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1959-02-13 第31回国会 衆議院 法務委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年二月十三日(金曜日)     午後一時二十五分開議  出席委員    委員長 小島 徹三君    理事 鍛冶 良作君 理事 田中伊三次君    理事 福井 盛太君 理事 村瀬 宣親君    理事 井伊 誠一君       綾部健太郎君    小澤佐重喜君       馬場 元治君    三田村武夫君       猪俣 浩三君    大貫 大八君       神近 市子君    田中幾三郎君       中村 高一君    志賀 義雄君  出席政府委員         検     事         (大臣官房司法         法制調査部長) 津田  實君         検     事         (刑事局長)  竹内 壽平君         検     事         (民事局長)  平賀 健太君  委員外出席者         最高裁判所事務         総局事務次長  内藤 頼博君         判     事         (最高裁判所事         務総局人事局         長)      守田  直君         専  門  員 小木 貞一君     ————————————— 二月十三日  森吉町米内沢に簡易裁判所設置に関する請願(  鈴木一紹介)(第一一七三号)  占領軍による被害補償に関する請願小川平二  君紹介)(第一二四八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出第六五号)(  予)  裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出第一一九号)  検察官俸給等に関する法律等の一部を改正す  る法律案内閣提出第一二〇号)      ————◇—————
  2. 小島徹三

    小島委員長 これより会議を開きます。  下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案裁判官報酬等に関する法律の一部を改正する法律案、及び検察官俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案、以上三案を一括議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。  志賀義雄君。
  3. 志賀義雄

    志賀(義)委員 きょうの委員会審議に入る前に、刑事局長にお伺いしたいのですが、きょう閣議で、朝鮮人の帰国問題について内閣方針がきまったそうであります。これは人権を保護するという意味からやられるので、やむを得なかった面もありましょうが、自民党の内閣としては珍しい決断をされたものと思います。しかし、こういうふうに日本におる朝鮮人人権を保護されるなら、なおさら国内の日本人の人権ということも同様に考えられなければいけないのでありますが、きょう参議院で社会党の亀田得治議員が緊急質問されました大阪平野警察署スパイ事件であります。これについて、検察庁本庁の方としては、お調べになっておられるのでしょうか。これは大阪法務局の方へ照会して——毎日新聞によりますと、二月七日に、法務局調査の結果、スパイをやらされておった「全逓労組住吉支部執行委員上田利男氏に出頭を求め、事情を聞いたが、人権侵犯の疑いが濃くなったので、さらに真相を究明する。」ということになっております。これはただ人権擁護局の方で調べられるばかりでかく、検察庁の問題として調べられる予定があるのでありましょうか。と申しますのは、被害団体の方で、この事件について問題にするという方針をとっておるようであります。その場合、あなた方の方で何も知らないということでは済まないと思います。それについては何か方針がきまっておりましょうか。その点について調査をされたかぐうか。これはどうしても調査されるべきものだと思いますが、その点についてあわせて伺いたいと思います。
  4. 竹内壽平

    竹内(壽)政府委員 ただいまお尋ね大阪警察官スパイ行為の問題でございますが、お尋ねの中にもございましたように、法務省といたしましては、まず法務局人権擁護部におきましてこの問題をいち早くとり上げまして、今お話のございましたように、関係者から事情を聴取しておる段階でございます。なおさらに引き続きまして、警察官側意向をも聴取した上で、何がしかの判断を下そう、こういう工合に私ども伺っております。  なお、検察庁におきましては、この問題が大きく新聞にも報道されましたので、関係警察から事情は聴取しておるようでございますが、なおこの問題について、たとえば職権乱用であるとかいうような告訴告発はまだ出てたいようでございます。もしそういう問題が起ってくるならば、当然検察庁としまして取調べすべきものでございますが、もちろんすることと存じますが、今この段階におきましては、告訴告発も出ておりませんし、進んでこの問題を取り上げておるということはまだ報告を受けておりませんので、事情をつまびらかにしていない状況でございます。
  5. 志賀義雄

    志賀(義)委員 もう一点。例の菅生事件戸高警官について、被告なり弁護人の方から告発がありました。あの問題も、それが起訴されたのかどうか、ほったらかしになっておるようであります。どうも事警察に関すると、検察庁の方では、非常にせっつかれてもやられない実情があるのです。ただいま告発があった場合にはと言われますけれども、これほど重大な問題になっておりますから、告発の有無にかかわらずこれをやられる御意向があるかどうかということとあわせて、例の戸高警官に対する被告人側からの告発、あれはどういうふうにしたのかということも伺いたい。私の結論は、もう少し警察に対して積極的におやりになりませんと、最近までにいろいろ暴露された事件では、結局警察事件をでっち上げて、検察庁裁判所もそのレールに乗って走っておるという事件が幾つも出ております。その点について……。
  6. 竹内壽平

    竹内(壽)政府委員 警察のやった行為につきまして、検事あるいは検察官検察庁といたしまして、これを同情的に見て処理がおくれるというお話でありますが、私どもといたしましては、さような考えはついぞ持ったことはないのでありまして、この点は厳正公平にやっておるつもりでございます。しかしながら、本件につきまして検事検察権を発動するかどうかということになりますと、検察庁といたしましてはその前に、私ども新聞で報道されておる程度しか存じておりませんが、その事実関係をある程度明確にいたしませんと、検察権対象になるかどうかということは疑問でございます。従いまして、検察庁といたしましては、まず調査するか捜査するかという問題の前に、本件の事案の真相というようなものにつきまして、十分知識を持つことが必要であろうと思います。そういう意味におきましては、検察庁といたしましても、十分関心を持って成り行きを見ておるわけでございます。
  7. 志賀義雄

