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1958-12-18 第31回国会 衆議院 本会議 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年十二月十八日(木曜日)     —————————————  議事日程 第五号   昭和三十三年十二月十八日     午後一時開議  第一 憲法調査会法の一部を改正する法律案内閣提出)  第二 科学技術会議設置法案内閣提出)  第三 司法試験法の一部を改正する法律案内閣提出)  第四 公共用水域水質保全に関する法律案内閣提出)  第五 工場排水等規制に関する法律案内閣提出)  第六 住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案内閣提出)  第七 昭和三十三年七月、八月及び九月の豪雨及び暴風雨による被害農家に対する米穀売渡特例に関する法律案内閣提出)  第八 農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  第九 賠償等特殊債務処理特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出)  第十 産業投資特別会計貸付財源に充てるための外貨債発行に関する法律案内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  本名武君の故議員森三樹二君に対する追悼演説海外胞引揚及び遺家族援護に関する調査をなすため委員二十五人よりなる特別委員会設置するの件(議長発議)  公職選挙法改正に関する調査をなすたの委員二十五人よりなる特別委員会設置するの件(議長発議)  科学技術振興対策を樹立するため委員二十五人よりなる特別委員会設置するの件(議長発議)  国土総合開発について諸施策を樹立するため委員二十五人よりなる特別委員会設置するの件(議長発議)  裁判官訴追委員予備員選挙鉄道建設審議会委員選挙  中央選挙管理会委員及び同予備委員指名国立近代美術館評議員会評議員任命につき国会法第三十九条但書規定により議決を求めるの件  結核予防審議会委員任命につき国会法第三十九条但書規定により議決を求めるの件  蚕糸業振興審議会委員任命につき国会法第三十九条但書規定により議決を求めるの件  公正取引委員会委員任命につき同意を求めるの件  原子力委員会委員任命につき同意を求めるの件  日本銀行政策委員会委員任命につき同意を求めるの件  文化財保護委員会委員任命につき同意を求めるの件  運輸審議会委員任命につき同意を求めるの件  日本電信電話公社経営委員会委員任命につき同意を求めるの件  高知県における教育についての紛糾事件に関する緊急質問原田憲提出)  勤務評定実施をめぐる暴力事件に関する緊急質問辻原弘市君提出)  日程第一 憲法調査会法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第二 科学技術会議設置法案内閣提出)  日程第三 司法試験法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第四 公共用水域水質保全に関する法律案内閣提出)  日程第五 工場排水等規制に関する法律案内閣提出)  日程第六 住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第七 昭和三十三年七月、八月及び九月の豪雨及び暴風雨による被害農家に対する米穀売渡特例に関する法律案内閣提出)  日程第八 農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第九 賠償等特殊債務処理特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第十 産業投資特別会計貸付財源に充てるための外貨債発行に関する法律案内閣提出)  国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を改正する法律案議院運営委員長提出)  海上運送法の一部を改正する法律案内閣提出)     午後二時三十七分開議
  2. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) これより会議を開きます。     —————————————
  3. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 御報告いだすことがあります。議員森三樹二君は去る十二月一日逝去せられました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。森君に対する弔詞は議長において贈呈いたしました。  この際、弔意を表するため、本名武君から発言を求められております。これを許します。本名武君。     〔本名武登壇
  4. 本名武

    本名武君 ただいま議長から御報告のありました通り、本院議員従四位勲三等森三樹二君は、本月一日病気のため逝去せられました。まことに痛恨のきわみであります。私は、諸君の御同意を得て、議員一同を代表し、つつしんで哀悼の辞を申し述べたいと存じます。(拍手)  先国会の十月十六日、森君は公職選挙法改正案趣旨説明に対し、日本社会党を代表して質疑に立ち、この壇上で堂々とその主張を述べられました。今、あのときの元気に満ちた君の姿が眼前にほうふつし、哀惜の情ひとしお胸に迫るを覚えるのであります。(拍手)  森君は、徳島県小松島市の名家の出で、明治三十六年六月の生まれであります。父君県下徳望家として聞え、かつて県会議長を勤められたのでありますが、非常に進取の気象に富んだ方で、日露戦争後の明治四十年、北海道開発わが国の将来にとってすこぶる重要っであることに思いをいたし、一開拓農民として一家をあげて渡道し、十勝郡浦幌に移住されたのであります。時に、森君はわずか五才でありました。  長じて、君は、釧路中学に進み、卒業後は家業を手伝って開拓事業に従事しておられました。しかし、向学の念やみがたく、ひそかに他日を期して勉学を続け、馬を引きながらも片手には必ず書籍を持っておられたほどで、昭和六年、すでに二十八才に達しておられたのでありますが、意を決して上京し、中央大学に学ばれたのであります。しかして、志を法曹界に立て、同校を卒業の翌年、昭和十年に、みごと高等試験司法科の難関を突破されました。直ちに東京において弁護士を開業し、初志の第一歩を踏み出され、持ち前の強い正義感と熱意とをもって終始大衆の味方となって奮闘し、少壮有為弁護士として名声を博されたのであります。(拍手)  終戦後、昭和二十一年三月、君は日本社会党に入党し、同年四月の第二十二回衆議院議員選挙に臨み、うい陣にしてよく本院の議席を獲得されたのであります。自来、本院議員に選ばれること前後六回、在職九年に達せられたのであります。  君が初めて本院議員に当選されたときは、わが国民主的平和国家として再出発するときに当っており、君は、帝国憲法改正案皇室典範案裁判所法案等の各委員となって、新日本の基盤を築くための重要議案審議に精励し、その豊かな学識を生かされました。次いで、第一回国会には、議院軍営委員として、新しい地位と性格を与えられた国会運営努力し、その他、皇室経済法施行法案特別委員長政党法及び選挙法に関する特別委員として日夜職務に尽瘁され、もって国家の再建に多大の功績を残されたのであります。  君は、また、第二回国会には懲罰委員長の重職に選ばれ、第十六回国会から第二十回国会に至るまで、毎会期公職選挙法改正に関する調査特別委員長として、よくその重責を果されたのであります。その間、昭和二十九年にはウイーンの第四十三回列国議会同盟会議に出席し、欧米、中近東の二十数ヵ国を歴訪し、各国の選挙制度及び議会制度調査視察して、わが国議会政治のあり方について新たな識見を加えられたのでありました。  かくして、君は多年にわたり全力をあげて国政審議重責を果されたのでありまして、わが民主政治の発達のために尽された君の功労はまことに顕著なるものがあるのであります。(拍手)  君は、また、日本社会党会計監査統制委員両院議員総会会長憲法擁護特別委員会会長等の要職を歴任し、中堅幹部として党内外から大いにその将来を嘱目されておられました。  幼くして一家とともに北海道に渡り、開拓の苦難を身をもって体験された君が、北海道開発をもって父君の遺志を継ぐ終生の事業と考え、たゆまざる努力を積み重ねてこられたのも、けだし当然であります。しばしば北海道開発審議会委員となって、総合開発計画の作成に多年の経験を生かし、地下資源開発のための調査に尽力するなど、北海道に残された君の足跡は永久に伝うべく、君に対する道民諸君の尊敬と信頼はまことに言葉に尽せないものがあります。(拍手)  森君は、きわめて温厚篤実で、竹を割ったような明朗淡白な性格であり、その人柄は人を引きつけずにはおかなかったのであります。しかし、反面、父君の血を受けて進取果断、志すところは必ず貫くという信念と努力の人でありました。また、少年時代からまれに見る勉強家で、中央大学卒業後、間もなく母校の講師に迎えられ、教鞭をとられたほどの秀才でありました。比較的晩学をもって世に出られた君は、後進をいつくしむの情に厚く、長く中央大学評議員として母校発展に尽され、また、法曹の道に志す青年の研究修練のために「真法会」を創設し、もって後輩子弟指導激励に努められたのであります。君の病あっしとの報を耳にした中央大学関係者が、まくら元に詰め切っておられたとのことでありますが、母校における君の人望がいかに厚かったかを十分に物語るものと存じます。(拍手)  家庭にあっては、三男一女の父親として、母堂、夫人とともに、まことに円満幸福な生活を楽しんでおられました。君は高齢の母堂に仕えて孝養至らざるなく、その美しい母子の情愛は人々を深く感動させたのであります。今君に先だたれた母堂の御悲嘆は、お察しするに余りあるのであります。  去る十一月初め、君は、北海道の中標津における演説会でにわかに倒れ、以来東大病院に入院、加療に努められましたが、御家族の懇切至らざるなき看護もむなしく、五十五才を一期として、ついに永眠されたのでありまして、痛惜きわまりない次第であります。  現下、内外の情勢はますます多事多端であります。われわれは君が今後の活躍を大いに期待していたのでありますが、今や通常国会の開会に当り、この練達にしてしかも前途なお有為の人材をわが衆議院から永遠に失いましたことは、国家にとりまことに大きな損失と申さなければなりません。(拍手)  ここに、森君生前の人となりをしのび、その功績をたたえ、つつしんで哀悼言葉といたす次第であります。(拍手)      ————◇—————
  5. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 特別委員会設置につきお諮りいたします。  海外胞引揚及び遺家族援護に関する調査をなすため、委員二十五名よりなる特別委員会設置いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、その通り決しました。      ————◇—————
  7. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 次に、公職選挙法改正に関する調査をなすため、委員二十五名よりなる特別委員会設置いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。   言異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、その通り決しました。      ————◇—————
  9. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 次に、科学技術振興対策を樹立するため、委員三十五名よりなる特別委員会設置いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、その通り決しました。      ————◇—————
  11. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 次に、国土総合開発について諸施策を樹立するため、委員二十五名よりなる特別委員会設置いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、その通り決しました。      ————◇—————
  13. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) ただいま議決せられました四特別委員会委員は追って指名いたします。      ————◇—————
  14. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 裁判官訴追委員予備員が一名欠員となっておりますので、この際その選挙を、行います。
  15. 松澤雄藏

