○
政府委員(
國友弘康君) 今回、提案されましたところの
自動車ターミナル法案につきまして、
概要説明を申し上げたいと思います。最初に、
自動車ターミナルの概念及び実情について御認識願いたいと存じますので、この
自動車ターミナルという、横に広い冊子かございますが、これにつきましてごらんを願いたいと思います。最初に、第一
ページでございますが、航空機に対する空港、鉄道に対する
停車場等、これら
交通機関の
ターミナル施設は、比較的よく整備されております。これに比べまして、
自動車に対する
ターミナル施設は、
バスターミナルにしましても、
トラックターミナルにしまてまも、
一般公衆と密接な関係があるにもかかわらず、ほとんど放置されたままであります。
自動車の急速な発達に対処していくためには、
日勤車ターミナルの整備について、今後、大いに積極的に乗り出す必要があると言えると存じます。で、ここに
自動車ターミナルの効用につきまして概説するとともに、
わが国内外のおもな
自動車ターミナルにつき出して、その実情を簡単に申し上げたいと思います。
まず最初に
自動車ターミナルの効用でございますが、
自動車ターミナルの効用を一言にして申しますれば、鉄道における駅と同様のものであるというに尽きますか、
バスターミナルと
トラックターミナルとでは、その
具体的面において、やや異なるものがありますので、以下、これら二者につきまして、個別に申し上げてみたいと存じます。
バスターミナルにつきまして、まず最初に申し上げますと、第一番目に、
バス輸送力の増強に資するものでございます。大都市におきまする通勤、通学のための
バス輸送力を増強するためには、バスの
運行回数を増加させることが必要であります。しかし、バスの
起終点、たとえば東京におきましては、丸の内、
一新橋、新宿、
渋谷等でございますが、このバスの
起終点を現在のように
一般交通の川に供されている道路または
駅前広場に求めておりましたのでは、その面積、
交通量等の関連上、
運行回数を増加させることは、もはや望み得ない状態にあります。
バスターミナルは道路、または
駅前広場等の
場所的制約を離れまして、
地下等にも設置いたしたい考えかございますか、こういう
場所的制約を離れることができますので、バスの
運行回数の増加を可能にするのでございます。
それから第二番目に、
バス輸送網の形成という点に利点がございます。路線を有する
交通機関は、互いに接続されていること、すなわち
交通網が形成されていることによりまして、その効用は、一段と増大するものでございます。このことは、
都市内交通及び
都市間交通において、特に痛感されるところでございます。しかし、現在の
バス路線の態様を見てみますと、その
交通系絡の見地からいいまして、
接続状況は、必ずしも適切ではございません。そのおもな原因の一つは、
バス路線網の
連絡調整を行うための場が提供されていないということにあるのでありまして、
バスターミナルは、このような場を提供するものでございます。
第三番目に交通安全の確保という点でございます。
一般交通の用に供せられる道路または
駅前広場、特に
路面交通の輻湊する
都心部におきましては、ハスが発着し、旅客が乗降することは、交通上危険を伴うことは言うまでもないところでございます。
バスターミナルは、バスの通過する車路と乗客の通路を整然と区別するものでありまして、従って、バスが他の車両、通行人、
旅客等に妨げられずに発着し、旅客が危険を伴わずに乗降することが可能になるのであります。
第四番目は、
路面交通の
円滑化について利点があるということでござい嵐すが、
バスターミナルの整備は、現在
バス路線網の中枢としての機能を果している道路または
駅前広場における交通の混雑を緩和し、
一般交通の
円滑化を可能にするものでございます。
第五番目に、
バス利用者に対する
サービスの向上でございます。
バスターミナルを整備することによりまして、旅客に対し、次にあげますような
サービスの向上が期待されます。
第一に、
バス運行時刻の
合理的調整及び
正確化が期せられるということでございます。
第二番目に、バスの選択、乗りかえ、その他
バス利用が容易、かつ便利になるということでございます。
第三番目に、安全、かつ、快適にバスを利用できるということでございます。
次に、第二番目の
トラックターミナルについて申し上げたいと存じます。
トラック輸送網の形成につきましては、
バスターミナルについて申し上げましたところと同様でございますので、略しまして、第二番目に
トラック事業の
