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1959-02-27 第31回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年二月二十七日(金曜日)     午前十時四十二分開議  出席分科員    主査 早稻田柳右エ門君       岡本  茂君    上林山榮吉君       田村  元君    西村 直己君       井手 以誠君    栗原 俊夫君       兒玉 末男君    島上善五郎君       楯 兼次郎君    塚本 三郎君    兼務       山本勝市君  出席国務大臣         建 設 大 臣 遠藤 三郎君  出席政府委員         総理府事務官         (自治庁財務局         長)      奧野 誠亮君         厚生政務次官  池田 清志君         農林政務次官  石坂  繁君         農林事務官         (振興局長)  増田  盛君         建設政務次官  徳安 實藏君         建設事務官         (大臣官房長) 鬼丸 勝之君         建設事務官         (大臣官房会計         課長)     南部 哲也君         建設事務官         (計画局長)  美馬 郁夫君         建 設 技 官         (河川局長)  山本 三郎君         建 設 技 官         (道路局長)  佐藤 寛政君         建設事務官         (道路局次長) 關盛 吉雄君         建 設 技 官         (住宅局長)  稗田  治君         建 設 技 官         (営繕局長)  櫻井 良雄君  分科員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   松永  勇君         大蔵事務官         (管財局総務課         長)      谷川  宏君         厚生事務官         (社会局保護課         長)      大崎  康君         厚生事務官         (社会局生活課         長)      中村 一成君     ————————————— 二月二十七日  分科員小松幹君及び島上善五郎委員辞任につ  き、その補欠として栗原俊夫君及び兒玉末男君  が委員長指名分科員に選任された。 同日  分科員栗原俊夫君及び兒玉末男委員辞任につ  き、その補欠として塚本三郎君及び島上善五郎  君が委員長指名分科員に選任された。 同日  分科員塚本三郎委員辞任につき、その補欠と  して小松幹君が委員長指名分科員に選任さ  れた。 同日  第一分科員山本勝市君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十四年度一般会計予算建設省所管  昭和三十四年度特別会計予算建設省所管      ————◇—————
  2. 早稻田柳右エ門

    早稻田主査 これより会議を開きます。  本日は予算委員会第四分科会のうち、昭和三十四年度一般会計、同じく特別予算会計中、建設省所管について質疑を行います質疑の通告がありますので、順次これを許します。栗原俊夫君。
  3. 栗原俊夫

    栗原分科員 私は建設省所管関係の中で、全国各地に順次作られていく多目的ダム関係について二、三お尋ねいたしたいと思います。特に今回の予算の中で、群馬県に関係のある下久保ダムというのがありますが、聞くところによると総工費は百五十数億かかる、今回は四千数百万円の予算を計上して、まず調査ということだそうでございますが、この調査は今後確実に実施するという立場に立って御調査なさるのか、調査の結果によって実施することをきめようとしておるのか、その辺を一つ明らかにしてもらいたいと思います。
  4. 山本三郎

    山本(三)政府委員 お答えいたします。下久保ダムにつきましては、御承知のように現在までにおきまして予備調査段階を終りまして、来年度におきましては実施調査費というのを組んだわけでございます。従いまして従来の予備調査段階よりも実施に近くなって参ったわけでございまして、事業をやる目途のもとに調査をなすということでございます。
  5. 栗原俊夫

    栗原分科員 実施調査ということが明らかになりましたので、それではお尋ねいたしますが、聞くところによるとこれも非常に大きなダムで、ただ単に耕地山林等が水没するばかりでなくて、人家が大へん水没すると聞いておるのですが、人家はどのくらい水没する見通しなのですか、明らかにしてもらいたいと思います。
  6. 山本三郎

    山本(三)政府委員 これにつきましても実施調査の結果、確かにこれだけの高さのダムを作ることが決定いたしませんと、はっきりした戸数等はわからないわけでございますが、現在のところ約二百戸余りというふうに見当をつけております。
  7. 栗原俊夫

    栗原分科員 従来もこうしたダムは単に多目的ダムといわず、たとえば小河内とかいろいろ大きなところもあってこれらの人たち補償生活の安定ということについていろいろ問題が起ってきておるわけですが、今回のこの下久保ダムの二日戸の人たち生活の安定、移転後の問題等については、基本的にどのような考え方を持っておられるか、これは一つ大臣からお答え願いたい、かように考えます。
  8. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 ダム建設に際して、関係住民方々生活に非常に大きな影響を及ぼして参りますので、こういう問題については建設省としましては大きな方針として、できる限り無理のない価格で用地買収をするということと同時に、土地を失った人たちに対してはかえ地その他、単なる補償にとどまらないで、かえ地その他のあっせん等できる限りの援助をしていく、そういう基本方針でやっております。
  9. 栗原俊夫

    栗原分科員 大きな公共のための事業でありますから、もちろん地元方方のある程度意思に反した方向をとらなければならぬことは了解できるのですが、だからといって、その人たちを殺してしまってはならぬことはわかり切ったことであります。用地買収ばかりでなくて、かえ地でいく、こういうことでありますが、二戸や二戸あるいは十戸程度のものならばかえ地等で可能でありましょうけれども、二百戸からの農業者をかえ地でめんどうを見るということは、口では言われても、実際問題として果してどのようにやるのか、たとえばこういうようにしてというような案がありましたら、一つたとえ話でもけっこうですから話してもらいたい。北海道の果てへ行けとかあるいは海外へ移住しろとか、そういうことではなしに、今少しく地元人たち生活感情というものと一応何とかマッチできるというような、具体的なたとえ話でけっこうでございます。一つお話しを願いたいと存じます。
  10. 山本三郎

    山本(三)政府委員 従来のダムにおきましても、いろいろそういう点を考えておりましたが、人家の埋没する方方の中にはたんぼだけでなくて山林等をあわせて持っておりまして、あるいは炭等を焼いておられる方もおる、そういう方々地元を離れないことを望むわけでございます。そういう方々は多少の土地を開墾できれば、その土地に住んでいたいというような方々でございます。そういう方につきましては、できるだけその地方で国有林等もありますれば、それらの払い下げをやってもらうというような方法をとりまして、地元にいてもらうというような方策をとります。それからまた百姓はこの際やめても都会へ出たいというような方も中にはおられる、そういう方々は金をもらえば職業を転換しようというような方もございます。残りますのは、やはり従来通りたんぼを作って生活したいという方でございまして、そういう方々に対しましては、あるいは新しい干拓地であるとか、開墾地の方を農林省あたりと連絡しまして、そういうものに集団的に移ってもらうというような方策もとっております。それからまたその付近川等におきまして、土地が生み出されるようなところがありますと、それをたんぼや畑にできるような方策をとりまして、そこで生活していただくというような方策もとっております。それらを相互勘案いたしまして御希望に沿いつつ方策考えるというようなことをやろうと考えております。
  11. 栗原俊夫

    栗原分科員 もちろんこれだけの大事業をするのですから、かたい決意のもとに出発なさることは間違いないのですが、やはりこういう仕事をするときの問題は、そこに関連しておる土地所有者、さらには住宅が水没するという人たち生活の保障の問題、この問題が解決しないと計画的にも大きなそごが来たされると思うのです。しかも莫大な国費を投じていくのですから、具体的にこういうことで期間が延びていくということは、その間資本をむだに寝かしておるというようなことにもなろうかと思うので、地元人たちを納得させねばなりません。そこで私がお尋ねしたいことは、そういういろいろな方途を講ずる。一方当局とすればこれで十分だと思われてもなかなか新しい方向へ進んでいくのでありますから、地元人たちは将来の問題ということで不安感を持つ。そこで土地の問題あるいは住居の問題、今いろいろな方途考えられましたけれども、それでもなおかつ納得せぬという考え方には、納得させるというお心持でございましょうが、地元人たちをこれなら納得せしめ得る、こういう具体的な構想をすでにお持ちでございましょうか。
  12. 山本三郎

    山本(三)政府委員 その下久保ダムにつきまして人家二百戸余りつきますが、その方々をどうしようという具体的の方策はまだ考えておりません。ただその実施計画の間におきまして、何戸かかりまして、その中の御希望がどの程度にどういうことを希望しておられるかというようなことも、その期間にいろいろ調査いたしまして、それを根拠にいたしまして方策考えるということでございます。従来のダムにおきましては実施計画という段階を置かなかった。置かなくて、いきなり事業に着手したようなことが多かったのであります。そのために地元との話し合いも突然でございますのでなかなかうまくいかなかったけれども、最近におきましては実施調査という期間を置きますから、その間にかかる人家方々意思も大体見当をつけまして、それによりまして県やあるいは地元当局者とよく連絡をいたしまして考えていくということでございます。また下久保ダムにつきましては具体的にどうしようということは考えておりませんが、その期間におきましてそれを考えていきたいというふうに考えております。
  13. 栗原俊夫

    栗原分科員 そこで私はこれから先がぜひ当局のお考えを伺いたいと思うのですが、率直にいって地元人たちは、これを機会に四散分散するという気持がなかなか持ち切れないわけなんです。まあダムのできることはやむを得ない。しかしなるべく同じ環境のもとに住んでいきたいという生活感情を持っておるわけなんです。かえ地を与えるといいましても、二百戸という大きなものを営農の姿で集団的に移す場所はもうおそらく内地にはありますまい。そこで私は一つ考え方として、住居も与えてやらなければなるまいし、土地補償として農民に金を与えるだけではとても生活していけません。やはり働く場所を与えなければならぬ。こういうことで、でき得れば集団して住まえるようなアパート式なものを作る。そしてかえ地のかわり農民がやってもできるような、仕事のできる工場等のようなものを作って仕事を与えていく、こういうような方策考えられぬものだろうか、どうだろうか。もちろんああした奥地のことでございますから、そこに工場を作って、そして工場を続けていくという姿の上に立っては、一般営業企業としては工合が悪いかもしれませんが、適当なところへかえ地のかわりにそうした工場を作る。こういうような姿の中で、そこを立ちのいたあとの生活の安定の道を与える、こういうような考え方は持てぬかどうか。これについて御意見を伺っておきたいと思うのです。
  14. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 ダム建設につきまして私はこういう考え方を持っておるのでございます。広く公共のためにダム建設をやるのでありますから、そのために犠牲になるものは、個人々々から見ますと非常に耐えがたいものがあります。しかし公共のために一つ犠牲になろうという考えでありますから、これもでき得る限りそういう気持にこたえるような姿勢で政府としてはいかなければならぬ、こういう基本的な考え方を持っておるわけであります。そこで工場の問題が今提示されましたが、もちろん工場立地条件が許しますならば、工場誘致通産大臣等と打ち合せましてやることが当然だと思うのであります。ただその場所工場に許されるかどうかという問題が、もちろん先決問題だと思います。そういう問題をもくるめて、実施調査期間に広範な視野に立って調査していきたい、こう思います。
  15. 栗原俊夫

    栗原分科員 ただいま大臣からもお話がありました通り、よく大の虫を住かすためには小の虫は犠牲になれということがかっては考えられたのですが、それではやはりいかぬと思うのです。公共事業で多くの人たちのためになる仕事であるから、具体的に住居を移転するとか、今まで作りなれた耕地を離れるという事実はあっても、経済的にはその人たちのおかげでプラス・アルフアになるという道を出してやってもらわないと、犠牲にしてしまったのではいかぬと思うそういう方針でやっていただくことはまことにけっこうですが、今私の申し上げたのは、必ずしもその現場でなくても、やはり親戚、友人など、今までの生活環境というものはその地域の人たちの中で行われてきた。これがごっそりとよそに飛ぶ。あるいはかえ地を求める。内地ならばあるいは岩手の山奥とか、さらに同じ内地であっても、北海道に集団で行けといっても、理屈の上では成り立っても、実際問題としてはそれは容易ではないと思う。従ってその付近にかえ地のつもりで段取りをつけられれば工場も建てられるでしょうし、工場を建てて仕事を持ってくるという段取りをすれば、あらためてそこに工場を建ててくることはできない事業であっても、工場めんどうまで見てやって仕事にこいということになれば、これはある程度可能ではないか。私は詳しくそういうことはわかりませんが、甘い考え方で、とにかく立ちのいた人たちに働けば食えるのだという段取りだけは与えてやってもらわぬと、銭さえ渡せばこれでもって十分仕事が済んだのだという考え方ではいかぬので、すでに今日までもそうした姿で金を渡された人たちが、数年後にはどうにもならぬという状況になっておるのが所々に見渡されるわけです。従ってそういうあり方ではなかなか地元人たちもこれでいいという姿は出てこない。そういう形で地元でがんばり出されると、いい仕事なんだからといっても、具体的にはなかなか収用法でやるといっても、そうなれば一方もがんばる。こういうことで芳ばしくない事情も出ようと思いますので、一つそのようなことも十分考慮に入れて、希望があればそういう面もやるということもあわせて地元民の説得といいますか、納得の持てる方途を講じていただき い、こんな工合考えるわけです。   それからこれと関連いたしましていま一つだけ聞いておきたいことは、矢木沢ダムができて東京都の水の問題があるわけですが、かつて群馬低落差の発電という問題が起りまして、その導水路開渠で持っていくのはむずかしいから暗渠で持っていく、こういう問題が起ったときに、暗渠で大きなパイプを通すことは地下水を切断する、こういうことで、地下水の流れのパイプの上には地下に水たまりができ、その下流は断水というような姿になって、姿は少しも変らぬけれども、耕作の力、こうした問題に重大な変化を及ぼすのではないかというような議論が多分にされたのですが、今回は矢木沢ダムから持ってくる水は少くて、下久保ダムからよけい運ぶらしいですが、こういうものを送る場面においてそうした問題等はどのようなお考えを持っておるか、それについての御見解を一つ承わりたい。
  16. 山本三郎

    山本(三)政府委員 ダム実施調査あるいは事業等建設省が担当いたしますけれども、水路の問題につきましては東京都が今自分で作って水を持っていくという建前で考えておりますので、具体的には東京都の方で立案いたしまして、あるいは県なり地元なりととっくりと相談いたすわけでございます。従いましてまだどこを通るとか、どういう構造であるとかいうことは、今研究中でありまして、今先生のおっしゃるようなことも考えられるわけでございますので、私どもも十分気をつけまして、東京都の計画にはそういう点を注意いたしましてやらしていきたい、そういうふうに考えております。
  17. 栗原俊夫

    栗原分科員 それではきわめて簡単な質問でありますけれども、二百戸といえば数が少いといえば少いが、二百戸の世帯生活根拠が全然水底に没する、こういうことでございますので、この人たちが生きていけるために、単に下久保ダムといわず、ほかのダムにもこういう問題も起ろうと思いますが、小の虫を殺すという観念でなくて、たまたまその場面にぶつかった人たちもよくなるのだという方向で、あらゆる角度から御配慮願って、そうして仕事を執行していただくように特に希望いたしまして、私の質問を終ります。
  18. 早稻田柳右エ門

  19. 島上善五郎

    島上分科員 政府住宅政策について多少お伺いしたいのですが、岸内閣も前内閣に引き続いて住宅政策重要政策一つとして推進しておりますことは、それ自体に対しては私どもけっこうだと思います。ただこの住宅政策ほんとうに地についた、ほんとう住宅に困っておる人々対象としてやっているかどうか、そういう効果を上げているかどうかということになると、はなはだ疑わざるを得ない点があるのです。たとえば本年の住宅建設の内訳を見ますると、公営住宅が四万九千、公庫住宅が十万二千、公団が三万、厚生年金融資三万、そのほか自力建設ということでございます。ですから政府が直接、間接やります住宅建設合計二十一万一千戸であります。これで五カ年計画住宅を安定した状態にしよう、こういうお考えのようですが、これは直接大臣でなくてよろしいのですが、一体現在の住宅不足をどの程度に見ておるか。どういうふうに調査されて、現在の住宅不足が何十万戸であるかということと、それから年々老朽、腐敗してだめになっていく、住宅、火災その他でもって損耗する住宅というものをどういうふうに見ているか。その数字基礎をまず最初にお伺いしたいと思います。
  20. 稗田治

    稗田政府委員 お答え申し上げます。住宅の現在の不足戸数でございますが、これは昭和三十年の八月に住宅事情調査いたしまして、その後の建設、消耗したもの、あるいは年間の新しい需要というものを差し引きまして、三十三年の四月現在で推定しておりますのが二百八万程度であります。それから年間にどのくらい災害等で滅失していくかということでございますが、そういう老朽あるいは災害による滅失も、また新しい世帯増によって新規需要がふえていくわけでありますが、そういう新規需要を合せまして年間二十万戸程度に推定をしておるわけであります。
  21. 島上善五郎

    島上分科員 政府昭和三十二年度以降おおむね五カ年間昭和三十六年度をもって安定させる方針である。これは既定方針ですね。今きわめて大まかな数字をあげられましたが、それを見ただけでも、昭和三十一年度から五カ年間で安定させる方針は、実際上戸数をふやすか、年数をふやすか、検討しなければならぬということになろうと思いますが、いかがでしょう。
  22. 稗田治

    稗田政府委員 お答え申し上げます。住宅不足事情は先ほど申し上げた通りでございますが、三十二年度におきましては政府計画住宅が十九万九千戸、それに民間自力建設約三十万戸、合せまして五十万戸を計画したわけでございます。自後国民経済の伸びに応じて住宅建設を増加させていくというので、おおむね五カ年間住宅事情を安定させよう、そういう目途に従いまして、現在三十四年度以後の住宅建設につきましてもその方針で進んでおるわけでございますが、三十三年度の政府計画住宅は三十二年度と同様十九万九千戸でございましたけれども、民間自力建設が約三十二万戸、合せまして五十二万戸を見込んでおるわけでございます。三十四年度は御承知のように政府計画住宅が二十一万一千戸に増加いたしまして、なお三十五万程度民間自力建設が予想されますので、約五十六万戸の建設考えられるわけでございます。従いまして、この計画通り住宅建設が進んで参りますと、三十五年四月一日現在では住宅不足は、新規需要を差し引きまして約百四十五万戸と推定されるわけでございます。他方三十五年、三十六年の両年度におきましても、現在の建設の推移から推定いたしますと六十万戸程度建設考えられるわけでございます。それで差引しまして若干の不足戸数は残りますし、なお新しい需要等もございますので、ぴたり不足戸数が解消するということは言えないにしましても、大体五カ年計画で達成すると予想できるのではないかというように考えておるわけでございます。なお、昨年住宅事情調査総理府の統計の方でしておるわけでございますが、これらの集計が本年の六、七月ごろになりますと詳細にできて参るわけでございます。先ほど申しましたように三十二年度を起点とする五カ年計画におきましても、基礎調査は三十年八月の調査に基いておりますので、最近の現在集計しております合計が出て参りますれば、それによって多少の検討はしなければならぬのじゃないかというように考えておるわけでございます。
  23. 島上善五郎

    島上分科員 私は多少の検討どころではなく、大いに検討してもらわなければならぬ実態であろうと思うのです。特に問題はほんとう住宅に困っている人に住宅を提供するというところに重点がなければならぬと思うのです。自力建設する人々、あるいは金融公庫から金を借りてやる人々、これらの人々は、まあ言うならばほんとうに困っている人であるかどうかということになると、私はそれ以下の人でほんとうに困っている人があると思う。所得の面から見ますならば月収二万円以下、一万五千円前後の人、そいう層がほんとう住宅に困っているのではないか。私は今ここにこまかい数字を持っているわけではありませんけれども、少くとも都会地における状況を見ますれば、月額一万五千円から二万円どまりくらいの所得の層の人が一番住宅に困っているのではないか、こう考えるのですが、その点についてはどういうお考えをお持ちですか。
  24. 稗田治

    稗田政府委員 お答え申し上げます。政府住宅施策におきましては、一応自力住宅を得られない方々、そういう世帯対象にしてやっているわけでございます。現在政府がやっている施策としましては、持家住宅建設を促進する、なお現在民間借家が大量に不足しておりますので、賃貸住宅及び給与住宅供給するということに重点を置いているわけでありますが、政府施策におきまして大体行われておりますのは、持家政策が五割、賃貸及び給与住宅が五割という比率になっているわけでございます。そこでこの公営住宅であるとかあるいは金融公庫による賃貸住宅であるとか、公団住宅——賃貸住宅供給におきまして、高家賃の民間借家に入居できない住宅困窮者に対しまして、その収入階層に応じた供給をはかるということで戸数計画を建てているわけでございます。ことにお説のような低額所得者のうちでも、さらに所得の低い世帯に対しましては、特に重点的に戸数を増加しなければならないということでございますから、現在三十四年度の予算におきましても、公営住宅で一万六千円以下の収入の方が入居される第二種公営住宅を千百戸ふやしてあるわけでございます。千百戸ふやしまして、二万八千百戸第二種公営住宅建設するわけでございますが、この第二種公営住宅政府供給しております賃貸住宅に対する比率と申しますのは、約三八%に当っているわけでございます。三十年の八月による住宅困窮世帯所得階層分布比率から見ますと、この三八%という戸数計画は非常に厚くなっているわけでございます。三十年から今日まで建設して参りました第二種住宅は、大体今日までの建設戸数政府施策賃貸住宅に占める割合は三〇%でございますが、本年度はさらに比率を引き上げまして三八%という戸数計画にしているわけでございます。なお住宅金融公庫の融資による協会住宅賃貸住宅であるとか、そういうものにおきましても、三十四年度におきましては特に家賃を低くするような構造のものを考えているわけでございます。
  25. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 今住宅政策の基本問題についてのお尋ねがありました。ただいま住宅局長から答弁がありましたが、問題はどの層に最も重点を置くべきかという問題だと思うのです。なるほど昭和三十年の調査に基きまして数字は出しております。所得階層別の要求というものをはっきりつかんで、それに応ずるように公団住宅公庫住宅公営住宅、こういうふうに一応理論的にやっているわけでございます。必要の戸数に応じてその住宅供給する、しかも今度はその比率から言って、非常に大きく低家賃住宅をした、こう言って住宅局長は答弁しておったのですけれども、こういう平面的な調査に基いた住宅建設方針というものは、一応理屈は合っておるけれども、実情に合わないのじゃないかということで、三十年の調査から相当期間もたっておりますし、住宅政策重点を向けるところをもう少し変えなければいかぬのじゃないかということを私は考えておったわけであります。数字はなるほど同じ数字でありましても、必要の程度、すなわち質的な検討をもう少し角度を変えて見なくちゃいかぬのではないかということを、私自身非常に強調いたしまして、特に二万円以下、一万五千円から二万円程度の低俸給生活者の住宅、これはほかに何も手がないのですから、それを十分に供給するように、調査数字からは出てきませんけれども、そこへニュアンスをはっきり出そうということで、今度の予算計画の際には、そういうことを強調してやって参りました。やって参りましたが結果は、今住宅局長が説明しましたように、二万八千戸作るようになって、千百戸も今までよりも外くなったという説明がありまして、これは一応政府としてはそう説明をしなければならぬと思うのですけれども、これでは実際私はまだ足りないと思います。従って今年の十月にセンサスがありますから、そのセンサスを基礎にしまして、そうしてもっと質的な検討をして、住宅政策というものは三十五年度、三十六年度、あと二カ年間、五カ年計画も残っておるのでありますが、その際には、もう少しはっきりしたニュアンスを出していく必要がある。そういう意味で、住宅政策の質的な検討をすべきである、こういうふうに私は考えております。
  26. 島上善五郎

