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1959-03-05 第31回国会 参議院 運輸委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月五日(木曜日)    午前十時二十九分開会   —————————————   委員の異動 本日委員小柳勇君辞任につき、その補 欠として大和与一君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大倉 精一君    理事            江藤  智君            成田 一郎君            相澤 重明君    委員            石原幹市郎君            植竹 春彦君            平島 敏夫君            森田 義衞君            松浦 清一君            杉山 昌作君            岩間 正男君   国務大臣    運 輸 大 臣 永野  護君   政府委員    運輸政務次官  中馬 辰猪君    運輸大臣官房長 細田 吉藏君    運輸省鉄道監督    局国有鉄道部長 八木 利眞君    運輸省自動車局    長       國友 弘康君    運輸省観光局長 岡本  悟君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本観光協会法案内閣提出) ○運輸事情等に関する調査の件(日本  国有鉄道運営に関する件) ○自動車ターミナル法案内閣提出)   —————————————
  2. 大倉精一

    委員長大倉精一君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  日本観光協会法案を議題といたします。  前回に引続き質疑を行います。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 相澤重明

    相澤重明君 運輸大臣にこの観光協会法の設立についての一つ考え方お尋ねしたいのですが、これは、国際観光事業宣伝費として、三十三年度は一億三千百万円の予算が計上されておる、三十四年の予算案ではそれが二億円にふえている、こういうことを言われておるのですが、一体この観光協会ほんとう仕事のできるように、動けるようにするには、どのくらいの予算というものを運輸省としてはお考えになっておるのか。これはおそらく私は、今回のこの観光協会の内容を考えると、全部の日本観光事業というものを統一をする、そして外貨獲得も含んで、大いに海外宣伝等もやりたいと、こういうような御趣旨に承わっておるのですが、今回のこの予算を見ると、どうも実際に仕事ができないんじゃないかと、こういうまあ私は考えを持つのですが、大臣はどういうお考えでこの法案を提出する際に関係省と折衝されたか、その点を先にお伺いいたしたいと思います。
  4. 永野護

    国務大臣永野護君) ごもっともな御質問だと思います。率直に申しまして、今御審議を願います観光協会法案は、私の本来の理想からいいますと、よほどほど遠いものです。案自体に非常に不満足な点が多いのであります。私の理想は、日本のように天然資源少い国におきまして、国際収支のバランスを合せるようにいたしますためには、世界に誇るりっぱな風光をドルにかえる方法ということに重点を置くべきだと、こう考えておるのであります。ところが、今日まででは、観光事業というものは一種の不要不急仕事であるかのごとく、また同時に、銀行なんかの目から見ましても、いわゆる国際収支の上に非常に貢献するまじめな企業だというような扱い方をしておらないのであります。従いまして、この観光事業そのものの本質的の認識国民全体に持ってもらい、同時に政府もそれに即応するような対策を講じていかなければならぬと、こう考えておるのであります。これが基本の方針であります。夢のような話と言われるかもしれませんけれども日本のような、そういう国情に即する施策としては、むしろ観光省というものを作って、非常に積極的な観光事業をやる値打があるぐらいに私は考えておるのであります。その理想に比べますると、まあ言葉が悪いかもしれませんけれども、お粗末な法案になっておることは、まことにざんきの至りであります。ただ、実際問題といたしまして、国民全体の先ほど申しますような観光事業に対する認識が十分でありませんのと、大蔵省なんかの見方も、これを他の製鉄だとか繊維産業なんかのような企業と同列においてこれを取り扱うというところまでは頭がきておりません。従いまして、ずいぶん折衝したのであります。折衝したのでありますけれども、小さな芽でも出しておいたら、それをだんだんまあインプルーブしていくと、ないよりはいいという程度法案だと、実は提案者自体がすこぶる確信のないことを申すようでありますけれども、これを芽ばえといたしまして、だんだんとそういう理想的な観光事業中心機構にこれをしたいと、こういうふうに考えております。従いまして、今の二億円という予算は、きわめて暫定的な、いわゆる一粒の種というくらいにお考えを願いたいのでありまして、これをだんだんもり立てていって、りっぱな理想的の観光協会にもり立てていきたいと思うのであります。従いまして、将来どのくらいな資金が要るかという御質問でありますが、本来申しますと、観光道路なんというものは、やはり日本全体を観光地帯としての開発という総合的な観点に立ってやるべきであって、ところどころ、あすこに人がたくさん行くからあすこに道をつけようというやり方ではなくて、日本全体の観光客をどういうふうに案内して回るかという総合的な案を立てて観光道路なんかやるべきものだと思う。そういう意味から申しますると、少くとも観光道路施設については、運輸省は相当な発言権を持ってしかるべきだと思うのであります。観光事業をやると申しましても、いろいろありましょうけれども、内地で受け入れ態勢としてやるとすれば、それは道路ホテルだと思います。これが一番おもなものだと思います。それと国外に対する宣伝、それから同時に、それを運んでくる輸送施設というようなことになるのであります。  そこで、理想から申しますると、幾たびか出て、まだ日の目を見ません太平洋の観光客船というようなものも、観光施設として考えるといたしますると、実に膨大なる予算になるわけでございます。事実今度やりまするあの瀬戸内海の観光客船なんかでも、これは観光事業の範疇に入るべきものだと思うのであります。そういうふうでありますから、ホテル自分がある程度までは作るというようなことまで、この観光協会でするといたしますると、私は、それが理想でありまするが、そうすると資金が非常な膨大なる量に相なりまするから、考えておりまする観光協会仕事の範囲がどの程度まで受け入れられるかという問題がきまったあとに、それに要する資金量がきまるのでありまして、今ここで将来どのくらい金が要るのだというお答えをいたしますということは、ちょっとできかねるのでございます。
  5. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、今の大臣のお言葉ですと、まあ非常な夢のようなこともお考えになっておるということでありますが、もちろん、夢をお互に持つことはけっこうだと思いますが、現実にこうした今までかってない独立立法でわが国の観光業務というものを統一的に発展をさせたい、こういうお考えについては、私も全面的に賛成なんです。ただ一番心配なのは、今大臣も御答弁になったように、二億円というものを一粒の麦かもしらぬが、一応予算化したということであるが、これではどうもやはり資金的に運営が困難ではないかと思う。  そこで、この法案を見ますと、第六章財務及び会計の中に、「協会は、運輸大臣の認可をうけて、一時借入金をすることができる。」というのがあるのですが、本年度一億という一粒の麦は一応わかったにしても、借入金というものはどのようにお考えになっておるのか、あるいはまだそういう構想というものは未知のものであるのかどうか、こういう点について、将来の問題ではなく、現状について、今この法案を作ろうとするのですから、現在のお考えを私は一つお聞かせをいただきたい。
  6. 永野護

    国務大臣永野護君) この借入金の問題は、私が本来考えておりまする理想に比べますると実に不徹底なことになっております。私は率直に申しまして、外資をこれに導入したかったのであります。そうしてそれは決して空論ではありませんで、ある程度小当りに当ったところでも、日本観光事業に対してはアメリカも非常に関心を持っておるから、それは不可能ではないというある程度の、全くの想像話でないところまでの話はしておのるであります。ただ、それにはどうしても政府保証がありませんと、新しく作って、まだ基礎の全くできておらない会社の信用では借入金ができないものでありますから、これを単に借入金ができるということでなくて、その借入金には政府保証をしてもらいたいということに私が最後までねばったのでありますけれども、遺憾ながら力及ばず、少くも今年度の予算にはそれを盛ることができませんでした。しかし、これは非常に残念に思っておりますから、一応これができましたら、借入金というものを、これはほんとうの形が、そういういきさつの残滓がちょっと残っておる程度であって本来の借入金というのはこういう小さな意味ではなかったのであります。私はできるだけ大蔵省にもだんだん了解を得てもらいまして、そうして政府保証による外資導入がこの観光協会を通じてできる日の一日も早からんことを念願している次第であります。
  7. 相澤重明

    相澤重明君 私は大臣にこういう点をお考えになっていただいたかどうかということを一つお尋ねしたいのですが、それはジェトロの問題ですけれども、これは貿易は非常に重要なことでありますが、まず何といっても諸外国を相手にするには、そうした宣伝が十分行われ、またお互いに交歓をしておらなければ実際の取引というものは行われない。ところが、ジェトロに対しては政府も相当の資金というものを実は投入しておるわけです。むしろ貿易宣伝というものも、私は全日本宣伝機関というものは観光でやっていいじゃなしかというくらしまでに私は考えるわけです。そうすると最低限、少くも十億以上の政府からの助成があってもしかるべきだと私は考えるんだが、大臣ジェトロ問題等考えになって、対照されてそういうこともお考えになったことがあるかどうか、こういうことをまずお尋ねしたい。
  8. 永野護

    国務大臣永野護君) その通りであります。その通り考えまして、私は、日本観光協会というものをインビジブル・エキスポートのジエトロ、こういう名前を使って交渉したのであります。いわゆる貿易外収入を、貿易補助機関であるジェトロと、そうしてインビジブル・エキスポート観光と二つにして見て、ジェトロに二十億円出しているなら、せめてその半分の十億円を出してくれてもいいではないかというので原案は十億出したのでありますけれども、それが遺憾ながら二億になったわけであります。全く御同感でありますから、非常に私は力強く感ずるのでありますが、相澤さんのような方が大蔵省に一人でもあったら(笑声)観光協会の面目も変っておるんじゃないか、こう考えております。
  9. 相澤重明

    相澤重明君 幸いにして大臣も私ども考えておる方向のようでありますから、これは一度佐藤大蔵大臣運輸委員会に呼んで、その所信をただしたいと私ども思うわけです。  そこで、いま一つお尋ねをしておきたいのは、外国人観光旅客来訪促進ということが非常にあると思うのです。しかも各国も、日本には非常に希望者が多いと私は見ております。残念ながら、日本のどうもそういう点についてのサービスがあまりよくない。来ておるけれども、どうもそういう点がうかがえるわけです。そこでこの観光協会法律が通った場合に、事業というものはここの定款に、いわゆる法律の中に載っておるのを見るというと、独自の事業というものはあまり行わないんだと、こう思うんですが、独自の事業も行う考えがあるのかどうか。たとえば具体的には、先ほど大臣もちょっと触れられましたが、協会自体として外人専門ホテルならホテルというものを経営する将来お考えがあるのかどうか、この点についてちょっとお尋ねをしておきたいと思います。
  10. 永野護

