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1959-03-17 第31回国会 衆議院 本会議 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月十七日(火曜日)     —————————————  議事日程 第二十四号   昭和三十四年三月十七日     午後三時開議  第一 港湾運送事業法の一部を改正する法律案内閣提出)  第二 宅地建物取引業法の一部を改正する法律案瀬戸山三男君外二十九名提出)  第三 農業共済基金法第三十九条第一項の特別積立金処分等に関する臨時措置法案内閣提出)  第四 放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件  第五 日本国アメリカ合衆国との間の小包郵便約定締結について承認を求めるの件  第六 所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国と。パキスタンとの間の条約締結について承認を求めるの件(参議院送付)  第七 所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国ノールウェーとの間の条約締結について承認を求めるの件(参議院送付)  第八 学校教育法等の一部を改正する法律案内閣提出)  第九 学校教育法等の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理等に関する法律案内閣提出) ○本日の会議に付した案件  日程第一 港湾運送事業法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第二 宅地建物取引業法の一部を改正する法律案瀬戸山三男君外二十九名提出)  日程第三 農業共済舞金法第三十九条第一項の特別積立金処分等に関する臨時措置法案内閣提出)  日程第四 放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件  日程第五 日本国アメリカ合衆国との間の小包郵便約定締結について承認を求めるの件  日程第六 所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国パキスタンとの間の条約締結について承認を求めるの件(参議院送付)  日程第七 所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国ノールウェーとの間の条約締結について承認を求めるの件(参議院送付)  日程第八 学校教育法等の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第九 学校教育法等の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理等に関する法律案内閣提出)     午後三時十八分開議
  2. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  日程第一 運送港湾事業法の一部を改正する法律案内閣提出
  3. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 日程第一、港湾運送事業法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。運輸委員長長塚俊郎君。     〔塚原俊郎登壇
  4. 塚原俊郎

    塚原俊郎君 ただいま議題となりました港湾運送事業法の一部を改正する法律案につき、運輸委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、本法案趣旨を簡単に御説明申し上げます。  最近における港湾情勢は、諸施設整備出入船舶大型化荷役量増大等に対応いたしまして、港湾運送事業につきましても運送機能充実が強く要求されているのであります。しかるに、港湾運送事業現状は、その大部分中小企業であり、また、港湾運送に対する需要が波動性を有すること等に基因して、企業の安定を確保し、その近代化合理化をはかることがきわめて困難な状態でありますので、かかる客観情勢に対応するため、現行法改正して港湾運送秩序を確立し、事業質的向上をはかろうとするものであります。  次に、改正案内容のおもなる点を申し上げますると、第一点は、いかだ運送事業の新設、業務限定登録制の制定をはかるとともに、事業の開始及び休止の届出を義務づけようとするものであります。第二点は、登録の拒否及び取り消しに関する規定整備するとともに、私的独占禁止法適用除外範囲を拡張しようとするものであります。  本法案は、二月二日本委員会に付託され、翌三日政府より提案理由説明を聴取し、二月十日、三月五日質疑が行われましたが、その内容会議録により御承知願います。  次いで、同月十二日、關谷勝利君より、自由民主党並びに日本社会党を代表して、全部修正案の動議が提出されましたが、その要旨は、今後の港湾施設の急速な整備に即応して、荷役近代化合理化が強く要請され、これに対応して港湾運送秩序をさらに一そう確立するため、港湾運送事業免許制に改めまして、免許基準運賃料金運送約款事業計画その他必要な規定整備し、また、検数事業鑑定事業及び検量事業等を、事業公益性にかんがみまして、これらの事業港湾運送事業の種類に加えまして、事業の公平かつ厳正な遂行を期そうとするのであります。  次いで、同日、討論を省略いたし、修正案について採決の結果、本法案全会一致をもつて修正議決すべきものと決しました。  右、御報告申し上げます。(拍手