    島上分科員 大臣から非常にいい御答弁をいただきまして、実は私もそれを強調したいのです。ほんとうに困っておるのは、やはり二万円以下の人ですよ。まあもう少し、二万五千円と言ってもいいのです。けれども、幅を広げましても、月収二万五千円以下の人が一番困っておる。ところが、この一番困っておる人を対象にしていないわけではないけれども必ずしも重点を置いていないということは言い得るのです。全体で二十一万一千戸のうちで、公営住宅の第一種と第二種が四万九千戸である。金融公庫のは別として、公団住宅は三万戸ですが、公団住宅の家賃はこのごろだんだん高くなってきておる。最初は入居資格基準が二万五千円であったのが三万円になり、三万二千円になり、このごろは三万五千円だ。さらに四万円にも近くなるのじゃないか、こういう状況なんです。三万五千円以上ということになれば、これは勤労者のうちでもわずかの上層の部分です。私は公団住宅がどんどんできるということは賛成です。マッチ箱のような、すぐ燃えてしまうような住宅よりも、ああいう恒久性のある不燃住宅ができるということは賛成ですけれども、入居資格の基準が三万五千、四万ということでは、これは勤労者重点の政策だということは言えない。特にこの点については検討を要する点があるのじゃないか。住宅公団が最初発足する当時は、そのはずではなかったと思う。大体家賃についても四千円どまりを考えておったはずです。これは日本住宅公団法を作ります際の大臣の説明やお答えの中にも、はっきり出ておる。それが出発当時に比べて物価が倍になったとか、貨幣価値が大へん変ったという経済の急変した事情があるならば、やむを得ないということも言えるのでしょうが、経済の事情がそんなに変っているわけではない。物価は多少上ってきており、収入も多少上ってきてはおりますけれども、四千円と考えた家賃が七千円にあるいは七千五百円にしなければならぬような経済の急変はない。この住宅公団の家賃の急増、入居基準が非常に上ってきているというこの事実に対しては、私は少くとも日本住宅公団の出発の当時の趣旨からしましてここで検討しなければ、本来の趣旨からだんだん年がたつに従ってずれていく、こういうことになると思うのですが、この点今の大臣のお答えからしましてどういうふうにお考えでしょうか。
  27. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 それは私は全く同感であります。そういうことを考えまして、そうしてほんとうに困っておる人たち住宅を与えるという、かゆいところへ手が届くような住宅政策というものをやらなければならぬということで、就任早々から私はその点を強調して参ったのでありますけれども、一挙に大きな転換はなかなか困難であります。私は相当はっきり今回の予算でも、低家賃住宅の方へ指向するというニュアンスは出したつもりでありますけれども、私自身まだまだこれは満足ではありません。しかしこれはどうしてもおっしゃるような方向へ持っていかなくちゃならぬと思います。従いまして、もう少し基本的な資料を整えて、そうして三十五年度の予算の編成までにははっきりしたものを出していくことがよろしいであろう、これはもう当然そういう方向へいくべきであるということを私は固く信じて、閣内においても党内においてもそういうことを強調しているわけであります。しかし残念なことには、一挙に三十四年度には転換ができなかったということを私は率直に認めておきたいと思います。
  28. 島上善五郎

    島上分科員 大臣の御答弁は率直でけっこうですが、一体住宅公団の家賃がこういうふうに急速に高くなってきております原因がどこにあるかということをもちろん御検討になってると思いますけれども、その原因はどこにあるというふうにお考えですか。
  29. 稗田治

    稗田政府委員 住宅公団の家賃が漸次高くなってきました原因としましては、まず質的な変化もあるわけでございます。三十年、三十一年は住宅公団賃貸住宅の平均の坪数は十三坪であったわけでございます。三十三年度から坪数の引き上げがありまして、十四坪となっておるわけでございます。これはもちろんその家賃そのものが上るわけでございますけれども、やはり都市に賃貸住宅供給していく場合に、将来の住宅規模の均衡ということも考えなければならないという点もございまして、そういうような質的な向上もはかったわけでございます。なおその後におきまして、逐次家賃が上って参っておりますのは、御承知のように、宅地の需給状況でございますが、東京近辺等におきましては宅地が年々高騰しておるわけでございます。なお取得する地価そのものが高くなっていくばかりでなして、これにだんだんと都市施設を直接利用できないような場所が残っていくわけでございます。従いましてこれに上下水道あるいは道路、そういうような施設をしますので、実際の住宅用地として完成するまでにかなり金がかかるような土地しか残ってこなくなった。そういうような用地関係の費用が増しておるということがおもなる原因でございます。
  30. 島上善五郎

    島上分科員 原因はいろいろありましょうけれども、私の見るところでは、やはり宅地が急に高くなっておるということ、これがその最もおもな原因ではないかと思います。宅地がべらぼうに高くなってきておる。そこでこれは公団住宅ばかりではなしに、民間住宅家賃が高くなるのも、民間自力建設がなかなか困難になるのも、宅地のところに問題が非常に多いと思うのです。住宅政策ほんとうに推進する際には、この宅地問題を度外視してはできないと思うのです。そこで私は大臣にお伺いしますが、今後住宅政策をあなたがおっしゃるように進めていくためには、宅地に対してどういうお考えを持っておるか、宅地政策というものを政府がお持ちかどうか、今のように野放しの状態にしておきますれば上る一方です。そして宅地が高いものですから、どんどん遠いところへ延びていく、遠いところへ延びていく結果、今言った付属施設と申しますか、そういう施設にもよけい金がかかるということになりますし、交通機関なども大へん混雑する。このごろ常盤線の柏、あの辺にたくさん住宅ができましたが、朝のラッシュなどは殺人的ですよ。これも宅地が高いために横へ幅が広がっていく、それがこういう結果を生んでいると思う。私はここで宅地政策というものに対してしっかりしたものを持たなければ、今のように野放しにしておいたら大へんなことになると思うのです。東京都内だけを見ただけでも遊閑地といいますか、黙って遊ばしておいて銀行へ金を預けておくよりも得だ。遊ばしておけばどんどん上っていくというので利用しないで遊ばしておく宅地が相当見受けられる。こういう状態に対して、今言った宅地政策と申しますか、そういうものをお考えでしたらこの際お伺いしたいと思います。
  31. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 住宅政策をやって参ります場合に、宅地の問題が基本であることは御指摘の通りだと思います。しかしこの宅地政策は、おそらく建設省所管仕事の中でこれくらいむずかしい問題はないと思う。ある程度統制的な考え方を入れて参りますと、その弊害もまた出て参ります。だからといって野放しにしておきますと無制限に上って参ります。平均二割ないし三割価格が暴騰してきておる。これは単に宅地の問題だけでこれを解決することはなかなか困難でございまして、総合的に都市の合理的な建設をやるという面からの協力もなければやっていけないと思うのであります。そこでさしあたりは、私ども宅地の造成の仕事をまずやらなくてはいけない。あき地等を開発しまして、宅地の造成をやろうといいましても、宅地の造成はなかなか簡単に参りません。しかし簡単に参らないからといって放置するわけにも参りませんから、この宅地造成も大いにやろう、同時に都市面における立体的な面積の拡張、立体利用を今度はできるだけやろう、そういうことも考えております。しかしこれも基本的な解答にはならないと思うのであります。またある面におきましては、東京湾の埋め立てなんかやったらどうか、そうして工場用地の大きな造成をやったらどうかというような議論もあります。しかしこれといってきめ手になるような方策は、実ははっきり申し上げますとないのであります。ないからといって放置するわけには参りませんので、どうしたらいいかということを今一生懸命で勉強しておるようなわけでございます。一つの大きな解決の道は、道路の建設などが非常に進んで参りまして、そうして衛星都市の方面の開発が進んで参りますれば、ある程度宅地問題の解決に側面から役に立っていく、これが進んで参りますと、今ニューヨークあたりでは、かえって中心地の市街地の土地の価格がだんだん下って参りまして、むしろ郊外の衛星都市の方面がだんだん利用されてくるというような傾向が出て参りますが、現在の日本の状態はまだその段階までいかないで、もっぱら市街地の宅地の価格が上っていくという段階でございます。しかしこれは総合的に各般の問題をとらえて、そうして解決する以外には手がないのではないか。総合的な宅地対策というものをこの次の段階にはどうしても作らなくてはいかぬ、こういうふうに考えておる次第でございます。
  32. 島上善五郎

    島上分科員 宅地対策のお考えはそれでわかりましたが、しかし現在政府は宅地対策ともいうべきものが何もないということにほかならないわけです。私はそれではいかぬと思うのです。都内で宅地として利用し得る土地が遊んでおるというようなことに対しては、打つべき手があるはずだと思うのです。法制的にも新しい手を考えるべきではないかと思うのです。全く野放しにしておいたのでは、日本の場合にはどんどん宅地が上っていく、こういうことになる。その宅地が上っていくことが家賃に響いて参る、それが生活を圧迫する。一体政府は勤労者の生活費の中で、家賃の占める割合がどのくらいが妥当であるというふうにお考えか。戦前と戦後とでは、御承知のように勤労者の生計費に占めるエンゲル係数がだいぶ変ってきておりますが、現在勤労者が生活費の中でどのくらい家賃を負担することが適当であるというふうにお考えであるか、これを一つお答え願いたいと思います。
  33. 稗田治

    稗田政府委員 お答え申し上げます。生計費の中に占める住居費の比率がどのくらいが適当と考えておるかというお尋ねでございますが、その住居費の占める割合を的確に決定するということは非常にむずかしい問題でございますが、一応現在われわれが考えておりますのは、たとえば第一種の公営住宅の入居資格におきましても、収入が家賃の六倍から十五倍というようなことを政令できめておるわけでございます。そういう考え方から申しますと、収入の一割から一割五分見当のところを考えておるのではないかというように思っておるわけでございます。
  34. 島上善五郎

    島上分科員 戦前はよく俗に家賃は二割といわれたものです。しかし、私は今二割では勤労者として負担が重過ぎると思う二万五千円取っている者が五千円家賃を払うということでは、これは負担が重過ぎます。今一割から一割五分ぐらいを見当としておるというお答えでしたが、私はやはり一割からせいぜい高くて、今お答えのように一割五分が最高だと思います。ですから、今後の住宅政策はそういうことを頭に入れながら、月額一万五千円ないし二万五千円程度の勤労者が一番住宅に困っておるということを考えて、住宅政策重点を置いてもらわなければならぬと思います。そういうふうに考えますならば、今年度の二十一万一千戸の中で、私が今言った重点に入るものは、しいて言えば、わずかに公営住宅の第一種と第二種だけであって、その他はこのワクの中に入らぬということになるのではないか。もし先ほど大臣がお答えになったように、公団住宅の家賃をもっと引き下げる方法がありますならば、これは別ですけれども、これは公団の人に来てもらって、別の機会にもっと詳しく聞きたいと思いますが、多少下げることはできましょうけれども、今となっては五千円以下に下げるということは不可能だ、そういう状態であります。もしそうだとするならば、公営住宅にもっと重点を置く。もし公団住宅の家賃を五千円以下に下げる方法があるならば、せいぜい五千円どまりで抑える方法があるならば、もちろんそれを検討してやっていただくことは言うまでもありませんけれども、これはなかなか言うべくして至難な問題であります。ですから、私は今の制度でいって、公営住宅のようなものにもっと重点を置くということが必要ではないか、こう考えるものであります。  そこで、これも公団の人に来てもらって伺うのが適当かと思いますけれども、最近新聞で公団に宅地買収について汚職があったという大きな報道がされておる。これについては、もちろん建設省もお調べになっておると思いますが、こういうような問題が起る危険性は前々からあったと言ってもよいと私は思うのです。今のような宅地の取得の方法を今後もとるならば、こういうような問題が大小起ってくる危険性があります。これに対して、すでに起った問題に対して建設省はどういうようなお調べと、どういうような処置をおとりになったか、今後こういう問題を防ぐために何かお考えがあるかどうか、それをこの際承わっておきたいと思います。
  35. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 住宅公団用地の取得に関して汚職問題が報道せられていましたことにつきましては、私は非常に責任を感ずるものであります。しかし事情を詳しく聞いてみますと、住宅公団用地係のごく末端の職員が、その用地取得に関連した土地所有者の代理人と称する人と箱根かどこかへ行きまして、ごちそうになったというようなことが伝えられましたので、公団としては、ごちそうになることもいかぬではないかということで注意をいたしました。そしてその注意がきっかけになりまして、たしか二月一日に依願免官になっておるのであります。その際における四囲の情勢をいろいろ検討してみたのでありますが、あの荻窪団地、それから阿佐ヶ谷団地の二つの団地の買収につきましては、近傍類地の価格等と比較いたしまして決して高くないということで手続を進めておったのでありますが、そこの中に入っておった人、代理人になる人が白紙委任状を持って参りまして、台帳の面積と実測面積とのさやがそこへ出てきて、そしてその中に入った人が土地所有者の了承のもとに台帳面積で売り渡しておる、こういったようなところに問題が発生しておったようであります。詳しいことは今司直の手にありますものですからわかりませんけれども、いずれにしましても、たといごちそうになっただけでもこれははなはだ遺憾でありますので、今後の問題としましては十分に注意をしなければいけない。なるほどあの価格をきめるときにはそれぞれ調査審議の機関がありまして、その機関が各般の状況を調べて、公正な価格で引き取るということになっておりますので、不正は出てこぬようなはずになっておりますけれども、ああいう事実が生まれてきたのでありますから、今後一そう戒慎をしなければならぬので、一そう注意し、なお機構の上においても改訂を要するものがあれば考えてみるようにということで、今それぞれ調査をさしておるような次第でございます。
  36. 島上善五郎

    島上分科員 新聞の報道によりますれば、今のお答えとはだいぶ違うようです。元住宅公団土地係長が四十五万円以上の収賄をしておるということ、これはごちそう以外です。それから間へ入った土地会社——武蔵野土地会社という有限会社の社長という人が、百姓からは坪四千五百円ないし四千八百円で買い取って、公団に倍額以上で売った、そして一挙に八千万円もうけた。これは横領となっていますが、私は、裁判をした結果横領になるか、どういうことになるかまだわからぬと思いますけれども、非常にきわどいところだと思うのです。この土地会社を中へ入れて宅地を取得するという方法に一つ問題があるのではないか。土地会社が中へ入りますれば、これはもうける目的で会社をやっておるのですから、坪について百円もうけるか、千円もうけるか、一万円もうけるかという違いだけです。そうすると、どうしても間へ入った土地会社に相当のもうけをさせる、もうけをさせるということは、住宅公団は高い宅地を手に入れる、それが家賃に響いてくる、こういう結果になってくるわけです。そういうふうに循環してくるわけですから、私はそういうブローカーを間に入れて宅地を取得するという方法自体問題があるのではないかと思う。法律上こういうふうに問題になって初めてこれはいかぬということになりますけれども、法律上問題にならなくても、そういう土地会社を中へ入れてやっておること自体を一つ検討する必要があるわけです。承わりますれば、直接買収している方法と二通りか三通りあるそうですけれども、こういうブローカーを中に入れて土地を取得する方法自体を建設大臣検討する必要があるとお考えにならぬですか。
  37. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 あの事件が発生いたしましたときに、私もあなたと同じような疑問を持ったわけでありまして、どうしてブローカーを入れるのだということでいろいろ検討してみたのでありますが、今までの買収のやり方については、個々の土地所有者から直接買うということを大原則にしておるようであります。ただ所有者が非常に多いときには、おれが中に入ってまとめてくるからということで代理人を立てた場合も、また立てざるを得ない場合もあるそうであります。しかし代理人を立てるということはいろいろな意味でけっこうなことではないのであります。やむを得ない場合にそういうことをしておったのでありますが、この点についても将来は十分に検討してみなくちゃいかぬのではないか、こう思っております。なお先ほど御指摘の四十五万円の問題ですが、私新聞を見ましたのでそれを聞いてみたのでありますけれども、本人は何でも四十五万円借りたのだ、こういうことを言っておるそうであります。しかしこれは検察庁の方で調べてどういうことになりますか、まだはっきりしないわけでございます。
  38. 島上善五郎

    島上分科員 こまかい質問はまた別の機会に住宅公団なり住宅局長なりに伺いたいと思いますが、こういうような問題についても機構についても十分検討して、再びこういうことの起らぬように、刑事事件にならないまでも、不当に高い宅地を手に入れたためにそれが家賃に響くというようなことのないように十分研究してほしいと思います。  それからさっき私が強調して大臣も同感だという御答弁があったので意を強くしておりますが、二万五千円以下のほんとう住宅に困っておる勤労者層を重点に——今は何といいましてもそれが重点ではないのです。重点に今後の住宅政策を切りかえてほしい。大いにその点に対する大臣の努力を期待して私の質問を終ります。
  39. 早稻田柳右エ門

    早稻田主査 田村元君。
  40. 田村元

    ○田村分科員 私は政府に対して住宅問題、それから道路整備五カ年計画の財源に関する問題、また現在建設省並びに農林省の方でもやっておりますが、建設青年隊の問題に関して若干お尋ねいたしたいと思います。  住宅問題に関しましてはすでに島上君から詳しくお尋ねがありました。私のお尋ねしたいと思っておったことは大体島上君がお尋ねになりましたから、私は個々の問題に関して補足的にお尋ねをしてみたいと思います。  まず第一に厚生省側にお尋ねをしたいのでありますが、一般国民の、つまり日本の国民の住宅の現状ですね。すなわち自分の家に入っておる者が大体何%、借家あるいはその他のパーセンテージがもしわかっておりましたらここで御説明を願いたいと思います。
  41. 池田清志

    ○池田政府委員 一般国民の住宅事情につきましてのお尋ねでありますが、それは建設当局からお答えがあろうかと思いますが、私ども厚生省の関係にありまするところの生活保護法を通じましての今の問題にお答えを申し上げますと、生活保護の対象が大体五十四万世帯、そのうち間借り、借家等をいたしておりまする者、すなわち自分の家におらない者が三十二万世帯というようなことに相なっております。
  42. 田村元

    ○田村分科員 今被保護世帯世帯数が大体御説明があったわけでありますが、これは先般私から要求しました資料の中に詳しくパーセンテージが出ております。すなわち被保護世帯住居所有別状況は今の数字でけっこうなんでありますが、パーセンテージでは自分の家に入っておる者が三八・八%、借家に入っておる者が二六%、間借りが一五・二%、その他が二〇%となっております。ところが一般国民の場合、今御説明がございませんでした。私が調べました資料でありまして公式に要求した資料でありませんから、あるいは若干の間違いがあるかもしれませんが、一般国民では自分の家に入っておる者が七〇%、それから借家に入っておる者が二〇%、それから社宅とか官舎など給与住宅に入っておる者が一〇%というふうになっております。こういうふうに考えてみますと、一般の国民の平均に対して生活保護を受けておる世帯住宅困窮というものを非常に顕著にうかがい知ることができるわけであります。そして生活保護を受けている者とほぼ同様の生活水準にある者、すなわち生活保護を受ける資格を持っておる者というと言葉のごろが悪いかもしれませんが、要するに受ける可能性のある者というのが現在国民の一割二分といわれておりますから、世帯数で大体二百四、五十万世帯というふうになるかと思いますが、この人々も被保護世帯と同様もしくはこれに近い住居現況にあろうかと思います。そこで現在の公営住宅というものは、島上君も言われた通り、より貧しき、すなわちより住居に困っておる者に主眼点を置かなければならないということは当然であります。  そこで私ちょっと建設省にお尋ねしたいのでありますけれども、政府施策の二十一万一千戸建設の予定といわれておりますが、この中で第二種、生活困窮者に対して、いわゆる低所得者に対して建てられておるのがわずかに二万九千一百戸であります。そういうふうに考えますとどうもバランスがとれていない。しかもそれ以外に民間自力建設政府は三十五万戸程度に見ておられるということになりますと、三十四年度の住宅建設の中で占める低所得者の住宅建設というものは、非常に低いのであります。それに対して政府は厚生省と建設省がよく話し合われて抜本的に新しい対策を早急にお立てになるべきでありますが、これを少しずつふやしていく、一千戸や二千戸ふやしたってどうにもしょうがないと思いますが、抜本的な対策を講ずるというお気持大臣にありますかどうか、お伺いいたしておきたいと思います。
  43. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 その問題については先ほど島上委員の質問にお答えしたのでありますが、御説のように低家賃住宅というものに相当はっきりしたニュアンスを出して、そして抜本的な対策を講ずる必要ありと私は思います。ただ昭和三十四年度の予算の編成につきましては従来のいきさつもあり、かたがた住宅建設基礎をその需要に応じてそれぞれの段階に充当させるという一般的な方針であっておったのでありますから、その必要度の質的な考慮を入れることがなかなか困難でありました。しかしこれは本年度の住宅一斉調査基礎にいたしまして、そして大きく住宅政策というものの重点を置きかえていくというような考え方を入れるべきだ、こういうふうに考えております。八月か九月ごろ三十五年度の予算の編成までに一つ大きな目鼻をつけていきたい、こう考えております。
  44. 田村元

    ○田村分科員 私は公営住宅重点はむしろ第二種の住宅建築に置かれるべきであると思います。ところが実際に予算書を見てみましても、若干一種よりも二種の方が多いのでありますが、あまりその数は変っておりません。そこで政府あるいは政府関係機関の融資とか補助を受けて自力で建てるというのは、これはむしろ恵まれた人である。もちろんそういう予算のワクをうんとふやすこともけっこうでありますから、うんとやっていただかなければなりませんが、むしろそれよりも公営住宅という面では、自力建設すらできない、また相当の家賃も払い得ないという貧困階級に重点施策が施されなければならないということになりますと、その家賃の問題においてもここに大きな問題が起ってくると思います。私は二万九千一百戸の第二種という数字に対して、非常な不満というよりも嘆きを感ずるのでありますが、私は政府に対して、私が見てきた事例を御参考までに申し上げてみたいと思います。  私は先般香港へ旅行の途中ちょっと寄りました。そして香港にある中共からの避難民のアパートの林を見て参ったわけであります。高層建築物で、実にりっぱなアパートが、おそらく何十何百となく並んでおる。あの小さな香港の町の郊外に実にみごとなものであありますが、これがほとんど日本ではもう考えられないほどの低家賃で避難民を吸収しておるのであります。私はそういう点からいって、現在の大都会において貧困階級が特に多いと思いますが、一戸建の建物、しかもそれが古びて、あるいはこわれて美観をそこねる点もあり、社会保障の面と都市の美観を保つという面からも、そういうようなアイデアを一つお取り入れになったらどうかというような感じがいたします。  それからまた家賃の問題でありますが、一種と二種との住宅の家賃の算定には差があるのですか。それはどういうことになっておりますか。
  45. 稗田治

