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1959-03-10 第31回国会 衆議院 法務委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月十日(火曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 小島 徹三君    理事 鍛冶 良作君 理事 小林かなえ君    理事 田中伊三次君 理事 福井 盛太君    理事 村瀬 宣親君       綾部健太郎君    川島正次郎君       高橋 禎一君    竹山祐太郎君       中村 梅吉君    三田村武夫君       大貫 大八君    神近 市子君       田中幾三郎君    中村 高一君  出席政府委員         検     事         (民事局長)  平賀 健太君  委員外出席者         検     事         (民事局第三課         長心得)    香川 保一君         大蔵事務官         (主計官)   広瀬 駿二君         専  門  員 小木 貞一君     ————————————— 三月六日  泥酔犯罪者に対する処罰法制定に関する請願(  今村等紹介)(第二〇七五号)  松山地方法務局日吉出張所存置に関する請願(  木原津與志君紹介)(第二〇七六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  法務行政に関する件      ————◇—————
  2. 小島徹三

    小島委員長 これより会議を開きます。  法務行政に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますから、順次これを許します。  大貫大八君。
  3. 大貫大八

    大貫委員 前会から問題になっております登記所統廃合の問題について、まずお尋ねをいたしたいのであります。法務省の当局の御説明によりますと、要求した人員が認められないから、比較的閑散な登記所を廃して、近隣の登記所事務の委任をして、そしてそこから浮かした人員を大都市である東京大阪というような非常に事務量の多いところに吸い上げるというような御説明ですが、なぜそんなこそく手段を考えられるのか。非常に事務量が多くなってきておる都会登記という事務を、そんなことではとてもどうにもならぬと思うのです。たとえば、民事局のお出しになった資料に基いて見ましても、これは昭和二十六年を一〇〇といたしますと、三十三年において事務量が三五一になっておりますね。三倍半という事務量に増加している。それに対して人員の方は、予算定員から見ましてもほとんどふえていない。昭和二十六年を一〇〇として一〇三というのですから、ほとんどふえていません。そうすると、同じ人員昭和二十六年と昨年では、もう三倍半の事務をやっておるということになる。一体こういう事態に対して、なぜもっと根本的な対策を立てられないのでしょうか。少しばかりの人員地方から吸い上げてみたところで、それは何の足しにもならぬじゃないか、こう思うのですが、どうなんですか。
  4. 平賀健太

    平賀政府委員 ただいまの御意見、非常にごもっともであると存ずるのでございますが、ここ数年来、行政簡素化ということが叫ばれておりまして、数次にわたる行政整理も行われたような一般の情勢でございまして、この点は私どもの所管しております登記所におきましても、やはり事は同様であろうと思うのでございます。大幅の人員を増員いたしまして、忙しい都会地登記所に配置をするということになれば、なるほど現在登記所が当面しております事務渋滞ということは救済できると思うのでございます。しかし、必要なだけの人員をどんどん増員するというだけではやはりいけないのでございまして、他に方法があればその方法を講じまして、その人員の増加ということはやはり避けるべきものではないかと考えておる次第でございます。その方法として、前回も大臣から御答弁がございましたように、登記台帳一元化あるいは事務機械化というようなことでまかないますと同時に、現在千八百に分れております法務局出張所が、非常に事務負担が不均衡でございまして、配置されておる職員の数に比例しましては、事件数が非常に少ないというところが少なからずございますので、そういうところの登記所を統合いたしまして、そして人員の節約もはかろうという計画で現在の統廃合を実施いたしておる次第でございます。
  5. 大貫大八

    大貫委員 事務一元化をはかって人員を合理的に配置するということなんですが、一元化の問題は後にお尋ねいたします。登記所については、前からも何回か質疑が行われたのでありますが、これはもう古い歴史を持っておるのですね。単に機械的に見て事務量が非常に少ないからこれをよそへ持っていくというようなことは、そう簡単にはできないことなんです。これは生活の中にしみ込んでいるのです。これは事務量が少ないから、甲の登記所から乙の登記所へ移すというような機械的な考え方でものが処理できるのでしたら、たとえばどうです、警察官だってそうじゃありませんか。全国の各村に駐在所というものがあります。ところがこれは事件数なんかから見ますと、平和な村なんかほとんど二年に一ぺん、三年に一ぺんも大した事件のない村がたくさんあります。だからというて、駐在所をほとんど要らないというわけにはいかぬのであります、それは国民生活にやはり長い聞しみ込んできておりますから。たとえば、事件件数が少なくても、やはり駐在巡査は置かなくちゃならぬ、これと同じじゃないでしょうか。登記所事務にいたしましても、これは長い間、昨今のことではないのでありますから、もう国民生活にしみ込んでいる一つ役所なんです。これを事務量が少ないからということで機械的に廃されると、その地方の住民というものは大へんな迷惑をこうむる。先ほどもちょっとお話がありましたが、何か地理的にどうのこうのということですけれども、これは東京で、自動車に乗って歩いておられる人にはおわかりにはなりますまい。しかしながら、いなかほんとうへんぴなところへ参りますと、登記所へ出ていって登記をするということは、容易なことではないのです。しかも、それは統合されることによって、今までは二日がかりのものが、その登記一つやるにしろ、三日も四日もかかるということにもなるのです。これは実地に現地をごらんになっていただけばよくわかると思うのです。私は、栃木県なんかについても、いろいろ法務局長にも会って、今後の計画というものを聞いてみたのですけれども、これは容易ならぬことになると思うのです。そういう点についてもう少し考え直してみる気はないでしょうか。
  6. 平賀健太

    平賀政府委員 仰せ通り登記所は非常に古い歴史を持っておりまして、大体古いところでは明治二十年代、三十年代に設けられまして、今日に至っておるというのが非常に多いのでございます。その地方地元の人々の生活と非常に密接して参りまして、今日まで至っておるという事情仰せ通りでございまして、法務省の方といたしましても、こういう長年の歴史を持った登記所を廃止するということ は、非常に忍びがたいところであるのでございますけれども、当時と現在を比較いたしますと、交通事情というものが全く一変いたしておりまして、現在統廃合対象として選んでおりますところは、交通事情が非常によくなって、かりに隣の登記所事務を委任するということにいたしましても、地元にさして御不便はかけない、交通の便宜の点で御不便をかけないというところを選んでやっておる次第でございます。それから、御承知の通り町村合併ということも他方で行われておるわけでございまして、長年の歴史を有する町役場村役場というものがなくなるということ、登記所と同じように、あるいはそれ以上に地元にとっては重大な問題であろうと思うのでございますが、これもやはり国の行政合理化という見地から町村合併が進められまして、以前一万をこえる町村が、現在は三千数百という工合に統合されておる、こういう現実とも考え合わせましても、やむを得ざる処置ではなかろうか、地元には従来手近にあった登記所が手近になくなるということで、いかにも御不便があろうかと思うのでございますけれども、それは何とぞごしんぼうをお願いいたしたいというふうに私どもは考える次第でございます。
  7. 大貫大八

    大貫委員 どうも、町村合併の問題も出て参りましたけれども、これもあなたは現実を御存じないからさようなことをおっしゃるのです。なるほど合併にはなりました。形式的には、合併になった町村役場は、廃止せられたところが多いのです。ところが、依然として廃止されていませんよ。支所という名目で大がいやっております。ほとんど名実とも町村役場を廃止したというようなところは、私は全国的にそんなに数はないのじゃないかと思う。私が栃木県の例から見ますと、依然として支所というものは置かざるを得ない。これは、長い間の国民生活というものは、そう一片の形式主義で、交通事情がよくなったからというて、にわかに廃止するなんということはできない状況にあるからだと思うのです。特に登記所なんというのは、これは人間の移動、戸籍については、従来からも昔の町村単位にやっておった。ところが登記事務というのは、これは従来の町村よりも数は少なかったと思うのです。人間に対する戸籍、あるいは不動産に対する登記という関係を見ますと、これはむしろ従来だって町村別くらいにあっていいくらいじゃなかったかと思うのです。しかし、従来は何カ村かに一つという割合だったと思うのです。そういうふうに、従来の登記所というのは、もう最大限国民に忍ばせて、一つ登記所というものができておると思うのです。いかに交通事情がよくなったからといいながら、これは都会農村とはまるで違うのであります。かりにバスが通るようになったとしましても、そのバスは一日に、まあへんぴな農村へ行きますと、一度か二度しか通らぬようなところもある。そういうところが大体登記所でも廃止される対象になっているんじゃないかと私は思うのです。だから、どう考えても、やはりそれを廃止することによって非常に能率が上るとか、その犠牲を忍ばせることによって、たとえば人員東京に振り向けて、東京なり大阪なり登記事務が非常に円滑にいくというなら格別ですが、そんなこそく手段では、今日非常に輻湊しておる東京などの登記事務というものは解消できないと思う。やはり法務省が出した人員——あれも私は最小限度人員じゃないかと思うのです。私のいろいろ調べた資料によりますと、最小限度で、もっとやはり、即日即決といいますか、ほんとうの理想は、申請書類が出されたその日に登記がでぎるということでなければならぬと思うのです。そういう状態にまでいくのには、とても法務省が要求されたあの人員ですら、私はだめだと思うのです。いわんや、地方登記所統廃合なんというこそく手段で、少しばかり吸い上げてみたところで、これはとても法務省の考えるようなわけにはいかぬと思うのです。もっと根本的に、今年通らなかったら、来年また執拗に粘って、予算を取ったらいいのじゃないですか。
  8. 平賀健太