  5. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 採決いたします。本案委員長報告修正であります。本案委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案委員長報告の通り決しました。      ————◇—————
  7. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 日程第二、宅地建物取引業法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。建設委員会理事二階堂進君。     [二階堂進登壇
  8. 二階堂進

    二階堂進君 ただいま議題となりました宅地建物取引業法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  宅地建物取引業運営を適正ならしめるため、業者が事務所を設けて業務を行います際には常業保証金供託すべきことが、去る第二十六回国会における宅地建物取引業法の一部改正によって定められたのであります。この営業保証金供託につきましては、現在は金銭による供託のみしか認めら必ていないのでありますが、証券業など営業保証金制度の設けられている他の業種については、ほとんど有価証券による供託を認めておりますので、これらとの均衡をはかるとともに、業者の行う供託を容易ならしめるため、宅地建物取引業者についても有価証券による供託を認める必要があるのであります。この点にかんがみまして、国債証券地方債証券等建設省令で定める有価証券をもって営業保証金に充てることができることを定め、これに伴つて必要な措置を定めたのが、この法律案要旨であります。  本法案は、去る三月十二日本委員会に付託され、同十三日審議を行なつたのでありますが、質疑討論を省略して直ちに採決いたしましたところ、全会一致をもって原案の通り可決すベきものと議失した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  9. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 採決いたします。本案委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
  10. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 御異議なし、認めます。よつて本案委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————
  11. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 日程第三、農業共済基金法第三十九条第一項の特別積立金処分等に関する臨時措置法案議題といたします。委員長報告を求めます。農林水産委員会理事丹羽兵助君。     [丹羽兵助登壇
  12. 丹羽兵助

    丹羽兵助君 ただいま議題となりました、内閣提出農業共済基金法第三十九条第一項特別積立金処分等に関する臨時措置法案について、農林水産委員会における審議経過及び結果について御報告申し上げます。  農業共済基金は、農業災害補償制度の重要な一環として、本制度の円滑なる運営をはかるため、昭和二十七年に設立され、自来、会員である農業共済組合連合会に対し、その事業不足金融資を行なってきたのでありまするが、農業共済基金資本金三十億円のうち、十五億円は、政府が設立の当初出資し、残りの十五億円は、基金会員である連合会が七カ年に分割して払い込むことになつており、今日まで十二億六千三百八十八万円を払い込んだのであります。しこうして、その最終回の出資残額二億三千六百十二万円を本年三月三十一日までに払い込むことによつて出資を終ることになっておりますが、農業災害補償制度運営実態にかんがみ、農民負担増大を避けることが適当と認め、この際、基金に積み立てられた約二億六千七百万円の特別積立金を取りくずし、会員未払込出資金を完済しようとして、本案提出せられたのであります。  本案は、去る三月六日提出され、三月十日政府より提案理由説明を聴取し、また、審議に当つては、農業共済基金専務理事安田誠三氏を参考人として招致して意見を徴する等、慎重審議の上、三月十三日質疑を終了し、討論を省略して直ちに採決に付したところ、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決した次第であります。  なお、本案に対し、日本社会党足鹿覺君より、農業共済制度の現況にかんがみ、農業共済基金制度機能を十分に発揮せしむるため、その業務範囲の拡大をはかるべきこと、及び、会員への不足金融資に当り、保険金支払いに必要な資金を貸し付け、保険金完全支払いを実現するとともに、融資手続を簡素化すべきである、との趣旨附帯決議を付すべき提案がなされ、これまた全会一致をもって附帯決議を付することに決した次第であります。  以上、御報告を終ります。(拍手