    稗田政府委員 お答え申し上げます。第一種公営住宅は、その建設に要する費用の二分の一を国が補助しておるものでございます。それから第二種公営住宅は、建設に要する費用の三分の二を補助しておるものでございます。従いまして家賃の決定に当りましては、建設費から補助費を差し引いた残りの事業主体が負担した金額を二十年以上七十年まで、これは各構造によって変るわけでありますけれども、二十年以上七十年以下の期間で六分以下の金利で償還するものとして償却費をつけるわけでございます。それに全建設費に関係のある修繕費、保険料、そういうものと管理費といったものが加わりまして、家賃が構成されるわけでございます。従いまして一種と二種で家賃が開いておりますのは、国の補助金が償却費の中に全然入って参りませんので、その二分の一と三分の二という補助の割合が違っておるというのが作用しておるわけでございます。  なお予算上の問題としましては、より実際の家賃を低額所得者に向くようにするために、現在予算の規模としましては第一種の公営住宅と第二種の公営住宅とは若干坪数が開いております。従って実際の家賃にはさらに補助率以外にも、そういった規模が多少小さいという点も関係してくるわけでございます。耐火構造なりあるいは木造という工合でいろいろ変りますけれども、第一種公営住宅は平均しまして二千三十円、第二種公営住宅は千百十円という程度にいろいろの構造のものをまぜますとなるわけでございます。
  46. 田村元

    ○田村分科員 私はこう思うのです。より恵まれたる者、より高額の所得を持つ者はより多く社会に奉仕し、そうしてより恵まれざる者、低額所得者はより多く社会から保護をされるという考え方基礎の上に立って政治を行なっていくことが、私は福祉国家への道に通ずるものだ、そういうふうに考えますと、家賃の算定においても償却費の分というような面で二分の一と三分の二の差別をするということは、これはどうもおかしいのじゃないかと思います。要するに二種はより国家の保護を受けていく性格の公営住宅でありますから、そういう点で事務的に計算ずくで家賃を処理していくことは厳に慎しまなければならぬ。むしろ愛情ある政治的な考え方でこの家賃を処理すべきであると私は思います。これは公営住宅建設そのものにも言えることであると思います。第一種をこれだけ作ったから第二種は大体この程度だというようなことでは、これは社会保障の精神に沿うものではないと思います。でありますからそういうふうに考えますと、どうしても第二種の家賃というものはここにもう一回再検討して、そうして、低額所得者生活を強く脅かすことのないように対策を講じるべきであろうかと思います。大体いただきました資料、これは厚生省から出た資料かと思いますが、八坪で九百八十四円、六坪で八百八円というようなことらしいのですが、実際に一万円内外の給料取り、あるいは二万円以下の給料取りにとって、千円見当の家賃というのはやはり相当大きな負担であろうと思うのであります。子供が大きくなればその教育費もかかる。いろいろな点で金がかかるという点で私は一つこの際、建設大臣が特に新しい大臣の感覚をもって、もう一回事務当局に対してよく指示を与えられ、そうしてこの問題を処理されますようにお願いをいたしたいのでありますが、それに対して大臣にお尋ねしたいのですが、どういうふうにお考えでしょうか。
  47. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 住宅政策は、私は率直に言いまして社会政策の一面を担当しておると思っております。ただ現実の問題としましては、生活保護法の関係で大体千二百円程度住居費というものを見当をつけておるわけであります。それ以上のものについて、これは住宅政策の問題で扱っていく、こういう一応の大きな線が引いてあるわけであります。大都市は千二百円、小さな都市の方面にいきますと千百円くらいを、生活保護の関係住居費として与えられております。しかし建前はそうなっておりますけれども、住宅政策は、大きな意味では社会政策的な感覚を入れていかなければ間違いではないか、率直に言って今までの住宅政策にはそれが非常に欠けておったと私は思います。それが非常に欠点だとは私は思わない。というのは、戦災のあとで全部焼けてしまいましたから、すべての人が住宅をなくしてしまっておりますので、相当高給をはんでいる人も住宅がないし、中間の人も住宅がないし、低階層の人ももちろん住宅がない、こういう状態でありましたから、今までの住宅政策としては、各階層収入段階に応じてそれぞれ要求しておるのでありますから、それぞれその需要にこたえるような住宅政策というものが必要であったのでありますが、この段階へ参りますと、もう少し低家賃住宅というものに力を入れていかなければならぬ、そういう意味で、御指摘のように私もそういう方面に一つうんと力を入れていきたい。そうして事務当局ともかねがね私は話をしておったのでありますが一そう努力をして参りたい、こう考えております。
  48. 田村元

    ○田村分科員 私は最近政治の盲点というものに関して次のことを感じるのです。と申しますのは、非常な生活困窮者というとすぐに生活保護を受けておる者というふうに、政府なり何なりはこれを一番最低の水準として見る。また月給取りになりますと、大きな労働組合を持った。むしろ恵まれた組織労働者を水準として見る、こういうふうによく見るのでありますが、実際に一つ生活に困窮しておるのはだれかといえば、それは生活保護を受けるという線に漏れたといいますか、つまりボーダー・ラインにある生活保護をもらえない二百万以上の世帯人々であり、また労働者でいえば、大きな労働組合すら組織することのできないような低位の組織労働者であろうか、あるいは未組織の労働者であろうかと思うのであります。そういうところに大きな政治の盲点がある。でありますから、生活保護を受けておる者に対する住居の対策費というものは、これはむしろお忘れになって、その生活保護をすらもらっていない者が、二百万以上の世帯数があるのだということを考えられて、そして公営住宅その他政治万般を論じられなければならないと思います。でありますから、そういう点でどうか一つ遠藤大臣が御在任中に、今まで歴代の建設大臣がなし得なかったこの大きな問題の処理——大きなというよりも、崇高な政治家としての義務とも言えましょうから、この処理をなさっていただきたいということを特に私からお願いをしておきたいと思います。  それからいま一つ、これは私の要望にとどめておきますが、最近新聞等に不動産会社、いわゆる土地会社、これの広告がずいぶんたくさん出でおります。新聞の一番終りのページは、もうほとんどそれで埋まっておるといっても過言ではないと思います。ところがこの土地会社に対して注文をする、あるいは現地を見に行く。そうするとずいぶんインチキな話にひっかかって泣いている人がたくさんあると思います。現に私の友人もまるっきり詐欺のような格好にかかってしまって、現在非常に泣いております。こういう不動産会社に対して、政府の監督権の強化ということを十分一つ考え願いたいということを私からお願いをして、住宅問題について一応私の質問を終りたいと思います。その他の質問は、山本委員が関連質問住宅問題に関して質問があるそうでありますから、その次に回したいと思います。
  49. 山本勝市

    山本(勝)分科員 関連して。今日は幸いに大臣がお見えになっておりますので、大臣にだけ住宅問題の基本的な問題と申しますか、ごく大まかなことですけれども、お伺いをいたしたいと存じます。大臣住宅問題で非常に深刻に考えておられ、また今日までの行き方はいいとしても、ここで根本的に方向といいますか、重点を変えなければならぬと考えておられることは、先ほど来の御答弁でよく了承いたしましたが、私はその考えられるときに、こういうことを一、二考慮の中に入れていただいていいのではないかと思う。それは、住宅問題といえば主として都市の住宅問題であります。ところが代表的なものとして東京住宅問題、それから交通の混乱その他の問題で、東京に金をつぎ込めばつぎ込むほど人口が東京に集中してくる。ですから、東京に国費をつぎ込んで、種々なる東京における問題を解決しようとして努力することが、これがそれぞれの問題をますます複雑にしていくことではないかというのが一点であります。交通の問題にいたしましても、東京駅前にガレージを作ってみたり、地下ガレージを作ってみたり、あるいは地下鉄を作ってみたり、あるいは最近では、きのうの予算委員会の第一分科会でもお話がありましたが、電車の路面をはずそうというようなことも考えておるということでありますが、そういうことをしてみましても、二、三年か、あるいは四、五年ないし十年くらいは、多少その緩和をすることができるだろうと思います。これは住宅問題にも当てはまるのです。しかしここ十年、二十年、三十年、五十年先を考えますと、結局東京に金をつぎ込めばつぎ込むほど人口が集中してきてどうにもならぬということがあるから、一つそこの因果関係、つまり問題を作り出していくようなことのないようなことを一つ考えていただきたい。  それで今までの傾向を見ますと、ますます大都市化して参りまして、それで首都建設法などというものまで作りましていろいろ計画を立てておりますけれども、簡単に申しますと、これはほんの気休めであります。そうしてそこへ集まってくる者は、みな家、屋敷のない者だ。家、屋敷のない全国からたくさん集まってきた者に対して、小さな家を与えたり、アパートを与えたりしておりますが、都市で住宅あるいはいろいろなものを与えますと、一体そとの中で育った子供たちが、行く行く日本の人間としても国民としても、健全円満な人間として成長する見込みがあるかどうかということです。ことに私は、最近あの高層アパートというもの、これは田村さんの考えと言葉だけ見ますと多少違うかもしれませんが、あの高層アパートの五階とか六階で生まれて、そしてあそこで育っていた人間というものは、将来私はほんとうに健全な思想と行動をこれらに期待することができるかどうか、おそらくこれは社会党のあるいは共産党の地盤を作っていっておるのではないか、これでは最近の東京はだんだんそういうふうになって参りますのみならず、それらの家、屋敷のないような人は、孟子が言っておりますように、恒産なくんば恒心なしという、右の手を上げれば右の手にわっと寄っていく、左の手を上げれば左の手に寄っていく。簡単に言いますと、自己自身を確立したような人間というものは、やはり小さくても自分の家、屋敷を持って、そして庭で泥んこになって犬と遊んだり鶏と遊んだり、そうしてそこにはコスモスの二、三本でも咲いておるとか、あるいはハゲイトウでもあるというようなとこで育っていかないと、人間としては健全なものにならぬのじゃないかというのが私の心配なんです。ますます群集化していく、一つの群集になってしまう。それは結局社会革命、つまり都市をして社会革命の中心地を形成しておる。これは社会党内閣のもとにそういうことをやるのならば、これは筋が通っておりますけれども、われわれ自民党が国民の絶大な支持を得て政権を担当しておるが、しかしその政治のもとでますます都市が一種の集団化してしまって、そうして人間が画一化してしまって、——そうして自主性を失って、ただ集団行動していなければ気が安まらぬ、何か旗でも持ってあっちこっち動いておれば初めて何だか落ちつくというか、気が済むといったような人間を形成していく、これは私は重大なる問題であると思う。そこで根本解決は、都市を小さく分割するという政策を私は考えるべきじゃないかと思う。これは郊外に住宅を求めると申しましても、郊外ではやはり結局交通が、郊外に寝るところだけ作ってそこで仕事場を都市に求めるというのでは、朝晩の交通はやはり雑踏するばかりであります。そういうふうなただ寝るところだけを郊外に作るということも、これは作らないよりは、都市の中で育ったよりも人間は健全に育つと思いますけれども、しかしそれよりも根本的に、東京あるいは大阪というふうなただいま申しました憂うべき傾向を持っておるところはもう半分くらい、あるいは一番健全なのは私は十万くらいの都市だと思うのです。大都市はやはり悪の巣になり、そこにおる人間というものは、まじめな人もおりますけれども、神経がいら立ってくるのが普通だと思うのです。ですから健全な者は——おもなる人はどなたも道で出会えば顔を知っておるというくらいの都市というと、私はやはり十万くらいというのが一番理想じゃないか。それは東京を一気に十万にはできません。できませんけれども、少くともこれ以上まず東京を大きくしないのにはいかにすべきか、それでだんだんこれは小さくしていく、そういう意味から私は宮城の問題は、これは交通緩和という、そういう片々たる問題で宮城の移転問題を考えるべきではないと思います。しかも大都市が集団化して、そうして個性のない、民主主義からいうと、集団の一粒のような人間を形成していくという心配から申しますと、私は宮城をそういう大きな意味において奈良とかあるいは京都とかに移っていただいて、これは今日の憲法下におきましては、陛下は民族の象徴でありますから、やはり千年の都であった京都とかあるいはその前の奈良の都とか、そういう日本の発祥の地に静かな皇居をいただくというようなことも決して私は無理じゃないと思う。それは明治以後に初めてできた宮城にいつまでもおるということは、今日われわれは東京に住んでおりますから、東京がさびしくなるということは東京人はおもしろくないでありましょう。しかし東京をさびしくするという言葉は悪いのですが、もっと静かな町にし、魅力のない町にすることが東京の人口をふやさないで、そうして東京からむしろ人間がだんだんと自然に出ていく、こういうことの大きな一つの源泉ではないか。だから宮城の問題もいろいろにぎわっておりますが、そういう意味において、もし大臣東京住宅問題あるいは交通問題、それからそういう将来の社会的な影響というようなものでいい解決方法がない場合は、やはりそういう大きな見地から考える価値があるのではないか、こういうことが一つ。  これはもう時間も十二時過ぎてしまいましたから、くどくどとは申しませんが、東京——大都市を分割する、そして健全なる都市というものはどれくらいの大きさかという目標をきめて、そしてそういうところへ少くとも持っていく。宮城だけ移ったということで、私は東京がそれほど小さくなるとは思いませんけれども、少くともその傾向としては宮城が移る、宮内庁が移る、私は外務省や文部省が今日のこの通信交通の発達した時代においては、東京に全部必ずしもいなくちゃならぬというふうにはむしろ考えないのです。そういう点を大きく考えてもらいたい。ことに私は、少しこまかくなりますが高層住宅、あすこに育った子供が将来どうなるかということを考えて、日本の中堅層として成長する見込みがあるかないかというと、私の答えはノーなんです。それでなお最近いろいろ聞きますと、政府からいろいろ援助を受けて、住宅政策に協力するという意味でああいう高層住宅を作りますと、政府の援助やらあるいは中へ入る者の権利金やらいろいろ入れますとまるまるもうかる、ただででき上るという非難が起っております。これは具体的にどこの住宅とは申しませんけれども、私は具体的にこれこれのところにできた、これこれの高層住宅はまるまるただでできた、まるもうけだったといううわさすら聞いておるのです。ですからこういう建築にからんでもそういうことがありますし、もっと大きなことは、今申しましたようなああいうところで生まれて大きくなる子供がどうなるか、親は岩手県とか島根県とかいう泥んこの中で大きくなってきておりますから、これは大して心配ないのですけれども、その子供のことですよ、こういう点を大きく考えてもらいたい。あなたは建設大臣ではありますけれども、建設大臣以上のもっと日本全体の国土計画といいますか、そういう点から考えていただくことができればありがたいと思う。いろいろ質問したいこともたくさんありますけれども、今日は時間もございませんのでこの点だけ申し上げて大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
  50. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 ただいまの山本委員の御質問の中には重大な問題が二つあると私は思うのであります。その一つは大都市への集中をどうするかという問題、もう一つは集中された現実の事態に対処する考え方はどういう考え方でやるべきかという二つの大きな問題があると思うのであります。大都市へ集中する問題については、御承知のように首都圏整備法というのができたりして、過度の集中を排除しよう、そうして健全な都市の建設をしていこう、いたずらに膨大な都市が建設されて参りますと、非常にいい面もありますけれども、弊害の面も非常にたくさん出て参りますので、健全な都市を建設するという意味で首都圏整備法というものができて、なるべく都市の分散をはかっていく、衛星都市の建設をやつて、これ以上過度の集中をしないように、都心部の人口の調節をはかる意味の努力を一方においては続けておるわけであります。ただしかしこの問題は、自由主義経済の一番の弱点といいますか、欠点というものがそっくりそのまま現われているような感じがするのであります。根本的にさかのぼって参りますと、都市と農村、あるいは地方の都市と大都市、その間における収入の問題、生活問題等が基本には横たわっておる。東京へやってくれば非常に生活が楽になるとか、あるいは東京へやってくれば収入が非常にふえてくるというようなこと自体が、一番大きな問題として横たわっておるわけであります。そういう基本問題から調整をはかっていかなければ、この問題の抜本的な解決は期し得られないと私は思うのであります。従って今やっておりますことは、その多くはつぎはぎの政策でありますが、つぎはぎの政策でも、とにかくたゆまず努力を続けていこういうことで、一方においては首都の人口の過度の集中を排除するために衛星都市の建設をはかっていく、あるいは交通網を完備してそしてその背後の開拓をしていく、そしてそのサークルを広くして参りまして、うようよ群がるような状態をできるだけ早く解消していこう、こういうことが続けられておるわけであります。ただしかし現実の問題としましてはどんどん人口が集中して参りまして、そうして住宅に困っておる、道路に困っておる、その他交通機関に非常に困っておる、そういうものに対してはやはり必要な対策を講じていかなければなりません。それをやらないでほうっておきますと、これは政治にならないのでありますから、それをやると同時に、過度の人口集中をだんだん規制をしていく、こういうことを続けていかなければならぬことだと私は思います。  なお高層住宅に育った子供が非常に気の毒ではないか、りっぱな人間ができないのじゃないかという点の御指摘もありましたが、この点については全く同感であります。従って公団住宅などを作る場合には、どうせ理想的な面積はとれないのでありますけれども、とにかく住宅のエリアに緑地帯を設けるとか、あるいは子供の遊園地を作るとかいうふうにいたしまして、土に親しむ機会を与える、こういうことでどうせ満足ではありませんけれども、そういう欠陥を幾らかでも除去していきたいということで、一定の敷地に対して建築の面積を制限いたしたりしまして、そして庭を作り、緑地を作るというようなことをあわせてやっておるようなわけであります。基本的な問題についてのさらに大所、高所からの御意見については、十分傾聴して伺ったわけであります
  51. 山本勝市

    山本(勝)分科員 今一点でありますが、たとえば私はどこの管轄か知りませんけれども、東京タワーというものができました。私は前田さんと多年懇意で、ああいう雄壮なものを作って日本の青年に勇気を与えた。日本でもこれだけのものができるのだという勇気を与えたということで、前田さんも非常に誇っておられるし、私もその点は十分認めます。しかし一方、今申しましたような点から申しますと、東京タワーができただけでも全国から人間を東京に集中する大きな働きをしておりはせぬか。現に東京タワーができたために、東京タワー行きのバスとか東京タワーへ行こうということで、交通の面にプラスかマイナスかというと、ますます雑踏する傾向を惹起しておる。これは一例でありますが、もし国家が、これまでのように都市に金をつぎ込まなければ——国会は東京にしても仕方がないとしても、とにかく東京にいなかの人を引きつけることが自然に出てくるというよりも、国家がそこに非常な金をつぎ込むということが、都市集の中の大きな原因になっておることは争えないと思う。資本主義という言葉がありますが、資本主義という言葉の解釈の仕方ですが、私は国家が都市に金をつぎ込むことが資本主義なら、これは資本主義の弊害だと思う。しかし私はいわゆる市場経済というようなものの必然の結果とは思わない。国が方針を立て、そしてどういうところに国の施策を施していくか。官庁を集中いたしますとそれに付随していろいろなのが集中して参る。それが便利だからというので東京冷々といって次から次へと莫大な金を、終戦後でもつぎ込んだ。これは計算してみませんが、ずいぶんたくさんだったと思う。ですからそういう重点の置きどころを変えれば、こういうことは防げるのではないかと思うのであります。それでその一番困っておる連中を対象にということは、先ほど来他の委員諸君からも言われましたけれども、これも当面の問題としては考えなければならぬが、しかしこういうこと自身が困る連中をどんどん引きつけてくる。そういう結果には少くともならぬようにしないと、自分の施策そのものがそういう混乱の原因を生んでいくということになる。そしてそれは住宅問題だけでなしに、思想上にも重大な問題を生んでくるのですから、どういうものを対象にするかということも重大ですが、どういう家を作るかということも私は大いに考えてもらいたいと思う。先ほど言ったまり殺風景なところに育った者は、かりに中の設備がいかによくても、たとえばセントラル・ハイツがあって、地下室で石炭をたいてどの室にもスチームが通るようなアパートを作るよりも、どんな小さな家でも、いろりがあって、いろりのまわりにおじいさんもおばあさんも孫も集まって、夕方にいろいろの手仕事をするような家の中で育った子供の方が、人間としてりっぱな人間ができ上ってくるのではないか。その意味では、小さくてもいいから庭園のついた家、その庭園も公園とか緑地帯とかいうよりも、やはり自分の庭園であることが理想だ。小さい大きいよりも自分の家、屋敷に住むかどうかということが、これはここで大いに考える必要がある。だからプロレタリアというものは、小さくも自分の家、屋敷を持たせるという住宅政策の大方針を立てて、その障害を除いていく。今日自分で自分の小さな家、屋敷を作る人がやはり政府でやるより多いという統計が出ておるようですが、なおこれはもっとふえるのです。ふえるがだんだん調べてみますと、一番こわいのは税務署、家を建てるとすぐ税務署がやってきて、その金はどこから出たのだと調べる。不動産の取得税は百ガ円まではかけないとか、いろいろなことで国はこれを奨励しておりますけれども、不動産の取得税より何よりも、その作った五十万とか六十万のわずかの金を、税務署が板囲いしたらすぐやってきて、この金はどこから出てきたか、それが一番こわいから作れない。家を作るだけのあき地も持っておる、そしてごく粗末な家であるけれども作るぐらいの費用は何とかためたけれども、その金の出どころを調べられることがある。何年かにわたって申告漏れを調べられるというようなことがこわい。こういう点が障害になっておるのであって、そういう障害を除いたら少くとも自分の家、屋敷は——百坪とか二百坪程度のわれわれが将来そういうものをたくさん作り上げていきたいという目標程度の大きい家は別ですよ。そこで三十坪とか二十坪ぐらいの家を作ったときには、その金の出どころも調べにいかないようにする。それからかりにそういうところに住んでおる人がなくなった場合の相続財産の中でも、貯金や株は税の対象にしてもよろしいけれども、その人間の家と屋敷だけは特に税の対象からまずはずして、貯金や株とは別に扱う性質が違う、われわれの生活基礎としてその重要性が違うというところを考えて、税金の対象からはずしていくというようなことも、大蔵省はなかなか税を取ることばかり一生懸命でありますから、これは建設大臣のようなところが、大所高所から要求されれば、われわれも大蔵委員会で仕事もやりやすいわけなんです。私は長い間に借家にも入ってみたし、それから自分の小さい家にも入ってみたし、いろいろやりましたが、借家に入っていると気が楽なんです。気が楽だということは何を意味するかというと、根がはえていない。牛乳のクリームみたいなものですよ、借家に入ってうろうろしているのは。そうして疲れたら公園に行って散歩してくるなんというのは、人間としてはもう根のない牛乳のクリームみたいなものです。そうじゃなく、やはり先ほど申しました通り庭先にハゲイトウも咲いておる、小さくてもいい、トマトもなっておる、コスモスも咲いておる、鶏もチャボぐらいはおるといった、そういうものを賃金労働者にもサラリーマンにもだんだんふやしていく。従って今日そういう状況におる者はなるべく下に転落させない方針が必要だと思うのです。今日は、しかしあらゆる施策が——ここで一々申し上げませんけれども、だんだん中産階級からそういう生活の根を奪って、そうして今の牛乳のクリームみたいなものをたくさん作り上げてきておるということは、これは国家として大いに考えねばいかぬ。そのことを申し上げて、一つ御考慮を願いたいと思う
  52. 田村元