    志賀(義)委員 いずれここで報告を願えますね。——それから戸高が起訴されましたかどうか。
  8. 竹内壽平

    竹内(壽)政府委員 あの件はただいま捜査中でございます。
  9. 小島徹三

  10. 村瀬宣親

    村瀬委員 本日の議題に入ります前に、簡単に法務局支局整理統合の問題についてお伺いしたいと思います。これは、その地方民にとりましては、経済活動その他に非常に密接な関係がございますので、法務大臣から伺いたいのでございますが、本日御出席がないようでございますから、民事局長にやむを得ずお尋ねをいたします。  承わるところによりますと、近く各府県法務局出張所というものは、一人とか二人とかという小さいところを廃止してしまうような御方針かのごとく仄聞いたすのでございますが、これは再編成の基本方針でおやりになるのか、ただ一部をやめてしまうというだけの御方針でございましょうか、その基本方針を承わりたいのでございます。登記をいたしますには、いなかでは一日、二日を要するというような関係もございますし、また農地の関係府県知事の許可を要するというような関係もございまして、登記事務地方民との関連ははかり知れないものがあるのでございます。この地方支局設置につきましては当然歴史もあり、また地方自治体におきましては相当庁舎その他において協力もいたしております。それを突如として一方的に廃止されるということになりますと、特に農民等におきましては、とほうにくれる場合もあるのであります。泊りがけで登記に行かねばならぬというようなものもあるのでございます。昔は相続でもするときに、一度登記所の御厄介になるというような事態があったかもしれませんが、最近はあるいは未墾地買収の問題、あるいは道路の整備等によりまして田畑が寸断されるということもございますし、また山林の移動も近年の傾向としては非常に頻繁になって参っておるのであります。これらの点につきまして、どういう御方針で、またその廃止を決定なさるについては、本省指示をなされたのか。しかし、本省としては、地方事情あまりお詳しくはないでありましょうから、府県法務局に一任されるのか、それとも審議会等を作って、慎重に取扱い件数その他を御調査になった一つの基本的な指示案というようなものがあるのかないのか、あるいは数は一体どのくらい整理をして、どのくらい新設をして、どのくらい統合するのであるか、これらについての基本方針を承わりたいのであります。
  11. 平賀健太

    平賀政府委員 現在登記所と申しますのは、法務局の本局が全国で四十九庁、支局が二百三十七庁、出張所が千八百ございまして、合計二千八十六庁全国にあるわけでございます。それで、この登記所におきまして登記事務に従事しております職員が、約七千名いるわけでございますが、最近におきまして登記事件が実は非常にふえて参りまして、現在七千名の職員でもっては十分にまかない切れない。ことに取引の活発でありますところの都会地におきましては、職員事務負担量が非常に増加いたしまして、その日のうちに事件処理し切れなくて、二日おくれ、三日おくれ、はなはだしいところになりますと、一週間おくれるというような状況にあるわけでございます。ところが他方、七千人の職員では不足するからと申しましても、現在の国家財政の見地からは、登記事務従事職員の数を増加するということが非常に困難な状況であるわけでございます。この全国二千八十六カ所の登記所事務負担量というものは、そういうふうで非常にアンバランスがございまして、どうしてもあまり忙しくないところの職員の数を忙しいところに回しまして、全国的に負担をならすということが必要になってきております。その現状を放置しておきますと、都会地の忙しいところの登記所事務が非常に遅滞するゆゆしい状態に立ち至っておるのでございます。そういう状況にありますために、交通の利便なんかも十分考慮いたしまして、地元にさほどの御不便をかけないというところを選びまして、事件数少い登記所もよりのより大きい登記所の方に統合いたしまして、事務能率を高めようということで現在統廃合をやっているものでございます。どこに登記所を置くかということは、法務省令で定めることになっておりまして、現在のやり方といたしましては、現地実情を十分調査させまして、本省の方に報告させまして、法務省令でもって統廃合を実施いたしておるわけでございます。この統廃合方法としましては、登記所廃止するという方法と、その登記所事務もよりの他の登記所委任するという二つ方法がございますが、主として事務委任の形によって現在統廃合を行なっております。大体以上のような事情でございます。
  12. 村瀬宣親

    村瀬委員 統廃合というお話が出ましたが、結局は廃止ばかりでございますか、それともこれは一つ取扱い区域を能率的にしようというのでございますから、今二人おるところに、ほかの大きなところから三人か四人持ってきて、そして取扱いの地域も適当に再配分をするということもあり得ると思うのでございます。むしろそういう観点にこそ立つべきであると思うのでございますが、今やっていらっしゃる分は、ただ廃止ばかりでございますか、それとも今二人しかいないところに、二十人おるところから五人持ってきて、そこは七人にして広い範囲を扱う。そのかわり二十人おったところは五人のけばあと十五人でございますが、それを十五人でやっていく、そういうような案もお考えなのでございますか。その点、これは将来府県統合とか、いろいろな場合にも及ぶものでございまして、その基本的な方針を承わりたいのでございます。  それから、今の御説明によりますと、都会に非常に事務負担量が多い。いなか少いところを廃止をするというお話でございまして、バランスをとるということは当然と思うのでございますが、そういたしますと、たとえば、愛媛県が何人でどのくらいの扱い件数がある、東京都は一人が三千件持っておる、それはアンバランスだから統合廃止をして、愛媛県から何人東京へ持ってこようとなさるのでございますか。そういう一覧表等はできておるのでございますか、それを承わりたいのであります。
  13. 平賀健太

    平賀政府委員 現在行なっております統廃合方法は、一例を申し上げますと、ここに甲という登記所があるといたしますと、大体今統廃合対象になっておりますのは、職員が一人あるいは二人、三人とかいう工合に、非常に職員数少い——事件少い関係職員少いわけでございますが、その甲登記所事務を隣接の乙登記所の方に委任をする。甲登記所のやるべき仕事乙登記所委任してやらせるという形でやっております。形の上では甲登記所というのもやっぱりあるわけでありまして、全然廃止してしまうわけではございません。廃止ということもたまにはやっておりますけれども、ほとんど全部廃止という形をとらずに、甲登記所事務乙登記所委任するという形でやっております。従いまして、もし甲登記所の管内で、たとえば今後非常に産業が発展するというような特殊事情がございまして、事件数が非常にふえてくるというような事情があれば、この事務委任を解きまして、また甲登記所本来の管轄区域登記事件甲登記所でやるという可能性も今後に残してあるわけであります。大体そういう形でいわゆる統廃合を実施いたしております。  それから一覧表というお話でございましたが、先ほど申し上げましたように、全国登記所事務量は非常にアンバランスでございまして、全国的に定員の再配分ということを目下計画しております。今まで精密な一覧表は、目下のところまだできておりませんけれども、この統廃合の結果をも考慮いたしまして、再配分計画を立てたいというので、目下その計画を立案中の段階でございます。
  14. 村瀬宣親

    村瀬委員 登記所廃止はしないで、たとえば甲登記所乙登記所事務委任するというお話でございましたが、そういたしますると、二千八十六カ所は全部置いておくのでございますか。そうして、置いておいて、しかも実際人はおらぬというようなところが何カ所くらいできる御予定でございますか。これはしかしかなり重大な問題でありまして、登記所廃止しないんだ、ただ委任をするということになりましても、今あります庁舎その他は一応閉鎖ということになる。それはそのあとの売り払い処分をなさるのでございますか。大体地方町村が家を建てて、長い間これを登記所に無償で貸しておるとか、さらにこれから予算も組んで、町村において老朽化したものは建て直そうという計画もあるのでございますが、それを登記所は置いておくが、人は全然引き揚げていってしまう、それじゃその建物は要らぬということになるわけでございます。今の御答弁では、事務量がふえた場合にはそれはまた復活して人を置くんだという御方針のようでございますが、その御方針ならば、今後再設置をするときにはたちまち庁舎が必要になって、膨大な予算全国でございますならば、要ることになるわけでございます。登記所廃止しない、ただ人は全然引き揚げてしまう、こういうふうなことが、官庁にほかに例があるのでございましょうか、承わりたい。
  15. 平賀健太