    平賀政府委員 お言葉を返すようではなはだ恐縮でございますが、町村合併が行われました当初、なるほど昔町役場村役場がありましたところには、支所出張所などを置いて、形の上では町村合併以前の状態が存置されておる例が多いようでございますが、その支所出張所も、私どもの承知いたしておりますところでは、漸次廃止していって、本庁の方で事務の全部を取り扱うというような措置をとっている市町村が多くなるように私どもは承知いたしておるのでございます。私ども現実統廃合対象として取り上げておりますところは、大体交通の便利が非常によくなったところで、汽車の便利もあり、あるいは、バスの便利もある。一日数回、あるいは十数回、あるいは数十回も交通の便利がある、所要時間も一時間足らず、あるいは二十分、三十分というところもございますが、一時間、長くても二時間、そういうところを対象として選んでおるのでございまして、ある程度の御不便は、一つこの際国民全体の登記事務の合理的な処理ということのために、御不便をお忍び願いたいというのが私どもの偽わらざる気持でございます。
  9. 大貫大八

    大貫委員 もう一つそういうことを強行されますと、国民自身不便を感ずるばかりでなく、この職員に対する労働強化という大きな労働問題が私はそこに出てくると思うのです。大体登記所の従来からの事務というものは、非常に過重な負担をさしておる。大体人員不足のところへ、事務量というものが非常に——少くとも正確を期さなければならぬ仕事でありますために、非常な時間を要するわけなんです。そこで大体法務省では、従来、登記所職員なんかに対して、どうもあまりかまっていないようなふうに私には思えるのです。たとえばこれは二、三年前、登記簿を大々的に直したことがございますね。つまり従来は受付順登記簿がつづられておった、いわゆる大幅帳式になっておりましたものを、バインダー式で、地番順に差しかえてあるはずです。このときなどの事務状況を見ておりますと、私の調査したところによりますと、家族まで動員しておる。登記所というのは特殊な役所で、いなかに行きますと、役所登記官吏の住宅が一緒になっておりますので、その家族、奥さんまでそれを手伝う。夜九時ごろまで大体毎日手伝って、この事務法務省の命令する通りの期間になし遂げておる。しかもこれに対して超過勤務手当は、栃木県においては大体月千円程度しか出ていない。このような労働強化をやって、毎日毎日朝の八時から夜の九時ごろまで家族まで動員して一月千円程度、しかもほこりにまみれて、あのつづってあるのを差しかえるのですから、大へんな紙のほこりで、これは健康にも相当——胸の悪い者なんか、おそらくあの当時あの作業をやることによって胸を冒された者もあるのじゃないかと思うのですが、そのような過重な労働をさせて、しかも月千円程度超過勤務手当しか出せない、こういうふうに従来でも職員に対して登記所関係では非常な冷遇をしておるというか、扱いが悪かった。そこへ持ってきて今度は統合される。そんなことで今度は事務量がさらにふえていく、こんな労務管理では、登記所職員というものはいたずらに過重な労働だけをしいられて、何の希望も持たぬということでは大へんなことだと思うこういうことについてどう考えますか。
  10. 平賀健太

    平賀政府委員 登記所統廃合は、むしろこの職員仕事の上の負担の不均衡を是正することに役立つのではなかろうかと思うのでございます。地方の非常に離れた登記所になりますと、一日わずか数件登記申請がございまして、それを処理してしまえばあとは何もすることがない、というような状況のところが多いわけでございます。そういうのが統廃合対象にもなってくるわけであります。他方都会地の忙しい登記所におきましては、朝八時半から夕方五時までほとんどたばこを吸うひまもないくらい忙しく立ち働きましても、まだその日出ました事件の全部の処理ができないという非常な不均衡があるわけでございまして、統廃合を実施することによりまして、その職員事務負担というものも均衡が保たれるようになりますし、地方の小さい出張所でありますと、職員もそこに赴任することを必ずしも好まないのでございます。そういう関係もありまして、やはりある程度の規模以上の登記所ということになりますと、人事交流ということもスムーズに行われるようになりますし、事務負担均衡化されるということで、そういう職員待遇というような点からも統合がむしろ望ましいのじゃないかと私どもは考える次第でございます。
  11. 大貫大八

    大貫委員 今の事務量が過重になっておることに対する職員に対しての処遇なんかについてどうお考えになっておりますか。
  12. 平賀健太

    平賀政府委員 ただいまのお話職員負担が非常に過重になったというのは、従来大福帳式でありました登記簿バインダーにして、土地は地番号順、建物は家屋番号順ということにつづりかえをやったわけでございますが、この作業のことであったと思うのでございます。これは八年計画で、昭和三十四年度がちょうど八年目に当りまして、これで完成いたすわけでございます。この事業を始めました当初は、計画が必ずしも万全でありませんでしたために、場所によりましては職員にかなりの重い負担を課したところも事実あったのでございます。その点は、当初の欠陥にかんがみまして、その後におきましては、十分予算措置を講ずることといたしまして、大蔵省の方も十分この点に理解をしていただきまして是正をされまして、当初のようなそういう手違いを起さずに、バインダー化作業も順調に進んでおる次第でございます。今度の登記簿台帳一元化におきまして、バインダー化作業の当初において犯しましたそういう手違いがないようにということで、私どもといたしましても予算措置には十分に意を用い、大蔵省の方でも相当にこれを理解していただいて、今度の一元化作業においてはそういう行き違い、手違いがないように処理したいというふうに考えておる次第でございます。
  13. 大貫大八

    大貫委員 バインダーの差しかえ式にするときのその事務が順調に進んだというのですけれども、これを何日までにやれということで、職員が非常に忠実にこれを守ってよくやったと思うのです。ほんとうにこういうのは下積みですね。世の中にあまり認められもしないで、しかも黙々として家族まで動員して、夜の八時、九時ごろまで忠実にやって法務省の指定した期日までにやり抜いておるのです。それに対してどうなんですか。私の調べた範囲では、栃木あたりでは超過勤務手当としては月千円程度しかもらってないというのですが、ほんとうにそうだったのでしょうか。そうだとすれば、今後一体一元化なんかの事務に対しても、やはりこれでいいと思うのですか。
  14. 平賀健太

    平賀政府委員 仰せ通り法務局職員は非常にまじめでございまして、私どもほんとうに自慢を申し上げてもいいくらいに、非常に職務に対しては忠実でございます。バインダー化作業の過程におきましては、実によくやってくれたと思うのでございます。私どもの方もその点は十分に認め、職員努力に対しては常に感謝をしておる次第でございますが、従来必ずしも法務局職員待遇が他の官庁職員待遇に比較いたしまして、均衡が十分とれているとはいえないような事情もございましたので、私どもの方でもこの点は十分気をつけまして、超勤手当予算額増額などにつきましてはこれまで努力をいたしましたし、大蔵省の方でもこの点はだいぶ認めていただきまして、漸次改善されておるようでございます。その点につきましては、今後もなお私どもとしては十分に努力をいたしまして、法務局職員のまじめな努力に相応するだけの待遇の改善につきましては、さらに一段と努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  15. 大貫大八

    大貫委員 今後努力されるというのはけっこうでありますが、幾らまじめといっても限度がございます。仏の顔も三度という言葉もあるくらいです。法務局職員は非常にまじめで正直だといっても限度がありますから、その辺は今後ほかの役所並みに給与の点なども考えるように、十分努力していただかなければならぬと思うのです。  なお、これはついでですから伺っておきますけれども庁費の問題なども登記所お話にならぬほどひどい。たとえば、庁費については、渡し切り費と称してやっているようですね。この渡し切り費でもって大体登記所燃料電灯、お茶その他ほうき、のり、いろいろな役所で必要な雑品を買う費用として渡しておると思うのです。これは打ち切りのようなことで渡し切りと称して支給しておるのが、栃木あたりでは四月から十月までの問に一登記所で月約四百円にしかならない。一つの例を申し上げます。これは栃木県の宇都宮地方法務局氏家出張所の例なのですが、四月から十月まで毎月四百円、十一月が八百円、十二月が千円、そして一月から三月までが毎月八百円、こういう程度にしか渡していないのですが、一体全国でこういう例になっておるのでしょうか。
  16. 平賀健太

    平賀政府委員 ただいま仰せ渡し切り費の点でございますが、これも法務局発足当時におきましては渡し切り費が必ずしも十分でございませんで、仰せのように小人数の庁に勤務しておりますところの者は非常に困った例があるのでございます。これも漸次改善されて参りまして、現在では渡し切り費を支給しておる庁の全国平均を申し上げますと、年額約九千円でございます。一庁平均、月にいたしますと七百円くらいになる計算でございます。渡し切り費は、現在四人庁以下の出張所に支給しているわけでございまして、これも官庁としては実に異例なことなのでございます。これが五人庁になりますと渡し切り費をやめまして、普通の庁としてまかなっていくことになるわけでございますが、こういう渡し切り費という不合理なものをなくしますためにも、やはり統廃合ということを考えざるを得ないと私ども思うのでございます。
  17. 大貫大八