  13. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 採決いたします。本案委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————
  15. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 日程第四、放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件を議題といたします。委員長報告を求めます。逓信委員長淺香忠雄君。     〔淺香忠雄登壇
  16. 淺香忠雄

    淺香忠雄君 ただいま議題となりました、放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件に関しまして、逓信委員会における審議経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。  本議案は、日本放送協会昭和三十四年度収支予算事業計画及び資金計画について国会承認を求めるために、去る二月十九日内閣より提出されたものであります。  議案内容につきまして大略御説明をいたしますと、昭和三十四年度における事業計画につきましては、その重点を、ラジオにおいては標準放送網整備FM放送局建設老朽陳腐化施設改善及び放送内容充実等に、また、テレビジョンにおいては総合及び教育テレビジョン放送局全国的置局の推進、放送時間の増加及び番組内容充実等に置き、その他国際放送拡充研究部門強化等をはかることといたしております。  次に、収支予算におきましては、ラジオ関係については、収入支出とも総額百六十九億六千三百余万円を予定しておりますが、これを昭和三十三年度に比較すれば、収支ともに二十九億四千七百余万円の増加となっており・テレビジョン関係については、収入支出とも総額百二十億七千百万円を予定し、前年度に比して四十四億九千六百余万円の増となっております。なお、この収支予算においては、受信料を、テレビジョンにおいては本年度と同額の月額三百円としておりますが、ラジオにおいては、前述の諸計画の実施が緊急を要するにもかかわらず、受信者増加は逓減の傾向にあり、現行月額六十七円の受信料収入をもってしては計画の完遂を期しがたいので、これを月額八十五円に改訂することといたしております。  次に、資金計画は、収支予算及び事業計画に照応する資金の出入りに関する計画であります。  上述の収支予算等に対し、郵政大臣は、これをおおむね妥当なるものと認める旨の意見書を付しているのであります。  逓信委員会におきましては、去る二月十九日本案の付託を受け、同二十五日以降、数次にわたって会議を開き、特に参考人として日本放送協会の会長及び理事等の出席を求め、慎重審議を重ねたのでありますが、質疑応答のおもなるものを申し上げますと、「ラジオ受信料値上げは生計に圧迫を加えるのではないか。また、その連鎖反応として、一般物価の高騰を促し、インフレ誘因となるのではないか。受信料収入をもって支弁する老朽陳腐化施設改善借入金でまかなうことはできないか。国際放送に関する政府交付金は、これに要する経費の三割弱、九千四百万円にすぎず、技術研究については皆無であるが、これらをNHK負担にまかせることは不当ではないか」等の質問に対して、政府並びにNHK当局は、「ラジオ受信料家計文出中に占める割合は、月額八十五円に引き上げても、わずかに〇・二八%にすぎず、その影響はきわめて少く、また、受信料はほかの物価組成因子ではないので、インフレ誘因になるおそれはない。老朽施設改善費経宿的経費に属するので、これを借入金にたよることは、NHK財政を不健全ならしめるものである。国際放送技術研究に要する経費については、今後ともこれが増額に努力する」旨の答弁かありました。そのほか、多岐にわたつた質疑応答の詳細につきましては、会議録によって御了承を願いたいと存じます。かくて、委員会は、三月十三日質疑を打ち切り、直ちに討論に入つたのでありますが、その際、日本社会党を代表して、小沢貞孝君は、本議案承認を与えるに反対意見を、自由民主党を代表して秋田大助君は、賛成の意見を述べられ、次いで、採決の結果、多数をもって本議案はこれに承認を与えるべきものと議決いたした次第であります。これをもって御報告を終ります。(拍手)     —————————————
  17. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 討論の通告があります。これを許します。金丸徳重君。     〔金丸徳重登壇
  18. 金丸徳重

