○三浦国務大臣 第一の酪農の問題でございますが、これは地帯によりまして相当に特殊性が出ていると思うのです。全部が全部だとはいわれませんが、
北海道あるいは
東北等の比較的酪農の早く入りました地帯におきましては、ただ単に売るだけをしておらぬのでありまして、やはり自家用としても相当消費しておる。現にわれわれが見たところでは、牛乳の自家用がだんだん進んだために、体位が向上したり、あるいは米の
消費量を非常に減らした。そして一面においては現金の収入を得るということで、ほんとうにねらっております酪農の事情に即応して進歩しているところもあるわけでございます。しかし、これは長い間の
農家の食生活そのものを急激に変えるということにはなかなかいかぬものでございますから、われわれとしましてはなお一そうその指導を加えながら、同時にまた、商品
生産面につきましても指導の適正を期さなければならぬかと
考えるわけであります。特にわれわれが
農家における食生活なり生活を改善させるということにつきましては、年来国民性等もありますから、一朝一夕ではなりませんけれ
ども、特に修練農場であるとか、あるいは農事講習所、ことに最近
農林省としまして重視しております農村の青壮年の指導等につきましては、この点について特に重点を置いておるわけであります。これをだんだん進めて参るということにして、いやしくも酪農がただ単に経済的にも非常に危機に瀕するようなことがないようにして参りたい。それから同時に、一、二頭飼っておりましても、
農業経営の全一な問題とした場合には有効に働くようにしなければならぬということが、酪農の基本的な
考え方でございまして、今度の酪農振興法の改正の要旨もそこにあるのでございますから、御
指摘の点は一そう今後改善いたしたいと
考えます。
なお農村に対しまする金融問題でございますが、一面御
指摘のような弊害が出ておると私も率直に思うのであります。はなはだしきに至っては、災害等に必要な資金等を借りたり、あるいはまた積極的な施設を拡充するといって金融を受けておりながら、これを他に転用するがごとき、全く法規に反し、融資
条件に反しておるような事例もあるのでございまして、むしろほんとうに必要とする面にこの
制度金融が流れていくようにいたさなければならないことは当然であります。今後も普及員等の活動に待ちまして、その適正を期するのほか、金融機関等につきましても細心の注意を払って、その弊害が出ないようにいたしたい。昨日もいろいろ御議論がありましたが、保証人等をとりましても、実態はこれを返済すべきところの
生産性の向上に待たなければならないことでありますから、その面につきましても
農業経営なり、あるいは
農家の経済そのものに即して、改善を指導する。そうして
生産を高め、所得水準を高めて、金融に応ずるというふうにすることは当然のことであります。現行の各種の
制度金融等につきましても、非常に窓口が多い、あるいは貸付
条件の多岐にわたるようなことは今後とも改めまして、ほんとうに農村としまして融資を必要とする面に適切に流れるようなことを基本的に
考えるように取り進めて参りたい、かように
考えております。