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吉川久衛君 ただいま
議題となりました
漁船法の一部を改正する
法律案外二件について、
提案理由及び
審議の
経過並びに結果について御
報告申し上げます。
まず、
農林水産委員長提出、
漁船法の一部を改正する
法律案について、
提案理由を御
説明申し上げます。
漁船法の
規定により、
漁船はすべて
登録義務を負
つているのでありますが、そもそも、この
漁船登録制度は、
連合軍司令部の指令に基いて制定された
漁船登録規則の
内容をほとんどそのまま継承したものであ
つて、当時の事情から、すべての
漁船につき厳重な
登録制がとられ、
登録を受けなければ
漁船として使用できないこととなっているのであります。現在
登録を受けている
漁船は約四十万隻あり、これら
漁船の中には、科学的な装備を有する数千トンの
大型漁船がある反面、ろ、かいのみをもって運航する無
動力漁船が約二十五万隻もあり、このうち、一トンにも満たないきわめて
小型のものが約十九万隻も含まれている
現状であります。これらの
小型漁船を使用する
漁業者は、すべて沿岸の
零細漁業者でありますので、法の命ずるところにより
登録または三年ごとの
検認を強制しますことは、それらの者の
漁業に支障を与えますのみならず、今後なお
登録制を存続せしめておく実益もほとんどないと存ずる次第であります。従いまして、この際、
漁船法を改正して、無
動力漁船のうち総トン数一トン未満の
漁船に限
つては
登録義務を課さないことといたしたいのであります。
以上が
提案理由及びその
内容であります。
委員会におきましては、三月二十日、この案を
委員会の成案とすることに
全会一致の賛成をもって決定いたした次第であります。何とぞ、御
審議の上、すみやかに御
可決あらんことをお願いいたします。
次に、
内閣提出、
繭糸価格の安定に関する
臨時措置法の一部を改正する
法律案について申し上げます。
繭糸価格安定に関する
臨時措置法は、昨年六月、特別
国会において制定され、これに基いて、
政府は、二月中旬までに生糸約四万五千俵及び春繭約四千五百トンの買い入れ、たな上げを行い、価格安定に努めるとともに、過般来、繭糸の最低支持価格の引き下げ、桑園の減反等、各般の事項にわたり、蚕糸対策上相当思い切つた改革を施したことは、御承知の
通りでありますが、この際、その
一環として、三十四生糸年度の繭糸対策として、
現行臨時措置法の一年延長と、三十四生糸年度中に生糸保管会社の買い入れた生糸または乾繭について、五十億円を限度とする国庫債務負担行為を行うこととし、
本案が提出されたのであります。
本案は、去る一月三十一日に
政府から提出され、二月四日
提案理由の
説明を聞き、三月二十日
審査を行い、続いて
採決に付しましたところ、
全会一致をもって
可決されました。
次に、
内閣提出、
酪農振興法の一部を改正する
法律案について申し上げます。
酪農振興法は、戦後の営農と国民食生活の改善の要請にこたえ、酪農を急速に発達させる
目的をもって
昭和二十九年に制定せられ、自来、今日まで、本法に基き、二十六道県において七十五の集約酪農地域が指定され、乳牛飼養頭数は著しく
増加し、この間、牛乳及び乳製品の消費もおおむね生産と並行して伸びて参りましたが、
昭和三十二年ごろより、
国民経済の不況等も影響して相対的に生産過剰の様相が現われ、昨夏は生産者乳価の大幅な値下げが行われようとして、酪農経営に少からず不安動揺を与えたのであります。かかる事態は、結局、個々の酪農経営がいまだ弱体であり、かつ、生乳等の取引にも不完全な点があること等によるものであ
つて、酪農の今後の発展を所期するためには、従来のやや一本調子な奨励策を改め、生産、流通、消費の各段階にわたって改善、
合理化の施策を講じ、もって酪農経営の健全性を確立する必要があるとして、この改正案が提出されたのであります。
以下、その骨子のみを申し上げますと、第一は、集約酪農地域の内外を問わず、酪農に適する
市町村ごとの酪農経営改善計画を
作成させ、これに対し
都道府県は助言、勧告等の
援助を行い、国は必要な経費の補助、融資の
あっせん等を行うこと。
第二は、集約酪農地域の周辺地域のうち、一定の地域を農林大臣が指定し、その
指定地域内の酪農
事業施設の新増設について
知事に届出させること。
第三は、生乳等の取引、契約
内容中の重要事項である売買価格、数量等については、契約期間開始前の一定期日までに、少くも最初の三十日間に関する約定を行わせること。
第四は、農協等が団体協約の
締結の
交渉を申し込んだ場合、農林大臣または
都道府県知事は、相手方たる乳業者に対して
交渉応諾の勧告を行うこと。
第五は、生乳等の取引に関し紛争を生じた場合、
都道府県知事または農林大臣の
あっせんまたは
調停の制度を拡充したこと。
第六は、牛乳、乳製品の学校給食制度を法定したこと。
第七は、乳製品の緊急保管制度を設けたこと。
第八は、農林大臣または
都道府県知事の
報告聴取及び立ち入り検査の権限を強化したこと。
以上であります。
本案は、去る二月二十六日付託され、同月二十八日
提案理由の
説明を聴取し、三月十七、十八、十九日の三日間にわたり熱心な
審議が行われたのでありますが、詳細はこれを省略いたします。
かくて、二十日
採決に付しましたが、
本案に対し、自由民主、
日本社会両
党共同提案により、紛争の
あっせん、または
調停を
知事もしくは農林大臣が行う場合の認定条件を緩和して簡易にこれをなし得るよう
修正することとし、社会党中澤委員より同
修正案が提出され、本
修正案は
全会一致をもって
可決され、次いで
修正部分を除く
原案を
採決いたしましたところ、これまた
全会一致をもって
可決されました。よって、本
法律案はこれを
修正可決すべきものと決したのであります。
なお、
本案に対し、自由民主、社会両
党共同提案により、
政府は
本案の運用の全きを期するため、乳製品の緊急保管を行うに当
つては、生産者乳価の安定をはかることを本旨として
措置するとともに、さらに進んでは、別途に牛乳、乳製品の価格安定機構の確立を
検討すること、ほか三項目の
附帯決議を、
委員会の総意をもって付することといたしました。
以上、御
報告申し上げます。(
拍手)