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1959-02-17 第31回国会 衆議院 法務委員会 第6号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和三十四年二月十七日(火曜日)     午前十一時十八分開議  出席委員    委員長 小島 徹三君    理事 鍛冶 良作君 理事 小林かなえ君    理事 田中伊三次君 理事 村瀬 宣親君    理事 井伊 誠一君       綾部健太郎君    一萬田尚登君       小枝 一雄君    高橋 禎一君       辻  政信君    馬場 元治君       三田村武夫君    中村 高一君       志賀 義雄君  出席国務大臣         法 務 大 臣 愛知 揆一君  出席政府委員         検     事         (民事局長)  平賀 健太君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   廣瀬 駿二君         専  門  員 小木 貞一君     ————————————— 二月十六日  委員小澤佐重喜辞任につき、その補欠として  高橋禎一君が議長指名委員に選任された。 同月十七日  委員犬養健辞任につき、その補欠として小枝  一雄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員小枝一雄辞任につき、その補欠として犬  養健君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月十三日  下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出第六五号)(  参議院送付) 同月十六日  占領車による被害補償に関する請願羽田武嗣  郎君紹介)(第一四二八号)  盛岡地方法務局伊保内出張所庁舎等改築に関す  る請願山本猛夫紹介)(第一四七二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  法務行政に関する件      ————◇—————
  2. 小島委員長(小島徹三)

    小島委員長 これより会議を開きます。  まず、法務行政に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。村瀬宣親君。
  3. 村瀬委員(村瀬宣親)

    村瀬委員 前回法務委員会におきまして、私は、法務局出張所、いわゆる登記所整理統合についてお尋ねをいたしたのでございますが、その際、民事局長から一通りの御説明は聞いたのであります。たとえば、全国に二千八十六の支局、出張所等があって、職員は七千人であるが、非常に事務アンバランスを生じたので、地方の一人庁、二人庁、場合によれば三人庁等のところを事務委任をして、忙しいところへ回す方針というようなことも承わりました。すでに四十カ所くらいの整理済みのところもあるということも承わったのであります。また、千五百万件くらいの事務であったものが五千万件にもふえているので、一千人くらいの増員をたびたび要望しておるけれども大蔵省との間に話し合いがつかないというようなお話も承わったのであります。私は、本日まず法務大臣から、どのような基本的なお考えを持ってどの程度整理統合をなさろうとするのか、また、その法的根拠と申しますか、廃止にしないで事務委任をせねばならない基本的な問題等についてお尋ねをいたします。
  4. 愛知国務大臣(愛知揆一)

    愛知国務大臣 いわゆる登記所廃止統合の問題につきましては、私も非常に頭を悩ましておるわけでございまして、前回委員会政府委員から詳しく御説明申し上げたかと思いますが、大体ただいま御指摘のような事情でございます。特に、一つ大都市における処理案件が非常な勢いで急増いたしております。従って、一人当りの要処理件数も、ほとんど処理し切れないようなぎりぎりの極限まで参っております。これは私も折あるごとに現場にも行ってみまして、ますますその感を深くして、これではまことに国民に対して申しわけないと考えざるを得ないわけであります。  それから他方におきまして、これもただいま御指摘がございましたが、いわゆる一人庁、二人庁、特に二人庁の役所が非常な数でございまして、これはこの前も御説明申し上げたかと存じますが、千二百十四に及ぶようなところが、職員の数わずかに二人というのが現状でございます。ところがその二人庁というようなところでは、扱っておりまする一人当り件数も、大都市に比較いたしまして非常に少い。一方町村合併あるいは最近における交通事情などが著しく改善されておりますので、私の常識的な気持から申しますと、廃止ということはその通りでございますが、登記所全体についての事務といいますか、人員その他の再配合ということでこれを解決して参りたいというふうに考えるわけでございます。この小出張所の場合におきましても、最近の処理案件について相当複雑な事案もあるようでございます。これらは、件数は少いが、同時に、一人または二人の職員では扱い切れぬような問題もある。一日にたとえば四回ないし五回バスその他の交通の便がありますようなところでは、むしろこれを大きなところに、一人あるいは二人の職員配置がえをいたしまして、そこで処理する方が、かえって現在の状態に即応するのじゃなかろうかと考えておるわけでございます。  それから約九百人余りの増員を三十四年度予算編成の際に要求いたしましたことは事実でございますが、これは大蔵省というか、財政当局のいろいろの考え方大所高所からの配慮によって、何とか今私の申しましたような再配分あるいは全体としての調整によって処理できるのではなかろうかということで、結局ただいま申しましたような方法処理せざるを得ないというふうに考えるわけでございます。  それから、こういったような措置をいたします場合の根拠法令お尋ねでございまするが、これは御承知のように、一つ不動産登記法でございます。それからいま一つは非訟事件手続法のそれぞれの条文によりまして、この根拠があると考えておるわけであります。
  5. 村瀬委員(村瀬宣親)

    村瀬委員 事務の再配分を基本的な考えとして処理をしたいという大臣の御答弁でございまして、私もそれは非常に筋が通ると思うのでございます。ところが、実際におやりになっておるのは、再配分の御方針によっていらっしゃるのかどうか。再配分と申しますと、たとえば十人おるところと二人おるところとがあって、場合によれば、二人おるところをやめて、十人おるところにくっつけるというのも再配分でございましょうが、二人では処理がいろいろ困難——というよりも不経済だから、二人のところを四人にして、十人のところを八人にするというふうな場合も、私は事務の再配分だと思うのでございます。聞くところによりますと、どうも全部廃止をしてしまう、一人庁、二人庁で交通が便利になったとかというところをただ廃止するだけに終るのではないかというようなことも聞くのでございます。今まで整備したところが四十カ所ほど県下にあるそうでございますが、そういう再配分のうちに、二と十であったのを四と八というふうにしたところもあるのでございますか、またそういう御方針もとっておられるのでございますか。
  6. 愛知国務大臣(愛知揆一)

    愛知国務大臣 再配分という原則から考えますと、ただいまおあげになりましたようなふうにいたさなければならぬと思うのでありますけれども、実情は先ほど御説明申し上げましたような次第でございますから、これは言葉が言い過ぎになるかもしれませんが、ただいまやっておりますところにおきましては、小出張所廃止と、率直に申し上げまして言わざるを得ないのでございます。ただいまのところ、大中のところへ廃止されたところの職員その他を配置がえをいたしまして、そうして大都市におけるところの登記所事務負担量軽減ということと、一人庁、二人庁ではなかなか処理し切れぬようなところも、あわせて経済的に負担調整をいたしたい、そのことが、廃止されたところをめぐる住民方々にも、私どもからいえば、さしたる御不便なく——これも言い過ぎになるかもしれませんが、多少交通不便等について御迷惑をかける点があるかと思いますけれども、かえって迅速な処理が期し得る、こういうふうに考えてやっておるわけでございます。
  7. 村瀬委員(村瀬宣親)

