうに考えまして、人身事故防止というような観点から、交通事故防止ということは毎年々々、ここ七、八年、あるいは五、六年来きわめて強力にいたしておるのであります。しかし、それにもかかわらず、いろんな悪条件が重なっておりますために、交通事故による悲惨な人身傷害、致命的な事故がたくさんふえておりまして、非常に心配しております。たとえば、昨年一年の状況をかいつまんで申し上げますと、昨年一年度におきましては、交通事故が大体十七万件に近い数字を示しております。その中で、死者を出しましたのが八千人をオーバーしておりまして、非常な数になるわけでございます。それから、重傷者あるいはけがをいたしました者が十四万五千、まあ十五万近くに及んでおりまして、これをかりに一日に計算してみますと、一日に大体二十三人の人が死んでおります。大ざっぱに言いますと、一時間に一人どこかで死んでおると、こういうような状況でございまして、また、傷者は一日に三百九十八名、四百名近くのけがを出しております。まあ四百二十名前後というものの死傷者を一日、毎日毎々出しておるような状況でございまして、非常に警察といたしましても、まことに憂慮をいたしておりまして、いろいろ力を注いでおるわけでありますけれども、何せ、なかなか大きな問題でございまして、われわれの力だけではどうにもなりませんのであります。  今日、問題の長距離トラックの実態なり事故につきましては、若干われわれ警察でタッチしました実情をありのままにお伝えしたいと思います。  大体、東海道を運行します長距離トラック東京—名古屋—大阪、各地区を結びますところの東海道全線、あるいはこの全線のうちの一部の区間、これをおもな路線として免許を受けておりますところの一般路線貨物自動車、運輸自動車運送業者は約七十業者あると見られております。この七十業者の長距離トラックというものの、一日のうちで箱根を越えて往復する数というものが、全自動車交通量の約一割、およそ二百台、こういうふうに見ております。これは大体、昨年の九月の初めから一週間にわたって、神奈川県下において実地に詳細に調査いたした具体的な数字でありまして、大体正確なものと申されようかと思います。この二百台前後の長距離トラックの運行状況というものを調査しました結果、たとえば積載量の状況を申し上げますと、定量積載、法で許されておるそれぞれの車の定量、車に応じた定量の積載が三八%、それから空車が二一%、積載せずにからで走っているという長距離トラックが一二%、それから超過積載で運行しておりますものが五二%、半分以上は超過積載、こういう状況でありまして、たとえば、空車あるいは半載車といいますか、半分しか積んでいないというような車を除きますと、ほとんどが積載制限を超過しておるというような状況でありまして、警察といたしましても、非常にこれについては関心を持ち、また取締りをいたしておるわけであります。この積載制限をこえてやっておりますものの六五%は、すなわち六割五分は、一トン以上の過大超過、すなわち、定量よりも一トン以上の超過積載をしておる、こういうふうな状況でありまして、はなはだしいものは、五トン車に十五トン積載したものがあった、こういう状況でありまして、ちょっと想像がつかぬような状況であります。しかし、これは調査の結果出た実情でありますので、非常におそろしいことだと思います。  それから運行の関係を申し上げますと、東海道沿いの関係警察本部が中心になって、定期便五百二十七台について調査した結果を申し上げますと、過半数が片道四百キロメーター以上の路線運転しております。  それからその状況の詳細にわたって申し上げますと、運転交代員のいないもの、あるいは中途で休憩することのないものなどが相当見受けられました。また、さらに八〇%までが、すなわち八割前後のものが、トンボ返り、御案内の通りトンボ返りというような、休養なしの折り返し運転を実施しておりまして、非常に無理な労働条件のもとで運行時間の短縮をはかろうとするような、無理な運営があるのではないかとうかがわれます。この長途の運行によりまして、大体、一応終点に着いた、東京なら東京、あるいは大阪なら大阪というような終点に着いた運転者は、相当の数、まあ大体過半数と見ておりますけれども、積荷の集配に使用されております。着いて後にも、その面における労働が余儀なくされておるのではないか。その労働時間は、現在の常識では考えられないような、二十時間、三十時間というものに及ぶものも少くないようでございます。これは全く想像のつかないことでありますけれども、事実あったのですけれども、はなはだしいものとしては、昨年十一月、兵庫県下において、過労のために居眠り運転、そうして事故を起した、こういう定期便の運転者は、いろいろな運転の時間の詳細を調べてわかっておるのですけれども、大体、夕食のために帰宅した四時間を合せまして、六十一時間の連続運転をしていた、こういう例がございます。ですから、夕食のために帰宅した時間四時間を除きますと五十数時間、こういうような長い時間にわたって運転を続けておったということは、非常に考えさせられる問題じゃないかと思います。  こういう長時間の勤務の休養は実際どうなっておるかということについて、この五百二十七台の実際について調査いたしましたところ、車上で仮眠をとる、あるいは路上やドライブインの中で一時間なり五時間前後の休憩をとろうとするものが大部分のようであります。もちろん長距離運転というような非常に危険率の高い、そうして常に心身の緊張を要求されるこの面の運転に関しましては、やはり休養ということが非常に大切な不可分の事故防止の問題ではないかと思いますけれども、実際休養についても若干問題がありゃしないかということが、この五百二十七台の調査の中から出ておるわけでございます。結局、超過積載あるいは運行回数というものをできるだけ上げていくというようなことを結果において余儀なくされるような諸般の条件賃金とかあるいは労務管理とかなどの問題が、運転者を無謀な運転に追い込んでしまう大きな原因一つではないかと、こういうふうに警察としても考えております。  で、これらの無理な運転によって、実際長距離輸送のトラック事故はどういう状況でありますかと申しますと、大阪、静岡、神奈川、各府県における昭和三十三年中における調査を申し上げますと、大阪におきましては、自動車事故の七千六百件のうちで六百三件というものがこの種のトラックによって事故を起しております。それから静岡におきましては、五千四百八十件のうちで二百九十四件、それから神奈川県におきましては、一万六千件のうちで七百五十件でございます。この種の事故の非常に多いのは大型車両によるものが大部分でありますために、非常に悲惨な人身事故あるいは物的施設事故というものを起している場合が多いのであります。全国的にいいますと、大体全自動車事故というものが、あらゆる交通事故のうちでも最も多いのですけれども、その中で、自動車の悲惨な事故の中で、貨物自動車による事故が約九%、すなわち全自動車事故に比較しまして一割というものが大体長距離トラックの運行の際に起る事故でありまして、全自動車事故が非常に多いものですから、この一割といえども相当の数ではないかと思われます。  それから一千台当りの事故の件数を申し上げますと、大体営業用の普通貨物自動車、これは必ずしも長距離トラックだけに範囲がマッチするわけではありませんけれども、その類に考えられる一つの範疇でございますが、この営業用の普通貨物自動車の一千台当りの事故は大体百二十件、従いまして、相当の数になると思われるのであります。それから神奈川、大阪で調べました調査の中で出ました御参考になる点を申し上げますと、昨年の一月から七月までに発生しました事故は、神奈川におきましては二百七件、大阪府におきましては六百三件、その事故原因を調べてみますと、神奈川におきましては、この二百七件のうちで一番多い事故は居眠りの事故でございまして、これは八十二件になっております。その次に多いのは無理な追い越し七十九件でございます。それから比較的多いのは速度超過十五件でございます。それから大阪の方におきましては、六百三件のうちで、非常に多い原因は速度超過でございまして、これは六十三件、それから居眠りが四十一件、従いまして、居眠りあるいは速度超過という原因からくる長距離トラック事故というものが、先ほど申し上げたように諸般の事情からくる結果ではないかという感じもいたすのであります。  こういうふうな工合で非常にいろいろな問題点をはらんでおりますけれども、実は昨年の秋以来、貨物自動車協会におかれまして、自発的に事故防止運動を展開されました。非常に熱心にこの運動を展開されましたのですけれども、その結果、ほかの方の面における交通事故というものがなかなか減少しないのにもかかわらず、この普通貨物自動車の面におきまして若干事故が減っております。具体的に言いますと、普通貨物自動車において約五%というような減り方でございまして、大部分がふえている中で、この面において減っているということは、この貨物自動車協会による事故防止の運動の結果、ある程度そういうような面があるのではないか、こういうふうに思っておりまして、この面につきましては非常な敬意を禁じ得ないものがございます。  で、警察といたしましては、先ほども申し上げましたように、人身事故防止のために、どうしても強力にいろいろ取締りをいたしておりますけれども、いろいろな面について、取締りだけではとてもいけない大きな問題が生じていることは御案内の通りでありまして、問題の根本をなしておりますところの労務なり運輸なり、あるいは道路なり、それらの問題につきましては、それぞれ所管官庁に所属しておりますので、あるいは政府に置いてありますところの交通事故防止対策本部、あるいは各府県のそれぞれの機関にそれぞれその方面における改善なり、いろいろな措置をとっていただくように、そのつどいろいろな内容をつけまして通報もいたし、また強く要望もいたしているような状況でございます。あるいは多少行き過ぎではないかと思いますけれども、直接関係業者の方々に対しても、第一線の警察において事故のつど相当強く警告をいたしましたり、いろいろの意見を警察の立場からも出している場合が相当あるのであります。しかし、問題が非常に幅広く関係いたしますし、また底の深い問題でございますので、警察だけではどうにもなりませんので、この委員会交通事故防止のためのこの問題をお取り上げいただきまして、いろいろ御推進していただくということに関しましては、ほんとうに深い敬意と強い感謝の念を感じております。どうかいろいろまた御推進いただきますよう心からお願いいたしたいのであります。
  19. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 次に、ただいまの参考人各位からの御意見並びにこれに関連した政府委員の説明に対しまして、御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  20. 相澤重明

