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相澤重明君 これは
日本国有鉄道法の
改正が
昭和三十一年に行われた際にも、当時の運輸大臣が、
国鉄の企業性とは何だ、
国鉄の
公共性とはどういうことだということを
説明をしているわけです。これは単に
民間の団体ではなく、また商事会社のようなものでもない、いわばこれは
政府機関である、全額
出資のいわゆる
政府機関と同等である。ただし
公共性を持たせ、しかも
採算性も持たせなければいけないから、
公共企業体としてのうま味を持たしているんだ、こういうことを言っているわけです。だから基本的な問題としては、あくまでも
国鉄はいわゆる大衆のために奉仕する機関、国の輸送力の
中心となると同時に、
住民のいわゆる意思というものを尊重をして、そのサービスに役立つ、これが
国鉄の
公共性でなければならぬわけです。単なる
民間の
経営であったりあるいは商事会社のようなものであれば、それは幾ら独立
採算制だからといって、赤字だから人を減らそうとか、あるいはレールをはずそうとかいったことは、これは自由でしょう。しかし全額
出資のいわゆる国の
経営にかわるべきもの、実際は国の
経営なんです。だからそこに勤めている職員といえ
ども、公務員と同じような意味において、
公共企業体という立場をとっているから、なるほど職員とか役員とかということになっているけれ
ども、これを
法律の
精神、公益性というものからいけばちっとも変っていない。そうすると、いわゆるここに当時の
日本国有鉄道法の経過を
説明をしたのを、私は率直に読んでみましょう。「
日本国有鉄道は、国が、国有
鉄道事業特別会計をもって
経営してきた、
鉄道事業その他一切の
事業を
経営し、能率的な
運営によってこれを発展せしめ、もって
公共の福祉を増進することを目的として、
政府の全額
出資によって設立された公法上の法人である。従って民法に
規定するいずれの法人でもなく、また商法に定める商事会社その他の社団でもない。その資本が
政府の全額
出資によるもので、役員及び職員は、法令により公務に従事するものとみなされる。その
予算の議決は国の
予算の例による等、
政府機関たる性格を有する。従って一方、大いに企業性を持たせ、独立
採算制による
経営を強調しながらも、他方拘束を受ける面も多い。」これは決して単なる今のいわゆる独立
採算制を強調するだけに陥っている
考え方とは、非常に開きがあるわけです。この
趣旨でなければ、いわゆる
採算がどうなるかということは見通しもつかない、新線建設なんかはできるはずがない。ましてや新線建設すれば、どんな路線といえ
ども、これは十年や十五年はやはり黒字になるとは私
どもは
考えられない。現に
国鉄路線のうちほとんどの八〇%は赤字路線、これはしかし国がいわゆる全額を
出資している
公共性のためであるから、いわゆるこれは赤字でもやれる。これは赤字でいけないというならば、私鉄になるとかあるいは
民営になるという、この前の調査
委員会あるいはいろいろな形の
意見の出るということははっきりしている。けれ
どもそういうことをしてはいけない、国の輸送力の
中心である、こういうことが
日本国有鉄道法として
規定をせられている。その性格というものは明らかになっている。そういう点からいけば、先ほど
柴谷委員からもいわれたように、これはもうかるとかもうからぬということを口に先に出して、そうしてそのことによって、いわゆるそこに働いている者の労働条件とか給与というものを論ずべきではなくて、公益性のもとにどうするかということを私は
考えていかなければならないと思う。同時にまた同じように閑散線区なるがゆえの
名前によって、そうして企業性を発揮するのだからという先ほどの副総裁の
答弁で、まあディーゼル化をやればサービスが向上するというけれ
ども、とんでもない、
管理所を設けてどうして今までより以上のいわゆる
住民にサービスができるか、これはできやしない。現実に荷物の取り扱いをするといったところで、これは荷物の取り扱いは自動車にゆだねるということになる、あるいは駅を統合するということになる、あるいは閉塞区間も併合しなければならぬ、こういうような問題がたくさん出てくる。こういう点を
考えてくると、私は閑散線区なるがゆえに、支線なるがゆえというようなことで
管理所を十五カ所も設けて、しかも
日本国有鉄道法を
審議しておる際に強行しようとしておる。特別な、先ほどは私は引例はしたのだけれ
ども、
石原委員の言うように、地元の
住民によけいな混乱を起させておる。こういうことは私は法の制定の目的等から
考えてもこれはとることはできないと思う。そういう点で、この前の
委員会でそういうよけいなトラブルを起さぬように、当面
日本国有鉄道法が
審議をされておる際には、こういう問題は一時ストップしろという、こういう
石原委員の
質問であったし、また私もそれに
賛成したのだが、そのことに対して
国鉄当局は、なおかつ強行しようとする
考えでいるのかどうか、この点について
委員会でそういう強い議員の
発言があったことに対して、そういうことも
考えられない、既定方針
通りである、こういう
考えでいるのかどうか。この点は
一つ先ほどの
柴谷委員でないけれ
ども腰を据えて
答弁していただきたい。