合理化について申し上げます。
トラックにつきましては、集貨、配達、積みおろし、
中継等の機構及び施設の整備が、まだ十分でございませんので、貨物の毀損、配達の
遅延等が生じております。
トラックターミナルが整備されれば、これらの事項は、集約的、合理的に行い得るようになりますから、
トラック輸送の能率の
飛躍的向上を期待し得るのでございます。第三番目に、
道路交通の
円滑化についてでございますが、これは
バスターミナルについて申し上げましたところと同様の理由でございます。第四番の荷主に対する
サービスの向上といたしまして、第一番目に、集配の
合理化、
連絡運輸の
円滑化等により、荷主にとっても、速達の利便が増大するということでございます。
第二番目に、
運送目的地別に業者を選択する手間が省け、その他
運送申込手続が簡易化されるという利点がございます。
第三番目に、積みおろし
設備等が完備されるこにより、貨物の毀損が避けられるということでございます。
以上で
バスターミナルと
トラックターミナルについての利点を申し上げましたのでございます。
次に、
わが国における
主要バスターミナルにつきまして、次に四
ページに、十件ほど既存の
主要バスターミナルの
一覧表がつけてございます。これは全部ではございません。ただ、私どもの方で現在わかっております主要な
バスターミナルを
一覧表にしてつけておる次第でございます。
五
ページに、建設または計画中の
主要バスターミナルの
一覧表をつけております。これは、
目下計画もございまして、われわれの方でわかっております
バスターミナルでございます。
次の
ページは
——ページが抜けておりますが六
ページでございますが、これは、
東京駅前の
丸ノ内側に
バスターミナルを作りました場合には、こういう
想定図になるであろうということで、これは
地表部分と、次の
ページの付図二が次の
階——地下一階の
コンコース及び
商店街の部面でございます。ここでお客さんが、自分の乗りたいバスの発着いたします
バースにおりるような
乗降口がずっと並んで設置してあるわけでございます。
次に、付図第三で、これは地下二階のバスの
発着場でございまして、地下一階から
乗降階段によりまして、この
楕円形になっております。
ハス乗降場の中のこの島、
バースに旅客はおりて参るわけなのであります。ここにバスが発着いたしますわけでございます。こういうものが想定されるという
想定図をつけておきました。
次に、九
ページに既存の
バスターミナルの実例といたしまして、
株式会社で運営しております
広島バスセンターの概要をつけておきました。次の
ページに、付図四といたしまして、
配置図が書いてございます。このちょうど真中にございます
のこぎり型になっております部面が、バスが発着いたしまする施設でございます。
次の付図五は、これを施設しました位置を表示いたしております。次の
ページの写真に、広島の
バスセンターの出・
改札口、それから
停留場所になっておりまする
のこぎり型のバス、それから
乗降場、そういうものを、写真でつけておきました。
それから、次に十三
ページでございますが、
わが国におきまする主要な
トラックターミナルにつきまして、八件ほど
一覧表をつけてございます。
次に、十四
ページに、建設または計画中の
主要トラックターミナルの
一覧表をつけておきました。さらに、既存の
トラックターミナルの実例といたしまして、
日本通運株式会社の
東京総括主管支店自動車便事業所という
通称晴海ターミナルと申しておりますが、この
晴海ターミナルにつきましての規模及び
運営等につきまして、
参考資料をつけてございます。十七
ページに、付図六といたしまして、晴海の
トラックターミナルの
平面図が書いてございます。
次に、十八
ページに下関の
トラックターミナルの運営の概要が御説明してございます。
二十
ページに、外国におきまする
自動車ターミナルの実例といたしまして、
ニューヨーク・
ポート・オーソリティの
バスターミナルの概要につきまして御説明いたしておりますが、これは
世界最大の
バスターミナルと言われておりますのでございますが、各所の各会社のバスが、ことにニュージャーシーの方から
州際交通で入りますバスが、
長距離通勤ともに、この
バスターミナルを利用しておるわけでございます。二十二
ページに、写真四といたしまして、写真がつけてございますが、この真中にございます四階建に見えまする建物が、
ニューヨーク・
ポート・オーソリティの
バスターミナルでございます。次の二十三
ページでございますが、付図の第七といたしまして、