    大貫委員 統廃合によっては、こんなことは解決できませんよ。氏家出張所の今の例を申し上げますけれども、これは昭和三十二年四月から昭和三十三年三月まで、一年間に渡し切り費が七千円。ところがこの一年間に、燃料費だけでこの出張所は一万四千五十六円使っております。ちょうど倍です。それからそのほかに電灯代が千三百三十九円、茶代が千二百円、ほうき代が三百五十円、ぞうきん代が百二十円、のり代百二十円、その他雑費四百八十円というようになっております。これはもう渡し切り費の大体三倍ぐらいの経費最小限度要るようです。これは氏家の例をとったのですが、いろいろあります。たとえば鹿沼出張所というのは四人であります。これまた同じ年度で、一年間に渡し切り費が九千三百円。ところが燃料だけで一万五千四百九十五円使っております。それに相当してやはり電灯代茶代とかいうようなものがふえておりまして、これも最小限渡し切り費の大体三倍ぐらいの庁費がかかっております。結局こういうお粗末なものしか来ませんので、その職員がやむを得ず自腹を切って役所電灯——これは自分の住居じゃありませんよ、冬季間になりますと、役所がひけない前に電灯役所にもつけなければならぬ。燃料だってそうです。手がかじかむよううなところで事務はとれませんでしょう。こういうふうに、当然役所に必要な経費を、非常に薄給な事務官自腹を切らせるというような行き方は、まことにまずいと思うのですけれども、よくこれで汚職事件が起きないと不思議に思います。あなたの言い分によりますと、大へんまじめでけっこうだと言うておりますけれども、こういう扱い法務省はどう考えておるのですか。漸次改善されたなんておっしゃいますけれども一つも改善されていないじゃないですか。
  18. 平賀健太

    平賀政府委員 ただいま仰せのようなことは過去においてはあったかと思うのでございまして、そういう不合理を是正いたしますために、渡し切り費増額につきましては、法務省としても十分努力をいたしましたし、大蔵省の方でも実情を認めていただきまして、渡し切り費も年々増額になってきておりまして、ただいま仰せのような事実は現在もあるかどうか、私はおそらくそういう事情はもうないことと確信いたしておりますけれども、なおそういう実情は私どもの方でも調査いたしてみたいと存じます。
  19. 大貫大八

    大貫委員 これは古い資料じゃないですよ。私現に法務省に行って調べてきたのです。昨年のことなんです。これは昭和三十三年三月までの統計なんです。この年度の、三十四年三月までのはまだ締め切っていませんから、資料が入っていません。これは昨年度統計なんです。これはたくさんあります。私ただ一つの例を、氏家とか鹿沼とか言うたにすぎませんけれども、ほとんど——ほとんどというか、少くとも宇都宮地方法務局管内出張所登記所というのは、こういう状況にある。こういうことを早く改善するように、何らかの対策を立てていただかないと困ると思うのです。どうでしょうか。その点については、渡し切り費というような行き方を廃されて、実際要るものだけは支給する。少くとも燃料費ぐらいは十分なだけ支給してやらなければ、最末端で仕事をしている者はかわいそうだと思うのですが、どうですか、民事局長はそれくらいの考えを持たれないのですか。
  20. 平賀健太

    平賀政府委員 この渡し切り費の問題は、ずっと戦前の司法省当時からずっとこういうしきたりになっておりまして、いろいろ不合理な点があると思うのでございます。この渡し切り費増額なり、あるいはこの渡し切り費という制度の根本的な改革につきましては、今後もなお検討いたしたいと思っております。さしあたりの問題といたしましては、四人庁以下のあまりに小人数の庁におきましては、庁費ということでは必ずしも需要をまかない得ないというふうにも考え得られますが、現在なお四人未満の庁では渡し切り費処理をいたしておりますけれども、この問題はなお十分検討をいたし、改善すべきものであると私どもは実は考えている次第でございます。  なお、統廃合の結果といたしまして、たとえば従来三人庁であったところが、隣の登記所事務を委任を受けまして、人員が増員になりまして五人庁になるというようなことになりますと、渡し切り費の支給庁から庁費の支給庁に切りかえていくということで、この統廃合の結果によりましても、渡し切り費という制度は廃止するということが可能になっている次第でございます。要するに問題は、こういう一人とか二人とかいうような実に規模の小さい役所を置いておくことは非常に不経済であるというところに問題があるのでございまして、いろいろな点でこれが不経済になってくるわけであります。一人ないし二人を置いておりますが、一人、二人の負担量に対応するだけの事務量がない。それから、こういう小さい役所一つ出張所として置いておきますと、その施設の維持管理にも相当経費がかかるわけでございます。それはやはりすべて国民の税金となって全国民負担になることはもちろんでございますが、そういう不合理をなくしよう、出張所を今まで利用された地元の方々には多少の御不便をかけることになるわけでありますけれども、国全体の登記事務処理という見地から一つごしんぼうをお願いしたい、こういうところからこの統廃合が発しているわけであります。統廃合の問題は、ひいてはただいま仰せ渡し切り費の問題なんかにも結びついているということを一つごしんしゃく、おくみ取りいただきまして、長年の歴史を持っております登記所をやめるということになりましては、地元に非常に大きな衝撃を与えるということは、私どもも重々お察しいたすのでありまして、今まで従来長くあった登記所をやめるということはまことに忍びないことでございますけれども、国の財政というような大きな見地から、一つこの登記所統廃合につきましては、御協力をお願いしたいと思う次第でございます。
  21. 大貫大八

    大貫委員 これはまた統廃合の問題に戻って参りましたけれども、今の民事局長の御説明というものは、どうもはなはだけしからぬ御説明だと思うのです。不経済だという言葉が出たのですけれども、一体行政というのは、繁華な人間の多い都市だけにあるものではありません。たとえば、北海道の奥の根室半島の奥の方だって、たとい十人の人間しかいなくても、それに対応する行政というものはしなくちゃならぬのです。巡査も置かなければなるまいし、戸籍事務だってやらなければなるまい。いわんや登記事務でも同じことです。どんな山奥だって、そんな山奥で事務量が少いからといったって、やはり不動産があれば事務をとらなくちゃならない。それが私は行政だと思うのです。だから一カ所だけを引き抜いてみますと、事務量が少い、不経済だということが出てくるかもしれませんけれども行政というものはそういうものじゃないと思うのです。むしろ、不経済というか、人間の少いところにこそ行政の恩典を潤おすということが政治だと思う。登記所だってそうですよ。事務量が少いからといって、山奥の方をやたらに廃止するという考え方が、統廃合の考え方の中にどうも流れておるように思うのです。そういう点は一つ考え直していただかなければならぬと思うのです。行政というのは、経済、不経済の問題じゃありませんよ。  そこでまた今の渡し切り費の問題にからんでくるのですけれども、これは統廃合と別問題です。たとえば、末端に行きますと、登記機関というものは、その地方における国を代表する機関になるわけなんです。交際も大へんなんです。やはり土地の有力者というようなものと同列に、たとえば、こまかい話ですけれども、何かの式があるということになれば、その式典には呼ばれる、運動会があるといっては呼ばれて来賓席に坐らせられる、こういうことになっているのです。それでいてしかもまた渡し切り費ということになると、交際費というものは一文も来ていない。裁判所が検証するということになると、村へ行きますと何も適当な証人を調べる場所がないから、勢い登記所を借りる。そういうことになると、予算がないからと言うて、お茶を出さぬわけにもいきますまい。結局、本庁などでは思いも及ばないような、末端の登記所にはえらい費用がかかるのです。そういうことを一つ考えていただかないと困る。統廃合になれば何とかそれも解決するなんという安易な考え方でなく、もっと根本的な考え方をすることはできないのでしょうか。多少不経済になるかもしれませんけれども、少くとも国の役所なんですから、そんな請負みたいなことじゃなしに、要るものは要るのですから、それを少くとも実費程度は流してやるという予算措置だってできるじゃありませんか。どうでしょう。
  22. 平賀健太

