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1959-02-17 第31回国会 衆議院 本会議 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年二月十七日(火曜日)     ―――――――――――――  議事日程 第十三号    昭和三十四年二月十七日     午後一時開議  第一 昭和三十三年度一般会計予算補正(第2号)  第二 警察法の一部を改正する法律案内閣提出)     ――――――――――――― ○本日の会議に付した案件  運輸大臣永野護不信任決議案淺沼稻次郎君外四名提出)  日程第一 昭和三十三年度一般会計予算補正(第2号)  日程第二 警察法の一部を改正する法律案内閣提出)  通商産業省設置法の一部を改正する法律案内閣提出)  水産庁設置法の一部を改正する法律案内閣提出)  臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会設置法案内閣提出参議院送付)     午後四時二十四分開議
  2. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) これより会議を開きます。      ――――◇―――――
  3. 松澤雄藏

    松澤雄藏君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、淺沼稻次郎君外四名提出運輸大臣永野護不信任決議案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
  4. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 松澤君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  運輸大臣永野護不信任決議案議題といたします。提出者趣旨弁明を許します。河野正君。     …………………………………     〔河野正登壇
  6. 河野正

    河野正君 私は、日本社会党を代表し、ただいま議題となりました運輸大臣不信任案の上程に対し、その趣旨説明を行わんとするものであります。(拍手)  まず、その主文を読み上げます。  本院は、運輸大臣永野護君を信任せず。   右決議する。   〔拍手〕     理由  一 運輸行政わが国産業経済文化に及ぼす影響重大性を常に軽視し、政治権力と結びつき、国民世論を無視し、一方的に政治的な私鉄運賃値上げ等国民生活をはなはだしく破壊せんとした。  二 産業経済の再建に努力した労働者及び関係住民意思を無視し、独占資本に奉仕するの余り、国鉄志免鉱業所利権として取り扱い、法外の価格民間払い下げんとした。  三 インドネシア賠償に対する造船割当のほか、伊豆下田鉄道東海道新線建設等、その背後には数々の疑惑が持たれている。   右、永野行政は、運輸行政日本産業経済文化に及ぼす影響重大性を無視し、国民大衆利益を顧みず、常に独占資本に奉仕したことは、日本民主主義を破壊し、一部階級のための金権政治を樹立するものと言うべきである。   よって、ここに運輸大臣永野護君の退陣を要求して、本決議案提出するものである。  以下、その詳細について御説明を申し上げたいと思うのであります。  逆境に弱く、順風に強い保守政治家の例に漏れず、永野運輸大臣が、常に独占資本家の顔色をうかがい、国民大衆の窮乏を顧みることなく、運輸行政を通じ、一部特権階級のみの利益を守り続けてきたことは、すでに周知の事実でございます。ある週刊誌は、キャッチ・フレーズを編み出し、自民党主流派の首脳を「三盗五濁七あほう」といい、反主流派実力者を「三凶五悪六ふうてん」と言ったのでありますが、このことは、今日の自民党が、思想政策の政党でなく、三盗五濁、三凶五悪の文字が示すように、私利私欲党利党略のほか何ものでもないことを明白に示したものであります。(拍手)このように質度の低い戦国的な様相が国民の保守党に対する信頼感を急ピッチに失わせつつあるにもかかわらず、依然として、政治権力と結びつき、贈収賄の温床を作り、汚職問題を引き起す必然性を重ねつつあることは、われわれ国民の全く容認することのできぬ点でございます。  さきの総選挙に際しましては、八百億減税その他数々の選挙目当ての公約で国民を欺瞞したのでありますが、実際には、私鉄運賃値上げ等によって低所得者家計負担を増加せしめて参ったことは、御承知通りであります。私鉄白書では運賃値上げによる物価騰貴を強く否定しておるのでありますが、しかし、国民大衆が多くの不安を抱いておることは偽わらざる事実でございます。国鉄運賃の改定以来、一応、諸物価値上げは押えられておったのでありますが、今回の私鉄運賃値上げ機会に、これを突破口として、一斉に値上げへ出発する情勢と不安はきわめて濃厚になって参ったのであります。私鉄運賃値上げのみが直接的ではないにいたしましても、これが間接的に巻き起す諸物価値上げへの原動力となることは、これまた火を見るよりも明らかであります。新聞、放送、ガス、電気、映画など、このあとメジロ押しの状態であり、これが自民党物価手直し論とともに値上げにまかり通ることは必至で、国民生活脅威をもたらすことは、これまた明らかでございます。換言するならば、運賃値上げ家計に対する直接的はね返りでなく、連鎖反応的脅威であります。すなわち、直接的であると同時に、それが他産業や賃金に大きくはね返ってくるということであります。また、一方、運賃値上げ目的が五カ年計画のための資金獲得にあるとするならば、これは兼業部門に対する過当競争的設備投資を招来するものと、これまた断ぜざるを得ないのであります。このような、大企業に奉仕し、国民世論を無視した一方的な私鉄運賃値上げは、国民生活犠牲にするのみならず、政治権力に結びついた一個の汚職に堕する事実を強く指摘しなければならぬのでございます。  かくのごとく、私鉄運賃値上げ政治的理由のほか何ものでもなかったと同様に、永野運輸大臣就任により急速に具体化した問題が、今日院内外を通じ強い批判を受けておる国鉄志免鉱業所民間払い下げの問題でございます。  志免炭鉱は、従業員三千二百名を擁し、埋蔵量二千万トン、出炭量は年産五十万トン、平均六千五百カロリーで、九州でも屈指の良鉱であります。従って、今日まで、この払い下げをめぐって、業界、政界の蠢動きわめて露骨なものがあったのであります。すなわち、昭和三十年十一月の行政管理庁勧告及び翌三十一年一月の国鉄経営調査会答申に端を発したのでありますが、その勧告答申の言わんとするところを要約いたしますと、その第一は、志免鉱業所は赤字であり、非経済的であるので、国鉄経営より分離するか、さもなければ、徹底的な経営合理化に努めよ、ということであったのであります。しかるに、その後、山元における従業員中心とする関係者犠牲的努力献身的協力及び炭界事情も手伝い、今日では二億余の黒字経営となり、第一の経済的根拠が消滅いたしまするや、今度は、たちまち豹変して、可採炭量が少いという一方的な資料を掲げ、志免鉱業所事業生命がはなはだしく短命であること、すなわち、将来性のないことを第二の理由として、あらためて提議を行い、ことに、三十三年四月には、全く御用機関にひとしい、かいらい調査委員会を設置し、民営移譲合理性をはかったのであります。