    国務大臣永野護君) その点も全く相澤委員のお説と同じことを考えておったのであります。ホテル自分経営しないまでも、建設だけはして、そうしてその経営ホテル業者にまかすというようなことをとりあえずやるべきじゃないか。それで全くこれは、今度の法案は、最初考え法案残滓なようなものだと申しましたのは、最初はいろいろな事業計画をこれに盛っておったんであります。ところが金がなくて実際何にもできないもんでありますから、やむを得ず全く形ばかりのこういうものができた。しかし、先ほど申し上げましたように、これは一粒の麦であり議すから、これをもり立てていって、先ほど来申しておりますような理想的の観光協会にこれをもり立ててゆく、そのときには少くともホテル経営をしないまでも、ホテルを建てて、そうしてこれをエキスパートに経営さすところくらいまではやってゆきたい。そうして何と申しましても人を連れてこなければ、外客を連れてこなければいけないんでありますから、実は具体的にいろいろなこともやっておるのでありますが、一番具体的の問題は、これはパンアメリカン社長、副社長と話をいたしまして、学生を連れてきてくれ、それは今のようなぜいたくな航空機で連れてくる必要はない。これからジェット機でもできれば七、八時間で来れるんですから、ほんとうに形ばかりの腰かけ一つあれば、若い学生で体力は強いんですから、優にそれに耐えられると思うから、今の三分の一くらいの旅費で日本に来れるような学生専用機を作ってくれないか、そうしてそれを学生ですから、一時払いはなかなかむつかしいと思いますから、一カ月に二ドルとか三ドルというものを積み立ててゆきまして、そうして一年なり二年なりたったらパンアメリカンで連れてくる。そうすれば私は、これを三ドルで引き受けてやろうという実は申し出をしておるのであります。向うほんとうに連れてきますと、実はこれができたら三ドルで引き受けられるホテルを作る予定であったんです、これが事業をやるつもりでありましたから。お前の方は人だけ連れてきてくれ、日本へ来たら一日三ドルでちゃんと引き受けてやるからということを言ったくらいであります。残念ながら、みんなこれが予算が取られましたもんですから、まあ今日となっては、ほんとうに連れてこられたら弱ると思うのでありますけれども、しかし向うも何年か積み立てをしてやるような仕組み、学生ですから、それで非常に私実は心配しておるのであります。けれども、第一ホテルで、ほんとうにこれが来れば三ドルでやってやろうと言いますから、まあ債務不履行にならないで済む、そうしてどんどん来るようになれば、そういう現実に即した事情大蔵省が納得してくれれば、今申しますような借入金もできる、こう考えておるのでありますから、少し気長にこれをもり立ててゆきい、こう考えております。
  11. 相澤重明

    相澤重明君 次に、第五の会員の資格であります。この中には、日本国有鉄道地方公共団体、または旅客運送業ホテル業旅館業旅行あっせん業等になっておりますが、この旅客運送業というのは、バスとかハイヤーとか、タクシーとか、そういうものを全部を含む、こう理解してよろしいですか。
  12. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) その通りでございます。なお、つけ加えて申し上げますと、航空会社、それから海上運送に従事しております郵船であるとか、あるいは商船であるとか、そういうものも入るわけであります。
  13. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、大臣にこれはお尋ねをしておきたいのですが、外車輸入ということが、やはり業界からは相当希望が私は出ておると思うのでありますが、これは自動車局長の方が資料を持っておるのですが、現在外車輸入希望というものは、どの程度業界から出ておるのか、おわかりになったらば、数字の発表を願いたいことと、いま一つは、その外車がどこの国の車というものを一番希望されておるか、また運輸省としては、国際的なそういうパッセンジャーを扱うわけでありますから、そういう点についての配慮というものがなくてはならぬと思うのでありますが、そういう点についてどういうふうにお考えになっておるのか、この機会に一つ御発表いただきたと思います。
  14. 永野護

    国務大臣永野護君) 実は、先ほど申しましたように、私ども考えおります最初原案のようでしたら、いろいろの事業をこの協会がやりたいと思いましたから、外車輸入、いわゆる外客接待用の車の輸入協会が一手にするくらいなことがやりたかったのであります。ほんとう外客接待用にのみ使われる。今は外客接待用という名前大会社の重役さんが乗っているというようなことがあるやに聞いておりますので、そういうことがないように、ほんとう意味における外客接待用に使いたいと、こう考えておったのでありますけれども、今の、先ほどからるる申し上げましたような事情で、そういうことができなくなったのであります。具体的に今何台ぐらい希望があるかというようなことにつきましては、政府委員からお答えいたしますが、私、大体論といたしまして、日本自動車業者でも、大体アメリカの車がことに望まれているのでありますけれども、あの程度の車、ことにバスなんかは日本でももっといいバスができておりますので、外客の、これは日本人外国人との身長が違ったり、体重が違ったりしますから、日本人を運ぶ目的のやつは、どうしても窮屈でうまくいかない、けれどもできないわけではない。ただその数が、ある数の固定的なお客さんを考えませんと、そういう特殊な車をわずかばかり作ったのでは実際上引き合いませんから、少々高くても外国のできている車を、外国人接待用には輸入しなければならぬという必要が今あるのでありますけれども、私が考えておりますように、外国人お客さんがたくさん来るようになれば、その車の需要がある程度安定した数字に達しましたならば、日本自動車会社も喜んで作る、そういう時期がくると、こう考えております。目先の数字につきましては自動車局長からお答えいたします。
  15. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) 今、大臣から申されましたように、希望米車が非常に多いのでございます。ただ、ドル関係及びポンドの関係等がございまして、昭和三十三年度に輸入し得ます数量といたしまして、通産省と妥結いたしました数字を申し上げますと、米車で九十五万ドルでございます。これは大体三百十台ほど輸入できるのではないかと考えております。それから欧州車で六十万ドル、これは日英通商協定ワク内でありまして、欧州車を二百三十台ほど輸入できる予定にしております。従いまして、大略五百四十台ほどの輸入がこの三月中に手続をいたしまして、来年度早々には入るということを考えております。
  16. 相澤重明

    相澤重明君 この外車五百四十台ほどが入るというのでありますが、このうちあれですか、政府関係に入るのがありますか。これは私は今大臣の御答弁、まことにけっこうなことだと思うのですが、実は外車輸入と同時にわれわれ考えなければならぬことは国産車の奨励なんです。ところがこれは過日の、私不幸にして、新聞記事を見ると、岸総理大臣は、国会へ来るには国産車を使っておったけれども料理屋へ行くには外車を使っておった。乗り分けをしておったという新聞記事を見て、これは大へんなことになった、国民感情が、こう私は思ったので、やはり外貨獲得ということに重点を置いて、本来国産車でできるのだけれども、まだそこまでいっておらぬ。そこで国産車で間に合わないので、外車輸入して外国の方々に気分をよくしてもらう、こういうことだと私は思うのです。そこでまあ、新聞記事に載っておったようなことは、事実かどうか知りません。知りませんが、そういうことであると、何かそういうことで、目的外貨獲得のために、大いにPRのつもりで輸入をしたけれども、それがかえって一部の者に使われてしまって、そうして実際の仕事には使わないのだということであっては本末転倒だろうと思う。そこで、政府関係外車割当というものはこの中に入っておるのかどうか、もし入っておれば、どのくらい入っておるのか、これをちょっとお聞かせいただきたい。
  17. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) このただいま申し上げました数字につきましては、政府関係は全然入っておりません。政府関係は全部国産車を利用するということで、これは内閣方針でもやっておりますので入っておりません。今申し上げましたのは、観光用報道用と、それが入っておりまして、それだけでございます。
  18. 相澤重明

    相澤重明君 そういたしますと、自動車局長お尋ねしますと、政府方針としては、もう政府関係については一台も外車は取り入れない、こういうことでありますか。
  19. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) さようでございます。
  20. 相澤重明

    相澤重明君 そこで今度は米国なり英国——日英通商協定できているものの、輸入というものは一応わかったのですが、これを割り当てる場合ですね、業界人たち希望はどの程度あったのか。それから現実にこれだけの数はどういうふうにして引き受けをさせるのか、その間の経緯を御説明いただきたいと思います。
  21. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) 希望をつのりますと非常に多いのでございますが、これは何千両かによると思いますけれども、やはりドルワクがございますので、非常にたくさん希望が出ましても、それを全部に割り当てることができませんので、大体希望をとりました上で、各県ごとに、これは観光事業審議会等の答申もございまして、主として国際観光客の非常に多い地域を主といたしまして、都道府県ごと割当をいたしまして、それを陸運事務所から陸運局を通じまして、本省に申達させるという形でやっております。
  22. 相澤重明

    相澤重明君 次に役員の項でお尋ねをしておきたいのですが、協会に、役員として会長一人、副会長一人、理事五人以内、監事二人以内、こういうことでありますが、これは第五にいうところの加盟会員の総会できめるのか、運輸大臣任命するとすれば、運輸大臣が勝手に任命するのか、つまり会員意見というものをやはりおくみ取りになって、運輸大臣任命をするというのか、それともそれは業界会員人たち意見というものと全く違って、政府が独自にきめられるものか、その解釈ですね。これについて一つお答えをいただきたいと思うのです。
  23. 永野護

    国務大臣永野護君) 形の上から申しすまと、運輸大臣任命するのであります。選挙ではございません。しかし他のこういうような同種の企業についても言えることでありますが、形は運輸大臣任命するといいましても、実際はいろいろな団体なんかの推薦によっておる場合が多いのであります。ほとんどそうなっております。従いまして、勝手に全く運輸大臣だけの思いつきで任命するというようなことはございません。必ず業者意見を聞くとか、あるいは関係官庁のいろいろな意見を聞くというようなことをいたしまして、それに基いて任命すると、こういうふうに考えております。
  24. 相澤重明

    相澤重明君 次に第十七条の役員兼職禁止の問題でありますが、「役員は、営利目的とする団体役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。」、まことにけっこうな条文だと私は思う。そこで、これが事実できるかどうかということがやはり非常に私は問題になると思う。いわゆる政府大臣兼業禁止という問題を私ども社会党は常に主張しておったわけでありますが、幸いにしてそういうことはだんだんなくなって参りましたけれども、これは民間団体である。確かに独立立法観光協会法という独立立法であるごとには違いないが、しかしこれは民間業者である。その人たちの選ばれた役員政府の、運輸大臣任命ということにはなっておるけれども、本来は民業である。こういうことになると、この役員兼業、いわゆる営利目的としない立場というものと、営利目的とするという、これはなかなか解釈の問題はむずかしいと思う。この問題について、どの程度にこの役員権利義務の中にこの兼業の問題を、営利目的とするとか、しないとかいう判定をお考えになっているのか、これが一つ。それから二つ目は、国会議員はこの中に、どうも条文を見ると、私はあまりはっきりしておらぬと思うのですが、国会議員等も参画できるのかできないのか。こういう点について、政府大臣ならば、これは時の権力者であるから、これはいかぬということははっきりするのだが、国会議員というものは選挙によって出てくるわけでありますから、そこでそういう者も、たとえば業界の、自分ホテル業者である、あるいはあっせん業である、こういうものをやっておった人が国会議員にたとえば選ばれてきた。この場合に、この国会議員は役員になれるのかなれないのか、こういう点を私はやはり明らかにしておいていただきたい、こう思うのですが、この点をお答えいただきたい。
  25. 永野護