    松澤雄藏君 裁判官訴追委員予備員選挙は、その手続を省略して、議と長において指名せられ、その職務を行う順序については議長において定められんことを望みます。
  16. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 松澤君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、議長裁判官訴追委員予備員大貫大八君を指名いたします。なお、その職務を行う順序は第三順位といたします。      ————◇—————  鉄道建設審議会委員選挙
  18. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 鉄道建設審議会委員が一名欠員となっておりますので、この際その選挙を行います。
  19. 松澤雄藏

    松澤雄藏君 鉄道建設審議会委員選挙は、その手続を省略して、議長において指名せられんことを望みます。
  20. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 松澤君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
  21. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。  議長は、鉄道建設審議会委員久保田鶴松君を指名いたします。      ————◇—————
  22. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) この際、中央選挙管理会委員及び同予備委員指名を行います。
  23. 松澤雄藏

    松澤雄藏君 中央選挙管理会委員及び同予備委員指名について、議長において直ちに指名せられんことを望みます。
  24. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 松澤君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。  議長は、中央選挙管理会委員山浦貫一君、中御門經民君芹澤彪衛君、山崎庸君及び松村眞一郎君を指名いたします。  また、中央選挙管理会委員予備委員近藤英明君、小島憲君、藤牧新平君、岡崎三郎君及び赤木正雄君を指名いたします。      ————◇—————
  26. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) お諮りいたします。内閣から、国立近代美術館評議員会評議員に本院議員北村徳太郎君、同佐藤觀次郎君及び参議院議員林屋用次郎君を任命するため、国会法第三十九条但書規定により本院の議決を得たいとの申し出があります。右申し出通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、その通り決しました。      ————◇—————
  28. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 次に、内閣から、結核予防審議会委員参議院議員勝俣稔君を任命するため、国会法第三十九条但書規定により本院の議決を得たいとの申し出があります。右申し出通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、その通り決しました。      ————◇—————
  30. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 次に、内閣から、蚕糸業振興審議会委員に本院議員五十嵐吉藏君及び参議院議員重政庸徳君を任命するため、国会法第三十九条但書規定により本院の議決を得たいとの申し出があります。右申し出通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 御異議なしと 認めます。よって、その通り決しまし た。      ————◇—————
  32. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 次に、内閣か ら、公正取引委員会委員入江一郎君 を任命したいので、私的独占禁止及 び公正取引の確保に関する法律第二十 九条第二項の規定により本院の同意を 得たいとの申し出があります。右申し 出の通り同意を与えるに御異議ありま せんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 御異議なしと 認めます。よって、同意を与えるに決 しました。      ————◇—————
  34. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 次に、内閣か ら、原子力委員会委員石川一郎君及 び兼重寛九郎君を任命したいので、原 子力委員会設置法第八条第一項の規定 により本院の同意を得たいとの申し出 があります。右申し出通り同意を与 えるに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 御異議なしと 認めます。よって、同意を与えるに決 しました。      ————◇—————
  36. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 次に、内閣か ら、日本銀行政策委員会委員山添利 作君を任命したいので、日本銀行法第 十三条ノ四第三項の規定により本院の 同意を得たいとの申し出があります。 右申し出通り同意を与えるに御異議 ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 御異議なしと 認めます。よって、同意を与えるに決 しました。      ————◇—————
  38. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 次に、内閣か ら、文化財保護委員会委員細川護立 君及び川北禎一君を任命したいので、 文化財保護法第九条第一項の規定に、よ り本院の同意を得たいとの申し出があ ります。右申し出通り同意を与える に御異議ありませんか。     〔「異議なし上と呼ぶ者あり〕
  39. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 御異議なしと 認めます。よって、同意を与えるに決 しました。      ————◇—————
  40. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 次に、内閣か ら、運輸審議会委員加藤閲男君を任 命したいので、運輸省設置法第九条第 一項の規定により本院の同意を得たい との印し出があります。右申し出の通 り同意を与えるに御異議ありません か。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 御異議なしと 認めます。よって、同意を与えるに決 しました。      ————◇—————
  42. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 次に、内閣か ら、日本電信電話公社経営委員会委員大和田悌二君を任命したいので、日 本電信電話公社法第十二条第一項の規 定により本院の同意を得たいとの申し 出があります。右申し出通り同意を 与えるに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
  43. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、同意を与えるに決しました。      ————◇—————
  44. 松澤雄藏

    松澤雄藏君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、この際、原田憲提出高知県における教育についての紛糾事件に関する緊急質問を許可せられんことを望みます。
  45. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 松澤君の動議 に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  高知県における教育についての紛糾事件に関する緊急質問を許可いたします。原田憲君。     〔原田憲登壇
  47. 原田憲

