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猪俣委員 なお調査されると申されますから、私はこの点を
一つ調査していただきたい。ただいま申しましたように、偽証罪の取り調べの主任にな
つたのが高等検察庁の検事である。もちろん地検の検事じやありません。ラジオ商殺しの事実
捜査の第一線に立
つた人ではありませんが、ラジオ商殺しの控訴審において原審の主張を支持された立ち会い検事であるから、全く無
関係とは申されない。今のあなたのお話によると、全然
関係のない検事がやつておるということですが、そうじゃない。控訴審において控訴を主任し、第一審を支持し、殺人の事実を主張いたしましたその当の検事が主任として調査されたかという点と、それからもう一人の検事があったそうですが、もう一人の検事というのは知りませんけれ
ども、とにかく偽証じやなかったんだと言って、検事の要望通りの陳述に変えました西野という被疑者を三日間旅館に泊めた事実があるのかないのか。その同じ旅館にその検事が起居をともにしておった事実があるのかないのか、それをお調べ願いたい。私の情報では、その旅館というのは
警察や検察庁がしよつちゆう使う旅館である。表面は逮捕という形でないが、事実は軟禁する
一つの手段として旅館をお使いなさることは、竹内さんも御存じであると思う。これは私は脱法
行為だと思うのですが、よくそれをやつておる。毎日通わせるのは気の毒だし、泊まりたいというから泊めてや
つたんだということを申しますけれ
ども、これは一種の軟禁です。出入りにはちゃんとおまわりさんがついておつて、軟禁しているのですから、脱法
行為をやつているわけです。そして、とにかく三日間それをや
つた。聞くところによれば、えらいごちそうをして待遇が大へんよかったそうです。その費用はだれが払
つたかわかりませんが、その点も調べていただきたい。その検事と一緒に旅館に泊まつてお
つたのかどうか、それを
一つお調べ願いたい。二人の重要な証人のうち一緒に見たと称する男が、
自分が罪にな
つたとしても、間違
つたことを言って一人の女性を罪に陥れたことは万死に値するから、どんな裁きも受けますと言って彼はどこまでも偽証であることを主張しているにかかわらず、その西野というもう一人のふらふらしている男の方は
——この男は初めからふらふらしているんですが、それが一たん偽証であると
人権擁護局の調べにも言うておるし、いわゆる民事訴訟上における損害賠償事件の法廷における陳述でも偽証であったということを認めている。そうしておりながら、いよいよ検事の調べを受けると、偽証じやなかったというふうにまたひっくり返
つた。二人のうち一人は偽証であると言い、一人は最後にはまたないといってもとに返
つた、こういう事案だ。その偽証したと言うている一人を何がゆえに不起訴にしたか。その理由も聞いていただきたい。それを起訴していただけば、それが
有罪になるなり、既定の
犯罪となるなら再審の道が開かれると私は思う。その道も封じてしま
つた。私はここに問題があると思うのです。明らかに本人が自白し、しかもあとの五人、六人の証人がことごとく偽証であることを今日まで主張し続けておる、ただ重要な証人のうちの一人がひっくり返
つただけなんです。客観的に見るならば、偽証ということが相当であると思われる環境なのであります。しかるにかかわらず、殺人事件の偽証をしたというのは相当重かるべきはずであるにもかかわらず、不起訴として起訴しないじまいということにつきましては、私ははなはだ疑問なきを得ない。何がゆえにその男を、事実明白であるにかかわらず、検事の便宜主義に基いて不起訴処分にしたのか。それは権利の乱用じゃないかと私は思う。事が
自分たちの取調べにかかってくる。
利害関係がなければいいが、
利害関係があるのです。そういう検察庁として、検察官として
利害関係のある問題について、はなはだ不透明な態度をと
つたと私は思う。その点についても、法務省としてもう少し調べていただきたい。私も最近徳島へ参りますから、私
自身も調査いたしますが、本省としても、これは大きな
一つの人権問題で、すでに日本弁護士連合会が非常に関心を持って調査をやつておる事件でありますので、私はなお法務省としても万全を期していただきたいと思う。場合によっては、立法
関係に及ぶことでありますので、その点のいきさつをよく調べて、今度の
国会に明らかにできるようにしておいていただきたいと思います。私も唐突な
質問でありますから、十分
報告が来ておりませんなら、これ以上いたし方がないと思います。要望だけにとどめておきます。