    国務大臣永野護君) 今の規模でこういうむずかしい条件をつけたら、ろくな収入もないからろくな人も来ないと思います。ただ、これが先ほど申しますように、大体の構想が非常に大きかったものですから、そのときの残滓が、残滓と申しておりますのはそういう意味でありまして、これが非常に大きな規模であり、先ほどちょっと夢物語と申しましたけれども、一種の観光省にもなるくらいな大スケールのものだということを考えたときの規定ばかり残っておるのであります。従いまして、非常に有能な人が喜んで就任してくれるという段階にはなかなかならぬのでありますけれども、これの役員になるのが、何を捨ておいてもこれになりたいという希望者が出る程度の特殊会社に早くこれをもり立てていきたい。でありますから、理想現実の食い違いがこういうところに現われておりますので、今の程度の規模でそうむずかしい条件をつけたら、なかなか実際問題としてはむずかしいと思います。  それから、今の国会議員の問題は、お説ごもっともなんでありますけれども、これはこの会社だけでありません。各特殊法人全部にわたってこの国会議員がなれないというのがあるのでありますから、これを特殊法人にいたしますと、やはりそういう制約があるのであります。これは立法論といたしましては、お説の通り、議論の余地は十分あると思います。それはしかし、この観光協会だけではなくて、いわゆる特殊法人に国会議員は役員になれないという全般の日本の法規の扱い方、あり方について検討する余地がある、こう考えております。それまでは残念ながらついて回るわけであります、この制約は。
  26. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、今度は会員役員の点についていま一つお尋ねしておきたいのは、役員大臣任命をする。しかし、その役員大臣任命するのだけれども、まるっきり民間業界の人々の意向というものは無視されるとは私は思わないのでありますが、そうすると、ここに国内の各業種別に考えた場合に、いわゆる外国人日本の国内における事業を行なっておる人もあると思う。そういう場合に、外国人の方々もこの役員の中に入ることができるのかどうか。つまり日本人がこの役員をやるのであって、そうして業者自体については会員になる資格はあっても、役員は別である。こう理解していいのか、これは次の第四章の運営委員会の問題にも私は関係してくると思うのでありますが、そういう点について、大臣のお考えをこの際明らかにしていただきたいと思います。
  27. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 大臣お尋ねでございますけれども、私の方からお答えさしていただきます。  実は今のお尋ねの点は二つに分けると思います。一体、外国人日本に居住しておりまして、たとえば旅行あっせん事業をやっておる、こういったような者が果して会員になれるのかどうか、もし会員になれるとすれば、会員から、たとえば運営委員会の運営委員というものが選挙されることになっておりますから、運営委員になるチャンスがある。運営委員になれば、あるいは場合によっては運営委員会の議長ということになるかもしれません。そうしますと、運営委員会というものは、日本観光協会の重要な事項を議決いたしましたり、あるいは調査、審議するという相当大きな機能を持っておる。そこで非常に問題が起るのじゃないかというような御心配であろうと思うのですが、まず現在のところでは、第八条に会員の資格と申しますか、これが列挙してございます。その六号に「その他定款で定める者」とございまして、定款で定めれば外国人であっても入れるということになるわけでございますけれども、現在のところでは、われわれは、「定款で定める者」の中に外国人を入れないというふうに考えております。と申しますのは、何も積極的に入れる必要もないし、また、そういうことを積極的に希望もしないであろうというふうな推定もしておるわけでございます。従いまして、今のところでは運営委員にも従ってなれない。こういうことになろうかと存じております。また、この役員につきましては、全然考えてはおりません。
  28. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 大臣は大体十一時半ごろに予算委員会の方へ出席の予定でありますから、そういうつもりで一つ……。
  29. 相澤重明

    相澤重明君 それでは、ほかの人もおるから……。  私は、運輸大臣先ほどの御答弁をいただいた中に、外資を導入してまでこの観光協会一つ大きなものにしていきたい。まあこういう御意見を承わっておるわけです。そこで、外資を導入するということになると、これは非常に経理上の問題が関係をしますというと、たとえば、この会員にはだれでもなれるという場合に、特に外国人商社の方々ですね、事業を行なっておる人たち、この発言力というものが、やはり私は問題になってくるだろうと、こう思ったから、実は会員とこの運営委員会との関係お尋ねしたわけです。  そこで、今、局長のお話では、当面は外人の役員とか運営委員とかはお考えになっておらないようでありますが、この点、大臣、いかがですか。この外資導入ということは、非常に大きな私は問題になろうかと思いますから、この際、明らかにしておいていただきたいと思います。
  30. 永野護

    国務大臣永野護君) 私が日本観光事業を発達さしたいと思っております規模は、非常に大きく考えておるのでありますから、将来日本に大きな世界的なホテルがどんどん進出してくることは、これは拒むべき問題ではなくて、むしろ歓迎すべきものだと思うのであります。従いまして、そういうような日本観光事業のために、外国人が非常に熱心にそれに参加して、その発達に協力してくれるような事態が起ることは、むしろ私は念願しておるのであります。ただ、現実の問題といたしまして、今日の今御審議を願います程度の規模において、外国人が入ってくるということは、実際問題としてはほとんどないのじゃないかと思います。理想の、私ども理想としております規模になりますると、おそらく、そのときには外国人も参加を希望するような事態が起ってくると思います。そうして、それは日本人といたしましては、むしろ歓迎すべき事態だ、こう考えております。
  31. 相澤重明

    相澤重明君 最後に、税法の必要な改正を行うものとする、この附則にありますね。そして、これはいわゆる観光業務を行うために改善をしなければならぬという場合に相当の資金を必要とする。その資金のあっせんも観光協会が行うということになろうかと思うのでありますが、税法の必要な改正を行うというのは、どの程度今お考えになっておるのか、どういうものを対象に今お考えになっておるか、こういう点を御答弁いただきたいと思います。
  32. 永野護

    国務大臣永野護君) 実は、これは今御指摘になりました条文は、この特殊法人のほとんど例文であります。特にこの日本観光協会法人だけの例文ではないのであります。しかし、理想を申しますると、将来日本観光事業を発達せしめますためには、この例文より以上の意義のある税法上の保護措置も必要になるのではないかと考えておりますけれども、今日の程度では、持ち出しましても、先ほど申し上げましたような観光事業に対する大蔵省認識の基本が変りませんと、なかなかむずかしいと思います。ただいまのこの条文は一般の持殊法人の例文にすぎません。
  33. 岩間正男

    ○岩間正男君 時間がないようでありますから、二点についてお聞きしたい。  第一の問題は、今相澤議員との質問応答の中に非常に大きな夢を述べられておる。そうして、できれば観光省というような独立した省さえ必要だと考えておられる、こういう話をお聞きしたんですが、他方において、私は永野運輸行政の総合的な見解をお聞きしたい。  一方では産業基盤の拡大を非常にやらなくちゃならない、そうして港湾も作らなくちゃならない、船も作らなくちゃならない、その他の設備もまあどんどんやらなくちゃならない。この点と、この観光行政というものは、総合的に考えて、一体どういう関連になるのか。なるべく総花的に何もかもやりたい、こういうふうに考えるのは、いつもそうかもしれません。しかし、日本の現状で非常に打開しなければならぬ大へんないろいろな問題がある。東海道の1東京間の三時間半の広軌の開通だけでもこれは大事業と言わなくちゃならぬ。こういうものを控えた中で、ともかく観光事業を非常に伸ばしたい、こういうことなんですが、一体どれが主でどれが従か。そこのところ、軽重のはっきりした方策ができていなければ、これは観光事業というものはやはり宙に浮いてしまうのではないか。非常にこういう点では日本の現状、ことに財政の規模、それから融資の限界、そういうような一つワクを持っておるそういう中において、どういうふうに一体そういうものを考えておられるのか。こういう点が明確でないと、私は観光行政の位置というものが定まらないと思う。これは今後において動揺してはまずいので、この点はっきりお尋ねしたいと思うわけです。
  34. 永野護

    国務大臣永野護君) 産業と観光事業との関係という御質問自体が、観光事業に対する認識が私と違うので、私は観光事業はりっぱな産業だと、こう考えておるのであります。製鉄業や紡績業に劣らないりっぱな産業だ。これがとかく観光事業は——ホテルとかあるいはいろいろなクラブのようなものは、先ほども申しましたように不要不急施設あるいはぜいたくな施設であるというような扱い方がかなり日本の常識となっておりますことが、本来の日本観光事業のあり方を発揮する妨げとなっておると考えておるのであります。従いまして、私は日本の究極の目的は、国際貸借のバランスを、外国の力を借りないで合せていきたいという究極の目的を達成いたしますためには、だれでもが言うことは、輸出の振興ということでありますけれども、このいわゆる輸出の振興というのはかなり検討されておりますけれども、なかなかむずかしいのであります。決して僕は不可能とは思いません。大いに進んで輸出入のバランスが合う程度日本の産業を発達さすことは不可能とは思いませんが、その他の産業の振興によって輸出を振興し、それによって国際貸借の収支を合せる、その努力をするむずかしさよりは、観光事業を新しく開発して、そうしてこれでドルをかせぐことによって——ドルには限りませんが、外貨をかせぐことによって日本の輸出入のバランスを合せるように努力する方が、労少くして効が多いと、私はこう考えておるのであります。従いまして、私は今までみんなから軽く見られておった、あるいは場合によっては産業の中に入らぬような扱い、たとえば開発銀行の融資のワクにいたしましても、これが独立したワクになったのはきわめて最近のことであります。それまでは開発銀行の金なんかを使ってホテルを作ったりなんかするのはけしからぬという観念で、日本の金融財政が運営されておったのであります。従いまして、お前は何に重点を置くかと言われますと、新しいこれから働きがいのあるフィールドはこの観光事業だと、こう考えております。従いまして、私は至るところで人さえ集まれば観光事業を口にしておるゆえんであります。  ただ残念ながら、ごく現実の問題といたしますと、まだ観光事業に対する認識が私の考えておる程度になっておりませんので、現実運輸省の行政をやっていきますときに、観光事業だけに血の道を上げるということは、運輸省の行政がから回りをすることになるのでありますから、現実の問題といたしましては、海運とか陸運とか、今の東海道の新線とかいうような問題が重点的に取り扱われるのでありまして、これだけ声を大にしても、わずかに年に二億円の予算しかとれないのでありますから、運輸省の行政のうちの重点的にやる産業であると、こういうことを申し上げますことは、現実の事態と離れると、こう考えます。しかし将来の希望は、一番大きい開拓の余地が残されておる部門はこの観光部門だと、こう考えておるわけであります。
  35. 岩間正男

