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永野国務大臣 先ほど日本の
海運界を根本的に考え直さなければならぬ時期にな
つたので、今その面の練達たんのうの士をわずらわして、根本的に考える準備を今いたしておるのであります。せつぱ詰まつた
状態まで押しつけられておるという観測は、井手
委員の観測と同様であります。であればこそ今そういうことを考えておると申し上げたわけであります。ちようど今国会でほとんど手が離せませんので、その会合をいつやろうかとしきりに催促を受けておるのを延ばしておるのが
状態であります。ただ
一つ、でありますから私はどうしたらよいかという
結論は今は出しませんけれ
ども、私が今まで井手
委員のお話を聞いてお
つて、途中で私の私見を申しますと、多少そこにニュアンスに違いがあるのであります。と申しますのは、御承知の
通り世界の
海運界の見通しについては、いろいろな見通しがあります。一千万トンも係船があるのだから、もう当分どろ沼に落ちたようなものだ、上る見込みはないのだという見込みの人もあります。けれ
ども同時にもういわゆるなべ底はふちまで上ってきてお
つて、これからはやや明るい
状況になるという観測をしておる人もあるのであります。現に今広島湾にはついこの間NBCが作りました十万八千トンの船が二そう係船されておるのであります。にもかかわらず、またその大きい船を新しくここで着工しております。そこで私その
責任者に聞いたのであります。非常に膨大な
——三千トンや五千トンの船ではありません。十万トン以上の船を二そうも係船しておいて、同じ型の船をなぜ作るのだということをその
責任者に聞きましたところ、その
人たちが言いますのには、
自分たちの見込みは今年が底だと思う。これからはだんだん上ると思うのが
一つ。もう
一つは昨年に比べましてわずか一年の間に三割も造船単価が下
つております。従いまして買いならしということをよく商人はするのであります。高値で買つたものは安値のものを入れて、その
自分の持っている船の平均単価を下げようということをするのであります。そういうような
理由で現に係船しておりながら、同じ
会社が新しい同じ型の船を現に
作つておるところもあるのであります。そういうふうでありますから造船業あるいは
海運業者のようなものは、何ぼ理屈がよくても
運転がつきませんから、やむを得ずほんとうにあした要るものでもきよう売らなければならぬというようなことをしなければなりませんけれ
ども、
海運国策というものは、一年や二年の波に驚いて変えてはいかぬと思います。一体
日本人が
海運界をどう取り扱うべきかということは、三年、五年の波を越えて、ロングランに考えなければならぬと思うのでありまして、私が今これから斯界の学識経験者に尽力を仰いでやろうというのも、そういう
意味においての
基本国策を考えたいと思っておるからであります。従いまして、当分
海運界は立ち上る見込みはないのだということを絶対的の前提としての処置は考えたくない。いろいろな方面の資料を豊富にそろえて、そうして将来の
海運界の見通しと現在の
運営とをにらみ合せて考えていきたい、公考えております。