    平賀政府委員 渡し切り費の問題は、本来ならば、役所でありますので、光熱、水道というような経費は、庁費でまかなうのが当然普通の方法であるわけでありますが、そういう庁費というのは、職員の数によって一人当り幾らというふうに予算上見られる関係で、あまりに小人数でありますと、かえってきわめてわずかな額になりまして、その役所の所要の経費をまかなうことができないわけでございます。そういう関係で、渡し切り費という不合理なものを認めざるを得ない結果になるのでありますが、ただいま仰せのように、たとい一人、二人の小さな登記所といえども、やはり独立の国の役所としてあるということになりますと、いろいろな経費がかかるわけであります。その経費は、国の役所出張所長ということでありますので、交際費なんかも必然的に要るということになるわけでございますが、それはちょっと予算上見ることが非常に困難なのでございまして、そういう一人、二人の役所がやはり国の役所として体面を保っていくということが、実際問題として非常に困難になってくるのでございます。そういう困難をもなくしたいというのが、実は統廃合のねらいなのでございます。ただ単に忙しい登記所における人員の不足ということが一番大きい理由ではございますけれども、そういう今申し上げましたような渡し切り費に関連する問題の解消ということもやはり統廃合一つのねらいであるわけでございます。それからとにかく不動産がある以上は、どんな山の中でも登記所があってしかるべきだと仰せられるのは、これはまことに私どもその通りだと思います。本来から言いますと、一つの町、一つの村にはそれぞれ一つずつの登記所があってしかるべきであります。それが理想であるとは思うのでございますけれども、それはやはり程度の問題でございまして、現在私ども統廃合対象にしております例を申し上げますと、たとえば甲登記所事務を乙登記所に委任するという場合に、甲登記所と乙登記所との間には鉄道の便もある、バスの便利もある、汽車に乗れば三十分で行ける、バスに乗れば十五分で行ける、あるいは多くても一時間、一時間半というようなところを対象に選んでおるわけでございまして、なるほど甲登記所に出ておいでになるまでには山道を相当時間をかけておりておいでになるという場合が、これは多々あると思いますが、しかし甲登記所の所在地まで出ておいでになれば、あと十分なり二十分なり、汽車なりバスに乗っていただけば乙登記所まで行ける、そういうところを統廃合対象に選んでおるわけであります。理想から申しますと、一市町村ににはそれぞれ一つずつの登記所があることが理想ではありますけれども、そこはやはり程度の問題ではなかろうか、ある程度の御不便一つごしんぼうを願いたいと申し上げるよりほかないように思うのでございます。
  23. 大貫大八

    大貫委員 これは何べんも同じようなことを繰り返すようになるのですけれども、どうですか。その計画をかりに一年なり二年なり延期して、もう少し根本的に考え直してその対策を立てたらどうか。登記事務に対する統廃合もどうしてもしなければならぬとするならば、もっと合理的にやる、どうも思いつきのような気がするのです。私は栃木県しか知りませんけれども、私栃木県の実情なんかを聞いてみますと、どうも法務省の方からこれだけの方からこれだけの割当がある、その割当に従って何か統廃合するというふうに受け取れるのですが、そういう机上プランでなく、もっと合理的に地方実情を調査されて考えられたらどうですか。そのためには、やはりここ一、二年延期して、その間に十二分に調査をしてもらったらいいじゃないかと思うのですが、どうでしょう。
  24. 平賀健太

    平賀政府委員 現在実施しております統廃合は、実は数年前から懸案にしておりまして、検討をして参りまして、実は昨年の四月から着手をいたしておるのでございますが、法務省といたしましては、どこの県、どこの地方法務局の管内は何カ所統廃合しなくちゃならぬというふうに、そういう割当などをきめてやっておるのでは決してございません。やはり現地の交通事情とか事件数とか、あらゆる事情を考慮いたしまして、実情に即して、ケース・バイ・ケースに実施いたしておる次第でございます。一律にワクをはめて、その基準にはまるところはぜひやれとか、あるいは全国で何庁を廃止する、何法務局の管内の割当は何カ所というふうなやり方は決していたしていないわけでございます。  それから、現地の地方法務局におきましても、十分統廃合が考慮されます出張所につきましては、地元ともよく折衝をし、地元実情もよく調査した上で、これならば差しつかえないというところで、統廃合を実施しておるわけでございます。
  25. 大貫大八

    大貫委員 しかし、割当はしてないとしましても、この前の説明から見ますと、やはり地方人員を吸い上げて、忙しい大都市の方に定員を回すことによって事務均衡をはかる、こういうふうに伺っておりますが、そうすれば、結局無定見で地方にまかしておるわけじゃないでしょう。やはりどこの地方法務局管内では、何人の人員をどうしてくれというような方針があるのじゃないですか。それを一つ聞かしてもらいたい。
  26. 平賀健太

    平賀政府委員 人員の再配置は、仰せ通り計画をいたしておるわけでございますが、これは人員の再配置計画をまず立てて、だから何地方法務局管内は何人に減らせ、登記所を何カ所廃止せよというふうには考えておりませんので、やはり統合の可能な庁というものを前提にいたしましてその人員をはじき出して、そして人員の配置計画を立てておるわけでございます。従いまして、統合庁を何庁というふうに、各法務局に割り当てるというようなことはいたしておりません。
  27. 大貫大八

    大貫委員 しかし、その人員の再配置ということは、たとえば栃木県に例をとれば、宇都宮地方法務局人員を何名東京によこせというふうに、それはちゃんと配置がきまっているのでしょう。現在の定員を減らすのでしょう。もしそうであれば、地方法務局はやはりそれだけの人間を浮かせなくちゃなりませんから、結局間接的に、それによって幾つの出張所を廃止して人員を浮かせということになるのじゃないですか。そうすると、栃木県の場合をお伺いしましょう。その計画によりますと、宇都宮地方法務局からは何名吸い上げることになっておるのですか。
  28. 平賀健太

    平賀政府委員 ただいま資料をここに持って参っておりませんので、具体的に何人という数字を申し上げることができませんのは遺憾でございますが、四月からある程度人員の再配置の計画を立てております。これも現在現地の調査に基きまして、統廃合計画を立てておるわけでございますが、その実施可能なところだけを前提にいたしておるわけでございまして、実施適当でないところまで統合を強制する、そうして、しいて人員を浮かせる、そうしなければどうにもならぬというような、そういう再配置の計画は立てるべきじゃございませんし、私ども現にそういうことはやっておりません。それから、かりに現地で人員を浮かすために無理な統合の計画を立てておりますれば、法務省としてはそういうことは承認すべきでない、無理があれば、法務省としてはそれはやめさせるべきでありますし、従来もそういうことで処理してきております。現地で統廃合計画を立てましたのを、これはしばらく見合せろというようなことでやめさせたり、あるいは延期をさせたという例も少からず実はあるのでございます。
  29. 大貫大八

    大貫委員 その人員の再配置について資料をお出し願えないでしょうか、これは相当重大な参考になると思うのです。しかも統廃合について、地方法務局計画は無理があればやめさせる方針だと言われるのですけれども、実際はどうもそう無理をやらざるを得ない状況法務省の方から指導されておるように思えるのですが、どうなんでしょうか。やはり人員の再配置で、どうしても無理をせざるを得ない。現状においても地方法務局状況では、これは人が足りないのです。地方地方なりに人が足りない、非常に苦労をしておる。そこへ持ってきて、何名東京へ出せというようなことでありますと、非常な無理をやる。統廃合もその県内において処理をするというならば、これは問題はない。ところが、地方法務局の定員を減らして、そして持ってくるということになれば、その打撃というのは、これは登記所統廃合と同時に、地方法務局が減らされただけ非常に困ってくるいろいろな事情があるのです。そういう点でどうでしょうか、その資料をお出し願えないでしょうか、出してもらいたいと思うのですけれども……。
  30. 平賀健太

    平賀政府委員 御希望でございましたら、次会に準備して出してもけっこうでございますが、要はやはり私どもこれは程度の問題であろうと思うのでございます。非常に忙しいところと、かなり人員に余裕があるというところがあれば、お互いにこれは融通し合うのが当然であります。それは今人員に余裕があってそう忙しくないところでありましても、人手をさかれると困るというのは当然でございまして、そこはやはり程度の問題、お互いに融通し合うということで、登記所でもやはりそうすべきが当然であろうと思うのでございます。これはその地方だけの立場からいいますと、一人でも人員が吸い上げられるということは非常に困ると思い、訴えるということはあり得ることでありますけれども、やはりそこば全体の立場から見まして、ある程度不便、不利ということは、それぞれ忍ぶべきが当然であろうと私ども思うのでございます。
  31. 大貫大八

    大貫委員 そこで、一元化の問題でお尋ねいたしますけれども、いわゆる登記一元化のために、土地台帳、建物台帳を廃して登記簿一本にする、こういうので、すでに今年度予算をとっておるようであります。しかし、不動産登記法を改正せずして、改正前にそのようなことをやるのは違法じゃありませんでしょうか。どういう法律の根拠でそういう事務を、今年から予算を取って登記簿に移記するというのでしょうか、これはどうですか、不動産登記法から見れば違法じゃありませんか。
  32. 平賀健太

    平賀政府委員 初年度におきましては、まだ一元化が全部実現するわけではございませんで、現在の土地台帳、家屋台帳、これは法務省の方に移管されます前、大蔵省の所管の当時におきまして、数次にわたって台帳の様式というものが変っておりますし、様式はまちまちで、用紙の規格もまちまちでございます。それから当時は、課税台帳という建前で、必ずしも記載がそう精密でないという欠陥もございますので、初年度はまず現在の台帳を書きかえる、新しい規格の用紙に書きかえるという作業だけでございます。しかも全国の総台帳の五%だけについてまずこの書きかえを実施するということでございます。これは要するに、台帳の様式の改正というだけの問題でございますので、その点は土地台帳法、家屋台帳法の施行規則の改正によってまかなっておるわけでございます。さしあたっては、まだ不動産登記法の改正は必要ないのでございます。
  33. 大貫大八