断面図が書いてございますが、この
断面図にございますように、一番下が、
長距離バスの発着いたします階層でございまして、これは、
のこぎり型に
バースを建設しております。その上の階が、主
コンコースでございまして、ここに
売店等もございます。
長距離ハスから上って参りました旅客が、ここで各方面に出ていくという
コンコースになります。その上が、
通勤コンコースでございまして、上の
通勤バス階からおりて参りました
通勤客が、この
通勤コンコースを通しまして、自分の目的の
乗降場まで歩いていく、あるいはエスカレーターで移動するという施設があるわけでございます。一番上が
通勤バス階でございまして、付図八にちょうどやはり
楕円形の
発着施設ができておるわけでございます。
次に、
ニューヨーク・ユニオン・モーター・
トラックターミナルという、やはり
ニューヨーク・
ポート・オーソリティで設置いたしております
トラックターミナルについての概要を御説明しております。最後の付図九で、その
トラックターミナルの見取図、
切断図を付しました図面がつけてございますか、このような
トラックターミナルが
ニューヨークには二個所、三個所ほど、設置されておるのでございます。
以上、
自動車ターミナルというものにつきまする概念を申し上げました。
次に、逐条的に、
自動車ターミナル法案の概要を御説明申し上げたいと存じます。
第一条は、この法律の目的を定めたものでありまして、
自動車運送の健全な発達をはかるため、
自動車ターミナルの適確な管理と
自動車ターミナル事業の適正な運営を確保し、あわせて
自動車ターミナルの整備を促進することを目的といたしております。
自動車運送と申しますのは、
道路運送法に規定しておりますところの
一般乗合旅客自動車運送事業と
一般路線貨物自動車運送事業、すなわち、路線を定めて行う
自動車運送事業による
自動車運送をいうものでありまして、これらの事業の用に供する
自動車ターミナルについて、
自動車運送事業者がみずから設置するものは、
専用自動車ターミナルとして、その施設の
安全性を確保し、第三者が設置するものについては、
免許制による
自動車ターミナル事業として法律上の地位を与え、事業の適正な運営と施設の
安全性を確保するとともに、各地に見られる
自動車ターミナル設置の機運を育成促進するための手段について定めたのが、この法律の主要な内容となっております。
第二条は、「
自動車ターミナル」と「
自動車ターミナル事業」の概念を定めたものでありまして、まず、第二項の「
自動車ターミナル」について御説明申し上げますと、「
自動車ターミナル」とは、
自動車ターミナル事業用自動車を同時に二両以上停留さぜることを目的として設置した施設であります。ここで施設と申しますのは、少くとも、バスについては
停留場所と
乗降場及び
停留所標識が、
トラックについては
停留場所と
荷扱い場が
同一者の
一体的管理のもとに運営されているものであり、
停留場所と申しますのは、いわゆる「
バース」すなわちもっぱら
事業用自動車を停留させるための矩形平面であります。同時に二両以上云々と申しますのは、現実に
事業用自動車が何台停留しているかの問題ではなく、
停留場所、すなわち「
バース」が二つ以上あるということでありまして、このような施設におきましては、
事業用自動車が三分ないし五分停車するものといたしましても、一時間に三十両ないし四十両の発着が可能でありまして、かような場所におきましては、必然的に旅客の乗りかえ、乗りつぎあるいは貨物の積みかえその他の中継が行われると考えられるのであります。また、この法律でいう
自動車ターミナルには、道路の路面等を
停留場所として使用するものは含まれないものとしております。
一般交通の用に供する場所とは、
駅前広場のごとく本来一般の
自動車または
一般公衆の通行の用に供するものとして設けられている場所でありまして、かような場所の一部を
事業用自動車の
停留場所として占用することは、安全、確実という見地からも、その本来の用途にかんがみても好ましいこととは申せないのでありまして、これを
自動車ターミナルとして、法律的に保護育成していく必要が認められないのであります。
次に、「
自動車ターミナル事業」でありますが、これは一般
自動車ターミナル、すなわち第三項において定めてあります通り、元来、他人の
自動車運送事業の用に供するために設置した
自動車ターミナルを他人の求めに応じて供用する事業でありまして、
専用自動車ターミナル、すなわち元来自分の
自動車運送事業の用に供するために設置した