    金丸徳重君 ただいま議題となりました、放送法第三十七条第二項の規定に暴き、国会承認を求めるの件に関し、私は、日本社会党を代表して、本議案承認を与えることに反対意見を申し述べんとするものでございます。(拍手)  日本放送協会は、わが国唯一公共放送機関として、創立以来、多年にわたり、わが国の政治、文化、経済その他社会生活一般の上に多くの貢献をいたしてきたことは、われわれもひとしくこれを認めるものでございます。しかるに、近年、民間放送事業の異常なる発達とテレビジョン施設驚異的進歩に伴い、公共放送、特にラジオ放送については、その業務内容及び運営方法等につき根本的に検討を加えなければならない一面が多々生じて参つたのであります。しこうして、この点につきましては、今国会冒頭提出せられました放送法の一部を改正する法律案審議の際におきましても、わが党の強くこれを指摘し、政府の所信をただしてきたところであります。しかるに、政府においては、この根本にしてかつ緊急を要する問題につき真剣に取り組むの熱意と誠意を欠き、いたずらに枝葉末節の問題につき当面を糊塗せんとした結果、放送協会としても、やむなくその線の中において来年度以降の運営をはからざるを得ない結果となりまして、ただいま提案されましたような内容案件と相なつたのであります。この点、まず、深く政府態度に対し遺憾の意を表さなければなりません。(拍手)  しこうして、協会提案内容は、ただいま委員長報告の中に触れられておりまするように、放送番組向上放送網整備充実老朽施設の取りかえ、改善等を実現し、あわせて懸案の人事給与面改善をはかることといたし、これが所要経費として三十億円に余る巨費を投入せんとするものであります。われわれは、これら諸計画をしさい検討し、放送協会業務実態放送事業界の今後の趨勢をとくと勘案いたしました結果、協会が三十四年度以降において遂行せんとしておるところの諸計画は、おおむね、現時わが国放送事業界の実情及び要望に沿うものとして、同感の意を表し得るものと思うのでありますが、その財源のほとんど全部を聴取料金値上げによる増収額にたよらんとしたことは、まことに遺憾と申さなければなりません。(拍手)この点につきましては、委員会における審議の過程において、あらゆる角度より質疑検討を加えたのでありまするが政府及び協会当局よりは、ついに満足すべき回答を得られなかったのでございます。  およそ、公共独占事業における料金値上げなどということは、わが国経済界現状においては容易に計画すべきものでないことは、今さらここに賛言を要しないところであります。ことに、放送聴取料金のごとき、その根本において種々の問題を包蔵し、かつ、千数百万の大衆契約者生活及び感情に至大の関係を持つラジオ聴取料値上げのごときは、よくよくの必要に迫られ、しかも、何ら他に策なき場合においてのみ初めて着想せらるべきものでありまして、しかも、これが実行に当つては、契約者たる大衆の十分なる理解納得の中において慎重に進めらるべきことであることは、今さら申し上げるまでもないところでございます。(拍手)しかるに、今回の提案の中には以下申し述べまするような諸点において、なお検討を加うべき要素がたくさんあるのであります。これ、すなわち、本案反対ざるを得ない根本態度であります。  以下、そのおもなる理由につき申し述べたいと存じます。  まず、放送協会提出にかかる昭和三十四年度事業計画によれば、ラジオ建設計画において、標準放送網整備FM放送局建設等新規拡充計画に六億五千万円、経年のため老朽し、あるいは機能的に陳腐化した機器施設の取りかえ、改善に十四億円、総額二十億五千万円を計上いたしておるのでありますが、これら臨時的経費の大部分経常収入としての料金収入によってまかなわんとしておるところに、そもそも重大なる誤まりのあることを指摘いたさなければならないのであります。(拍手)これら新規もしくは改善計画は、当該計画年度においてこそ一度に多額経費を要するとは申せ、計画完了後は、長年にわたって使用、運営に耐え、従って多くの場合、かくのごときは借入金によってまかないつつ、長い間にこれが減価償却をなし得る性質のものであることは、今さらここに申し述べる要のないことであります。しかるに、放送協会は、これをしいて本年度事業収入のうちより支弁せんとし、従来の料金額をもってしてはその足らざるのゆえをもって料金値上げ計画しておるのであります。これ、われわれが同意し得ざる理由の第一点であります。  また、協会は、三十四年度において国際放送拡充計画し、これが本年度所要額として約一億六千万円を計上し、総額三億三千余万円を見込んでおるのでありますが、元来、この国際放送は、政府の責任において遂行せらるべき国策事業でありまして、その経費は、放送法規定するところによりまして、政府が当然負担すべきであるにかかわらず、その大部分加入者負担に転嫁せんとしておるのであります。かくのごときことが許さるべきことでないことは、あまりにも明瞭であります。また、同様に、放送協会は、生活保護世帯等に対し受信料の免除を行い、三十三年度においてすでに五十五万世帯に及んでおるのでありますが、三十四年度においては、さらにこれを拡充して六十万世帯にまで増さんとしておるのであります。