    大貫委員 新しい規格の用紙に書きかえるというのですが、法令の根拠は何になるのですか、それをちょっと。
  34. 平賀健太

    平賀政府委員 様式は、土地台帳法、家屋台帳法それぞれの施行規則に様式が定まっておりますので、これは法務省令でございますが、その法務省令の改正によって実施いたすわけでございます。
  35. 大貫大八

    大貫委員 しかし、書きかえるのは新たになるのじゃないですか。新たにする登記簿、それに書きかえることなんでしょう。別に土地台帳法に基く用紙から新しい様式による登記簿に書きかえる、移しかえるというのが、今度のまず第一段の移記作業じゃないですか。
  36. 平賀健太

    平賀政府委員 台帳の用紙の書きかえでございまして、書きかえというのは依然としてまだ台帳でやるわけでございます。この書きかえが終りました暁におきまして、これを登記簿と一緒にするわけでございますが、一緒になれば登記簿の一部になりますけれども、そこで不動産登記法改正が必要になってくるわけでございます。
  37. 大貫大八

    大貫委員 そうすると、現在のところは書きかえる新しい用紙というのは、土地台帳、家屋台帳の一部だ、こうおっしゃるのですか。
  38. 平賀健太

    平賀政府委員 土地台帳、家屋台帳を書きかえて、新しい土地台帳、家屋台帳にするわけであります。
  39. 大貫大八

    大貫委員 しかしすでに印刷された新しいものを私見ておるのですが、土地台帳とも家屋台帳とも書いていないのです。たとえば、青いのは何ですか、土地ですね。これは登記簿です。表題部とちゃんとなっている。それから赤いのは家屋、建物ですね。これも表題部となっている。家屋台帳とも土地台帳とも書いてない。登記簿です。
  40. 平賀健太

    平賀政府委員 それは将来登記簿の一部になります関係で、それを予定して表題部という印刷をいたしておりますけれども、法律上はあくまでそれは土地台帳、家屋台帳でございます。
  41. 大貫大八

    大貫委員 そうすると、土地台帳法なり家屋台帳法の施行規則は、もう改正になっているのですか。
  42. 平賀健太

    平賀政府委員 改正いたしまして、四月一日から施行いたす予定でございます。
  43. 大貫大八

    大貫委員 不動産登記法によりますと、十六条に登記簿の様式というものがきちんと定められておるわけなんです。登記簿類似のものを土地台帳なり家屋台帳なりの一部だとすることは少しこれは不動産登記法に違反しているように思うのですが、どうですか。土地台帳とも家屋台帳とも表示がないんですよ。こういうものに書きかえて、これが土地台帳だ、家屋台帳だというのは、ちょっとおかしいじゃないですか。
  44. 平賀健太

    平賀政府委員 その点は一向差しつかえないと考えます。かりに表題部という文字が印刷されてありましても、土地台帳、家屋台帳であることを妨げないと思っております。
  45. 大貫大八

    大貫委員 この書きかえの作業について、職員なんかはどういうふうに手当をして、どういうふうにこれをやっていこうという計画なんでしょうか。まずそれをお伺いいたします。
  46. 平賀健太

    平賀政府委員 それは、実施をする作業をどういうふうに実施するかということでございますか。
  47. 大貫大八

    大貫委員 そうです。
  48. 平賀健太

    平賀政府委員 大体予算措置といたしましては、現在の職員の超過勤務、それから他の登記所からの事務応援、外部から人を雇いますための賃金、こういう三つの方法を考えておる次第でございます。
  49. 大貫大八

    大貫委員 外部から雇うというと、臨時職員ですか。
  50. 平賀健太

    平賀政府委員 臨時職員と申しますか、臨時に人を雇いまして、賃金を支弁しましてやらせるわけであります。職員になるわけではございませんが、俗にいわゆる臨時雇でございます。
  51. 大貫大八

    大貫委員 それは初年度においてどのくらいやる計画なんですか、そして臨時職員というのはどのくらい採用する計画であるか。
  52. 平賀健太

    平賀政府委員 これは全国の土地台帳、家屋台帳の五%について実施いたしますので、実施庁を全国幾カ所か選びまして、これには平常事務の多いところもありますし、少いところもございます。っその庁の職員だけで十分にやっていけるところもありますし、若干超過勤務もしなければならぬところもありますし、それからまた非常に忙しいところは、超過勤務ではあまり期待ができない。だから大部分賃金でまかなわなければならぬというところもあるわけでございますが、目下初年度における実施庁を選びまして、予算の執行計画を現在立てておる段階でございます。具体的にその賃金による臨時雇何人というこまかい数字は、目下のところまだ出ておりません。
  53. 大貫大八

    大貫委員 一作業について一人の職員と、一時間に何筆くらいできるかというような計画もちゃんと立ててあるでしょうか、それを一つ伺いたい。
  54. 平賀健太

    平賀政府委員 現在入っております予算の単価は、一時間について、土地三十筆、家屋二十戸という単価になっておりますが、これは私どもの感じでは、単価のはじき方が少し多過ぎるのではないかという感じがいたしております。初年度約五千五百万円の予算が入っているわけでございますが、これはあくまでまず五%について実施をしてみる。実施をしてみた上で、さらにこの実績に照して三十五年度以降の予算を検討しようということでございますので、一応この土地については三十筆、建物については二十戸というのを基準といたしまして、実施をしてみようと思うのでございます。それが無理であるというようなことでございますれば、三十五年度からはそれは是正いたしたいと考えておる次第でございます。
  55. 大貫大八

    大貫委員 いろいろこういう経験者について調査をいたしますと、せいぜい一時間の作業能率というのは、最も正確を期して大体十五筆見当だと言われておりますが、どうでしょうか。
  56. 平賀健太

    平賀政府委員 そういう計算ももちろん可能でございまして、私ども計画の段階ではそういう数字をはじいたことはもちろんあるわけでございます。しかし、これは一年間ずっと恒常的にやる仕事でございまして、数回実験をしてみたという成績だけでは、必ずしもそれが基準にはならぬのでございまして、ただいま申しました土地三十筆、建物二十戸というのは、一応の基準なのでございます。これを基準にして一応実施いたしまして、そこに無理があるということであれば、三十五年度以降においては、これを是正するという現在の建前でございます。
  57. 大貫大八

    大貫委員 非常にこまかい計算になるのですが、かりに一時間十五筆——非常に正確を期して十五筆という基準でこの事務をやったと仮定しますと、国家公務員の年間の勤務時間というものが二千二百八十八時間であります。そうすると、一年間に一人の事務官がかかりっきりで大体三万四千筆くらいしかできないことになります。もっともあなた方の計算だと一時間三十筆という非常な労働強化を考えておるようですから、これよりは能率が上るという計算になるかもしれませんが、いずれにいたしましても、いなかの一登記所でも大体十万筆ぐらい、五万筆から十万筆が宇都宮地方法務局などの出張所の持っておる筆数です。そういたしますと、一人の職員がそのことだけにかかりつきりになっても、ある登記所では三年もかかる、あるいは二年もかかる。他の一切の事務を排して、専念してそういうことになると思う。これは容易ならざることになります。今の御答弁によりますと、臨時職員のこども考えておるというのですけれども、これは国民の権利義務に関する重要な登記事務の基本になるその写しか身に、ふなれな臨時職員などをかりにお使いになった場合に、正確を期するためには何回も何回も読み合せも必要でしょうし、とても机上プランでそんな一時間に三十筆だの二十筆だのというようなことでは、正確を期することはとても不可能だと思います。しかし、かりにあなた方の計算の通りにしても、大体現状の登記所職員状況からすれば、一登記所がそれに専念して大体一年間はかかります。大へん事務量だと思うそういうことに対して何か対策を持っているのですか。
  58. 平賀健太

    平賀政府委員 ただいまも申し上げましたように、初年度は私ども計画としましては、全国の五分の一、二〇%をやる予定でおったのでありますが、何分っ膨大な量の仕事でございますので、まず試験的に五%をやってみよう一応その基準は一時間土地三十筆、建物二十戸ということであるから、これは非常に無理があるかもしれぬ。試験的にという意味が相当あるわけでございまして、実際やってみまして、普通に働いてやってみましてあるいは五%の目標を達せないことがあり得るわけであります。それならば、それでいいわけでありまして、是が非でも、いかなる無理を冒しても五%は必ずやらなければならぬという性質のものではないのでございます。そういうわけで、まず五%ということを目標にしまして仕事をやってみまして、それが無理であれば三十五年度以降において、この三十四年度の実績を基礎にして、さらに合理的な予算を立てていこうというのが現在の建前でございます。とにかく五%を目標にしてやってみようというのが、三十四年度一元化に関します予算の基本的な考え方でございます。一応これでやってみるということで、四月一日から実施をする計画でございます。
  59. 大貫大八