    平賀政府委員 仰せの通り、事務委任と申しましても、現実にそこに職員はいない。それから庁舎も、もし市町村から借り上げておるような庁舎でございますと、市町村にお返しをする。法務省所管国有財産でありますと、これは大蔵省にお返しするということになるわけで、形の上ではとにかく一応登記所はあるということになっておりますが、実際はない。廃止あまり実情は変らぬわけでございますけれども、もし先ほども申し上げましたように、将来やはりそこに登記所を置いておいた方がいいというような実際の必要が生じました場合には、あらためてまたそこで庁舎も設営しなければならぬ、そういう必要が起ってくるわけでございます。
  16. 村瀬宣親

    村瀬委員 私は今御答弁を伺いますと、どうもこういう処置は異例に属することで、今まであまり聞いたことはございません。地方建設局とか、その他いろいろ中央集権を多少でもやわらげる方向に、今日の政治は向っておると思うのでございますが、今までなかった地方建設局でも二カ所もできておることでございますし、国民の便利ということを考えます場合には、やはり長い間歴史があり、必要があって、それらの登記所も置いておかれたものでございまして、その官庁を簡単にやめてしまう。御答弁にありませんが、一体何か所くらいこれはやる御方針なのでございましょうか。必要があればまた置くとおっしゃいますけれども、今現に必要なんでございます。ただ取扱い量が比較的都会に比べて少いということはあるかもわかりませんが、それはそういう地方行政事務はいろいろあるのでございまして、戸籍であれ何であれ、いなか都会といつも同じ事務量でなくてはならぬということは、理想ではありましょうが、そういうことは不可能なのであります。これはただ認定の問題でございまして、あまり極端なものはそれは廃止するのもやむを得ないかもしれませんが、ただばく然と登記所は置いておくが、委任して、そこをなくしてしまう、庁舎大蔵省に返してしまうというのでは、非常に変則な処理で、私もあまり納得がいきかねるものがあるのでございますが、それはまた後日一つ詳細な表でも作っていただきまして、大臣から御答弁を伺いたいと思います。たとえば、東京の非常に事務処理が多い五日もかかるというところへ何人地方から抜いてくるおつもりでございますか。何県から何人抜いてきてどう配置をなさろうとするおつもりですか。登記所の役人は、地方的な、長いことこつこつとおもしろくない仕事を克明にやっておるのでございまして、すぐ東京に出てこないかといっても、これは来るか来ぬか、そういう人事異動あまり役所でもやっておらないと私は思います。命令一本で北海道の者を、北海道事務少い東京事務が多いからお前出てこいといって、果してそうスムーズに人事異動ができるかどうかも問題だと思うのであります。そういう点を十分に御吟味なさって、これならば当然国家行政として非常に国全体の利益になり、予算執行が公平になり、また国民もそう大して不便を感じないという見通しのもとにやられるべきであって、きっとこれは府県法務局へまかされておるのでないかと思うのでありますが、何県では九カ所廃止するとか、何県では六カ所廃止するとか、そういう扱いにまだ地方民納得のいかない政治が行われかかっておるのではないかという心配がいたすのでございます。その点一つ私は詳細な資料を後日に御要求いたしてきおます。  それからもう一つ、最後に一点。そういうきょうの御答弁のようなことであるといたしますならば、私はこれはいつまでにやらねばならぬという性質のものではないと思うのであります。地方にやはり十分納得をさして、そしてそれはやむを得ぬという得心の上にやるべきであって、地方町村からも今まで相当の協力負担を仰いでおるのでありますから、もうあしたからやめますというようなやり方では私はこれはよくない、かように思うのでございます。そこで、いよいよいろいろな資料をお作りになって、ここは事務量少いから、また交通の便も大して不便でないからどうしても廃止するといいますか、他の登記所委任をしようというようなことを御決定になりました場合は、期間はどのくらいお置きになる御予定でございますか。私は少くとも一年あるいは十カ月というものは、いつからこれはこういう事情廃止をするのだ、であるから登記の未済のものは一つこの間に早くやってしまえと言うことも、親切な政治だと思うのでございます。あしたから、来月からやめますから、何月一日からやめますというようなことで切り捨てごめんのような政治では、私は今まで協力してきた地方自治体に対して非常に不親切な方法だと思うのでございます。その廃止予告期間というようなものは、どのようにお考えになっておりますか。
  17. 平賀健太