    ○田村分科員 私は、建設大臣もお見えになっておることでありますから、時間が非常におくれましたが、特に一つ大蔵省と自治庁に建設大臣のおられる前で質問をして御答弁を願いたいと思います。大蔵省並びに自治庁に対しても質問は同じでありますから、両省からそれぞれ御答弁を願えればけっこうだと思います。  と申しますのは、道路整備計画実施に伴う地方負担額の財政措置に関してでありますが、道路整備五カ年計画実施に伴う地方負担額は一千四百七十四億円、それから地方単独道路事業費が一千九百億円で、合せて三千三百七十四億円ということになっておる。これが五カ年間の地方公共団体の負担額であります。この中で直轄事業にかかる地方負担金は三百八十四億、もちろんこれは交付公債でまかなわれるわけでありますが、それにしても二千九百九十億、約三千億円の地方負担が現実にかかるわけであります。でありますから、一年間平均しますと、約六百億円、ところが現在地方財政というものは、すでに申し上げるまでもなく非常に苦しい立場にあります。政府が一兆円からの道路整備五カ年計画を打ち出し、そうしてはなばなしくこれに着手するというときにおいて、果して地方財政がこれにたえ得るかどうか。要するに私は今のままではたえ得ないと思うので、何らかのいわゆる地方道路費の財源の措置を考えてやらなければならぬ、こういうことに対して大蔵省あるいは自治庁は一体どういうふうに考えておられるか、あるいはどういうような具体的構想を持っておるか。これは非常に大きな問題であって、建設省としても計画は出したが、一体どうなるかという御心配もあろうかと思うのです、本来からいえば大臣にお尋ねするところでありますが、大蔵大臣も自治庁長官も何か御用向きでおられないそうでありますから、担当の主計官並びに局長からそれぞれ御答弁を願いたいと思います。
  53. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 お話がございましたように、道路整備に必要な地方財源は多額に上っておるわけでございます。またそれを確実に実施して参りますためには、できる限り目的財源をもって充当する必要があろうかと思います。そういう意味で考えて参りますと、三十四年度の道路財源の所要額は、公共事業に伴います地方負担額で二百三十八億、単独事業で三百五十二億、直轄事業で七十五億、合せまして六百六十五億円、こういうふうに予想をいたしておるわけでございます。これに対しまして、いわゆる目的財源といえますものは道路譲与税あるいは軽油引取税、これに都市計画税の一部を充てましても半分にならないという問題がございまして、従いましてそういう問題につきましては基準財政需要額の中に相当道路橋梁費を算定いたしまして、他の地方税を財源として予定をする、足りない部分については、地方交付税をもって補てんをしていくというやり方をいたして参っておるわけであります。三十三年度から三十四年度と地方の道路財源がどう増加していくかということを見てみますと、公共事業の地方負担額で五十六億、単独事業で二十四億、直轄事業の地方負担分について二十三億、合計いたしまして百三億になるわけであります。これに対しまして道路譲与税の自然増収が十六億円、軽油引取税につきまして自然増収と、一キロリットル四千円の増税ということによる増収を見込みまして七十一億円、都市計画税につきましても若干増収を見込んでおるわけでありますが、かりに十六億円程度見込みますと財源所要額に合いました百三億円という数字が得られるわけであります。全体として非常に窮屈な状態でありますが、一応三十三年度から三十四年度にかけてどれだけ地方道路財源の所要額がふえてくるかということだけを考えてみますと、今申し上げましたように大体つじつまが合って参るということになるわけであります。もとよりその中には軽油引取税の大幅な増税を見込んでおりますので、これについての御了承を得なければならぬ、かように考えております。
  54. 松永勇

    ○松永説明員 道路整備五カ年計画一兆円につきまして、国と地方の財源がどのくらいになるかということを前提として簡単に申し上げますと、五カ年の所要総額のうち国費の所要額は五千三百二十二億程度考えております。その国の内訳は、有料道路で三百十二億、一般道路で五千十億ということになっております。これにつきましては、この国の所要額を充足するためにはガソリン税の一キロリットル当り五千五百円の増税を行わなければならないという結論が出まして、目下法案を国会に提出している次第であります。それに伴う地方の負担がどのくらいになるかと申しますと、直轄分担金を除きまして地方の五カ年の所要額は千九十億程度になります。千九十億のうち三十三年度が百六十一億、三十四年度が二百十六億程度になると思います。従って三十五年以降の三カ年で七百十三億という程度でございます。これに伴う地方の負担でございますが、五カ年の地方道路譲与税は八百三十九億程度に推定いたしております。このほかに軽油引取税の現行税率分が五百二十四億程度でございまして、合せまして約千四百億。先ほど申しました純地方費の負担が千九十億。もちろんこのほかに地方では地方単独というものの需要がございます。今の計数で申し上げますと、所要額を特定財源の方がこえているわけでございます。これは別途地方単独事業がございまして、地方としてはそれをもまかなうということで、今回軽油引取税をキロリットル当り四千円の引き上げを行わなければ、地方として財源上困るということもございまして、国の揮発油税、軽油引取税あわせて引き上げを行うという措置をとりました。
  55. 田村元

    ○田村分科員 時間がおそいですからこの辺でけっこうです。
  56. 早稻田柳右エ門

    早稻田主査 午前中はこの程度にとどめまして、午後二時より再開することといたし、暫時休憩いたします。     午後零時五十五分休憩      ————◇—————     午後三時七分開議
  57. 早稻田柳右エ門

    早稻田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  建設省所管について質疑を続行いたします。田村元君。
  58. 田村元

    ○田村分科員 産業開発青年隊に関しまして若干の御質問をしてみたいと思います。現在建設省所管の産業開発青年隊に対して、農林省所管に農村建設青年隊というのがあるわけでありますが、これは農林省と建設省に分れておりますけれども、私ども実際に実地をながめてみて、性格的にあまり変らないような感じがいたすのであります。この際、建設省側からは産業開発青年隊というものの性格なり意義なり、また農林省側からは農村建設青年隊の性格なり意義なりを、簡単でけっこうでございますからお述べを願いたい。
  59. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 産業開発青年隊の建設関係の編成については、すでに皆様御承知のように、国土建設の筋金を入れていく、青年の、将来国土建設を担当するような者の卵を養成するような気持で、人数はあまり多くありませんけれども、国土建設の将来の重要な役割を演ずるような人物を養っていこう、こういう考えで青年隊の養成をしておるような次第でございます。今日すでに約四千人程度の就労者を出しておるのでありますが、これらの人たちが各方面に出て参りまして非常に好評を博しております。従ってこの訓練施設を終えた者に対しては非常に強い要望がありまして、いわゆる就職難というようなことは絶対にありません。各方面で非常に好評を博しておるので、私どもはこれを一つじみちにりっぱなものに仕上げていきたいという考えを持っており、御承知のように今回の予算におきましても中央隊を三隊ふやしまして、そして施設の充実をはかると同時に、その内容についてもがっちりした教育をやっていこうということで、建設省としては、事柄は小さな問題であるようでありますけれども、非常に重視をしましてこれを進めておるような次第でございます。
  60. 田村元

    ○田村分科員 そうしますと国土建設の筋金を入れていく、つまり将来国土建設の任に当って重要な役割を果していくべき立場にある技術者の養成ということのみであって、二、三男対策ということはあまりお考えでないわけですか。
  61. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 同時に二、三男の対策にもなりますし、将来海外に発展するようなそういう意味もありますし、すでに海外に発展しておるものもたくさんあるわけであります。国土建設の根幹要員を養う、同時に他面をいえば二、三男対策にもなる、そういう考えを持って進めております。
  62. 田村元

    ○田村分科員 ではおそれ入りますが、政務次官から……。
  63. 石坂繁

    ○石坂政府委員 建設青年隊に関しまして非常に関係の深かった田村委員の御質問でございますが、農林省関係の農村青年建設隊は、御承知通り昭和二十七年に創設いたしましてから今日まで、主として農村建設を目的といたしまして開墾、建設土地改良等に訓練を向け、またこれに従事して参ったのであります。従いまして修了後の就職あるいは仕事の場もこういう方面に多く働いておるような状態であります。古来の農村の二、三男対策ということは、この農村青年建設隊の大きな目的の一つであります。さらにこの後はこの青年隊の活動の面を今申しましたような面で充実いたして参りますと同時に、漸次海外移住関係といたしましても強力に取り上げて参りたい考えでおります。
  64. 田村元

    ○田村分科員 今建設大臣並びに農林政務次官からその意義に関して御説明があったわけでありますが、国土建設の筋金である——まあ農林省の場合も同じようなお話でありますが、筋金を入れるのだというような考え方ならば、それのみならば私はあえてどうこう論ずるものではありませんが、少くとも二、三男対策ということに相当な重点を置いておられる。特に農山漁村の二、三男対策は、農山漁村の零細経済をも救うべきものであるという考え方からすれば、どうも現在の規模あるいは運営の仕方においては微々たるもので、私は二、三男対策に有効な効果を上げ得るなどとは実は考えておりません。これはむしろ特殊の少数の人に対して特殊技術の養成ということ以外に、私は意義がないような感じがいたします。でありますから二、三男対策ということにあくまでも相当な重点を置かれて、建設青年隊というものを育て上げようというお考えがあるならば、私は率直にいって今のように両省に別々に配属せしめているようなことであっては、問題にならぬと思う。これは字句の上では農林省の方と建設省の方と相当違うのでありますが、しかし現実に現地へ行って青年隊の諸君と語り、あるいはその働いておる、あるいは学んでおる姿をながめてみますと、ほとんど変らない、全然変らないと言ってもいいくらいなんです。青年隊を一本化して、その中に両方の科目を合せて統合してしまえばそれでいいし、その方がまた運営がスムーズにいくのではないかと私は思います。  それからまた現地を視察してみますと、これは大臣、政務次官、いらしたかどうか知りませんが、実際に現地を調査してみますと、農林省と建設省の青年隊はニュアンスにおいて全然違っておる。やっておることはほとんど同じなのでありますが、その持っておる感覚その他はもう全然違っておるというような状況であります。私は両方の青年隊が感覚を異にしておることは、これはある意味においてはいいことであるとも思いますけれども、しかしそれが横の連携をあまりやらないで、縦一本で独自のことをやっていくときに、いろいろとマイナス面が生じてくるのではないかということを憂えております。そういうわけでありますから、この際、私は両省が思い切って話し合われて、建設隊というものを一本化すべきであるというふうに進言をいたしたいのであります。就職の問題、海外移住の問題、あるいはその他勉学、勤労等においてもやはり一本化して、そしてこの規模を拡大し、内容を充実せしめることこそ、隊員が最も望むところであり、またその意義がりっぱに生きてくるものと考えるのでありますが、この産業開発青年隊並びに農村建設青年隊の統合、一本化ということに対して、建設大臣並びに農林政務次官はどういうふうにお考えでありますか。その御意見を聞かしていただきたい。
  65. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 産業開発青年隊と農業の方の青年隊とを合体したらどうかという御意見でありますが、この二つの青年隊の発生して参りました沿革からいたしまして、それぞれはっきりした目標を持っておったことと思います。一つは将来農業建設の基幹要員を作っていく、他方は国土建設の基幹要員を作るのだというふうな、沿革的には二つはっきりした目標を持って進んできたと思うのであります。現在といえどもそれぞれの特色は持ち、それぞれのはっきりした目標を持っておると思いますが、だんだん接近しておるかのように伺います。従って私ども一つもこだわるものではありませんが、これを合体して一本にして、それを建設省の方がとるとか、あるいは農林省の方がとる、そういったような所管の問題などには触れないで、そういう問題を議論しておると切りがないのでありますから、むしろ内閣あたりに統合いたしまして、そして分散されておる力を一本にまとめて、強力に出ていくということは、非常にけっこうなことではないかと私は思うのであります。ただそれぞれの建設隊の当初から持っておるねらいというものを見失わないようにして、それぞれに生きるような方法を考えていくことが非常に大事だと思いますので、それらの点は専門家が集ってよく検討して参ったらいかがかと思います。そういう意味で私どもは一つもこの問題にこだわってはおりません。おそらく農林省もそうだろうと思います。両省力を合せて一ついいものを作ることに大いに努力してみたい、こう思います。
  66. 田村元

    ○田村分科員 参考までに申し上げますが、実は今の大臣の御説明は逆なんです。最初に青年隊ができましたときは、むしろ一本化すべきという意見の方が強かったわけです。しかも名前も国土開発青年隊とか、産業開発青年隊という名前を両方ともつけたらよかろうじゃないかというふうな、実は構想であったわけなんです。しかし農林省と建設省に分けてしまったものですから、そこにそれぞれの性格なり目的なりが別個に形づくられておった。ですから、建設大臣が今おっしゃったのは逆であって、むしろ大臣は別なものがほぼ同じような性格を持ってきたのじゃないかとおっしゃったのですが、今までの沿革からいけば逆で、同じものが別な方向に分れていった格好なんですね。そういうことでありますから、それは一つ御記憶にとどめておいていただきたいと思うのです。
  67. 石坂繁

    ○石坂政府委員 両青年隊を一緒にしたらどうかという御意見なんですが、これに対しまして建設大臣から御答弁がございましたが、農林省といたしましても、決してこれにこだわっておるわけではございません。ただしかしながら先ほど私からもお答え申し上げましたように、建設省関係の青年隊と農村建設青年隊はおのずからその目的、性格が異なっておると思います。従いまして従来の訓練の方法なりその気持なり、あるいはまた訓練を受けましたあとの仕事の場、就職の場等もおのずから異なっております。従いましてこの統合の問題につきましては、こだわってはおりませんけれども、それにつきましては十分に慎重に検討いたして参りたいと思っております。
  68. 田村元

    ○田村分科員 これは将来の話でありますから、あまり私の方からしつこくお尋ねすることもどうかと思いますが、将来一本化するために両省においてお話し合いを願い、御努力を願いたい。同時に、まあ何でもそうでありましょうけれども、特にこの建設青年隊の場合には、農林省、建設省のなわ張り争いといいますか、セクショナリズムといいますか、それが非常に強く出ておりまして、それがためにややもすると予算の裏づけ等においても、お互いに助け合っていくというよりも、お互いに阻害し合っていく面もたまに見られるわけなんです。そういう面がございますので、事この青年隊の問題に関しましては、金額はささいな問題であるかもしれませんけれども、青年の夢と希望を託した国家的な大きな問題であることには違いがないのですから、今後は両省の首脳部間においてもよく御相談を願って、そして大蔵省なりその他の官庁に当っていただきたいということを私からお願いをいたしておきたいと思います。  それから、これはもう個々の問題になりますから、計画局長と農林省の振興局長にお尋ねをいたしたいのでありますが、補導員の給与を含めた現在の身分保障は一体どういうふうになっておりますか、ちょっと御説明願いたいと思います。
  69. 美馬郁夫

    ○美馬政府委員 産業開発青年隊の補導員につきましては、先般来開発青年隊がいろいろ拡充して参りますと同時に、補導員の身分なり待遇の改善という問題が非常に出て参りまして、給与の改善につきましては従来非常に低かった待遇も、多少の程度ではありますが本年度予算において引き上げて参ったというふうないきさつもございます。ただ身分保障につきましては現在まだ十分納得がいくようなところまでは参っておりませんで、御承知のように補助員という日給の形の職員になっておる次第でございます。私どもはこれをもう少し引き上げる熱意は持っておりまして、いろいろ考えては参ったのでありますが、残念ながら現在官庁で行なっております準職員の資格の基準等と照らし合せましてなかなか問題もございまして、実現の域には達しておりませんが、できるだけこの方面に向って努力していきたい、こういうふうに考えております。
  70. 田村元

    ○田村分科員 今の日給というお話でありますが、どの程度ですか。
  71. 美馬郁夫

    ○美馬政府委員 現在は月に延べまして約一万五千円程度、こういうことになっております。
  72. 田村元

    ○田村分科員 一万五千円も出ていないのじゃないですか。私が現地へ行って聞いたところによれば、一万円以下じゃないのですか。そういうことはありませんでしょうか。
  73. 美馬郁夫

    ○美馬政府委員 お答えいたします。予算面では一万五千円の予算を取っておりますが、実際にこの予算を当てはめる場合におきまして、他の職員とのバランスその他学歴によりまして、いろいろ官庁の職員には他との比較上バランスがありますので、こういう関係から、現実にはおそらく一万円以下になっておる場合が多いと思います。
  74. 田村元

    ○田村分科員 補導員は学歴とか過去の経験というものをあまり見ないで突っ込みでどれだけということになっておりませんか。
  75. 美馬郁夫

    ○美馬政府委員 仰せの通り予算面ではそういうふうな一人当り一万五千円で何人ということになっております。
  76. 田村元

    ○田村分科員 それでは農村建設青年隊の方をちょっと振興局長にお尋ねいたします。
  77. 増田盛

    ○増田政府委員 農村建設青年隊の中央隊は四隊ございまして、補導員の謝金といたしまして七十四万一千円の予算を組んでおります。
  78. 田村元

    ○田村分科員 私はこの補導員というものに対する今までの政府のやり方は何かあきたりないものがあるわけであります。といいますのは、一般の学校の教員においてもなおかつりっぱに身分保障がされ、そして老後の安定まで約束せられ、給与の面でも相当思い切った処置がなされております。ところが補導員というのは、名前はなるほど補導員といえば何かお手伝いをするような感じでありますけれども、実際には一緒にキャンプの中で寝泊りをして、精神面の訓育から、また技術上の相談相手にもなり、あるいは教えていく、一般の学校の教員以上に重大な責任もあり、かつ隊員に対する影響力も大きいと思うのです。でありますから、今の補導員というのは月給が非常に安い、何の身分保障もされていないというので、こう言っては補導員の方に失礼でありますけれども、いわば物好きといったような人々がやっておるというのが私は現状だろうと思うのです。農村建設青年隊というものにいかほど予算を多くつぎ込んでも、補導員の質がよくならなければ何にもならない。しかし私はずっと見て参ったところによりますと、補導員は確かに質のいい人がそろっておりますから、その点ではまあまあ安心でありますけれども、しかしそれだけになおさらそういう質のよい補導員に対して、生活ができるかできないか、一体家族の生活なんかどうするのだろうというような程度の投げ銭的なつもりで、どうして今後青年隊の運営の充実を期することができるか、私はこの点を非常に憂えております。でありますから、この際両省はすみやかに補導員の身分の確立ということを十分に考えられて、少くとも一般の公務員並みにこれを扱われるべきではなかろうか。仏作って魂入れずという言葉がありますが、補導員に対してそういうような待遇をしておる間は、私は建設青年隊というものは決してりっぱなものにならないと思うのです。これは補導員がほんとうにとにかく一番大切だと思います。これは学校の先生もやり、それから寮母の仕事もやり、また舎監の仕事もやり、しかも身の上相談まで全部応じていくというのが補導員の仕事なんです。ですから補導員のことに対してもう少し人間的にいえば愛情を持って接しなければならぬし、また仕事の面からいえば建設青年隊というものを、それもそのポイントというものを的確に把握してもらわないと、私は問題にならないと思うのです。でありますから、どうか一つ早急に両局長が相談され、そして両省の統一をはかられて、統一ということは待遇その他の統一をはかられて、善処されることを望んでおきます。  それから次に青年隊員というのは、これは現地のキャンプで働いておるわけでありますが、実際に青森県の上北キャンプのようにすぐそばに機械公団でもあればいいけれども、そういうものがないときにブルドーザーその他必要欠くべからざる機械設備というものはどういうふうにしておられますか。これは建設省の方ですが、農林省の方もどうせ同じことですから、関連してお答えを願いたい。
  79. 美馬郁夫

    ○美馬政府委員 実はその点まことにごもっともでございまして、私どもの現在の産業開発青年隊がいわゆる間借り式の訓練になっておりまして、国有の機械を持ったキャンプなり施設でやりたいということでいろいろ計画は持っておるのでございますが、残念ながら、まだ完全なところまでは参っておりません。従って現在の段階といたしましては中央隊、府県隊ともございますが、主として河川なり道路なり、そういう現場の事業をやっているところを中心といたしまして、その区域の内部でいろいろ仕事に使っておりまする機械を実地にやらせながら訓練さすというふうな方法をとりましたり、また場所によりましては機械事務所という事務所がございまして、そういうところを訓練の場所にするというふうなことも現在やっておりますが、これはあくまでも糊塗的な方法でありまして、私どもは将来このキャンプには青年隊独自の機械を据えつけて参りたいというふうに考えております。
  80. 増田盛

    ○増田政府委員 農村建設青年隊でございまするが、この訓練は基礎訓練と実地訓練に分れておりまして、基礎訓練の二カ月間は相模原でやっておりまして、その間は、農地局の機械管理所がございまして、その機械管理所の機械でやっておるわけでございます。そのあとの実地訓練につきましては、やはり愛知用水公団とかあるいは機会公団とか、そういうところの現場の建設に携わりながら訓練をするということにいたしておりまして、そこの機械を借りてやっておるような状況でございまして、まことに間借り的なやり方で、建設省から申されましたようにこれはできるだけ予算措置を講じまして、自分の機械を持ってやり得るように今後はやっていきたいというふうに存じております。
  81. 田村元

    ○田村分科員 ブル乗り三年という言葉があるのです。ブルドーザーというのは乗り続けて三年しなければ一人前の技術者でないというのです。ところが建設青年隊の隊員の諸君が待ちに待ったブルドーザーに乗せてもらい、自分で運転もできるようになれるというときにおいて、やはりしばしばそれに乗るということが阻害されておるのです。というのは、よその機械を借りておりますから、その機械の操作をやっておる、いわゆる機械の所有者側の技術者が、全面的に運転から操作からあるいは修繕まで勉強させるようなことをなかなかさせないわけだ、それは中には親切な人もあるでしょうけれども。ですから乗り続けて学び続けて三年もやらなければ一人前にならないという、ブル乗三年という、そういうむずかしいことを、わずか数カ月や一年足らずでどうして——そういうふうに自分のものでないものを、うっかりよけいなところをいじくったらしかられるものを扱って、どうして一人前になれるかということです。これは最初に大臣が国土建設の筋金を入れるのだ、有能な技術者としての人物養成をするのだと言われた、その青年隊の発足の意義におよそ反した格好になっておるのが、今日の青年隊の設備の不足であります。でありますから、私は特にこの点を強く要望いたしたいのは、農林省の方は私はしっかり知りませんが、建設省には古くなって廃品同様のブルドーザーがたくさんあるはずなんです。それはもう動かなくていいのですよ。実際には修繕して分解して自分たちがいじくっておるだけでもこれは相当な勉強になるのですが、そういうものを回せないものでしょうか。一つ局長、すぐにといってもお困りかもしれませんけれども、そういうような方法はないものでしょうかね。
  82. 美馬郁夫