    大貫委員 同じようなことを何べん言っても同じことですから、私の質問はこれで終りますけれども、ずっとお尋ねしてみまして、登記所統廃合といい、またこの一元化の問題といい、どうも法務省の机上プランの感が深いのです。実際の末端の登記事務実情を十分に調査されてないと私は思う。ですから一つ登記所の特に統廃合の問題についてはそんなに急ぐ必要もないのですから、ぜひこれは法務省でももう一度考え直していただきたい。十分調査をして、そして、どうしてもこれは統廃合すべきものはそういう結論を得てからやるという、どうもあなた方の御答弁を伺っていると、机上プランの感が特に深いので、そういう要望をいたしまして質問を終ります。
  60. 小島徹三

    小島委員長 村瀬宣親君。
  61. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 私はきょうは大蔵大臣に出炭てほしかったのでありますが、大蔵省からの説明員がおいででございますから、どうぞ一つ局長、大臣に私の質問の要旨を厳格にお伝えいただきまして、善処されるよう、質問の当初に要望いたしておきます。  ただいま大貫委員からるる質問並びに御意見をまじえた質問があったのでありますが、それを大蔵省の係の方はお聞きになっておったのでありますが、事務量が千五百万件くらいから五千万件にふえておるのであります。昭和二十六年を一〇〇とすれば、三十三年は三五一にふえておる、こういう厳然たる事実がありまして、そして法務省では七百八十名を要求されたのであります。ところが、大蔵省の方ではどういうお考えか、それはお認めにならなかった。一体この三倍半にも事業量がふえてこれは物理的にも処理できないということはわかり切った話であります。今まで手でやった、それを何を機械を発明して、機械でやり出したとかなんとかそこに画期的な革命的なことがあるならば、それは人員をふやさなくてもやれるかもわかりませんが、同じ手で書いておったものが千五百万件であった。また手で書いて五千万件にふえた。それを同じ人員でやり得るとお考えでありましょうか。そういうはっきりした理由があっての予算要求、人員の要求に対しまして、大蔵省はどういうお考えであったのでありますか、ここで伺いたいと思います。
  62. 広瀬駿二

    ○広瀬説明員 ただいまおっしゃいました予算要求に対してどういう考えをもって査定したかということでございますが、二十六年から三・五倍事務量がふえておる、これは確かにお説の通りでございますけれども、漸次事務能率も向上いたしまして、たとえば三十二年度には二・七倍になっていますが、現在人員処理されております。三十三年度も三・五倍ですが、非常に無理をなさっておるとは思いますが、そういうことで処理されている人員が非常に苦しいということはよくわかっておりますが、先ほど来民事局長からお話しになりましたような定員抑制というもう一つの要請もありまして、御無理かと思いましたが、この際は人員増加はあとに送っていただいたというような次第でございます。また、一方、先ほどのお尋ねになった一元化の問題でございまりすが、一元化ということは非常に事務簡素化合理化に役立つものでありまして、七年先になるかもしれませんが、実現された暁には、かなりの人員の節約も考えられるわけであります。この際に増員することは、先にいって減員する事態にもなりかねない、そういうことを考えまして、この際の増員は御遠慮願った、こういうわけでございます。
  63. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 私はそれはあまり正当な理由にはならないと思うのであります。私どもも、もちろん安い政府を作ろうということはわが自由民主党のモットーであり、大きな政策なんであります。行政機構改革等によって、少しでも人員を節約して、安い経費で国政を運用していこうということは、日夜政務調査会その他で研究を怠っておりません。しかし、先ほどからの大貫委員の質問をあなたはそこでお聞きになっておるが、これは単に行政機構を改革したり、ただその場を押えておって、人員をふやさないで、それが国のためになるという性質のものとは違うのであります。なるほど民事局長お話にもありました通り、二、三件処理をして、あとは火ばちに当っておるというような登記所がもしあるといたしますと、それは非常に不経済なことはわかり切っておりますが、しかし、たとえば、いささか性質を異にするかもしれませんが、今日あるいは電気導入の補助に対する法案等も出ておるのであります。電気などでも、いなかの方あるいは離島の方等は、ほっておけば一番経費は安いのであります。しかしおいおい文化の均霑は順々にずっと波を広げていくように山間僻地、離島にまで進めていくというのが、これが文化の国をなしておる務めでございまして、離島振興法のごときもそういう観点に立っておる。日本が非常に経済財政的に行き詰まりを来しつつあるというのならば、それは地方不便になっても、こういう比較的むだらしく感じることは遠慮してもらおう、こう大蔵省がお考えになる場合もあるかもしれませんが、国力はおいおい伸展をしていっておる。そしてずっとへんぴな方までも政治の恩典、文化の恩典に浴さそうとする政治を今やっておるときに、二人庁、三人庁等の登記所を廃止するということは、これは大蔵省予算をお出しにならないからやむを得ずそういう方向に進むのであります。先ほどから民事局長がいろいろ御答弁になっておりますが、それは心ならずも、予算がないためにいろいろ苦しい御答弁をなさっておるということは、あなたも横にいておわかりになると思います。決してこうやって減した方が法務省として都合がよいという考えではないのであります。これについては、またあとで私は民事局長にもお尋ねをするつもりでありますが、ことに大蔵省の方々でもこれは十分御存じと思いますが、土地台帳法の第十条によりますと、「土地の異動があった場合においては、地番、地目及び地積は土地所有者の申告により、申告がないとき又は申告を不相当と認めるときは、登記所の調査により、登記所がこれを定める。」こうあるのでありまして、家屋台帳法第六条にもそういうふうにあのであります。つまり全国の土地、建物の不合理な点は職権調査をやれということにちゃんと法文ができておる。そういたしますと、かりに登記の方の仕事が手薄い場合には、そういう法律で定められた任務がほかにあるのでありまして、今は人員が足らないからこういう職権調査にまでは及んでいない、こう前回も当委員会法務省の答弁があったのでありますが、これは当然やらねばならない、やれということが法律に書いてあるのであります。法律をそのまま励行ができていない。これは人員が足らぬからなんであります。従って、かりに一元化によって人員が要らなくなる少くて済むかもしれない、こうお考えでございますが、日本の国力が伸張する以上は、法律に定められたことができるような人員を用意しておくのが当然なのであります。どのようにお考えでございますか。来年度は大いにこういう必要な人員は、予算を査定しないで——国の法務行政登記所行政、土地の台帳と実際が符合するということは、これは一つの国の力の現われにもなっておるのでありまして、山林がただ三畝と台帳にはあるが、行ってみると二町もあるというようなことは決して名誉ではございません。これは国全体としての秩序というものが正しくないということでございますから、そういう点でも国の力を伸ばしていくという点を考えますならば、私はこの際人員をふやすということは決してむだではない。行政機構改革に逆行することでもなければ、国の損失を来たすゆえんでもないと考えるのございますが、大蔵省はどうお考えになりますか。
  64. 広瀬駿二