    平賀政府委員 先ほど申し上げましたように、登記所の数が全国に二千八十六カ所あるのでございますが、おそらく国の出先機関でこんなにたくさんの出先機関があるところは、他にないと思うのでございます。そういう関係で、他には例のない事務委任というような措置をとらなくてはならぬ状況にあるのでございます。大体統廃合対象になります庁というのは、職員が一人二人あるいは三人と、ほかの出先機関でこんな職員の数の少い役所というのは、とにかく登記所だけであろうと思うのでありますが、実際その担当をしております仕事を見ますと、登記事件もきわめて少いところが多いのであります。たとえば、東京あたりでありますと、登記事件一人当り年間の事件数が二千五百件ぐらいの負担が現在あるわけでございます。こういうところは、千件以下五百件、六百件、千件ちょっと上回るところもございますけれども、非常に少いので、一人人員を配置しておくのはもったいない、あるいは一人では少し荷が勝ち過ぎるが、二人では職員の数が多過ぎる、一人半で足りる、そういうところが多いわけでございます。その事務を隣の登記所委任いたしますと、隣の登記所定員を増加しないでもって、隣の登記所でこなせる、そうすると人員が一人浮く、あるいは二分の一、半人浮いてくるということで、そういうわけで人員の余裕ができてくるわけであります。そういうわけで、忙がしいところへ回して定員をふやしてやる。でありますから、必ずしも先ほどお話のように現実事務委任になりましたその登記所職員を、東京転任せいとか、大阪転任せいとかいうことになるわけではないわけでございます。とにかく定員を浮かしまして、忙がしいところへ定員をふやしていく、そういうことになるわけでございます。  なお現在の二千八十六カ所の登記所と申しますのは、大体明治年間に、明治三十年代あるいは四十年代に設置されたものがほとんど全部でございまして、当時としましては、交通の便も悪うございますし、できるだけ登記所を多数作っておくことが住民のために便利だということで、多数の登記所ができたのだと思いますが、現在におきましては、交通機関も非常に発達しておりまして、今はなはだしい例になりますと、一つ町村の中に二つ登記所があるというようなところもあるわけでございます。その間の距離は、歩いて行けば大へんでありますが、バス、電車あるいは汽車という工合で一日何回も往復の便利があり、二十分、三十分、まあ一時間ぐらいで行けるというようなところが非常に多いわけでございます。そういうわけで、統廃合対象としておりますところは、そういう工合交通の便利が、事務をそこでやらないことになりましてもそう悪くない、地元にはそう御負担はかけないというところを現地でよく調査をさせまして、そうして本省の方に報告をさせ、こちらで十分検討いたしまして、全国的なバランスを見まして、ここはよろしい、ここは見合せろという工合本省十分検討を加えまして、計画を進めておるわけでございます。決して現地まかせ、現地に一任ということではないわけでございます。  それから時期の問題でございますが、先ほども申し上げましたように、現在全国登記所事務負担量に非常にアンバランスがございまして、忙がしいところの登記所事件が非常に渋滞をいたしておるのでございます。一日もできるだけ早く現状を、アンバランスを是正しなくちゃならぬという必要に迫られておるわけでございます。そういう関係で、法務省の方といたしましては、できるだけ早くこの統廃合を実施いたしたいと思っておる次第でございますけれども、さればといいまして、あしたから、あるいは来月早々という工合に抜き打ち的に統廃合を実施するようなことがありましては、これは地元に多大の御迷惑をかけますので、十分現地におきまして統廃合をすべきものときめました場合におきましては、現地地方法務局長に命じまして、市町村の当局と十分折衝をし、事情を説明し、また現地事情もよく伺ってやるように、決して抜き打ちに無理をしてはいけないということで、そこは十分に慎重に処理いたすようにと心がけておる次第でございます。ただ、そういう関係で、このアンバランスの是正ということは、私ども法務省としましては、なるべく早い機会にやりたいという関係上、一年あるいは二年という猶予期間を置いてやるようなゆっくりしたことが許されないような情勢に現在ございますので、できるだけ早くということを私どもとしては希望いたしておる次第でございます。
  18. 村瀬宣親

    村瀬委員 御答弁を聞いておりますと、次々にちょっと疑問が出るのです。あなたの御答弁によると、私は職員整理というものにこれは結局なってくるんじゃないかという心配が出てきたのです。と申しますのは、北海道登記所を云々したからといって、それでその者がすぐ東京へ来るかといいますと、そうではない。今の御答弁では東京と付近でやることにしようというようなことでございますが、そうするとそれは府県単位でおやりになるというのでございますか。そうでなければ、何カ所を整理なさいますか。二千八十六のうち百なさるのか、百五十なさるのか知りませんが、それらの職員が県内におさまるというならば、これはアンバランスが防げるかどうかは私は疑問だと思うのであります。非常にわかりやすいのは、いなかでは一年に千件くらいのところがある。また東京では一人が三千件も扱っておる。このアンバランス整理しようというのはよくわかるのでございますが、それならば、もっと基本的に調査をなさって、あるいは長野県からは何人とか、あるいは高知県からは何人抜いてくるということがはっきりしないことには、この事務委任ということは私は目的が達せられないと思うのであります。それとも高知県は高知県だけで、高知県で五カ所を廃止して、それは高知市へ全部収容するのだ、こういう御方針なのかどうか、そういう必要があるのかどうかという点、私は非常に疑問を持つのでございまして、やり方によっては、これは職員整理ということが当然派生的に出てくると思うのでありますが、そういうこともお考えなのかどうか。いわゆる県別で片づけるのか、市で片づけるのか、今のお話では一町村二つもあるところがあるそうでございますが、そういうところを整理するのには私は何ら異議はございません。ただ櫓をこいで隣の島に渡らなければ登記所がないというようなところや、また現に耕地買収等で登記事務が盛んになってきておる、あるいは道路の一兆円計画によりまして新線が続々と出まして田畑が寸断されて、多くの登記事務が今そこに山積しておる、そういうところをも、従来扱いが少かったからといって、勝手に整理をしてしまわれる御方針なのかどうか、この点非常に疑問を持っておるのでございます。それが一点。  もう一つは、期間の問題でございます。早くやらねばならぬという御答弁でございますが、それは何も今急に突発したわけではないのでありまして、あるいは去年から計画を立てて、一年以内にどこは委任事務廃止をするのだということは去年からやってもいいわけでありますし、またことしから始めたところは、十カ月なら十カ月の期間を置いて、そして委任をするのだというようなことも私はできると思うのであります。と申しますのは、この農地は、知事の許可を得なければ、農業委員会とかなんとか手続がありまして、いなかの農民は非常に純朴でありますから、登記ができぬでも自分が作っておればそれでよいというので、一年や二年はそれで過しておるというのが多いのであります。しかし、ここで登記所がなくなる、泊りがけで登記をしに行かなければならぬということになりますと、それがはっきりわかりますように農業委員会に急がせ、知事にも急がせて、早く片づけておこうということになるのであります。それにはやはり十カ月なり十一カ月の期間を付して、いつから廃止をするということを知らせるのが当然の処置だ、私はかように思いますので、もう一度それに対する御答弁を承わりますとともに、先ほど申しましたいろいろな資料一つ一覧表にして御提出を願います。
  19. 平賀健太