    ○相澤重明君 私は警察庁に先にお尋ねしたいと思うのですが、いろいろ事故の概略について御説明があったんですが、交通取締りという具体的なことをどういうふうにやっておるのか。たとえば一つの面では、道路における線を引いて、いわゆる低速車とか高速車という区分けをしておるような面、ああいう点だとか、あるいは速度制限という表示を行なっておりますがそういうような点について一つの基準というもの、そういうものをどういうふうにして作られてやっておるのか、それを一つ御回答願いたいと思います。
  21. 木村行藏

    政府委員木村行藏君) 各県それぞれの事情が違いますので、一律には申し上げかねますけれども、それぞれ各県におきましては、公安委員会が、県の公安委員会、都でいいますと東京都の公安委員会が、管内の道路あるいは交通量状況、その他を勘案しまして、また関係庁ともいろいろ協議しまして、交通規制あるいは通行区分のいろいろな方法について指導いたしておるわけでありますが、正確に私も覚えておりませんけれども、ここ一両年来、警視庁におきましては、ごらんの通り、それぞれの主要道路に白いラインを引きまして、そのラインによって通行の指導をし、また事故防止のある程度の間接の効果をねらう、こういうふうにいたしております。また、交通規制のいろんな関係から道路標識、これらの面につきましては、それぞれ各県におきましては土木部あるいは建設省などが関係いたして、道路標識の設置についても、警察と協力していろいろやっております。また警察といたしましては、それぞれの予算を通じて、道路標識においてもできるだけ実情に合った、またできるだけ運転に便利なような問題、事故を起さないような方法で、これらの面について施設の推進をいたしております。  しかし何せ交通事故原因が非常に複雑でありますので、たとえば運転者の心理に与える諸般の条件、たとえば疲労の状況からくる問題、あるいは労務管理からくる問題、その他、交通規制の方法論としていろんな問題がございます。これらの問題について科学的な研究をすべきではないかというので、今回の国会に予算、あるいは警察法の一部改正をお願いいたしまして、警察法は改正いたされたのでありますが、それは科学捜査研究所というような名前を、そういう研究機関がございますが、これを科学警察研究所というような形で改めまして、捜査だけの科学的な面の推進でなしに、警察万般にわたって科学的な研究、あるいは実験、あるいは対策を推進していくというので、科学警察研究所がこの四月一日から発足いたします。その中に防犯少年部という少年非行の問題と、それから交通部という、今日問題になっておりますところの交通事故防止に関するいろんな科学的な研究、心理学なり社会学なり、精神医学なり、その他経験法則だけでなしに、科学的なライトを当てて、諸般の交通事故防止の研究をいたそうということでございます。
  22. 相澤重明

    ○相澤重明君 先ほどのあなたの御説明を聞いておると、全国の業者なりあるいはまたこれに従う運転者のいわゆる生活実態なりというものの中から、非常にこれは無理な点があるように御説明があったと思う。そこで私は、逆な立場から一つお尋ねしたいのですが、事故の取締りということに急であって、予防あるいはそれに対するところのいわゆる事故を起さないための、今の科学警察研究所というものはこれからできるのですが、それができなくとも、この事故を起さないために予防・注意をするというような指導というものが行われない。これは今もあなたの御説明のように、運転者の心理状態とすれば、白バイがあとから追っかけてくれば、これは速度を制限しなければならぬ。しかしおらなければ飛ばしていくということは、これはもうあなたの説明された無理な労働時間あるいは低賃金、あるいはまた、休憩設備のないとか、そういうところに起因しているように今私どもわかったのですが、それを単にその取締りだけを厳重にしても、これは事故というものはなかなか尽きないと思う。そこで、むしろその前の予防というもの、注意を喚起すると、そういうことについて何かお考えはございませんか。
  23. 木村行藏

    政府委員木村行藏君) まさしく今お述べになりました点について、非常に関心を持っておりまして、取締りだけではこれは片手落ちでもございますし、また、事前に予防するということは、警察の非常に大きな使命でございますので、交通事故防止については、予防という点では非常に力を入れております。従いまして、取締り以外に、指導という面について相当の手を打っておりますが、各県においても、中央においても、たとえば全国には全国交通安全協会というのがございます。各県には各県の交通安全協会というものがございます。それらの方々は、関係業者あるいは組合の方々あるいは識者の方々、相当有力な方も入っておられるのでございますが、それらの方々と相語り、また、いろいろ研究し合いまして、事故防止のためのいろいろな手を打ってきております。従いまして、取締りだけを強くやって、未然の防止ということに関心が向けられていないということはさらさらないのでございまして、御指摘の通り、非常に大きな問題でありますので、一生懸命やっているような状態であります。
  24. 相澤重明

    ○相澤重明君 それからいま一つ、今あなたのお話にあった安全協会、いわゆる協力会といいますか、これがどうもちょっと心配になるのでありますが、業界の人たちが、まあ自分たち運転者の人たちがいかなる走行を行なっているかということで、この安全に運転をしてもらう協力会であるということについては、私はまことに名目上はいいと思うのです。ともすると、これが運転者のいわゆる執務の監視であり、エントツの監視であり、これが度が過ぎるとけつをひっぱたいて、いわゆる労働の強化になるということに陥りはしないか、それがつまり私の心配しているのは、安全協会というものが官制化し過ぎるのじゃないか。こういう中に、たとえばこの今のどこの地帯でも、あとで私また参考人にもお伺いしたいと思うのですが、労働組合というのがそれぞれの事業所単位に作られている、あるいはまた全国的な連合会もある。そういう労働者意見というものが反映できるような機関というものはないのであるか、また現在お考えになっているか、安全協会というのは労働組合が入っているものであるか、この点について一つお尋ねしておきたい。
  25. 木村行藏

    政府委員木村行藏君) まず第一点でお答え申し上げたいと思いますが、安全協会が何らかの形において、運転者労働者の勤務状況あるいはその他の問題を監察したり、査察しているようなことはないかと私は思うのですが、それはしかし絶無ということは断言できないかと思いますが、そういう性質の団体ではございませんで、御了解いただきたいと思います。  それから安全協会の構成メンバーの中に組合の代表の方が入っているところが相当多いと思います。これも全国一律に指導しているわけではありませんけれども、大体入っているものが多かろうと思います。それから最近新しい警察制度になりましてから、すなわち終戦後、まあ十年くらい前に発足いたしました新しい警察制度になりましてから、民間の方々の意見を吸収する、また民間の方々の御批判をいただく、場合によっては民間の方々から鞭撻をいただくというような立場から、謙虚な立場で、むしろ警察に対して口やかましい連中の方々のメンバーを加えることがむしろ正しいという意味で、民警懇話会、民警懇談会ということを実際にまじめに良心的に構成し、またたびたび運営しているところがあります。私も第一線で、広島でそういうことを体験し、またやりましたが、そのときは相当きつい意見も出、また相当耳の痛いことも出るわけでありますが、その場合、われわれも心から反省し、また強い正しい要望についてはできるだけ誠実にこれを警察の面において実現できるものは実現していく。また、警察の面において実現できず、ほかの関係省の方々、関係庁の方々の所管であれば、そっちの方にできるだけ誠実にお伝えする、こういうふうにいたしております。
  26. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  27. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 速記を起して。
  28. 相澤重明