    ○広瀬説明員 ただいまのお話、私どももよくわかりました。私の方も、大蔵省といたしまして、ただ予算がかかるから人員を押えろ、それだけでやっておるつもりはもちろんございませんので、要するに経費の効率化、行政の能率化、またもう一つの理想もありまして、行政の民主化というようなものもございましょう。そういったものの調和点をどこに持っていくか、そういった点で法務省とも十分話し合いまして、現在のような予算になったわけですが、今後の問題につきましては、来年度増員するか、増員するように努力するようにというお話でございましたが、増員いたしますというお約束をできる立場にございませんけれども、現在の法務省あるいは法務局出張所行政実情を十分研究いたしまして人員予算編成をいたし、またできるだけ御趣旨に沿うように努力したい、そう考えております。
  65. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 法務省の要求は決して無理ではない。三倍半以上に事務量がふえておるものを、そのまま同じ人間でやるというようなことは、一升の——メートル法で一升などはなくなったのかもわかりませんが、一升のますに二升五合も、どんなに入れようとしても入るわけがないのであります。その点は数理に明るい大蔵省が議論の余地なしに、率先法務省の要求は当然入れるべきであって、それをお入れにならないところにもろもろのこういう不合理、またせっかく政府が「一兆よい国」のよい予算を作っておりながら、地方の純真無垢な、何らの悪心のない人々に対しまして、一体政府は、どうしてわれわれいなかの無力なものを粗末にするのかという政治に対する基本的な疑問さえ抱かすようなことを派生的に生み出すのでございます。その点は大蔵省にお帰りになって、局長、大臣にも十分お伝えおきを願い、来年度は必ず七百八十名なり八百名なり増員するというふうに今から一つ御用意を願いたい。  そこで、時間がだいぶたっておりますので、民事局長にお尋ねをいたすのでございますが、先ほど来の御答弁並びに前二回にわたる御答弁によりまして、民事局長の苦衷は十分私も推察できるのでございます。しかしながら、七百八十名いなければこの事務量はさばき切れないという一応の数字が出ておるのでございまするが、これに対しまして前回の委員会で、池川説明員の御答弁によりますと、配置転換を三百名やりたい。七百八十名要るのだけれども、そのうち配置転換を三百名やりたい。その三百名のうち、三十四年度で百名くらい配置転換をやりたい。増員をするところは東京が三十三名、大阪が二十三名、横浜が十四名、福岡が十一名、合計して八十一名になりまして、まだ百名には達しませんが、そういう計画だところで東京事務が、三日も五日も登記がおくれておるが、これを何とか正常に復するにはどうしても二百名要るのだ。二百名要るところをせいぜい三十三名くらい配置転換で増員をしたい、こういう御答弁であったのであります。しかし私は、たとえば東京に例をとりまするならば、二百名いなければ処理はできないという計算になるのに、無理をして方々廃止したり、いろいろ他府県に迷惑をかけて三十三名抜いてきてみましても、二百名要るところに三十二名では、私は、ないよりはよいという程度で、根本的な解決にはならないと思うのでございます。またこの三十三名というのも、先ほどの御答弁から類推をいたしますると、三十三という数字が先に出たのではなくて、周囲の都府県からいろいろ無理のない整理案を出してもらうと、たまたまそれを合計をしてみれば三十三くらいは東京へ抜いてもよいという結論が出た。先に三十三が出て、それを周囲に割り当てたのではないという御説明でございましたが、いずれにいたしましても、二百名要るところを、非常な無理をして、政治の基本、政治のあり方まで地方の人々に不安を抱かすようなことまでして三十三名を東京でふやしてみても、何らの解決にもならぬと思うのでございます。でございますから、こういう計画は、もう少し時間をかけて、もっと根本的な解決のめどがっくまで延期をなさって、そうして臨時雇では非常に無責任になって困るでございましょうが、そこは文書その他書類の点検を厳重にするというような方法で間に合せていくという方法をお考えになるべきではないかという感じがいたすのでございます。  で、お尋ねをいたすのでございまするが、私が今申しました東京大阪、横浜、福岡では八十一名でございますが、ほかにもどこか増員するところがあるかわかりませんが、百名ということでございました。今わかっておるのが八十一名だが、これを一歩譲って百名といたしましても、各県に割り当てますと二人ないし三人でございます。そういたしますと、二人庁を一カ所、一人庁を一カ所くらい、両方で二カ所くらい県で統廃合をいたしますならば、この計画は満たされると思うのでございますが、一県当り一カ所か二カ所というふうに了承をしてよろしゅうございましょうか。
  66. 平賀健太

    平賀政府委員 ただいまの数字の問題でございますが、たとえば、東京でございますと、最小限もう二百名くらいの人員が必要である。しかし、さしあたって三十四年度において約三十名ほど増員をしたい。それから大阪、福岡、その他なお若干名ずつ増員いたしまして、合計で百四名を現在忙しい本局管内に増員をしたい。その百四名を、相当忙しいところに比べてそれほど忙しくないところから三人とか四人とか五人とかいう工合に人員を取り出してきまして、埋めるわけでございます。統廃合は一人庁、二人庁というのが大体対象になっておりますが、たとえば、甲登記所を乙登記所に統合いたします場合に、甲登記所事件がそっくり乙登記所にいくわけでございまして、場合によっては、乙登記所に余裕があって、従来の人員を全然ふやさなくてもいい場合もございますけれども、甲登記所人員を乙登記所の方に増加いたしまして、乙登記所の定員をふやさなければならぬ場合もあるわけでございまして、統廃合いたしますと、必ずしも廃止された庁の職員が全部浮いてくるとは限らぬわけでございます。そういう関係で、一庁か二庁か統合したらそれで済むのじゃないふというお尋ねでございますけれども、必ずしもそうもいかない実情でございます。その場所によりましては、五ヵ庁も六ヵ庁も、あるいは一庁二庁で済むところもありますが、要はやはり登記所の規模、事件数交通事情というようなものを勘案いたしまして、なるたけ公平にやっていきたい。同じような程度状況のところの登記所はやはり同じように処理する。甲法務局の管内の登記所は統合になったが、それと全く同じような事情にある乙法務局管内の登記所は統合されないというようなことになりましては、これはかえって不公平でございますので、やはり一律に一地方法務局管内は一ヵ庁か二ヵ庁統合すればよいというふうにも参らぬと思うのでございます。
  67. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 私は、できることならば、一つ年全然統廃合をしないで一つもっと研究し、様子を見てもらいたい、こういう心で一ぱいなんです。しかし、絶対にやむを得ぬということであるならば、今申した通り百名まで要らぬ、八十一名でいいのじゃないかと思うのですが、かりに百名としても、各県で二人か三人配置がえをして、転換を都会地へ持ってくればよいことになります。今の御答弁では、同様な条件で整理しないと不公平になるというおり話がありましたが、かりに不公平があっても、私はなるべく統廃合を極力少くするということが今日最も実情に即した点ではないか、かように考えるものでございます。  それから、これはたびたび民事局長にもまた法務大臣にもお尋ねをいたしたのでございますけれども、まだあまり明確な御答弁が得られてないと思うのでございますが、それはこういう一つの再配分でございますから、統廃合というお言葉を使ってはおられますが、私はるる御説明になりましたようなことであるならば、それは再配分が合理的である、かように考えるのであります。たとえば二人庁と十五人庁があります。これは二人庁を廃止して十七人庁一つにするという点がよいこともございましょう、しかしながら、その地理やまた町村の位置等から考えますと、十五人庁から三人持ってきて二人庁のところを五人庁にして、十五人庁のところは十二人でやろう、あるいはまた人間よりも仕事をたくさん持たしてやりまするならば、十五人から三人引いて十二人だけれども、それを十一人でやってみようということもやれるわけでございます。でありまするから、二人庁と十五人庁の場合に二人庁を全部廃止せぬでもいいじゃないか、半分なり三分の一は二人庁の方へ人間をふやして五人庁としてやる。そうすると渡し切り費——渡し切り費はなくなるそうでありますが、五人庁と十二人庁にする、あるいは五人庁と一人節約して十一人庁とする、そういうような配慮も、地図をずっとよく広げて見ておるならば、そういうところもできるはずだと思うのであります。全部はそうはいかぬかもしれませんが、そういうところも何分の一かはできてしかるべきだ、それがほんとうの再配分であり、また事業量を合理化するという点であると思うのでございますが、そういう点に対してはどのようにお考えでございましょうか。また、そういうようなところも、今まで四十カ所ほど統廃合をなすったそうでありますが、少いところへ多いところから人間仕事を持ってきて、そうして大きなところをある程度均分した例があるのでございましょうか、また将来はそういう点もお考えになっておるのでございましょうか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  68. 平賀健太

    平賀政府委員 事情によりましては、ただいま村瀬委員の仰せのような処置をすることが合理的な場合もあるわけでございます。特に最近の町村合併の結果、あるいは交通事情関係で、登記所の管轄区域を変更いたしまして、たとえば従来乙登記所の管轄区域であった一部を甲登記所の方に移しまして、そうして甲登記所を存置するのみならず、乙登記所の定員の一部を甲登記所に持ってくるということも可能でございます。実情によりまして、ことに地元の要望があるというような場合には、そういうものは十分考慮いたしまして処置をいたしております。必ずしも現在その統廃合でつぶすことばかりを考えているわけでは決してございません。他方ではそういうこともやっております。
  69. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 何カ所か例があるのでございましょうか。
  70. 平賀健太