    村瀬委員 大都市事務が非常にふえてきて、前回委員会におきます政府側の御答弁によりますと、二日も五日も渋滞するような場合もある、それを軽減するのだということを聞きましたが、それもそれで大いに必要があると思われるのであります。今、大臣の御答弁の、大都市事務軽減地方の小さい、一人庁二人庁の事務負担経済的な配分をなさるということはそれで一応よく筋が通ると思うのでございます。しかし、登記所の歴史はずいぶん古いのでございまして、明治年間から非常に地方住民に親しまれて参っておりますし、市町村におきましても、あるいは庁舎を建てて、寄付といいますか、無料で使用していただいておるとか、地方唯一の官庁として非常に協力をして参っておるのでございます。それと申しますのも、昔は一生に一度、あるいは家督相続のときの登記で終ったこともありましょうが、おいおいと登記事務をずっと山間の人々もひんぱんに行わねばならない、経済成長と申しますか、そういう方向に進んで参っておりまするので、東京で机の上で簡単にこれとこれを統合しても、ここを廃止しても、バスもふえた、汽車もふえたというお考えがあるかもしれませんが、実際地方市町村住民にとりますと、実に大問題でして、いろいろ大きな関心を持って参っておるのであります。この点はもう少しはっきりとした、この程度のものを廃止統合するのだ、二千八十六カ所もあるものを一体何%くらいは統合するのだ、あるいは個条をあげて、これとこれとこういう個条に合致するものを廃止するのだという、地方住民納得のいく一つ基本線がお示し願えぬものかどうか、そういう基本線をお示し願いましても、なかなか実地についてお調べいただきませんと、このごろは山林の登記が非常に盛んになっておりまするし、ことに未墾地買収等の盛んなところでは、非常に多くの登記が行われまするし、また岸内閣方針によりまして、道路の新設拡張ということが盛んになりまするし、田畑は寸断されまして、その登記も非常にたくさん数がふえて参るのであります。いなかではやはり農業委員会あるいは農地になりますると、知事認可というような手続も要しまするので、登記だけ延び延びになっておるということも非常に多いのでありまして、今突如として登記所廃止になるということになりますると、それら知事認可関係延び延びになっておりまする地方民は、非常な衝撃を今覚えておるわけですが、どういう基本線で、どの程度のものを整理統合されんとするのでございますか。基本的な構想を承わりたいのであります。
  8. 愛知国務大臣(愛知揆一)

    愛知国務大臣 まず地元との関係でございますが、これは御案内のように、現在の出張所におきましても、実は独立の庁舎を持っているというところはほとんどございませんで、町村役場その他を貸していただいたり、あるいはその他の方法によりまして、従来も地元の非常な御協力をいただいておるわけであります。従って、本件の処理につきましても、特に現地調査や御納得を得るために、できるだけのことはやっておるつもりでございまして、まず各法務局長中心になり、そうして地元市町村あるいは議会あるいはまた農業団体その他にも十分当局の意図をお話し申して、そして御協力を得ることに努めておる次第であります。  そこで、そういったような場合に、出張所統廃合について、一般的な基準としてこういうふうに私どもとしてはやりたいと考えて、現地方々にもお話し合いを進めておりまする基準といたしましては、大体次のようなことをあげておるわけであります。一つは、先ほど申しましたように、取扱い件数が比較的に少いこと、これをもう少し具体的に申しますると、いわゆる甲号事  件が二千件前後までは、取扱い件数の少い出張所というふうに考えておるわけであります。それから、その次に第二といたしまして、出張所を統合しても、管轄区域内の住民方々登記台帳申請手続をいたしまするのに、さしたる不便をお与えしないようにということを第二の方針考えておるわけであります。これは先ほどもちょっと触れましたが、統合される出張所と、これを受け入れる方の登記所との間に交通機関の便がありまして、具体的に申しますと片道一時間程度までで、一日に四、五回以上バスその他の往復がある場合におきましては、登記申請者に対しましてさしたる不便を与えないものというふうに考えさしてもらいたいということで、話し合いを進めておるようなわけであります。それから先ほど申しましたように、現にこれは各法務局その他を通して本省として申しておりますことは、極力地元市町村民了解を得るということを一つの条件にいたしております。これは、こういうところで申し上ぐべきでないかと思いますけれども、実は私個人の選挙区におきましても、二カ所ほど廃止することに決定いたしたわけでございます。これも大体こういったような、今申しました基準に該当するものとして、地元側了解を得たような次第でございます。大体こういったような基準でやって参ります。問題となる件数全体といたしまして、約六百カ所ぐらいにつきまして統廃合ということを考える、全体のスケールはそのぐらいになるものと考えております。
  9. 村瀬委員(村瀬宣親)

    村瀬委員 六百カ所と申しますと、出張所は千八百のようでございますから、そのうちの六百カ所と申しますと、約三分の一を統廃合しようという御方針のようでございますが、これは私は非常に問題であると思うのでございます。一時間くらいでバスなり汽車で往復できるならば大して不便はないかというお考えのようでございますが、実際になりますと、そういうふうなバス汽車がついたからといって、直ちにそれを廃止してしまっては、山奥から出てきて登記をする住民の便不便ということは、ただ一時間汽車に乗ればよいといっただけではとうてい済ませない感情があると思うのでございます。この点はなおあとで大蔵省の方にも私聞いてみたいと思います。  そこで、もう少し法務大臣お尋ねいたしますのは、結局事の起りは都市登記事務量が非常に大きくなった、それを何とかしないことには二日も三日も登記事務が渋滞するということが事の発端のように考えられるのでございますが、今のような御方針で六百カ所を統廃合なさって、たとえば愛媛県で統廃合をして、人員が減ったからそれを東京へ持ってくるという御方針なのでございますか、あるいは愛媛県は県だけで、同じ愛媛県でも都市需要量がふえておるから県限りの処理をしようとおっしゃるのでございますか。県限りということになりますと、東京大阪あたりで、東京都だけ大阪府だけで統廃合しても、一向人員の埋め合せはできないということになると思うのでございます。県限りではないということになりますと、ある地方人員整理という結論が出てくるのではないか。たとえば愛媛県全部で千五百人であったものを、統廃合して千四百五十人でできるようだ、そうすればその五十人は東京でふやす、大阪でふやすということになるといたしますならば、それは一種の人員整理案ということにもなって参るのでございます。その統廃合人員のやりくりの範囲をどの程度にお考えになっておるのでございますか。
  10. 愛知国務大臣(愛知揆一)

    愛知国務大臣 この点は先ほど来申し上げておりますような事情でございますから、やはり統廃合の場合には全国的な規模でやらなければならぬと思っておるのであります。実際のやり方としては、まず法務局中心にいたしまして立案をいたし、それと本省との間で十分に協議をしてやることになると思いますが、従って、これは具体的な問題でございますが、四国のある県の人を実際問題としては大阪なりあるいは東京に引き揚げるというようなことも、この統廃合の進捗に従っては起り得るかと思うのでございます。  それから、人員整理の点にお触れいただきましたが、この点は総体としては決して人員整理とか行政整理ではございませんで、全体のワクの中で、担当職員事務負担量アンバランスに、異常に過重になるところとひまなところを按分して参りたいということでございますから、いわゆる能率化といいますか、合理化をはかっていきたい。全体の人数について整理というようなことは全然考えておりません。
  11. 村瀬委員(村瀬宣親)