    ○岩間正男君 観光事業を新しい一つの産業だと、そういう見方に立って進められておると、その点、私は全然否定的な立場にむろん立つわけではありません。しかし、やはり日本の、お話がありましたように、現実を見て、それで基礎的な産業、ことに今政府の非常に大きな看板として掲げている輸出の振興の問題、従ってそれに伴うところの国内の基本的な運輸行政を確立する、こういう点にまだまだいろいろの隘路があるわけですね。そういう中で観光の問題というのは並行して考えられておるわけですけれども、ここにやはりはっきりした建前が明白になっていいんじゃないか。だからやはり基礎産業をもっと拡大する、そういう形で、その上に立ってやはり観光の問題も並行するというならわかるのですけれども、どうもその点が私は不明瞭になっているのじゃないか。そういう点で観光省というお話まであったものですから、現実では、一つの夢としてはいいか知らぬが、現実として、そこに政策の本末がともすると転倒されるということになっては非常にまずい。何といいますか、輸出が非常にああいうふうな不振、非常に足らない、そういう赤字を観光事業によって埋めるというのが、現在の政府の建前になっておるようです。そういう点で、この問題について注意を今から払っておいて、将来の構想を立てておくのは必要だと、不必要だと言っておるのではありませんが、しかし政策のやっぱり重点的な点を明確にしておく必要があるのじゃないか。  それともう一つ、これと関連してお聞きしたいのですが、やっぱりわれわれ国民の体験からこの問題を一つ考えてみたい。われわれ、たまたま旅行します。そうするとそういう旅行の中で外人も旅行しておりますね。国民は、御承知のように、四国あたりに行ってみますというと、非常に乏しい中から農閑期なんか利用して、一年に一度というような格好で、これは夫婦連れで出かける。しかし島内観光の姿を見ておりますと、非常にいじらしい感じがします。みすぼらしい。そういうところに、外人の姿はどうかというと、これはさっそうとしております。こういうふうに、民度の違いからこれは当然きているのだと思います。こういう点から考えるというと、何といっても基礎産業を拡大して、日本の民度を高めると、そこに重点的なものを置いて、そうして外貨獲得のために必要なんだから国際観光を拡大する、こういうことによって、日本のやはりいろいろな面で対比的な問題が出てきておる。こういう点が一つと、もう一つは、やはり観光行政に対する基本態度、これはどういうふうに考えておられるのか。  つまり日本を紹介するというのだが、まあ従来——今ではそれほどでもないでしょうが、富士山と芸者ガールというようなことで日本が世界に喧伝されている。それほどでは今ないでしょう。見直しが行われている。日本の何を見せようとするのか、単に金をとればいいのか。そういう形で今のやり方の中に、ともするとやっぱり宿屋の客引きのような感じが国際観光の中に残っているのではないか。そういう残滓を私は感ずるのであります。こういう点について、基本的なこの観光行政というものについて、一体何を見せ、何を一体世界に紹介しようとするのか。それで同町に日本のPRを強化しようとするのか、そういう問題ともからんで観光行政の問題は考えられないと、単に商売一点張り、外貨獲得というようなところに主要な目的を置いたのでは、これは全体の面から見てそれほどの私は効果がないのじゃないか、こういう点が考えられる。そういう点の基本的に観光行政に対する国策面としての運輸省の見解を尋ねておきたいと思います。
  36. 永野護

    国務大臣永野護君) 私が観光事業に力を入れます一番おもなところは、日本の輸出入のバランスを合せたいという点に重点があります。従いまして、いたずらにドルかせぎばかり考えるのはけしからぬという御指摘でありますが、一応はそれはやはりドルかせぎをおもな目的といたしまして、そうして友好関係の増進ということは、それに伴う付随のものだと思います。  それから何を見せたいかという御質問でありますが、これは日本全体を見せたいのです。日本の風光全体を見せたいのです。それに伴って日本固有の古い文化、そうして日本人の人情の豊かな点なんかを現実に即して見てもらいたいとも考えているのであります。外国から来ました人が、ほんとうに来てよかった、日本の景色だけは宣伝文書で受けた印象以上のものだということをほとんど一人残らず申します。従いまして、何を見せたいかということは、実は一応まあ料理でいいますと、定食のようなルートを作りまして、何日間の予定だと聞きましたら、その人たちにどことどこと、どういうルートによって見せよう。滞在日数及び予算の大体のことを聞きまして、それに合う、その間に日本を最もよく見られるように将来の運営をしていきたい、こういうふうに考えております。
  37. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあドルかせぎが主要な目的だとの率直な御意見でありますから、まあ永野さんとしてはそうお考えになるのももっともだと思うのです。それはもう私はあながち、日本の今の国際収支のバランスをとることを重点とされている立場から、これはむげに否定するものではありません。そういう目的はあっていいと思います。しかし同時に、これはやはり将来をずっと考え、そうして構想を考えているというのですから、この点やはり私は、先ほど申しました国民の感情の問題あるいは国民の民度を高めて、そういう点での非常に矛盾を感じないようにする問題、それからもう一つ先ほどのお言葉にあったのですけれども、とにかく、今非常にドルがかせげるんだ、そうして難を少くして功多いのだ、ここに重点を尽すのは当りまえじゃないかという御議論もあったのです。その点だけでは、やはり先の将来に対する私は観光行政というものは非常に不安定であり、うわついたものになる可能性が出てくるのじゃないか、この点に対するやはり基本的な性格をもっとこれは検討される必要があると思います。  なぜそういうことを言うかというと、ここに、この法案の中に、運輸大臣はやはりこの協会に対していろいろなこの監督をしたりする権限を持つんです。どういう立場からこれをやるかということになりますと、運輸行政に対する基本的な線を私は明確にしていないと思う。単に今目前の穴埋め的なそういう性格からだけこの観光行政をとりあえずやるということになってきますと、将来に対してやはり禍根を残すのじゃないか。つまり、どうも日本観光日本だということになるのですが、しかし、これは世界のいろいろな観光国で、とにかく外遊をやって、人が必ず遊びたい、遊覧気分で行くのだから、そういう国の一体主体性はどうなっているか、いろいろな点をあげることができると思うのです。全く国民の生活は、何といいますかお客本位なんです。いわば宿屋の客引き的思想になり下っておる。こういう面が日本全体にびまんするということが起るとすれば、私は失うところが莫大なものじゃないか、こういうふうに考える。国内でさえも観光地を歩いてきますと、非常にやはり目先の行き当りばったりですね、全く私は驚きました。この前、伊豆の先の方に行きますというと、本当に急にそこは観光場所になったんですが、そういうところに行きますというと、もう全く客の顔を見て金を取るというような格好ですね。何らそこには一つのきまった方式もない。そういう形で、今までの農民なり、現金収入が少いそういう人たちが、急に客相手のいろいろな商売をやる。そうするとめちゃくちゃです。そういう格好がこれはできもしないだろうけれども、しかしそういう要素が忍び込んでくる。国民考え方がそういう方向にうわついたものになるという点は、私は非常にこれは日本の独立、日本の民族の自主性という点から、はっきりやはり今のうち考えておく。例の観光省の構想を持たれるそうですけれども、そういう体制の中で、一体基本的な態度はどこに置くのか。それから全体の国策の上における観光行政を一応どういうふうに策定するのか。この二つの問題は、少くとも私は今後の観光考える上に重要な問題じゃないかと思うので、この点をお聞きしているわけです。いかがですか。
  38. 永野護

    国務大臣永野護君) 先ほどからドルかせぎがとりあえずの目標だと申しましたことは、決して日本を東洋のモナコにしようという感じじゃございません。これをりっぱな産業として成り立つ、いわゆる生産業という位置に観光事業を持っていきたいという理想のもとにやっておるのでありますから、非常な卑屈な、そこらの客引きのような態度に日本国民をしようということは毛頭考えておりません。りっぱな企業、りっぱな産業としての経営者の抱負と資格を持つ人にこれを経営してもらいたい、こう考えているのであります。現に、日本以外のいわゆる観光収入をあげておる国の例を見ますというと、イギリスとかアメリカとかカナダとかいう、ああいう大国が、りっぱなこれを産業として発達させ、外貨をかせいでおるのであります。決していわゆる客引き根性でない。いわゆる最も紳士の体面を重んずるイギリス並みぐらいにはせめてなってもいいじゃないか、こういうことでありますから、そこは誤解のないようにお願いします。
  39. 大倉精一

