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佐藤国務大臣 減税と申しますのは、とにかく税金を納めておる人に対しての減税でございますから、今御
指摘になりました少額所得者で今まで税を納めておらない人というものに対しては影響のないことは、これはもう御
指摘の
通りであります。しかし、今回の減税によりまして、いわゆる税を納めなくて済む階層はとにかく拡大されるということでございますから、その
意味において、個々の個人対象よりも、税を納める国民層といいますか、こういうものを見た場合に、やはり国民負担は総体として減税になっている、こういうように御理解をいただきたいと思います。しからば、零細収入の方々に対してどういう
措置があるか。これに対しては、非常に極端なものに対しては、いわゆる生活保護から始まる各種の社会保障制度というものがそういうことに彼立っていくのだ、かように御理解をいただければ、この点はわかるだろうと思います。いわゆる減税という以上は、とにかく税を納めておる人が対象になる、これはその
通りであります。そこで御
指摘になりますガソリン税の引き上げ、これは納税者だろうが、納税者でなかろうが、同じように負担になるのじゃないかという御
指摘で、今回の減税は相当の所得を取る人にのみ便益を与えて、その他の者にはこの
意味では税制改革は災いする、こういう御
指摘だろうと思います。今回のガソリン税の引き上げが運賃の値上げということに直ちになるといたしますれば、あるいはそういうような御批判もできるかと思いますが、もともと財政計画なり、あるいは予算の実施という場合におきまして、個々の階層についてどういうような対策を立てるかということももちろん具体的に
考えて、先ほど申すような社会保障制度、最低は生活保護から出発して、あるいは各種の年金なり、あるいは保険制度なりというものが順次整備される、こういうことでカバーされるということで御了承いただきたい。同時にまた経済そのものを伸展させ、国民総所得を伸ばしていくというか、拡大していくという、この観点に立って総合的に
一つ見ていただきたいと思うのであります。
そこで問題は、今回のガソリン税の引き上げが運賃値上げを直ちに招来するかどうか、こういう問題になると思います。私
どもは、この点ではいろいろの議論をいたしておると思います。直接運輸業を取り扱っております運輸当局の意見はまだ私
どもは聞いておりません。聞いておりませんが、運賃値上げの
一つの基礎条件とでも申しますか、それが、ガソリン代が高くなれば、運賃構成上変るということもいえるのでありますが、同時に運賃構成には幾つもの条件がありますから、ときにプラスの条件もあるし、マイナスの条件もあると思います。たとえば、マイナスの条件といえば、車自身が安くなるとか、あるいは非常に耐久力が出てくるとか、あるいはまた道路が整備されてガソリンの総使用量が減っていくとか、あるいはモビール・オイルの使用も変っていくとか、あるいは部品の取りかえがよほど変っていくとか、こういうことになってみると、一面にやはりマイナスというか、減ぜられる面もあるわけでございますから、やはり総合的に、一体この負担はどういうふうに影響するかということを十分
考えてみないと、直ちに運賃に転嫁して、その結果大衆負担の増になる、こういうことには実はならないと思うのであります。ことに、走っております場所にも非常によるのでありまして、山地と平坦地、あるいは都市と山村というようなことになると、いろいろ運賃の構成は、どういうことが適正かということは十分検討していかなければならぬと思います。この一面、ガソリン税を引き上げる場合においては、ガソリン税を引き上げた場合に、それがそれだけの負担力ありやいなや、こういうことが
一つの問題になっておるのでございして、その負担力ありというところからガソリン税の引き上げを計画した。同時にまた、ガソリンを上げましても、ただいま申すように、これは真ちに運賃引き上げ、そういうことにはね返るということは、少し結論としては早過ぎやしないか、今回一五%
程度のガソリンの値上りといわれておりますが、運賃構成に影響するところを見れば、まあ二、三%
程度じゃないか、こういうようにも言えると思います。先ほど来申すように、減の面をいろいろ工夫してみますと、運賃構成、そういうところから
判断をすべきものだ、かように
考えます。従って、大衆の負担にならないような工夫は、当然私
どもとしてもいたさなければならないし、そういう
意味で十分留意して結論を出していくということでございます。御了承いただきたい。