この当局側の不当なる態度に対して、わが社会党は、学者、技術者経験者協力を得、衆知を集め、あるときは、勝間田対策委員長以下十数名の国会議員も、地下数千尺の坑底にもぐり、炭塵にまみれ、汗を流し、詳細なる実地調査を行い、ついに、最も科学的な、志免鉱業所長期安定経営は可能である旨の具体的開発計画案を発表し、強く当局欺瞞性を追及するに至ったのであります。(拍手当局は、この社会党具体的開発計画案に驚くと同時に、自信を喪失し、むしろ、社会党案を肯定しつつも、思想の相違を第二の理由として、あえて民間払い下げを強行しようと企図したのであります。  かくのごとく、払い下げ理由一貫性がなく、その理由が二転、三転して参ったことは、その払い下げの根本的な理由が、志免鉱業所自体の問題でなく、さらに深いところに根を持っていることを明らかに示すものであります。(拍手)  一月二十八日付の朝日新聞、「今日の問題」で、志免鉱業所国有財産であること、反対者が非常に多いこと等を理由に、払い下げに当っては反対者を納得させる考慮努力の必要のあることを強調しておるのであります。たとえば、社会党は、志免炭鉱は今後四十五万トン出炭で十年以上可能なることを主張せるにもかかわらず、あと二、三年で限界にくるという国鉄当局との意見の極端な対立は、ぜひとも国民の前に明らかにせらるべきことを、強調いたしておるのであります。(拍手)結局、国民監視下に公明正大に行われる確信があるかどうか、はなはだ疑問だといっておるのであります。しかるに、社会党に対しては、今日まで一回の討議の機会も与えず、従業員に対しては、従業員が一歩譲歩すれば当局は二歩前進する独善的な態度をとって参ったのであります。このことは、志免炭鉱払い下げ業界垂ぜんの的といわれ、従って、当局政治ボスが結託をし、いわゆる独占資本利潤追求のための好餌とした結果であることは、全く疑う余地がないのであります。(拍手)  このように、特定業者と結んで払い下げを強行しようとすることに対しては、新聞論説でも、業者とのくされ縁を切れとのきびしい警告はもちろんのこと、最近、自民党内におきましても、その声を聞くに至ったといわれております。  しかし、志免鉱業所があえて利権として取り扱われる限り、その払い下げ価格が不当に安いものであろうことは、特に国民の注目するところであります。にもかかわらず、業界に相呼応するかのごとく発表いたしました当局資産表を見ても、財産総額はわずか二十六億円余であります。この表によると、驚くなかれ、現在志免鉱業所の所長が乗り回しております五一年型クライスラー乗用車が、何と一円の評価額であります。ただの一円であります。そのほか、倉庫、便所等、三百近い物件が、これまた子供のあめ玉も買えぬ一円の評価額であるのであります。従って、科学的な評価では五十億と推定されるにもかかわらず、わずか十億前後で払い下げようというのが今日の当局の腹でありますから、国民の名において断じて容認することができないのでございます。(拍手)  しかし、本問題は、単に志免鉱業所の問題にとどまらざるのみならず、わが国交通政策エネルギー政策という基本的な点よりも、きわめて重大であります。もし政府及び当局が一方的に払い下げを強行せんとするならば、重大なる事態と混乱が生ずることは必至でありましょうし、その責任行政上の最高責任者たる永野運輸大臣が負うべきは、これまた当然といわなければならぬのであります。(拍手)  さきに「不正者の天国」を書いて行政管理庁監察官が首になるほど、今日の保守政治不正腐敗がはびこっていることは、周知の事実であります。数日前の予算委員会では、インドネシア賠償船舶について、木下商店との関係が、わが党委員より激しく追及されたことは、すでに御承知通りであります。その割当の露骨さには業界すら一驚したのでありますが、ことに、賠償に職権を有する運輸大臣が、かねて関係を有する木下商店提供自動車の使用を認めるごときは、疑惑のみならず、国務大臣権威を失墜するものとして、国会としても断じて許すことができないのでございます。(拍手大臣は、かつて僧職に身を置かれたよしでございまして、このようなことを、すべて、あたかもお布施のごとく心得ておられるかもしれませんが、しかし、国民の心は疑惑ありとして、きびしいことを、大臣は知るべきであります。  かくのごときインドネシア賠償に関する造船割当のみならず、第十四次造船割当につきましても、業界の暗躍とともに、種々なる風聞は今なお国民の耳に新しいものがありますが、運輸大臣就任後は、さきに述べた私鉄運賃値上げを初めとし、伊豆下田鉄道建設東海道新線建設、興安丸の払い下げ、また、目下懸案志免炭鉱払い下げ問題と、歴代の運輸大臣にしてなし得ざりしもろもろの問題に積極的に手をつけたのみならず、しかも、その背景に種々疑惑を抱かしめたことは、われわれの強く糾弾しなければならない事実なのでございます。このことは、すでに、自民党内においてすら、運輸大臣行政官にあらず政商なりとの声が出ておるということでございますが、これは、その事実をよく物語っておるというべきであります。  われわれは、このような今日の運輸行政の病根に徹底的なメスを入れ、その真相を明らかにし、国民の名において運輸大臣退陣を要求することこそ、腐敗政治を追放するゆえんであるとかたく信じ、ここに本決議案提出した次第であります。(拍手)     ―――――――――――――
  7. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) これより討論に入ります。天野公義君。     〔天野公義登壇
  8. 天野公義

    天野公義君 私は、ただいま議題となっております永野運輸大臣不信任決議案に対しまして、自由民主党を代表して反対意思を表明せんとするものであります。(拍手)  反対理由の第一は、私鉄運賃についてであります。  わが国産業経済文化に大きな貢献をなしつつある地方鉄道運営が、産業近代化経済の助長、文化の進展に応じて整備されていかなければならないことは、万人の認めるところと存ずるのであります。しこうして、地方鉄道経営の実情は、運賃昭和二十八年以来据え置かれているにもかかわらず、一方に物件費人件費の高騰などがありまして、逐次苦しくなって参ったのであります。そこで、一昨昭和三十二年六月から七月にかけまして、大手十三私鉄から運輸省に対し旅客運賃変更認可申請があったのでありまして、その後、政府において運輸審議会諮問をし、運輸審議会においては十分検討を加えた結果、昨三十三年十二月十六日、値上げを認める答申があったのであります。運輸大臣としては、法律の定めるところに従って、運輸審議会意見を尊重するとともに、さらに、運賃値上げが民生に与える影響考慮して、値上げ率運輸審議会答申よりさらに幾分低率に修正して認可したのであります。その運賃増収率は一五・三%で、大都市の生計費に及ぼす影響は、わずかに〇・二%程度にすぎないものであります。しかも、運輸大臣としては、運賃改訂による増収分運転保安の確保、輸送力増強及びサービスの向上のための五カ年計画実施に使用させるよう指導監督をし、一般旅客に対して負担加重分を遺憾なく還元して、公共機関としての使命を果させるよう努力すると約束しておるのであります。このように、運賃値上げについては、提案者の言うがごとき不当な政治的考慮等が介入する余地は全くないのであります。