    委員長大倉精一君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  40. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 速記をつけて。  なお、出席の政府委員を申し上げます。官房長細田君、自動車局長國友君、観光局長岡本君、鉄道監督局国有鉄道部長八木君であります。
  41. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 委員の異動について報告いたします。  小柳勇君が辞任、その補欠として大和与一君が選任されました。
  42. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 今、大臣お尋ねしたいと思ったのですが、御退席ですから、政府委員の方に、観光局長にお伺いいたします。  この法律を見ますと、非常にこの協会運営が、何というのですか、はやり言葉でいうと民主的運営というのですか、そういうことに遠ざかっているような感じがします。たとえば役員の選任にしたところで、先ほどお話が出たように、運輸大臣会長、副会長、監事を任命する、理事会長運輸大臣の承認を得て任命するのだという、これを運営委員会に諮るとか会議の総会に諮るというようなことは全然書いてない。それからまた総会というようなものは、これは会員がどれだけになりますか知りませんが、相当な数の会員があるのだろうと思います。しかもその会員から会費を取るということを規定してあるけれども、総会ということはちっとも書いてない。まあ実際問題として、日本国有鉄道会員であるし、どこかそこらの宿屋も会員であるという、会員の非常に力といいますか、大きさが違うのですね。これに平等の会員という決議権を与えた総会の運営が適切であるかどうかという、いわば態度もあるいはあるかもしれません。それにしても会費を取った会員を持ちながら、総会というものはない。そうして辛うじてあるものは運営委員会、しかもこの運営委員会の委員の数は三十人以内、まあ会員の数が全体でどのくらいになるお見込みかによって、その率は変っておりますが、三十人、そうしてこれは選挙によるとありますけれども、選挙と申しましても、今の総会のないようなところで選挙をするというようなことになると、どういう選挙をするのか。公職選挙法によるような投票場を設けて投票するということになるのですか、どうでしょうか。そこらのところをお伺いをして、総会でもあれば、総会で選挙をするのだろうということは常識的にわれわれは想像するのですが、そういうことになっていない。  それから、先ほどお話が出ました、やはり役員兼業禁止をしていただいているということですが、これはなるほど、一面から言って、協会のような公的な機関の役員が、自分の営業に水を引くようなことはさせないという配慮かもしれませんが、お話しになったように、ホテル経営者あるいは電鉄の経営者というようなものが、これは会員にはなっているけれども役員にはなれないのです。そうすると、まあそういうものでないとすると、はなはだ言葉は悪いですが、役人の古い方だけがあるいは選ばれる羽目に陥らないとも限らないということになってくる。非常にこの全体を通じて、運営が民主的でないような感じがいたしますが、これは法律の表はこうなっているが実際はこうやるのだ、先ほど役員任命については大臣からお話がございました。この運営委員会等にこれはあとに諮問するという問題がありますから、多分諮問事項ということで、定款か何かおきめになればはっきりする。そういうことをするとか、あるいは委員じゃない会員の、総会はないけれども会員の総意は、こういう方法で下意上達の道を作るのだとか、そういうようにもう少し民主的なやり方ということについての構想を一つお話し願いたい。
  43. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 実はこの協会の財政的な基盤は、政府の補助金が一つございます。それからもう一つは、会員の醵出する会費、この二つを支柱にしているわけでございますが、来年度の予算のごく試案でございますが、見込みでは、政府の補助金は、予算が成立いたしますれば二億ということになります。民間のいわゆるこの会費はどのくらいになるか見当はつきませんが、現在のところでは、国際観光協会が大体五千万円くらい集まっております。それから全日本観光連盟は二千五百万円くらい、この両者を合せますと七千五百万円、これがあるいは一億くらいにふえるかもしれぬと考えておりますが、そういうふうで、政府の補助金の方が割合から申しますと圧倒的に多いわけでございまして、そういうことから言いますと、むしろこの特殊法人は政府のやるべき仕事を代行するという性格が非常に強くなってくるのじゃないかという考えも成り立つと存じております。従いまして、この役員任命につきましては、こういうふうな格好になるのもやむを得ないかと存じておるわけでございます。つまり政府がいわば代行機関としてこういう特殊法人を作って、そうして相当大きな額の補助金を交付してやるということになれば、政府の強い監督が及ぶことは当然ではないかというふうに考えるわけでございます。  しかしながら、一面また会員というものがおりまして、その会員の出します会費というものがやはりこの協会の財政的な基盤の一方をになっておるとすると、その会員発言権もどうして確保するかということも御指摘のように当然考えなければならぬ点でございますが、その点につきましては非常に苦心いたしましたところでございまして、結局この法文に表われておりますように、運営委員会というものを通じて会員発言権を確保しようということを考えたわけでございます。  それで運営委員会は会員から選挙する、間接的ではありますけれども、そこで発言権が確保できるということでございます。ただ運営委員会の仕事を見てみますと、定款の変更と、それから会費の額、徴収方法をきめる場合に、議決を経なければならないということになっておりまして、あとは定款で特別の定めをしない限り会長の諮問に応じて重要事項を調査審議するということだけにとどまっております。この点についても問題はあろうかと思いますけれども、現在のところでは、われわれといたしましては、こういうふうに考えております。たとえば、先ほど御指摘の総会でございますね。総会というものは普通の社団的構成であれば当然あるわけですが、しかし法律上はここに表われておりません。そこで定款で総会に関する事項をきめまして、年一回以上は必ず総会をやって会員発言をする場にする。つまり、従来全日本観光連盟なりやっておりましたような、そういう社団的な方式を実際上とっていこうというふうな考え方でございます。また、この運営委員会におきましては、ただこの定款の変更であるとか会費の額及び徴収の方法ということになっておりますけれども、その他定款で定める事項ということでもう一つ大事なことがありますのですが、つまり予算なり事業計画なりで、これをやはり運営委員会の議決を経るというふうにしたらどうかというふうにもまた考えておりますが、やはり政府部内でいろいろ検討することになると思います。できるだけ仰せの通りに民主的の運営ができるようにあらゆる方法を講じてみたいと存じております。  それから役員兼業の禁止について御指摘がございましたが、これはこの特殊法人には、大体通例こういうふうの表現になっております。しかしこの協会経営基盤から申しますと、政府の補助金が来年度二億、民間の拠出金が一億にいたしましても、合計三億でございまして、非常に額そのものが小さいのでございます。そこでできるだけ幹部の間における、役員の間における給与というものをできるだけ締めていきたい、こういうふうに考えておりますので、実はこの役員兼職禁止はあまりシビヤーに適用いたしますと、これは問題があろうかと思います。御指摘の通りでございますが、そこでかりに会長という者が無給であるとするならば、今度は逆に兼職禁止の条文の適用をやわらげないと困るのではないかというふうに考えております。そこで、十七条のただし書きに書いておりますように「運輸大臣役員としての職務の執行に支障がないものと認めて許可したときは、この限りでない。」、こういうふうに書いてございますので、この運用を、役員が有給であるか無給であるかということによっても相当かげんしていかなければならぬ、かように考えております。
  44. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 大体わかりました。ただ実質的に今のこれの経費は大部分国家が出すのだ、会費はごく少いのだ、だから国家統制というのか、役所式のあれが強くなるのもやむを得ないのだということなんですが、これらが、それならば何もこういう形にしないで、運輸省内の観光局でやればいいことなんでして、やはり観光協会というふうな格好で、政府機関とは別個なものを作ったというところにその意味があるのじゃないか。それから金をたくさん政府が出すのだから、政府任命したりするのは当りまえだ、当りまえだというのは語弊があるのですが、やむを得ないのだということをもう少しやはりやわらげて、やはりこういう会を作る以上は、もう少し役所式の、たとえば上からの統制を少くするということに一段の御努力を願いたいと思います。ことにそういうことになりますと、今までは全日本観光連盟なんというのは自分たちだけで自主的にやっていた。今度は上からいろいろなことをやられて、どうせ会費を納めておきながら上からやられるなら、昔のように会費を納めていればわれわれの会というふうな運営ができる方がいいという昔に郷秋を覚えるようなことになりますと、せっかくできた会の運営が内部でいやな気持が出てくるというようなことになります。従来から二つの協会を合せて、その両協会とも、特に全日本観光連盟の方は会費だけでほとんどやっていたというような経験もあるとすれば、この運営についてよほどそうやっていかないと、せっかくできたものが困るのじゃないか。こういうことを考えますので、先ほどのお話で、できるだけ、会員の意思を発表するにはどうしたらいいかというようなこと、その他法律にはこう書いてあるけれども、定款でやるというようなことで、いろいろ御苦心のようでございますから、ぜひそういうようなお骨折りを願いたいと思います。
  45. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  46. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 速記をつけてほかに御質疑もなければ、本案については、本日は、この程度にとどめます。   —————————————
  47. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 次に、運輸事情等に関する調査を議題に供します。
  48. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 国有鉄道管理法の一部改正案が出ておりまするので、そのとき御質問した方がいいかと思うのでありまするが、運輸事情一般調査の項目がありまするので、それに関連して一言聞いておきたいと思います。  このごろ、国鉄の管理機構の問題について、いろいろ地方でも問題が出ておるようであります。中には、県によりまして、監理局が三つにも四つにも分れておるというようなことで、非常に不便を感じておるところがある、一部には、一県一監理局というような意見もだんだん出ておるようにも聞いております。ことに国有鉄道法の審議が衆議院で行われました際に、そういう問題についても非常に論議され、付帯決議等も行われたということも聞いておるのでありまするが、ところが地方によっては、逆に、その昔管理部があったのが、管理部が廃止されて、それが今、輸送派出所というようなもので、若干の職員が駐在して、その県内というか、その地方の貨車の配車であるとか、旅客の問題であるとか、いろいろなことをやっておるわけでありまするが、オートメーション化というか、だんだん無電その他で指令ができるというようなことで、逆に、輸送派出所などをもうやめて、大きな範囲で一貫指令をしようというような運動も、運動といいますか、そういう問題も一部にあって、非常に意見がまちまちになっているようで、地方でも、非常に迷っているわけでありますが、こういう問題について運輸省なり国鉄は、ただいまどういう考え方で進んでおられるのか、一応の見解を承わっておきます。
  49. 八木利眞

    政府委員(八木利眞君) 国鉄の組織の問題につきましては、ただいま御審議中の国有鉄道法の改正におきましては、支社を強化するということで御審議願っておるわけでありますが、それ以下の管理部とか、あるいはその他の組織につきましては、国鉄が経営の合理化を進めていきたいという考え方で、いろいろやっておるのであります。そういうような考え方を取り入れましてやりますことは、国鉄の公共企業体であります性格上からもやむを得ないことと思いますが、ただ問題になりますのは、輸送の組織と行政区域との関係におきまして、いろいろ問題がありまして、そういうような点につきまして、先日も衆議院の方におきましても、付帯決議が御決議になったようなわけであります。その点で、私ども運輸省といたしましては、その付帯決議の線に沿いまして、国有鉄道を十分指導していきたいと、こう考えておりますので、ただいま御質疑のありましたような点も、それらとあわせて国鉄の方を十分指導していきたいと考えるような次第であります。
  50. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 衆議院で行われた付帯決議というのは、おそらく管理機構は一県一単位で、県の経済状態というか、産業情勢なんかと、つまりマッチした運輸行政を行なってもらいたいという希望から出ておる決議だろうと僕は思うのです。そういう要望まで出ておるやさきに、逆に、その地方にある輸送派出所なども廃止して、遠くの方から電話指令するとか、無電指令をするとかいうようなことで、オートメーション化というのか、機構の合理化、企業の合理化ということでやろうとするのであろうと思いまするが、まあ、それも一つの方法ではありまするが、貨車の配車であるとかそういう問題などで、ことに生鮮食料などの問題は、やはりその現地で、現地担当官がいて、いろいろ現地の人間と直接接触してやって、初めて機微に即した僕は運営ができると思うのであって、無電その他で遠くから、指令は瞬間的にやれますけれども、そういうことでは、現地が非常に失望もするし、また事実運営上のそご、まごつきも、非常に私は出ると思うのです。  一方で、そういういろんな一県一管理機構というものが出つつあるやさききに、輸送派出所の廃止だなどといって、地方に大騒ぎをさせるということは、これは地方民をいたずらに、やれ陳情、やれ何ということに騒がすだけであって、まことにつまらぬことだと思う、それで支社長その他に私会見したときも、そんなことやめたらいいじゃないか、どうせできることじゃないの、だから、やめたらいいじゃないか、大いに研究しますと言っておりますが、そのまま、やはりそういう意見をだんだん強く打ち出してくるから、非常に騒ぐのです。こういうことは、国有鉄道法が今ここで審議されて、機構の問題を大いに論ぜられておるときですから、企業経営体の中の一部の組織の問題であるにしろ、よく運輸省の方からも注意していただいて、地方民をあまり騒がさないようにしてもらいたいと思うでのすが、輸送派出所などの、今私が申し上げたような問題については、どういうふうに考えられますか、その点も参考に聞いておきたいと思います。
  51. 八木利眞