    村瀬委員 事務アンバランス合理化するというお話でございますが、私はここにもまた非常な問題があるの  ではないかと思うのであります。前回委員会で千五百万件ぐらいであったものが五千万件にふえておるという。これは年代のお示しはなかったのでございますが、そういう御答弁であったのでございます。そうなりますと、当然どこの行政事務におきましても、事務が三倍以上になったのを昔の人員処理しようというところに無理があるのでございまして、都市経済活動に支障を来たすような、登記事務が何日も渋滞するようなところは、もうすでに早く手を打っておかねばならぬわけでございまして、今ごろになって都市事務量が一人当り三千件になったから——地方のその都市経済活動が盛んになればおいおいふえるわけでございまして、幾ら日本全国の土地が一定しておるにいたしましても、住宅建設その他いわゆる経済成長率に伴って、こういう事務がふえるのは当然なのでございます。その事務がふえたからといって、そのとばっちりを地方に持っていく。今まで登記所が近くにあって非常に便利であったものが、急になくなってしまって不便を感ずる。それは都市経済活動が盛んになったからだというのでは、あまり妥当な処理ではないと思うのでございます。地方の一人区、二人区等でやむを得ないところを六百カ所とおっしゃいますが、あるいはその一割の六十カ所くらいは整理をするのもやむを得ないということもあり得るかもわかりませんが、御方針としては、あくまでも都市の多忙なところに、むだのない程度において人員をふやして処理をする、これが私は今日の行政事務の通念だと思うのでございます。役所を減らすと経費は減るかもわかりませんが、しかし、たとえば建設省におきましても、地方建設局を最近二カ所ふやす、これがいわゆる中央集権の非難を防ぐ一つの今日の政治の行き方だと考えておるわけでございます。地方の不便は切り捨てごめんで、都会の不便は地方の犠牲において緩和していこうというやり方は、私は決してあたたかい政治ではないと思うのでございます。この点ただ整理統合のみによってこのネックを切り抜けようという御方針でございますか、それとも多少整理しなければならないところは一、二カ所整理するにしても、基本的にはやはり事務量のふえたところへ適当な人員をふやすというお考えをお持ちにはならないのかどうか、伺いたいのでございます。
  12. 愛知国務大臣(愛知揆一)

    愛知国務大臣 まことにごもっともな御意見でございまして、私もただいまお話しのようにやりたい気持も非常に強く持つのでございます。ただ、この問題は、私は非常に特殊性があると考えるのでございます。それはどういうことかと申しますと、御案内のように、先年来いわゆる機械化ということを相当進めております。この方面につきましては、これも私が実地で勉強をいたしたのでございますが、また大蔵省におきましても、こういう面については相当の理解を示してくれておるようでございます。この機械化をどんどん進めていくことによって、人間の手をわずらわすような仕事をできるだけ省く、そうして頭を使わなければならぬような仕事に重点的に鞅掌をしてもらうということが今相当進んでおるわけでございます。  それから、いま一つは、もっと根本的な問題としては、御承知登記簿台帳一元化、これも本年度からスタートをいたしておるわけでございまして、これらの点が進むに従いまして、もちろん事務処理を要する件数も今後ふえるではございましょうが、人手を要する事務の量はここ数年のうちにはかなり減ってくる。そこで今無理に増員をいたしますと、将来の、数年後あるいは十年後の態勢考えます場合に、あらためてそこで人員の大幅な整理が行われるということはどうであろうかというようなことも私としては考えたわけでございます。とにかく先ほど申し上げましたように、本年度もできれば——年度限りのことを考えれば千人近くの増員が必要なのであるけれども、いろいろ財政当局とも御相談をいたしまして、この一年間はとにかくそれじゃがまんしてやってみよう。そして、機械化一元化措置をするということで、基本的な態勢を促進していこうというような私としては考え方になったわけでございまして、人員をふやさなければならぬということは、確かにその通りであります。そうした将来の大計を考えてみますと、あるいはここしばらく無理でございましても、大所高所からいって、こういうやり方の方がいいのではないか、こういう結論に到達したわけでございます。
  13. 村瀬委員(村瀬宣親)

    村瀬委員 機械化並びに登記簿台帳一元化による一つ登記事務の画期的な再編成ということが行われるかもしれないから、それまでは人員の要求も差し控えたと言われる大臣のお気持は非常に私はとうといものであるとは思うのでございますが、そのために地方の何の罪とがもない、今まで登記所に非常に協力をしてきた親しみを持ったところへそのしわ寄せがいくということは、私は、非常に地方民は困ると思うのでございます。そういう意味から、今の大臣の御答弁によりますと、機械化並びに帳簿一元化等によって、いずれは人員増員を要求せねばならない。この一年だけは今のままでやってみようという。政府経費を節減しようというお心からの御処置と拝聴するのでございますが、それはそれで非常にけっこうと思いますけれども、それだっていずれは何か画期的な登記事務の進展があるらしい。またいずれは人員もふやさねばならぬというお考えであります以上は、一方整理の方は最少限にとどめ、六百カ所とか三分の一も整理してしまうようなことは、この際お考え直しをいただきまして、そして各県で二カ所とか三カ所とか、特に帳簿の保管が危険だというようなところだけにとどめられて、そして整理よりもその機械化一元化による事務能率人員の適当な増加によって、全国民登記事務に関する限り経済活動を敏速に、安心して便利にやれるような御方針をぜひ立てていただきたいと思うのでございます。  なお、私はここで大臣お尋ねいたしまするが、先ほど基本的なものは、不動産登記法、それからもう一つ何かの手続法によるとおっしゃいましたが、これは不動産登記法改正を用いずして、廃止ということは、大臣限りでできるのでございますか。千八百の出張所を六百減して千二百にするということは、法律的な改正、その他はなくして、ただ大臣限りでできるというような基本法があるのでございますか。
  14. 愛知国務大臣(愛知揆一)

    愛知国務大臣 廃止につきましては、現行法令では法務省令でできることになっております。それから事務委任につきましては、先ほどお答えいたしましたように、不動産登記法第八条二項と、それから非訟事件手続法第百五十五条、これに事務委任根拠法があるわけでございます。それから今前段にお述べになりましたことは、私も全くよく理解ができるわけでございまして、先ほど基準に対してのお尋ねがございましたので、現在の私ども考え方、並びに地元住民方々町村当局方々お話を進めておるときの基準なのでございますが、これを率直に申し上げたのでございます。何分こういうことを進めます場合には、受け入れる側の——これは非常に具体的な問題でございますが、庁舎といいますか、執務の場所の広さの問題もございますし、なかなか画一的にはできないわけでございまして、現在のところは、先ほど申しましたように、一つの計画の規模としてはその辺のところまで考えております。その範囲内でいろいろとケース・バイ・ケース処置をしていく。無理はいけない。あくまでも地元方々の御協力納得ということを中心にしていかなければならない。この点は御趣旨の点を十分配意して考えて参りたいと思っております。
  15. 村瀬委員(村瀬宣親)

