○
高橋(禎)
委員 この
新聞の
報道によると、最近まで毎日いわゆる
人権侵害と思えるような
行為が繰り返されておる。そして
被害者はそれをあなたの方あるいは
警察、
検察庁の方に
事情を述べて救いを求めるということすら、今もってなかなか周囲の空気、すなわち後難をおそれてそれができないといったような
事態があるように、私
どもの耳に入ってくる面もあるのですが、せっかく
捜査に
おいでになって、前のことは別として、それが
刑事事件になる
問題——これは
警察なり
検察方面に
お尋ねをするわけですが、あなた方の担当の
人権侵害の問題として取り上げるようなものが具体的にあるかないか。そこのところを私は伺いたいのです。というのは、
人権を
侵害されている
人たち、いわゆる
被害者側の
申告を待っておっただけでは、
解決のつかない問題が
苫小牧にはあると思えてならない。犯罪ならばその
通り。そうでない
人権侵害問題については、今の制度からいうと、一般の世論によって
解決をするか、そうでなければ
人権擁護の衝に当っておられるあなたの方で
解決をされる以外に道はないわけです。私はいわゆる
被害者側の
立場に立って、これをこのまま放置しておくことはとうてい許されない、しかもその
人たちの間では、とても公けの
機関にたよることができないじゃないかと、
信頼感が非常に薄らぎつつあるような
状態さえ耳にするので、この際
一つあなた方の力をあげてこの問題を究明し、そして
苫小牧に平和が来るようにやってやらなければならないということを痛感するものですから、それで
お尋ねしているわけです。ただ、そういう話があるというだけでは、どうにも
解決の
方法がないのでありまして、人手が足りなければ応援に行くとか、あるいはまた
警察とか
検察庁とか、ことに適当なのは
地元の
人権擁護委員とか、そういう
人たちと密接な連絡をとって、じっとすわって
申告を待っておるというのではなくして、これは特殊なものであるから、積極的にこちらから
調査に乗り出して、
解決をつけようという
意図が必要だと思うのです。
調査に
おいでになったのはそういうつもりだと思うのですが、それにしては
人権侵害事件というものはあまりなさそうな感じがするが、実際はそうじゃないのじゃないかというところに私
ども非常に心配するところがあるわけでありまして、これまで
調査された、そして
事件になって取り扱われた問題については、
書面によってはっきりと
報告をしていただきたいと思います。今お聞きしておった
程度では、とても私
ども安心できないわけです。あなた方の
調査の線に上ってこないものが、まだまだたくさんあるように思えてならない。これは一々、ここでこういうことがある、ああいうことがあるということを読み上げることは省略します。そして名前なんか出されたのでは困るというような人も私はあると思うのです。だから力を入れて
解決をしてやるというだけの、すなわち
解決の
希望が持てなければ、ただ訴えただけではどうにもならぬ、われわれに
迫害がますます加わってくるのだというふうに思っている人が相当いるのじゃないかと思います。今の御
報告をいただいたのでは、どうも私
ども安心できない、こう思うのです。ですから、今までのことは
書面によって御
報告をしていただきたい。
それから、今後どうするかという問題についてであります。私は
苫小牧の問題は、私
どものこれから大いに力を入れて
解決すべき問題だと思うのです。というのは、
先ほども申し上げました昨年の十二月のあの
中労委の
あっせんによってまずまず
解決した、一応こう見るのです。世間もそう見がちなんです。ところが、実際はそうでなくして、表面はそういうふうになったけれ
ども、
工場内においては第一
組合の人と第二
組合の人との間に、特に第一
組合員による第二
組合員に対する
迫害というものは毎日々々続けられておる。しかもそれがますます激化していくのじゃないか、今日においてこれを
解決しなければ、大へんだというような
傾向にある。その
傾向が非常におそろしいわけです。これらのことを
参考にしていただいて、本腰を入れていただきたい。ただ消極的に待っておるというのでなくて、積極的に
一つ乗り出していただきたい。こういうわけであります。その点についてどうですか。
局長の
意見を伺いたいのは、今申し上げた
苫小牧の今の
実情等から見て、あなた方の所管の
人権擁護という点について、ありきたりのすわって
申告を待っておるということでは用をなさないわけですから、積極的に
解決しようという
意図のもとに行動されるかどうか、そこの
決意をお伺いしたいのです。私は、この点は
法務大臣にもよく申し上げ、かつ所信をお伺いいたしたいと思うのでありますが、何と申しましても
事務の
中心責任者はあなたですから、
予算が少いの、
人員がどうのというようなことでなくして、
ほんとうに
被害者はかわいそうなんですよ。そしてそれはいろいろの
職場にも
影響のあることでありますし、また将来の大きい
意味においては、
日本の
労働秩序ということを確立するかどうかという問題についても私は非常な
関連があると思う。一カ所を徹底的に問題を
解決して、そこに
ほんとうの
意味の平和が打ち立てられるということになれば、私は将来各所にこういう問題でも起った場合に、非常にいい
影響を及ぼすし、またそういうことも漸次なくなってくると思う。ところが、手をつけたけれ
ども、さっぱり効果が現われない、あいまいだ、
ほんとうの
通り一ぺんな、悪くいえば
責任逃れ程度のことでお茶を濁しておるということでは、この問題は
解決つかないのです。私は、これをうまくやられたら、非常な功績だと思うのです。
局長は就任されてからそう長くもならないのですが、この
あたりで
法務省人権擁護局の
仕事のやりどころでもあるし、
一つやられて、
ほんとうに
人権擁護局が必要であり、その
仕事のたっといゆえんを
国民にはっきりさせてもらいたい、こう思うのですが、それらについての
ほんとうの
決意をお伺いいたしたい。