    政府委員(八木利眞君) ただいま先生のお話しになりました輸送派出所を、通信がいろいろ発達してきたために、やめるという問題のようでありますが、確かに最近の国鉄の輸送の技術的な進歩を見ておりますと、通信機関の発達のために、具体的にある個所に定着しなくても、相当集中して、これを操作するというようなことができるようになって参りまして、こういうような例は、諸外国におきましても、いろいろ取り入れられておるわけであります。国有鉄道におきましても、そういうような技術の進歩を取り入れまして、いろいろな組織の改善をはかっておるわけでありますが、ただ、先生の先ほどお話になりましたように、わが国のいろいろな産業経済というものが、相当行政組織を中心にして取り扱われているという事実も、これは無視することはできないと思います。  そういうような意味におきまして、ただいま御質問のありました福島にあります派出所というものが、どういうふうに変更されるかということは、これはまた、実情に合った方法として考えられたものであろうと思いますが、ただ、今お話しいたしましたように、府県の行政との関連におきます何らかの連絡方法なり、あるいは県の実情を十分把握し得るような方法というものは考慮すべきであると私ども考えておりまして、そういうような立場から、十分指導していきたい、こう思っておる次第であります。
  52. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 今、部長の方で福島と言われたから、福島の話になりますが、これは、何か九州の方の県でも非常に騒いでおる。福島の実例を申しますと、あの大きい県が仙台鉄道監理局、新潟鉄道監理局、水戸鉄道監理局と、それから高崎鉄道監理局の四つに分断されておる。その分断されたなごりに、わずかに福島に輸送派出所を置いて指令をもらっているでのすが、今度は、その福島の輸送派出所をやめて、仙台へ持っていって、仙台から無電や電話で指令を発するという。  あそこは御承知のように、生鮮果実が非常に多い。海岸には魚類もありますしね。そういうところの輸送派出所を取り上げるというから、地方民が騒ぐのは無理もない。何度言うても、相変らずその方針が強く打ち出されておるように新聞なんかも非常に報ずるものだから騒いで、東京へも出てくるとか仙台へも行くと言うから、そんなばかなことをする必要はない。廃止すると言っても廃止できるはずはないのだからと、僕らは地方民をなだめておるのですが、運輸省でも、鉄道法がここで今議題になっておるのですから、これが議題になって、しかも衆議院で付帯決議がついて検討されておる間は、そういうことはやめるというふうに指導してもらいたいと僕は思う。それだけ希望しておきます。
  53. 相澤重明

    相澤重明君 今の石原委員の御質問は、まことに傾聴に値するものです。少くとも日本国有鉄道法の一部改正法律を提案しようという政府並びに国鉄当局が、この問題の審議中にもかかわらず、今、石原委員のおっしゃるように、地元民を無理に混乱に陥れるというふうなことは、大へんけしからん話だ。  特に、私どもが聞いておるのは、支線区のいわゆる定員を減らして、そして乗客に負担のかかるような作業というものを進めておる。一例をあげれば、荷物の取扱いをなくしてしまう、あるいは改札係を置かないで、簡易乗降場等により、車掌に業務をさせてしまうというような、いわゆる管理所設置等の問題が全国的に起きておる。  こういうようなことは、少くとも参議院の運輸委員会で、日本国有鉄道法を審議するのに、非常に大きな問題だと思う。一体政府の立法技術の面からいって、国会の意思というものをどのように考えておるのか。国会議員は、そういう、それぞれの地区から選出されて、住民のやはり意向というものを尊重しなければならぬ立場にある。こういうのが、単に役人の手によって混乱に陥れられておるということは、大へんなことだと私は思う。  従って石原委員の御質問は、本委員会としてこれは取り上げて、そして、これは中馬政務次官もおるし、部長もおることですから運輸大臣にそのことを話していただいて、国鉄に、直ちにその作業を中止させる、そしてとにかく国鉄法が審議されて通った暁に、そういう改変を行うべきであるということで、そう時間もかかるわけじゃないのですから、五年、十年かかるというのなら、これはまた考えなければならぬけれども、当面今、法律案がかかっておる。しかも衆議院は通過をして参議院にきておるのですから、そういう面で石原委員の御意見は、まことに私は大賛成、私は委員長から、そういう点を一つ確認をしていただきたい。
  54. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 今、相澤委員の言われた点で、もう一つ言いたいたいのです。  管理所機構の問題で、小さい駅で四人くらいの駅員の所が、二人くらいになってしまう駅も出ている。極端に無人駅というものはない、だろうと思う。一つの駅に、二人くらいの駅員で、いろいろ管理所ができて合理化されるから、やれることはやれるとは思いますが、地方民は、非常に失望するのです。従来駅があって四人でも手不足と思っていたのに、それは二人でも、サービスは落ちないという説明は、理論的につくかもしれませんが、地方民は、やはり騒ぎ出す。今、相澤委員から指摘していただいたことは、ちょうど私の言い残したところで、こういうことを国有鉄道法をやっている際にどんどん一方でそれを進めてしまうということは、これも、やはり地方の事情をよく調べていただきたい。
  55. 八木利眞

    政府委員(八木利眞君) ただいまのお話につきましては、私どもの聞いております範囲におきまして、結局本年度の工事が、いろいろ進捗して参りますので、それに合せて、そういうようなことが進められているのだろうと考えているわけであります。  ただいまも管理所の話がありましたが、私どもの方は、そういうことを実施する際には、ある程度の報告は聞いておりますので、そういう際には、なるべく今お話のありましたような人を減らすというようなことや、あるいは取扱い範囲を変更するというようなことにあわせて輸送力の増強を同時に実施していくようなことで考えていただくようにしておりまして、この点は、サービスの面から言いましても、あまり御迷惑をかけないのではないかと、こう考えて、いつも報告を聞いている次第であります。
  56. 相澤重明

    相澤重明君 これは、私はむしろ地方の人たち、つまり利用者、受益者の人たち意見を聞いて、そうして今の国鉄という問題について、十分討議しなければ問題だと思う。  ということは、一つの例を申し上げると、たとえば新線を敷いてくれ、あるいは駅の乗降場を設置してくれ、こういう要望が、ずいぶんこれは全国にあるわけです。そして、またその場合に、たとえば建設審議会なりによって新線が作られ、乗降場が作られる、こういうことにきまったにしても、その土地のいわゆる地方の県なり、市なりの人たちに、かなりの御無理をお願いして資金の面の援助を願い、あるいは土地収用についても、援助を願っているのでありますから、ところが、一旦作ってしまうと、今度は、自分の意思で勝手に乗客の不便も、荷主の不便も考えないで、そういうことをやるという今の石原先生のお話のようなことは、まことに私は、国民感情と逆行するものだと思う。従ってそういうことについては、やはり国鉄本来の使命ということを考えないでやることは、私はいけない、こう思いますので、先ほども申し上げましたように石原委員の御質問は、まことに私どもは大事なことであるから、いずれ日鉄法の討議をする際に、参考人を呼んで、そういう意見を聞く、そういうことで、石原先生にも御了解をいただいて、与党の理事である江藤先生と、あとで打ち合せを一つしてもらうということで、この問題は、私は本日は、この程度ということにしておきたいと思います。
  57. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 運輸事情に関する調査についての質問は、この程度にとどめます。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  58. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 速記を起して。   —————————————
  59. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 自動車ターミナル法案を議題に供します。  前回に引き続き質疑を行います。御質疑のある方は、御質疑願います。
  60. 相澤重明

    相澤重明君 政務次官にお尋ねしたいと思いますが、自動車ターミナル法の第三十六条ですが、本法の執行に当って、関係行政機関の意見を聴取すべき事項を定めたものであるということで、都市計画、交通管制、地方財政と  の関連性というような事項が上っておるのでありますが、具体的に、どういうふうにやるというようにお考えに  なっておりますか、この点、第三十六条の一つ御説明をいただきたい。
  61. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) お答え申し上げます。  第三十六条の、関係行政機関の意見聴取につきましては、都市計画の面では、たとえば第一項にございます「建設大臣意見を聞かなければならない。」ということが書いてございますが、これにつきましては、当然、ターミナルを設置いたします場合には、都市計画上の観点を度外視することはできませんので、建設大臣とは、密接な連絡をとりながら、行政をやっていかなければなりませんので、この第三条、たとえばこれは、免許でございますが、それから十八条は、位置及び規模の変更で、これは免許に類するものでございますが、このようなことをいたします場合には、建設省の方へ書面をもって意見を聴取いたしまして、建設大臣から、その免許なり位置、規模の変更なりについての意見を、こちらに受け取りまして、その意見を十分考慮いたしまして行政をするということでございます。第二項、第三項につきましては、関係都道府県の公安委員会の意見を聞く、あるいは関係市町村長の意見を聞くということになっておりますが、この場合におきましては、地の陸運局から関係都道府県の公安委員会、あるいは関係市町村長あてに意見を聴取いたしまして、その意見を受け取りまして、本省に申達させて行政をする、措置をする、こういう予定でおります。
  62. 相澤重明

    相澤重明君 この三十六条の中に、その次に、今の都市計画については建設大臣意見を聞く、これはわかりました。そこで関係都道府県公安委員会、または市町村長、カッコして東京都の場合は都知事と、こうなっておるのでありますが、私は前に道路運送法の討議のときにも申し上げたごとがあるわけですが、六大都市の場合は、どういうふうにお考えになっておるのか。  これはただ、市町村長の意見を聞くといっても、六大都市の場合は、若干自治体のあり方が違う、そういう点についての法令の解釈、あるいはこれを実施する場合の具体的な措置と、こういうものは、私は単に都道府県知事、あるいは公安委員会というだけでは、この問題が解決しない、こう見ておるのですが、運輸省としてはどういうふうにお考えになっておるか。
  63. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) 先生のおっしゃいます六大都市につきましても、あるいはその他の都市につきましても、法文上の措置といたしましては変りないのでございますが、ただ六大都市等におきましては、自動車運送事業を都市が全部経営いたしておりますが、そういう自動車運送事業経営しておるという立場及び公衆の利害等につきましても、六大都市は人口も多い等の関係もございますから、十分に、事実上の打ち合せを事前にもいたしたいと考えておるのでございますが、法文上は、関係市町村といたしまして、全部一律に同じ扱いをするつもりでおります。
  64. 相澤重明