従来の受信料月額六十七円の納付にさえも困難を感ずる低生活者にその受信料を免除してやつてラジオ聴取群の中にとどめおき、ともに楽しみ、ともに知り、ともに教えられんとする協会当局熱意は、これを認めるのにやぶさかではないのでありますが、よって受けるところの収入減六億円を全部他の加入者負担に転嫁せんとするのも、また容認しがたき点でございます。(拍手国際放送所要経費三億三千万円とともに、およそ十億に近きこれらのものは、その性質上、あげて政府より補てんせしめて、もって一般加入者負担の軽減に資すべきものと信ずるのであります。これ、すなわち、反対理由の第二点でございます。  さらに、料金値上げのやむを得ざる理由として協会説明するところによりますれば、新規契約者増加率は一両年来とみに減少を来たし、三十二年度までは年々七十万前後を数えてきたものが、三十四年度においては僅々十万を数えるにすぎないであろうと言い、普及率はついに頭打ちの状態に立ち至つたものと認めざるを得ず、従って、現行料金をもってしては収入自然増を期待することができ得ないこと強調いたしておるのであります。しかしながら、全国普及率をしさい検討するならば、なるほど、ある種の地方においては普及率九〇%をこえ、まさに満配の感を抱くところもあるのでありますが、他の地方におきましては、六〇%をわずかにこえるにすぎないほどのところも少くありません。これらの地方を昨年十二月末の全国平月八二%にまで向上させるだけをもつ、いたしましても、なお百数十万の新柳契約者を見込むことができるのでありまして、この努力の結果として予想されるところの収入自然増は、現行料金をもってしても、なお十億を上回るものと計算せられるのでございます。また、本事業計画に示された三十四年度受信契約者見込み数によりますれば、年度内新規契約者百三十五万、同じく廃止契約者百二十四万余となっておりますが、その新規契約者百二十五万という見込み数については、前述普及率の状況などからいたしまして、まあ、やや納得できる数字といたしましても、廃止契約百二十四万余こいう数字については、そのあまりに多きことに、いささか一驚を禁じ得ないものがあるのであります。いな、むしろ、不可解の感をさえ抱かせるのであります。しこうして、こうした数字をあげる原因の中に、あるいは聴取料の高額のゆえに、もしくはその性質のめいまいさなどのために、このまま契約を継続することをちゆうちよし、拒否し、もしくは、少くとも釈然たり得ざる感情を抱く者も少からず存在することが想像せられるのでありまして、こうした現象にこそ、協会運営の将来に横たわる最大の問題が伏在することを思わなければなりません。ことに、契約者の一割近くのものが年々更新せられるがごとき、これらの数字の示すところのものは、大衆契約者属料金負担の限界を示すものとして見のがし得ない傾向と申さなければなりません。また、そのために年々多額経費と労力を新規契約者獲得のために費さなければならない結果とも相なるのでありまして、こうしたことこそ、最も警戒すべき事象として厳粛に検討し、これが対策は、真剣に、かつ急速に立てらるべきものと思いますのに、これを捨てておいて、いちずに料金値上げにたよらんとするがごときは、その土台を固めずして建物のみを急がんとするものにひとしく、むしろ、その将来の結果のおそろしさに、りつ然たらざるを得ないのであります。これ、私どもが政府に強く警告し、本案反対せんとする理由の第三点であります。  その他、等々、かくのごとく見てきますと、やむにやまれずとして提案して参りました料金値上げのことは、努力のいかんによっては、なお避くべき方途が幾多他に求め得るものと言い得るのであります。ことに、聴取料性格そのものについては、民間放送普及有線放送施設拡充、その他最近の新しい事象等影響を受けまして、世上にとかくの論議が現われておることは、否定しがたい事実であります。従いまして、この際、政府としてなさなければなりませんことは、受信契約性格を明確にし、受信料の本質を明らかにして、契約者理解納得のもとに、喜んで聴取料を納付し得るの情勢を作り出すことにあるべきであります。しかるに、これをさしおいて、値上げによって万事を解決せんとするがごときは、まさに一日の安きを盗んで将来の大事を忘れておるものと中さざるを得ず、そのさま、あたかも、くさいものをそのままにしておいて、さらに、くさいふたをせんとするにほかならず、世人の不満は単に鼻をつまんでそつぽを向くだけでは済まされないであろうことを憂うるものであります。(拍手)  さらに、これを一般の社会問題、経済問題としての面から見ましても、わが国経済がようやくなべ底景気から立ち直らんとしておる現在の重大段階において、放送聴取料値上げのごとき社会的影響の大なる問題を軽々に取り上げるがごときは、まさに暴挙中の暴挙と申さなければなりません。もしも、これがために諸物価値上げへの拍車をかけるがごとき結果とも相なりまするならば、政府の責任の決して軽からざることを思わざるを得ないのでございます。  もとより、われわれは、協会がその施設改善し、放送内容充実し、従業員の給与を改善してその盛り上る意欲と活動を力として公共放送機関としての使命に邁進せんとする熱意には、もろ手をあげて賛成するものでありますが、それだけに、現段階においては、ただいま申し述べましたような諸方策をまず急速かつ効果的に実現すべきことを要望し、政府においては、この際、公共放送事業根本に横たわる諸問題に真剣に取り組み、十分に検討の上、これが抜本塞源的な対策を樹立するの態度をとり、特に、本年度所要の建設改良資金融資等につきましては進んで最大限の援助をなすとともに、政府において負担すべき経費等については、すみやかにこれが肩がわりの方途を講じ、もって、この方面からまず協会財政の確立を期せしむべきであります。  以上の理由により本案反対いたす次第でございますが、何とぞ御賛同をお願い申し上げます。(拍手