    平賀政府委員 乙登記所の管轄区域の一部を伊登記所に移しまして、これは人員まで移したという例は非常に少いと思いますが、管轄区域を変えたという例は、これは常時やっております。これは相当例がございます。それから場合によりましては、登記所を現在でも新設しておる例もございます。やはり地元の御希望、交通事情なんか十分に考慮いたしまして、これは登記所がなくちゃいけないというので登記所を新設する例もございます。
  71. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 ただいまの民事局長の御答弁で、小さい二人庁、三人庁を必ずしも廃止するだけではない。そちらへ人員をふやして均分化することもあり得る、現にやっておるという御答弁でございますから、私は非常に満足いたします。それなら地元は大騒ぎしないのです。非常に大喜びなんです。ただ何もかもなくして、事務委任とはいいながら、庁舎もなくなれば、人間も一人もいなくなるというところに、地元で非常に不安、不便を感じるのでございますから、もしやむを得ず統廃合をなさる場合は、できる限りそういう方向に持っていっていただきたいと要望いたしておきます。  それから、実際現にやっておられるでありましょうし、またこれからも私は一年延期をしていただきたいと思うのでございまするが、あるいは統廃合を、私たちの、当委員会の意向がこれほど強いのでございますから、御計画を何ぼかは次々に縮小して下さるとは思いまするが、縮小されてもなお何カ所かはやらなければならぬという事態の場合には、ここに愛知国務大臣がこのような御答弁をなさっております。第一には、「いわゆる甲号事件が二千件前後までは取扱い件数の少い出張所というふうに考えておるわけであります。」これが第一の理由、「第二といたしましては、出張所を統合しても、管轄区域内の住民の方々が登記台帳申請手続をいたしまするのに、さしたる不便をお与えしないようにということを第二の方針に考えておるわけであります。」大臣はこの二つを条件にしていらっしゃるのであります。それから「その範囲内でいろいろとケース・バイ・ケースに処置をしていく。無理はいけない。あくまでも地元の方々の御協力と納得ということを中心にしていかなければならない。」かように考えられておる。これは愛知大臣の言葉をそのまま読んでおるのでございます。「それから実際問題として、すでに決定しましたたとえば四十庁舎のごときものは、大体において町役場村役場等の一隅を借りて執務しておったというようなところが多いものでございます」、こう御答弁をなさっておられます。さらに「事前の十分の話し合いということは、先ほど来強調いたしておりますようなわけで」こういうふうにも御答弁になっておるのであります。庁舎も役場を借りておるようなところ、それから二千件以内、交通もあまり合併しても不便でない、この三つの条件を大臣は言っていらっしゃるのでございまするから、どうかやむを得ず統廃合なさるときには、一つこの大臣のおっしゃる条件に完全に合致するものの中から選んでいただきたい。りっぱな庁舎を、町村費をもって予算を計上して建てて、そうして長い間ほとんどただ同様の、使用料をとっておるか、あるいは無料にしておるか、炭代くらいは町村から寄付したりしてやっておりましたところは、これは全然大臣のおっしゃるのには該当しないのでございまするから、そういう点は一つ計画からのけていただきたいのでございます。また合併しても、統廃合をしても、交通不便でないところと大臣が言われておるのでございまするし、また、ただいまの大貫委員の質問に対しまして、民事局長もそういう御答弁でございまして、バスや汽車が十分か二十分、長くても一時間半くらいのところで一つやりたい。その甲が廃止されて事務委任される場合に、甲のところへ出てくるのも相当時間を要するだろうが、それから二十分や三十分乗ってもいいだろうという御答弁でありましたが、これは非常に考えていただきたいのであります。と申しますのは、あるいは三、四十分汽車に乗るとして、その乗るのも、都会のようにひんぱんに出ていないのであります。一生懸命汗水流して山奥から出てきたが、汽車が出てしまって、また二時間待たねばならぬということが多いのであります。そうして、汽車に乗って、かりに乗っておるのは一時間でございましても、おりてすぐその駅の前に登記所が建っておるのじゃないのであります。場所によりますと、ずいぶんへんぴなところに建っておる。そこで、そこまでよちよち——いなかですぐにタクシーが拾えない場合もあるし、タクシーがあっても、経済上乗れない場合もある。そうして行ってみますると、汽車に乗るのは五十分であったけれども、それがために一日泊らねば登記ができないという、こういう事態もひんぱんに起るのでございまして、この点は一つ愛知大臣のおっしゃった一向不便を感じない程度のものに限る、こういうふうな条件のそろうたところから統廃合をお選びいただきたい。また大臣は「極力地元町村民の了解を得るということを一つの条件にいたしております」とも言われておるのでございまするから、それら四つの条件にかなったところの中からのみ統廃合をやむを得ずする、その条件がそろったところでも、なるべくやっていただきたくないのですが、やらねばならぬ場合は、その四つの条件がそろったところからやるというふうに一つここで御答弁を聞いておきたいのでございます。
  72. 平賀健太

    平賀政府委員 私どもといたしましても、前回大臣が基準をここで御説明になりましたが、ああいう基準に従いまして、できる限りあれを忠実に実行いたしたいと思っております。それから、ただいま仰せの趣旨にも十分沿い得ますように最善を尽したいと思いますが、全国出張所にはいろいろさまざまなものがございますし、土地の事情も千差万別でございまして、必ずしも基準通りにはぴしゃっといかぬ場合も出てくることもあるかとは存じますけれども、できる限り、統廃合地元に若干のやはり御迷惑をかけることでございますので、みだりにこれを広げない、十分抑制しながら、地元の意思を十分考慮しつつやっていきたい、決して無理なことはしないという方針でやっていきたいと存じております。
  73. 小島徹三

    小島委員長 鍛冶良作君。
  74. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 ついでだから聞いておきますが、この間本会議で、株式会社の再評価積立金の資本組入に関する法律の一部を改正する法律案、これが通過したのですが、委員長の報告を聞いておりまして、これはどうもこの法律で商法を変更しておるなと思って、調べてもらうように言ったんですが、私は商法の変更だと思うので、それを今お聞きしたいと思います。  今までの法律を見ますると、第二条に「株式会社が再評価積立金を資本に組み入れるには、商法第三百四十三条に定める決議によらなければならない。」と書いてある。これは、再評価を資本に組み入れますると、定款に書いてある資本金の額が変ってくるのですから、定款の変更になる。商法では、定款の変更は特別決議によるとなっておるのですから、それでこの第二条があったのだと思います。私に言わせれば、なくそも当然のことだと思うが、あったのだと思います。しかるに今度は、この改正案によりまして、「商法第三百四十三条に定める決議を定款に株主総会が決する旨の定のある場合を除き、取締役会の決議」に改めるというのですから、特別決議でやらぬでもいいし、総会も要らない、取締役会の決議でいいのだ、こういうことです。そうしてみると、この法律によって、商法の定款変更の場合は特別決議を得るというものを変更したことになると思うが、これは局長どうお考えでしょうか。
  75. 平賀健太

    平賀政府委員 今度の改正法律ではは、たしか、定款で株主総会が決する旨の定めがある場合を除き、取締役会の決議によればいいというふうに今度の法律案はなっていたと私記憶いたしておりますが、なお再評価積立金というのは、性質上は資本準備金の性質を持っておると思うのでございまして、従来準備金の資本組み入れの場合は、一般の場合は取締役会の決議でできる建前でございます、商法の建前は。これもそれに合せたのであると思うのでございます。なお、もし定款変更を要する場合だったら、これは当然別個の問題として、その見地からこれは株主総会の決議が要ることになると思うのでございますが、ちょっと私、今法律案を持ってきておりませんので……。
  76. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私の言うのは、今まで五千万円の資本と書いてあるでしょう、それが再評価で三千万円組み入れをしますと、資本金は八千万円になったわけです。その点で定款変更だと思う。だと思うでなくて、定款変更ですよ。そうしてみると、特別決議でなくてはいかぬものだと思うが、それを特別決議でなくてもいいということは、言いかえれば、定款変更は特別決議によらぬでもいいということをこの法律で定めたことになると思うのですが……。
  77. 平賀健太

    平賀政府委員 これは、その資本組み入れの結果、会社が発行する株式の総数が増加することになります場合は、当然その見地から定款変更の手続が私必要だと思います。会社が発行する株式の総数の範囲内で資本組み入れをする場合には、取締役会の決議だけで資本の組み入れができるわけでございまして、その結果総株数の増加を来たす場合、これはその見地から、定款変更の問題として総会の決議が必要になってくると存じますが……。
  78. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それを取締役会の決議でやれることにしたのじゃないですか。私がこう言うのは、よくこういう特別の法律をこしらえて原則の法律を曲げることがあるので、どうもおもしろくないので言うんですよ。  それから、もしあなた方がそう言われるなら、これはこれでいいかというのであなた方の方へ相談でもしてやられたのならまだ何だけれども、相談でもありましたか。
  79. 平賀健太

    平賀政府委員 ただいま仰せの法律案につきましては、法務省も御協議を受けまして、私どもの方でも検討いたしまして、これでよろしいということで大蔵省には御返事申したわけであります。
  80. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 今私の言うのは当っていませんか。資本金が五千万だったものが八千万になるのですよ。そうすると定款に書いてあった五千万円という字が八千万円に変りますよ。これは定款変更じゃないですか。
  81. 平賀健太

    平賀政府委員 ただいまの場合は、定款変更になると考えます。ですから、定款変更という意味で会社が発行する株式の総数を変更することになりますので、その面で株主総会の特別決議を必要とすると考えております。ただ資本組み入れそれ自体は別個の問題として、これは取締役会の決議でできるという法律の趣旨だと私は考えております。
  82. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると、定款に書いてある資本金の額が変るような場合は、この法律があっても特別決議が必要なのですね。
  83. 平賀健太

    平賀政府委員 その通りでございます。
  84. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると、定款に書いてある資本金が変らないで再評価組み入れということはあり得ますかどうですか。
  85. 平賀健太

    平賀政府委員 この授権資本の幅が広い場合で、その幅の範囲内でありますと、株主総会の決議なしで、この法律にあります通り取締役会の決議だけで積立金の資本組み入れができるわけであります。
  86. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そういう特別の場合だけが、定款変更でないから特別決議は要らないが、そのほかはこの規定があってもすべて特別決議が要るものだと解釈してよろしゅうございますか。
  87. 平賀健太

    平賀政府委員 その通りでございまして、授権資本の幅の範囲内をこえます場合には、定款の変更に当然なりますので、この場合には特別決議が必要になってくるわけであります。なお、この法律によりますと、授権資本のワクの中でありましても、場合によりましては、定款で株主総会の決議を要するという定款の規定になっておることもありますので、その場合はもちろん株主総会の決議が必要になってくるわけでございます。定款に特別の定めがあらかじめしてある場合はそうなります。
  88. 小島徹三

    小島委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十五分散会