    原田憲君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました高知県における教育紛糾事件について、政府に対して緊急質問をいたそうとするものでございます。  この事件が始まりましてから、去る十五日に、日教組委員長が問題の高知県吾川郡仁淀高校を訪れて、そうして村民から暴行を受けたというような事件にまで発展をいたしまして、大へん大問題になってきておるのでございますが、この紛糾はすでに約五十日に及んでおるのでございます。私は、実地にこの事件を見て参りまして、この事件の内容について調査をいたしておりますので、一日も早くこの事件解決を見るために、政府がいかなる措置をされておるか、また、されんとするか、また、いかなる措置がよいかというようなことについてお尋ねもし、御見解を伺いたいと思うのであります。  高知県は日本教職員組合の中で最も先鋭なる高知教組——先生組合を持っておるところでございます。日本教職員組合勤評反対行動国民の批判を受けて、この絶対反対の態度は、九月十五日全国一斉教育ストを実行した際に、全国民、全教員の支持を得ることができずに、ほとんど教員はこれに参加しなかったという事実をもって、勤評反対に対する勝負はついておる。すなわち、日教組中央で組んだ指令というものは、六十万の教員から不信任されたのである。日本国民は、勤務評定を実施することが必要であるということを、九月十五日に、はっきり、明確にいたしたのであります。(拍手)しかるに、第二波、第三波に際して、高知県教組——現在の日本教職員組合では、その後におけるところの一斉ストに際しましても、あるいは午後二時までは授業をやろうというような線を出してきます。高知県教組だけは十割ストをやろうというような取りきめをいたす先鋭分子がリードしておりまして、今日、この委員長、副委員長は、高知県下においては共産党員であるということは、もう通説になっておるのでございます。その先鋭分子高知県の教育界を握り、教組委員長教育長を勤めておって、高知県の教育行政の実態は、県教組の思うままになっておった。この教育行政に対し、新しい教育長が選ばれてこれを是正せんといたしますと、教組はいわゆる集団の力で抑しかけて、あるいは教育長カン詰にして小便もさせないというようなところの不法監禁をあえてして妨害する。これらの行動が、県下の県民の間に非常に憤激を買っておった。特に、純真であるところの山間部においては、これら教職員組合のやり方について、だんだんと憤激の度が増しておったことは事実でございます。  たまたま六月二十六日に一斉ストを行いました際に、この事件のありました森小学校におきましては、父兄は今まで先生たちに常に協力してきた。たとえば、勤務評定反対署名をしてくれといわれたときには署名もした。家庭訪問に来て、選挙のときに応援してくれといったら応援もした。しかしながら、子供を犠牲にして、子供をほったらかしにして学校を休むことだけはやめてくれということを頼んだが、先生たちは、組織の指令に従って、一斉に学校をほったらかしにして出て行った。そこで、憤激した父兄たちは、帰ってきた先生たちに、再びこういう 行動をしないように話し合いをしまして、三二ヵ条の約束をきめた。その三カ条の約束があるにかかわらず、この後においても、教組の闘争があるたびに先生は出かけていく。十月二十八日に及んで、またまた一斉ストをやった先生たちに対して、父兄は、約束を守らないような先生を信頼するわけにはいかない、そのような先生たち教育を受けて子供教育効果が上るわけがない、だから先生たち教育を受けないという行動に入りまして、三自七十何名中、三日二十名近い者が授業を拒否したのであります。(拍手)  その動きを見まして、私はさきに起りました旭ケ丘中学校事件を想起するのであります。京都市の旭ケ丘中学校におきましては、三名の共産党員先生たちがリードいたしまして、猛烈な偏向教育をやったのであります。そのために父兄が立ち上りまして、これらの先生に対して授業を拒否した。京都市の教育委員会は、別に学校を新設いたしまして、これらの子供を収容し、教育をし、偏向教育をしたところの先生たちを処分いたしまして、この件は解決を見たわけでございます。  今日、森小学校におけるところの先生たち行動は、これがほんとうにりっぱな先生であると言うことができるかという問題については、いろいろな父兄の言うとうろの事実がございます。たとえば、この小学校においては、万国旗を運動会で使って、しまっておいたら、日本国旗だけが全部ちぎられておった。日本国旗を全部ちぎっておる。中国の旗に対して敬意を払わないといい、破損したといって、日本総理大臣にあやまれというような声が起っておる今日に、自分の国の旗を引きちぎるというようなことは大問題であります。(拍手父兄たちは、これは先生たちがやったか、そのような教育を受けたところの子供が、そのように教育されてこれをやったか、非常に心配しておる。  こういうことは、明らかに偏向教育だ。教育二法には、先生が教唆扇動してそういう教育をやってはならないということが明らかにされておるのであります。森小学校に起きた事件は、教育委員会がしっかりしており、京都教育委員会がなしましたような措置をはっきりとっておりましたら、いたずらに五十日の紛糾の遷延は見なかったのでございます。しかるに、この小学校の属する仁淀村の教育委員会並びに高知教育委員会においては、いまだにこれの解決策をはっきりとることができなかった。文部大臣は、この事件について、教育委員会に対し指導、助言をする権限を持っておる。五十日間に及ぶこれらの紛糾事件を厚く解決するために適切な指導と助言をやらなければならぬと考えるのでありますが、大臣は、今までいかなる措置を講じ、これからされていこうとするのか、お伺いしたいと思うのであります。(拍手)  次に、私は、この事件に関連して、森小学校仁淀高校を訪れた小林日教組委員長に対する暴行事件について伺いたいと思うのであります。総理大臣は、この事件が起ってすぐに、特別捜査をやるようにと命ぜられたそうでありますが、事実でありますかどうか。  このような事件が起りますことは非常に遺憾なことでございますが、私はほんとうに事件解決しようと思うならば、この騒ぎの中に、小林君がのこのこと出かけていくことが間違っておると思う。(拍手「何を言っているんだ」と呼ぶ者あり)この父兄たち先生たちに不信の念を抱いておる一つの原因の中に、この親分は日教組の親分である小林委員長があると思っておる。その小林君が乗り込んでくるということは、これは事件解決せしめるよりも、ますます事件を遷延せしめるだけである。ほんとうにこの事件解決すべき筋を握っておる高知県の教育委員会の現状はどうであるか。安芸高等学校の処分に関連して、数百名の高等学校の生徒は知事を不法に監禁し、また、教育次長、教育委員長に集団面会と称してこれを十数時間圧迫して、これらの三人は入院しておる。現在、高知県の教育行政は麻痺しておる。解決すべき中心が麻痺しておる。そういう最中に、日教組の小林委員長をあの奥へ連れてきて、しかも、その日は、新聞の報道によると、十五日で、祭の日である。祭の日には、みな酒を飲むのです。酒を飲むと、みな気が荒くなる。こういうところへ連れてきては騒ぎが起る。問題を解決すべき教育委員会は麻痺しておる。ますます事件が長引くことは明らかなんだ。こういうことが裏に隠れておらないか。  私は、こういうことについて、青木公安委員長は、警職法を出して、世の中の暴力をなくしようということを考えられたのだが、そういう動きに対して調査されたことがあるかどうか、このことについてもお伺いしたいと思うのであります。  岸総理大臣は、これらの暴行事件に対して当然特別捜査を命ぜられたが、暴力はいけません。あくまでも暴力はいけない。それならば、集団陳情とか、あるいは労働組合運動だとかいうけれども、それは言葉の魔術ですよ。実力行使、これは暴力行使なんです。言葉でごまかしているだけなんてす。こういうような暴力を看過して、素朴な民衆が憤激の余りふるった暴力、これだけを罰して、それで世の中がまるくおさまるとお考えになるかどうか。  きょうの朝の新聞を見ましたときに、鈴木委員長は議会を尊重していこうということを明らかにされておる。私は、それを読んで、非常にうれしく感じました。ほんとうに議会を尊重していくものは、いかなる暴力も、暴力は排撃しなければならない。このことを総理に特に要望し、政府の善処を望んで、私の質問を終る次第であります。(拍手)     〔国務大臣岸信介君登壇
  48. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) お答えをいたします。  高知県における勤評問題を中心としての闘争並びに最近における暴行事件は、まことに私は遺憾にたえないところであります。いかなる場合におきましても、暴力によって自分の主義、主張を実現しようとするような行動は、私は、民主主義を毒するものであり、いかなる理由であろうとも、そういうものは、民主政治、民主国家を守る上から、これは厳重にそういうことのないように処置しなければならぬと思います。(拍手)この意味におきまして、今回の事件につきましても十分にその真相を明らかにし、また、これに関して暴行等を用いた者に対しましては、それぞれ法規の命ずるところによって厳正に処置する考えでおります。(拍手)     〔国務大臣灘尾弘吉君登壇
  49. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) お答えをいたします。  勤務評定の実施をめぐりまして各地にいろいろな紛争を生じておりますことは、かねがね申し上げておるところでありますが、まことに残念に存じます。ことに、その問題をめぐりまして暴力ざたが伝えられるということは、遺憾千万に存じます。ただいま総理も申されましたごとく、暴力は絶対に容認するわけに参りません。ことに、勤務評定の問題をめぐりまして、これに賛成する側においても、また、これに反対せられる側におきましても、暴力行為は断じて容認するわけに参らぬと思うのであります。今回の、ことに高知県において過日起りました事件は、まことに不幸なことと存じ、心から遺憾に存じております。小林委員長を初め、被害を受けられました諸君に対しましては、ほんとうにお気の毒に存じ、御同情にたえぬ次第であります。  この高知県の問題についての原田君の御質問は、これに対して政府としては一体いかなる措置をとったか、また、いかなる措置をとらんとするか、こういうふうな意味における御質問と伺ったのでございます。仰せの通り、この森小学校事件は相当長い期間にわたっておるのであります。今日、父兄学校の一部を使用いたしまして、ほかから先生を雇ってきて教育をしておるというような状況であります。その事柄は、もとより、きわめて異常な事柄であります。私は、かような事態がすみやかに解消いたしまして、正常な状態に回復することを念願いたしております。この問題につきましては、地元の当局といたしましても、もちろん、今日までいろいろな努力を傾注して参ったのであります。文部省といたしましても、しばしば、地方の当局に対しまして、すみやかなる解決を督励して参りました。また、教育長を招致いたしまして、いろいろこの問題に関する解決についての打ち合せもいたしましたわけであります。この村に対しましては、県の委員会当局といたしましても、しばしば現地に参りましていろいろ懇談を重ねており、一時は解決の曙光も見えたかと思ったのであります。いかんせん、外部からオルグの諸君がたびたび入って参りまして、でき上りそうなものもこわれてしまうというのが、今日までの状況であったのであります。まことに残念に存じております。問題は、もちろん、森小学校の状態が異常な状態でありますので、すみやかに平常な状態に返らなければなりません。ただ、これをやりますためには、単に一片の通牒で解決するとか、法規の解釈で解決するとか、さような単純な状態ではないように思うのであります。すみやかに村民と……(発言する者あり)村民と学校職員との間に信頼関係が回復いたしまして、なごやかな気持で今後の教育ができるような状態にしなければならぬ。そういうふうな信頼関係が、今日、根本的にそこなわれておるのであります。まことに残念でありますけれども、これを何とか回復し、学校の職員と地元の住民と、これがほんとうに協力提携いたしまして、仲よく子供教育のためにやって参るという、その姿はいかにすれば実現し得るか、かような点を基本といたしまして、この対策は立てていかなければならぬと思うのであります。今日までもやって参りましたが、私は、教育委員会当局を督励いたしまして、外部からの不当な勢力の介入を排除して、そして、現地において適切なる解決を見まするように、できるだけの努力もいたしたいとは思いますし、地方に対しましても、これに対してその趣旨をもって督励いたして参りたいと思っております。(拍手)     〔国務大臣青木正君登壇
  50. 青木正

    ○国務大臣(青木正君) 動機や理由のいかんを問わず、暴力の許すべからざることは申し上げるまでもないことでありまして、私どもは、今回の事件につきまして、まことに遺憾に存ずる次第であります。特に、事前にこれを防止することのできなかったことを、まことに残念に存ずる次第であります。警察といたしましては、申し上げるまでもなく、現地の本部長が全責任を持っておりますので、現地におきまして、この事件発生直後、直ちに捜査本部を設けまして、事犯の捜査を開始いたしておるのであります。警察庁におきましても、十分連絡をとりまして、本事犯につきまして厳重に捜査し、そうして、法に照らしまして厳重に処分するよう、手配をいたしておる次第であります。(拍手)      ————◇—————
  51. 松澤雄藏

    松澤雄藏君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、この際、辻原弘市君提出勤務評定実施をめぐる暴力事件に関する緊急質問を許可せられんことを望みます。
  52. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 松澤君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  勤務評定実施をめぐる暴力事件に関する緊急質問を許可いたします。辻原弘市君。     〔辻原弘市君登壇
  54. 辻原弘市