  19. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。本件は委員長報告の通り承認するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  20. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 起立多数。よって、本件は委員長報告の通り承認するに決しました。      ————◇—————
  21. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 日程第五、日本国アメリカ合衆国との間の小包郵便約定締結について承認を求めるの件、日程第六、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国パキスタンとの間の条約締結について承認を求めるの件、日程第七・所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国ノールウェーとの間の条約締結について承認を求めるの件、右三件を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。外務委員長櫻内義雄君。     〔櫻内義雄君登壇
  22. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 ただいま議題となりました三件につきまして、外務委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、日米間の小包郵便約定について、御説明申し上げます。  日米間の小包郵便物の交換業務につきましては、戦前は昭和十三年の約定によって規制されて参りましたが、戦後もこの約定が復活、適用されております。この戦前の約定は、締結以来一度の修正も行われていないので、現状に適するよう改定の必要があり、両国間で交渉の結果、この新約定が作成され、わが国は昨年十月二日に東京で署名し、米国側も十一月三日ワシントンで署名を了しました。その効力の発生は、両国の権限のある当局が合意する日となっております。この約定は、郵便小包交換に関する条件、小包の料金に関する事項、航空小包に関する事項、事故の場合の損害賠償等について規定しております。次に、日本国パキスタン及び日本国ノールウェーとの間の二重課税防止条約について御説明申し上げます。わが国は、さきにアメリカ合衆国及びスエーデンとの間にこの種の二重課税防止条約締結いたしましたが、今般、さらにパキスタン及びノールウエーとの間に交渉が妥結し、二月十七日及び二十一日に、東京でこの両条約にそれぞれ署名を了しました。この両条約内容は、わが国がさきに結びました二重課税防止条約にならうものでありまして、これにより両国との間の二重課税及び脱税等の問題を有効適切に処理し、当該国民が安心して経済上、文化上の活動に従事できるようにし、両国との間の経済関係を一段と緊密にすることが期待される次第であります。  この日米小包郵便約定は、二月三日委員会付託となり、また、日本国パキスタン及び日本国ノールウェーとの両二重課税防止条約は、二月二十五日及び三月二日それぞれ予備審査のため委員会付託となり、三月十一日参議院承認の後、本院に送付され、委員会付託となりました。よって、会議を開き、政府提案理由説明を聞き、質疑を行いましたが、その詳細は会議録により御了承を願います。  かくて、三月十三日、討論を省略し採決の結果、この一約定二条約はいずれも全会一致をもって承認すべきものと議決いたしました。  以上、御報告申し上げます。
  23. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 三件を一括して採決いたします。三件は委員長報告の通り承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、三件とも委員長報告の通り承認するに決しました。      ————◇—————
  25. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 日程第八、学校教育法等の一部を改正する法律案日程第九、学校教育法等の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理等に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。文教委員長臼井莊一君。     [臼井唯一君登壇