    平賀政府委員 第一の御質問の定員関係でございますが、現在法務局関係登記関係職員は、先ほど申しましたように約七千名いるわけでございますが、これはただいま仰せのように、何県には何人という工合に配置してあるわけではございません。正確に申しますと、私の方では何法務局あるいは何地方法務局管内には何人という工合定員が配置してあるわけでございます。ところが、県別に見ましても、やはり全国的にアンバランスが非常に大きいわけであります。たとえば、一例を申し上げますと、東京とか大阪定員の割に非常に事件数が多い。その関係職員一人当りの事務負担量が非常に多くなっておる。それからまた東海道筋あるいは山陽筋は、裏日本、山陰方面に比べて、定員の割に事件数が多くて、事務負担量が多いという工合に、現在ではかなりアンバランスがあるわけであります。そういう関係全国的に県単位に、法務局単位ごとに定員を再配分してならさなくてはならぬという必要に迫られておるわけであります。その定員を何人にするかという場合に、ある県内、ある法務局の管内に登記所が何カ所あるかということは、これは非常に重要な要素になってくるわけでございまして、その県内の登記事件数はかりに少くても、山間僻地なんかが多くて登記所の数をたくさん置いておかなければならぬところは、どうしても人をたくさん置かなければならぬということで、登記所をどれだけ置くかということが非常に重大な問題になってくるのであります。この定員の再配分を行います場合には、どうしてもやはり登記所の統配合という点を前提に考えなければいけないということに相なるわけでございます。でございますから、この定員の再配分を合理的にやるには、できるだけ早い機会に統配合を実施しまして、事務負担量バランスをとりまして、そして、全国的に見まして、登記事件処理を迅速にしたいというのが私どものねらいであります。ここに資料がございませんので申し上げかねますが、たとえば松山管内に現在定員が何十名かあるいは何百名か配置されておる。統配合の計画も考慮に入れまして、たとえば定員は現在よりも何名あるいは十何名、あるいは何十名減らしてもいいという判断に立ちました場合には、現実にその人をやめさせる、余剰の人員をやめさせるというわけではなくて、年々退職者も出て参りますので、退職者が出た場合に欠員を補充しないということでも定員の減を実際に実行していくことができますし、あるいは余っておる職員を隣の県、隣の法務局の官内に転任をさせるということでこれは処理できるわけでありまして、必ずしも先ほど仰せのように定員をこえる職員整理するということにはならないのでございます。むしろ私どもとしてはそういう方法ではなしに、再配分ということを実施したいと考えておるのでございます。  それから、第二点の期間の点でございますが、実はこれは早くからこの計画を実施しなくてはならぬということで検討を進めているのでございまして、実際着手しましたのは昨年からでございます。昨年からずっとこれを実施いたして参りまして、現在すでに四十数庁を全国にわたりましてこういう工合統合を実施してきたわけでございます。ただこれが一律にできませんのは、統合するにいたしましても、隣の登記所に受け入れの余地があるかどうか。現実問題といたしましては、その登記所事務を隣の登記所委任いたしますと、登記簿その他の書類、帳簿類を、甲登記所から乙登記所に移さなければならぬ関係で、乙登記所の倉庫が狭かったり何かいたしますと、直ちに事務委任ができないということがございまして、受け入れ庁の庁舎関係が重大な要素になってくるわけでございます。そういう関係で、現在までやって参りましたのは、受け入れ庁に受け入れの余地のあるところをまず先にということで計画を進めておるわけでございます。ただ三十四年度になりましては、若干登記所の施設の整備の予算が入りまして、倉庫の拡張あるいは事務室の拡張ということも可能になりましたので、この統廃合がそういう面では比較的容易にできるようになったように思うのでございます。ただ従来はそういう関係で、施設の関係の障害がございましたので、現在までのところわずか四十庁くらいしかできておりませんけれども、今後はもう少しこれを拡張いたしまして、大幅にこの統廃合を実施していきたいと考えておる次第であります。
  20. 三田村武夫

    ○三田村委員 関連して、——実は私も一度お尋ねしようと思っておった問題なんですけれども、私の手元にも二、三カ所から登記所をやめてもらっては困るという陳情がきているのであります。今、村瀬委員お尋ねに対する御答弁を伺っておりましても、私も納得できないのであります。正直申しまして、登記所というものは、役所の便宜のためにあるのではない。国民の便宜のためにあるのです。明治初年にたくさん作ったということは、新しい法律関係の上に国民の権利の設定をやるというので、そういう立場から非常に重要なんです。廃止されては困るという陳情の中には、やはり必要だから置いてくれという意見があるのです。ほかの役所と違いまして、法務局——登記所というものは、要らなくなれば国民はやめてくれと言うのです。村の発展にも町の発展にもなるものでないのなら、要らないものはやめてくれと言うのです。それをぜひ存置してくれという要望のあるところは、必要があるから置いてくれというので、今、民事局長の話を聞いておりますと、勤務量のアンバランスということを言いますが、もし勤務量のアンバランスがあって、非常に事務量の多いところに人員が足りないなら、そこの人員をどんどんふやされて、そういう不便のないようにされればいいのです。たとい地方の小さな登記所でも、一人二人おることが必要なんです。一年のうちに何件か知らぬけれども、そういうものがあって、国民の権利保全のために、権利設定のために法律上の効果を与えてくれることが必要なんです。ただ今の定員から、勤務量にアンバランスがあるから、その勤務量の少いところの人員を減らして、東京とか大阪とか多いところに持ってくるという考え方は、少し私の考え方とは違う。これは役所の便宜のためです。そういうことでは、私はしばらく待ってもらいたいと思う。これは法務大臣に出てきてもらって、やめてもらいたいと思う。委員会の名において要求します。われわれは、そういうことでは承服することはできません。勤務量のアンバランスだけで統廃合言をやる、それは私は少しおかしいと思います。役所の便宜のためにあるのじゃないのです。登記所法務局ですが、全国で二千何百、これくらい多く出先の官庁を持っておる役所はないと言われましたが、それは必要があるのであって、必要があればどんなに出先官庁が多くてもよいのです。法務局——登記所がなくなったことによって、ただそれだけのことでこの権利設定ができないために、非常に大きな損失を一生背負い込む人があるかもしれません。これは少し統合整理の観点が違いはしないかということを考えるのです。私は特に強い意思を持って再考を求めます。今の民事局長お話だけでは、納得できません。村瀬委員の御発言の通りに、この問題は法務大臣に来てもらって——今の勤務量のアンバランスだけでおやりになるならば、私は反対であります。必要な人員が足りなければふやせばよいのです。大事なことですから、どんどんふやしてもらってけっこうです。大蔵省予算を出さないはずがないのですから、予算を出さなければ別ですが、大蔵省関係官に来てもらって、私は国民の名において要求いたします。私はぜひ一つ再考をわずらわしたいと思います。一応民事局長の御所見を伺っておきます。私は少くともこの村瀬委員の発言に対する民事局長答弁には納得できません。
  21. 平賀健太