    ○相澤重明君 大体、今警察庁の方から御答弁いただいたので、私も参考人にお尋ねしていきたいと思います。  引間さんの方から、今警察庁で御答弁いただくというと、安全協会というのは組合の方々が参加をしておる、こういうお話ですが、いかがでしょうか。
  29. 引間博愛

    参考人引間博愛君) 安全協会は、大体土地の警察を主力にしまして、大体業者の社長だとか重役、その他、大体、会社の重役と警察との懇親会みたいなものだと思うのです。ときどき交通安全運動だとか、そういうときには従業員を使って胸章持たしたりしてやっていますが、実際に従業員代表という形で加えているようなところはないと思います。ただ運転者、協会みたいなものを作って、そういう形で従業員代表を入れているところはありますけれども、安全協会の中に即労働組合を入れてやっているところは、大体東京ではないと思います。全国的にもないと思います。運転者会というようなものを組織して別個にやっているようなところは、あるいは労働組合あるいは従業員代表がありますが、主として大体、土地の運送会社の社長連中で構成されているところが多いというふうに考えております。
  30. 相澤重明

    ○相澤重明君 大和運輸営業部長新井さんにお尋ねしたいのですが、今組合の引間さんの方から、運転者会というようなものが作られておる。で、具体的に業界の方ではそういう点はどういうふうに指導されているのでしょうか。
  31. 新井平八

    参考人新井平八君) 運転者協会は、各警察署単位ごとに作られております。これは必ずしも絶対的なものではなく、ないところもあると思います。しかし、東京都内では大多数の警察単位に作られております。これは経営者としましては、私のところなんか各職場が分散している関係で、その分散した所属の警察単位に作られておりますから、これはもっぱら運転者相互の何といいますか、親睦を主としましたいろいろな意見交換機関というようなことがいえると思います。業者としましても、極力それに加入することを奨励しております。
  32. 相澤重明

    ○相澤重明君 そういたしますと、運転者協会というものに事業所の中で積極的に加入させるように御指導され、そうして警察署単位にできるだけ件られているということになりますと、これはおそらく、私は進歩的な経営者の諸君は、労働契約なり協約もお作りになっているだろうし、組合の代表と御相談をされていると思いますが、組合の役員の人なり、組合で御相談をされた方が、そういう中で代表として出て御相談をされる、こういうことですか。
  33. 新井平八

    参考人新井平八君) 運転者協会というのは、運転手個人がメンバーになって入るわけですから、別に代表者とか何とかいう資格でなく、たまたま、その役員として、あるいは運転者自身がなっている場合もあるでしょうし、事業所の社長とか、いわゆる経営者が、ある人がなっている場合もあるでしょうし、その点はちょっと私もよくわかりませんが、大体聞くところによると、運転者の中からも協会の役員のメンバーに出ているようでございます。
  34. 相澤重明

    ○相澤重明君 私の主としてお尋ねしたいのは、実は前段に申し上げた、おそらく今自動車経営をされている経営者の皆さんは、職場の中でお互いに話し合いが十分行われている。従って、労働契約なり労働協約というものが結ばれていると私は思うのです。そういう中に、協約等の中にそういうようなことを一項目入れておいでになって、そうしてそれは組合の役員であろうとあるいは個人であろうと、御相談をされた中で出ていくのだと、こういうふうに理解してよろしいのですか。それとも協約の中には全然そういうことは載っていない。ただまあ会社の社長さんなり重役さんが、どうだ、一つ君、運転者協会へ入らぬか、組合で赤旗ばかり振っておってはいかぬということでしょうか、どうでしょうか。
  35. 新井平八

    参考人新井平八君) 別に労働協約の中に加入することをきめておりません。これはあくまで任意的なものだと私思っております。各地区ごとにそうした要請があって、運転手がおそらく個人の資格で入会していると思います。別段、会社としてまとめて代表を送るというようなものでは運転者協会はないと思います。
  36. 岩間正男

    ○岩間正男君 私も三、四点お伺いしたい。この前、神風タクシーの問題でいろいろ問題を明らかにするための私たち努力をしたのでありますが、それと共通した問題が非常にあると思います。特殊な問題もありますが、その中で、先ほどからお聞きしますというと、事故の大きな原因、これは何といっても労働強化、トンボ返り運転というような形で表現されており、あまり芳ばしくない名前ですが、こういう格好で表現されている労働強化、それからそれと関連して、やはり超過積載量の問題そうしてしかも、そういうところに追いやっている労働者給与条件、それから労働条件、労務条件、これがやはり最大の問題じゃないかというふうに考えられるわけです。  そこで第一にお聞きしたいのは、仕事量に対しての労働者給与状態、先ほど引間さんのお話をお聞きしますというと、固定給は幾らかあるけれども歩合制度がとられている。その歩合制度も、勤務の時間あるいは積載量、こういうような点でいろいろ違った形があると思います。これはタクシーと違うところじゃないか、そういうような点でもう少し詳しい実例が何かありましたら、そういうものもちょっと知らしていただきたいと思います。ある特定なものでなくても、大体組合として調査されたものでお持ちになっていらっしゃると思います。これは同時に新井さんからもお聞きしたいのです。そのことを労使の両方からお聞きしたいと思いますので、どんなふうになっているか、大体平均のそういう姿についてお答えいただきたいと思います。
  37. 引間博愛

    参考人引間博愛君) 今の岩間先生の御質問はあれですか、歩合給、賃金実態について……。
  38. 岩間正男

    ○岩間正男君 たとえば個人ならば個人の中で固定給がどうなって、それから歩合給がどういうふうになって、全体の割合がどういうふうに構成されているか。それで歩合給の中でもいろいろあるだろうと思うのです。そういう点についてもう少しこまかくお話しして下さい。
  39. 引間博愛

    参考人引間博愛君) 歩合給の実態、賃金の実態について申し上げたいと思うのですが、実は、昨年の五月十三日の日刊自動車新聞に、運輸省の見解というのが載っているのです。その運輸省の見解が、歩合給の弊害を認められるという形で、タクシーと違ってトラックには歩合がないとかいう言い方をしたり、固定が六〇で歩合が四〇だという発表をしておるのですが、その後の状況運輸省は気がつかれていると思うのですが、この実態はそうではないのですね。歩合給の実態を申し上げますと、先ほど給与調査について運輸省警察庁からも発表があったと思うのですが、たとえば業者団体の日本トラック協会から出ている資料を見てもすぐわかるのですが、具体的に申しますと、たとえば総収入二万円あるとします。これは路線運転手平均賃金全国的に調べた場合に二万八百七十八円という数字が出ております。これに対して、固定給は六千八百五十四円、それから歩合給が六千六百四十七円、超過手当が三千三百六十一円、その他の手当が二千五百六十五円、賞与千四百五十一円というふうな状態でして、全収入から考えますと、大体三割程度しかないという状態です。大体、全体に長距離運行の場合を考えますと、歩合、それから超過勤務に対する手当の率の方が六割ないし七割という状態だというふうに考えます。具体的に歩合給の形態から申しますと、二つの型があると思います。先ほど申し上げたのですが、一つは運賃に比例した歩合を出す、ですから固定なら固定を三割に押えて、あとの七割は全部歩合にしてしまう。タクシー式ですね、歩合にしてしまうというやり方で、何万円積んだから幾らというやり方です。だからこの方式をとられた場合には、おそらく基準法違反——もちろん基準法違反ですが、大体超過労働賃金も何もない。歩合にして幾らという形になってしまう。こういうことだと思います。  もう一つの形態は、先ほど申し上げたように、一回行ったら幾ら、一往復行ったら幾らという歩合です。ですからこの種も超過労働賃金といわれるものは、一回行って幾らの中に、何時から入っているかという形で協定して、この中に深夜とあれがあるという形をこしらえます。こしらえた上で、一回行ったら幾らということになるので、実際とは違ったもので、大ていは実際の労働時間よりずっと縮められたところの形態で計算されているところが多い。大体、長距離路線をとってみますと、二つの形態があると思います。要するに一回行ったら幾ら、積み商で幾ら、両者をかね合せたところもありますが、大体はどちらかをとっているというふうに思います。どちらをとっても、一回行ったら幾らという歩合にしても、なるべく数多く行くということになるし、それから積み高の方は積み高だけとにかくうんと積んでおけばいいということで、ありったけ積んでおくということで、いずれからいっても事故原因になると思います。  大体、関東といいますか、東京はある程度歩合より固定の方が多いという傾向で、東京から以西の業者は大半が歩合給、あるいは大阪などでは徹底して八割くらいが歩合というのが多いようです。これは一つの傾向として申し上げておきます。ただし、お断わりしておきますが、長距離路線というのは、東京の業者より地方の業者が多いわけです。全国五百社あるうち東京に本社を持つ業者というのはごくわずかしかない、一割もない、零点幾らしかないと思いますから、要するに歩合給が支配的な形態だと思います。
  40. 岩間正男

