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説明員(
山内公猷君) 鉄道の
事故につきまして御
報告申し上げます。
お手元に提出いたしてあります資料によりまして簡単に御
説明をいたしたいと思います。
初めに
国鉄関係でございますが、
昭和三十三年度
運転事故件数表というものが資料の一番初めに書いてありますが、これをごらんになっておわかりになりまするように、三十二年度の
事故の総数が一万八千百三十六件、三十三年度におきましては一万七千百二十六件で、パーセンテージにいたしまして対前年度九四%ということになっております。それぞれのこまかい
事故種別につきましては省略さしていただきますとともに、また
事故種別の
説明につきましては備考欄に書いてありますので御参照願いたいと思います。
ただこの表の中で特に御
説明を加えなければならないのは、
事故種別の中の一番最後の欄に「その他」とありまして、
昭和三十二年度が五千九百一件、
昭和三十三年度に七千百六十七件、パーセンテージにいたしまして一二二%と書いてありますが、これは備考欄の一番下の「その他」の中には三十二年度までには
事故の中に入れていませんでした地くずれによる解放
事故を計上いたしまして、地くずれ解放
事故は千三百六十一件ありますのでございます。それで三十二年度と同じような
統計の取り方をいたしますと、パーセンテージが下りまして、大体九七%、その他
事故も大体昨年並みということでございまして、国鉄におきましては、三十三年度は三十二年度に比べまして
事故が少なくなっておるということを示してあるわけでございます。
で、先ほどのお話の中にも
踏切事故というものの重大性が指摘されておりますが、それにつきましては次のページにこまかく載っております。
この
数字よりも、そこに図示をいたしておりまするので御
説明をした方が便利であると思いますのでごらん願いたいと思いますが、三十三年度におきます
踏切事故件数の全体は二千五百四十三件でございます。その中での
事故種別の内訳表というものはそこの欄にありまして、直前横断というものがほとんど大半を占めた七七・四九%でございます。その右の方に掲げておりますのは責任
事故二十三件の内訳を書いてあるわけでございます。この中には国鉄の責任において起こしました
踏切の
事故でございます。遮断機を降下しないというのが三〇・八%、以下早期開ひ━━列車がまだ
通り切らないのに上げたというのが六件、二六%、その他降下遅延、防護不良というものがございます。これが
事故原因別でございまして、
踏切事故障害物別、どういう外的なものによって
踏切事故が起ったかというものでございますが、これはその下の欄にありまするように「その他諸車」といいますのが一千六十六件、四一・九五%、約二千五百四十三件の
事故の四割二分がこの
事故でございます。これは御承知のように、この右に書いてありますオートバイ、
スクーター、バイクモーターというようなもの、あるいは自転車というような交通機関として非常に多いものでございますから、
踏切事故も多いということを示しておるわけでございます。
その次のページに参りまして、この上から二つがただいまの図示によりまして御
説明したものと大体同じようなものであります。
踏切事故によりまして、一体それでは年間どれくらいの損害額が起っておるかというものをそこに床しておるのでございまして、部内の損害が一億一千七百万円、部外の損害が三億四百万円、合計いたしまして四億二千一百万円というものが
踏切事故におきましてその富がなくなっておるということを示しておるわけでございます。
最後のページは、最近
昭和三十三年度六月以降の
重大事故の一覧表をそこに列挙いたしております。
次に民鉄関係の
事故でございますが、国鉄と同様、同じような式によりましてとりましてお手元に差し上げております。これによりますと、
事故の総数が三十三年度におきまして一万八千七百九件、三十二年度に比べまして一〇六%、私鉄の関係におきましては対前年度比六%ふえておるということになっております。同じく
踏切事故の内容というものもそこに示しておりますが、大体
傾向は国鉄と同じような
傾向をたどっておるということがこの表をごらんになっておわかりになると存じます。
そのほか
踏切警手の責任と、先ほど国鉄のところで出ておりました鉄道側の責任、あるいは通行者の不
注意というものを含めまして
事故の
原因別の
件数表をそこに書いてあります。それからまた障害物別
件数表というものもそこに書いてあるわけでございます。
最後のページは国鉄と同じように、最近におきます地方鉄道・軌道の
重大事故というものを一件ごとに拾い出しまして概況の御
説明を申し上げてあるわけでございます。
概して申し上げまして、鉄道
事故はそうふえていないということは言えるわけでございますが、この中でも、先ほど御指摘になりましたように
踏切事故というものが決して減らない、ふえている
傾向にありますために、また
踏切の
事故というものが単なるほかの
事故と違いまして、重大な
死傷を起こす場合が多いものでございますので、この
防止措置につきまして、われわれもいろいろ
検討いたしております。そのためにはまず
踏切の
状態を十分把握いたしますとともに、さらに進んで、その
事故を一体どうしてなくすかというところにまで進まなければならないわけでございますが、国鉄、私鉄関係、毎年各社調べておりますが、本年度は
一つ大々的に
調査をしてみようということで、
一つ一つの
踏切のいわゆるいろいろな交通情勢というものの
調査をすべく現在準備を進めております。それとともに
踏切の
事故を絶対になくすということのためには、何といいましても
立体交差ということが非常に重大でございますが、これまた非常に問題が複雑でございます。そのためには、われわれといたしましては、何らかの立法
措置が必要ではないかということで、現在立法の段階においても
検討いたしておりますが、まあ問題はその経費がどう分担されるかということが、現在まだ各省間で意見の一致を見ていないわけでございまして、まあこれを大別して申し上げますと、全然鉄道も
道路もないところへ鉄道が敷かれ
道路が敷かれるという場合には、受益者の割合において負担すればいいということはいろいろ考えられるわけでございます。また現在
道路があり、あるいは鉄道があるところへ新しく鉄道なり
道路なりが敷かれた場合には受益者が負担をするということで、新しく敷くところが経費を起こすということも理論上そう議論のないところでございますが、現在
平面交差をしておるところを立体にするという場合に、その費用の負担をどうすべきかということが、
道路関係と鉄道関係でなかなか意見の一致を見ないわけでございまして、この点何らか早く各省との意見の調整をして立法いたしたいということで、現在努力をいたしております。まあ長年の間各省等で
連絡しておりますが、問題はどこにあるかと申しますと、国鉄と
道路関係というところではほとんど今までも協定ができておりましてやっております。これはそう問題はないわけでございますが、私鉄となりますと、非常に大きい私鉄から、もう現在補助金をもらってもやれないというような私鉄と、企業
形態がまちまちでございます。一律に鉄道側が何割持つということの決定がなかなかむずかしいわけでございます。また必要を認めていても、現在赤字で困っているのが、ただ鉄道を上げるといいましても、その
個所だけ上げるわけではないのでございます。全体的にその部分につきまして高架になるというような点があり、それによって利益するところは
踏切警手の費用、
踏切遮断機、その他の保安
施設の維持費ということでございますので、果して私鉄の経済がそれにたえられるかどうか。そうすることによって
会社をやめなければならないというような問題等もございまして、それらを一体どう具体的の問題において十分妥当な結論が出し得るかということの折衝を始めているわけでございます。その折衝が終りませんとはっきりしたことを申し上げられませんが、私といたしましては、できるだけ次の通常国会にはそういう法案の立案をいたしたいというふうに現在努力をいたしておるわけでございます。
非常に簡単に申し上げましたのでございますが、大要この資料の御
説明はそのようなわけで終らしていただきます。