    ○美馬政府委員 その点は内部の問題でございますから、至急検討いたしたいと思います。
  83. 田村元

    ○田村分科員 ぜひそれをやっていただきたいと思います。青年隊のキャンプに行って一緒に私も寝泊りをいたしましたが、彼らがほんとう希望を持って、そうして学びかつ働いておるのを見ても、そういう設備がもう少し充実しておったらという気持が実に切なるものがあるわけでございますが、これは一つ農林省の方もそういう設備問題等に関して十分御留意を願って、でき得る限り——それはめちゃくちゃなぜいたくなことは無理でしょうけれども、今も言ったように廃品なんかを回すとか、あるいは役所のことですから中古品は同じ省内で転用することができると思いますから、そういうふうな親心をもってやっていただいて、そうして青年隊の存在意義をもっと効果的にしていただきたいというふうにお願いをいたしておきたいと思います。  それから同じような問題でありますが、隊舎の施設の改善であります。これはもちろん現地のキャンプということになりますと、りっぱなものができないことは当然でありますが、基礎キャンプはもう少し施設を改善されたらどうかと思うのです。それからまた現地のキャンプにおいても、いろいろと考えられなければならぬ点がたくさんあるというふうに思います。先ごろから建設省が採用されましたあのテントですね。あれは非常に私はいい思いつきだと思いましたが、しかしそれにおいても、いろいろな環境衛生面からいっても、あるいはいこいの場あるいは勉学の場という点からいっても、隊舎の施設の改善ということはしなければならぬ焦眉の急務だと思いますから、この点ももう御答弁は要りませんが、私の方から強く要望いたしておきたいと思います。実は詳しくいろいろと聞きたいのですが、あとに質問される方々が相当ありますので、私は大急ぎで先へ急ぎたいと思います。  次に、昼間作業をして夜学ぶというような建前をとっておるのですが、朝五時、六時に起きてきびしい軍隊式の——といいますと、ちょっと語弊があるかもしれませんが、要するにきびしい団体教育を受けて、訓練を受けて、そうして夕方になって隊舎に帰って参りますと、もう心身ともにへとへとに疲れておるというのが実際の姿だろうと思います。そういうわけでありますから、もう少し昼間の作業量を減らして、そうして肉体的疲労を緩和せしめて、勉学の時間を与えてやるというふうにはできないものでしょうか。私は現地へ行ってながめておって、つくづく感じたことは、ちょうどかっての軍隊——要するにきびしい団体訓練を受けて、そして隊舎に帰ってくる、腹が減る、ふろへ入って飯をかっ込む。そうするとあと出てくるものは何かといえば、居眠りくらいなものです。ところが昔はその居眠りを、きさまはたるんでおるというような軍隊訓練でありましたが、今はそんなばかなことはあり得ないことでありますけれども、しかし昼間一生懸命に働く、そうして特に重労働であります。われわれ普通の肉体の持ち主があの重労働をやったら、おそらくぶつ倒れると思うくらいの重労働、特に開墾作業というのは大へんだと思うのでありますが、それをやって、そうして帰ってきて勉強しろという方が、私は実際は無理だと思うのですよ。でありますからそういう点で、勉学の時間をも与えなければならぬのでありますから——むしろ私は勉学ということが主眼点にならなければならぬと思います。それは技術的な操作でいいのですから、お考えを願いたい。と同時に、働きにいってもらう日当、こういう問題の待遇改善の面も一つ考えてやっていただきたいと思うのです。大体普通の人夫といいますか、工夫といいますか、要するに普通の労働者をより高額の金で雇い入れておるわけですが、仕事をする量というのは青年隊の方がはるかに多いですよ。まじめにやり、参ったとは言わないのですね。実にすごいフアイトで働いておるわけです。それがまるっきりアルバイト以下の給与で押えられて、そうして機械なんかもろくに動かされないというような工合でありますから、そこに不平不満が起ってくるのは、これは無理もないところだと思います。こういう点、一つ十分お考えを願いたいのでありますが、今まで申し上げたことに対して、局長から御見解といいますか、お考えを承わりたいと思います。
  84. 美馬郁夫

    ○美馬政府委員 初めの青年隊の訓練の方針でございますが、私ども従来ずっとやってきた実績によりまして、昼間の作業は八時間、夜二時間の教育の原則をとってやって参っております。これは従来こういうふうな方針が一番いいのじゃないかということでやって参っておるわけでありますが、ただこれは基本方針でありまして、実際の訓練の現実の姿におきましては各場所々々によりましていろいろなやり方があるだろうと思います。昼間の作業の八時間があるいは延びて、相当無理なことをやる場合もありましょう。そういう場合におきましては、夜の場合を考えてやるというふうなこともやっていいのじゃないかと思っております。私どもいろいろ運営しておりまして、その間に実際隊員からの要望なり、あるいはやっている事業主あたりからの要望等がありますと、それを基礎にいたしまして、最もいい方法をとっていきたいというふうに考えております。仰せの点等につきましても十分検討いたしまして、最も理想的に産業開発青年隊が運営できるような方針をとって参りたい、こういうふうに考えております。  給与改善の問題につきましても、御趣旨はよくわかりました。ただ現場の給与の基準という一定のルールもございまして、それとの調和の問題がありますが、現実に私ども訓練隊をやっておりまして、いろいろ事業主なり、各方面から喜ばれており、非常にまじめに一生懸命に働いてくれるという評判は聞いておるのであります。こういう点も勘案いたしまして、給与の面もできるだけ改善していきたい、こういうふうに考えております。
  85. 田村元

    ○田村分科員 先ほどの御答弁の中で、日によっては大へん疲れる日もあるだろう、だから、そういう場合には夜間の授業の時間のことも考えていきたいというお説でありますが、これは実際には昼間の仕事で疲れる日もあるだろうどころの話ではないのです。毎日綿のごとく疲れ果てておるというのが、青年隊員の姿だと私は思うのです。でありますからそういう点で、そういう例外的な疲労というような考え方でなくして、毎日疲れて大へんだろうという前提の上に立って、いろいろと改善方法を御研究願いたいということを私からお願いをいたしておきます。  それからまた隊員の情操教育の問題とか、あるいは娯楽の問題です。現地のキャンプというのは、御承知のように電灯のついていないところが多いのです。開墾地でありますので電灯なんかあるはずがない。ですからラジオすらもない。もちろんテレビを見せろとかいうほどのぜいたくを言うわけではありませんが、私はせめてラジオなど聞かしてやりたいと思う。またちょっとした図書室に本を——教養雑誌はもちろん参考書として必要でありますけれども、ある程度娯楽雑誌でいいから、そういう娯楽雑誌等も備えて、そして心のなごやかさを取り戻すようにして参りたい。ただがむしゃらに働いて、そして疲れ果てて眠るだけでは、昔の学徒勤労動員とちっとも変らない、あるいは軍隊生活とちっとも変らないのであります。軍隊においても酒保というものがあった。でありますからそういう点で、もう少し情操教育の面においてもお考えを願いたいし、今申し上げましたような娯楽の面においても一つ十分お考えを願いたいと思う。大体各キャンプにラジオを一つずつ備えつけてやるというような金は私は実際技術的に操作できると思う。また毎月新しい雑誌を送ってやる、あるいは画報なんかを送ってやるということも、簡単にできると思うのです。それからまた大学生ではないのでありますから、そうむずかしい原書等は要らぬので、参考書等も相当そろえてやったって、その予算というものはそう莫大なものじゃない。実に微々たるものだと思うのです。でありますから、そういう点で十分お考えを願いたい。これは農林省の方も同様であります。次代をになう前途有為の若者たちが、今日しし営々として働いて、かつ学んでおる。大学生でもマージャンを打ったり、ダンスをしたりというような若い人が多い今日の世の中において、あの姿というものは涙なくして見られない真剣なものであります。私は山形の建設省のキャンプへ行って、隊員とともに涙をこぼした。女流作家が何人か視察に行って、そして隊員の手を取って、泣いてうつぶしてしまったそうであります。そういうことも私は聞いたが、みずからも涙をこぼしてきた。そういうような希望に満ち満ちた青年隊が、肉体的重労働に耐え、そして精神的孤独感を忍んで、ああして将来を思い、夢を持って勉強しておる姿——私は単なる橋をかけたり、道を直したりというような予算と同一視さるべきではないと思うのです。私はこの特定に建設大臣にお願いしたいことは、大臣、遊説とか視察に行かれたら、一つ各キャンプを見てやって下さい。これはほんとうに真剣そのものというか、今の日本にもこんな青年がいるのというような感激を受けるのであります。ですからこれはぜひ行ってやってもらいたいと思うのです。そうしてまた建設青年隊の問題が委員会で論議されたことは、これがおそらく初めてじゃないかと思うのですが、大臣もこれをよい機会として十分頭の中にしまっておいていただきたいということを私からお願いいたしておきます。  時間がありませんので、あと一、二問簡単にお尋ねをいたしますが、府県隊、いわゆる地方隊であります。この地方隊、特に府県隊というのは、建設省、農林省はどういうふうに考えておられますか。どういうふうに考えておられますかというとお答えがしにくいかもしれませんが、非常に重視されておられるのでありますか、あるいは将来なくそうと考えておられるのでありますか、そういう点について一つ両省から御説明を願いたいと思います。
  86. 美馬郁夫

    ○美馬政府委員 産業開発青年隊の地方隊と直営隊、言葉をかえて申しますと、府県隊と地方建設局の中央隊、こういう制度があることはお話の通りでありますが、私どもはこれは両方とも、車の両輪のような制度でありまして、別に地方隊であるから下であるとか、中央隊であるから上であるというふうには考えておりません。この地方隊こそは、現実に数の上におきましても非常に多いのでございまして、これが中心をなしていっておる、こういうふうに私ども考えております。
  87. 増田盛

    ○増田政府委員 農林省関係の地方隊でございまするが、地方隊は二十七隊ありまして、最近の情勢は、当初はやはりその地方の開墾建設に寄与しようというふうな考え方であったわけでありまするが、だんだんその地方における開墾が少くなって参りますにつけまして、海外に対する移住ということが相当出て参っておるのでございます。それに加えまして三十三年度から青年建設班が村においてできるようになりまして、その運動を主としてやって参りたいというふうに考えておりますので、府県の建設隊の方は大体現状程度に維持していきたいというふうな考え方を持っております。
  88. 田村元

    ○田村分科員 建設省の方は府県隊を非常に重視しておられ、農林省の方は府県隊をとにかく現状程度は維持したいというふうなお考え、その御趣旨はまことにけっこうでありますが、それならば現在の府県隊というものを各府県をどういうふうに扱っておるか、どういうふうな感じでこれを受け取っておるかということに論を進めなければなりませんが、都道府県と中央政府との話し合いはどういうことですか。つまり都道府県は喜んで受けておりますか。
  89. 美馬郁夫

    ○美馬政府委員 実はその点は私ども非常に遺憾でございますが、実を申しますと中央隊、いわゆる国でやっている場合は、一応予算的に申しますと年間五百五十万程度の隊費でありますが、県隊の場合は三百五十万というふうに非常にアンバランスになっておりまして、実は実施の県の方面からも再三、再四にわたりまして、中央隊と差別をつけるのは困る、補助率にいたしましても施設費が二分の一、運営費に至りましは三分の一というふうな状況でありまして、これは何とかして訂正してもらいたい、こういう要望が非常に強かったのでありますが、三十四年度予算におきましては残念ながらこれが実現を見なかったのであります。しかし私どもこの点については非常に強い熱意を持っておりまして、将来はぜひこの地方の要望に沿いたい。そういたしませんと、せっかく府県ではいろいろ熱意を持っておりますが、財政難等のために非常に熱意がさめて参りますし、また悪くいたしますとそこに入ります隊員に影響する場合も考えられますので、この点は今後はぜひ貫徹していきたいというふうに考えておるわけであります。
  90. 田村元

    ○田村分科員 農林省も同じようなことですか。
  91. 増田盛

    ○増田政府委員 これと同じようなことでございます。
  92. 田村元

    ○田村分科員 これは率直に言って各府県は迷惑しているのです。要らないわけなんですよ。しかし中には青森県であるとか秋田県、山形県とか、その他島根県とか、若干の府県は、当事者が非常に熱心でありますからいろいろのことを超越して一生懸命やっておりますが、総体的な面からいえば各府県は非常に迷惑を感じているのです。でありますから、何も強制的に受けなければならないわけでもないから、ごめんこうむろうかということになっている。これは結局補助の問題なんです。赤字がちな地方財政にとって、たといこれだけでも迷惑するわけなんです。ですから私は、それを政府で全額負担しろとかなんとかということは無理だと思います。全額負担するに越したことはありませんが、それは無理だと思いますけれども、補助の増額等はもう少し各府県の意見等を聞いてお考えになるべきではないか。  それと同時に、これは役所の方ではお気づきになっていない点かもしれませんけれども、各府県で青年隊を扱っている所管の役人は、大がい企画室であるとかなんとかいうようなところでやっておるのでありますけれども、これが全部県自体の職員なんです。そういうわけでありますから、何かにつけて情熱が足りぬといいますか、無責任な面が出てくるきらいがあります。非常に熱心な人もありますけれども。そういうわけで、私はむしろこの県の職員で青年隊を担当しておる職員に対しては、補助職員の特例を設けたらどうかと思う。政府が給与のどれだけかを補助してやるいわゆる補助職員ということは、今まであったはずなんです。他の役所においても。あるいは建設省でもあったかもしれない。この補助職員の道を聞いて、そして中央との縦横の連携を密接にしていくというふうにしなければ、私はなかなかうまくいかぬと思う。そういう点も一ぺん御研究願いたいと思います。ただし私が今申し上げたことが果して法制上できることかできないことか、それはちょっと私も自信がありませんが、一ぺんその点御研究を願いたい。農林省の方も御研究願いたいと思います。  最後に隊員の就職の問題であります。なるほど現在の隊員というものは、先ほど冒頭にお話があったように、就職は百パーセントである、引っぱりだこであります。しかし数が少いから特殊技能者として引っぱりだこなんであって、これを将来拡張充実する計画を立てていくとするならば、そう安直なものじゃないと思うのです。今、建設青年隊は非常にまじめであることが一つ、非常にいい青年たちがおるということ、過去の実績、それから特殊技能というような面から、みなが引っぱりだこである。同時に機械公団その他が優先的に採用しておるという点から、この点の悩みは全然ありませんけれども、しかしこれが将来大きくなっていけば、これは問題が起ってきますよ。必ず起ってくると私は思うのです。でありますからこういう就職問題に関して、青年隊に関しては、やはり両省がよく緊密な連携をとりながら、総合的、計画的なあっせん計画といいますか、それを確立していくべきじゃなかろうか、そういうふうに確立すべきではなかろうかというふうに私は思います。  また海外移住の問題もそうでありますけれども、海外移住班というものを中に持ちながら、それが政府計画通りに、海外移住班を全部海外へ移住させる自信がありますか。現実にあるでしょうか。これは農林省にも移住班がありましたね。——ありませんか。作っていないのですか。これは建設省どうですか。局長、将来のこの予算措置を講じた計画の人員を、全部海外へ移住させる自信がおありですか。
  93. 美馬郁夫

    ○美馬政府委員 現在建設省実施しております青年隊の中から、現在主としてブラジル方面でございますが、約六十人ばかりは送っております。しかし計画はそれ以上にありまして、現在三十四年度実施する青年隊あたりにつきましては、相当海外方面の需要も多いようでありますから、そういう面に送出したいという計画は持っておりますが、しかし果してこれが全部うまく実現していくかどうかという点につきましては、なかなか今のところいろいろ問題があると思います。
  94. 田村元

    ○田村分科員 お説の通りなんです。でありますから、そういう点でせっかく海外移住班というものを作っておるのでありますから、その海外移住のあっせんということは、すなわち政府が道を開いてやることがあっせんだと私は思うのですが、そういう点で、十分今後の対策をお立てになりますように要望いたしておきたいと思います。いろいろお伺いしたいことがたくさんございますけれども、一応私の質問はこのくらいで終ります。
  95. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 産業開発青年隊の問題について、ただいま田村分科員からいろいろな問題についての御意見なり御希望なりを拝聴しておったのであります。私はかって戦前に農民道場運動という、農民道場の問題が強く取り上げられておりました当時、文部省で言えばいわゆる督学官のような仕事を担当しておった経験があります。お尋ねの点等について、一々私はよくわかるような気がするのであります。第一の問題の補導員の待遇その他の問題でありますが、実はこういう訓練施設というものは、補導員のりっぱな人ができなければ成功しないのであります。もうこの補導員のいかんによって成否がきまると言ってもいいと私は思う。補導員の養成をまずしなければいかぬと思います。そうして補導員のような人たちは、あまり待遇を改善しろとか、施設を整備しろとかいうことをやかましく言わないのであります。しかも自分自身も非常に無理をするし、他人に向っても無理をさせていくという傾向が起きてくるわけであります。そういうのを事務的に県なりそれぞれ中央の官庁なりが、克明に見ておって、無理をさせないようにする。しかも中央官庁におる担当の者が火の玉のようになって、それこそ文字通り寝食を忘れてこの問題に専念するような態勢ができてこないと、私はだめだと思います。機械設備問題についてしかり、あるいは隊舎の問題についてまたしかりだと思うのであります。団体の教育のあり方等についても、これは理想的にいえば、その教師に当る補導員の人格にまかしていく。最も常識的なりっぱな人を補導員とし、その補導員を信頼して、補導員の補導員らしい教育をやってもらうということにまかしていくという態勢を作っていかなければ、これはできないと思います。県の職員の補助制度を設けたらどうだというお話もございましたが、私どもかつての経験から考えてみまして、教育の問題でありますから、県の施設ともなれば、県会あたりでぎゃあぎゃあやかましい議論があるようであります。ある者は書物を読ませる時間が多過ぎると言うし、ある者はその時間が少な過ぎると言いますし、一応どんな人でも教育については意見があるものであります。そういう場合にも、やはり中央で身分を安定させてやらなければいけない、中央も身分の安定した者を地方に置いてやらなければいけないのであります。そういうものを一切くるめて、産業開発青年隊の問題は、ねらっておることはきわめて重要なことをねらっておるのでございまして、今国家としてもこれを要求し、青年としてもこれまた非常に重視しておるのでありますから、この今の機運にそむかないように、この国民的な要望にこたえるように、しっかりしたものを作らなくちゃならぬと私は思います。しかし率直に申し上げますけれども、まだ態勢が十分できていない。でありますからこの問題については、また党の皆さんともよく相談をし、こういう問題についての特殊の考え方を持っておる方々、ことに若い人たちと一緒になって研究をしまして、そうして本委員会における論議がむだにならないように、この問題について来たるべき機会においてはさらに一歩を前進し、さらに数歩を前進して、しっかりしたものを作ろう、こういうことを私は深く心に銘ずるものであります。そうすることによっていい青年が出て参りますれば、決して就職に困るようなことはないし、これこそ全国民あげて要望するようなりっぱな人ができてくる。それが今の段階においては非常に大事なことでありますから、そういう考えでこの問題を抜本的に検討してみたいと思います。きょうの委員会のいろいろな御質問によって、私は非常に教えられました。建設省一つふんどしを締め直して、そうしてこの問題について再検討し、いいところはますます伸ばしていくと同時に、また足りないところは大蔵省方面ともよく打ち合せて、制度の万全を期することを深く決意して進んでいきたいと思います。そのことを申し上げておきたいと思います。
  96. 早稻田柳右エ門

    早稻田主査 上林山榮吉君。
  97. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 午前中島上、田村両分科員からきわめて参考になる住宅問題についての質疑がございましたので、御両氏がお触れにならなかった一、二の点について、私は建設大臣その他にお尋ねをしてみたいのでございます。  建設省においては毎年住宅の数をふやし、あるいは質の改善に意を用いられて非常に御心配になっておることは、われわれ具体的事実についてよく承知をいたしております。言うまでもなく住宅政策のねらいは、中産階級及びそれ以下の低所得者を対象として考えなければなりませんし、かつまた燃えない住宅、ことに大都市においては燃えない住宅というような方面に意を用いて、住宅政策を進めていただかなければならぬのではないか、こういうように私は考えるものでありますが、これは大臣も異議のないところであろうと考えます。しかしながら相当質の改善をし、相当の量の戸数の増加を毎年はかって参りましても、予算全体の割り振りから、住宅政策を国民のだれもが不平のないように徹底さしていくことはなかなか不可能であろうと思う。今後の御努力を積極的にお願いしなければならぬけれども、そこにはある程度大きなワクがある、こういうように私は考えるのであります。そこでそういうものを含んで住宅政策をもっと広く目標を持って、何か新しい手を一つ打つべきではないか。いわゆる政府公団住宅あるいは公庫の住宅あるいは大蔵省の所管である公務員住宅、こういうようなものは国の財政に関係のあるものばかりでございます。だから総体的な住宅政策を立てる上において、政府はもちろん予算をもっとふやしてもらわなければなりませんが、それ以外に新しい提案として、私はアメリカの住宅政策を現地に参りまして視察をし、それぞれの方法を聞いて参りまして、数年前衆議院の建設委員会においてこれを提案したことがございます。それはどういうことかといいますと、火災保険会社がアメリカにおいては国の住宅政策方針に並行いたしまして、あるいはマッチいたしまして、相当の住宅を保険会社みずからが作っておる。日本の戦後における火災保険会社は経営が悪かったのでありますけれども、もう数年前からだんだん経営もよくなり、最近に至っては相当の成績を上げておる。だからこの純利益を、政府が勧奨して、あるいは場合によっては立法処置をしてまでも、一つ住宅政策の片棒をかついでもらうというぐらいの新しい踏み切りをさらにしてもいいのではないか、こういうように私は考えるのであります。なお数年前建設委員会に火災保険会社の責任者の方々も来てもらいまして、建設省とも打ち合せをいたしまして、自発的にそういう方向に進みます、こういう明言を委員会においてされたことがございます。それ以後において火災保険会社の純利益から住宅政策にどれぐらい協力をしてきたか、この点まず過去の実績ないしは今後の住宅政策に対する新しい方向一つお持ちになる必要があると私は考えるし、これはまた不可能な問題ではなくして、努力のいかんによっては可能な問題である。国民の税金だけにたよらないで、税金以外においても住宅政策というものを考えていく、これには政府が指導助言その他の便宜も場合によっては与えなければならぬ、こういうように考えますが、これは非常に重要な問題と私は思いますから、一つ大臣一般的な基本的なお考えを承わって事務当局の補足のお答えがあれば幸いと思います。
  98. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 御指摘のように住宅政策は三十二年度から五カ年計画を掲げまして今まで進んで参ったのであります。三十四年度の計画を見ましても、政府住宅二十一万戸に対して自力建設大体三十五万戸を予定しております。その数字が示すように、やはり自力建設が非常に大きな意味を持っておるわけでありまして、自力建設を何らかの形でプッシュし、そして建ちやすいようなそういう環境を作り、あるいは政府が積極的にこれをプッシュする、こういうことはきわめて必要だと思います。先ほど来、午前中のこの分科会でも島上委員その他からいろいろ御質疑がありましたが、一つ方向としては低家賃住宅にもう少し角度をはっきりきめて、住宅政策検討をしなければならぬということを私は申し上げましたが、同時に今後の住宅政策の問題としては、自力建設の方面に対してやはり新しい創意と工夫を発揮しなければならぬと思うのであります。今きわめて示唆に富んだ御指摘がありましたが、こういう問題についても慎重に考えて参りたいと思います。
  99. 稗田治