    辻原弘市君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議長より許可されました勤評問題に関連する暴力問題等に関して、総理並びに関係各大臣に若干の質問をいたさんとするものであります。(拍手)  ただいま同僚原田君の御質問を拝聴いたしたのでありますが、私の受けた感じを率直に出し上げますならば、これは、起っておる暴力事件についての重大性を認識された御質問というよりは、むしろ、何かこれらの背景について肯定をせられるかのような印象を、私は率直に受けたのであります。(拍手)これは私の受け取り方でありまして、原田君にははなはだ失礼かもわかりませんけれども、今回、去る十五日に起きました高知県仁淀村の事件というものは、私は、さような、事の理由を云々すべき問題ではないと思うのであります。きわめて重大な集団暴力的な事件として、われわれは、あげて遺憾千万なりといわざるを得ないのであります。  この事件の経過を見ますと、新聞紙上にも報道されておりまするように、ただ単なる偶発的事件ではなく、「教育父母の会」と称する一部父兄住民の計画的犯行であると見られるのであります。事件の概要は、当日たまたま同村森小学校の縦休問題の実情調査子供たちの慰問を兼ねて訪れた小林委員長の一行に対して、これらの会員が騒ぎ立て、そのために慰問も調査も行うことができず、一行は仁淀高校に引き揚げ、七時ごろより二階の裁縫室で父兄との懇談会を開催しておる最中に、酒気を帯びて約三百名近い会員が押しかけ、ついには乱入し、電源を切り、教室にピケを張り、口々に小林氏らの名前を呼ばわりながら、且つぶしを食わせ、火鉢、机、いす、アイロンなど、手当り次第に投げつけ、人事不省に至るまで、なぐる、けるの乱暴ろうぜきの限りを尽したというのであります。全く言語道断な、おそるべき計画的な集団暴行なりと申さざるを得ません。(拍手)  ところが、不思議なことにはこのような計画的な犯行であり、当然、事前に不穏の空気が察知されておったはずなのに、警察は何らの予防措置も講じていない。のみならず、この暴行が相当長時間にわたって行われているにもかかわらず、現地の警察はその門全くの無警察状態にあえて放置しておったということは、まことに了解に苦しむところでありまして、警察怠慢のそしりを免れまいと思うのであります。(拍手)ところが、この警察当局が、当夜、事件直後数時間後に、県教組幹部十一人を、十一月二十九日のできごとから、不法監禁、不退去罪等の名目で逮捕いたしておるのであります。一方において、事人命に関する事件が起きている最中、その被害者の側である教組の幹部を、時を同じくして逮捕するなどということは、およそ非常識であります。また、だれしも、そこに何らかの意図的なものを感ぜざるを得ないのであります。(拍手)こう言えば、警察当局は、いや決してそうではないと言われるかもしれませんが、だれが考えても納得のできる事柄ではありません。私は、この際、警察の最高責任者より、事件に対する処置を伺うと同時に、特にこれらの点を明瞭にしていただきたいと思うのであります。  同時に、また、先ほどの原田君の御質問の中に、何か警職法が改正できなければ予防措置あるいはこれらの取締りができないような話がありましたが、事実そうであるかどうか、この点を明瞭にしていただきたいと思うのであります。そういうことは断じて私はないと思うのであります。これは現行法によって当然警察のとるべき措置であると考えるから、あえてこの点を申し上げたいと思います。  さらに、警察当局に申し上げますが、この種の暴力的事件は今回に限ったことではなく、また、高知県のみならず、群馬においても発生しつつあるという事実であります。去る十一月十二日、沼田市で起きた「教育振興会」なる一部住民の暴行事件も同様のケースであります。また、直接の暴力行使ではないにしても、高知県下、群馬県下には、勤評問題をめぐって、これらの団体あるいは一部父兄住民による教職員に対する数次の人権侵害が続発しているということを、当局は御存じであるかどうか。  たとえば、群馬県における最近の事例をあげれば、教職員個々に対して、「教組よりの脱退上、「勤評賛成」、「一斉賜暇は行わない」などという条件を突きつけ、つるし上げ、強要をしているという事実、あるいは、教員住宅等に上り込み、家族に対し即刻立ちのきを要求する等の村八分的な行為が、白昼公然と行われているのであります。このために、平和な家庭生活を破壊せられ、幼い子供の手を引いて夜陰にまぎれて避難しなければならないという、全くお気の毒な状態まで今日現われているのであります。不法行為は人権侵害だけにとどまりません。消防団を動員して学校周辺にピケを張り、警鐘を乱打し、サイレンを鳴らし、教職員の登校を阻止し、のみならず、新聞記者などの第三者の行動までを制約する。一体、このようなことが消防法及び消防組織法のどこに許されておりまするか。道路交通取締法の違反とはならないのであるか。私は、それぞれ政府の見解をこの機会にただしておきたいと思うのであります。  このような人権じゅうりん、憲法違反、法律違反が現存しながら、これまた警察がなすがままにほうっているというのは、一体いかなる理由でありますか。労働組合の集会、運動、デモ等に対しては、事あらば道路交通取締法あるいは不退去罪等を振り回す警察当局が、これらの事実に目をつぶるということは何事でありますか。もはや、岸内閣のもとでは民衆の警察、公正中立な警察はあり得ないとでも青木さんはおっしゃるのか、所信のほどを承わりたいのであります。(拍手)  また、人権擁護、検察の立場に立つ法務大臣からも、横行しているこれらの事実について調査したことがありますか、また、その結果に基いて人権擁護のためにいかなる措置をとらんとするか、具体的に承わりたいと思うのであります。  次に、私は文部大臣に所信をただしたいと存じます。  今回の仁淀村事件は、これが勤評というあの問題に関連して発生した事件だけに、大臣としては大きな責任を感じてもらわなければならぬと思うのであります。この事態に至った原因は一体どこにあるのか。その責任はだれにあるのか。(「日教組だ」と呼ぶ者あり)私がこう言えば、必ずあなた方はそうおっしゃる。大臣もまた、待っていましたと、それは日教組だ、教組反対闘争がその原因だと強調されるに違いないと思いますが、それは誤まりであり、考え直してもらわなければなりません。なぜか。仁淀村の場合、今原田君も言われましたように、十月末以来すでに五十日に及んで、一部父兄が教職員の登校をはばみ、事実上正常な教育が行われないという変則状態が続いているのであります。その間、子供の登校拒否、村教委が勝手に代替教員を雇い入れる等の問題が、教育父母の会を中心にした一部のボス勢力によって行われているのであります。何ゆえ、このような事態に対して、文部省なり県教委なりが公正な立場においてすみやかな事態解決をはからなかったのであるか。問題の本質はここにあるのでありまして、遺憾ながら、その努力の跡を今日私どもは発見するのに苦しむのであります。(拍手)  あるいは、文部当局は、先ほども大臣が言われましたように、現地から関係者を呼んだ、また現地に係官を派遣したと言われるかもしれませんが、それらは、むしろ、一方をあおり、対立を激化させるに役立ったのであって、円満解決には一向に力となっていないのであります。真に解決への努力を払ったというなれば、一部父兄によってとられた子供の登校拒否、さらには教員の登校を妨害している行為、あるいは任命権者にあらざる地教委が教員を任用するなどという不法行為に対して、何がゆえに、違法性を明らかにして、きぜんとした処置がとられなかったのでありますか。また、どうして父兄に対して説得、警告を積極的に行わなかったのでありまするか。  かって、九月十五日の総評の統一行動の際、総評がとらんとした登校拒否の戦術に対して、いち早く、これは学校教育法の就学義務に違反する行為であり、処罰の対象とすると、声を大にして警告したのは、文部省、政府ではなかったか。その文部省が、また政府が、この仁淀の問題、いや、仁淀だけではありません。群馬県沼田市の場合でも、一向に知らぬ顔をしているということは、一体どうしたことでありまするか。こうしたことは、勤評賛成、反対という根本問題とはおのずから別個の問題であります。賛成だろうが、反対であろうが、違法は違法として処置してこそ、初めて公正な態度であり、信頼される文教行政と言い得るのであります。文部当局がこのようなへんばな態度に終始しているものだから、県教委、地教委がこれに追随し、現地での対立関係に油を注いでいるのであります。このことは、さらに地域住民に力を与え、勤評賛成であれば、どんな手段に訴えてもかまわないのだという安易感を次第に植えつけ、今回のような暴力行為等の背景を作ったと考えるのも、決してうがち過ぎているとは申せないのであります。(拍手)この文部省の態度は群馬県の問題にもあり、全国的にその傾向が見受けられるということは、きわめて重大であると思うのであります。文部大臣の見解を私は承わりたいと思います。  次に伺いたいことは、今回の仁淀事件でも、その中心となっているのは「教育父母の会」という、一部の父兄によって作られた団体であります。各地において、あるいは「教育を守る会」、あるいは「教育振興会」などと、名称は多少異なるが、その性格はほとんど同一であります。これらの団体の傾向は、必ずしも純粋な教育関係の団体とは受け取られがたい節のあることを、この際指摘いたしておきたいと思うのであります。(指手)一般地域住民が教育目的のために団体を結成する、それ自体はまことに歓迎すべきことであります。しかし、それが特定の政党と結びつき、あるいは保守党議員の選挙運動に利用され、また、片寄ったイデオロギーを掲げ、現実にそれを教育の場に押しつけていくがごときは、もはや辞意の教育団体とは理解できがたいのであります。(拍手)群馬県下の一例をあげれば、故意に教組を誹謗し、教組と共産党を結びつけ、悪意に満ちたビラを配布するなど、あたかも右翼団体が教組を攻撃するそれと同一の姿であり、さらにはまた、現在自由民主党ときわめて密接な関係を持っておるといわれている自由文教人連盟の言うところと、ほとんど選ぶところがありません。かくのごとき実体を特って団体に対して、大臣はいかにお考えになるか。これが正常な教育団体あるいは父兄の団体のあり方だとお考えになっておりますかどうか、承わりたいのであります。  さらに伺いたい点は、勤評問題全般を通じての大臣の把握と今後の方針についてであります。大臣は、口を開けば、勤評はあくまでも実施するの強気一点張りで終始し、教組並びに勤評反対の世論に対してはほとんど耳をかさない、きわめて非民主的な態度をとり、教組反対運動を外部の圧力による革命的の行動だなどときめつけ、混乱の責任をあげて反対運動の側になすりつけようとしておるのでありますが、こうした把握に根本的な誤謬があります。あれほど教職員諸君反対している根強さは、私もいまだかつて知らないのであります。この根強さというものは、決して一部の指導者や外部の扇動によって保ち得るものではありません。その根底は、教育的良心に発し、きわめて純粋であり、素朴であると思うのであります。それを今日この状態に追い込んだのは、文部省、政府の無理解と極端な官僚性であったと私は思うのであります。なぜなれば、強い反対のあることの問題について、諮問機関などの民下的手続あるいは第三者の意見聴取等もほとんどなすことなく、長年はっておいたこの勤評問題を唐突として持わ出し、教育長協議会案なるものをでっち上げ、都道府県教養を督励して強行さしているところに、その原因のほとんどがあるのであります。(拍手)その結果、たとえば和歌山県のように、解雇八名を含む四十三名にも上る、不当な、非常識な行政処分が教委の手によって行われ、ますます事態を混迷に導いている結果まで今日招いているのであります。勤評問題の各地の紛争に対しては、必ず文部当局は背後から圧力を地方に加え、地方の自主的解決を困難ならしめている事実がありますが、そのような権限が文部省には与えられていないはずだと思うが、大臣の見解はどうでありまするか。あくまで法律の定むるところに従って、計画立案者である都道府県教委、また実施者である地方教委の自主性にゆだねていると、ここで断言ができますかどうか、はっきり伺いたいと思うのであります。(拍手)  去る九日、神奈川県において自主的に解決を見た独自の勤評案に対して、文部省は勤評にあらずときめつけ、関係者を招致して干渉を加えているやに新聞は報じておりまするが、これは事実でありますか。事実でありとするなれば、全く不当というよりは不法な干渉と申さざるを得ないのであります。神奈川県のとった態度について大臣はいかに考えられるか、この機会に承わりたいと思うのであります。  私は、八カ月の長きにわたって四十回にも及び両者が真剣な検討を続け、あらゆる角度、あらゆる法律を研究の上ようやく到達したこの結論は、まことに貴重なものであり、その努力に深い敬意を表するものであります。陰惨な勤評問題の中で非常に明るいものを今日世論に与えていることは、疑いのない事実であります。(拍手)こうした両者共同の努力の上にこそ初めて真の教育効果が期待し得ると私は確信すりるものであります。(拍手)しかも、その内容とするところ、教育基本法を初め、あらゆる教育法規に準拠し、教師の自発的意欲を高めることによって教育効果の向上を期待する行政措置として、形式主義を排し、実践記録をもってこれに充てているところに深い意義を持つものであり、勤評問題解決の方向を示唆するものであると考えまするが、大臣の御所見はいかなるものであるか承わりたいと思うのであります。(拍手)  次に、今回の事件に対して、日教組は大臣に話し合いを求めております。ところが、文部当局は依然としてこれを拒否しているようでありますが、なぜこの際虚心たんかいに会って話し合いができないのであるか。当事者に会い、また、第三者の意見をも徴し、何ゆえ話し合いによる解決への道を開かないのでありますか。心ある国民は、何人もこれを今日期待しております。先般、各大学の総長、学長らのあっせんに対しても、大臣はきわめて冷淡な態度をとり、いたく国民を失望せしめております。この際、教育が正常な姿に立ち返るために、既往にとらわれず、積極的に事態解決べの道を開かれる御決意ありゃいなや、大臣から率直に聞いておきたいと思うのであります。  最後に、私は内閣の責任者である岸総理大臣にお伺いをいたしたい。総理は、はなはだ失礼であるが、今日口頭禅になりつつあるとは言うものの、三悪追放を唱えられた御当人であります。しかも、今回の仁淀村の暴力事件は勤評を強行しようとする岸内閣の政策の中から発生した、きわめて皮肉な、また遺憾な問題であります。いかなる理由にもよれ、かかる暴力の横行は、法治国家として断じて見のがすわけには参りません。私は、暴力追放を豪語する総理に、その具体的処置と所信のほどを承わりまして、今後の参考に資したいと思うのであります。同時に、また、かかる問題を惹起した根本原因は、先刻からるる申しておりますように、官僚独善的な勤評強行の政府の態度にあるのであって、私、すみやかに政府としてはその弊を改め、教育の本質にかんがみ、事態解決に当るよう総理の決断を求めてやまないものであります。われわれもまた、教育正常化に対しましては限りない熱意を持っております。政府にその決意があるなれば、われわれもまた、それに協力するに決してやぶさかではありません。その御決意がおありになりますかどうか、これを最後にお伺いをいたしまして、私の質問を終る次第であります。(拍手)     〔国務大臣岸信介君登壇
  55. 岸信介