(拍手社会党の諸君が国民大衆利便を言うならば、あのむちゃくちゃな私鉄ストライキ国民の足を一方的に奪うストライキこそ、国民大衆利便にまっこうから反するものであると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)  第二に、志免鉱業所払い下げの問題について申し上げます。  昭和二十九年内閣に設けられた臨時公共企業体合理化審議会より、志免鉱業所を分離すべきであるとの答申があり、続いて、昭和三十年十一月及び三十三年四月の二度にわたって、行政管理庁より同様な趣旨勧告がなされております。この答申並びに勧告趣旨に基いて、日本国有鉄道総裁は、事の重大性にかんがみ、国鉄内に諮問機関として志免鉱業所調査委員会を設け、斯界の権威者委員として、あらゆる角度からこの問題を検討したのであります。昨年十月、同委員会より志免鉱業所を分離することについて答申があり、これに基いて、国鉄総裁より運輸大臣に対し、志免鉱業所を分離する基本方針について了承を求めておるのであります。運輸大臣は、これに対し慎重に検討を加えた後、申請そのままではなく、指名競争入札によるほか、譲渡方法等について十分慎重を期し、特に従業員の処遇についても円満に措置するようにと強く要望をいたしまして、分離することを了承したものであります。この運輸大臣了承は、前にも申し上げたように、競争入札方法によることで明らかなごとく、譲渡相手方も、価格も、もちろん今後の問題であって、提案者の言われるように、特定相手方に法外に低廉な価格で売却するというがごときことは絶対になり得ないのでありまして、提案理由は明白に事実を曲げた非難といわざるを得ないのであります。(拍手)  第三は、インドネシア船舶賠償の問題についてであります。  日本インドネシア船舶賠償で供与するという原則は、昨年四月十五日効力を発した日本インドネシアとの賠償協定で、すでに決定されております。インドネシアが内航船を緊急に要求しており、日本側でこれを供与することの方針も、永野運輸大臣就任前に、すでに決定しておったことであります。具体的に、これを各省次官から構成される賠償実施連絡協議会で決定し、日本インドネシア間に船舶九隻の賠償実施計画の合意がなされたのでありまして、決して永野運輸大臣一人の専決事項でも何でもないのであります。その後、この実施計画に基いて賠償契約が締結され、これを日本政府賠償協定による認証基準に照らして認証したものでありまして、賠償協定規定通り実施せられたものであります。御承知通り賠償契約は直接方式になっておりまして、つまり、相手国賠償使節団長日本国民との間に、直接に商業的手続に従って締結されるものであります。すなわち、日本供給業者を選択したり決定すること、また、それと商業的手続で話し合い、契約を結ぶことはもっぱらインドネシア賠償使節団であって、日本政府は、これに関しては干渉する権限はないのであります。従いまして、永野運輸大臣は、この契約締結に関しては何らの権限もなく、また、干渉したり、あっせんしたりした事実は全然ないのでありまして、提案理由に述べられたことは事実を知らざるもはなはだしいものといわざるを得ないのであります。(拍手)  第四は、伊東下田鉄道建設免許についてであります。  申すまでもなく、伊豆半島は、東京に近く、産業文化観光の面で将来大いに発展すべき各種の条件を具備しております。これが開発を促進するためには、既存の自動車等交通機関のみによって十分とは言えません。ここに鉄道を急速に敷設することは、地元を初め、広く国民の強い要望であると存ずるのであります。国鉄予定線建設を早急に実施することがきわめて困難な事情にある現在においては、免許申請があった私鉄による鉄道敷設が妥当であるといわざるを得ないのであります。運輸審議会は、免許申請の時期及び地元民の意向等考慮に入れ、出願いたしました伊東下田電気鉄道伊豆箱根鉄道のうち、前者に免許することを妥当とする旨の答申をいたし、永野運輸大臣は、法律の定めるところによって、同審議会答申通り免許を与えたものでありまして、これまた、何らやましいところのあるものとは言えないのであります。むしろ、これによりまして伊東下田鉄道は早急に建設される段階となり、伊豆地方開発促進のために、まことに適宜な措置であるといわなければならないのであります。  第五は、東海道新幹線の問題であります。  日本国有鉄道の大動脈であります東海道線が近い将来に行き詰まりを予想されることは、非常に大きな問題であります。このため、運輸省に設けられた日本国有鉄道幹線調査会十分検討の結果、東海道新幹線建設すべしとの結論に達したのでありまして、これを政府においては、経済企画庁を中心とする交通閣僚協議会においてさらに十分検討した上で、建設に着手することに決定したものであります。このように、きわめて公正に定められたものでありまして、決して永野運輸大臣の個人の見解によるものではなく、背後に疑わしいことがあるというがごときは、何をもってそのようなことを言われるか、了解に苦しむものであります。(拍手)むしろ、この新幹線の建設は、日本で初めての広軌鉄道であり、東京―大阪間を約三時間で結ぶという、まことに画期的なものであり、完成の暁においては、わが国経済の発展、国民生活向上に至大なる貢献をなすものでありまして、これが着手を決定したことは、永野大臣のむしろ大きな功績というべきであって、断じて非難の対象とはなり得ないと存ずるものであります。(拍手)  最後に、提案理由のうちにある、「国民大衆利益よりは独占資本、あるいは一部政商のためにのみ奉仕」するものであるとの非難でありますが、これは、まことに永野運輸行政実態を知らざるものといわざるを得ないのであります。永野運輸行政は、外航船腹の拡充、三国間輸送の助成、観光事業振興等による国際収支の改善、国際並びに国内航空路の伸張、国鉄五カ年計画実施、その他国内輸送力増強、港湾の整備、海陸輸送における中小企業健全化等々、着々とその実績をあげておるのでありまして、このことは、今国会提案されておりまする昭和三十四年度予算案や幾つかの法律案を見ただけでも明らかであると存ずるのでございます。  以上を要約いたしますと、本不信任決議案は全然根拠がなく、いたずらに事実を曲げて解釈したり、あるいは実態を知らずして非難しておるものといわざるを得ないのであります。私は、社会党がかかる無意味な提案をこの議場に出されましたことは、国会運営を停滞せしめる目的以外の何ものでもないと存ずるのでございまして、断固、本不信任決議案に対して反対するものでございます。(拍手)     ―――――――――――――
  9. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 久保三郎君。     〔久保三郎登壇
  10. 久保三郎