    相澤重明君 そこが、私はやはり地方自治というものを、政府がどう考えるかというキーポイントになる、いつでも。  この地方自治というものの主体性を、だんだん骨抜きにしていこうというような考え方が、政府の中に出てきておるということを私は指摘をしなければならぬと思う。これは、六大都市の場合は、府県知事と市長との行政というものは、明らかにされておる。そうして単に、これは警察法改正の際に、いわゆる六大都市の市公安委員会というものが、確かに県の公安委員会に統合されたけれども、行政上の問題としては、これははっきりしておる。そういう点を法文の上で、単に法文で立法技術の中に、東京都知事と、東京都だけを私はあげておくというのは、非常に私は問題がある。むしろ東京都及び六大市というものを私は含むべきではないかと、こう思うのであるが、今の国友自動車局長の説明では、一般の市町村と同じだということは、地方自治を理解をしておらないというふうに私は理解をするのであるが、あなたの方は、そういう点は、自治庁なりあるいは地方自治に対するところの、そういう説明をする際に、打ち合せがあったのかどうか、その点をお尋ねしておきたい。
  65. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) 「関係市町村長(特別区の区域に係る場合は、都知事)」と書いてございますが、この「第二十九条第一項の規定による指示」と申しますのは、「一般乗合旅客自動車運送事業の路線が多数集中する地域において、バスターミナルがないためしに、ぜひバスターミナルを作りたいというところに対しますバスターミナル設置のための指示というものをいたす場合でございまして、大体、このような指示のなされますところは、おおむね六大都市だと、われわれは考えておるのでございまして、これにつきましては、先ほど私から申し上げましたように、十分事前の打ち合せを六大都市に対していたしたいと思うのでございますが、「(この特別区の区域に係る場合は、都知事)」と申しますこの都知事は、地方行政をいたしております都知事を指しておるのでございますが、法文上は、先ほど申し上げましたように「関係市長村長」と書いておるのは、その通りでございます。自治庁の方に対しましては、十分に打ち合せをいたしまして、この全条文に、この全法案につきまして、十分な了解をとれた上で提案いたした次第でございます。
  66. 相澤重明

    相澤重明君 そうすると、第二十九条の場合と、三十六条の執行に当っての考え方というものは、六大都市のような場合には、十分半前に、それらの関係市に相談をする、こういう点を確認してよろしいですね。
  67. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) さようでございます。
  68. 相澤重明

    相澤重明君 次に、お伺いをいたしたいのは、提案理由の説明の中で、二ページのしまいの方に、一番しまいにある「さらに、近い将来、高速自動車道が建設され、」云々と、こうなっておるのでありますが、たとえば東京都におけるこの高速自動車道路といいますか、川の上に作った道路、ああいうものは、どういうふうにお考えになっておるのか。  それから今後、そういうものができた場合には、一体ああいう、その高速道路の下に、いわゆる下を中心としたある一定の個所にターミナルを設けようとするものか、それとも、あれはもう通るところだけであって、これは別にターミナルというものを設けるものであるのか、その一つ基本構想というものをお聞かせ願いたい。
  69. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) 現在、建設委員会で御審議になっております法案に、首都高速道路公団法案というのがございますが、この法案は首都であります主として東京都の区域の中に、高速道路を作る法律案でございますが、この首都高速道路公団によりまして、東京都内の高速道路を作るというのが原則でございます。  ただ、今先生のお話のございました、新橋から東京駅附近まで参りまする埋め立ていたしました河川の上に作っております道路は、東京高速道路株式会社と申します民営の会社が、道路運送法上の一般自動車道事業の免許を受けまして施行いたしております、あの道路の措置につきましては、現在供用を開始いたしておりませんが、できるだけ早い機会に、あの高速道路の供用を開始さすべく新橋よりの方は二車線、数寄屋橋から東京駅よりの方は四車線でただいま計画をいたしておりまして、できるだけ早い機会に一般自動車道事業の免許を受けさせて措置をしていきたい、かように考えております。  しからば、その道路下にターミナルを作るかどうかという問題につきましては、ターミナルには、相当大きな場所が必要でございますので、現在のところは、あのような道路の下には駐車場を作る程度のことを考えておりまして、ターミナルは、さらに今度考えられております首都高速道路公団で作りまする首都高速道路に続きまして、たとえば東京駅の附近で申しますれば、地下に作りますか、あるいはそのほか東京駅に近接いたしました適当な場所を選定いたしまして、設置を促進いたしたい、こう考えておるのでございます。
  70. 相澤重明

    相澤重明君 この自動車ターミナルは、もちろん専用のものもあれば、一般のものもある。特にこの前百貨店法の質疑の際にも、これは意見が出たことでありますが、将来大きなビルを建てるというような場合には、原則として自動車の収容場所というものは併置しなければならない、こういうことになっている。  そこで、それだけの制限をいわゆる義務条項としてつける以上、公団でもって、いわゆる将来高速自動車道路法に基く公団を設置して作るというならば、当然この中には、一般のビルにさえ、それだけの義務条項があるのだから、当然、私は公団自身で、やはりもつべきではないか、こう考えるのだが、そういうような構想というものはないのかどうか、これを実はお尋ねしておるわけです。
  71. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) ただいまの首都高速道路公団法案によりまする——としてこの法案が通過いたしますれば、成立します首都高速道路公団の業務の内容につきましては、目下のところ、自動車ターミナルの建設については、規定いたしておりません。ただ、今後ぜひとも、自動車ターミナルを東京の都心部分に作りたいと考えておりますので、その場合には、いかなる組織で、いかなる法律を提出して措置するかということを十分に検討して打ち合せたいと考えております。
  72. 相澤重明

    相澤重明君 それは、将来の問題で、議論をしても始まりませんが、私としては、少くとも銀行なり、あるいはデパートなりに、これから一定の坪数以上のものについては、自動車の収容場所を置く、こういうことがきめられておる以上、当然この自動車の高速道路というものが作られれば、これはもう、公団自身がそういうものを持つべきである、私は、こういう見解を持っておるわけですが、これは一つ、将来の問題として十分検討を願っておきたいと思うのであります。  それから、次にお尋ねをいたしたいのは、第五章の、運輸大臣は必要によりこの自動車ターミナルの設置または改善のための「用地及び資金の確保に関する措置を講ずるように努めるものとする。」そして土地収用法の、関係法規の一部改正を行う、こういうことができておるのでありますが、原則として、これは公共団体が作るのが建前なのか、それとも、公共団体としてはなかなかできぬから、一般のものを主体とするのか、まずこの作り方の考え方について、第一にお尋ねをしておきたい。  それから第二には、たとえば大都市の場合、今國友局長が言うように、東京駅のような場合には地下に、第一あるいは第二、第三というような案もすでにあるようでありますが、そういうような地下ターミナルを作るような場合に、これは一般の人たちも、そういう、たとえば東京駅なり横浜駅なりというターミナルを作る会社を作ってやるのか、そういう点について、公共団体が中心になるのか、それとも、一般の市民層が、そういう希望者がやっていいのか、この点について、どうもまだはっきりわからないので、この点の御解明をいただきたいと思います。
  73. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) この法案考えております免許につきましては、これは地方公共団体でありましても、一般民間会社でありましても、免許を受けて施行し得るということを考えておりますが、要するに私どもといたしましては、自動車ターミナルができることを望んでおるのでございます。  それで、地方公共団体において、それを設置することが非常に望ましいのでありまして、ぜひそういう方向に作ってもらいたいと思っておりますが、しかし地方公共団体でできないような場合には、一般民間会社によっても作ることを促進していきたい、こういうふうに考えておりまして、要するに地方公共団体といたしましても、一般民間会社といたしましても、いずれでも作れるということが根本思想になっております。
  74. 相澤重明

    相澤重明君 そういたしますというと、公共団体であっても、あるいは個人、民間であっても、別に優劣はない、こういうふうに考えてよろしいわけですね。  それから第二の問題は、資金のあっせんというのは、大蔵省資金運用部資金というものをお考えになっておるのか、それとも、市中銀行の金融というものをあっせんをするというのか、あるいは生命保険とかいうような、そういうところの資金というものをお考えになっておるのか、この資金の調達あっせん等の問題については、どういうふうに構想をお持ちか、この点を一つ御解明をいただきたい。
  75. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) 第三十一条に、「用地及び資金の確保に関する措置を講ずるように」運輸大臣は「努めるものとする。」という書き方をいたしておりますが、この資金の確保につきましては、非常に広範囲の措置を、われわれといたしては考えておりまして、一般民間の銀行の融資も考えておりますし、さらに開発銀行の融資も考えておりますし、さらには補助金とか公団等への出資というような面におきましても、大蔵大臣の方へ構想がまとまりましたら、積極的に要求をいたしたいと、こういうふうに考えております。
  76. 岩間正男