    ○国務大臣(岸信介君) お答えをいたします。  先ほども原田君の質問に答えたのでありますが、私は、その動機や主張や考えがどういうところにあろうとも、暴力をもって自分の考えを実現しようということは民主国家の敵であって、そういうことは、断固として、法の命ずるところによってこれを阻止していくということを申しております。今回の事件に関しましても、私は、先ほども申しましたように、十分に事情を調査し、これに対して厳正公平なる態度でもって措置するように、それぞれ当局に命じておるのも、その趣旨でございます。  勤評問題につきましては、これはすでに幾たびか国会におきましても論議をされ、あらゆる面において議論をされてきたところであります。そうして、いろいろなこの問題をめぐっての闘争が、社会的に国民の間におけるところの批判をもたらしておることも、御承知の通りであります。そうして、漸次これに対する理解も深まって参ってきております。従って、各府県等におきましても、漸次平穏にこれが実施を見つつあるところも少くないのです。しかし、まだ十分に理解されず、従って、いろいろな問題が、先ほど来おあげになるような事態が生じておるということは、はなはだ遺憾です。私どもは十分にその趣旨が徹底するように今後努力するつもりでありますが、勤評問題に対する根本的な態度としては、従来政府がとってきておるところの態度を続けていくつもりであります。(拍手)     〔国務大臣灘尾弘吉君登壇
  56. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) お答えをいたします。  仁淀村における、あの不幸な事件に関連いたしまして、私の心持につきましては、先ほど原田君の御質問に対しましてお答えいたした通りでございます。まことに不幸な事件と考えます。かような事態がすみやかに平常に復するようにいたしたいと思っておるのであります。  ただ、その原因はどこにあるか、文部大臣の責任はどうだ、こういうような御趣旨のお尋ねでありました。いろいろ原因もございましょうけれども、辻原君がおあげになりました中に、一つ肝心なところが私は抜けておると思うのです。かような不幸な事件が起るに至りまして、暴力は、もとより、先ほど申しましたように絶対に否認いたしたい、是認することができない問題でありますけれども、純良なる地方農村の諸君がなぜかような乱暴なことをするに至ったかというような点については、お互いによく考えてみる必要があろうと思います。もともと、学校先生を信頼し、敬愛してやって参っておりましたところの森小学校において、かようなことが起るに至りましたのは、私は、学校先生方が、この純良なる農村の諸君の信頼を裏切るようなことをしばしば繰り返した、このことが最も大きな原因をなしておると思うのであります。また、問題の解決を困難にいたしましたのも、教組のいわゆるオルグの諸君あたりが出かけて行って、いろいろ教職員に圧力をかける、かようなことが積み重なりまして今回のような不幸な事件を起す原因となったのではないか、かように思うのであります。(拍手)この点につきましては、事件解決、今後の対策を立てます上におきまして、いかにして学校教職員の信頼を回復するか、かような点を中心にして善処いたしたいと考えておる次第であります。また、その問題を解決するために努力することが私の責任であると思っておるのであります。  また、これに関連いたしまして、仁淀村における「森父母の会」のことに言及せられたのでありますが、私ども詳細なことは存じませんけれども、この父母の会は、森小学校に通っておる子供の、文字通りの父母の会であろうと思います。別に、これが特定の政党と結びついておるとか、あるいはまた特別な政治的なイデオロギーを持っておるとか、さようなものではない。ほんとうに子供教育を心配する父兄の会であると私は理解いたしておるのであります。(拍手)また、勤評の実施について、文部省は地方に圧力をかけておるではないか、干渉しておるではないか、かような御趣旨に基く御質問でございますけれども、文部省といたしまして、地方に圧力をかけるとか、干渉をするとか、さような心持でやってはおりません。前々から申し上げておる通りでございます。文部省は、一口に申せば、勤務評定というものを実施してほしいという立場にあるわけであります。その意味における指導、助言は、文部省としてなし得ることであろうと思うのであります。不当なる干渉、不当なる圧力というようなことはやっておりません。現に、各地方において、今日、多数の府県において、勤務評定は着々実施せられつつあるのであります。その勤務評定の内容等におきましても画一的ではございません。決して一方的に文部省が一つの計画を押しつけておるとかいうふうなこともございません。各地方の自主的な判断によって決定せられた計画が実施に移されておるわけであります。さよう御了承願いたいと思うのであります。  神奈川県の行政措置についてのお尋ねがございましたが、過日、神奈川県におきまして、少し長い名称なので記憶をいたしておりませんけれども、教職員の自発的な意欲によって勤務成績が上るようにというような趣旨の行政措置というものが決定をせられたのであります。果して、これが、神奈川県教育委員会として勤務評定を実施するつもりでおやりになったのかどうか、それはよくわからないのであります。その内容を拝見しますと、私どもが現行法のもとにおいて考えておる勤務評定とはどうも違っておるのじゃないか、かような疑問を持つのであります。ただいま、文部省といたしましては、この神奈川県の行政措置なるものがいかなるものであるか、いかなる考えのもとに立案せられたものであるか、さようなことについて慎重に検討をいたしておるわけであります。お話の通りに、相当長い日子を費しまして研究せられました結果、これができておるのであります。そのこと自体について、私はいいとか悪いとか申すのじゃございません。また、それが価値があるとかないとかいうことを申すのじゃございません。ただ、問題は、それが果して現行法のいわゆる勤務評定に該当するものなりやいなや、そこにかなり疑問点があると思いますので、この点について十分検討を加えました上で、文部省の態度を決定いたしたいと思っておる次第であります。これにつきましては、さように御了承願いたいと思うのであります。(拍手)  最後に、日教組との関係でございます。日教組諸君が、今日と申しますか、私に交渉したいというので面会を求めておられる事実はございます。このことにつきましては誤解のないようにお聞き取りを願いたいと思いますが、私は、日教組であろうが、どこであろうが、絶対に面会しなければならぬものとも思いませんし、同時にまた、絶対に面会を拒否する理由もないのであります。私が面会することが適当であると考え、あるいは必要があると考えまする場合には、自由にお目にかかるつもりでございます。ただ、日教組の考え方といたしまして、何か、文部省に対しまして——この点は一つ誤解のないように御了解を願いたいと思うのでありますが、文部省に対しまして、何か労働組合が企業主体に対して団体交渉でもやるようなつもりを持っておられるのではないかということであります。私は、日本教職員組合は文部省に対して団体交渉権を持っておる団体とは思っておりません。(拍手)そういうような意味合いにおいて、私と何か団体交渉でもしょうというような考え方で面会を求められても、これには応ずるわけには参らない。しかし、そうでなくて、お互いに、静かに、あるいは紳士的に、お目にかかって、いろいろお話を伺うというようなことは、あえて拒否する理由もございません。ただ、現在の日教組政府との関係と申しますか、文部省との関係におきましては、にわかにお目にかかるわけには参らぬと思っております。お目にかかりましていろいろお話をするような雰囲気にないということも、皆さんも御承知を願いたいと思うのであります。会うか会わないかは、どうぞ一つ私におまかせを願いたいと思うのでございます。(拍手)     〔国務大臣青木正君登壇
  57. 青木正