    ○岩間正男君 今の点について、新井さんどうですか、あなたの社の場合。
  41. 新井平八

    参考人新井平八君) ただいまの給与の問題ですが、先ほども総額を申し上げましたが、内容を分析して実は持ってこなかったので、詳しいことは申し上げられませんが、大体、今、引間参考人から申し上げました程度ので、私どもの方は大体標準に近い程度の振り合いだと思います。
  42. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 本件について國友局長から発言を求められておりますから……。
  43. 岩間正男

    ○岩間正男君 今の問題について、運輸省はどういうふうにこれをつかみ、分析しておるのか。
  44. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) 先ほど簡単に触れましたのでございますが、昨年の八月に調査いたしました結果に基きます数字を申し上げます。  これは対象運転者が百四十六人、これの給与関係を調べたわけでございますが、これは各陸運局から、先ほど申し上げましたように五社ずつ選定いたしまして調べました結果でございます。これは賞与を除きました平均給与が、固定給は七千九百二十六円で、四一%でございます。歩合給が四千七百五十六円で、二四%でございます。諸手当が六千六百六十円で、三五%でございます。計一万九千三百四十二円というのが平均でございまして、賞与は、先ほど申し上げたかと思いますが、月額平均が千五百円程度でございます。で、この調査の中で、全給与額の最高額につきましては四万五千二百十四円とっておるのがございます。それから最低では八千三百六十一円とっておるのが最低でございます。  それで給与の種類について申し上げますと、固定給の中には基本給、家族給、物価手当、勤勉手当、生活手当、職能手当、年功加給、地域手当というようなものを入れております。歩合給では、歩合給、稼働給、距離に対しまする乗務給、取り上げ給、運行給、走行給、奨励金——水揚げ高に対する奨励金というものをあげております。諸手当には、休日出勤手当、時間外手当、積み込み手当、深夜給、乗務給——これは一運行当りの乗務給、無事故手当というようなものをあげております。こういうのをずっと整理いたしましてあげたわけでございますが、今引間氏からお話しのありましたように、歩合給につきましては、水揚げ高に対する割合によるものが各社を通じて多いという状況を示しております。
  45. 大倉精一

    委員長大倉精一君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  46. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 速記を始めて。
  47. 岩間正男

    ○岩間正男君 今のこれは、運輸省で調べただろうと思います。今発表になったそういう問題、それから、先ほどいろいろ出されましたが、これも資料でできるだけほしいのです。今の給与だけじゃなく、そのほかに通達を出されたとか、これをもっと詳細に、われわれ資料がなくちゃ話にならぬので……。それからついでに、これは警察庁の方にも、いろいろ先ほど話されたようなものについての資料をいただきたい。それからこれは、労働組合並びに大和さんの方にも、あなたたちの持っておられる資料を一ついただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。この点、委員長から確認していただきたい。
  48. 大倉精一

    委員長大倉精一君) ただいまの岩間君の資料よろしゅうございますか。
  49. 新井平八

    参考人新井平八君) 後ほどでよろしいのですか。
  50. 岩間正男

    ○岩間正男君 後ほどでいいです。
  51. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 私の方から関連して聞きたいのですけれども、ただいまの参考人各位のお話は、大体路線業者あるいは自家用車の場合ですけれども、砂利運搬業者のトラック事故というものが相当大きな事故を起しているのですけれども、砂利運搬業者の賃金体系は、運輸省ではおわかりになりませんか、わかっておったら概要説明してもらいたいと思います。
  52. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) 砂利運搬につきまして調査をいたしましたときに、大体砂利運搬につきましては自家用が多いものでございますから、ほとんどが自家用でございまして、これに対しまする給与は実は十分にとっておりませんのです。で、これもしかし事業者につきましてはとれると思いますので、とりたいと思っておりますが、早急に提出できるかどうか、ちょっと疑問だと思っております。
  53. 大倉精一

    委員長大倉精一君) じゃ今の岩間君の要求に合わして、砂利運搬の労働条件、その他の条件についての資料も御調査の上で御提出をお願いいたします。
  54. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) 今の砂利運搬について、できるだけ調査をいたしまして提出いたします。
  55. 大倉精一

    委員長大倉精一君) なお、内海交通課長から発言が求められておりますから、発言を許します。
  56. 内海倫

    説明員内海倫君) 私の方の手元に、今持ってきておりますものについて、砂利トラック状況を説明申し上げますが、資料がなお不十分なものでございますから、その点は前もって御了承をいただきたいと思います。以下申し上げます労働状況並びに賃金状態は、昨年の五月の七、八日にわたりまして、神奈川県の厚木街道で六百七十五台について調査した結果でありますが、それぞれの運転者について口頭質問をもって聞いたものでございます。  それについて見ますと、勤務時間が、就労八時間二十二名、九時間百十八名、十時間百二十四名、十一時間百八十八、十二時間百十、十三時間百、計六百七十二名、それから走行キロで見てみますと、厚木、相模原の両方から横浜、川崎間、大体これについて見ますと、二往復する者、三往復する者、四往復する者というふうに分れておりますが、それで、二往復で大体出発地から到着地までの関係で若干差がありますが、百三十キロメートルから百九十キロ、こういう二往復しておる者が二百六十四、それから三往復、大体二百キロから三百キロ、これが百三十七、それから四往復二百六十キロから三百七十キロ、これが九、それから厚木または相模原から東京の間を二往復、二百キロから二百九十キロ、これが二百三十六、三往復、三百キロから四百キロ、これが二十八等となっております。  それから、なお、これら運転手のうちで運転に専従しておる者は百八十二名、二五%でございますが、あと七五%の四百九十三名は運転並びに砂利の積み込みの労務を両方やっておる、こういうふうな状態であります。  それから賃金について見ますと、これも本人の述べたところによるわけでありますから、正確さにつきましては必ずしも保証いたしかねますが、月給をもって支給されている者、百七十九人、最高二万五千円、最低一万円、それから日給をもって支給されておる者三百十一名、最高八百円、最低三百円、平均六百円、それから歩合給でいっている者百十名、これは一往復についての歩合給でございますが、最高が六百円、同じく一往復で歩合給最低二百円、平均しますと大体二百円になる。それから以上の月給と歩合給、あるいは日給と歩合給というふうなものを併用しておる者が二十一人、それの一つの最高の例を見てみますと、月の基本給七千五百円、歩合が一日四百五十円、こういうふうなものが最高になっておる。それらのうちで一番最低の者を見てみますと、基本給が一日百円、歩合が一回百五十円というふうなもので、それらを月平均の月額にしてみますと一万八千円になっている。以上のほか自営、みずから営む者四十八名、その他とありますが、これはよくわかりませんが、六名、大体給与の大ざっぱな状況は以上の通りでございます。
  57. 大倉精一

