○松前
分科員 行政機構の問題は、各国とも非常な努力を払って、膨大な行政機構のもとに科学技術の推進をやっております。むしろ
自衛隊の
増強よりもこの方がよほど——よほどどころじゃなく、今世界をあげてこの
方向へ向いつつあります。これ自身がほんとうの
自衛であるという概念の上に立っておる。今は
自衛なんということは、私は専門家のやることではないと思っております。平和産業そのもの、科学技術の振興そのもの、科学技術
教育の拡充そのものが
自衛である、こういう概念の上に新しい歴史が進みつつあると私は見ておる。こういう
意味からいたしましても、科学技術省の設置あるいはまたこれに類似の政策を今打ち出さなければならないときだと思うのでありますが、ただいまの官房
長官の御答弁はちょっと私には満足ではございません。今度は総理の施政
方針演説の中にも、科学技術の振興というのは遺憾ながら一言半句も入ってなかった。そうして、その結果が結局総
予算の一・五九%、昨年と同じパーセントになっております。これでは私ははとうてい
日本が世界に伍していくことはできぬと思う。この点については、特に今後
政府も具体的な強力な政策を打ち立ててもらいたいと思うのであります。
最後に御
質問したいのは、科学技術に対してただいままで申し上げましたような
政府提出の
予算を見ても欠陥だらけ、不足だらけでありまして、とうてい
日本の世界における立場を、新しい文化国家と申しますか——あるいはこの国のあり方に対しまして非常に大きな欠陥を宿しておるという状態でありますので、すみやかにこれらを是正しなければならないばかりか、この科学技術の振興そのものが、国家の将来にとって、経済力にとって、あるいはまた国際的なポテンシャルと申しますか、
一つの目に見えない力——ソビエトがあの宇宙ロケットを打ち出したことによってミコヤン副総理が
アメリカを訪問して、
アメリカはがく然とした、そういうふうな無言の平和の
目的のための科学の力が、偉大な国際的な力として現われておる今日において、私は科学技術の振興そのものが、今日の
日本の状態であっては、とうてい問題にならないという感じを持つものであります。そういう
意味からいたしまして、科学技術の
研究費というものは、
日本の国家
予算の何パーセント以上でなければならない——何パーセントという数字をここで明確に申し上げることははばかるのでありますけれ
ども、とにかく何パーセント以上でなければならないという基本的な国家の原則を今
確立しなければならないときだと私は思うのであります。科学技術基本法のごときものを作りまして、
内閣はかわっても、なお科学技術の振興によって
日本の力が培養され、科学技術の振興によってあらゆる面において世界的な
日本のポテンシャルが高まっていく、こういうような基本的な法律を制定する用意がおありになるかどうか、お伺いしたいと思います。