    村瀬委員 今回の出張所登記事務所統廃合は、事務委任によることにして廃止ではないというような御答弁もあったのでございます。しかし、実質上は、庁舎もなくなり、人間もいなくなるということになるわけでございまして、特に廃止にしないで事務委任という方針をおとりになった理由が何かあるのでございましょうか。何か、廃止にしないで事務委任にしておけば、またやがてそこに登録がふえたときすぐそこに置けるというようなこともあるかと思いますが、しかし、庁舎もない、人員もないということにしておきますならば、廃止ではない、事務委任だ、そこへいつでも置けるんだと申しましても一向通らない話でありまして、廃止しておきましても、そこへ新たに庁舎を設置するということになればできることなのでございます。それを特に廃止としないでそこへ置くが、事務委任をしてしまって一人もそこへ置かない。庁舎も借りておったものは返す、大蔵省のものは返して処分するということになると、廃止と何らの変りがない。実質上の廃止であるにかかわらず事務委任にしておこうという御方針をとられた理由は何かあるのでございましょうか。
  16. 愛知国務大臣(愛知揆一)

    愛知国務大臣 これはその場所々々によっていろいろの御協力態勢を作り上げて参ります上に、事情話し合いの内容も違うようでございますので、的確に申し上げにくい点もございますが、やはりただいま御指摘のように、一つはとにかく、事務委任でやってみて、どうしてもこれは不都合であるとか、あるいはたとえばある一地点に対して開発工事などが非常に急激に進捗するというような事情が起りました場合に、再びこれを開くということの可能性を温存するという配慮があるものも相当ございます。その場合に、廃止したと同様じゃないかという御指摘なので、その通りなのでありますが、そこは微妙な含みのあるところでございます。それから実際問題として、すでに決定しましたたとえば四十庁舎のごときものは、大体において町役場、村役場等の一隅を借りて執務しておったというようなところが多いものでございますから、これも本件の特殊性から申しまして、ほかの種類の官庁を事実上閉鎖したという場合とはちょっと感じが違う点が、私はあるように思うのであります。その点は一つの含み、それから地元とのお話し合い等によりまして、さしあたり事務処理という方が、地元としても認めやすい。それなら一応協力しましょう、こういう場合もあるようでございますので、その点を取り入れて、今のような格好にいたした次第でございます。
  17. 村瀬委員(村瀬宣親)

    村瀬委員 町役場、村役場を借りておったがちょっとほかへ行くというような場合であれば、非常にその町村の方も響きは少いと思うのですが、私たちが四国地方でいろいろ陳情を受けておりまするのは、りっぱな庁舎を町が予算を組んで建てて、そしてりっぱな独立庁舎として、その町の一つの官庁として大きな誇りを持っておるようなところまで実は整理統合お話が出ておる例が非常に多いものでございますから、町村当局としては、予算まで組んで家を建てて渡したのに、黙ってこれが廃止になるということに非常に神経を費やしておるわけなのでございます。その点はまたあとでいろいろお話を伺うことといたします。  そこで最後に、これは大事なことだと思うのでありますが、一つ大臣に伺いたいと思いますのは、そういう別に法規にもよらない、省内の一つの方便的な処理としてこういう統廃合をお始めになる。そうすると、その時期はどうかという問題でございます。私は前会も申し上げましたが、今日農地の交換分合、未墾地買収、道路新設による土地の分割、登記その他いろいろ農地関係、山林関係に及びましては、農業委員会とか県知事認可というのが相当おくれるのであります。おくれるのみならず、互いに買った者も売った者も信頼をしておりまするから、まあ二年、三年はそのままでもいいということが非常に多いのであります。そこでどうしても廃止をせねばならないということになりますると、農業委員会なり知事なりに促進の要求をいたしまして、早く処理をしてしまうということもあり得るのでございまして、それには突如として廃止をするということが一番不親切だと思うのであります。あるいは十カ月とかあるいは一カ年とか期限を置いて、いつからやむを得ず廃止をする、あるいは事務委任をするということになりまするならば、その間にたまっておる登記を一応してしまっておこう、あるいは相続財産もこの間にしてしまおうということもあり得るのでありまして、少くとも十カ月くらいの猶予期間はぜひ置かねば、これは非常に不親切なやり方ということになるのでございますが、そういう点についてはどのようなお考えをお持ちでございましょうか。
  18. 愛知国務大臣(愛知揆一)

    愛知国務大臣 これもまことにごもっともなことでございまして、先ほど私が約六百の規模になると申しましたのは非常に率直に申し上げましたので、先ほど申し上げた基準というようなことからいうと、総体のスケールが六百くらいのところが、考慮といいますか、対象になるということの意味で申し上げました。その六百をいつまでに行うか、こういうことになりますと、六百ということ自体がそういうわけでありますから、これは相当長い期間で考えなければならないというものでございます。この六百ということはあまり大きくおとりにならないようにお願いいたします。  それから、事前の十分の話し合いということは、先ほど来強調いたしておりますようなわけで、現に事務委任をいたしました数十のところも短かくて約半年、ものによりますと一年までかかると少しお互いに困るのでありますが、相当の期間を置きまして、十分に御相談をいたしまして、突如として廃止とか事務委任とかいうことには、これは地元民の方々登記所については非常に熱心に関心と御協力をしていて下さっておるのでありますから、そういう乱暴なことは絶対にしないようにいたしたいと思っております。
  19. 村瀬委員(村瀬宣親)