    委員長大倉精一君) なお関連してもう一つお伺いしたいのですが、陸送というのありますね。つまり自動車をサッシュのままざあっと走るやつ、あれはずいぶん暴走をするのですが、あれはどういう格好になっているのですか。陸送部というものがあるのですか、あるいは陸送業者があるのか、その賃金体系は、砂利のように一回やって幾らになるのか、私は走っているのを見ておるけれども、あのボデイだけでもって裸で走るものはずいぶん危いと思うのですが、ああいうものについて状況がおわかりになっておったらこの際お知らせ願いたいと思います。
  58. 木村行藏

    政府委員木村行藏君) ちょっと……。
  59. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 内海さんの方、おわかりになりませんか。
  60. 内海倫

    説明員内海倫君) 遺憾ながら状況を調べておりません。
  61. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 運輸省の方、わかりませんか。
  62. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) 私の方でもわかっておりません。
  63. 大倉精一

    委員長大倉精一君) これはぜひ運輸省の方で調べて、何かの機会に御報告願いたいと思います。  それから、変なことお伺いするようですけれども、どうもお伺いしておるというと、交通事故の責任担当局というか、省といいますか、これはどこなんですか。警察なんですか、運輸省なんですか、どっちなんですか。
  64. 木村行藏

    政府委員木村行藏君) 交通事故防止については警察……。
  65. 大倉精一

    委員長大倉精一君) そうしますと、交通事故防止対策委員会の主務官庁は警察ということになりますね。
  66. 木村行藏

    政府委員木村行藏君) 一応はそうでございますけれども関係する根本問題が運輸省労働省にありますので、警察の取締りだけではどうも今……。
  67. 大倉精一

    委員長大倉精一君) そこで、私どうしてこういうことを聞くかというと、たとえば、砂利運搬の白ナンバー、それからサッシュの陸送部ですね、これは所管がわからぬわけですね。どうも運輸省ではない。そうしますと事故防止になりますと、白ナンバーであろうが仮ナンバーであろうが、黄ナンバーであろうが、ぶつかるものは変りはない。これはそういうものをどこで取り締って所管するかということが問題になってくる。そうしますと、これはやはり陸運行政の面で検討を加えなければならぬということも、事故防止一つの要項になってくると思うのですが、そういう点について、これは話が余談になるかもしれませんが、御意見が聞けたら御意見を聞きたいと思います。
  68. 内海倫

    説明員内海倫君) 僣越でございますが、一応主管しております私の立場から申し上げますと、警察におきましては、それが営業用車であろうが、あるいは自家用であろうが、はたまた荷車であろうが、人間であろうが、道路の上において交通しておるものにおいて生ずる交通事故の処理、またその前におけるこれの事故防止、あるいはそういう事故原因になる道路違反、あるいはその他の関係交通法令違反というものの取締り、それからそういうふうな道路の上における諸般の交通の円滑にいくということを確保していくための措置、これは警察で専管的に担当いたしております。ただ事故の場合になりますと、その原因が、あるいは道路に起因するならば、それの予防並びに対策ということは、道路管理者または道路主管省のものとなりましょうし、あるいは神風タクシーなり、今回の議論になっておりますような運輸行政の面にその原因を持っておるものについては、それの追及並びにそれに対する行政対策というものは、所管行政庁の仕事になるというふうに理解いたします。
  69. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) 交通運輸全般から申しますと、運輸省が所管する形でございますが、私どもが行政をします場合には、やはり法令、法規によって行政をいたすわけでございますが、その場合には運輸省といたしまして、及び自動車関係といたしましては、道路運送法と道路運送車両法によって規制をしておるわけでございますが、道路運送法は主として事業者に対しまして、いろいろの諸般の規制をするわけでございまして、さらに輸送機関としての車両の面で道路運送車両法で諸般の規制をいたしておりまして、まあ申しますれば、法規的に規制をし得るのは、運輸省としては事業者と車両施設関係でございますが、全般的に運輸交通の関係につきましては、やはり運輸省が当然政策、方針等を考えるべきであるというふうに考えておる次第であります。
  70. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 私の聞いておるのはそういう理屈じゃなくて、現実に事故の起っておる原因がはっきりしておる場合に、それは一体どこが責任を持つか。たとえばゆうべ私は実は田端に行ったのですけれども、田端のガード下のカーブするところの片一方の舗装が全部こわれてしまっておる。だから、向うから来るのもこちらに寄ってくる、こちらは当然左側通行ですから寄っていく。カーブしておるからばんとぶつかる。そこで交通事故がたびたび起ったというのです。事故原因はわかっておるけれども、所管官庁がわからぬからいつまでもほうって置く。こうなるとこれは給与と別の問題で、こういうのはどこが責任を持って対策を講ずることになりますか。
  71. 木村行藏

    政府委員木村行藏君) ただいまのような設例ですと、道路状況に非常に大きな原因がございますので、道路管理者の責任になるわけです。しかし警察といたしましても、事故の起った原因については非常に関心を持ちますので、おそらく、所轄署からその事故についてはたびたび管理者に道路を直してもらうように要望しておると思います。たとえば橋梁の場合についても、橋梁が悪いために事故が起る場合がたびたびあります。また県道にしても非常に悪いためにスリップして事故が起る場合がたびたびある。これらについても、正式に書面でもってたびたび関係府県あるいは私たちの方から公式文書で早くこれを修理してもらいたいということを要望いたしております。しかし修理そのもの、あるいは改善そのものは管理者が当然責任があります。
  72. 大倉精一

    委員長大倉精一君) ただいまのことについて御調査を願いたいと思います。
  73. 相澤重明

    ○相澤重明君 議事進行。委員長、何時までやるつもりですか、まだほかに質問するものもあるだろうから、質問を何人にするか、それを聞いておいて、それであらかじめ時間をとって置かぬと、せっかく質問する者も困るし、また資料を要求するものは要求するように、さっき委員長の言ったようにやってもらいたい。
  74. 大倉精一

    委員長大倉精一君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  75. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 速記を始めて。
  76. 岩間正男

    ○岩間正男君 今の問題について、実はこの前の事故防止委員会でも総合的にやるべきだという勧告をしているわけです。それがさっぱり明らかにされておらない。実際、警察は警察、運輸省運輸省でという工合である。私は責任の主体は運輸省の方が非常にウエートが重いと思う。ところが、さっぱり具体的に運用されたという報告は小委員会としては受けてない。こういう点について、この次は準備をしてきてもらいたい。その後、内閣の事故防止対策委員会で、一体当委員会の勧告が実施されているのかどうか。これについて具体的に、そういう責任の所在をどういうふうにするのか、こういうものについても、この次の委員会で答弁を求めたいと思います。  それはそれまでとしまして、私は先ほどの給与の問題と関連いたしまして、ここで二、三点お聞きしたいのですが、この平均年令というのを見ますと、非常にタクシーに比べて若いという感じがします。平均年令も、先ほど三十二才という話がありました。また勤続年数も六年というふうに先ほど國友局長からか発表がありましたが、これはタクシーに比べて非常に勤続年数が少く、それから平均年令が若い。こういう点がトラック輸送の場合の私は特徴としてあげられると思います。この原因について引間さんと、また監督官庁の國友局長の両者からお聞きしたいと思います。
  77. 引間博愛

    参考人引間博愛君) 長距離路線が大体事業として本格的になったのはここ七、八年だと思います。戦前には、大和運輸だとか赤玉とか、今井京阪運送といったほんのわずかであったが、朝鮮事変後、国鉄にかわった形で長距離運送が行われてきた。そういう一つの事業の問題もあると思います。それと、とにかく労働が激しくて、長い間これだけの労働をやっていくということができないという点が、一番大きな原因となって、平均年令が若くなっているのではないかと思います。現在こちらの調査でも、路線に乗っている運転手平均年令は大体二十九才か三十才という程度で、勤続年数は今、國友さんの発表されたような形になっております。こういったように事業が新しく急速に、今から七年前くらいはせいぜい百名前後の事業体であったのが、急速に勃興して、五百名とか六百名という状況になりました。そういう意味で年令が若く、農村からどんどん人を入れていくという形がとられた。そういう点で年令の若さと勤続年数の少なさが出ている。何といってもあとは地場運送の方では、比較的年令の高い者を回す。こういう長距離運行は、もともとは労働管理の面で、でたらめといえばでたらめなんで、結局若い者を、とにかく無理やりやらせる。結婚前の者にやらしていくという形の方が多いために、平均年令が若くなっている。こういうふうに考えられます。
  78. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) 私ただいま、手元にタクシー関係調査を持っておりませんので、実は比較できませんし、原因につきましても、そういう数字がございませんから、ちょっと申し上げかねますので、これはよく調査いたしましてから御報告申し上げたいと思います。
  79. 岩間正男