    ○国務大臣(青木正君) 第一点は、事前になぜこれを防止しなかったかというようなお話であります。仁淀村の事件は、前々からいろいろ対立があったのでありますが、先月の二十四日ごろ、一応平静に復して参りましたので、その前までおりました警備本部を解体いたしておったのであります。小林委員長が参りますことは、その日になりまして、委員長が参りまして初めてわかったような事情もありまして、事前に、委員長が来るということで、これに対してどうというようなことは、事実問題として、でき得なかったのであります。また、距離が非常に遠いので、その点で本部と連絡いたしましても、参りますまでに相当の時間がかかるというようなこともあったのであります。  なお、計画的ではなかったかというような御指摘でありますが、現在捜査中でありますので、その捜査の結果を待たなければ、何とも断言することはできないと思うのであります。  それから、県教組の検挙の問題と何か関連があるのではないかという御指摘でありますが、これは全然別個の問題でありまして、御承知のように、十一月二十九日、三十日にわたって行われました、教育長の監禁と申しますか、この問題に関連して警察当局は前々から捜査いたしており、そうして、たまたまその日に検挙するということになっただけのことでありまして、全然関連のない問題でございます。  それから、群馬県における問題につきましては、言うまでもなく、勤評そのものに警察は介入すべきものではありません。しかしながら、教組あるいは父兄、いずれを問わず、不法事態に対しましては、警察は厳正な態度をもって臨むべきことは言うまでもないのでありまして、現在、群馬県の事件につきましても、捜査中のものが四件ほど、調査中のものが六件ほどあります。警察は、決してそういう問題につきまして手をこまぬいて見ておるということではないのでありまして、いやしくも不法の事態がありましたならば厳重に処断する、処罰する、こういう考え方に立っております。(拍手)     〔国務大臣愛知揆一君登壇
  58. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 人権擁護に対する御質疑に対してお答え申し上げます。実は、わが国の人権擁護の制度は、世界にも比類のないといわれるほどの一応の形式は整えておるわけであります。しこうして、人権擁護の衝に当りますものは、誠心誠意、涙ぐましいほどの努力をもってその職に当っておるわけであります。ただ、先ほど御指摘がございましたが、勤評問題をとってみましても、勤評に賛成であるという人たちに対しても、村八分的な、相当ひどいことが行われておる事例もあるのでありまして、私どもとしては、一方に偏せず、真に人権が擁護できるように、ことに世界人権宣言が採択せられましてからちょうど十年でございますが、この宣言の趣旨に即しまして措置をするように考えておるわけであります。具体的にどういう措置をするかというお尋ねがございましたが、われわれとしては、十分に調査をいたしまして、その結果によって、法律の定めるところに従って、勧告をするなり、あるいはその他の具体的の措置をすることに相なっておりますが、その方向に従って、ただいま問題の高知県の問題その他の点につきまして十分に調査の上で具体的な措置をいたしまして、発表いたしたいと思っております。(拍手)      ————◇—————   (内閣提出
  59. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 日程第一、憲法調査会法の一部を改正する法律案日程第二、科学技術会議設置法案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。内閣委員長内海安吉君。     …………………………………     —————————————     〔報告書は会議録追録に掲載〕     …………………………………     〔内海安吉君登壇
  60. 内海安吉

    ○内海安吉君 ただいま議題となりました両法案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上つげます。  憲法調査会法の一部を改正する法律案は、憲法調査会の事務量の増加に伴い、事務処理の円滑をはかるため、事務局の職員五人を増員して、その定員を十二人とするものであります。  科学技術会議設置法案は、科学技術に関する重要な事項について、関係行政機関の施策の総合調整をはかるため、内閣総理大臣の諮問機関として科学技術会議設置し、これを総理府の附属機関に加え、従来の科学技術庁の附属機関である科学技術審議会を廃止するものであります。  科学技術会議の組織は、議長及び八人の議員をもって構成し、議長には内閣総理大臣を充て、議員には大蔵、文部両大臣、経済企画庁、科学技術庁両長官、並びに、日本学術会議会長及び科学技術に関してすぐれた識見を有する者三人を充て、この三人の議員は、両議院の同意を得て内閣総理大臣がこれを任命することとしております。その任期は三年、うち一人は、日本学術会議会長とともに、それぞれ非常勤といたしております。  なお、政府の説明によりますと、科学技術会議運営に当っては関係行政機関の専管に属する事項のみを対象とした審議は行われることなく、また、大学の学問研究の自由は尊重されることになっております。  以上が、両法案の要旨であります。  両法案は、十二月十日本委員会に付託され、去る十六日、憲法調査会法の一部を改正する法律案については赤城内閣官房長官より、科学技術会議設置法案については三木国務大臣より、それぞれ詳細な説明を聴取したのでありますが、両法案とも、前国会において慎重審議の結果本院を通過した法案と同一内容のものでありますので、質疑もなく、討論の通告もありませんため、直ちに採決に入りましたところ、憲法調査会法の一部を改正する法律案は多数をもって、科学技術会議設置法案は全会一致をもって、いずれも原案の通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、日本社会党の受田委員より科学技術会議設置法案に対する附帯決議案が提出され、全会一致の議決を見たのであります。  次に、これを朗読いたします。     附帯決議   科学技術会議運営にあたっては  第一 基礎研究を重視すること  第二 学問研究の自由を確保すること   右決議する。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  61. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) これより採決に入ります。  まず、日程第一につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔脅威者起立〕
  62. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)  次に、日程第二につき採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」三と呼ぶ者あり〕
  63. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————
  64. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 日程第三、司法試験法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。法務委員会理事福井盛太君。     …………………………………     …………………………………     理 由   司法試験制度運用の実情にかんがみ、第二次試験の試験科目等を改める必要がある。  これが、この法律案提出する理由である。     —————————————     〔報告書は会議録追録に掲載〕     …………………………………     〔福井盛太君登壇
  65. 福井盛太

    ○福井盛太君 ただいま議題となりました司法試験法の一部を改正する法律案につきまして、法務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  御承知のように、終戦後、大学制度が新制大学に切りかえられて以来、昭和二十八年ごろから、大学在学生の司法試験合格者数は逐年減少の傾向をたどっておるのであります。ために、優秀な新卒業生を他の職業分野に逸することが憂慮されますので、これが対策を講ずるとともに、他面、社会生活の複雑化に伴い、将来法曹たるための適格としては法律以外の素養を備える必要があるとの世論が強いことにかんがみまして、今般、現行の司法試験制度を改正せんがため、本案が提出せられたのであります。  すなわち、改正点の第一は、第二次の筆記試験を、憲法、民法及び刑法についてのみ行う短答式による試験と、論文式による試験とに分け、論文式にまる試験は、短答式による試験に合格した者に限り受験することができることとしたのであります。  第二に、論文式による試験については、現行の試験科目七科目を、必須五科目及び選択二科目とに分けまして、選択科目には新たに政治学、経済原論、財政学、会計学、心理学、経済政策、社会政策等を加えることに改めたのであります。  第三に、司法試験管理委員会は試験科目のうち相当と認めるものについて試験の範囲を限定することができることとし、また、考査委員の数は現在、試験科目一科目につき四人をこえてはならないことになっておるのを、その制限を撤廃することとしたなどであります。  さて、本法案は、十二月十日当委員会に付託せられたのでありますが、その内容については前国会において当委員会に付託せられた司法試験法の一部を改正する法律案とほとんど同一でありまして、前国会においては、参考人として学識経験者五人の出頭を求め、意見を聴取し、十分なる討議を重ねたのであります。よって、今国会においては、十二月十六日政府より提案理由の説明を聴取した後、質疑並びに討論の申し出がないのでこれを省略し、直ちに採決いたしましたところ、本法案は政府原案通り全会一致をもって可決せられた次第であります。  次いで、本法案に対し、自由民主党、日本社会党共同提案による附帯決議の動議提出せられました。決議案の内容は、     附帯決議案  一、本案による必須科目の制度は今後大学の学制改正と照し合せつつ、たえず検討すること。  二、司法試験管理委員委員は将来これを相当数増員し、これが選任に付いては公正を期すること。  三、司法試験考査委員の選任についても公正を期すること。  四、短答式試験においてはなるべく多数を合格せしむること。    右決議する。 というのであります。よって、右決議案を採決いたしましたところ、これまた全会一致をもって可決せられました。  右、御報告申し上げます。(拍手
  66. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。     —————————————
  68. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 日程第四、公共用水域水質保全に関する法律案日程第五、工場排水等規制に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。商工委員会理事中村幸八君。     …………………………………     …………………………………    理 由  公共用水域水質保全を図るため、製造業等における事業活動に伴って発生する汚水等の処理を適切にする必要がある。これが、この法律案提出する理由である。     —————————————  工場排水等規制に関する法律案に対する修正案   工場排水等規制に関する法律   案に対する修正  工場排水等規制に関する法律案の一部を次のように修正する。   第二条第七項中「第四条第一項」を「第五条第一項」に改める。     〔報告書は会議録追録に掲載〕     —————————————     〔中村幸八君登壇〕     …………………………………
  69. 中村幸八