    村瀬委員 今までも半年くらい前からいろいろ地元と相談してやったというお話でございましたが、その地元の相談と申されますのは、やはり町村長とかそういう方との相談と思うのであります。一般はわからないのでございまして、私の申しまするのは、そうやって半年なり七カ月なりかかって地元市町村のいわゆる役場なりを借りておれば、役場の連中との相談がかりにできたといたしまして、それから官報なり何なりに周知期間を十カ月なり一カ年なり置くのが親切ではないか、こう言っておるのでございまして、ただ長くかかって相談ができたといたしましても、それはその当事者の村長あるいは村会議長とかいうようなものとのお話し合いにすぎぬと思うのでございまするから、どうかそういう話し合いがかりにつきましても、つきましてから何カ月間後にどこへ事務委任をするということを官報によるなり公告するなりして知らしていただきたいと思います。そうなれば、一般の者もそれじゃ一つ早くしようとか、あるいはこのごろ非常に道路工事も盛んになって参りますので、これは建設省などとも連絡をとりまして、早く交換分合をやって処理を進めるということになるのでございますが、これがあまりスムーズに行われないで、一方的に切り捨てごめん的にやられますると、この登記面からしてもいろいろ道路工事等が支障を来たすということも千に一つはないとも限らないのでございまして、この点特に私は要望をしておく次第でございます。  いずれにいたしましても、この問題は、そうでなくても最近の政治がとかく都市中心政治であって、地方の山間僻地には政治の潤いが少い、これは教育の問題でありましてもその他交通の問題でありましても、電気をつける上におきましても、電話一本つける上におきましても、非常に地方の末端に潤いが少い政治になりつつあるのでございまするが、それに拍車をかけるように登記所まで都会へ人を引き揚げてしまう、当然増員すべきも増員しないで、国の予算を要求してよいものもしないで地方に犠牲をしいるというような政治は、これは地方民に対して思想的にもいろいろの支障的な問題を生ずる余地も生じまするので、整理統合は、大臣お話になりました通り地元町村民の了解というものを第一にとっていただきたい。それから村役場、町役場の一角を借りておるというようなところは、それはまあやむを得ぬかもしれませんが、町村がかって予算を計上して、そうして多くの負担をもって庁舎を建てて提供しておるというようなところは、これは非常に必要があるからそうしたのでございまして、最近の町村財政は決して豊かでないにもかかわらず、学校の改築を延ばしてもそういう庁舎を先に建てておるということは、それだけ市町村民が登記所の恩恵を受けておる証拠でございまするから、そういう庁舎のあるところは一つ十分慎重にお考えを願いたいと思うのでございます。なお、きょうの御説明によりますると、何年以内、何カ月以内にどうするという御方針もないようでございまするから、個々につきましてはまた関係市町村長等が実情を訴えて陳情にも参るでありましょうから、そのような陳情に対しましては、大臣におかせられましても、十分一つ親切な態度でお聞きをいただきまして、町村民の納得の上に、やむを得ないところだけの整理統合をなさり、そして基本的にはやはり機械化並びに帳簿一元化によって、この登記事務の画期的な一つの改革と申しまするか、制度、人員、機構、場所等に対する基本的な再検討をなさいますように要望をいたしまして、私の質問を終ります。
  20. 小島委員長(小島徹三)

  21. 三田村委員(三田村武夫)

    ○三田村委員 前回委員会から本日の委員会を通じて伺っておりますと、大体法務当局は御方針はきめておられるようでございまするが、率直に私は再考を促したいような気がするのであります。ということは、機構の合理化ということはもとより必要でございますし、従って、必要のないものを置いておくことは無意味であり、またこれは全く必要のないことで、もとより廃止には異論はございませんが、前回委員会を通して、また本日の委員会においてもそうでありますが、事務量が非常にふえた、従って、仕事の少いところは整理統合化して、仕事の非常に多くなったところへ人員を増そうというようなことが、大体の基本的なお考えのように伺うのであります。これは事務当局としては一応考えられる面でありますが、ちょっと考え直してもらいたい気がするのです。そのことのゆえにきょうは大蔵省からも来ていただいたのでありますが、事務量の多くなったところに人員を増す、また機械化をはかるということは当然なんであります。それはそれとして必要なる人員なり施設なりを要求して、一般権利保全のための登記事務の進捗をはかるということは、当然やらなければならぬことであります。むしろその点には大いにわれわれは努力を期待するのであります。がしかし、この前のお話のように、なかなか大蔵省に要求しても人をふやしてくれぬ、事務は三倍にも五倍にもなって仕方がないから、地方のひまなところの人員を削って、重点的に忙しいところへ持っていくのだという御説明では、私は納得がいかない。登記事務というものは、個人の権利保全にとって非常に重要な事務であります。登記事務の手違い、間違いから、非常に痛々しい事案を生み出したことも世の中にたくさん例がある。そういう点から考えて、法治国家と申しますか、すべての権利を法によって保護する、確認をするという建前をとっておる現在の制度からいいまするならば、幾らいなかの事務の少いところでも、なくしてしまうことは非常に問題である。前回委員会で、鍛冶委員が非常にいいことを言っておられました。山の中で就学児童が少いからといって小学校をなくしていいか。これはその通り、一人でも二人でも必要なところには学校を置くということと同じであります。もちろん必要のないところには必要がないので、やめることに異存はありませんが、人員が足りないのだ、手が足りないのだ、都市事務が非常に多くなった。いなかは事務が非常に少いから、いなかの人間を都市に持ってくるという考えなら、私は一つ根本的に考え直してもらいたいということを率直に申し上げるのであります。どうもこの前の委員会からの説明を伺っておりましても、納得がいかない。事務合理化、機構の合理化という点については、お考えの点も理解し得ないことはありませんが、しかし、実際の面から考えますと、村瀬委員が前会からるる熱心に言っておられると同じことに私もその点考えるわけであります。現に私のところにも、二、三のところからぜひ登記所を残してもらいたいといって陳情が来ている。地元の人々がぜひ登記所を残してくれと言うのは、必要があるから残してくれと言うのであって、必要のないものを、こんな役所を残してくれなんて言いやしません。何も登記所があったって、村や町の繁栄の足しになることもありませんから、そういうことを言ってくるわけはないはずであります。そういう要望があるにかかわらず、人員の都合とか、経費の都合でいなかの登記所をなくすということは、これは建前として間違いだと思う。もしも都会の事務が繁雑になり、件数が増大して人員が足りない、処理上困るというなら、それに必要な人員を増す予算を十分取るということは、政府として当然やらなければならぬことだと思うのであります。その点ごく懇意な大臣ですから率直に申し上げるのですが、ぜひお考え直しを願いたいという気がするのであります。村瀬委員の言われますように、かりに半年なり一年なり先にこの登記所をやめる、こういうことを周知徹底せしめるということはなかなか困難でありまして、実際お百姓をしている人に、一戸々々回って、登記所が一年以内になくなるから、何かお前さんのところに登記事務がありませんかということをふれ回すことはできはしません。あそこに登記所があった、行ってみたらなくなっちゃっていた、さあどうするということになるのであります。そういう点は十分にお考え直しを願いたい。大蔵省が来ておられますが、最近だけではなくて、前前——戦時中からでありますが、どうも法務省関係で、いつも大蔵省にいくと、あまり待遇がよくないようです。これでは困るのです。そのことのゆえに、正直に申しますと、法務省関係委員会なんかやるなという声がある。熱心にやってみたって、選挙の足しにもなりゃしないし、法務委員会なんか熱心にやっておると、次の選挙に落選するぞとよくいわれる。そういうことであってはいかぬ。特に裁判、司法というものが民主政治の根幹をなすならば、その方面に必要な予算、手当というものは、大蔵省も十分に考えていただかなければいかぬと思う。これは、私たちは、ただ法務省が怠慢だ、法務省が怠けていると言うだけではいけないので、十分に大蔵省の方も、法務省の要求、要望のあるところを謙虚な立場から聞いてもらいたい。あっちからも陳情、こっちからも陳情、陳情だけで予算が組まれるのでは、私はほんとうの政治というものはゆがめられてしまうと思うのです。おとなしい、静かにものを言っておる、かけ引きの足りない法務省あたりの要求はいつでも冷遇されるというようなことでは大へんだと思う。そういう点は十分お考え願いまして、この登記所の廃合についても、必要のないところはやめてけっこうですが、必要のあるところは、人員の都合あたりで整理するのはやめてもらいたい。本年度一年待って、来年度大いに一つ大蔵省にも考えてもらって、人員を二千人でも三千人でも、必要なだけふやしてもらえばいい。そして、せっかくある施設を、何もやめて、必要になったらまた敷地を買って建物を建てる、そんなばかなことはよけいなことなんです。せっかく登記所があるのですから、人手が足りなかったら一年延ばして、来年度人員の点について、十分大蔵省に考慮してもらう。都市事務が煩瑣になって手の足りないところ、手不足のところは、大蔵省の方でその点も法務省の方と十分御検討の上、人手をふやしてもらって、能率の上るようにしてもらう、そういうことの方が私は実際の政治だろうと思うのです。これは法務大臣からも、大蔵当局からも、率直な御意見を伺いたいのであります。
  22. 愛知国務大臣(愛知揆一)