    ○岩間正男君 やはり、これは非常に重要な問題ですよ。われわれ今ちょっと業者の意見を聞き、この前、タクシー問題をやった経験からいっても、非常にとにかく勤続年令といい、平均年令といい、若いですよ。これは今言ったように、戦後発足したというようなこともあると思うのですけれども、しかし何といっても、からだを食っている一つの稼業じゃないかと思うのです。からだを土台にして、そうして、先ほど言ったようなトンボ返りというような、ああいう、いわば重労働、そういうものでなければ、長く続かない。いわば、からだをすり減らして、それでもって食べていく、こういう稼業になっているのじゃないか。この点私は、タクシーの問題よりも、もっとひどい、深刻で、そうして、これは事故とも関係が深い。こういうふうに思う。  従って、この点運輸省は、監督の立場から、こういう適切な問題を、もっとはっきりつかむ努力をしてもらいたいのだが、残念ながら、そういうものはお持ちにならない。これは国会の審議の中で、一つの課題として、それはぜひやっていただきたいと思うのです。これは私たち一つ、追求しようと考えているのです。  それから、次にお聞きしたいのは、車の台数に比べて、非常に労働者の数が少いのであります。さっき、これは新井さんのお話だったと思いましたが、新井さんのお話では、台数に対して労働者の数の発表がありましたが、これは何人でしたか、先ほどのお話では。
  80. 新井平八

    参考人新井平八君) 先ほどちょっと私、つけ加えるのを忘れましたが、台数が七百五十七台と申し上げましたが、そのうち二輪の、ミゼットというのがあるのですが、小さな自動車、これが七十台ほどあるのですが、これは私の方では、運転手として、実は計上していなかったのです。結局、それを引きますと、六百七十七台になるわけですね。それに対する七百四十七人の運転手、こういう勘定でございます。
  81. 岩間正男

    ○岩間正男君 この率も、タクシーに比べるというと、これは非常に少いのですね。タクシーは、大体台数の一倍半以上か二倍、これくらいの実は運転者を持っていたと思いますね。それに比べて、小さい二輪車は引くのだというのですが、それにしたって七百台に対して七百四十名というのは、パーセンテージとして非常に低い。しかも労働の質からいうと、非常にこれは重労働になってくるわけです。ここにも一つのやはり神風タクシーに比べて、もっと私は、これはやはり自分の身を食っている、からだを犠牲にして、それでやはり賃金をまかなっていくという姿が、この統計に現われていると思うのですね。この点についての運輸省調査はいかがでございますか。
  82. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) 仰せのごとく、タクシーにおきましては一昼夜勤務いたしまして、交替をいたしまして、また次のかわり番の人が一昼夜乗るということで、丁五人とか、ある会社によりましては二倍程度の運転者を持っている会社がございますが、トラックの方で申しますと、先ほど大和運輸営業部長がお話になりましたように、区域トラックにつきましては、大体、昼で仕事が終るわけでありまして、さらに通運の配達筆につきましても、昼で終るという形で、一車には、大体、運転手が一人と、それの公休についての予備運転手があればいいという部面が相当あると思うのです。それで、私どもの方といたしましても、長距離運転の場合には、二人乗務をせよということを申しておりまして、二人乗務が、大体において励行されるようになって参っておりますし、先般十二月に出しました通達でも、その点は非常にうたっておるわけなんでございますが、その長距離運行についての比率が、各会社の中におきまして、割合運転手の占める部分が少いということが、この車両数運転手の比率で現われておるのだと考えるのであります。
  83. 岩間正男

    ○岩間正男君 これも、非常に私は重大問題だと思うのです。ことに長距離運転の場合は、トンボ返りというようなことになると、四十時間とか、そういうことになるので、結局労働時間、稼動時間を見てみれば、一人当ての労働時間が、これは二百時間とか何とかということになってくる。これは、この点もっと詳細に、やはりわれわれは調査しなくちゃならない問題だと思うのです。何といいましても、タクシーよりもこれはひどいのですね。神風タクシーで、ずいぶんひどいといって、われわれみたけれども、実際ひどい。  しかも、この労働の質を見るというと、運転という一つ仕事、それから積荷の下し、それから積み込み、こういうような、つまり労働者の面と技術者の面と、二つの面をかねているという、一つの性格があるのですね。これがトラック運転手タクシー運転手の場合と違うところですね。こういうものについて、やはり労働量というのは、これは時間だけで計算できない問題が私は出てくると思う。こういう問題について科学的な何か調査警察庁の方でも、あるいは運輸省の方でもやっておられますか。こういう点の質の問題は、どうでしょう。
  84. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) お答え申し上げます前に、先ほどの、車両運転手の割合でございますが、これは、昭和二十七年当時に、六十社について調べました点で申し上げますと、路線関係におきましては、一台について一・九人、区域トラックにつきましては一台について一・二人というような数字が示されておりまして、この場合、路線トラックにつきましては、相当距離の短いものもあるわけで、これは一人乗務のものもございますが、路線トラックの方は、人数が多いが、区域トラックは少いという数字が一応現われております。  それから運転手につきましては、長距離運転手につきましても、まず勤務個所に出て参りますと、そこで点検とかその他の作業をいたしまして、そこで乗務を開始いたしまして、その間に休憩をするなりし、さらに到着地につきまして、そのまま集配は、他の運転手にまかせる場合と、場合によっては、その車によって、その運転手が集配をする場合とあるわけでございまして、そういう勤務が、先ほど、いろいろとお話がありましたが、ずっと——先ほどは、平均を申し上げましたが、たとえば東海道につきまして一運行一つの交番を出て帰って参りますのに、四日かかっております。そういうふうな運行形態によって運行しておるわけでございまして、こういう長距離のものについては、実際においては自分が運転もし、作業もするという形になっておりますので、疲労度というようなものについても、われわれとしては十分調査しなければならないと考えておったのでありますが、実は今まで、その方面に予算と人手とがなくて、実はその調査ができかねておりましたのですが、本年、この国会に要求しております昭和三十四年度の予算におきまして、運転手の適正勤務時間乗務時間及び乗務キロの策定の資料とするために、労働科学専門学者に委嘱して、いろいろな測定器を使いまして、疲労度と勤務時間、連続乗務時間、乗務キロ及び疲労との相関関係を究明するという趣旨で、七十四万九千円の予算要求をしておりまして、これが、予算が通りますれば、昭和三十四年度におきまして、今、先生のおっしゃいますような適正勤務時間、乗務時間等及び疲労度につきまして、極力調査をいたしたいと思っておる次第でございます。
  85. 岩間正男

    ○岩間正男君 問題を発見されたのは幸いだと思うのですが、七十四万ぐらいの予算では、何もできないのじゃないかというふうな感じがするわけですね。その前に、どうですか、局長みずから一晩ぐらい乗ってみたらどうですか。われわれ乗ってみますよ。それからあなた方でなくても、あなたの下の人でも、どうですか、一とんぼ返りくらい、一往復くらい乗せてみたら、どうですか、これは一晩、身をもってすることですね、これはやることですね、やらなければわからないので、そういう覚悟ありますか。
  86. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) できるだけやってみます。
  87. 岩間正男