    ○中村幸八君 ただいま議題となりました公共用水域水質保全に関する法律案及び工場排水等規制に関する法律案について、商工委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  近年、工場、事業場等の汚水の排出により河川、湖沼、港湾、沿岸海域その他の公共用水域が年々汚濁され、各種の問題が随所に発生するに至りましたことは御承知の通りでございます。かかる事態に対処いたしまして、新たに法律を制定して水質保全に必要な基本的事項を定め、かつ、これを実現する法的規制を設け、もって産業の相互協和と公衆衛生等に寄与させ、あわせて水質の汚濁に関する紛争の解決に資する必要があるのであります。以上が本法案の提案の理由であります。  次に、公共用水域水質保全に関する法律案の要点について申し上げますと、第一、経済企画庁長官は公共用水域のうち、水質の汚濁により相当の被害を免じ、または生ずるおそれのある一定の水域を指定水域として指定し、また、水質保全上必要であり、かつ、具体的に順守可能な水質基準を定め、この基準による現実の取締り、工場排水等規制に関する法律、鉱山保安法、下水道法等により、当該主務大臣にゆだねることといたしておるのであります。  第二に、経済企画庁の附属機関として水質審議会を設け、指定水域の指定、水質基準の設定等の重要事項は、この審議会で審議した上で決定することといたしておるのであります。  第三は、水質汚濁による被害に関する紛争の解決に資するため都道府県知事による和解の仲介制度を設け、紛争の処理を合理的な軌道に乗せるようにはかっておるのであります。  次に、工場排水等規制に関する法律案について申し上げます。  この法律案は、公共用水域水質保全に関する法律の定める水質基準を工場、事業場等について実施するための法律案でありまして、その要旨は、第一に、製造業等の用に供する生産施設のうち、汚水等を発生するものを政令で特定施設として指定し、特定施設を設置している者は、それから排出される汚水等を適切に処理して公共用水域水質保全に心がけなければならない旨を明示し、特定施設の設置、変更あるいはその使用方法等は、事前にその計画を主務大臣に届け出ることとし、主務大臣は必要があれば計画の変更、廃止等の命令をなし得ることとしたのであります。  第二に、現に指定水域に排出されている工場排水等水質基準に適合していないときは、主務大臣は汚水の処理方法の改善、特定施設の一時停止、その他必要な処置をとるべきことを命令することができるようにしたのであります。  第三に、汚水処理施設に対する固定資産税の免除とともに、国としてその設置または改善につき必要な資金の確保、技術的な助言その他の援助に努めることとしておるのであります。  両法案は、ともに十二月十日当委員会に付託され、十六日河本経済企画庁政務次官、大島通商産業政務次官よりそれぞれ提案理由の説明を聴取したのでありますが、両法案は、去る第三十回国会において、数次にわたり委員会を開き、熱心な質疑応答が行われ、さらに審議の慎重を期するために学識経験者、農業、漁業、鉱工業、地方自治体の代表者等を招いて参考意見を聴取し、また、商工、社会労働及び農林水産の連合審査会を開いて質疑を行い、十分審議を尽しておりまするので、今回は補足的に若干の質疑を行なったのみであります。  なお、赤路友藏君外四十六名より水質汚濁防止法案が提出されましたが、政府案に対する自民、社会両党の共同修正案がまとまりましたので、同案は撤回することに相なりました。  次に、共同修正案について御説明申し上げます。  まず、自由民主党及び日本社会党を代表して中嶋英夫君より趣旨の説明を聴取したのでありますが、その要点は、公共用水域水質保全に関する法律案については、新たに調査基本計画、関係行政機関の義務及び二以上の都道府県にまたがる紛争の処理に関する規定を追加したのであります。また、工場排水等規制に関する法律案については、公共用水域水質保全に関する法律案の修正に伴う関係条項の整理を行なったのであります。 以上の経過によりまして、同日採決に付しましたところ、全会一致をもって両法案はそれぞれ修正案の通り修正議決すべきものと決した次第であります。  次いで、自由民主党並びに日本社会党を代表して岡本茂君より、公共用水域水質保全に関する法律案に対する附帯決議案が提出され、趣旨説明の後、採決いたしましたところ、これまた全会一致をもって可決せられました。  以上、簡単ながら、御報告を申し上げます。(拍手
  70. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも修正であります。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、両案は委員長報告の通り決しました。     —————————————
  72. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 日程第六、住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。建設委員長堀川恭平君。     …………………………………     理 由   災害復興住宅の建設に附随する整地等に要する資金について住宅金融公庫から貸付を行うことができることとするとともに、災害復興住宅に係る貸付金の償還期間の延長を行う必要がある。これが、この法律案提出する理由である。     —————————————     〔報告書は会議録追録に掲載〕     …………………………………     〔堀川恭平君登壇
  73. 堀川恭平

    ○堀川恭平君 ただいま議題となりました住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  住宅金融公庫による災害復興住宅に対する融資につきましては、さきに第二十六回国会において制度化されて以来、災害発生のつど活用され、成果を上ザてきたのでありますが、最近の台風二十二号による災害の経験等にもかんがみ、本制度をさらに拡充強化して、災害による被災者の援護に万全を期そうとするのが、本案の提案されました趣旨であります。  その要旨について申し上げますと、まず第一に、がけくずれ等による被害の復旧の場合のごとく、復興住宅の建設または補修に際し、宅地内における崩壊土砂の排除などの整地工事を必要とする場合、そのような整地に要する費用についても融資すること、第二に、災害復興住宅に対する貸付金の償還期限について、住宅の建設にかかるものについては従来の十五年を十八年に、住宅の補修にかかるものについては八年を十年に改めようとするものであります。なお、これらの措置、いずれも昭和三十三年七月一日以降に発生した災害から適用することとなっております。  本法案は、去る十二月十日本委員会に付託されましたが、質疑の詳細につきましては速記録を御参照願いたいと存じます。  かくて、討論を省略し採決の結果、全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  74. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし一と呼ぶ者あり〕
  75. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。     —————————————
  76. 加藤鐐五郎

    議長加藤鐐五郎君) 日程第七、昭和三十三年七月、八月及び九月の豪雨及び暴風雨による被害農家に対する米穀売渡特例に関する法律案日程第八、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。農林水産委員会理事吉川久衛君。     …………………………………     〔議長退席、副議長着席〕     〔吉川久衛君登壇
  77. 吉川久衛

    ○吉川久衛君 ただいま議題となりました内閣提出の二法案につきまして、農林水産委員会における審議の経過並びに結果にっき御報告申し上げます。  まず、昭和三十三年七月、八月及び九月の豪雨及び暴風雨による被害農家に対する米穀売渡特例に関する法律案につきまして申し上げます。  御存じの通り、本年は、十一号台風を初め、十七号、二十一号に続き、戦後最大といわれる二十二号台風等、数多くの災害に襲われ、農林水産業は激甚なる被害をこうむり、特に米作農家の受けた損害ははなはだしく、減収により自家飲用食糧にも事欠く悲惨なものが多々あるのであります。本案は、このような被害の著しい農家に対しまして、政府の所有する米穀を特別安い価格で売り渡すことによりまして、これら農家の食糧に対する不安をなくするとともに、他の災害対策と相待って災害地における農家の生産意欲を向上し、米穀の再生産の確保に寄与しようとするものであります。すなわち、本年の七月から九月までの災害において被害を受けた地域のうち、政令で定める地域において、その生産する米穀がこの災害により著しい減収を来たし、そのためその生産する米穀が飯用として消費する量に著しく不足する旨の都道府県知事の認定を受けた農家が、米穀をおおむね生産者価格で購入できるようにしようとするものであります。  本案は、十二月十日付託となり、同月十六日政府から提案理由の説明を聴取し、同日質疑を行い、討論を省略して採決いたしましたところ、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決した次第であります。  次に、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。  本年度のたび重なる災害、特に二十一号及び二十二号によりまして、農林水産業に著しい損害を受けましたことは、前にも申し上げました通りでありますが、とりわけ、農地、農業用施設、林道等についてその被害は特に激甚でありまして、これが復旧は農林業の生産上焦眉の緊要事であるのであります。現在、被害農林水産業の施設災害復旧事業費につきましては、被害程度により国は高率の補助を行うこととなっているのでありますが、農地及び一般林道につきまして、農業用施設等に比べますと、その補助率はかなり低くなっているのであります。この際、本年度の異常災害を機会に農地及び一般林道の補助率を引き上げましてその適正化を期し、農家の負担を軽減することにより災害復旧事業の促進をはかり、農林業の生産力の増進と農家経営の安定に資しようというのであります。  その内容といたしまして、農地及び一般林道の災害復旧事業における国の現行の補助率は、災害復旧事業費が政令で定める一定額以上の部分については、農地にあっては十分の八、一般林道にあっては十分の七・五でありますが、この高率補助適用部分のうち、さらに政令で定める一定額以上の部分については、国の補助率を、農地にあっては十分の九に、一般林道にあっては十分の八・五に引き上げようとするものであります。また、この高率補助は本年の一月一日以降に発生した災害の復旧事業から適用することとし、災害対策について万全を期そうとするものであります。  本案は、十二月十日委員会に付託となり、同月十六日政府から提案理由の説明を聴取し、引き続き質疑を行い、同日質疑を終了し、討論を省略して採決をいたしましたところ、全会一致をもって原案の通りこれを可決すべきものと決した次第であります。  以上、御報告を終ります。(拍手
  78. 正木清

    ○副議長(正木清君) 両案を一括して採決いたします。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 正木清

    ○副議長(正木清君) 御異議なしと認めます。よって、両案は委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————
  80. 正木清

    ○副議長(正木清君) 日程第九、賠償等特殊債務処理特別会計法の一部を改正する法律案日程第十、産業投資特別会計貸付財源に充てるための外貨債発行に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員長早川崇君。     …………………………………     …………………………………   [早川崇君登壇
  81. 早川崇