    久保三郎君 私は、日本社会党を代表し、ただいま議題となりました運輸大臣永野護不信任決議案に対し、賛成の意見を述べるものであります。(拍手)  運輸大臣永野護君は、就任以来、懸案事項の解決と称し、常に国民大衆の声を聞かず、業者要請にこたえることにきゅうきゅうとして今日に至っておるのであります。(拍手)ことに、私鉄運賃値上げについては、就任早々よりこれを企図し、あるときは閣議のおしかりを受け、あるときは党内の圧力に押えられたが、とうとう新春早々その念願を達成し、国民大衆の怒りを買っておるものであります。(拍手)  私鉄運賃値上げに当って、運輸大臣は、業者を代弁し、安全運転を確保するという、半ば脅迫的な理由をもってのみ強行し、会社経営全体の検討と、利用者大衆負担等、重要な事項については何らの検討も加えず、また、運賃値上げによる一般物価への影響はさらに顧みず、国民大衆生活を圧迫する値上げを断行したのであります。運輸大臣の職責は、言うまでもなく、国民生活の基盤を安定確保するものであって、経営者利益のみを擁護すべきものではないにもかかわらず、業界要請にのみこたえたこの一事をもってしても運輸大臣の資格はなく、業界代表者であるというべきでありましょう。(拍手参議院選挙の前にこれを断行したのは、岸内閣金権政治必要性からだとも巷間伝えられておるのであります。(拍手)かかる疑惑を一掃するためにも、この際退陣が至当でありましょう。  さらに、問題になっておるガソリン税値上げについてでありますが、昨年末、運輸大臣は、運輸委員会において与党議員の質問に答え、ガソリン税増徴には反対態度を堅持すると言いながら、一方、ガソリン税増徴ときまれば、運賃値上げもやむなしと答弁しており、これまた業者を代弁するものであり、国民大衆生活を顧みないものであって、運輸行政をかかる業界代表にまかせておくべきでないと思うのであります。(拍手)  次に、運輸行政の中で重要なものとして免許認可行政があるが、自動車道供用約款にからまる問題、あるいは提案の中に入っている伊豆下田間鉄道建設の問題、さらには熱海―大島間定期船問題等、いずれも多かれ少かれスキャンダルがつきまとい、一般には政治免許であると非難されているものが多いのであります。これまた、岸内閣金権政治と関連して世間の信用を失いつつあり、運輸大臣政商であるという評も、ここから出てくるものと思われるのであります。(拍手)  また、インドネシア賠償にからんでは、これと深い関係にある商社から利益を提供され、しかも、これに対し何らの反省もされておらない態度は、汚職追放を大きな看板としている岸内閣の閣僚として、その地位にあるべきものではないのであって、不信任案の決議を待たずして退陣すべきではないだろうか。  一方、フィリピン向け高速船輸出については実に巧妙な態度をとっており、特殊な関係にある商社の計画には賛成し、一方、造船利子補給を含む海運界の要望にもこたえようという作戦に出ており、まさに政商的な大臣であります。(拍手)  さらに、三十四年度予算に計上してある三国間輸送助成費五億円は、当然立法措置を伴うべき性質のものであるにもかかわらず、簡単な予算説明だけで提案しているが、これを政商的な運輸大臣にまかせるほど国民は寛大でないと存ずるものであります。(拍手)  次に、航空行政について運輸大臣が今日までやってきたことを見れば、昨年、全日空の航空機墜落事故を契機に航空安全対策懇談会が持たれ、それぞれ答申があったが、その答申は顧みられず、政略的なものに重点が置かれ、かつ、完全に実施されるものといえば、全日空に対しての五千万円の補助であって、すべてが、かような利用者大衆国民大衆から背を向けた航空行政であります。  次に、国有鉄道志免鉱業所の措置については、懸案事項の解決ということで、先般、国鉄総裁に、その分離譲渡を許可した。ところが、業界では、すでに昭和三十二年の二月、三菱に払い下げをすべきであるという話し合いがついており、それぞれ今日まで裏面で暗躍が続けられていることを百も承知の上で、いかにも公正を期するという名目をもって、関係業者競争入札を指示しました。これをもって世間の目をごまかそうとしておるし、さらに、一方、かかる指示をしておきながら、入札譲渡は不可能であり、さらに、譲渡でない方法、すなわち、共同出資等による方法をその前に考えるべきだと言明しておる。これは、石炭業界の今日の情勢では払い下げに多額の資金調達調達が困難と見て、業界が安易に手に入れる方法としてこれを考えているやにも見受けられ、あるいは三業者の談合を促進させるための言動でもあり、貴重な国民の財産を政商としての立場から処理しようとしているのであって、本問題では、すでに多くの疑惑が持たれており、これをそのまま永野運輸大臣にまかせておくことは誤まりであり、即刻退陣を願うことが当然であります。(拍手)  以上、簡単に賛成の趣旨を申し述べましたが、要約して、永野運輸大臣は、前歴である経営者の立場のみによって運輸行政を進められ、業界の間を泳ぐ政商として終始され、国民生活の基盤である運輸行政からは遠く離れており、このままその職にとどめ置くことは、運輸行政をして特権的な支配をさらに強化させ、ますます疑惑と混乱を深める結果を招来することは必然であります。(拍手)よって、私は、本不信任決議案に賛成するものであります。(拍手
  11. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。この採決は記名投票をもって行います。本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。  氏名点呼を命じます。     〔参事氏名を点呼〕     〔各員投票〕
  12. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。開鎖。  投票を計算いたさせます。     〔参事投票を計算〕
  13. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。     〔事務総長朗読〕  投票総数 三百七十四   可とする者(白票)  百三十五     〔拍手〕   否とする者(青票) 二百三十九     〔拍手
  14. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 右の結果、運輸大臣永野護不信任決議案は否決されました。(拍手)     ―――――――――――――  淺沼稻次郎君外四名提出運輸大臣永野護不信任決議案を可とする議員の氏名       阿部 五郎君    赤路 友藏君       赤松  勇君    茜ケ久保重光君       淺沼稻次郎君    飛鳥田一雄君       淡谷 悠藏君    井伊 誠一君       井岡 大治君    井手 以誠君       伊藤卯四郎君    伊藤よし子君       猪俣 浩三君    池田 禎治君       石川 次夫君    石田 宥全君       石野 久男君    石村 英雄君       石山 權作君    板川 正吾君       今澄  勇君    今村  等君       受田 新吉君    内海  清君       小川 豊明君    大西 正道君       大貫 大八君    大野 幸一君       大原  亨君    大矢 省三君       太田 一夫君    岡  良一君       岡田 春夫君    岡本 隆一君       加賀田 進君    加藤 勘十君       加藤 鐐造君    柏  正男君       春日 一幸君    片山  哲君       勝澤 芳雄君    角屋堅次郎君       金丸 徳重君    上林與市郎君       神近 市子君    神田 大作君       河上丈太郎君    河野  正君       木下  哲君    木原津與志君       北山 愛郎君    久保 三郎君       久保田鶴松君    久保田 豊君       栗原 俊夫君    