    ○岩間正男君 若い春秋に富んだ局長ですから、そういうことを一つの新しい路線としてやって、ほんとうの実態をつかむことをわれわれも期待しております。われわれも、これは、老いの身を顧みずやろうとしておるので、この点ほんとうに、もっと実際やらなければ、どうも統計だけではわからない。それかららほんとうに勤務の質というものは、ことに労働者の苦しみはわからない。こういう点について、ほんとうに、これは正体を明らかにする努力をしなくちゃならない。どうもタクシーの問題で、ずいぶんひどいと思っておりましたが、タクシーの問題に輪をかけてひどいのがトラックの問題だということが、今までの二、三の問題だけもわかってきたと思います。  あと二、三点だけお伺いしたいのですが、こういう中で、もう一つお聞きしたいのは、労働組合ですね、結成率はどういうふうになっていましょうか。先ほどから聞きますと、労働組合が結成されたところは、どうしても団体交渉もやる、それから固定給も多くなってくる、あるいは仮眠所施設というようなところにも、どうしても発言権が多いわけです。そういうような事態が出ていると思う。ところが、実際労働組合の結成されないところは、神風タクシーの場合もそうでありましたが、全くこういう点は、放任されている、こういう事態が出てきていると思うのです。  これは全体としての労働組合の結成率はどのくらいでございますか。
  88. 引間博愛

    参考人引間博愛君) 大体、これはわれわれの方の台数から割り出した人数のあれですが、全国で、日本通運を除きまして一万二千に及ぶ事業所に従事しておる従業員の数は、大体三十万を下るまいと思っておるのですが、労働省統計によっても、組合の組織は、六百事業所で、大体五万幾らかだというような統計が出ております。ですから、全体を見て二割に満たない、特に一番進んでいるような東京でも、大体三万人の関係労働者のうち、組織されておるのは、大体七、八千というようなところで、辛うじて大都市で二割を少し上回わるというような程度で、全国的に見ては、全くお話にならないような状況であります。長距離運行をやっておる五百社のうちでも、労働組合のできているところは、やはり二割には満たない、こういうふうに思っております。
  89. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうしますと、この労働組合の結成ができないというのは、一つは、タクシーの場合もそうでありましたが、仕事の性質が、たとえば会社というような格好とは違う、そういうことから同じ職場で顔を合わせることが少いとか、交代制になるとか、こういうことにもあると思うのですが、しかし、それだけでしょうか。  つまり業者の中で、労働組合の結成をあまり喜ばないという風潮が、これはタクシーの場合にはあったように思うのです。これは、大和さんにお伺いしたいのですが、大和さんの場合は、これは組合をお持ちだと思うのですね、どうでございますか、労働組合を作って、そこで、はっきりこういう問題を科学的な方向に乗せていくという方が、運営として、長期に考えてもいいのか、それとも組合がない方が、そして労働者の基本的権利というようなものも、全く会社の、業者の自由にした方がいいのか、こういう点では、何か御意見はございますか、お聞きしたいと思います。
  90. 新井平八

    参考人新井平八君) 大和の場合には、終戦直後、いち早く労働組合を結成しまして、私どもも、実はその当時は、組織の準備委員としてやったのですが、そういうわけで、うちに組合があるから、どうこうという問題じゃないのですが、今のトラック事業の小規模の会社では、おそらく組合があることを好まないというふうに私は思います。それは各経営者の経営理念という問題ですから、どういう頭を持っているかわかりませんが、私どもが、はたから見た目じゃ、そうじゃないかというふうに思っております。
  91. 岩間正男

    ○岩間正男君 この点について、労働基準局、きょう見えておりますか、労働省見えておりませんか、労働省は来ていない……。
  92. 大倉精一

    委員長大倉精一君) きょうは、来ていません。
  93. 岩間正男

    ○岩間正男君 それじゃ、この次出てもらって、この点についての一体、対策をどういうふうに考えているのか。ずいぶんやはり不当労働行為みたいなことが……とも呼べないような、それよりも前時代的な労働条件というやつが、依然として、これはトラックの中にもあると思うのです。やはりこの問題を、はっきりもっと努力をして明らかにするということをしなければ、ほんとうの事故の解決はないというふうに思うのです。この点、委員長にお願いします。  次にお伺いしたいのは、会社の経営内容です。この会社の経営内容について、運輸省では、これを一応いろいろな形があると思います。大中小あるだろうと思う。そういうようなモデル・ケースでけっこうですが、そういうものをつかんで、そうして経営内容調査して、ここの資料として出すだけの準備は整っておりますか。これなしには、私は、この問題を論じてみても、実際はしょうがないと思う、この点はどうですか、この点、お聞きしたい。
  94. 大倉精一

    委員長大倉精一君) ただいまのは、資料要求ですか。
  95. 岩間正男

    ○岩間正男君 あるかないか聞いて、なければ、やはり要求します。
  96. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) 調査いたさせますので、これは、ちょっと時間がかかると思いますが、調査いたすつもりでおります。
  97. 岩間正男

    ○岩間正男君 出してもらえますか——それじゃなるたけ早い機会に、そういう、必ずしも完全なものでなくともいいのですが、大綱でもいいですから、そういう経営内容について、資料をいただきたいと思うのです。  実はこの問題、この前の当委員会で十六カ条にわたって勧告したわけです。それでタクシーの問題は、一応、ある程度の問題の解決があったといわれるのです。ところが、私最近タクシーに乗るのですが、乗るたびに、どの運転手諸君にも話しかけて聞くのですが、何か去年の三月に、われわれ神風タクシー問題というのをやったのだが、御利益があったかというと、ほとんどの運転手諸君は口を同じうして、何もなかった、かえってひどいといっている。なぜかというと、三百六十五キロに制限されてしまって、稼ぎが少くなった、そのために、実際われわれ自身の収入が減った、こういうことをいっているのです。そうしますと、私はあの十六カ条の勧告というのは、これは、問題のやはり解決にはなっていないのじゃないか。つまり業者は、あのようなスピードの、走行キロの制限をやった。しかしその損失は、なるたけ業者は免かれようとして、その損失は、全部労働者の方に向けられていく、従って労働者の歩合給が少くなる、こういう格好で、実際は労働者の待遇改善にはならなかった、こういう事態を今鋭くわれわれは反省しているわけですよ。だから自分たちは、いい気持でやったにしても、その結果は、果して徹底したかどうかというと、残念ながら、その後国会事情もあって、十分に私たちの目的は達せられたとは思っていない。運輸省にこれはおまかせしたのだけれども運輸省のその後の動きを見るというと、必ずしもこれは、やはりわれわれ、ここで一カ月以上にもわたって実地調査して、そうして出した結論、血の出るような自分たちのつもりでは結論だったのでありますが、これが実施されていない、こういう格好になっている。同じことを今度トラックの場合に、これをやったのではしようがない、私たちは、トラックをやるに当って、やはり神風タクシーのことを振り返ってみなくちゃならないし、神風タクシーの経験は、今度のトラックの問題で、もっと前進させなければならないと考えています。  そういう意味から、この前のわれわれの勧告について、当然、これは政府に勧告したのでありますが、その主体は、これは運輸省当局にあると思うんですが、これは、どうでございますか。この十六カ条についての勧告というものが、先ほど三カ条ぐらいは、トラックの方にも適用された、こう言うんですが、この中でいろいろ適用していい問題があると思うんですが、こういう点について、今どういうふうにされているか。この点について伺いたい。
  98. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) 運輸省といたしましては、勧告が出ました点につきまして、まあ運輸省でできますことは考えまして、先ほど申し上げましたような運輸規則の改正もあると思うわけでございますが、そのほか指導いたしますのは、現地の陸運局なり、陸運事務所でありますので、国会で御審議になりまして勧告されました事項については、陸運局に通知をいたしまして、まあ、この線に沿ってやれということで指導いたしております。そのほか機会あるごとに課長会議、あるいは部長会議等でも取り上げて申しておるのでありますが、まあ、あの条項の中には、全部が運輸省関係でもありませんでしたので、運輸省関係部分でございますことについては極力御趣旨に沿ってやるようにいたしたわけでございます。  それで、まあ乗務距離の最高限度を押えましたような関係につきましても、現地の実情に応じまして定めたわけでありますが、まあ暴走を防止するためには、あのような乗務距離の制限をせざるを得なかったという状況もございますが、それについても、問題点はまだあるので、今後十分に検討を加えていかなければならぬと思っておりますが、給与等につきましては、一万八千円の最低保障給というふうなものにつきましては百パーセント実施は、最近の調査、いや数カ月前の調査でも、いたしておりませんが、ほとんどの業者につきましては、大体その線に沿って参っておりまして、まあむしろ、今まで非常に歩合給で給与の高かった人については、あるいは多少のひっ込んだところがあるかもしらぬと思いますが、総体的には、そんなに悪くなってはおらないんじゃないかというふうに考えておる次第でありまして、まあ今後におきましても、あの趣旨については、十分に現地でのっとってやるようにということは指導いたしておる次第でございます。
  99. 江藤智