    稗田政府委員 火災保険会社から住宅政策にどのような協力が現在までにあったかというお尋ねでございますが、公団の借り入れ資金におきまして、三十一年の三月三十一日に公団の方で五億円借り入れております。そのほか住宅債券を公団の方で発行しておりますので、それの引き受けが若干あるわけでございますが、どのくらいの額を最終的に引き受けたかという数字は手元にございません。
  100. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 前の住宅局長の鬼丸官房長もおられるようでございますが、この問題は、私は政府はもう真剣に積極的に取り組んでいいチャンスである、こういうように考えるのであります。当委員会における質疑応答あるいは院外における要望からいいましても、住宅の数が少い、あるいは低額所得者住宅をふやさなければならない、あるいは住宅の質の改善をはからなければならない、こういうような議論が出るのですが、問題は財源の問題なんです。財源を考えない議論というものは、私は砂上の楼閣のような結果になる議論だ、こういうように考えるので、保険会社にとっても、燃えない住宅を自分が作って、そうして住宅政策の一端をになっていくということは、私は一挙両得の経営である、こういうように考えるし、今一部公団の資金として五億円の拠出があったということでありますが、その程度では積極的に、たとえば先進国のごとく、ことにアメリカのごとく保険会社が住宅政策に協力しておるものとは考えられないのであります。ことに保険会社がなし得るものは、公団がやっておるような住宅あるいは中産階級向きの住宅を火災保険会社が担当して、そうしてその余った財源をいわゆる低額所得者住宅増加に充てるなり、あるいは質の一般的な改善に向けていくなりしていくことが、これは必要なことであり、またその結果においてできることになるのであります。建設大臣住宅政策一般について非常に御熱心であるようでありますので、あなたの在任中に一つ保険会社その他とも再検討していただいて、もっと積極的に、あるいは資金の融通をするのも一つの方法でありましょうが、それよりも燃えない住宅、しかも公団がやっておるような住宅は火災保険会社が作る——全部とはいかぬまでも、その何割かを担当していくのだ、これは五年計画なり十カ年計画なりを保険会社が作ってもらう。これが平和的に永久にいくものなら立法措置は要りませんでしょうけれども場合によっては、話し合いのつくものなら立法措置をして、純益の何%はこれは住宅政策に自発的に協力すべきであるというような、道徳的規定でも、精神的な規定でもけっこうでございますが、そういうような前進をはかっていくことが必要である、こういうふうに考えますので、この点について一つ単に検討してみようではなく、積極的に検討してみて、できるだけ、支障がない場合はそういう方向へ踏み切ってみたいというくらいの熱意を示されることが、私は国民に対する、あるいは利益だけを追求しているといわれる火災保険会社、こういう方面に対する一つの反省の資料にもなろうか、こういうふうに考えますので、これは一つ大臣からまずお答えを願っておきたいと思う。
  101. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 住宅問題については非常に熱心にやっておるつもりなのでございますが、実は保険会社との関係において、一方の片棒をかつがしていくというような問題については、まだはっきりした結論を得ていないのであります。よくおっしゃることもわかりますし、きわめて示唆に富んだ御意見と思います。十分検討いたしまして、そしてこれがよしという結論になりましたならば、ちゅうちょしないで一つ私はずばずばやったらどうか、こう思っております。もう少し検討の時間を与えていただきたいと思います。
  102. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 熱心な含みのあるおり答えでありますので、一つ積極的に御検討願ってぜひ実現するように努力をする、こういう方向で進んでいただきたいと思います。そこで、これもまた結局財源に関係してくるし、あるいは家賃に関係してくる問題でございますが、私はそのときにもこれに関連いたしまして保険会社の重役諸君に建設委員会に来てもらいまして要望したことは、低額所得者等の家賃あるいは公庫でやっておる住宅の家賃、これをできるだけ安くしなければならぬが、その一つとして提唱したいことは、こういうようないわゆる半ば文化政策であるが、低額所得者等の問題の住宅は、これは社会政策であるということを大臣もお答えになった通り、そういう性質のものであるから、できるだけ保険の料率は、ほかの一般住宅よりも安くしてもらわなければならない、こういう提案をしたのでありますが、これに対しては安くしましょう、努力をいたしましょうということで、一応の数字もその当時承わって、私どもは了承したことがあるのでございます。これに対してはその後どうなっておるか、さらに御承知通り不燃住宅を作ることにだんだん政府も努力をしておられるのでありますから、料率はその当時よりもさらに一歩進んで安くなっていなければならない、こういうように考えるのでありますが、これに対するその後の経過を、これは住宅局長からでもけっこうでございます。
  103. 稗田治

    稗田政府委員 住宅金融公庫の融資住宅に関する保険料率は、一般の普通火災保険料率に比較して、昨年十二月までは二五%割安でございましたが、今年一月以降は三〇%の割安ということになったわけでございます。なお公団賃貸住宅については、これは自家保険で積み立てておるものでございますから、料率は省令できめた範囲内でやっておるわけでございます。
  104. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 公庫住宅に対して火災保険会社がだんだん協力しておることは、数年前のことを忘れないで、しかも建設省が督励をした結果であろうと思いまして、私は満足をいたしますが、さらにお尋ねいたしたいことは、公団住宅及び公庫住宅建設省所管、公務員住宅は大蔵省の所管ということになっておりますが、住宅政策一般論としては、それぞれ独自の見解はあろうけれども一般論としては、建設大臣が相当重大な関心を持って、総体的な計画をお立てにならなければならぬ、こういうように考えますが、この前提をどうお考えになりますか。
  105. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 所管の問題についてはいろいろ過去のいきさつがあり、その建設費の出方等については一律でありませんので、こういうふうに分れておることは理由が相当あると思います。しかし将来住宅政策を進めていく場合においては、公務員の住宅にしても、あるいは一般的な低所得者の住宅にしても、やはり総合的に、どこから先に手をつけて、どこを先に完成すべきかというような住宅政策全体としてやるべきものであると思いますので、そういう点をも検討して、政府部内で十分話し合っていくべきである、こういうふうに私は考えます。
  106. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 住宅政策全体としては話し合っていくべきである、個々の歴史もあり、目的も違う点もあるから、それは所管が違ってもやむを得ない場合があるけれども、原則としてはそうすべきである、こういうお答えで、もちろん適切でありますが、今まで一回でも関連事項についてそういう御連絡をされたことがありますか。
  107. 稗田治

    稗田政府委員 政府計画住宅の中に、その他として公務員あるいは厚生年金等の住宅が三万戸入っておるわけでございますが、公務員住宅については、大蔵省と折衝したことは、私は覚えておらないわけでございますけれども、厚生年金の住宅については昨年においてもいろいろと折衝したわけでございます。ただ一応現在としては住宅金融公庫による産業労働者用の住宅でございますが、それと厚生年金の住宅とがちょうど同じ供給世帯のところで競合するような形になっておるわけでございます。それにつきましては、今とられておりますのは、地方の府県の窓口のところでできるだけ調整をするということでやっておるわけでございますが、なお今後ともこの調整につきましては十分努力を重ねていきたいと思うわけでございます。
  108. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 あまり連絡調整がうまくいっていないようでございますので、今後積極的にそういう調整をはかってもらうよう、大臣にも事務当局にも私は要望いたしておきます。  そこで、これは大臣からでも、住宅局長からでもいいのでございますが、公務員の住宅が三・三平方メートルといえば一坪ですか、この一坪の値段が百円である。これと、たとえば公庫住宅の一種ないしは二種の住宅と比較して高いと思いますか、安いと思いますか。この点をまずお伺いいたしておきます。
  109. 稗田治

    稗田政府委員 公営住宅の第一種におきまして、午前中にお答えしましたように、三十四年度における平均の家賃は各構造を突きまぜまして二千三十円ということに相なるわけでございます。それから第二種の方は千百十円というようなことに相なります。従いまして第一種公営住宅は占有面積は約十坪でございますので、平均しますと坪当り二百三円。それから第二種公営住宅におきましては、これは階段等を除きました占有面積におきましては八坪程度でございますので、百三十円程度に相なるわけでございます。
  110. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 大蔵省にお伺いいたしますが、公務員住宅は大蔵省の管財局の所管だと思いますが、今建設省側からお答えがあった通り、せいぜい公務員住宅は第一種住宅以上の人たちが利用すべき住宅が多いだろう。公庫住宅で第一種に入っておられるような人たち以上の人たちが、公務員住宅には実際問題として入っておる。こういうことを考えますときに、一方社会政策的な意味を含んだ低額所得者、こういうものを公庫住宅は考慮に入れて、それでも家賃は第一種で一坪当り二百三円、第二種では百三十何円、公務員住宅はそれよりもりっぱなのが相当あると思いますが、また資力においても相当な人たちと思いますが、大蔵省の方においては、高いと思うか、あるいは適切であるというふうに考えておられるか、この点をまずお答え願ってから次の質問をしてみたいと思います。
  111. 谷川宏

    ○谷川説明員 お答え申し上げます。公務員宿舎の一カ月の一坪当りの使用料は、普通のものにつきましては、今お話がございましたように百円でございます。二戸の坪数の比較的多いもの、すなわち上級者が入居するようなものにつきましては百十円ということになっておりまして、この料金は非常に適切な料金だと考えております。
  112. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 あなたとしては苦しい立場もあるのでありますから、そうおっしゃるのも無理はないと思います。しかし常識的に考えますと、住宅公庫の一種の方ははっきり社会政策的な意味を含んだ住宅ですね。それでありながら料金は今言うように一坪当り第一種は二百三円、第二種は百三十何円、こういうふうになっておるのだが、公務員住宅の方は下級者というのをどの辺にポイントを置いておられるか知らないが、下級者の方は坪当りで百円、上級者の方で百十円、これが適切でございますということは、私は常識としてはあまり当らない、こういうように思うのでございます。そこへ、そんなに安い公務員住宅を、今度はたとえば煤煙がする場所であるとか、あるいは騒音のひどいところの家賃——坪当りわずか百円の家賃、そういう家賃がどこにあるだろうと、これは国民が聞けばびっくりすると思いますが、それをまた一割値引きをしようという考えがあるとか、あるいは準備をしているとかいわれておりますが、それは事実でございますか。
  113. 谷川宏

    ○谷川説明員 まず第一の問題についてお答え申し上げますと、公務員宿舎と公営住宅その他一般住宅と異なる点をまず御説明申し上げます。第一に公務員宿舎に居住する国家公務員は、転勤あるいは退職された場合におきましては、即刻その公務員宿舎を国に明け渡す義務があるわけでございます。一般住宅でございますと、賃借人当人が死亡したような場合、家族は引き続き賃借権を行使いたしましてずっと借り受けをし得るわけでございますが、今申し上げましたように公務員宿舎の場合は、そういう借家法の保護を受けていないということが一つ。第二に異なる点を申し上げますと、国家公務員宿舎につきましては、国が国の事務事業の能率的な運営のために公務員に住宅を提供するわけでございますので、その建設資金に対しまして普通の民間の家賃の計算をする場合におきましては、その建設資金につきまして利回り計算をするのが適当と考えますが、国の場合におきましては、国がその使用人に対して国の事務事業の運営のために提供するという観点からいたしまして、その建設資金につきましては利回り計算をしていないわけでございます。  以上二つの点が非常に大きな食い違いの点でございますが、そのほかにも違う点があるわけでございます。現在の国家公務員法によりますと、有料宿舎の使用料は、その標準的な建設費用の償却額、修繕費、地代及び火災保険料に相当する金額を基礎とし、居住の条件その他の事情を考慮して政令で定める算定方法により各宿舎につき決定する、こういうことになっておりまして、私どもといたしましては基礎にとるべき項目といたしまして建設費用の償却額、これは利息、利回り計算をいたしませんが、償却年数期間を通じまして完全にこれを回収し、また地代、火災保険料につきましても完全に回収する。それから修繕費につきましても予算に計上されて支出されまする額につきましては完全に回収する。これを具体的に御説明いたしますと、耐火構造の場合におきましては、現在の建設の実績は一坪六万六千円でございまして、これを七十年間に償却すると仮定いたしまして一月の償却額を出し、修繕費につきましては予算の坪当り年額三百円をもとにいたしまして、月額を出し、また地代につきましても全国平均的な地代をもとにいたしまして月当りの地代を出す。保険料につきましては、実際に火事で焼けた場合に再建築するという自家保険の構想を前提といたしまして、その火災による再建築の国の予算の支出額をもとにいたしまして計算をいたしますと、耐火構造につきましては月額九十円、同じように計算をいたしまして償却の期間は簡易耐火構造、すなわちモルタル、ブロック作りの場合、あるいは木造の場合におきましては償却期間は六十年、三十年と計算いたしまして、いずれも残存率を二〇%と見ますと、簡易耐火構造の場合九十円、木造の場合は償却期間が短かい関係で百十円程度になりますが、これを現在の耐火構造、簡易耐火構造、木造の全国のレートを出しまして、平均いたしますと坪百円になるわけでございます。  次に第二の問題でございますが、新聞で今お話のようなことが出ておりましたが、これは目下検討中の事柄でございまして、ただ国家公務員法及びそれに基く政令、省令等に現在規定がございまして、騒音その他の事情でその公務員宿舎の環境が著しく不良な場合には、ある程度の調整をすることができるという規定がございますので、その点を具体的にどう実行するかという問題が残されておるわけでございますが、この点につきましても一律に全部一割引くとかいうようなことを考えているわけではございませんで、たまたま古く建築した公務員宿舎の付近工場その他ができまして、非常に環境が悪くなっておるというようなところ、これは私ども現在全国調査中でございますが、全体としてはそうたくさんはないわけでございまして、かりにそういうような状況がわかった場合におきましては、全体的に公平にバランスのとれるように若干の調整を加えることにしたいと考えまして、実情を現在調査中でございます。
  114. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 ただいま非常に詳しい御説明がございましたが、ほかの予算編成に対しては、大蔵省はなかなかうまく数字を御説明にはなるのですけれども、ただいまの御説明はちょっといろいろな点において矛盾があるし、あなたも非常に立場上ではありますが、苦しかっただろうとお察しいたしますが、私としてはただいまの御説の中で、第一に借家法の影響を受けていないから、ある意味において家賃を安くして保護しなければならない特殊な事情がある。あるいは利回りとかいうようなものは全然考えてはおらぬ。しかも地代も全国の平均である、こういう説明をされたわけですが、私は時間がありませんのでこの全部について私の意見を申し上げてお尋ねすることもできないと思いますので、ただ一点だけ、借家法の保護を受けていないから家賃が安いのだ、こういう御議論でございますが、これは私は全然理由にならぬと思う。理由にならなぬという一点を申し上げますならば、それならば現在退職したり、あるいは転任になったりしているもので退去しなければならぬ、予約の期間も過ぎておるのに現在住まっておるのは何人おりますか、相当の人が中にはおるようでございます。名前は申し上げませんが、そういうような状態であることを思うときに、借家法の保護がないことをいいことにして、家賃は安かった上にほかの公務員の人たちが入りたい、非常に熱心な申し込みがあるにかかわらず、それを占拠しておる、立ちのかない、相当長い期間立ちのかない、こういうことだと思いますが、この点は一体どういうふうになっておりますか。
  115. 谷川宏

    ○谷川説明員 お答え申し上げます。ただいまの御質問でございますが、借家権が公務員宿舎につきましては存在しないということにつきましては、私どもは税金の計算に準じまして三割を控除する。これは相続税その他税金を計算する場合に、借家権がない場合におきましては三割を控除しておるということを持って参りまして、計算上三割を控除しておるわけでございますが、ただいまの人数どのくらいあるかというお尋ねでございますが、現在登録者が全部で八万二千戸程度ございますが、そのうちで法律によって明け渡しをしなければいけないものがなお残っておるという人は、数字は今正確にはお答えできませんが、非常にわずかな数字になっております。大体におきましては全国で二、三百人程度だと思いますが、この点につきましても私どもは各所に対しまして明け渡しの事由の発色いたしたものに対しましては、すみやかに明け渡してもらいたい、場合によりましては訴訟を提起しておるものも一件ございます。それからさらに先般の国会におきまして、国家公務員法を全面的に改正いたしまして、ただいま御指摘の点の解決の規定を作ったわけでございます。それは国家公務員宿舎法の十八条の第三項でございますが、明け渡しの義務があるものが明け渡さなかった場合におきましては、その日以降従来の家賃の三倍に相当する金額以内において損害賠償金に相当する金額を徴収することができるという規定を設けまして、すなわち従来百円でございましたのが、そういう明け渡しの事由の発生いたしたものが明け渡さなかった場合におきましては三百円を納めなければいけない。これはそういう人たち借家権がないとかいう理由がそのとき以降は当てはまらなくなりますので、第一種の公営家賃以上に三百円程度まで取って、ほかの人たちとの権衡を考え、そういう見地からも適切に処理をしよう、かように法律を改正いたしまして、四月一日から実行する段取りになっておるわけでございます。
  116. 上林山榮吉

    ○上林山分科員 私の調べたところでは、期限がきて資格がなくなって退去しない者の数はまだ多いのでありますが、それは争いませんが、あなたの言う三百名の人が、中にはもう一年あるいは二年、人によると三年というのもあるようであります。それを明け渡して、そしてほかの困っておる公務員の諸君にこれを提供していくということが、私は行政事務としては親切なやり方だと思う。しかし世の中は一升ますではかったようにはなかなかいかないのでありますから、多少の考慮はやむを得ないでしょうが、やはりこれは事務的にも人情的にもできるだけ早く出てもらって、新しい困っておる公務員の人たちに機会を与えていく、こういうつもりで善処を願わなければならぬし、もちろん家賃は高いより安いがいいし、安いよりただの方がいい。これはもうわかっている。しかし長く経営をしていかなければならぬことを考えますと、そういうことにもいかないのでありますから、やはり第一種、第二種の公営住宅とよく調整をとって、そうして百軒でも五百軒でもよけいに住宅が新しく建つように、こういうような考え住宅の経営をやっていくことが、——公務員であるからといって特別の特権があるというような住宅政策は、私はあまり国民としては喜ばしいことではない、こういうように考えますので、これに対してお答えがあれば答えられてもいいが、答えがなければそれでもいいのであります。  最後に私は建設大臣に、ただいまお聞きの通りでございますので、住宅建設全体としてやはり政府がやることでありますから、閣僚があるいは事務当局がよく連絡調整をとって、まあまあどこから見ても常識的だなという結論を得られることがいいのじゃないか。それでないとあなたの所管する住宅政策にも影響がある。たとえば今騒音がひどい、あるいは煤煙が多い、こういうところは、かりに公務員住宅がところによっては一割あるいはそれ以下のところもありますが、値引きをするということになれば、これに準じて公営住宅の方も値引きをせよ、こういうことにもなってくるのですが、かりに公務員住宅の方の値引きがあっても——今度のお出しになっておる公営住宅法の一部改正案を見ても、多少それに似たような規定もあるが、これは公務員住宅の場合の感覚とは全然違った法律の内容である、こういうふうに私は理解しておるが、この点はどうですか。そういうような騒音ないしは煤煙のひどいところは、公務員住宅に準じて公営住宅公団住宅等も一割程度以下の値引きをするかもしれぬ、こういうような研究を進めておられるかどうか。
  117. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 住宅問題について、公務員住宅あるいはまた公営住宅、その他の住宅全体について、総合的な観点から公平な政策を立てていかなければならぬことは当然だと思います。公務員住宅につきましてもそれぞれ事務的には連絡してやっていることと思いますが、今後御指摘のように内閣としましても、関係大臣それぞれよく連絡をいたしまして、そして一つの種類の住宅だけが突っ走ってしまうというようなことがないように、十分連絡を密にしてやって参りたいと思います。なお値引きの問題については住宅局長の方からお答えいたします。
  118. 稗田治

    稗田政府委員 お答え申し上げます。今国会に提案しております公営住宅法の一部改正につきましては、家賃の変更の場合等に、その建物の老朽の度合い等を勘案して家賃を決定するように指導するつもりでございます。従いまして家賃変更の場合にも、非常に他の公営住宅と均衡を失しておるというような、こういう建物については、事業主体の方でそこまで家賃を変更しないということは当然行われることと思っておるのであります。なお先ほど御説明申し上げました坪当りの家賃におきましても、これは三十四年度の予算の単価からはじけばそうなるということでありまして、これは年度平均の限度額であります。実際の事業主体の方ではそれよりも若干低額所得者のためには下回る家賃をきめておるわけでございます。なお家賃の負担力の少い者につきましては、今度の改正によりまして、積極的に減額を行なっていこうというつもりでございます。
  119. 谷川宏

    ○谷川説明員 先ほどお答えしなくてもよろしいという御質問でございましたが、お答え申し上げておいた方がよろしいと思いますので、簡単にお答え申し上げますが、先ほど建設大臣からお答えになりましたように、公務員宿舎の行政につきましても、一般住宅政策の一環として、建設省と十分連絡をとってやらなければいけないということは当然でございまして、私どもも常日ごろそういう精神で仕事をやっております。ただ公務員は一般の勤労者、国民と異なりまして、全国に広く地理的に分散しておりますし、また都市の周辺あるいは都市そのものに必ずしも宿舎を建てるということだけに限らず、いなかの山の中にも官署があれば、そこにたとえ無料宿舎を建てなければならないという事情もございますし、さらに一般の勤労者と異なりまして、命令一下北海道から九州まで転勤しなければならないというような事情もございます。そういう特殊事情がございますから、一般住宅政策とはその範囲の中でまた別個の考え方で、公務員宿舎の建設対策を立てる必要があるという観点から、大蔵省において所掌しておりますが、ただ大蔵省主計局におきましては一般公営住宅あるいはその他の住宅予算の審議と一緒に、公務員宿舎建設費の査定もやっておりますので、大蔵省全体としては統一をとってやっているつもりでおります。  さらに先ほどお尋ねの点、こまかい点でございますが、先ほど時間の関係数字の説明はある程度省略いたしましたが、土地は平均的な基準の百円を出す場合には平均的に単価を用いますが、法律、政令等によりまして、その土地が、高い土地に宿舎がある場合には十円あるいは二十円上げる。あるいはいなかの地価の安いところにおきましては、五円を下げる。あるいは建物につきましてもりっぱな建物とそうでない、たとえばふろの施設のないところは安くするとか、二十数項目にわたる加算、減算の調整をやりまして、きわめて合理的にこまかく個々の宿舎の使用料を決定しておりますので、御必要がございましたらまた詳しい資料を差し上げることにしたいと思っております。
  120. 早稻田柳右エ門