    平賀政府委員 登記所は、ただいま仰せのように、私どももあくまでも国民の便宜のための役所だと考えておる次第でございます。そういう関係で、私どもといたしましても、明治年間設置され、地元に非常に愛されて参りましたこの登記所を、地元の反対を押し切りまして廃止する、あるいは事務委任をいたしまして、事実上廃止したと同じような状態にするということは、私どもとしても実に忍びないことであるわけでございます。できるだけこういう方法は避けたい。できる限り登所の数はたくさんあるに越したことはないのでありまして、それを私どもとしてももとより希望いたすのでございますが、最近におきます登記事件の増加というものは実に著しいものがあるのでございまして、昭和二十六年当時でありましたが、まだ戦後間もないことで取引も活発でないという関係で、全国登記件数が一千五百万件程度であったのであります。ところが昭和三十三年度になりますと、三倍以上の五千万件に実はなっておるのでございます。その間に登記所の従事職員がどれくらいふえたかと申しますと、ほとんどふえていないのでございます。法務省といたしましても、こういう状況でありますので、年々この登記所職員の増員を要求しております。昨年も一昨年もその前の年も、ここ数年来毎年々々この予算の折衝の際には、登記所職員の増員を要求して参りました。それで昭和三十四年度予算におきましても、実は約千名近くの増員を要求したのでありますが、一人として増員を認められない状況に立ち至っておるのでございます。そういう関係で、しかもこの事件の増ということが全国登記所すべて一律というわけではないのでありまして、横ばいのところもありますし、もう急激に二倍、三倍あるいはそれを上回る増加を示しておるという先ほど申し上げたようなアンバランスの状態でありまして、定員の再配置ということは、どうしても現状では避けがたい状況でございます。そういう関係で、地方事件数の増加の見込みのない小さい登記所、しかもそこを廃止しましても、隣の登記所まで地元の方が行かれるのに泊りがけでいかなければいけないとか、そういうことでは困りますので、三十分とか一時間の時間内に行ける、汽車、バスの連絡の回数も非常に多いというところを選びまして、やむなくこの措置をとっておるわけであります。役所の都合というよりも、やはり登記を利用される国民の便宜という見地からこれをやっておるわけでございます。その点、法務省としまして、こういう統廃合という措置をとらなくちゃいけなくなっておりますやむを得ざる事情も、十分一つ御了承いただきたいと、私どもとしてはお願いいたす次第でございます。
  22. 三田村武夫

    ○三田村委員 ますます賛成できないのです。これは法務省の無能と無責任を暴露する以外の何ものでもない。ここ数年来正要求したけれども人員一つもふえない、だから地方のやつを引っ返してくるのだ、これはとんでもないことだ。そんなことでは絶対に承認できません。村瀬君の御要求の通り、資料を整えて——今のお話のように件数が三倍にも五倍にもなっておるなら、人員をふやすことは当りまえのことです。大蔵省から鼻であしらわれて、人員がふえないから地方を引っ返してくるとはとんでもないことだ。法務省の無能と無責任を暴露する以外何ものでもない。そういうお考えは直ちにやめてもらいたい。法務大臣一つ御協議の上、この問題について考慮してもらいたい。今の御答弁では少くとも私は承服いたしません。
  23. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 先ほどから聞いておると、件数だけを言うておられるが、件数少いからといっても、国民の便、不便が一番大事だと思います。人間が少いところは、学校まで要らぬということと同じことです。どんなに人間が少くても、山で十軒、二十軒しかない部落でも、学校を設けておるんですよ。それをなくしてしまえということと同じ議論になってしまうので、それはとくと御考慮願いたい。三田村さんが言われるように、件数がふえても、金がもらえないから廃止するというのでは、大へんなことですよ。われわれはこれだけ聞いたのだから、それに沿うてできるだけのことはいたしますから、あなた方もそういう考え一つやめてもらいたい。
  24. 三田村武夫

    ○三田村委員 それから、裁判官検察官の報酬及び給与に関する法案についての質疑でございますが、お聞きの通り、すっかりのどを痛めてしまって声が出ないので、きょうはきわめて簡潔に、一、二の点について政府の御所見を伺っておきたいと思います。従来裁判官検察官の給与に関する問題は、しばしば当委員会で論議されてきたのであります。毎国会というくらい改正案が出て参りますし、そのたびごとにやかましく論議されることは、一般の行政職との給与のアンバランスです。御承知の通り、日本の司法、検察の権威を高めるためには、りっぱな人材を裁判官検察官たらしめることが必要だ。これは識者のひとしく認めるところなのであります。検察官が一般の行政官よりもその行う職務の内容において高い権威を持っておるといっても、あるいはまた裁判官が司法の独立の名において、その独立を保全する意味において、非常に高い、神聖な地位だということを言ってみても、しょせん今の世の中ではそれに与えられる報酬、給与によって人間の価値判断をされることはやむを得ないのです。そういう意味から、どうしても司法官すなわち裁判官検察官の給与を高くしなければいかぬ、もう少し優遇しなければいかぬということは、しばしばここで論議されてきております。今回の改正案を見ましても、検察官裁判官の内部的なアンバランスだけ是正しております。しかし、この委員会で議論されてきました一般の行政職との間のアンバランスは、ますます開きが多くなるばかりであります。第二十六国会、昭和三十二年四月二十三日の当委員会において、私は当時この委員会委員長を勤めておったのでありますが、この問題について、この委員会として全会一致の附帯決議をつけておる。これは御承知と思いますが、「高等裁判所長官、検事長並びに裁判所長、検事正その他経験年数等においてこれらの者に準ずる裁判官及び検察官の給与は、一般行政官の上位者に対する給与改善が行われた関係上、これと比較するときは、著しく均衡を失するに至ったものと思料せられる。政府は、司法の使命の重要性にかんがみ、速かにこれを是正する措置を講ずべきである。右決議する。」こういう決議であります。十分その決議の趣旨に従って努力する、善処するという意思表示を当時法務大臣はしておられます。しかし、今度の改正を見ますと、ちっとも善処、努力の跡が見られないのであります。冒頭に申しましたように、検察官裁判官の中の均衡を一応とられただけで、一般行政職とのアンバランスはそのまま残っております。ますます開きが多くなっておる。検察官でも裁判官でもそうでありますが、これはできるだけ経験の豊富な、つまりその職務に従って年限を重ねた人が必要であることは言うまでもありません。新しい人でなくて、五年なり、十年なり、十五年なり、二十年なり、あるいは三十年なりの老練にして経験の深い人が必要であることは言うまでもない。ところが、給与の点を見ますと、老練になればなるほど行政官との比較が悪くなる。これは当委員会に御提出願った資料でありますが、資料を見て私は驚いたのです。裁判官と行政官の例を見ますと、判事補として任官してから十一年、これは行政職との比較です。このときは判事補の一級が四万一千円で、一般の行政職の二万七千三百七十円よりも高いのでこす。しかし、このままいくかと申しますと、任官二十五年になりますと、一般の行政職は、管理職手当、超勤手当を含めて八万一千円。ところが判事の方は七年間据置を食いまして、六万七千二百円になる。がたっと落ちてしまう。在職三十一年になると、行政職の方は九万円になる。判事の方は依然として七万二千円。一般の行政職と裁判官との給与がこのくらい開いてしまう。こういうことで、いい裁判官を求めるとか、司法の権威を高めるといったって意味がない。最初、この新しい制度ができた当時の事情を検討いたしてみますと、GHQあたりの示唆もあって、裁判官検察官の給与は一般の行政官よりも非常に高かった。ところがいつの間にか一般行政官の方がぐんぐん高くなっている。これも先ほどの私の言葉が悪いかもわかりませんが、私は法務省の怠慢か裁判所の怠慢かわかりませんが、大蔵省が金をくれぬから、予算を認めてくれぬから、予算を認めてくれぬからといつもこの委員会で言われる。私はそれだけでは済まされぬと思う。世上は裁判官の権威の高からんことを念願してやみません。今の裁判制度のあり方については、私はいずれゆっくりこの委員会で当局の意見をただしたいと思いますが、少くともこういうことでは、法曹一元化をやかましく言っても、いい弁護士さんは米ませんよ。そして十年、二十年ようやく判事としてあるいは検察官としてりっぱな経験を持った人は、こんなつまらぬことはもうやめちまえと、どんどん弁護士になってしまう、逆だと私は思う。経験を積めば積むほどその給与は高くなってこなければいけないのですが、経験を積めば積むほど行政官とのアンバランスがひどくなってくる。こんなおかしなことは私はないと思う。一体どうしてこういうことになっているのか。一つ納得のいくように御説明願いませんと、この問題は冒頭に申しましたように、私が委員長をしている当時にやかましくこの委員会で議論されて、そのことのゆえに附帯決議をつけた。二十六国会です。それから今日まで一つも実績として今度の改正の中に見るべきものがありません。その間の事情納得のいくように御説明願いたい。今の民事局長のように、大蔵省が金をくれぬからというのでは困る。納得のいくように、一つ裁判所当局、法務省から御説明を願いたいと思います。
  25. 津田實