    愛知国務大臣 一々ごもっともでございますが、先ほど来申しておりますように、一般的基準をどう考えるかというようなお尋ねでございましたので、私もきわめて率直に、その考え方からいけばこういうふうな基準考えて進めたいということを申し上げたのでありますが、同時に、やはりこれはケース・バイ・ケースでございまして、取扱い件数もなるほど少い、それから肩身の狭い思いをして村役場の一隅を借りておる、たまたまバスの便宜も非常によくなったというようなところ等におきましては、現地の役場の方のみならず、住民の方も、まあそれでは仕方がないといって御協力下さるようなところも相当あるわけでございますから、あくまで民主的に関係方々了解をして下さり、一方的な官憲的な押しつけではなくて、そこはうまく進めていくということを、皆様のまことにごもっともな御要望であり、お説でございますから、十分これは取り入れて参りたいと思うわけでございます。先ほど申し上げましたように、私もこれはずいぶん自分でもいろいろと考えてみたのでございますが、実はこれも非常に率直過ぎることなんですけれども、今かりにここで千人あるいは二千人の増員ができましても、これはどうも最近、非常に激増しておるのであって、これからどの程度事務量が進むであろうかということも、実は見通しがつきません。それから一元化機械化については、これは大蔵省もずいぶん骨折ってくれておるのでありますが、これがどの程度の成果を上げるかということも、やってみないとなかなか科学的にはっきりした見通しがつきませんので、それらも見通して、少くとも現在登記所関係に従事しておる職員の人たちに、今よりは明るい態勢で働いてもらいたいということから考えると確かに一つ考え方だろうと思いまして、一応こういうふうな計画を進めて参ったのであります。いろいろ申し上げたいこともございますが、要は私はあくまで現地の人たちの快い納得のもとにということで進めるべきものであると思いますから、さように今後ともいたして参りたいと考えます。
  23. 廣瀬説明員(廣瀬駿二)

    ○廣瀬説明員 ただいま非常に貴重な御意見を伺いまして、私、予算の方を担当いたします者といたしましても、大へん教えられるところがあったと思います。経費の点につきましては、法務大臣から御答弁がございましたように、ことしも非常に熱心な予算要求がございまして、われわれも胸襟を開きまして十分御相談を申し上げ、一元化の問題、あるいは機械化能率化問題等につきまして、十分ではないにいたしましても、ある程度御満足を得るような予算を計上することができたと思います。増員の問題につきましても、ただいま大臣からお話がございました通りでありまして、今後十分慎重に検討させていただきたいと考えております。
  24. 三田村委員(三田村武夫)

    ○三田村委員 大体御苦心のところ、またお考えの点も了承いたしましたが、重ねて申し上げておきたいと思うのであります。先ほど村瀬委員も言っておられましたが、だんだん都市中心政治になってくるのです。そして地方の一般の民衆、国民というものは、政治の恩恵、行政の恩恵に恵まれる点がだんだん少くなってくる。これを裏返して端的に言いますと、抵抗の少いところ、抵抗のないところはいつも犠牲にされるのです。これではいかぬと思うのです。常に政治的な発言の強いところは恵まれるが、政治的発言の道を知らない、抵抗の弱い、善意にして善良な民衆が常に政治の恩恵からはずされるということはいかぬことなんです。この点は特に大蔵省もお考え願いたいと思うのです。地方登記所の連中は、大蔵省まで陳情などに来やしませんよ。役場の連中も来ません。山間部の人は高い汽車賃を使って来ません。都市周辺の人は何につけ政治的発言はなかなか強力です。政治的発言の強い、そういうテクニックを知っておるところの要求は通って、善良で善意な民衆の要望が常に無視されるということは、非常に悲しむべきことだと思うのです。この点はぜひ一つ十分御考慮を願いたいと思うのです。  法務大臣に重ねて要望いたしておきますが、これはひとり登記所の問題だけではないのであります。法務省は常に人員の点において非常に御苦心なさっておることは私了承するのであります。どうぞ登記所の問題も、今きめた方針は変えるわけにいかないというお気持でなくて、やはり十分地方民衆の立場もお考えになって、明治初年から何十年間、ことしまであったものを、何もあわててことしのうちに片づけてしまわなければならぬという政治的要請も必要もないのでありますから、一つ年度は大いに努力されて、たとい千人でも五百人でも——法務大臣は千人、二千人増しても事務量の増加の見当がつかぬとおっしゃいましたが、しかし五百人でも千人でも、ふえればふえただけ事務能率は上るのですから、そういう点にむしろ御努力を願いたいのであります。そうして、なるべく地方の者に不便をかけないように、格段の御配慮を願いたいと特に申し上げたいのであります。別段御答弁を求めるのではございませんが、重ねて要望いたしておきます。
  25. 小島委員長(小島徹三)

    小島委員長 鍛冶良作君。
  26. 鍛冶委員(鍛冶良作)

    ○鍛冶委員 民事局長に伺いたいのですが、登記所のうちで、近来事務が減った登記所がありますか。あったら、幾つぐらいで、どことどこであるか。そういうものは私はないと思うが、あったらお伺いします。
  27. 平賀政府委員(平賀健太)

    ○平賀政府委員 大体の見当でお答え申しますと、事務が減ったという登記所はおそらくないと思います。大体横ばい、もしくはやはりふえておるというのが全国の傾向だと思います。
  28. 鍛冶委員(鍛冶良作)

    ○鍛冶委員 今大臣のお言葉を聞くと、どうも間借りしていてじゃまになるから出ていってくれというように聞えるのだが、そんなところがありますか。それはあなた方も肩身の狭い思いをしておるかもしれませんが、皆様方も、御不自由しても、やはりおってもらいたいと思うからいるのであって、そういうところがあるならばまた考えなければなりませんが、そういうところがありますか。
  29. 愛知国務大臣(愛知揆一)

    愛知国務大臣 先ほど申し上げましたのは、こちらが肩身を狭くしておる、というのは、いろいろ町村合併関係等からいって、話がつけば移転してもらってもいいと内心思われているという程度のことはあると思いますが、出ていってくれというようなところはございません。
  30. 鍛冶委員(鍛冶良作)