    江藤智君 議事進行について。  いろいろ御質疑もまだあると思いますけれども、本日は、明日の見学の関係もあり、また今後の神風トラック防止をどういうふうにやるかというやり方などにつきまして、この際、御相談することにして、大体本日の質疑は、この程度で打ち切りにいたしまして、あとは御相談を一つ願うというふうにしたらいかがかと思いますが、ちょっとおはかり願います。
  100. 大倉精一

    委員長大倉精一君) ただいまの動議について、御相談を申し上げたいと思います。  速記をとめて。    〔速記中止
  101. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 速記を起して。
  102. 市川房枝

    ○市川房枝君 詳しい質問は、この次と思いますが、さっき警察庁の保安局長から、箱根での調査の数字を伺ったんですが、あれを伺っていると、長距離トラックに対しては、取締りも何もないような、無政府状態のような感じを実は受けたのでありますが、その資料ですね、さっき伺ったんですけれども、何か数字的なものとして、一ぺんそれをいただきたいと思います。  それから事故に対しての補償ですね、これはトラックと、それから普通のタクシーと両方でありますが、これら両方の補償のことの調査一つほしいと思います。  それから、さっきトラック協会が五月一杯を正しいトラック運送月間としてなさるように、さっきお話し伺ったのですが、どんなふうの月間の内容でありますか、あとで何か資料で、御計画の内容がありましたら、それを、あとでいただければけっこうです。それを一つ、お願いしておきます。
  103. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 今の市川君の要求資料をお出し願えますか。
  104. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) ちょっと御質問申し上げますが、事故に対しての補償というのは、人身事故に関しまして賠償保障法でいたしておりますのですが、三十万円以下というような形で、どの程度の資料を出しましたら、よろしゅうございますか。
  105. 市川房枝

    ○市川房枝君 その事故に対して三十万円程度といいますか、どのくらいを、何件補償したかというふうなことです。
  106. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) かしこまりました。物的事故につきましては、私の方でやっておりませんが、人的事故について提出いたします。
  107. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 新井さんの方、今の月間の資料について、お願いいたします。
  108. 新井平八

    参考人新井平八君) 局長さんから、先ほどお話がございましたように、日本トラック協会で、五月から正しい運送月間をやるということに内定いたしております。いずれ具体的な書類が各業者に参ると思いますから、その節は、こちらへ御報告申し上げます。協会の主催でございますから。
  109. 柴谷要

    柴谷要君 私は、警察庁自動車局には、いつでも質問ができるので、今日は、議事進行もありましたので、大へんお忙しいところ御出席いただきました参考人に、二、三お伺いいたしたいと思います。  まず最初に引間参考人にお尋ねしたいのでありますが、あなたの今の、責任をもって運営されております全自連に加盟している組合の中で、労働条件の悪いところから、順次あなたの御記憶になっているところを一番から十番くらいまで、一つお願いしたいと思います。それが、まず第一点。  第二点は、労働組合の会議等に出て、おれのところの経営者は悪質だと、こう言う者があると思う。悪質な経営者だと強調されておりますところは、どこと、どことどこか。これも一つ、第二点としてお聞きしたい。  それから、事故を起しても処理は会社でするからということで、何か運転手諸君に手形のようなものを持たしている会社があると聞いている。そういうところは、神をおそれない仕打ちだと思うが、そういうところは警察庁もおそれないし、運輸省もおそれない、そういう経営者が存在していると思う。そういう会社があなた方の方できちっとおわかりでしたら、一つお聞かせ願いたい。  まず最初に、それらの点お伺いしたい。
  110. 引間博愛

    参考人引間博愛君) 最後の手形のことは、ちょっとわからないので、あとで……。  全自連に参加しているところで、悪いところの順番というのですが、百三十幾つの組合が参加しておりますが、定期路線を主としてやっておりますのは、主として関西が多いのです。関東の近距離をやっていて、悪いと思われるところで、その目ぼしいところを上げていきますと、関東運輸——千葉県を走っております関東運輸、それから平野運送というところがあります。ここは、必ずしも労働条件は悪くないのですが、厚生施設その他の面において、必ずしもよくないと思います。それから、東京から走っているものは、そうありませんから、あとは静岡県になりますが、静岡県では、日本急送というのがあります。それから金谷貨物、それから伊豆運送などが悪いという代表的なものでございます。それから愛知県にいきまして愛知陸運、蘇東運輸、半田通運、そういうようなところをあげられると思います。大体こんな程度で何社になりますか、そういうようなところがあると思います。  それから全自運労に加盟してない会社で、特に悪質だという評判が高いところは、まあ福山通運というのが、評判が高いのです。福山に本社を持っておりますが、福山通運は、再三にわたって、労働組合の結成を暴力団を使ってつぶしておるというところであります。ここでは、強制貯金をさせておいて、その貯金を株にかえておるというような形をとっております。それから西濃運送というのが、これは岐阜県に本社を持っております代表的な会社でありますが、ここでは、最近労働組合が作られたように聞いておりますが、厚生施設その他については、ある程度あると思いますけれども内容については、非常に悪いということを聞いております。  それから最後の手形の問題は、どういうことですか。
  111. 柴谷要

    柴谷要君 たとえば事故を起しますね。そうするとその事故については、会社関係の警察署などに渡りを全部つけるということで、運転手諸君は安心して運転せい、いわば暴走せい——こうしてやっておる会社があると聞いておる。運転手諸君は、それを会社から聞いているものだから、いわば会社から保障されているようなものだから、暴走する。こういううわさを世間で聞いておる。事実、そういうものを持っておるということを聞いておるのですが、あなたの方で、それを確認しておるかどうか、知る範囲においてお知らせ願いたい。
  112. 引間博愛

    参考人引間博愛君) そういう手形があるかどうかは確認してございませんが、先ほど相澤先生から質問のあった安全協会とか、その他よく警察との関係が近くて、方々で、土地の警察との結びつきが強いと言うと語弊がありますけれども、大体、その管内では免除してやろう、安全協会に加盟しているから、というふうなことは方々にあります。これは、一社にとどまらない。警察が安全協会の幹部をやっておるというようなところにおいては、大体、大目に見る。しかしそれが、他府県に行ったり何かすると、きき目がなくなる、こういうことがある。これは一社に限ってではなく——まだこちらには情報は入っておりません。
  113. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 今の説明について、警察当局から発言を求められております。
  114. 木村行藏

    政府委員木村行藏君) 安全協会と警察が協力していることは申すまでもないけれども、安全協会に関係するような業者の運転手事故について大目に見るということは、さらさらないと思います。
  115. 柴谷要

    柴谷要君 それでは、今度は警察庁の方にお願いしておきたいと思うのですが、今言われました非常に労働条件の悪いような会社事故率は、どのくらいになっておりますか。関東運輸、平野運送、日本急送、金谷貨物、伊豆運送、それから愛知陸運、蘇東運輸、半田通運、こういう、今あげられましたところの会社事故件数を、大へん恐縮でありますが、一つ資料をお調べ願って、いずれまた、小委員会が開かれますので、その資料にしたいと思いますので、一つ御提出願いたいと思うのですが、この点、委員長の方から一つ
  116. 木村行藏

    政府委員木村行藏君) 具体的な会社についての事故率につきまして、どの程度わかるかわかりませんけれども、できるだけ御協力申し上げます。
  117. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 本日は、参考人の方々には大へんお忙しいところをありがとうございました。当委員会におきましても、トラック事故防止については、さらに審議、討議いたしまして、万全を期したいと思っております。本日は、大へんどうもありがとうございました。  本日は、これをもって散会いたします。    午後四時四十五分散会