    ○津田政府委員 ただいま三田村委員の御指摘の点は全く重々ごもっともでありまして、去る二十六国会におきますところの当時の衆議院のこの委員会の附帯決議につきましては、十分私どももこれを承知いたしますと同時に、非常に裁判官及び検察官に対する御理解の深いことを感謝いたしておる次第でございます。しかしながら、その後の給与改善につきましては、主としてベース・アップの形で推移して今日に至っております関係上、やはり従来の、言葉は十分でございませんが、惰性というものがある程度つきまとって参っておるわけでございます。御承知かと存じますが、この裁判官の俸給表並びに検察官の俸給表ができました昭和二十三年当時は、二千九百二十円べースでございました。そのときは判事につきましては一号が一万四千円、五号が一万円、この五号というのが一般行政職の十四級六号の各省次官クラスに当っておった。すなわち判事の最下位が各省次官のクラスであった。これは、とりもなおさず、判事につきましては、行政職と四割の優位にあったわけです。検事につきましては、判事の二号と検事の一号が同じでありましたが、これにつきましては、特別の者につきましてはやはり一万四千円をやるということで判事の一号と同じ、俗称特号というものがあった、そういう形で出発いたしておるわけでございます。そのときの四割優位であるということの考え方といたしましては、まずそのうちの一割五分、すなわち一五%は裁判官検察官の勤務時間が事実上長い、自宅においてもいろいろ勤務をしなければならぬということからくるいわゆる超過勤務手当を織り込んだという考え方であります。そのほかの四〇%から一五%を減じました二五%につきましては、これは裁判官検察官仕事の権威と申しますか、任用資格等におきましても、他の行政官と異なった試験等を経なければならないという仕事そのものに対する優位性と、さらにその職務に対する高度の廉潔性を要求しておるということに対する一つの国家の温情であろうというふうに考える次第であります。そういうわけでございまして、四割の優位を行政職の最高のものよりは持っておった、こういうことになったわけでございます。その後六千三百七円べースに上りました際に、判事の一号、検事の特号につきましては、二万四千円を与えられた。それに対しまして、一般行政職の最高俸は二万三千六百二十円ということになりまして、わずか数百円の開きになった。このときに非常に問題を含んでおったということになるわけでございまして、このときに四割の優位ということを貫くことができなかったということに端を発しておると思うのであります。それから後、ベースの改定がいろいろあったわけでございますが、昭和三十二年の改定におきましては、結局最高額は判事におきましては七万二千円、検事におきましても七万二千円、それから行政職におきましても七万二千円、こういうことになってしまったのであります。これはべースの改定ということだけで、裁判官検察官の俸給そのものの根本的制度の改正ということにわたりませんいわば手直しの形で進んでおったために、ここに根本的に裁判官検察官が行政職から俸給の面で優遇されるということができなかったというわけでございます。しかし、その理由はまだほかにもございまして、御承知のように、裁判官並びに検察官におきましては、裁判官につきましては最高裁判所長官のほか認証官たる判事がある。検察官につきましては、検事総長のほか認証官たる検事がございます。これらの認証官につきましては、御承知のように、最高裁判所長官につきましては総理大臣と同格であり、同俸酬であるという建前ができております。また最高裁判所判事につきましては国務大臣と同格である、あるいは検事総長も同格であるというような——これはまあ同格であることがしかるべきであるかどうかということは別といたしまして、長くそういう慣行によって特別職の俸給が定められておるということから、もはや現在の状態におきましては、判事あるいは検事のこれらの認証官以外のものは、俸給額はほとんど天井に近いということになるわけであります。そこで、かような認証官の裁判官検察官につきまして、一般職と別個の俸給体系を考えるように大方の御賛成を得なければ、とうていこの問題は解決しない問題だと私ども考えておる次第であります。もとより予算折衝等におきましては、非常な努力を法務省におきましても、裁判所事務当局におきましても払っておられるわけでありますけれども、この特別職と認証官たる裁判官検察官との関係がなかなか理解が得られないということから生ずるいわゆる頭打ちの状態が、今日の状態であるということを申すことができると思うのであります。その意味におきまして、まことに先般の決議の線にはなかなか沿いがたいことを遺憾といたしますると同時に、私どもの努力の足りないことを恥じる次第でありますけれども事情は右申し上げたような通りでございます。  そこで、今回の御審議をいただいております法案におきましては、判事、検事の最高は一般行政職の最高と一応並びまして、判事につきましては特別の者については一般行政職を上回る八万円という額を四月から認められることになるわけであります。これは今まで参りましたところの一般行政職の最高と同じという数年間の制度から申しますると、一歩前進したということは言えるだろうと思います。なお格段の努力を払いまして、裁判官検察官の給与につきまして、ただいま御指摘のような在野法曹からも進んでその地位につき得るような待遇を与えられることについて努力を払いたいと思います。それらの点につきまして、あるいは職務の内容等につきまして、非常に大方の御理解を賜わるよう、また特に法務省といたしては努力いたしたいと存じている次第であります。
  26. 内藤頼博