    早稻田主査 楯兼次郎君。
  121. 楯兼次郎

    ○楯分科員 簡単に三点ばかりお伺いしたい。第一番は、河川の関係でありますが、各河川の水系に発電所ができます。そのために上流の方は川底が非常に上って参りまして、降雨のときに少し増水をいたしますると、耕地及び農作物の冠水、それから埋没、決壊、それに伴う病虫害の発生というふうに、非常に上流の沿岸地帯は被害を受けておるわけです。これは通産省あるいは農林省にも関係があると思いますけれども、原因は発電所を作ったために、川底がうんと上って参ります。それを除かなければ、この災害、被害というものは除去することができぬ、こう思いますので、これの対策をお伺いをしたい。  それから今度は、発電所の下流の方の問題でありますが、降雨季に水門を開放します。そうすると、ただで争え増水をしておるところへ、一時にゲートを上げることにおいて、なおそこに水が加わる。そのために下流で甚大な被害が起っておるわけでありますが、これらに対する建設省としての対策、考え方をお伺いをいたしたいと思います。
  122. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 電力その他の目的のために、ダム建設がだんだん進んでいきましたことは、お説の通りでございます。しかもその中には、相当年限のたったものにおいては、非常に土砂を押し流しまして、そしてだんだん耕地その他に被害を及ぼしていったような問題も出て参りました。この問題については、ダム全体の責任は建設省が持っておるのでありまして、根本的に検討しなければならぬというふうに考えておるのでございますが、要するに土砂を押し流してくる、砂防工事が足りないということが一番大きな原因だろうと思うのであります。そういうダム等をかかえておるその上流部に、でき得る限りすみやかに砂防施設等をやりまして、そうしてこの被害をこれ以上大きくしないように努めていこうという基本的な考え方を持っておるわけであります。  それから下流部の問題につきましては、昨年数回にわたり台風洪水があったのでありますが、その際にも急にゲートを上げることによって、水を流すことによって、下流部に被害が起きた、こういう事件がございました。そのつど私ども係官を派遣いたしまして、真相を調査したのでございますが、どうも水かけ論のようなところが多かったのであります。しかし問題は、たくさんの水が一挙に流れてきて、被害を及ぼしたという事実だけはあるわけでありますから、これは水門の管理を厳重にしなければいかぬ。今の建前は、大体小さなダムにつきましては、県がこれを管理しておる。ところが県の係官は現場におらないのでありますから、いつ水門を上げたか、どういう状態において水門を上げたかというような詳しいことがわかりません。そこでやはり今後は県がもう少しはっきり責任を持って、単にダムに貯水されておる水の利害関係だけを見ておる電力会社にまかせないで、広く公共の利害という見地から、はっきりした態度をとることができるような県の係官に、十分にその監督をさせるようにしなくてはならぬということで、昨年のあの洪水がありました機会に、特に県に対しても注意を喚起すると同時に、事業主体である電力会社その他に対しても厳重な警告を発しまして、そうして再びそういう問題を起さないようにということで、十分指導監督をやっていく考えでおるわけであります。この問題については、一片の通牒を出したくらいでは、なかなか解決できない問題でありますので、なおその監督についての具体的なしさいなやり方というものをもう少し考えてみなくちゃならぬ、こう思っておる次第であります。
  123. 楯兼次郎

    ○楯分科員 降雨季のゲートの取扱いについては、今大臣が答弁されたように、ある程度の操作はできると思います。今後の担当者といいますか、関係者の取扱いによってできると思うのですが、上流の川底の上ったのは、これはもういかんともすることができない。そうかといって、水が出ると毎年そういう状態になるわけです。それで毎年上流の沿岸の農民は、困った困ったというわけで、まず発電所の会社に補償の要求をやるわけです。毎年一カ月か二カ月は補償問題で騒いでおるわけです。しかしこれは川底が上ったのですから、これを何とかしなければ永久にこの被害というものはおさまらない、こう思うわけですが、これに対する恒久的対策はどうかということと、それから川底の上ったのに対する対策がないとすれば、一定の基準をきめ、あるいは岸に接近しておるところは立ちのくなり、何らか恒久的な対策も講じてやらなければ、沿岸の農民は非常に悲惨である、こう思うわけです。こういう点について対策を承わりたい。
  124. 山本三郎

    山本(三)政府委員 ダムの上流に土砂がたまりまして、そのために被害を上流地域に及ぼしておるという現実の具体例が方々にあるわけでありますが、最も顕著なものは御承知のように天龍川の泰阜ダムというのがございます。このダム昭和十二年にできたのでございますが、終戦当時のたび重なる出水によりまして、御承知のようにダムの上流が埋没いたしました。それでこの問題につきましては、お説のように出水があるたびに補償をよこせというような話がございまして、時間はかかりましたけれども、そのつど補償の問題は曲りなりにも解決はしております。しかしこれをそのままほうっておいたのでは、お説のように毎年あるいは出水のたびに問題が起るのではないかということで、私どもも非常に頭を悩ましておるわけでございます。これは私も外国でこういうふうな土砂がたまらぬような方策はないかというようなことも、いろいろ聞いてみたのでございます。それからまた最近のいろいろな新しい方法も考えまして、何とか一つたまっておる土砂を下流にはく方法を、あまり金をかけないで自然にはけるような方法があれば一番いいわけであります。こういう方法を今検討しておりますが、具体的には、やはり今あるダムを少し低くしまして、そうして上流の川があまり広いところは、ある程度ふだんの水幅を狭めてやりまして水深を深くすると、その分の土砂がだんだんダムの近くに寄って参ります。それを相当大きな洪水が来たときに、ゲートを一ぺんにあけまして、下流に土砂を押し流すというような方法を考えたら、ある程度いきはせぬか。しかしそれでも残るということになりますと、やはりある程度手を加えて掘ってやるなりというようなことが、どうしても多少は残りはせぬかというふうに考えております。すでに土砂がたまったものについては、具体的にそんなような方法をとってやらなければならぬ。それから最近におきましてはできるだけ土砂の来ないところにダムを作るという方法を考えると同時に、たまる土砂をなるべく下流にはこうということで、ダムの中に大きな排水口を作っておいて下から抜けられるような方法をとる。しかしそれでもダムのすぐ上流の土砂は抜けますけれども、それよりずっと上流にあってたまった土砂はなかなかはけないのでございますので、それらにつきましては先ほど申し上げましたように、ダムの近くに土砂が流れてくるような方法を何とか一つ考え出そうじゃないかということで、今しきりと研究をいたしておるわけであります。既設のものでたまっているものにつきましては、そういう方法を考える。それから今後におきましてはできるだけ土砂のたまらないようなところに、あるいは砂防等を積極的にやりまして、土砂の根源を断った上でダムを作るというような方法、それからたまる土砂をできるだけ下流にはけるような構造にしていこうというような方法を考えまして、お説のような非常に困った問題が起きている原因をできるだけ早く除去してやろうということを考えておるわけであります。
  125. 楯兼次郎

    ○楯分科員 土砂が流れないように砂防を徹底的にやるということは、これはやっていただかなくちゃならないと思います。しかしそれは十年や二十年ではなかなか私はできないと思います。それからたまった土砂をとるといっても、ゲートのすぐ付近にたまっておるのじゃないのですよ。たとえば私の付近の一例を申し上げますと、木曽川はほとんど上流から下流まで発電所の連続です。だからその下の発電所の影響を受けて、私は資料を見たことがないからわかりませんが、おそらく十メートルも二十メートルも建設をされた当時に比べますと、上っておるのですよ。その上の発電所の直前まで上っておるわけです。木曽川水系は上流から下流までほとんどそういう状態です。だからちょっとたまった土砂を何らかの方法によって除去するということは、私は困難だと思うのです。だからさしあたって考えられることは、被害を受ける沿岸の住民の転居、そういうことしかないと思うのです。こういう点について何か対策がおありかどうか、お伺いしたいと思います。
  126. 山本三郎

    山本(三)政府委員 先ほど私が説明申し上げましたのは、できるだけ知恵をしぼって、土砂のたまったものを下流にはくようにしよう。あるいは土砂のたまらぬような方策を講じようということでございますが、そういう方策がかりに立ちましても、非常に金がよけいかかったのではこれまたできない話であります。こういう場合には御説のように、その付近にある人家を移すとか、あるいは土地買収してかわり土地を使ってもらうとかいうような方法も、当然やらなければならぬようなところも出てくると思います。しかしこれはできるだけ避けたい話でございますので、そういうどうしてもやむを得ざるものは仕方がないのでございますけれども、技術的にしかも経済的にできるようなことなら、できるだけ工夫してやろうというのが私どもの態度でございます。
  127. 楯兼次郎

    ○楯分科員 私は今局長のおっしゃる手のつかない区域を対象にして質問をしておるわけです。これはお調べになってもけっこうですが、そういう地域については何とか転居するとかいうような補償等の問題を今後は一つ考えていただきたいと思います。時間がないそうでありますから、この問題はそれだけにしておきます。  それから次は日本道路公団予算についてちょっとお伺いしたいと思いますが、日本道路公団の三十三年度の予算は大体どのくらい使えないか、つまり残ができるかという見通しをまずお伺いしたいと思います。
  128. 佐藤寛政

    ○佐藤(寛)政府委員 日本道路公団でございますが、三十三年度の日本道路公団予算は約百三十四億でございます。これに対しまして、年度末におきましてどの程度の繰り越しが予想されるか、こういう御質問かと拝察いたしますが、もちろんただいまのところではまだ判明いたさない点が多うございまして、年度末近くになりまして、ただいま非常に工程を上げておるところでございますので、はっきりした数字は申し上げかねるのでございますが、大体の予想といたしまして、六十億ないし六十五億程度のものが繰り越しに相なるのではないかというような感じを持っておるわけでございます。
  129. 楯兼次郎

    ○楯分科員 そういたしますと、先日出されましたこの道路整備五カ年計画予算の配分を見ますると、われわれしろうとでありまするからこまかい点はわかりませんが、まあ約半分くらい予算を繰り越しという公団に対して、あと約六百九十億の予算配分になっておるわけでありますが、これはちょっと無謀のようにとれるのですがどうですか。
  130. 佐藤寛政

    ○佐藤(寛)政府委員 三十三年度予算におきまして、先ほど申しました程度の繰り越しが起るかもしれない、こう予想されますのは、ほとんど全部が、ただいま日本道路公団実施に着手をいたしております名神高速自動車道路の関係でございます。この事業は、御承知のように全体におきまして約八百億、昭和三十七年までにその供用開始をはかることを目途として、ただいま鋭意事業を進めておるわけでございます。ちょうど昨年、本年あたりは、この事業の最も基底施設である用地交渉をいたしておる段階でございまして、御承知のように名神高速自動車道路の用地問題に対しましては、現地でいろいろな御意見がございまして思うようにまとまるに至らないで、三十三年度においては相当の事業費を持っておるにもかかわりませず、そういうような予想になっておるわけでございます。しかしながらただいまの予想でございますと、この用地問題ももちろん予定線の全線にわたって話し合いをしておるのでございますが、かなり進んで参りまして、たとえば現地におきまして、当初は高速自動車道路の設置に対しまして絶対反対というようなところもございましたが、最近におきましては少くともそういう態度は御了解をいただくに至って、全線にわたって調査測量を実施し、用地の問題を進めておる次第でございます。従いまして私どもといたしましては、本年度の用地の問題は今のところなかなかはかばかしくなく、そのために用地予算も繰り越さざるを得ないような状態ではあるけれども、ただいまの状況がもう少し進展いたしますれば、おそらく明年度におきましてはその問題が相当解決いたすだろう。御承知のように土木の事業におきまして、最近の事業用地補償の問題が非常にむずかしゅうございます。用地補償の問題が解決いたしますと、あと残るのは技術的な問題だけでございます。この用地補償が解決いたしますならば、その事業のかなりの部分が解決したと見てもいいほど、近ごろは用地問題はむずかしい問題でございます。その用地が来年度ある時期に解決いたしますならば、その後におきます事業の進行は一挙に大幅に進捗できる、こういうふうに見ておりますので、本年度におきます繰越額はかなり多額のものを出すようでございますが、明年におきましては必ずしもこういうことではなく、所定の工程に従って事業が進められるもの、こういうふうに考えておるわけでございます。
  131. 楯兼次郎

    ○楯分科員 それでは次にお伺いしますが、首都高速道路公団法というものを今国会にお出しになっております。私が心配をいたしますのは、今新橋の駅の前に問題の、あれは高速道路株式会社というのですか、作りかけの、問題を起しておる、自動車専用道路ではないかしれませんが、自動車道路がありますが、この首都高速道路公団の中へあの今建設の途上にある高速自動車道の会社を吸収していかれまいとは思いますが、これとの関係はどうなっておるか、お伺いしたいと思います。
  132. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 新橋のあそから京橋の付近まで首都高速道路を作る会社ができて、その工事を進めておることは御承知通りであります。しかしあの会社は一定の目標をもっておりまして、まだできた道路の供用開始には至っておりませんが、いずれにしてもすみやかに供用できるように年来促進をしておったのであります。大体本年の九月ごろになりますと、東京駅の八重洲口の方に近いところへ一方においてはおり口ができるということで、他方において土橋の付近におり口ができるということで、供用が開始できるような運びにだんだんなっております。ただ首都高速道路公団にあれを吸収するかどうかという問題については、吸収しない考えでございます。あそこにできましたあの道路と首都高速道路公団が作る道路と結びつけまして、あれを利用する面を考えて、あれも一つフルに活用したらどうかというふうに考えておるわけでございます。ただし経理その他の問題については、一切あれとは分離した行き方でいく、こういう建前でやる考え方でおります。
  133. 楯兼次郎

    ○楯分科員 そういたしますと、今の会社とは全然無関係でこの首都高速道路公団を作る、こういうことなんですね。
  134. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 そうです。
  135. 楯兼次郎

    ○楯分科員 それではよろしゅうございます。
  136. 塚本三郎

    塚本分科員 関連して大臣にお尋ねいたしますけれども、実は私きょうは傍聴だけでいるつもりでございましたけれども、幸い首都高速道路公団のお話が出ましたので、一点だけお尋ねしたいと思います。詳しいことはまた明日の建設委員会でお尋ね申し上げるつもりでございますが、九月に大体通れる見込みである、土橋の方へおりる、こういうお話がありましたが、もしそれが実現せられることになると、これは大へんなことになるのではなかろうか。実はきょう私はあの実地を見て参りましたが、もし土橋のところへおろすと全然実用に供することはできないということはもう常識だと思っております。といいますのは、丁字路のところへおろすということになりますから、これは自動車として動けないことはないと思いますけれども、何らかの形でこれは計画が変更せられなければならぬだろうと思います。この点、最初はしろうとがなさったにしても、土橋のところから上り、おりということが計画の最初としてあったといたしましても、おそらく交通路がふえたことは間違いございませんけれども、しかし丁字路のどん詰まりにおりて、そしておそらく右に折れるということになりますと、現在通っております道路からして不可能だろうと思いますから、左回りより仕方がない。そうしますと現在でもおり口があのままでは、おそらく工事を進めることは不可能だと思います。なお京橋の方につきましても同様なことが言えます。十六メートルの高速道路であって、出口が何とおそるべし六メートルです。しかも右に回ることは、おそらく今日の交通量でも不可能のような状態でございますから、勢い左に回らなければならない。そうしますと一応十六メートルで流れて参りましたあの自動車が、六メートルではおそらく二車線でも、これは一方が停車しなければ通行することができないような狭い状態になっております。十六メートルから流れてくるところの高速道路のはけ口としては、現在のはけ口ではおそらく不可能だと思います。この点詳しいことはあすお尋ねすることにしておりますけれども、この一点だけ、幸い今大臣がそういうことをおっしゃいましたから、どうなさるかお聞きしたい。
  137. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 今土橋のところにおりるおり口というふうに私申し上げたかもわかりませんが、それは間違いでございます。京橋の方、八重洲口の方におりて、いく道はとにかく作る。そうして土橋の方は、土橋とちょうど新橋との間のところまで計画としては行っているらしいのですけれども、あそこにはまだ問題がありますので、あれがフルに活用されるのは、首都高速道路公団の延ばしてくる道路、それができたときに初めてフルに活用される、さしあたり供用だけはするけれども、ごく小さな口でもって上り、おりをするということ以上にはできない、こういうことだと思います。なお詳しいことは、道路局長の方が詳しいですから、私も聞きかじりでございますから、道路局長からお答えいたします。
  138. 佐藤寛政

    ○佐藤(寛)政府委員 土橋のところに現在六メートルほどの道ができている、こういうお話がございましたが、あれは一方交通の上り口だけができているわけでございます。従いましてさらにあそこへ当然おり口も作らなければならないわけでございます。しかしそのおり口は、あの高速道路を高速のまま首都高速道路と連絡するようなことを考えながら、またあそこでもっており口も作らなければならない、こういうことになりますと、なかなか十分な幅をとるわけに参りませんので、その計画をいろいろ研究いたしております。ためにただいまあそこの部分の事業実施を保留さしているわけであります。
  139. 早稻田柳右エ門

  140. 兒玉末男

    兒玉分科員 大臣にお伺いしたいと思いますが、昨年十月十五日の建設委員会で児玉の質問に対しまして大臣は、第二十二号台風の直後であったし、治水事業に対する緊急性が強調されているときでありましたが、その際新治水事業緊急五カ年計画について、少くとも臨時国会に提案をする、そういう約束でありましたが、その後の質問において通常国会においては必ずこの計画を提案して御検討いただく、このような確約をなされたわけであります。特に治水事業の緊急性ということは、ここにるる申し上げる必要もないと思うのでありますけれども、建設省から出されている統計によりましても、戦前非常に災害の多かった昭和九年から十六年の八年間の被害額は年平均七百八十億であり、国民所得に対しましてその被害額は一人当り約千百円の一・六%であり、戦後の昭和二十一年から昭和三十年までの被害額は毎年平均二千四百億という膨大な額に上っております。しかも国民所得に比較する割合は大体三・一%で一・九倍の多額になる、こういう点から考えましても、この緊急性というものは一刻もゆるがせにできない性質のものであるにもかかわらず、なぜ今度の国会にこれが提出される運びにならなかったのか、この点について大臣の見解を賜わりたいと思います。
  141. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 私は建設委員会の席上におきましてもしばしば、何とかして五カ年計画をきめて、そして治水の根本対策を講じたいということを申し上げておったのでありますが、今回の国会にこの治水の根本対策である五カ年計画をお示しすることができないで、しかもその当時考えておりました特別会計の構想ももう少し研究することになったことははなはだ遺憾に思います。ただこの問題については、日本の治水事業の将来を決定する大問題でありまして、一つ建設関係の治水事業を進めて参りましても、同時に山地砂防、農林関係の砂防事業がおくれて参りますと、これは全く意味がないことになって参りまして、砂防事業との調整をはっきりすることが一つの課題であったわけであります。御承知のように砂防関係は農林省が所管しておりまして、しかも国有林については、国有林野特別会計法によって特別会計でやっております。民有林については一般会計で砂防をやっております。特別会計の砂防、民有林の一般会計の砂防、そして建設省所管の砂防、この三つの砂防施設が調整がとれて参りませんで、下流部の施設がだんだん進んでいって上流部の施設が進まないようなことになりますと、非常に大きなロスが出て参ります。ですから、どうしてもこの三つの問題についての調整をはっきりとって、総合的な治水対策を立てなければならぬ、これが一つの課題であったわけであります。  もう一つの問題は、五カ年間に三千五百億円の投資をすることによって所要の目的が達成されるということを私どもは計画しておったのでありますが、この三千五百億円の問題についても、二千四百億円程度でもやれるのじゃないか、こういう議論も出ておったわけでございます。これは早々の間に計画をいたしたものでありますから、一つ一つの河川についての積み重ねはまだ多少議論の余地がありまして、私どもは三千五百億円の投資が必要であるということについての信念に変りはございません。しかしすべての人に納得してもらわなければなりませんので、この納得していただくいろいろな連絡もまだ欠けておった点があることは私は率直に認めます。そういういろいろな問題がありまして、どうしてもこの際五カ年計画を確定してしまうことは少し早いではないか、従ってあの予算が決定いたしました最後の閣議の際に、閣議の了解を得まして、この次の三十五年度の予算の編成期までに総合的にはっきりしたものを作って三十五年度から一つやろう、こういう申し合せをしたのであります。従ってそれを作るためには実に今着々準備をしておるのでありますが、閣僚懇談会等を開きまして、そしてはっきりした予算の裏打ちをつけて閣議決定の五カ年計画にする、同時にその裏打ちをするところの治水事業促進法というものを作って将来百年の大計を立てていく、そういう考えで今研究を進めておる段階でございますから、一つ御了承いただきたいと思います。  なおこの治水事業について非常に軽視したような印象を与えることは非常に遺憾でありますけれども、今回の治水事業予算は前年に比べまして四十億も増額されました。そうして事業分量からいいましても七十億以上の増額を得て、国民に非常に無理をかけないように忙しいところは着々とやりつつ、五カ年計画を固めてやっていこう、こういう考えでおりますことを一つ御了承いただきたいと思います。
  142. 兒玉末男

    兒玉分科員 非常に多額の予算を必要とする事業でありますし、また治水事業の重要性と、それから恒久的な計画というものが必要でありますし、その困難性は十分理解できるわけでありますが、今大臣のお答えになったことを私は全面的に了承するわけに参りませんけれども、今後一つ具体的な作業を進める上に十分御努力を願いたいと思っております。なおこれに関連しまして、この五カ年計画を遂行する裏づけとなる治水事業促進法についても大臣はやはり同時に提案することを申されたのでありますが、これについてはどのような状態になっておるのか、そのことについてお伺いしたいと思います。
  143. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 治水事業促進法の大きなねらいは、この席上からもしばしば申し上げたのでありますが、治水五カ年計画というものを確定し、その五カ年計画実施の裏づけになるような意味の治水促進法であるのでありまして、これは五カ年計画を一年ずらして、一年といいますか、半年といいますか、八月ごろまでにこの五カ年計画というものを確定し、そうして八月ごろ治水促進法を作って、この次の通常国会に間に合うようにやる、こういう意味で五カ年計画と治水促進法というものをあわせて一本として出していきたい、こういう考えでおることを一つ御了承いただきたいと思います。
  144. 兒玉末男

    兒玉分科員 それから私大体建設委員でございますが、この五カ年計画の大体の大綱なりあるいはその必要性について広くPRをやって、そうして国民に特に治水問題に対して関心を持たせるような対策をとるべきだと私は思うのでございます。ところがその肝心の計画が、昨年十月十八日の、はっきり名前は覚えておりませんが、帝都何とか新聞というのにその構想が明らかにせられておりながら、担当であるわれわれ建設委員には、その概要の書類すらも全然与えられておらない。こういうことはきわめて遺憾だと思いますので、昨年の九月建設省で構想を練っておられたこの五カ年計画の内容がありますならば、今後一つ十分研究の材料にしたいと思いますから、あしたの建設委員会にぜひ出していただきたい、このことを要望いたします。
  145. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 何かの新聞に出たことは私承知しております。しかしこれは係の方で検討しておった、その検討の中途の案が出たのでありまして、あれはまだ建設省の本格的な案でも何でもなかったのであります。しかしあのときに建設省の案はかくのごとくであるといってやっておりますと、きょうあたり委員会で出ないじゃないかということでとっちめられてしまって、ひどい目にあうと思うのですが、あれは出さなくて非常に仕合せだったと私は思います。そこで明日出せとおっしゃるのですけれども、あすも出すとまたえらい目にあうおそれがありますから、もう少し政府部内できちっと固めて、これでやりますということがはっきり言えるまでしばらくお待ちいただきたい。ただ御意見は十分に伺って、皆さんの意のあるところを盛り込んで、一つ五カ年計画を策定して参りたい、こう思うわけであります。
  146. 兒玉末男

