○淡谷
委員 私は、国防
会議の
議長としての
岸総理に対して、国の
防衛に関する現状についての質疑をいたしたいと存じます。
総理御
承知の通り、今の
日本の
防衛の姿というものは、かつての保安隊やあるいはそれ以前の警察予備隊、これらとは全く相貌を一新いたしまして、兵員において二十三万、飛行機は千数百機、艦船また百数十艦といったような、いわばりっぱな軍備となっております。もしこのままでこの増強が行われていくならば、今にしてはっきりした統制、並びに指導の
方針を立て、
防衛の基本
方針を立てなければ、手に負えない
状態になってくるというおそれが多分にあるのであります。軍部というものは、昔から棒きれを持った子供みたいに、なかなか言うことをきかないということは、叡山の山法師以来、これは
日本の伝統になっておりますが、ましてミサイルなんというものを持つようになりました現在の
日本の——軍部とは言いませんでも、
自衛隊の姿というものは、とてもパチンコを持った子供に対するような、そんな気持では、これはなかなか統制がつかぬ
状態になってくると思うのであります。特に最近の
自衛隊、
防衛庁の内部を見ますると、この
防衛の基本
方針が非常に乱れておるばかりでなく、経理の面におきましても、
運営の面におきましても、いろいろ疑わるべき点が多く出て参っております。これはとても
防衛庁長官が全
責任を負ってこれらのものを粛正するという
段階ではございません。従って今にして国防
会議が本来の姿を見定めまして、
岸総理に国防
会議の
議長として果断なる処置をとっていただかなければ、あなたが
核兵器を持たぬ、持たぬと言っておるうちに、いつの間にか
核兵器が入ってしまうといったような既成事実ができ上らないとは保証できない
状態であります。
防衛庁並びに
自衛隊の今後の
方針につきまして、一体国防
会議の
議長としての岸さんはどういう
考えを持っておるか。時間がないから十分でやめてくれというような申し出がございます。こういう大事な問題に対して十分はとうてい短かい時間でございまするが、特別に
岸総理の出席を願ったのだから、どうしても十分に限れという与党
理事の強硬な申し出がございます。そこで私は
岸総理に全部の事項につきまして一応並べまして、ここで岸国防
会議議長の御
答弁をお願いしまして、この問題についての
総理から納得のいくだけの御
答弁を願って、あと私はあきらめます。
まず第一に、この国防
会議の性格を見ますると、国防
会議に
内閣総理大臣は次の条項の協議を諮らなければならないという義務を負っております。すなわち、
内閣総理大臣としての岸信介氏が、この
防衛庁の
方針を受け取りました場合には、同じ国防
会議の
議長としての岸信介氏に、国防
会議に諮ることをやらなければならない。いわば全
責任があなた
自身にしぼられておる。その条項は、第一は国防の基本
方針であります。第二は、
防衛計画の大綱であります。第三は、前号の計画に
関連する産業等の調整計画の大綱であります。第四には、
防衛出動の可否であります。第五には、その他
内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項であります。しかるに現実の国防
会議は、予算を千四百万円とっておりますけれ
ども、ほとんど開かれていなかった。岸
議長自体も、
会議には三回しか御出席がなかったことを決算
委員会では
言明しております。しかも一方、この国防
会議をめぐりましては、さまざまな疑惑がわき起りまして、事務局長の広岡君にいたしましても、現大蔵省主計官の吉村君にいたしましても、かつてはこの国防
会議の中におった人間としていろいろな疑惑をまいておる。これを一体
総理はどうつかんでおられるのか。この国防の大綱を統べる国防
会議の
内容が、このように
国民の疑惑を受けるようなものであれば、とうていこれは信頼することはできない。特に広岡事務局長の
言明に従いますると、巷間さまざまな疑惑の雲に包まれておりまする天川勇という人間が、国防
会議の中で講演をやってその講演料をもらっておるということを、はっきり証言しております。この天川という人は、新三菱重工業の顧問であり、また小松製作所の顧問であった。そういたしますると、この国防を広義に
考えて、
防衛産業の隆盛をはかろうとする岸国防
会議議長の構想が、妙なところで破綻を起すのではないかと私は思うのであります。こうした国防
会議の
内容の紊乱した形、また弱い形、同時にこの国防
会議にさまざまな議案を持ち込み、報告を持ち込みます
防衛庁自体の最近の
動きはどうであるか、私は項目を並べまして、岸
議長の明快なる御
答弁を願いたいと思うのでありまするが、第一にはF86の返還の問題であります。まだ多くの飛行機が作られようとしているのに、せっかく借りたこの飛行機を返さなければならないというのは、一体当初の計画において誤まりがあったのか、そのあとで
情勢が変化したのか、こういう点を
一つ国防
会議の
議長として、その
立場から明快にお答え願いたい。
第二には、航空機搭載用の八センチのロケット弾をスタッキーニ会社に注文しましたのが、これはこないばかりか、予約金さえ返ってこない
状態になった。これはすでに会計検査院が摘発をしておる。しかもこうした予算と供与物品に対するバランスのとれない、非常に国費の乱費を招くようなやり方は、
昭和三十年にすでに会計検査院によって厳重なる警告を発せられておる。これを今まで何ら調整もせずに、あのぶざまな、使ってない飛行機を返してくれという要求を突きつけられるまで黙っておったのは、一体どこにあったか。この点もやはり岸
議長に
一つ御
答弁を願いたい。
さらに、ミサイル、エリコンなどの持ち込みによる基地の関係であります。飛行機は入ったが、パイロットは少い、基地は十分な計画が立たない、これでは一体
防衛の基本線はどうなるのか。一体エリコンやミサイルを使うならば、どこにどういうふうな計画を立てるように岸
議長は持ち込まれておるか、この点も
一つ御
答弁を願いたい。
第四には、新島、百里原の基地に関する問題であります。これはもうすでに新聞紙上でも詳しく出ておりまするし、またあとで
防衛庁長官には具体的な事例について徹底的に
質問申し上げたいと思っております。ただ、こうした新島、百里原の問題で地元民が激しく
反対しておるのを、計画が立ったばかりで、何らめどがつかないところへ持っていって大きな建物を建てまして、あるいはまた一方で信じがたいような補償の条項を持ち出して、権力と金力にものを言わせて、しゃにむにとってしまおうという形で、
防衛庁が基地建設を進めるならば、私は幾ら基地ができ上っても飛行機ができても、民心の離反による非常な治安の不穏が出てくると思うのであります。こういう点に対しましても、根本的に
岸総理はどうお
考えになっておるか、私はお伺いしたい。
第五には、グラマンの問題であります。これは詳しくは申し上げません。ただうわさに聞きますと、天川勇などの証人は今後絶対に
政府の
方針で呼ばせないということに決定したということを言っておりまして、これは先般中止になりました決算
委員会でもいろいろ取り上げられました。どうかそういう点があるかないか、これをお答え願いたい。この問題は決算
委員会の問題でございますから、岸さんの御
答弁によって、私は決算
委員会に対する
対策を立てたいと思います。
第六には、これは最後でございますが、
日本の
防衛はあくまでも政治優先でなければならない。かっての
日本の軍部のように、軍部が優先したのでは、やがてこの
防衛は完全ではないから、あくまでも政治が優先しなければならないということが言われておりますが、最近の
情勢を見ますと、政治が優先するのではなくて、
日本の
防衛産業の必要のために、あえてこうした
防衛方針を改める、あるいは機種の選定をする、いわば
防衛産業優先の形が露骨に現われてきておると思いますが、これで果してよろしいかどうか、
総理のはっきりした御
答弁を願いたいと思います。