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国務大臣(
永野護君) 実は、こういう一般
大衆の方々にわかりやすい事例をもって御
説明申し上げなければならぬと思うのでありますが、私どもがこつこつと研究いたしました結果を、こういうふうに法案にまとめて出しますときに、言葉が非常に下世話になりますけれども、百日の説法へ
一つのようになるのは、これは
数字は何も見ないで一般
大衆は論議するのですけれども、一番言いたいのは、今市川先生がおっしゃった、
私鉄は苦しい苦しいと言っていて、何千万円もの給料を野球選手に支払って養っているじゃないか、これはこまかい
数字に入るこんな
説明書を出しても、この一言で粉砕されてしまうのであります。
大衆に与える
影響、この
説明は実に苦しいのでありまして、先生から一言、ああいうボーナスを払っているのに苦しいとは何事だと、一言をおっしゃられると、その
説明は、膨大な
資料を提供して、それの
説明をしなければならぬようなところに追い込まれるのでありますが、この点われわれ決して
考えないわけではありません。ある意味から申しますると、そういうことをいろいろやっておったお陰で、とにもかくにも今までの料金でやっていけたのだ。一口に申しますると、大福帳、
資金繰り方法から申しますると、
私鉄はやっていけるのであります。つまり入ってくる
運賃で労務者の給料その他のものを払うことができるのであります。大福帳内の現金出納帳からいったらできるのであります。従いまして、それはきょうあすを争うものではない。やっていけるのであります。けれども、それを正確ないわゆる簿記的観点から見ますると、ごく端的に申しますると、保守費を食っているのであります。なすべき保守を怠って、給料その他のものを払っておるのであります。従いまして、その結果が現われるときは、どっとくるわけであります。そのときそのときのつなぎはとれていくのであります。それで、今申しましたような遊園地でありますとかその他は、この
運賃だけでいったら赤字になるのを、そしてもっと早く
値上げの問題が起るのを、とにかく今日までつないできたのは、
関連産業をすることによりまして、とにかく今日まで
運賃値上げの問題を引っ張ってき得た
一つの
理由だと申しても過言ではないのであります。
これは
数字につきまして詳しく御
説明申し上げますと、一般
大衆が、今市川先生がおっしゃるような疑問を持っておりますことは、私ども家庭で娘や家内がそういう
質問をするのであります。
一体おかしいじゃないか。
私鉄が苦しいといって、ああいう膨大なる映画館を作ったり、遊園地を作ったりする。そんな金があるのならというのが、ちょうど個人の計算でいいますと、ああいう何かぜいたくなことをやるのはみんな余った金でやるものですから、あれだけの設備をするくらいならば金が余っておるのであろうというふうに一般
大衆は
考えます。無理がないと思いますけれども、あれは決して余ったんじゃなくて、それに見合う借金がふえているのであります。
会社の財産は
一つもふえているのではないのであります。
会社の財産がふえているのではないのでありますけれども、収入はふえるのであります。それによって、もっと早く
値上げの問題はやらなければならぬのを、ここまで引っ張ってき得たあれが材料になっておるのであります。それがどういうふうな
数字上の
経過をとっておるかということを申しますことは、これは
岩間委員が要求されましたように、それを
数字で御
説明申し上げますと納得がいく、われわれはそれを
検討して、これは
値上げしなければならぬといったのでありますから、そういうことに関心を持たないでやっておったわけではございません。
ただ、理論といたしましては、
一体こういう
大衆の最も切実な
生活と結びつく仕事を、資本主義
経営の営利
会社でやるのがいいかどうかという問題は、今の問題を離れて、私は
議論の余地があると思います。ことに相当高率の配当をしているではないかという御非難は、これはごもっともだと思います。でありますから、
議論としては、今、
岩間委員の言われるようなことも十分
考えなければならぬと思います。しかし、今いわゆる資本主義
経済でこの
私鉄を
経営しておりますこれを認める以上は、どうも今われわれが提案しておりますような
運賃の
値上げは認めなければならぬというところまでまっしぐらにその終点に達するのであります。けれども、別のレールのあることは私ども認めておるのであります。そうして、どちらがいいかということは、ゆっくり
検討すべき問題だ、
検討する値打ちのある問題だとは思いますけれども、今日、今の機構で
運営している以上は、われわれの処置をお認めいただく以外に方法はない、こう
考えておるのであります。
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