○三田村
委員 前回の
委員会から本日の
委員会を通じて伺っておりますと、大体法務当局は御
方針はきめておられるようでございまするが、率直に私は再考を促したいような気がするのであります。ということは、機構の
合理化ということはもとより必要でございますし、従って、必要のないものを置いておくことは無意味であり、またこれは全く必要のないことで、もとより
廃止には異論はございませんが、
前回の
委員会を通して、また本日の
委員会においてもそうでありますが、
事務量が非常にふえた、従って、
仕事の少いところは
整理統合化して、
仕事の非常に多くなったところへ
人員を増そうというようなことが、大体の基本的なお
考えのように伺うのであります。これは
事務当局としては一応
考えられる面でありますが、ちょっと
考え直してもらいたい気がするのです。そのことのゆえにきょうは
大蔵省からも来ていただいたのでありますが、
事務量の多くなったところに
人員を増す、また
機械化をはかるということは当然なんであります。それはそれとして必要なる
人員なり施設なりを要求して、一般権利保全のための
登記事務の進捗をはかるということは、当然やらなければならぬことであります。むしろその点には大いにわれわれは努力を期待するのであります。がしかし、この前の
お話のように、なかなか
大蔵省に要求しても人をふやしてくれぬ、
事務は三倍にも五倍にもなって仕方がないから、
地方のひまなところの
人員を削って、重点的に忙しいところへ持っていくのだという御説明では、私は
納得がいかない。
登記事務というものは、個人の権利保全にとって非常に重要な
事務であります。
登記事務の手違い、間違いから、非常に痛々しい事案を生み出したことも世の中にたくさん例がある。そういう点から
考えて、法治国家と申しますか、すべての権利を法によって保護する、確認をするという建前をとっておる現在の制度からいいまするならば、幾らいなかの
事務の少いところでも、なくしてしまうことは非常に問題である。
前回の
委員会で、鍛冶
委員が非常にいいことを言っておられました。山の中で就学児童が少いからといって小学校をなくしていいか。これはその
通り、一人でも二人でも必要なところには学校を置くということと同じであります。もちろん必要のないところには必要がないので、やめることに異存はありませんが、
人員が足りないのだ、手が足りないのだ、
都市の
事務が非常に多くなった。いなかは
事務が非常に少いから、いなかの人間を
都市に持ってくるという
考えなら、私は
一つ根本的に
考え直してもらいたいということを率直に申し上げるのであります。どうもこの前の
委員会からの説明を伺っておりましても、
納得がいかない。
事務の
合理化、機構の
合理化という点については、お
考えの点も
理解し得ないことはありませんが、しかし、実際の面から
考えますと、
村瀬委員が前会からるる熱心に言っておられると同じことに私もその点
考えるわけであります。現に私のところにも、二、三のところからぜひ
登記所を残してもらいたいといって陳情が来ている。
地元の人々がぜひ
登記所を残してくれと言うのは、必要があるから残してくれと言うのであって、必要のないものを、こんな
役所を残してくれなんて言いやしません。何も
登記所があったって、村や町の繁栄の足しになることもありませんから、そういうことを言ってくるわけはないはずであります。そういう要望があるにかかわらず、
人員の都合とか、
経費の都合でいなかの
登記所をなくすということは、これは建前として間違いだと思う。もしも都会の
事務が繁雑になり、
件数が増大して
人員が足りない、
処理上困るというなら、それに必要な
人員を増す予算を十分取るということは、
政府として当然やらなければならぬことだと思うのであります。その点ごく懇意な
大臣ですから率直に申し上げるのですが、ぜひお
考え直しを願いたいという気がするのであります。
村瀬委員の言われますように、かりに半年なり一年なり先にこの
登記所をやめる、こういうことを周知徹底せしめるということはなかなか困難でありまして、実際お百姓をしている人に、一戸々々回って、
登記所が一年以内になくなるから、何かお前さんのところに
登記事務がありませんかということをふれ回すことはできはしません。あそこに
登記所があった、行ってみたらなくなっちゃっていた、さあどうするということになるのであります。そういう点は十分にお
考え直しを願いたい。
大蔵省が来ておられますが、最近だけではなくて、前前
——戦時中からでありますが、どうも法務省
関係で、いつも
大蔵省にいくと、あまり待遇がよくないようです。これでは困るのです。そのことのゆえに、正直に申しますと、法務省
関係の
委員会なんかやるなという声がある。熱心にやってみたって、選挙の足しにもなりゃしないし、
法務委員会なんか熱心にやっておると、次の選挙に落選するぞとよくいわれる。そういうことであってはいかぬ。特に裁判、司法というものが民主
政治の根幹をなすならば、その方面に必要な予算、手当というものは、
大蔵省も十分に
考えていただかなければいかぬと思う。これは、私たちは、ただ法務省が怠慢だ、法務省が怠けていると言うだけではいけないので、十分に
大蔵省の方も、法務省の要求、要望のあるところを謙虚な立場から聞いてもらいたい。あっちからも陳情、こっちからも陳情、陳情だけで予算が組まれるのでは、私はほんとうの
政治というものはゆがめられてしまうと思うのです。おとなしい、静かにものを言っておる、かけ引きの足りない法務省あたりの要求はいつでも冷遇されるというようなことでは大へんだと思う。そういう点は十分お
考え願いまして、この
登記所の廃合についても、必要のないところはやめてけっこうですが、必要のあるところは、
人員の都合あたりで
整理するのはやめてもらいたい。本
年度一年待って、来
年度大いに
一つ大蔵省にも
考えてもらって、
人員を二千人でも三千人でも、必要なだけふやしてもらえばいい。そして、せっかくある施設を、何もやめて、必要になったらまた敷地を買って建物を建てる、そんなばかなことはよけいなことなんです。せっかく
登記所があるのですから、人手が足りなかったら一年延ばして、来
年度は
人員の点について、十分
大蔵省に考慮してもらう。
都市の
事務が煩瑣になって手の足りないところ、手不足のところは、
大蔵省の方でその点も法務省の方と十分御検討の上、人手をふやしてもらって、
能率の上るようにしてもらう、そういうことの方が私は実際の
政治だろうと思うのです。これは
法務大臣からも、大蔵当局からも、率直な御意見を伺いたいのであります。