    ○早川崇君 ただいま議題となりました二法律案につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を簡単に御報告申し上げます。  まず、賠償等特殊債務処理特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。 この法律案は、前国会提出せられ、本院において可決の上参議院に送付されましたが、同院において審議未了となったため再び今国会提出されたものでありまして、その内容は前回のものと全く同様であります。すなわち、本案は、日本国とラオスとの間の経済及び技術協力協定に基いて、総額十億円の無償の経済及び技術援助をわが国がラオスに供与することになりましたので、右債務の処理に関する政府の経理を賠償等特殊債務処理特別会計において行うことができることといたそうとするものであります。  本案につきましては、討論の通告もありませんので、昨十七日直ちに採決いたしましたところ、全会一致をもって原案の通り可決いたしました。  次に、産業投資特別会計貸付財源に充てるための外貨債発行に関する法律案について申し上げます。  この法律案は、政府産業投資特別会計貸付財源の一部を充てるため、昭和三十三年度において三千万ドル、邦貨換算百八億円を限り外貨債発行し、またはこれにかえて外貨借入金をすることができることとしようとするものであります。しかして、右金額のうち、昭和三十三年度において発行または借り入れをしなかった金額があるときは、当該金額を限度として昭和三十四年度においても外貨債発行または外貨借入金をできることとし、なお、本公債の消化を円滑にするために、その利子等に対する租税その他の公課については国際慣行にならった非課税措置を講ずることといたしております。  以上が本法案の大正要でございますが、本法案は、前国会提出されたものと全く同一であり、前国会において十分審議は尽されておりましたので、昨十七日質疑を結了し、討論に入りましたところ、横山利秋委員は社会党を代表して本法案に反対の旨を述べられ、次いで採決いたしましたところ、起立多数をもって本法案は原案の通り可決いたしました。以上、御報告申し上げます。(拍手
  82. 正木清

    ○副議長(正木清君) 討論の通告があります。これを許します。廣瀬勝邦君。     〔廣瀬勝邦君登壇
  83. 廣瀬勝邦

    ○廣瀬勝邦君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程になりました産業投資特別会計貸付財源に充てるための外貨債発行に関する法律案に対し、反対の意を表明せんとするものであります。(拍手)  まず、私が冒頭に申し上げたいことは、同法案がきわめて重大な意義を有する法案であるという点であります。本法律案は、全文五条よりなる、米ドル表示の外債募集の手続事項を規定している、一見何のへんてつもない手続法でありますが、この手続法を通じて岸内閣が何を期待しているかを考えますと、その内容は、容易ならざる日本経済べの根本的影響をはらんでいる法律案だと言えるのであります。(拍手)  私が本法案に反対する第一の理由はただいま外債を発行するには決してよい条件ではないという点であります。政府は、今回の外債発行について最も重要な発行条件、すなわち、償還期限、名目利子、利回り等について、臨時国会でも、本国会でも、何一つ明らかにしていないのであります。むしろ、明らかにし得なかったというべきであります。  まず、この外債発行を引き受けるアメリカ市場の現状についてでありますが、本年七月年五分三厘七毛五糸であった世銀の貸出金利が、九月には五分七厘五毛、十月には六分に上昇しており、さらに、つい最近発行されましたニュージーランド、南ア連邦債を見ましても、長期もので名目金利が五分五厘となっておりまして、このような金利の動きからすれば、明年一月ないし二月に外債を発行するとしまして、発行者利回りはおそらく六分三厘五毛から六分三厘五毛の間と予想されるのであります。これでは、産投特別会計の貸出金利が六分五厘であり、所要経費と合せますと、利ざやは逆ざやとなってしまい、何をしているのかわからなくなるのであります。(拍手)  次に、償還のことを考えてみましても、大蔵省が十月二十四日発表した外資導入統計が示す通り、過去八年間に受け入れた外資は五億六千八百万ドル、その間の元利支払いとロイアルティ等、支払った外貨は四億九千四百万ドルとなり、すでに導入元金に匹敵する額を支払いながら、なお恒常的利払いと技術対価を含めて昭和三十六年度には三億ドルをこえるようになるのであります。近き将来財政インフレを内包するアメリカ金融市場の現状からも、わが国支払い外貨負担増大の見地からも、簡単に煙柱外債を発行すべきではないと断ぜざるを得ないのであります。(折手)  私が本法案に反対する第二の理由は、今回の外債発行が産投特別会計の貸付財源の一部に充てるのが目的であるならば、国内でもその円資金の調達は可能であり、外債による必要がないという点であります。財政投融資計画上の資金の調達は、国内においての原資調達とあわせて全貌を明らかにすべきであると存ずるのでありますが、政府は、この点、外債発行と財政投融資計画の原資調達とを一丸として総合的に考えていないのではないかと思います。と申しますのは、この法案が初めて提案されましたのは臨時国会でありましたが、当時でも運用部には四百億円の余裕金があり、産投会計には百二十億円のインベントリーがあったのであります。また、運用部手持ちの国債、金融債を政府が売却すれば、今回の外債三千万ドル、邦貨換算百八億円ぐらいは十分調達できたはずであります。それを政府はやらないで外債にたより、今日、明年度の予算編成に当面するや、財政投融資計画に運用部の余裕金も産投会計のインベントリーも原資に充て、かつ、現在の金融緩和を活用して、一挙に、公募債のワクを、今年度の倍額、すなわち八百億以上に増額しようとしているのであります。わずか一カ月前後のうちに消極策から一挙に正反対の積極策に転換した無定見もさることながら、世界銀行から、日本に対する借款にも限度があると明示されて、今回の電発借款を外債に振りかえたのが実情だとするならば、これまた何がゆえに同銀行の従来の借款一億二千五百万ドルを早々に返還したのか、その無定見も責められなければなりません。(拍手)  私は、外債一般を排除せよというのではありません。今回の場合のように、金利高その他の条件が不利な場合でも、外資に依存せざるを得ないとする岸内閣の経済指導性の貧困と、その場当りの金融政策が横行することの不当を黙視することができないのであります。日本経済には、今すぐにも外貨債発行しなければならない理由は何一つないときに、一部でいわれるからといって、国際金融市場へパイプを通じるというような安直な表現によってなされるこのような外債発行こそ、わが国金融政策として最も排撃すべき政策であり、われわれはこれに反対するのであります。(拍手)  私が本法案に反対する第三の理由は、外債発行の政治的理由からであります。私は、今回のような外債発行こそは、わが国経済を再び対米従属の方向に推し進める経済政策であると信ずるのであります。戦後のわが国の復興は、なるほどアメリカの経済力に依存していたことは事実であります。講和後六年たった今日でも、毎年の外貨予算の中では重要な予定収入として、アメリカよりの特需を期待しているのであります。しかし、これでは、いつまでたっても、わが国の健全なる国際収支並びに貿易の自主性は回復できないのであります。わが国とアメリカとの経済関係については、わが国が利益を受けている点を否定するものではありませんが、その結びつきによって大きな不利益をも受けていることを、お互いに銘記すべきであろうと思います。われわれは、今こそ、このような対米経済関係を真剣に再検討しなければならない時期だと考えるのであります。岸内閣は、外交上、日米安保条約の改定をみずからアメリカに売り込まんとして世の指弾を浴びておりますが、今また、ここに、経済上わが国に少しも利益にならない外債を引き受けてもらおうとしております。かくては、どこに日本の自主性がありましょうか。今こそ、われわれは、日本の政治的、経済的独立を考えなければならないときであります。  以上の観点から、ただいま上程されました法律案は、まさに国民の願っている独立自主の外交、経済自立とは全く正反対の政策というべきであって、われわれの絶対承服し得ざるところであります。(拍手)  日本社会党は同法律案に対しあくまで反対であることをここに表明し、討論を終ります。(拍手
  84. 正木清

    ○副議長(正木清君) これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  まず、日程第九につき採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 正木清

    ○副議長(正木清君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。  次に、日程第十につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  86. 正木清

    ○副議長(正木清君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————   (議院運営委員長提出
  87. 松澤雄藏

    松澤雄藏君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、議院運営委員長提出国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を改正する法律案は、委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
  88. 正木清

    ○副議長(正木清君) 松澤君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 正木清

    ○副議長(正木清君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。議院運営委員会理事荒舩清十郎君。     …………………………………     〔荒舩清十郎君登壇
  90. 荒舩清十郎

    ○荒舩清十郎君 ただいま議題となりました国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を改正する法律案について、提案の理由を簡単に説明いたします。  本案は、政府から提出されました一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案において、一般職の職員に対し十二月に支給する期末手当の額が〇・一月分増額になりましたので、これに対応して国会議員の秘書が受ける期末手当も一般職の職員と同様に増額するとともに、今後は一般職の職員と同じ割合による期末手当を受けられるよう改正するものであります。  何とぞ御賛成あらんことをお願いいたします。(拍手
  91. 正木清

    ○副議長(正木清君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 正木清

    ○副議長(正木清君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。     —————————————   案(内閣提出
  93. 松澤雄藏

    松澤雄藏君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、この際、内閣提出海上運送法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  94. 正木清

    ○副議長(正木清君) 松津君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 正木清

    ○副議長(正木清君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  海上運送法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。運輸委員長塚原俊郎君。     …………………………………     …………………………………     〔塚原俊郎君登壇
  96. 塚原俊郎

    ○塚原俊郎君 ただいま議題となりました海上運送法の一部を改正する法律案につき、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告を申し上げます。  まず、本法案の要旨を簡単に御説明申し上げます。  現在、わが国をめぐる定期航路は過当競争に悩まされ、その軍営基礎がきわめて不安定なものが多く、この航路不安定は海運業者の経営を著しく悪化させているのであります。かかる航路不安定の原因は、現行の海上運送法が海運同盟に対し厳重な規制を加えておりますため、その活動が制限され、同盟の組織がきわめて薄弱であるがためであります。よって、かような実情にかんがみまして、運賃延べ廃し制、契約運賃制及び競争抑圧船の使用並びに加入制限に関する制限禁止規定を撤廃し、または緩和いたしまして、海軍同盟がその本来の安定的機能を正常に発揮できるように改めようとするのが、本改正案の第一の要点であります。  改正の第二の要点は、定期航路において過当競争が生じ、または生ずるおそれのある場合に、事態のすみやかなる解決をはかるために、運輸大臣が所要の勧告をすることができるように改めようとするものであります。  本法案は十二月十日本委員会に付託され、同月十六日政府より提案理由の説明を聴取し、同月十八日、質疑、討論を省略し直ちに採決の結果、本法案は全会一致をもって政府原案通り可決いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  97. 正木清

    ○副議長(正木清君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 正木清

    ○副議長(正木清君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。     —————————————
  99. 正木清

    ○副議長(正木清君) 本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十五分散会