自動車ターミナルの一部を他人の
自動車運送事業の用に供する行為は、
自動車ターミナル事業とはならないことといたしております。
第二章は、
自動車ターミナル事業について定めております。
第三条から第五条までは、
自動車ターミナル事業の免許に関する規定でありまして、一ターミナル・一種類・一免許を原則といたしております。
自動車ターミナルは、一度設置されますと、自然にその施設が路線網の中心になるという自然独占的性格を有するものでありますので、位置規模等を慎重に選定する必要があります。また、このように路線網の形成に対する影響力がきわめて大きいものでありますから、設置後は、運営を安定させ継続さぜる必要がありますので、事業の開始に当っては、事業者の事業継続能力等について、慎重に考慮する必要があり、これが、本法案において
自動車ターミナル事業を免許事業とした理由となっております。
第三条ただし書きにおきまして、無償の
自動車ターミナル事業は免許を受けることを必ずしも要しないことといたしておりますが、これは、
自動車運送事業者の要請等により、たまたま好意的に自己の所有地等を無償で提供する行為について、継続義務や構造設備の維持義務を課することは、あまりに過酷であると考えられますので、本法案におきましては、本人が免許を申請することによって、継続意思を明らかにした場合を除いて対象としないことといたしております。
第六条から第十条までは、免許を受けてから供用を開始するまでの関係についての規定でありまして、免許を受けた者は、相当の期間内に
自動車ターミナルの供用を開始すべきものと定め、施設の安全を確保するため、
運輸大臣の検査を受け、それに合格しなければ、供用を開始してはならないものといたしております。
第十一条から第十六条までは、
自動車ターミナルの使用関係に関する規定でありまして、第十一条第十二条と第十五条は、これを使用する
自動車運送事業者との関係に関するもの、第十三条は、一般利用者に関するもの、第十四条と第十六条は、一般利用者と
自動車運送事業者の双方に関する
自動車ターミナル事業者の義務となっております。まず、
自動車運送事業者との関係につきましては、料金等の供用条件を妥当かつ確定したものとし、他方、正当な申し込みに対する供用義務を課することにより、
自動車運送事業者の
自動車ターミナルの使用を容易にいたし、一般利用者との関係につきましては、
自動車ターミナルには、必然的に多数の人または貨物が出入することが予想されますので、これらの安全及び自由な利用を確保することといたしました。このような目的を達するため、料金、供用約款、利用規程は認可を受けることを要することとし、一方で、構造及び設備の一定基準に従った維持義務と一定基準に従った
自動車ターミナルの安全管理義務を課して、利用の
安全性を確保し、他方、第十六条におきまして、公衆の利用の自由及び確実性を担保いたしております。
第十七条から第十九条までは、
自動車ターミナルの変更に関する規定でありまして、位置、規模の変更は、免許の際の基準の変更であり、構造、設備についても同様でありますので、これらの変更については、認可を受けることを要することといたしております。特に位置と規模の変更は、
自動車ターミナルの本質的な変更でありますので、認可後変更した部分の供用開始までは、免許を新たに受けた場合と同様の取り扱いをすることといたしております。
第二十条は、輸送需要の異常な変動とか、貨幣価値の大幅な変動と申しますような事情の変更の場合について定めたものでありまして、かかる場合に対応して、
自動車ターミナル事業の改善につき必要な事項を命じ得るものとしたものであります。
第二十一条は、
自動車運送事業者が、一般
自動車ターミナルの使用をしていない場合等について定めたものでありまして、容易に利用し得る一般
自動車ターミナルがあるにもかかわらず、これを使用しないことによって路線網の形成をはばんでいる者があった場合には、本条の命令をすることによって、
自動車運送全体を正常な姿に戻すという趣旨であります。この場合、周辺と申しますのは、たとえば渋谷駅周辺と申しますように、社会通念上全体として一つのターミナルと見られている範囲を意味するものであります。本条の第二項及び第三項は、
道路運送法との関係について定めたものでありまして、第二項は、使用命令の実行に当っては、当然に路線の免許あるいは
事業計画の変更を伴うものでありますが、その手続については、
道路運送法の手続によるべきものとし、第三項において、このような申請の優先的処理について配意する旨を定めるとともに、このような事態の予測される区域について