黒田 寿男君       小林  進君    小林 正美君       小牧 次生君    小松信太郎君       兒玉 末男君    五島 虎雄君       河野  密君    佐々木良作君       佐藤觀次郎君    佐野 憲治君       櫻井 奎夫君    實川 清之君       島上善五郎君    島口重次郎君       東海林 稔君    杉山元治郎君       鈴木  一君    鈴木茂三郎君       田中幾三郎君    田中織之進君       田中 武夫君    田中 稔男君       田万 廣文君    多賀谷真稔君       滝井 義高君    竹谷源太郎君       楯 兼次郎君    塚本 三郎君       辻原 弘市君    堤 ツルヨ君       戸叶 里子君    堂森 芳夫君       中澤 茂一君    中島  巖君       中嶋 英夫君    中原 健次君       中村 高一君    中村 時雄君       成田 知巳君    西村 榮一君       西村 関一君    西村 力弥君       野口 忠夫君    芳賀  貢君       長谷川 保君    原   茂君       原   彪君    平岡忠次郎君       廣瀬 勝邦君    帆足  計君       堀  昌雄君    松浦 定義君       松尾トシ子君    松平 忠久君       松前 重義君    松本 七郎君       三鍋 義三君    三宅 正一君       水谷長三郎君    武藤 武雄君       門司  亮君    本島百合子君       森島 守人君    八百板 正君       八木 一男君    八木  昇君       矢尾喜三郎君    柳田 秀一君       山口シヅエ君    山崎 始男君       山下 榮二君    山田 長司君       山中日露史君    山花 秀雄君       山本 幸一君    横山 利秋君       吉川 兼光君    志賀 義雄君       正木  清君  否とする議員の氏名       安倍晋太郎君    相川 勝六君       愛知 揆一君    青木  正君       赤城 宗徳君    赤澤 正道君       秋田 大助君    秋山 利恭君       淺香 忠雄君    足立 篤郎君       天野 公義君    天野 光晴君       綾部健太郎君    荒木萬壽夫君       荒舩清十郎君    新井 京太君       五十嵐吉藏君    井出一太郎君       井原 岸高君    飯塚 定輔君       生田 宏一君    池田 清志君       池田 勇人君    石井光次郎君       石坂  繁君    石田 博英君       一萬田尚登君    稻葉  修君       今井  耕君    今松 治郎君       岩本 信行君    宇田 國榮君       植木庚子郎君    臼井 莊一君       内田 常雄君    内海 安吉君       江崎 真澄君    遠藤 三郎君       小川 半次君    小川 平二君       小澤佐重喜君    大久保武雄君       大久保留次郎君    大倉 三郎君       大坪 保雄君    大野 市郎君       大野 伴睦君    岡崎 英城君       岡部 得三君    岡本  茂君       奧村又十郎君    押谷 富三君       加藤 精三君    加藤 高藏君       加藤常太郎君    鹿野 彦吉君       鍛冶 良作君    上林山榮吉君       亀山 孝一君    鴨田 宗一君       川崎末五郎君    川島正次郎君       川野 芳滿君    菅家 喜六君       菅野和太郎君    簡牛 凡夫君       木倉和一郎君    木村 武雄君       木村 俊夫君    菊池 義郎君       岸  信介君    北澤 直吉君       吉川 久衛君    清瀬 一郎君       久野 忠治君    倉石 忠雄君       倉成  正君    藏内 修治君       黒金 泰美君    小泉 純也君       小枝 一雄君    小金 義照君       小坂善太郎君    小島 徹三君       小平 久雄君    小林  錡君       小林 絹治君    小山 長規君       河野 一郎君    河野 孝子君       河本 敏夫君    纐纈 彌三君       佐々木盛雄君    佐藤 榮作君       佐藤虎次郎君    佐藤洋之助君       齋藤 邦吉君    坂田 英一君       坂田 道太君    櫻内 義雄君       笹山茂太郎君    志賀健次郎君       始関 伊平君    椎熊 三郎君       椎名悦三郎君    篠田 弘作君       島村 一郎君    正力松太郎君       進藤 一馬君    周東 英雄君       鈴木 正吾君    鈴木 善幸君       砂原  格君    世耕 弘一君       瀬戸山三男君    關谷 勝利君       園田  直君    田口長治郎君       田中伊三次君    田中 榮一君       田中 角榮君    田中 彰治君       田中 龍夫君    田中 正巳君       田邉 國男君    田村  元君       高石幸三郎君    高碕達之助君       高瀬  傳君    高橋清一郎君       高橋 禎一君    高橋  等君       高見 三郎君    竹内 俊吉君       武知 勇記君    中馬 辰猪君       津島 文治君    塚原 俊郎君       辻  寛一君    寺島隆太郎君       渡海元三郎君    徳安 實藏君       床次 徳二君    富田 健治君       内藤  隆君    中井 一夫君       中垣 國男君    中曽根康弘君       中村 幸八君    中山 マサ君       永田 亮一君    永山 忠則君       灘尾 弘吉君    夏堀源三郎君       楢橋  渡君    南條 徳男君       二階堂 進君    丹羽喬四郎君       丹羽 兵助君    西村 英一君       野田 卯一君    野田 武夫君       野原 正勝君    羽田武嗣郎君       馬場 元治君    橋本登美三郎君       橋本 正之君    橋本 龍伍君       長谷川四郎君    八田 貞義君       服部 安司君    濱田 幸雄君       濱地 文平君    濱野 清吾君       早川  崇君    林讓  治君       林  唯義君    原 健三郎君       原田  憲君    平井 義一君       平野 三郎君    廣瀬 正雄君       福家 俊一君    福井 順一君       福田 赳夫君    福田 篤泰君       福田  一君    福永 一臣君       福永 健司君    藤枝 泉介君       藤山愛一郎君    船田  中君       古川 丈吉君    坊  秀男君       