    兒玉分科員 次に今度は河川局長にお伺いしたいと思いますが、昨年の台風によりまして、大臣も痛切に感ぜられたと思うのですが、小規模河川の改修ということの重要性が特に指摘されたわけであります。それで本年度の予算を見てみますと、この小規模河川あるいは中小河川等に対する予算は、国費が一億五千万、事業費が三億八千五百万で、かけ声だけは大きかったが中身は非常に少いと思うわけです。しかもあべこべに中小河川の改修費等が削減をされて、総体的には八千七百万の増額でありますけれども、中小河川が犠牲にされて小規模河川の方にその金が振り当てられておる。これでは全体的に中小河川あるいは小規模河川に対する改修維持というものが十分に行えないのではないか、この点に対して局長はどのような立場に立ってこのような予算を組んだのか、この点について明確に一つお答えを願いたい。
  147. 山本三郎

    山本(三)政府委員 まず中小河川と小規模河川の三十四年度と三十三年度の事業費を申し上げますと、中小河川の三十三年度の事業費は約五十一億五千万でございます。三十四年度は五十九億九千万円余りになりまして、これは国庫補助率の引き下げによりまして、予算は大体昨年と同じでございますけれども、事業費は約一七%程度増額しております。それから小規模河川におきましては、お話がありましたように新規の項目でございまして、国の補助金が一億五千万で、事業費にいたしますと三億七千五百万と相なっておるわけでございまして、中小河川におきましては国費はお説のように多少減っておりますけれども、事業費におきましては八億四千万円程度の増額ということに相なっておるわけでございます。ただこれだけふえたといたしましても、私どもといたしましては決して十分だとは思っていないわけでございまして、特に小規模河川につきましては各地方からの要望が非常に強いのでございます。しかし何せ小規模河川は初年度のことでございますので、それらの計画を固めるにおきましては、なかなか具体的の問題に当りますと、要望は強いのでございますけれども、どういうふうに処理していくかという点に立ちますと、やはり一度にあまり着手いたしますと計画的にも間に合わぬようなものもございます。従いまして多少少いような感じを抱きましたけれども、初年度でございますので約五十本程度事業を始めておきまするならば、これらの扱い方もだんだんわかってくるわけでございますので、今後におきましてはもっともっと増大して参りたいというふうに考えております。
  148. 兒玉末男

    兒玉分科員 総額三億八千万で五十本、そういたしますと大体二千万から一億程度の経費がその小規模河川の対象になっておるようでございますが、そういたしますと平均六千万としましても、小規模河川の改修関係が完成するのは八年間もかかるというような計算になるわけであります。私は台風は決して子供や孫の時代までこないという約束はできないと思うわけでありますが、特に諌早の水害にしましてもあるいは今度の狩野川の水害にしましても、ほとんどが小規模河川でございます。こういう点から判断しまして、局長としては八年間も大丈夫だ、こういう見解を持っておられるのか、まだ小規模河川についてはもう少し緊急性というものが私はあると思うのですが、これに対する見解を一つお伺いしたいと思います。
  149. 山本三郎

    山本(三)政府委員 一本当りにいたしますと、お説の通り事業費にいたしまして平均七百五十万程度がつくわけでございまして、二千万円から一億くらいの総事業費のかかるものをそれだけの比率で参りますと八年もかかるわけであります。しかし初年度でございますので、やはり準備等にも時間がかかりますので、初年度の金は、中小河川等を始めるときも比較的少い金で始めておりますけれども、次年度以降におきましては、これをさらに増額いたしまして促進したいというふうに考えておりますので、少くとも始めた河川につきましては、四、五年程度で完成したいというふうに考えておる次第であります。
  150. 兒玉末男

    兒玉分科員 次に砂防関係についてお伺いしたいと思っております。総体的に砂防関係予算は不十分であるが、先ほど来大臣も砂防工事の必要性ということはよく主張されておるわけでございますが、諌早等の現地を私も見に参りましたが、やはり砂防工事がもう少し徹底しておりますれば、あのような大水害を受けることもなかったのではないか、またあれより最小限に被害を食いとめることができたのではなかったか、こういうことを痛切に考えておるわけです。特に戦争を通じて乱伐をされた結果、砂防工事の重要性ということは、もう私がここで述べる必要もないと思いますが、特に治山治水の基本をなすものはまず砂防である、このように私は考えるわけですが、昨年よりも予算が減っておるということは一体どのような見解に立っておるのか、大臣の見解を聞きたい。
  151. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 昨年よりも減っておらないのであります。四億七千何百万ふえております。それは額面の上だけふえておるだけではなしに、今度御承知のように補助率の特例に関する法律が廃止されまして、補助率が少し下って参りましたので、事業分量は相当ふえておるわけであります。これは地方財政にもいろいろ影響がありますけれども、地方財政の方は一応つじつまが合うという計算を立てまして事業分量を多くしようという考えで、こういう計画を立てたわけであります。相当ふえましたけれども、決してこれで満足しておるわけではありません。これはますます拡大して徹底的にやらなければならぬと思っておるのでありますが、これも五カ年計画がはっきりきまりまして、そうして財政的な裏打ちかはっきりしまして来年度から大幅にやっていきたい、こういうことを期待しておるわけであります。
  152. 兒玉末男

    兒玉分科員 この砂防関係については、多少私不勉強な点があって、もう少し研究してみたいと思っております。  次に河川局長にお伺いしたいと思うのですが、昨年十月十七日の建設委員会で、塚本委員から質問があったと思うのですが、地盤沈下の問題であります。これについて東京都の江東地区あるいは新潟等において、この沈下の問題が非常に重要視されておるわけでありますが、この際早急に対策を講じなければいけない、こういうことを回答されておるわけですが、特に江東地区の場合は、一年間に大体七センチくらい沈下をするということが指摘をされたわけでありまして、十年もたつと七十センチということで、非常に区民としても重大な関心を持っておると思いますが、この江東地区の高潮対策等については、総額大体七十五億、今年度の関係予算は大体国費が二億四千万、事業費が八億となっておるようであります。この調子でいきますと、約九年かからないと——この江東地区の区民は常に高潮の脅威にさらされ、また地盤降下についても常に不安におののいておるわけでありますが、これの全般的な沈下問題と、特に東京都の江東地区の問題については、今後どのように処理されようと思っておるのか、御見解を承わりたい。
  153. 山本三郎

    山本(三)政府委員 東京都の江東地区の高潮対策につきましては、海岸に面する部分は運輸省が所管いたしまして、川に面する部分は建設省所管しておるわけでございますが、ただいまのところ建設省所管事業といたしましては、都の計画によりますと三十九億かかるということに相なっております。これをできるだけ早く完成いたしまして、昨年も起ったような事件を解決しなければいかぬわけでございますが、この中にも非常に急ぐ工事があるわけでございます。これは御承知のように、隅田川から小さな水路が横の方へ入っておりますが、高潮の際に、隅田川を伝わりまして、高潮がその水路を伝わって参りまして、昨年のような被害を及ぼしておるわけでございまして、まずこの隅田川と小さい水路をつなぐところの水門を作りまして、高潮をそこで遮断することができますならば、去年のような災害は食いとめられるわけでございまして、この水門が建設省所管の部分に六カ所あるわけです。これが約十一億七千万円かかりますが、それに対しまして三十三年度までに約四億三千万円、それから三十四年度におきましては約四億五千万円の事業費をつぎこむわけでございまして、三十四年度の末になりますと、約八億八千万円の事業費が入りますので、あと三十五年度の七月ごろまでには、その水門が六カ所完成できるということに相なっております。もちろんその他の工事につきましても急いでやらなければならぬわけでございますが、水門がまず重要だということで、これを急いでやっておるわけでございまして、あとの工事も引き続いて促進して参りたいというふうに考えております。
  154. 兒玉末男

    兒玉分科員 今度は道路局長にお伺いしたいと思います。今盛んに騒がれておりますガソリン税との関連でありますが、建設省の五カ年計画一般道路事業に対する国費の財源の構成の内訳というものを見てみますと、五カ年間全体で大体五千億、そのうちガソリン税収入による金額が全体の九二%で四千六百二十一億となっておるようでございます。また今年度は九百三十七億の総額のうちに、八百十五億ということで八七%、きわめて高率であります。少くとも道路をよくするということは、これはみなが賛成であって反対する者はないわけであります。しかしながらその財源の構成から見た場合に、ガソリン税の増収ということは、引き上げということは、結局運送業者が運賃値上げの口実となり、そのしわ寄せば一般大衆に来るわけです。ですから、この五カ年計画の内容から判断し、これは私は政府のごまかしの政策だ。大衆にすべて犠牲をおっかぶせるようなやり方をやっておる。これに対して道路局長としては、もう少しガソリンの税収入による金額と一般の財源から持ってくる金額というものをある程度バランスをとることによって、初めてこの今猛烈にガソリン税の引き上げ反対をやっている業者に対しても申しわけできるのではないか、こういう点についてどのような見解をお持ちであるか伺いたいと思います。
  155. 佐藤寛政

    ○佐藤(寛)政府委員 現在ガソリン税の増徴の問題が、自動車関係の方に非常に大きな問題となっておりまして、一部には非常に強い御反対もあるように承わっております。われわれのこの道路計画実施いたしますのに、非常に多額の財源が入り用でございまして、この財源をどこに求めるかということは、私どもも非常に研究いたしておるところでございます。しかしながらこの点は非常にむずかしいところでございまして、なかなか単純に、簡単にどうするということはきめられないかと存じます。ただ申し上げたいと存じますのは、最近のこの道路事業、舗装にいたしましても、橋梁にいたしましても、一般改良事業にいたしましても、ずいぶんキロ当りと申しますか、単価にいたしましてかなり高い、多額の経費を必要といたします。これと申ますのしは、たとえば舗装にいたしましても、最近の車両の大型化、重量化、こういうことを考えて参りますと、以前のように簡単な、やさしい構造にしておくことはできないわけでございます。道路の基礎にいたしましても、舗装の厚さにいたしましても、相当しっかりした、換言いたしますれば結局金がかかる、そういう構造にいたさなければなりません。これらに対しましては、ただいま実際に使用されております相当重い車両に対しても十分安全なように、今後のものは計画され、設計され、施行されなければなりません。橋梁におきましても同様でございます。そういうふうに事業の目標というものが、おおむねといいますか、ほとんど重い自動車、大きな自動車、早く走るというふうに、すべて自動車の交通の利便のために考えられておるよう実情でございます。もちろん申すまでもございませんが、道路の改良に当りましては、その他の通行に対しても、安全であり能率的であるように考えなければならぬわけでございますが、主たる経費を要します点はやはり自動車、自動車の通行に便利だということを考えますために、非常に大きな費用を要するような実情でございます。これから考えますと私どもは、自動車を利用される方がいろいろな点においてただいま相当大きな負担を持っておられることかと存じますが、このわが国の道路、この道路を一年でも早く整備を進めなければならない、相当な事業をしなければならなということをお認めいただきますならば、それに要する経費はやはり自動車の利用者の方が相当持っていただくことになるということは、これはやむを得ないことではないか。従いまして、ただいま考えられておりますようなガソリン税の値上げでございますが、この点につきましても、どうか道路の利用者の方にはその点を御理解いただきまして、御協力をいただくことを期待いたしておるわけでございます。
  156. 兒玉末男

    兒玉分科員 今の局長の説明では納得できないわけです。自動車業者に協力をしてもらうということを言いますけれども、引き上げれば必ずこのしわ寄せが利用者にくるということ、局長もこの際十分考え取っていただきたいと思うわけです。  大臣一つお伺いしますが、やはりこれに関連しまして、昭和三十年六月二十九日の衆議院におきましては、道路整備の財源等に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に関しまして、「政府は本法立法の趣旨たる道路整備五カ年計画完遂のために必要な財源として揮発油税収入以外の一般収入を毎年度の道路整備費に充当すること。」これを附帯条件として決議をいたしております。また三十一年の十二月十三日の参議院におきましても、やはり道路整備促進に関しまして、「昭和三十二年度を初年度とする新道路整備計画を樹立し、これが実現のため、一般財源を大幅に投入する等強力な財政措置を講ずること。」を全会一致で決議をいたしております。こういう衆参両院の方針に対しましても当然、その時期が前であったから、大臣がおれの任期中でないからということで、その精神が曲げられる筋はないと思うのです。こういう前年度に決議されたことを十分しんしゃくしながら、大臣としては対処をするというのが妥当ではないか。それに対して大臣は、さらに今後ともしゃにむに、この五カ年計画をガソリン税収を主体とした方向であくまでもやり抜くつもりかどうか。そういう前年度の議会の決議というものを尊重すべきじゃないか。私はこのように考えるわけですが、大臣の見解を伺いたいと思います。
  157. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 前回に道路整備五カ年計画の所要経費についてはなるべく一般会計から出すようにという決議の趣旨、よく承知しております。政府としてはできるかぎりそういう方向で努力をして参っておるのでありますが、しかし翻って考えてみますと、ガソリン税を増徴することが果して道路整備のために適切であるかどうかという根本問題にさかのぼって考えてみますと、これはお説のようにいろいろ問題はございます。ガソリン関係の者からいえば安ければ安いほどいいにきまっております。できればただがいいにきまっておるのです。しかし諸外国の例を見ましても、アメリカでも自動車関係の税金で、大体道路整備の費用をまかなって、他に余裕財源を出しておるわけであります。それから英国やフランスの例を見ましても、ガソリン税でもって道路整備の費用を全部まかなって、なおこれまた余っております。それを、非常に問題がありますので、私どもその点についていろいろ検討してみたのでありますが、実際計算をしてみますと、道路の改良が行われますと、大体自動車の走行費というものが二割減じて参ります。さらにまたこれを舗装して参りますと五割の走行費の節約になって参ります。全く業者の立場から見ましても、道路を整備しないで、ガソリン税を出さないでおるよりも、ガソリン税を出して道路を整備した方が、はるかに計算上はプラスになって参ります。この事実は、やはり諸外国でガソリン税に相当重点を置いておるということに、意味がないことではないと私どもは考えて、なるほど税を増徴することは業者の方々からいえば大へんなことでありますけれども、よく考えてみれば、これは決してマイナスではない。でありますから、各自動車会社等の現実の経営状況についてこまかい注意を払うことはもちろん必要でありますけれども、大きく見ますと、このガソリン税というものは道路整備の財源にすべてを充当するのだという建前でいく限り、これは決して無理なことを言っているのではないという確信の上に、こういう案に私は賛成をしておるわけであります。税金を増徴することになりますといろいろな問題が出て参ります。しかし何としてもこれは一つガソリン関係の皆さんに御理解を願って、そうして日本のこの道路をすばらしい道路に一刻も早くしていく、そしてそれは同時にガソリンを使っていらっしゃる自動車関係人たちのためには、プラスになっていくのだということをぜひ一つ御理解をいただきたい、こういうふうに思うわけであります。
  158. 兒玉末男

    兒玉分科員 簡単に理解するわけにいかないので、今後は一つやはり庶民大衆に影響を与えるということを十分御理解いただきまして、できる限り負担の公平ということを御検討いただきたいと思うわけです。  最後に、これは地元の問題で大へん恐縮でございますが、道路局長にお伺いしたいと思いますが、この前もお聞きしたのでありますが、例の都城の十号線拡張に伴う補償率の引き上げによって、大体二〇〇%に御協力をいただいたわけですが、特に重要な商店街でございますので、この拡張工事を短時日に完成する必要があろうかと思うわけです。そこで今年度は大体どの程度予算を投入するお考えか、また全体的な工事の完了の期間というものをどの程度考えておられるか、以上二点をお聞きしまして私の質問は終りたいと思います。
  159. 佐藤寛政

    ○佐藤(寛)政府委員 一級国道の都城市内、人家の非常に密集しておりますにぎやかな部分の改築でございますが、これのただいま改良を考えております。その用地買収、物件移転等につきまして、昨年兒玉先生の非常なお骨折りをいただきまして、地元において解決の運びに至りましたことは大へん私ども感謝いたしておる次第でございます。それにつきまして来年度はどうするか、こういう御質問でございますが、ただいまのところでは、数字的にまだ申し上げる段階にはなっておりません。しかしながらせっかくお骨折りによって、あのむずかしい用地問題、補償問題を解決していただいたわけでございますから、これを機会にして用地補償が大いに進むようにいたしたい。せっかく地元の皆さん方がそういうお考えで御賛成に一致されたわけでございますから、この機会にできるだけ解決をはかるようにいたしたい、こういうように考えます。
  160. 塚本三郎

    塚本分科員 大臣にお尋ねいたしますが、ただいま兒玉委員からの御質問に対して英米の例が出されました。おそらくガソリン税の性格を考えてみますのに、私しろうとで十分検討はいたしておりませんけれども、受益者がこれを負担するという原則に立ってこのガソリン税が設けられておるのではなかろうか。といいますのは、先ほど佐藤局長からもお話がございましたように、重量化に伴って、しっかりした道路を作らなければならない、従って多額の金が要るから、どうしても負担してもらわなければならない。こういうお話は、おそらく受益者がこれを負担するのである、こういうことだろうと想像をいたすわけでございますが、もしそうだといたしますと、この五カ年計画によって受益いたすものは自動車の使用者に対してでありますけれども、しかしこれをもっと時限的に考えてみますと、今日お金を払う人よりも、今日税金を払っておらない、将来これを利用する人が最も受益するのではなかろうか。自動車に対する利用者が受益するという、業種としてはこれは間違いのないところでございます。しかし今日その高い税金を払う人たちは、なおここ相当の期間がたがたの道路を利用しなければならない。そうして将来の人たちがこれを利用するということになるならば、受益者がこれを負担するという原則をおとりになるとするならば、将来の人にもこの負担をかけることの方が筋としては正しいのではなかろうか。今日でもガソリンに対する原価よりも、税金の方がはるかに多いことは御承知通りだと思っております。従って、現在の人たちがその負担をしておる、さらにそれに将来の人たちの利用も含めての負担を今日の人たちが膨大に払わなければならない。ここに実はガソリン消費者にとって不満の大きなものがありはしないだろうか、かように想像するわけです。そういたしますと将来利用する人たちにもこの負担をかけさせることの方が、筋としては正しくなかろうか。このことが質問の第一点。  もう一つは、英米仏の例を出されましたが、前回の建設委員会においても大臣は同様な御答弁をなさったわけでございますが、しかしこれも単純に考えてみますと、確かにガソリン税が余って一般財源にまで繰り回しておる国さえもあることは間違いないことと思っております。なるほど車はどんどんふえて参ります。しかしながら完成した暁には、これに対する補修費等もほとんど少額で済むのではなかろうか。こう考えて参りますと、ガソリン税に対する率は少くとも、消費する額が自動車の数によっては多いし、さらにまた補修費等が少くて済みますから、ガソリン税を道路の一切の改修あるいは新設、補修等をまかなって、一般財源に繰り込むこともこれは可能であろうと思うわけです。しかしながら米英仏においても建設の当時において莫大な金が数カ年間は急激に要るわけです。このときの時限において、果して今日のような状態にアメリカやあるいはイギリスやフランスが置かれておったかということは、話はおのずから別ではなかろうか。これを混同して言っておるのです。業者の苦痛が、アメリカのそれと、あるいはイギリス、フランスのそれと、わが国のそれと根本的な苦痛の違いというものが、理論というものは、やはり時限というものを考えてみなければならないのではなかろうか。その点、アメリカがかってがたがたの道路を初めて改修、舗装なさるときの税金が不満なくりっぱにやっていかれたというふうに、その時点と今日の日本のはるかにおくれたような時点と同一の状態でもって論ずることができるかどうか、この食い違いが実はただ単に建設省のPRが足りないだけ、理解が足りないだけではなくて、あるいはすべての増税に対する反対運動の状態が慣習的になっているという、業者の反抗の意思として今日出ているだけだというふうに見られるのかどうか、この点は私はやはり時点というものをもう少し検討なさる必要があるのではなかろうか、この二つの点について御答弁願いたいと思います。
  161. 遠藤三郎

    遠藤国務大臣 道路整備の費用を今の業者に、今のガソリンにすべて負担をさせることは不合理ではないか、従って公債のようなものを出しましてそして道路整備を借金でやって、それをガソリン税で長年月にわたってこれをくずしていく、こういう方法をとるべきだという議論も確かにございました。これも理論的には非常に傾聴すべきものがあると私は思います。ただこれには二つの問題がありまして、今財政政策の上からいいまして、公債は出さないという大原則をきめてやっているということが一つあるわけであります。その理由は、今ここでちょうちょう私が申し上げるまでもないと思います。他面におきまして道路整備の費用でありますが、この五カ年計画をやりましても大体七五%程度の改良ができ、六三%程度の舗装しかできないのであります。しかもそれは一級国道についてであります。従って第一次五カ年計画が済んだ後に、さらにまた第二次五カ年計画を定めて、そして一級国道の完成をはかると同時に二級国道から地方道まで——第一次の五カ年計画ではほとんど手がついておらないような、道路が非常に悪いわけであります。これらの事情はアメリカやイギリスと比べて非常に条件が違っております。従ってここ十年か十五年くらいは、この程度のスピードでもってやって参りませんと、とうてい国民の要望にこたえられない、多少無理もありますけれども、一方においては理論的に  ガソリン税で負担をしても、世界的な例を見てもそう無理なことではないし、しかもその道路の整備されてくることによってだんだん走行費が節減されていって、将来はまた戻ってくるというような意味で、何とかこれはガソリン関係の業者の方々一つごしんぼう願って、日本の道路全体の整備のために一つ御努力願いたい、こういう態度で進んでいく考えでおるわけでございます。理論的にあまり議論すると、私の方もあるいは困るようなことになるかもしれません。あまり議論をしないで、ここは大きく見て、大きな目でやっていくことがよろしい、こういう考えでおるわけでございます。ざっくばらんに申し上げまして、議論をして参りますと、これは果てしがないと思いますので、私は議論はなるべくしないで、業界の方々にぜひ一つ協力していただいて、ここ十年なり十五年の間に道路の整備を一つやっていただきたい、こういう考えであります。
  162. 早稻田柳右エ門

    早稻田主査 他に御質問はありませんか。——御質問はないようでございますので、建設省所管についての質疑は一応終了することにいたします。  明二十八日は午前十時より郵政省所管について質疑を行うことにいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後六時十四分散会