道路運送法の免許等の処分をするに当っては、その一般
自動車ターミナルを使用する計画であるかどうかについて、十分考慮すべき旨を定めたものであります。
第二十二条から第二十四条までの規定は、事業の譲渡、休・廃止及び免許の取り消し等について定めたものでありまして、他の事業法規と軌を一にするものであります。
次に、第三章は、
専用自動車ターミナルに関するものであります。
第二十五条は、
専用自動車ターミナルの設置、使用の停止及び廃止等の届出について定めたものでありまして、
専用自動車ターミナルが、
自動車運送事業者の施設であります関係上、一般
自動車ターミナルの場合のごとく、その継続能力や
自動車運送事業者との関係について配慮する必要がありませんので、届出によって確認するにとどめました。
第二十六条と第二十七条は、
専用自動車ターミナルの
安全性の確保につき定めたものでありまして、
専用自動車ターミナルの使用を開始いたしますには、
運輸大臣の検査に合格しなければならないことといたすとともに、
専用自動車ターミナルの構造設備の維持義務や危険混雑の防止義務等を
自動車運送事業者に負わせることによりまして、
専用自動車ターミナルの安全と利用者の利便を確保することにしたのであります。
第二十八条は、
専用自動車ターミナルに関して、
道路運送法第二十条、第二十一条及び第三十三条の諸規定を適用することを定めたものでありますが、これは、
専用自動車ターミナルが
自動車運送事業者の施設でありますところから、たとえば他の
自動車運送事業者と共同使用をする場合に、その共同使用契約は、
道路運送法第二十条に規定する運輸に関する協定の一種となりますので、同条を適用し、
運輸大臣の認可を要することといたしまして、その適正な運営を確保しようという趣旨に基くものであります。
第四章は、
バスターミナルが、どうしても必要であると思われる地域であるにもかかわらず、それが設置されないという場合にとるべき特別の措置を規定しております。
第二十九条は、ハスターミナル設置に関する指示について定めたものでありまして、大都市のバスの路線が多数集中している場所におきまして、
バスターミナルがないため、
一般公衆の利便を著しく阻害し、かつバス事業の健全な発達を著しく妨げていると認められる場合には関係、ハス事業者に対し、共同して
バスターミナルを設置するために必要な措置をとるべきことを指示することができることといたしたものであります。
ここで地域と申しますのは、たとえば東京駅周辺というような地域でありまして、この場合、共同して措置をとることといたしましたのは、このような地域におきましては、
バスターミナルは、当然に単一性を保有すべきであり、またこれを使用するバス事業者も、またあらかじめ定まっている関係上、それらのものが互に協議して、最も使用しやすく、かつ、利用者公衆にとっても便利なものを設備すべきであると考えられるからであります。
このような指示をした場合におきましては、すべてのバス事業者が、お互いに十分に協議して計画を定める必要がありますが、協議がまとまらない場合が予想されますので、その場合には、
運輸大臣があっせんできることといたしました。
第三十条は、前条の規定によりまして指示を受けたバス事業者が作成すべき
バスターミナル設置計画について定めたものでありまして、その指示に基き、どのような措置をとることとなったかを明らかにいたしますためであります。
次に、第五章関係について御説明申し上げます。
第三十一条は、助成条項でございまして、
自動車ターミナルの建設または改造に当りましては、御承知の通り土地の確保及び資金の手当は、きわめて重要なことでありますので、
自動車ターミナルの整備を促進するという本法案の趣旨にもかんがみ、本規定を設けた次第でございます。
第三十二条は、付款条項でありまして、免許等の処分をいたします際には、公共の利益を確保するための必要最小限度において、条件を付し、または、これを変更できる旨を規定いたしたものでありますが、その運用に当りましては、いやしくも法の趣旨を逸脱しないよう十分留意いたす所存であります。
第三十三条は、運輸審議会への諮問事項について規定したものであります。御承知の通り、運輸省には、運輸審議会が常置されておりまして、公共の利益を確保するため、所要の事項につき、公平、かつ合理的な決定をするための
運輸大臣の諮問機関となっているのでありますが、本法案の規定中、事業の免許、使用料金の認可、事業改善の命令、事業の免許の取り消し及び