星島 二郎君    堀内 一雄君       堀川 恭平君    本名  武君       前尾繁三郎君    前田  郁君       前田 正男君    益谷 秀次君       増田甲子七君    松浦周太郎君       松澤 雄藏君    松田竹千代君       松田 鐵藏君    松永  東君       松野 頼三君    松本 俊一君       三池  信君    三浦 一雄君       三木 武夫君    三田村武夫君       三和 精一君    水田三喜男君       南好  雄君    村上  勇君       毛利 松平君    森   清君       森下 國雄君    八木 一郎君       八木 徹雄君    保岡 武久君       柳谷清三郎君    山口喜久一郎君       山口 好一君    山口六郎次君       山崎  巖君    山下 春江君       山手 滿男君    山中 貞則君       山村庄之助君    山村新治郎君       山本 勝市君    早稻田柳右エ門君       渡邊 本治君    渡邊 良夫君       亘  四郎君     ―――――――――――――     〔報告書は会議録追録に掲載〕     …………………………………     〔楢橋渡君登壇
  15. 楢橋渡

    ○楢橋渡君 ただいま議題となりました昭和三十三年度一般会計予算補正(第2号)につきまして、委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本予算補正は、去る一月二十三日予算委員会に付託され、三十一日政府より提案理由説明を聴取し、二月十三日、十四日の両日にわたって審議し、十四日討論、採決されたものであります。  まず、その内容を簡単に申し上げます。  今回提出せられました予算補正は、三十三年度予算成立後に生じました事由に基き、当面必要とされる経費について予算措置を講ずるためのものであります。今回の予算補正の規模は、歳入歳出ともそれぞれ百十八億五千四百万円であります。従いまして、さきに成立いたしました予算補正(第1号)による追加分を合せて、昭和三十三年度一般会計予算総額は、歳入歳出とも一兆三千三百三十億八千三百万円となるのであります。  歳出のおもなものは、生活保護費十三億九千百万円、失業対策費十六億四千百万円、義務教育費国庫負担金四十五億七百万円、三十三年度発生災害復旧事業費十五億八千五百万円等、主として義務的経費の追加であります。  これに必要な財源といたしましては、租税及び印紙収入八十億円、専売納付金三十億円等、現在までの収納状況から推して、収入の見込みが予算額をこえることが確実なもののみをもって充てることにいたした次第であります。  次に、委員会における質疑について若干申し上げます。  まず、質問の第一点は、「今回の補正の対象となった義務教育費国庫負担金四十五億円、すなわち、教職員給与費国庫負担金の三十二年度精算不足額二十九億円と、期末手当〇・一月分の増額等に伴う三十三年度所要額十五億円は、それぞれ三十二年度、三十三年度の地方財政計画には見込まれておらず、地方自治団体の負担となり、地方財政を圧迫すると思うが、三十三年度及び三十四年度においてはいかなる措置を講ずるのか」というのであります。質問の第二点は、「三十四年度は、地方財政の再建等のための公共事業に係る国庫負担等の臨時特例に関する法律の適用期限が終了し、関係部分の国庫負担率が引き下げられる。しかるに、三十四年度の地方財政負担にかかる公共事業は増大するので、弾力的財源に乏しい地方財政を非常に圧迫すると思うが、財源を確保するために固定資産税の評価基準を引き上げる意図はないのか」というのであります。  これに対し、第一点の義務教育費国庫負担金につきましては、「三十三年度の精算不足分をできるだけ少くするために予想されるものについては今回、の予算補正で措置されることになっており、さらに、三十四年度の国庫負担分については、退職手当積算率を二%から二・五%に、昇給原資の二%を三%に引き上げる等の措置によって相当改善せられている」。また、第二点の固定資産税の評価基準については、「評価がえをするつもりはない」という政府の答弁でありました。  以上のほか、賠償支払い問題、日韓問題、日中問題等、国政の諸般にわたって活発なる質疑応答が行われましたが、詳細は会議録に譲ることにいたしたいと思います。  かくして、十四日質疑を終了し、引き続き討論、採決を行いました結果、本予算補正は政府原案の通り可決いたしました次第でございます。  右、御報告申し上げます。(拍手)     ―――――――――――――
  16. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) これより討論に入ります。岡良一君。     〔岡良一君登壇
  17. 岡良一

    ○岡良一君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和三十三年度一般会計予算補正(第2号)に反対をし、その理由を申し上げたいと存じます。(拍手)  なるほど、この補正予算は、その規模において当初予算の一%程度のものであり、その内容も、支出においては、社会保障関係なり、災害復旧あるいは義務教育費国庫負担等法律によって規定された国家の義務支出であり、また、その財源としては、関税なり、砂糖消費税なり、また相続税、さらには専売納付金の増収確実なる部分を充てておりますので、一見きわめて事務的な補正予算でございます。そこで、先般の委員会においても、自民党の諸君は、社会党がこれに反対する態度を目して反対のための反対であると申されますが、これはまことに認識不足と申さねばなりません。(拍手)  諸君はお忘れではないでありましょうが、昨年の五月、総選挙が済んでから、すでに二回も、われわれは、成規の手続を経て、特に、当面する中小企業なり失業問題については大幅なる予算の補正を要求し、さらにはまた、政策の一大転換を要求したことは、御記憶のことと存ずるのでございます。しかも、このような当時の事情が、今日においても一向に改善されてはおりません。なるほど、なべ底景気も上向いた、この秋には増資ブームが来て、再び高原景気があるかもしれないなどという者もあるが、高原の下のすそ野では、依然として、気の毒な中小企業は、苦しい金繰りなり、高金利なり、あるいは不渡り手形の不安におびえておる。あるいは、テレビが売れる、映画館がはやる、消費ブームだと申しております。しかし、たとえば、日本労働者の賃金の実態は、最近の統計を見ても、一万二千円以下の者が五〇%、八千円以下の者が三〇%という比率である、従いまして、当然、政府は補正に組まなければ、――三十四年度の一般会計予算にわれわれの意欲を満たすべきにもかかわらず、三回にもわたる補正においてこれを拒否し、三十四年度予算案においては、さらにこの国民の窮乏を強化しようとするような乱暴な政策を見せておるのである。これが、われわれのこの補正予算案反対をする根本の立場でございます。(拍手)  そこで、たとえば、この予算案そのものについて申し上げましても、なるほど、生活保護法の医療扶助には十四億八千万円が計上されておる。これも、厚生省の当初の要求は三十億であった。