いま一点、さっき
警察庁長官にお尋ねいたしましたが、検察庁のお
考えも承わりたい。きよう
大臣もおいでにならぬので、あるいはお答えにくいかも存じませんけれ
ども、事務当局といたされましての覚悟をお尋ねしたいことは、
公職選挙法違反が非常に今度の
選挙で多かったことは、検察当局としてもお認めだと思う。百年前のイギリスと同じように、こういう状態では日本の
民主政治が成り立ちません。あらゆる不正手段をもって
選挙をやつている。これは
自民党ばかりを責めるわけではありません。わが党にもあろうかと思います。
政党全体が自粛自戒しなければならぬ問題であると思うのであります。
一つは
取締り官憲の
取締りについても、私
どもはどうもそこにはなはだ妥当ならざるものがあるのではなかろうかと思われる節がある。先般から
警察庁長官に
質問をしておるのでありますが、それは
公職選挙法の二百二十一条の一項二号の問題です。一号の
買収、
供応、これはその違法性はもう一般の市民に浸透しておりますが、二号の問題です。これは戦後私の調べたところによると、
最高裁判所の
判例は
一つしかない。非常に摘発の数が少いのではないか。そのためにこの二号の問題で
犯罪とせられて裁判にな
つたというものが非常に少いのじゃないか。そのために、一般市民はもちろん、
候補者自身においても特別なる
利益誘導というようなことが重い罪に当ることを知らぬ者があるわけです。もちろん、
国会議員たる者が知らぬということでは私は許せないと思いますけれ
ども、一般市民の中には知らぬ者がある。また、相当
選挙通の人間の中にも、こういう法規について忘れてしまつておる者がある。これは昔は非常にやかましかった。この問題で現に私の郷里の
選挙区から出ておる人で、これにひつかかって失脚して、非常に気の毒な状態に陥
つた人もあるくらいでありまして、昔の
取締りは非常に厳重であったにかかわらず、この第二号の
取締りについてはだんだんこれが
取締りの対象からほとんどはずれてしまう。ことに
岸内閣になってからひどい。
総理大臣を初めとして、そういう特殊な
地方的利益を
誘導する
演説をやつておる。これに対して、われわれの困難なところは、
選挙の最中でありまして、直ちにその
証拠を固めて相手を摘発するということは非常に困難であるし、また
証拠が固まりましても、今
自分と
選挙を争つている相手をやるというのは、実ははなはだできにくい点があるのであります。そういうわけでありますから、やはり超党派的な公正な
取締りの
立場に立っている検察庁と
警察が活動していただかぬと十分でない。それについては、私
どもは隠微の間に行われることまではなかなか容易じゃないと思いますが、ちゃんと届けをして行われております
個人演説会あるいは
街頭演説会、これは白昼堂々とやることでありますから、それに対して調査ができないというはずはない。何らかの
方法において、特別な
利益誘導に対する事実を調査していただいて、そうしてそれが法の
違反になるものはどんどん摘発していただくということにして、こういう法律があるのだぞということの趣旨を市民に徹底しなければいかぬと思う。私はこれはどの党が
政府党になっても同じことだと思うのであります。ことに今二大
政党といいながら、イギリスのような二大
政党の形になっておりませんで、
自民党と社会党の力があまりに違い過ぎているところが日本の
政党政治の最大の欠陥だと私は思う。二大
政党の力のバランスの上に立
つた政治が行われないところが、
国会がスムーズに運営できない理由だと私は思うんですが、その原因はいろいろありましょう。社会党にも反省すべき点がありましようけれ
ども、こういう
公職選挙法の
公明選挙が、金力によってか、特別の
利益誘導によってかこれが汚されておる。その事件は同じです。
選挙というものが
利害というものを対象にして行われていくところに同じ価値があるものだと思うのですが、それが、一方は
警察でも関心を持って
買収とか
供応については相当調査せられているようでありますが、一方の問題についてはまことに野放しの状態になっておると私は思う。これに対しまして、法務省といたしましても、検察庁を督励いたされまして、今回の
参議院選挙を控えてその
意味において私は
方針を打ち出していただきたい。今まで野放しになってお
つたのをどうしてこれを取り締まるか、そうしてどうして
違反の事実を
証拠固めするかについて、特別に私は御考慮願いたいことをさっきから申し上げておるのでありますが、法務省の御所見を承わりたいと思うのであります。