バスターミナル設置の指示の処分は、その影響するところきわめて大きく、公正に執行される必要があると考えられますので、
運輸大臣が、これらの処分を行いますときは、特に軽微なものを除いて、これを運輸審議会に諮り、その決定を尊重して行うように規定したものであります。
第三十四条は、聴聞に関する規定でありまして、
運輸大臣が、
自動車ターミナルの構造、設備の維持及び管理
義務違反に対する是正命令、公衆の利便を阻害する行為の停止命令及び
自動車運送事業者に対して、一般
自動車ターミナルの使用命令を発するときには、あらかじめ聴聞を行なって、利害関係人に意見を開陳する機会を与えることにより、処分の公正を期そうとするものであります。
第三十五条は、訴願の規定でありまして、その手続は、訴願法によるものであります。
第三十六条は、本法の執行に当りまして、関係行政機関の意見を聴取すべき事項を定めたものでありまして、事業の免許、位置または規模の変更の認可、規模等の変更にかかる事業改善命令または
バスターミナル設置の指示をするときは、それぞれ都市計画、交通管制及び地方財政との関連性にもかんがみ必要の限度において、建設大臣、関係都道府県公安
委員会または市町村長、東京都におきましては都知事の意見を徴し、これらの処分をするに当り行政の円滑を期することといたしております。
第三十七条は、
運輸大臣の職権を陸運局長に委任する規定でありまして、別途
運輸省令をもって定めることといたしております。
第三十八条は、いわゆる停車場の構内にある
自動車ターミナルについての適用除外を規定したものであります。鉄道または軌道における停車場の構内は、本来鉄道事業または軌道事業において、旅客または貨物の運送の効率を向上するために確保された場所でありまして、そこに設けられております乗降施設、積みおろし施設、荷さばき施設、その他の施設は、すべて上述の目的に合致するように作られ、かつ、運用さるべきものであります。従いまして、これら諸施設を、たまたま
自動車ターミナルとして利用いたしましても、その運営は、あくまで鉄道事業または軌道事業本来の業務の遂行という観点から律せられるべきでありまして、
自動車ターミナルをもって、
自動車路線網の中心を形成するという本法案の趣旨とは、いささか趣きを異にしているものというべきであります。
たとえば鉄道の貨物駅にある荷扱ホームに路線
トラックがじかづけできたとしましても、これは、本法案にいう
トラックターミナルとしては取り扱わないということであります。
第三十九条は、報告の徴収及び立入検査の規定でありますが、その運用に当りましては、いやしくも職権の乱用に陥ることのないよう、十分に留意いたす所存であります。
第六章は、所要の罰則について定めたものであります。
最後に付則について御説明申し上げます。
付則第一条は、施行期日を定めたものであります。
付則第二条から第五条までは、経過措置を定めたものであります。第一に、この法律が施行されるときに、
自動車ターミナル事業を経営している者は、三カ月以内にその旨を届け出れば、この法律による免許を受けたものとみなすことといたし、使用料金、供用約款、利用規程、供用義務及び保安上の管理義務に関する規定は六カ月間、構造設備の維持義務に関する規定は三年間、それぞれ適用しないことといたしました。
第二に、この法律が施行されるときに、
専用自動車ターミナルを使用している
自動車運送業者は、三カ月以内にその旨を届け出る必要がありますが、その届出をした者につきましては、利用規程及び保安上の管理義務に関する規定は六カ月間、構造設備の維持義務に関する規定は三年間、それぞれ適用しないことといたしました。
なお、これにちょっとつけ加えておきますが、なおこれらの条文の趣旨は、一般
自動車ターミナルを現に供用し、または
専用自動車ターミナルを現に使用しているという事実を、この法律による事実として承認することにありますので、第十条第一項、または第二十六条第一項本文の供用または使用の開始に当っての検査の規定は、当然に適用がありません。
付則第六条は、
運輸省設置法の一部改正に関する規定でありまして、この法律の規定に基く権限及び所掌事務を追加したものであります。
付則第七条は、土地収用法の一部改正に関する規定でありまして、
自動車ターミナル事業は、公共の利益となる事業と考えられますので、通常の手続によっては、土地を取得することができない場合でありましても、用地の確保に努める必要がありますので、その施設のための土地を収用することができることといたしました。
以上で、この
法律案の概要についての御説明を終ります。