  26. 臼井莊一

    ○臼井莊一君 ただいま上程されました二つの法案の要点と、文教委員会における審査経過及び結果について御報告申し上げます。  初めに、学校教育法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法案は、第一に、学校教育法を改正して専科大学制度を新設しようとするものであります。専科大学は、深く専門の学芸を教授研究し、職業または実際生活に必要な能力を育成することを目的としており、現行の四年制大学とは別個の教育機関であります。その入学資格、修業年限について申し上げますと、高等学校卒業程度を入学資格とするものは、短期大学と同様、二年または三年をその修業年限としており、さらに、中学校卒業程度を入学資格とする五年または六年の制度をも認めることとし、産業界その他一般社会の要望にこたえようとしております。申すまでもなく、この専科大学の制度は、現行の暫定的短期大学制度改善し、その卒業生の職業能力、生活能力を一そう充実しようと種々検討を加えられた結果、恒久的の制度として立案せられたものであります。従って、短期大学の設置認可はこれを昭和三十四年三月三十一日までに限定し、専科大学の設置はこれを昭和三十五年度以降と規定しております。  第二点としましては、高等学校の定時制または通信教育の課程に在学する者が文部大臣の指定する技能者教育施設で教育を受けている場合、学校長は、文部大臣の定めるところにより、その施設における学習を当該高等学校の教科の一部とみなすことができる規定を設けて、勤労青少年の心身の負担を軽減し、かつ教育的効果を上げようとするものであります。  第三点は、特殊教育に関する規定整備であります。すなわち、従来単独設置を認められていない盲学校、ろう学校及び養護学校の幼稚部及び高等部について、特別の必要ある場合、それぞれ単独に設置し得る道を開き、さらに、特殊学級の対象になる児童生徒の種類について現行規定整備するものであります。  その他、従来もすでに行われていた国立学校の授業料の減免について、財政法等との関係から、これを法文に明記するため、国立学校設置法の一部を改正しようとするものであります。  以上が本法案のおもな内容であります。  次に、学校教育法等の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理等に関する法律・案について申し上げます。  本案は、第一に、国公立専科大学の学長、教員の身分取扱い及び管理機関については四年制大学の例によるものとし、専科大学前期課程を担当する教員の身分取扱いについては大学付置の学校の教員の例によるものとし、このため教育公務員特例法の一部を改正しようとするものであります。  第二点は、専科大学の前期課程担当教員は原則として高等学校教員の免許状を必要とするが、当分の間、免許状を有しない教授等が、授与権者の許可を受けて、前期課程を担当する教諭または講師となり得ることを規定し、第三点は、専科大学の卒業生に対する教員免許状授与についての規定を設けたことでありまして、これらのため、教育職員免許法の一部を改正しようとしております。  第四点は、国立専科大学の学長、教員の給与については国立大学の学長、教員の例によるものとし、前期課程担当教員の給与は国立高等学校教員の例によるものとし、このため一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正しようとしております。  右の両法案は、昨年十二月十日当委員会に付託せられ、同十七日政府より提案理由説明を聴取いたしました。元来、本案は、科学技術の振興という時代の要請をも考慮し、わが国学制の基本にも関係を有する重要法案である点にかんがみ、委員会としては、きわめて慎重に審議をいたして参つたのでございますが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。  かくて、三月十三日、両案に対する質疑を打ち切り、一指して討論に入りましたが、小牧委員は日本社会党を代表して両法律案に対し反対意見を、また、加藤委員は自由民主党を代表して賛成の意を表されました。続いて採決の結果、起立多数をもって両法律案とも原案の通り可決すべきものと決定いたしました。  右、御報告申し上げます。(拍手
  27. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 両案を一括して採決いたします。両案の委員長報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     [賛成者起立〕
  28. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告の通り可決いたしました。
  29. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 本日は、これにて散会いたします。     午後四時四分散会