    ○岩間正男君 時間がないですから……。私も、二、三お聞きしたいのですが、運輸大臣が、どうしても必要だというので、これを設置するような必要な措置を講ずることを指示することができる、こういう条項が二十九条にあるわけですね。  こういう問題で、全国的にあなたの方で、どうなんですか、全部調査をして、そういう資料を持っておるのですか。どうなんですか。
  77. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) お答え申し上げます。  第二十九条の措置は、最も必要と思われます所に設置を促進いたしますための一つの措置でございまして、当面一番最初考えておりますのは、東京都内におきまする措置でございますが、大体この第二十九条の措置は、おおむね六大都市程度であろうかと現在考えておりますが、これは具体的な模様によりまして、漸を追って措置していきたいと考えておりまして、当面のところ、この法案が幸いにして公布になりましたその暁には、まず東京から考えていきたいと、こう考えております。
  78. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうも、運輸行政一般について感ずることなんですが、まあ、行き当りばったりなんだな。法案出してみて、それでやらしてみて、それで先に行って、なお考えよう、こういう仕組みなんですが、やはり、もうターミナルの必要性というのは、公共性から言って、非常に重要だ、こういう形でもって、この法案が出されていると思うのです。  そういろ観点からすれば、この計画を、少くとも運輸省は持たなくちゃならない。それで、そういう計画が相当明らかになって、その上に法案が出されなければ、私は非常にまずいじゃないか。つまり運輸行政一般について、そう感ずるのだけれども、いつもケース・バイ・ケースで、あとから追う、法案だけ先に作ってですね。これはちょっとまずいと思うのですが、どうなんですか。
  79. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) 本法案の基本的な目的といたしておりますところは、先刻申し上げましたように、自動車ターミナルの設置を促進いたしたいという考え方でございまするが、全般的に、全国的にこの骨子といたしますところは、申請主義をとっておりまして、申請によりまして、その申請を審査した上で免許する、あるいは却下するということを定めて参るのが基本でございまして、先生のおっしゃいます第二十九条の場合は、異例の措置といたしまして、ぜひともほしい所に、自動車ターミナルが免許申清をする者もなくて、設置されておらないという場合の措置でありますので、まあこれにつきましては、最も必要な所から、一つずつ手をつけていきたい、こう考えておるわけであります。
  80. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ申清主義、けっこうですがね、頭から、ぎしっと押しつけるのではなくて、そういう民間との協力でやるというのは、これはけっこうです。  しかし、これをやるときに、運輸行政として一つの、やはりきちんとした私は調査がなくてはならんと思う。その上に立って、ここが必要だとか、必要でないとか出てくるので、まずやらしてみて、そして、まあこの程度にできた。そこの所を検討してみて、またこうやる。これは、さきの過程の中で必要だと思う。最初に、少くともそういう点まで計画性を持たなければ、私は非常にまずいと思う。この法案の欠点が、そういうところで出てきておる。  たとえば、なぜ私がそういうことをお聞きしているかというと、まず資金調達の問題があるのですね。それから土地の取得の問題があるのですね。こういう問題についても、これは行き当りばったりだ。従って、これを助成する、それから融資のあっせんをするということになっていますけれども、こういうやり方が、やはり自然発生的な形になるのですよ、計画性を持つことができないと思うのだ。国家のやはり行政の一つとして、こういう点でどうです、これはやはり資金あっせんだって、計画はできておのですか。土地の収用についても、これは一応の計画があなたの方に構想があって、そういう面で、なお業者方針を示して、そしてそこのところを指導していく、こういうふうになっているのですか、どうなんです。
  81. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) 先生の仰せられます調査なり計画というものは、私たちとしては必要だと考えて、大いにその面努力したいと考えておりますが、この法案の行き方といたしましては、最も基本になりまする自動車ターミナルというものを定義し、そして自動車ターミナルに関しまする基本的な、基本法をまず作ろうというのが、この法律考え方でございまして、この法律が、先ほども申し上げましたように、通過しました暁には、この用地なり、資金の確保について、先ほど申し上げましたような計画を具体的に作って参るつもりでおりますが、用地とか、まあ資金の確保につきましても——資金の確保につきましては、先ほど申し上げましたような次第ですが、用地等につきましては、土地収用法の適用もいたしまするが、まあ要しまするに、基本的なこういう行き方ができるということを、この法律でまず定めまして、その後に実際の実施に移すという考え方でありますので、まあ先生の仰せられます点は、十分に考慮してやっていきたいと考えております。
  82. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうも私は、さか立ちしておると思うのですね。運輸行政は、まあともかく、そういうアイデアだけ出しておいて、やらせてみて、それから調査して検討して、そうして、あとでいろいろ修正をする。こういう格好になるから、今の道路の修繕みたいなことになるのですよ。私はこういう行政はまずいと思うのですよ。これだけの法案を、ある意味では画期的なわけですね、こういうものを出すときには、ちゃんと事前に調査があって、実態をともかくつかむ。これは、完全に百パーセントは最初からつかめないかもしれないけれども、少くとも八〇%くらいは、構想を持って、その上に立って法案が作られる。そうすれば、資金計画は、どういうことになる。それから土地に対しての取得の問題についても、これはどういうことになると。こういう構想があって、進められなければ、私は、政治という名にこれは値しないのじゃないかと思う。  そういう点から、非常にやはりこれは、基本的にさか立ちしておる。この点、非常に私は遺憾とするのです。というのは、先ほど相澤委員質問の中にあったのですが、資金をどこから1資金運用部資金を使うのか、市中銀行から使うのか、これについても、はっきりした計画がない。これに対する国家的な資金計画はない。なるほど民間にやらせ、地方公共団体にやらせるからいいんだという形で、肝心な資金計画が明確にならぬ。一体、どういう実体か、その点を私は心配しておる。  たとえば、そうするといろいろな会社が出ますね。いろいろな会社が出ますよ。ある場合には、名前を言っちゃ悪いけれども、あるボス、こういうボスがかき集めてきて、そうしてそれは、何か泡沫会社みたいなものができるという心配がないという保証はないわけです。そういう点から言えば、相当国家の統一された計画性の上に立たないとまずいと思う。なぜそういうことが心配になってくるかというと、しかもこのターミナルができると、今度はそこを利用しない人も、強制的に使わせるということになるのですよ。そうすると、非常にこれは、やはり独占的なものになってきますよ。それでもって、そこのところを支配されて、ボス支配が強化される。やはりボス支配と結びついてくるのだ。この問題は、非常にそういう点で、私はこの国家の一つの一貫したあれにならない、この点を心配する。ただ結成させてやったんだからいいんだという形では、これは非常にこの法案は不備だ。さか立ちしておる。  もう一つ、これと関連してお聞きしたいのは、土地収用の問題ですが、土地収用の問題は、相当これはやかましくなってくるんじゃないか。土地収用法を、最後においては発動してもよろしいということになる。どういう条件のときに、土地収用法を使おうと考えておるのか。
  83. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) これは、土地収用法に基きまして、土地収用委員会にかけまして、それに合格いたしました場合に、土地収用法をかけるという措置をいたすわけでございます。
  84. 岩間正男

    ○岩間正男君 それは、私も知っているのです。委員会にかけて——それは手続上の問題ですね。しかしこれは相手があることです。ことに、えてしてまだ、終戦後の傷がいえない盛り場というようなところで、まだまだ、そこに生活を依存している人がたくさんいるわけです。そういう関連で、やはりこれは問題が起り得る可能性がある。そういう人たちは、おそらくまた反対するという事態が起ってくるんですよ。そうすると、それに対して、これはもう頭ごなしに土地収用法では……。こういう問題は、少しも政治ということにならぬと思う。従ってこれは、どういうような手心を加え、どういう状態のときに、これは収用法を発動するか、これは、次官にお尋ねしますが、どうですか。これをしゃくし定木にやられることは大へんだと思うんだ。  それからもう一つは、どういう条件で収用法を発動しようと——条件をどういうふうに考えているか。法的にどうか。政治的にどうか。こういう点について、私はお聞きしたいと思います。
  85. 中馬辰猪

    政府委員(中馬辰猪君) ただいまの御質問につきましては、実は、私どもも非常に心配いたしまして、この法律案を作成する場合においても、地方自治の方々の要求、その他を、いろいろしんしゃくいたしまして、こういう法案を出してもらえば、われわれとしても、ぜひ必要な存在であるから全面的に協力をしたい、こういう、いろいろな内部の話がございましたから、思い切って、こういう法案を出したわけで、十分やれる自信を持っております。
  86. 岩間正男

    ○岩間正男君 大てい法案が通るときは、そういうことになっているが、発動してみると、そういかないのです、私たち今までいろいろ、こういうものにぶつかっていますから。  従って、それは業者とか申請者、そういう者だけの意向で、やはりやられがちなんですね。一つの、政策がかわいいから、これをやる。こういうような方向に傾きやすい。こういうことでは、やはり住民の利益は、なかなか守られない、保証もないわけですから。収用法では全くこれは問題にならないのだから、この運用は、下手するというと、これは一つの凶器になりやすい。これだけで、ターミナル法を作るんだということだけで、そういう問題、住民の利益というものと、非常に問題がからまってきた場合に、私は問題だと思う。こういう点については、これはもう少し対策——具体的に、こういうものを作るんだと、この次あたり、もう少しよく考えてみてやっていただきたい。  これは大きな難点になりますよ、この法案の。その点いかがですか。
  87. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) 土地収用につきましては、ただいま道路運送法がございますが、道路運送法に基きまして、この法案で規定しております専用ターミナルのようなものが設置できるのでございますが、その専用ターミルにつきましては、すでに土地収用法の適用があるような法律制度に土地収用法がなっております。  今度自動車ターミナル事業という新しい事業ができますので、これも、今申しました専用ターミナルのごとくに、土地収用をできるようにしたいということで措置したわけでございますが、岩間委員の仰せられました具体的な場合につきましては、その具体的な認定の場合に、種々考慮いたしまして、十分実情に合うような形でもっていきたいと考えております。
  88. 岩間正男

    ○岩間正男君 私、お聞きしますと、相当計画性に乏しいわけですね。基礎的な調査もまだ十分でないようです。  そして、そういう形でやってみようということで、しかも土地収用法というような、いわば悪く使えば凶器になるようなものを作っている。こういうところが、やはりこの法案の問題だと思うんです。だからもっと国家がほんとうに、政府が力を入れて、そして、はっきりした構想の上に立って、資金計画もきめ、土地の取得も、そういう点から非常に一つの筋の通ったものになっているというのなら、これは、政策が浸透するかもしらぬ。ところが法案を出してみて、これでやってみて、そして資金計画も今言ったように、非常にはっきりした構想がない、そういう形でやってみて、さて問題だけは、どんどん起ってくる、ケース・バイ・ケースでたくさん起ってくる可能性さえ考えられます。  そういう点のやはり、ちゃんと見きわめというものをつけなければ、私は責任のある政治とは言えないと思うんですが、こういう点、やはりこの法案は一応出されて、法案審議の過程の中で、内容的な——法案は、なるほどできるかもしれんがこの運用面で、一体どういうところまで考えるのかという点を考えておかないと、この法案は、結果においてはいろいろな点で、いろいろな問題をはらまないという保証はないのですから、この次あたり、そういう点を、もっと統一した見解を出していただきたい、こういうことを最後に希望として述べておきます。
  89. 相澤重明

    相澤重明君 ちょっと委員長、資料要求があります。  この法案には、日本国有鉄道法の関係もありますから、私ども、なお研究しなければならない点がありますので資料を一つお出し願いたいのは、今行われている、路上の駐車料金を取っているわけですが、それは現実に、どういう経過、結果になっているのか、この間の新聞では、何か平均二百五十円くらいなくてはいかぬのが、百円か百十円しかないというようなことがあげられておりましたが、この結果を一つ、御報告願いたい。  それから、いま一つは、このターミナル法が、たとえば実現をする際に、資本金というものは、どの程度のものなのか、どの程度資金があれば、運営がつくとお考えになっているか。  それから、この広さといいますか、面積といいますか、それはどの程度までお考えになっているのか、これは先ほどの土地収用法との関係もございますから、どういう構想をお持ちになるのか、資料として、私は次の委員会に御提出をいただきたい。
  90. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) 路上の駐車料金につきましては、建設省の所管でございますので、建設省と打ち合せて提出をいたしたいと思います。  それからターミナル法、これにつきましては、どのような構想かというお話でございますが、それは本日、バスターミナル事業収支について、という資料をお配りしてございますが、これでよろしゅうございましょうか。その三枚ほどのもので、大体そういう考え方のものを作ってございます。
  91. 相澤重明

    相澤重明君 発言中だけれども、この間も、江藤委員から言われたように、この経営というものについて、私は相当突っ込んだ意見を聞かないことには、これはなかなか、法律だけは通したけれども、問題があると思う。  たとえば広島なり、北海道なんかが出ておりますね、出ておりますが、その内容は、ただ数字を並べてあるだけで、実際は、内容は不明確です。もっとはっきりしたものを、こまかい点まで出していただかないことには、実際にターミナル法が通ったけれども、実行できるかどうか、またそれが、経営がやっていかれるかどうか、こういう点が、非常に私は心配になる、そこで、そういう点をこの間の委員会でも、江藤委員から質問をしておいたはずですから、それらを含んで、将来の構想について出していただきたい、こう思うわけです。
  92. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) 実績は、ただいまございますので、実績は御提出できると思いますが、それでよろしゅうございますか。
  93. 相澤重明

    相澤重明君 実績でいいです。
  94. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) それでは、それで提出をいたしたいと思います。
  95. 大倉精一

    委員長大倉精一君) ほかに御発言もなければ本案についての質疑は、本日は、この程度にとどめます。  委員会を散会いたします。    午後零時四十九分散会