これがわずかの半分にけ落されてしまっておるのであるから、これだけでも、義務的に支出すべき生活保護法の費用について、政府は義務を履行する誠意がないとも言える。しかも、このような大なたをふるっての予算額に締めつけられましては、地方における法の運営において、あるいは適用の制限なり、あるいは診療の打ち切りが起らないという保証はないのである。しかも、このような方針は、三十四年度の生活保護法においても踏襲されておる。三・一%生活扶助費はふやそうというが、これは物価の値上りに相応しただけのものであって、生活保護費は実質的に一文もふやされておらぬ。しかも、そのエンゲル係数は六四である。エンゲル係数が六四であるという生計費はかよわい、気の毒な生活困窮者を、最低の文化生活どころか、犬小屋の生活に縛りつけようという政策にほかならない。しかも、政府が発表しておる厚生白書によれば、生活保護法の適用が受けたくても受けられない、いわゆるボーダー・ラインの極貧層が千二百万になんなんとしておるが、全く野放しで、何らの救済措置も講じようとしておらない。  あるいは、この補正予算には、失業保険に対する国庫負担金が計上されておる。ところが、来年度になると、いよいよ保険財政が六百億も黒字になったからというので、国庫負担は大幅に引き下げようともしておる。失業保険制度というものは、わが国の労働事情のもとにおいては、最も中心となるべき雇用政策の中核であるにもかかわらず、その意義をわきまえないどころか、一昨年は完全失業者が三十五、六万、昨年は四十七、八万と飛躍的にふえておる。あるいは、昨年における就職率を見ても、五月の六・七が、十一月には四・八%と激減しておる。もし保険財政に余裕があったら、当然、適用の範囲を広めるなり、給付内容を改善して、期間の延長をはかることが、真に社会保障制度を愛する者の当然の措置である。(拍手)もうけが出たから政府の支出を切り下げようという、こういう、さもしい、社会保障を営利事業と取り違えたような態度で、一体、何の福祉国家の建設ができるか。(拍手)  社会保障制度と、完全雇用政策と、そうして合理的な最低賃金制度というものは、今さら申し上げるまでもなく、近代社会における国民生活を守る二本の大きな柱である。ところが、歴代の内閣は、みずからの資本主義政策の上に常に貧困と失業を生み出しながら、この失業と貧困のために弥縫的な対策を講じて参ったが、今申しました一事について見ても、岸内閣は、このみずからが生み出したところの貧困と失業に対して面をそらし、背を向けようといたしておる。われわれは、政府がいかに福祉国家を唱えられ、社会保障の充実を唱えられても、岸内閣には、もはや社会保障、福祉国家建設の限界がきておることを見抜いておる。と言わんよりは、むしろ、岸内閣の政治的生命そのものが限界に到達したものといわなければならないのである。(拍手)  あるいは、この予算案において、災害復旧の名のもとに、農漁村なりその他の補助金が計上されておるが、これも、現地の要求額を、大きく、六四%も査定で押えてしまっておる。しかも、今日の農村においては、自然の力による風水害よりも、政策の間違いから起ったところの人災の方が、ずっと大きく農村を荒しておる。自分たちの作る農産物は安い。しかも、政府は、再生産を保障する、納得のいく価格政策というものは何らとってくれない。一方では、動力なり、農機具なり、あるいは農薬なり、化学肥料というものの独占価格は一向に下らないという、作ったものと買うものの、はさみ状価格差は、昭和二十九年を境として、年年急激に増大してきておる。そういうわけであるから、はさみ撃ちに耐えかねて、特に中小零細農は自分の耕地を捨てて転落しておる事実を、最近の農林白書がはっきりと示しておるのである。敗戦によって自分が手にしたところの耕地を――農民の唯一の生産手段であり、また、最大の生産手段である農地を手放さねばならないという、これは、単なる一個の、農村の窮乏の物語ではない。日本の農村には、今や深刻なる恐慌が起ろうとさえしておることを、私は懸念するものである。  この規模の小さい補正予算に関連いたしましても、このように、国民生活は貧富の格差というものがますます拡大しておる。農村は、これまた恐慌の一歩手前という、みじめな状態を示しておる。労働者の賃金の実態は、先ほども申し述べましたが、さらに、最も重大な、当面する大経営と小経営における賃金の格差、一昨年はすでに五〇%というような数字を示しておるが、これを、いわゆる業者間協定、地域別業者間協定というような、こういう乱暴な最低賃金法によって、人種的な差別にもひとしいような、中小労働者の低賃金を合理化しようとするがごときは、われわれは、日本のあらゆる労働者とともに、政府と与党に向って断固戦いを宣したいと存ずるのである。  中小企業に見ても、その事例は一々枚挙にいとまがないのであるが、実に、労働者といい、農民といい、そしてまた中小企業家といい、今日、日本には目に見えない貧困の波が大きく押し寄せておる。この責任は何人にあるかといえば、言わずと知れた、岸内閣がみずからの権力をもって独占資本利益に奉仕しようとする、露骨なる収奪政策の結果にほかならないのである。(拍手)  今日、日本経済を支配する、これらの大経営政府が、いかなる形で結合しておるか。たとえば、その一例を見るならば、昭和三十一年度に、政府関係する金融機関において、資本金三億以上の大経営、大事業に融資せるもの、開発銀行において八九%、問題となった輸出入銀行において八八%、長期信用銀行において七〇%、興業銀行の六五%、このようにして、国民の血税、零細な労働者の保険の積立金、つつましい国民の郵便貯金が、惜しげもなく大企業、大経営につぎ込まれておる。このようにして、政府みずからが独占資本の強化と利益のために奔命をいたす、ここに必然的に疑獄と汚職の種がまかれてくるのである。政治は、そのために、いよいよ腐敗堕落する。従って、いかに岸総理とその御一党が釈明を繰り返されましても、この因果の鉄則は、諸君をますます疑惑とそうして不信の座に据えつけるであろうことを、私は申し上げたい。  わが党は、国を守るよりも国民生活を守れという立場において、防衛関係費の大幅削減を主張してきた。しかしながら、今日、核兵器の巨大なる発達によって、全面戦争が起れば勝利者はいない。戦術兵器としても、すでに五十キロトンの核兵器がむぞうさに用いられる今日、われわれは、このような、あさはかな外国の中古兵器にたよった日本の防衛力は、もはやナンセンスであるということを申し上げなければならぬ。国を守るためには、まず国民生活を守る。われわれは、この立場に立って、あくまでも国民利益と繁栄を擁護する決意である。世界の国んにおいて支配と従属の存在する限り、世界の平和はこない。国の中に搾取する階級と搾取される階級がある限りいつまでも繁栄と福祉はこないのである。われわれが、この原則に立って、やがて来たるべき将来においては国民の圧倒的な支持をかちとるであろうことを申し上げて、反対の討論を終えるものであります。(拍手
  18. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。本件の委員長の報告は可決であります。本件を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  19. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 起立多数。よって、本件は委員長報告の通り可決いたしました。      ――――◇―――――