    ○鍛冶委員 私はそういうところはないと思うのです。みなじゃまであっても、がまんしておってもらうのは、おってもらわなければ都合が悪いからおってもらっておるのだと思います。そこで、この間、局長の話を聞きますと、あなた方はどうしてもことしは人員をふやさなければならぬと見られたのでしょう。仕事が減ったのではなくてふえているのですから。しかるに大蔵省で思うような予算をくれなかった、仕方がないからそれを一つしわ寄せしてやろう、こういうことなのです。大臣、このことは間違いないのですか。
  31. 愛知国務大臣(愛知揆一)

    愛知国務大臣 これはこういう経過になっております。昨年の初めから民事局中心で、登記所のいわゆる統廃の問題を正式に法務省としては取り上げております。今回の予算要求の前にも、すでに先ほど来問題の事務委任、あるいは廃止の問題が相当具体的に、個所によって起っております。それをそういう方向へやりながら、一方やはりどうしても人員が必要であるということで予算要求をしたわけでございますから、若干はこの統廃合の原則を前提にして予算の要求もしたわけなのだ、そういう経過になっております。
  32. 鍛冶委員(鍛冶良作)

    ○鍛冶委員 どうも予算がとれぬから統廃をせられて——先ほど言ったように事務の減ったところがあったり、もう行ってくれればいいということであれば文句はないのですが、そうでなかったら、おってもらわなければ困るのに、予算がとれないということで不便をかけるというのは全くどうも——まことに申しにくいが、法務省の腕のないところを民衆の不便にしわ寄せをされておるようです。その点を廣瀬さんに十分聞いてもらいたいからあなたにおいで願ったのですが、実際事務が減ったのですか。要らないで減らすのならいいのですが、どうあっても要るのにそこにくれぬからといって、その不便を民衆に与えるということは、どうしても合点がいかぬのです。この点あなたはどうお考えですか。
  33. 廣瀬説明員(廣瀬駿二)

    ○廣瀬説明員 民衆に不便がくるようなことになってはいかぬ、私どもそういうようにならないように、事務機械化能率化、そういうような方向へだんだん処理していきたい、こういうふうに思っております。
  34. 鍛冶委員(鍛冶良作)

    ○鍛冶委員 ことしはやむを得ぬかもしれませんが、そういうことでは、どうもわれわれは国へ帰って話になりませんよ。だから一つやめてもらいたい。そうして大蔵省へ帰って、来年はそういうことのないように、ことしは何とかがまんさせてやっても、来年はこんなことのないようにしてもらいたい、こういうように思います。
  35. 廣瀬説明員(廣瀬駿二)

    ○廣瀬説明員 ことし非常に御不便をかけているように御意見があったのでございますけれども、そういう点はないのではないかと思います。決して御不便のないように、先ほど大臣がるる御説明になりましたような条件でもって、しかも地元と十分話し合いの上でやっているので、この点で御迷惑をかけるようなことはないと思います。
  36. 鍛冶委員(鍛冶良作)

    ○鍛冶委員 そういうことであればいいが、ありっこないのです。やむを得ずそう言っておられるのです。そんなところがあるわけがないのです。
  37. 村瀬委員(村瀬宣親)

    村瀬委員 大蔵省は十分御理解があると思ったのだけれども、今の御答弁を伺いますと一言申し上げておかなければなりません。これは明治年間から二千八十六カ所というものがあったわけなのです。その地方の町村では、あるいは役場の改築もやめて、また学校の改築も延ばして、この庁舎をちゃんと予算に組んで渡したところがたくさんあるわけなのです。それはやはり、それほど地方の山間の山持ちとかきこりとか、いろいろそういう貧しい人が、登記所が遠方に行かれては困るということのために、それだけをやって今日まで来たわけなのですから、これは地方にとっては非常に必要欠くべからざるものなのです。それが六百減っても四百減っても、納得の上でと大臣がああおっしゃったから差しつかえないのだろうというように大蔵省がお考えになるのでは、何のためにきょう来ていただいたのかわからぬ。決してそういう状態ではないのです。ですから、その点は納得の上といっても、今まで四十カ所ほど統廃合があったか知りませんが、それは泣きの涙で仕方なしに、そうですが、といった話なので、なくなった四十カ所のところはたちまち弁当を持って、場合によっては泊りがけで登記に行かなければならない実情なのです。ことに島なんかで一人や二人置いておるところもありますが、そういうようなところを整理されれば、泳いでいくようなことはできないでしょう。当然泊りがけで行かなければならないというようなところがたくさんあるわけであります。そういうようなところに限って、年に六百件とか七百件とか件数が少いものだから、すぐに統廃合の対象になるのですが、そういうような今の離れ島のようなところの登記所などは実に不便を感ずる。大蔵省は何も不便はないと納得の上でやられておるのですが、きょう法務委員会ではこうでありましたというようなことを帰って大蔵大臣お話になられますと、全然事情は違うのでありますから、かりに納得して廃止をしたところといえども、非常な不便を感じておるということだけは一つ得心をして帰っていただきたい。そうして来年度は、どうせ法務大臣からもいろいろ要望があるわけでありますから、われわれも委員会において大いに協力をいたしますが、必要なだけは千人でも千二百人でも堂々と文句を言わないで、ちゃんと大蔵省はつけていただくように特に要望しておきます。
  38. 小島委員長(小島徹三)

    小島委員長 志賀義雄君。
  39. 志賀(義)委員(志賀義雄)

    ○志賀(義)委員 この登記所の問題について一元化ということでありますが、台帳法については罰則規定がありますけれども、保存登記の方についてはそれがないのですが、これを一元化すると、その間どういうことになりますか。何かその点についてお考えの上でこういうふうにやられたのですか。その点をお尋ねしておきます。
  40. 平賀政府委員(平賀健太)

    ○平賀政府委員 一元化になりますと、台帳法の規定が不動産登記法の中に入ってくるわけでありまして、台帳法の中の罰則の規定のあるものは不動産登記法の中に入ってくるという結果になるかと思います。
  41. 志賀(義)委員(志賀義雄)

    ○志賀(義)委員 実は司法書士の方から陳情がありましたのですが、それは司法書士の仕事が減るので、だいぶ全国で問題にされておるようであります。ところが、法務当局の方では、それでは一件についての司法書士の報酬を三割値上げしたらその減額分が埋められるのじゃないかというようなことを言われておるそうでありますが、これでだいぶ司法書士の方も恐慌を起しておられます。そういうようなことを言明されたでしょうか。その間の事情を多少説明してお答え願いたいと思います。
  42. 平賀政府委員(平賀健太)

    ○平賀政府委員 一元化が完了いたしますと、この司法書士の仕事に若干影響があるのじゃないかと考えております。そうなりますと、現在の司法書士の収入に影響がございますので、そういうことになりましてはやはり問題でありますが、この司法書士につきましては、日本司法書士会連合会というのがございます。それからまた土地家屋調査士の関係におきましては、土地家屋調査士会連合会というのがございまして、この両連合会と私どもの方で今協議をいたしておりまして、司法書士の仕事にあまり悪い影響が及ばぬようにと、その対策を検討中でございます。司法書士の方々の御懸念のようなことが生じないようにと思って、せっかく今努力いたしておるところでございます。
  43. 志賀(義)委員(志賀義雄)