  20. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 日程第二、警察法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長の報告を求めます。地方行政委員長鈴木善幸君。     ―――――――――――――     〔報告書は会議録追録に掲載〕     …………………………………     〔鈴木善幸君登壇
  21. 鈴木善幸

    ○鈴木善幸君 ただいま議題となりました警察法の一部を改正する法律案について、地方行政委員会における審議の経過及び結果の概要を御報告申し上げます。  本案は、最近における少年の非行の著しい増加と悪質化の傾向、交通状況の著しい変化等に対応するため、少年の非行防止、交通事故の防止等に関する研究及び実験を行い、これにより科学的な警察活動を推進するため、警察庁に附置されておる科学捜査研究所を拡充し、その名称を科学警察研究所とするよう、警察法の一部に所要の改正を加えようとするものであります。  すなわち、犯罪予防は警察の重要な責務となっておりますので、犯罪、特に少年非行の応急的鎮圧作用のみでなく、少年の非行的傾向を助長する要因等について科学的に研究し、それを基礎として合理的な少年非行の防止、その他犯罪防止のための技術及び対策を発見するよう努力すべきであり、また、近時自動車数の激増による交通量の飛躍的増加により複雑かつ困難なものとなってきた交通警察に対処して、その適正な運営を期するため、道路交通の規制、交通安全の施設、材料、車両運転者等の諸要件等、これに関連する諸問題の科学的研究及び実験を行い、これを基礎として交通警察に関する適切有効な対策を樹立する必要があり、これらの必要を満たすため、警察法第二十八条の規定により設置されておる科学捜査研究所の任務に以上の二点を新たに加え、従って、その名称も科学警察研究所と改めようとすることが、本案の内容であります。  本案は去る一月二十六日本委員会に付託され、同月二十九日青本国務大臣から提案理由説明があって、慎重審議いたしました。その詳細は会議録に譲りますが、科学警察研究所の機構と施設については、さらに根本的な検討を加えてこれを拡充強化し、科学警察の一そうの推進をはかるべきであるとの意見があり、よって、本案に対する質疑終了の際、次のごとき附帯決議を付すべしとの動議委員阪上安太郎君から提案されました。     附帯決議   政府は、警察活動の科学化を推進することの必要性にかんがみ、科学警察研究所の機構施設を更に一層整備し、所期の目的達成に遺憾なきを期すべきである。   右決議する。  かくて、本月十三日質疑を終了、討論を省略して採決に付しましたところ、本案は全会一致原案通り可決すべきものと決し、また、右の附帯決議の動議についても、全会一致をもってこれを付すべしと決しました。  右、御報告申し上げます。(拍手
  22. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  23. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)      ――――◇―――――
  24. 松澤雄藏

    松澤雄藏君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、この際、内閣提出通商産業省設置法の一部を改正する法律案水産庁設置法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会設置法案、右三案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  25. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 松澤君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  通商産業省設置法の一部を改正する法律案水産庁設置法の一部を改正する法律案臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会設置法案、右三案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。内閣委員会理事高橋禎一君。     …………………………………     〔高橋禎一君登壇
  27. 高橋禎一

    ○高橋禎一君 ただいま議題となりました三法案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。詳細につきましては会議録によって御承知願うこととし、簡潔に要点を申し上げます。  まず、通商産業省設置法の一部を改正する法律案は、鉱業法の改正に関する重要事項を調査審議するため、通商産業省の付属機関として、二年間、鉱業法改正審議会を設置するものであります。  次に、水産庁設置法の一部を改正する法律案は、漁港関係行政事務の増大、複雑化にかんがみ、これらの事務を円滑に処理するため、水産庁に漁港部を新設するものであります。  次に、臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会設置法案は、生鮮食料品の適正かつ円滑な流通をはかるため、農林大臣諮問に応じ、生鮮食料品の卸売市場についての対策に関する重要事項を調査審議することをその任務とし、委員三十人以内で組織する臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会を農林省の付属機関として設置するものであります。なお、調査会は、その調査審議した結果を、この法律施行の日から一年以内に答申することといたしております。  以上は三法案の要旨であります。  臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会設置法案は、昨年十二月十日本委員会に予備付託され、同月十七日本付託となり、他の二法案は一月二十九日本委員会に付託され、二月三日、三法案について政府よりそれぞれ提案理由説明を聴取いたしたのであります。本委員会に付託されました諸法案のうち、各省設置法関係のものは、右三法案を含め十数件にも上っておりますので、これら設置法改正案等につきましては、小委員会を設け審査を行うなど、特に慎重を期して参ったのであります。  二月十三日質疑を終了し、本日、討論の通告もなく、直ちに一括して採決を行いましたところ、三法案はいずれも全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  28. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 三案を一括して採決いたします。三案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、三案は委員長報告の通り可決いたしました。      ――――◇―――――
  30. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十一分散会