    ○志賀(義)委員 三割値上げ云々ということは、法務当局の方から示唆されたのですか。司法書士会連合会の方の言い分では、それでは結局司法書士に依頼する人々に負担を多くすることになるじゃないか、こういうことが法務省に対して言われておるのではありませんか。そこのところの問題です。そういう示唆をされたのか、それとも、そういうふうにして手数料と申しますか、それの値上げをすることについては、法務当局としてはそういう負担は当然として考えておられるのでしょうか、おられれば、それはどういう理由からか、その肝心の点を伺いたいのです。
  44. 平賀政府委員(平賀健太)

    ○平賀政府委員 三割値上げというような具体案はまだ申し上げたことはございません。ただ、従来からいたしまして、この司法書士の手数料というのは司法書士会の規則できめるということになっておるわけでございます。従来からも、むしろこれは司法書士の方々の方から、現行の手数料では少し安過ぎるので値上げすべきであるという意見が実は多いのであります。そういう関係で、この手数料の点も、従来からすでに現行のままでいいかどうかということについてかなり問題がございます。台帳登記簿とが一元化いたしますと、現実に司法書士の仕事に影響して参りますので、この手数料の点を再検討したいということも、日本司法書士会連合会との協議の中に入っておるわけであります。具体的にどうというところまではまだ案が出ておりません。そういう段階でございます。
  45. 志賀(義)委員(志賀義雄)

    ○志賀(義)委員 どうも少しおかしいですね。司法書士会連合会の方では法務当局の方から、仕事が減るならば三割くらい値上げしたらどうかということを示唆されたというのです。それについては御答弁がない。そうすると、司法書士会連合会の方はうそをついているようなことになりますが、それは、安いものならば適正にすること、これはいいでしょう、そういう要求も起ってくるでしょう。しかしながら、現実に件数が減るので、非常に収入にこたえるということと、減ることが心配ならば三割くらい値上げしたらいいだろうと法務当局の方から示唆された、こういうことなんですが、あなたのお話を伺うと、法務省の方は、司法書士会連合会の方が規則でもって自分できめればいいというように聞える。そういうことをおっしゃったことはないんですか。
  46. 平賀政府委員(平賀健太)

    ○平賀政府委員 私どうも説明が足りなかったかもしれないと思いますが、司法書士会が規則で定めまして、規則の変更になるわけであります。これは法務大臣認可が必要なわけであります。でありますから、大体基準がございます。その範囲で規則で定めておるような実情でございます。ただいま三割というお話は、協議の際に、こちらの方からかあるいは連合会の方からか、そういう話が出たことはあるかもしれませんが、法務省としまして三割値上げしてはどうかというようなことは申し上げたことはございません。
  47. 志賀(義)委員(志賀義雄)

    ○志賀(義)委員 もう一つだけ。保存登記の方を今度一元化してやる。これは罰則規定ができるかという点ですね。もう一つ台帳法のような場合と同じように、そういう予定なのですか。  それからもう一つ。保存登記も、これをやれば第三者に対抗して権利を確保することができますけれども、何かこれで大蔵省の方では収入をもっとあげるというような意図があるのでしょうか、その点はいかがですか。まず第一の点は法務省から伺いますが、第二の点は大蔵省の方から伺いたいと思います。
  48. 平賀政府委員(平賀健太)

    ○平賀政府委員 私どもの目下の計画では、一元化によりまして登録税の収入を上げるとかあるいは手数料の収入を上げるというようなことは、法務省の方としては考えておりません。大蔵省の方も、その点はそういうお考えはないと私想像いたしております。
  49. 志賀(義)委員(志賀義雄)

    ○志賀(義)委員 台帳の罰則規定の点はどうなんですか。それは新たに準備されるのですか。
  50. 平賀政府委員(平賀健太)

    ○平賀政府委員 現行の台帳法によりますと、たとえば建物の新築をいたしますと申告をすることになっておるのでございますが、申告を怠りますと罰則があるということになっております。これは目下の計画では、やはり不動産登記法の方に移って参りまして、不動産登記法となりますと、これは申告ということではございませんが、登記の申請ということになって参りますけれども、その申請を怠れば罰則がある、そういう建前になっておるものと考えております。そういう予定で今計画いたしております。
  51. 廣瀬説明員(廣瀬駿二)

    ○廣瀬説明員 登録税の問題は主税局関係で、私どもの直接の関係ではありませんけれども、登録税を上げるというような話は聞いておりません。それから登記法の手続につきましても、今直ちにどうというようなことは存じておりません。
  52. 志賀(義)委員(志賀義雄)

    ○志賀(義)委員 そこでおかしいのですが、今保存登記の方もやはり罰則規定ができるとなると、これはもうみんな登記しなければならなくなりますね。そうなりますと、これはどうしてもそこで国庫収入がふえることになりますね。そうでしょう。今まで申告が怠られているようなものがずいぶんあるでしょう。そうなってくると、大蔵省の方は、別に登録税の割合を引き上げるというのではないのですよ、その件数が多くなることで増収になる、それを見込んでおられるのじゃないかということなんです。あなた方は何でもないようなことを言われるが、これは相当広範に影響があることなんですよ。
  53. 平賀政府委員(平賀健太)

    ○平賀政府委員 この点は不動産登記法改正の問題でございまして、不動産登記法をどういうふうに改正するかということは目下検討中なのでございます。これは次の通常国会に御審議を仰ぎたいと目下検討いたしておりますが、ただいまの点、現在では御指摘通りに、たとえば建物を新築いたしますと、台帳の申告をします。それから登記の方は、今仰せの保存登記の申請をするわけでございます。これが一元化されました場合に、申告というのはやめて、みんな保存登記の申請一本でいくか、あるいは申告を登記の方に移しまして、新しい登記の申請という形に今の申告を移して、今の保存登記に相当するものはまた保存登記として残しておく、そういうことも考えられますし、これはもう形の上で登記の方に移しただけで、現在と一向変りません。  いま一つ考えられますのは、今の申告というのはやめまして、全部保存登記一本でまかなってしまうということも考えられるわけでございます。どちらがより合理的であろうか、私どもの方で今検討いたしておりまして、具体的にこうしたがいいという結論はまだ出ておりません。それが出ました上で不動産登記法改正法ということで御審議を仰ぎたいと考えておる次第でございます。
  54. 廣瀬説明員(廣瀬駿二)

    ○廣瀬説明員 ことしの歳入予算に今おっしゃったような関係で余分に見込んでおるのではないか、そういう御質問だと思いますが、そういうことはございません。一元化の問題が実現しますのは昭和四十一年度からになりますから、問題が起りますのはそれから先のことでございます。
  55. 小島委員長(小島徹三)

    小島委員長 本日議題といたす予定でありました下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案外二案の審議は次会に譲ることといたしまして、本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十一分散会