    ○内藤最高裁判所説明員 最高裁の立場から申し上げますが、ただいま三田村委員の御説明、御質疑がございましたように、国会におきまして裁判官の俸給について特段の御配慮をいただいておることは、私ども常にありがたく存じておる次第であります。御承知のように、裁判官の報酬が、ただいま御指摘がありましたように、必ずしも当を得ていない実情でございまして、ことに裁判官には十年という任期があるために、任期が到来いたしますと、とかく裁判官の職を去って、弁護士になるという人が出るわけでございます。そうして、相当数の欠員をかかえて日常悩んでいることは、御承知の通りでございます。どうしても、この点につきましては裁判官の報酬の相当の改正がなければ、なかなか十分な手当ができないというふうに考えられるわけでございます。ただ、裁判官の報酬は御承知のように、法律によって定められておりますので、その法案は、通常法務省が所管いたしておりはして、国会提出になっておりますで、最高裁判所といたしましてはその実情を訴え、意見を述べ、あるいは勧告をいたしておるわけでございます。ただいま津田部長から申し上げました通り、法務省の方の苦心もございますが、なかなか御期待に沿えないような事情になっておるような様子でございます。  ただ、今回の改正におきまして、ただいま津田部から指摘がございましたように、裁判官については一般職並びに検察官にない特号という特例が打ち出されましたことは、これは今述べられましたように、裁判官の職責にかんがみまして、一歩前進したということは申せるかと存じます。  なお、全面的な改正につきましては、私どももぜひそういう方向にあるべきものというふうに考えております。
  27. 三田村武夫

    ○三田村委員 裁判所及び法務省の御苦心、努力はわかりますが、先ほども申し上げましたように、やはり人材を豊富に吸収するといいますか、受け入れられる態勢をとらなければいけないと思うのです。今、裁判所側からの御説明にもありましたように、判事補を十年やって任官して、十年で裁判官の任期は切れるんです。これでやめる人が相当あると思う。それで十年の任期がくると二十一年になるんです。その二十一年からちょうどあぶらの乗った間二十八年まで、制度上は俸給が据え置きなんです。採用二十一年目から二十八年まで、制度上は、裁判官の俸給は据え置きになってしまう。これではやめてしまいますよ。こういうことをこのままにしておいては私はいけないと思う。幾らやかましくいって在野法曹に呼びかけても、いい人は入ってこないと思う。むしろいい人はやめて、弁護士になってしまうのが実情だと思います。  先般当委員会で司法試験法の改正案を議決いたしました。これもなるべく多くの人材を吸収したいという趣旨からでありますが、法律を改正しただけではだめです。試験制度を改めるだけではだめなんです。幾ら裁判官は神聖な職務だといい、検察官は一般の行政官と違う職務にあるといったて、しょせん今の世の中はそれだけでは動かぬ。やはり給与の点、待遇の点でどれだけかの恵まれた点がないと、私はこの問題は解決しないと思う。何も裁判所法務省に好意を持って申し上げるのではない。日本の司法、検察の健全化を期待するがゆえにわれわれはこの発言をなすのであります。御両所の今までの経過、現在の立場は、御説明によってわかりましたが、しからば具体的にどういう対策が考えられるか、事務当局として当然お考えがあると思います。大臣が行っていきなり申しつけてやることではない。やはり事務当局にも、どうやってこの隘路を打開していくかということについてそれぞれのお考えがあると思いますが、ありましたらお伺いしっておきたいと思います。
  28. 津田實

    ○津田政府委員 先ほどのお答えの中で申し上げましたが、昭和二十三年当時、裁判官検察官は、一般行政職の最高に対して四割の優位を持っておった。この四割の一応の説明は先ほど申し上げた通りでございます。しかし、その当否ということはこれまた論議があるところだと思われるわけでございます。  そこで、この裁判官検察官の報酬、俸給の問題は、一般行政職との比較という問題もさりながら、むしろこれはその給源に対する考え方も考えなければならぬ。現在修習生の数に対して、裁判官検察官を志願する者があまり多くないという実情は、少くとも職務の内容について非常に複雑、苦心を払わなければならぬようなことがありながら、きわめて待遇が薄いということに帰着するのではないかと思う。従いまして、その職務の内容についてさような苦心あるいは苦労を重ねなくとも済むようなこと、すなわち増員によってある程度事務量を平均化するというような問題も考えなければならない。同時に、何と申しましても、在野法曹との間の生活程度についてのアンバランスというものを相当なくさなければならないということになると思うのであります。そういう意味におきまして、行政職とやはりおのずから異なった基準によって裁判官検察官の報酬を定めなければ、優秀な法曹は、裁判官検察官にならないというふうに考えられるわけであります。そういう根本的な問題と取り組みまして、ただいま法務省におきましては、少くともいろいろなことを研究いたしておるのでございますが、もちろんまだ研究の段階にあるわけでございまして、外部に対して申し上げることができないわけでございますけれども、たとえば判事の高級なものの任命資格について特別のものを考える。それについては、行政職と対比できないような給与を考えるということも一つ方法だろうと思います。こういうようなことをいたしますにつきましても、いろいろ問題点があるわけであります。これが法曹一元を実現する一つのめどであるというふうに私どもはひそかに考えておるわけでございますけれども、なかなか、そこへ到達するまでにはいろいろな面において隘路があると思われる次第であります。当面、事務当局といたしましては、裁判官検察官の給与につきまして、先ほど申し上げましたような根本方針になるべく沿うように努力を重ねますと同時に、一方司法制度あるいは検察制度について、根本的な改革を考えていかなければ、この問題の根本的解決はできないというふうに考えておるわけでありまして、その根本的な改革につきましても、鋭意検討いたしておる段階でございます。
  29. 三田村武夫

    ○三田村委員 私は正直に申し上げて、今の裁判のあり方、検察のあり方に相当の不満を持っておる一人であります。これはやがて同僚委員から別な機会に発言があるかと思いますが、世上いわゆる著名な事件で、近ごろ無罪になったものがたくさんあります。これは二つの面がありましょう。一つは、その事件に手をつけたのが無理であったかもしれません。また一面に、捜査が粗雑であったかもわからない。およそ基本的な人権に関するこういった問題を扱う検察、裁判の問題において、私は少くとも国民の理解し得ないあり方、納得し得ないあり方というものは、できるだけ少くしなければいけない。そのためには、やはり機構制度も合理化しなければなりませんが、同時に、人の面においてもこれはやはりりっぱな人、見識の高い人がその職務に携わるということが私は必要だと思う。今、津田調査部長が、最初の任命の際の形式を変えてみたいというようなことを言っておられましたが、それも一つの案かもしれませんけれども、また一面に、裁判所側にも一つの疑問を私は投げかけたいと思うのです。裁判の独立、司法の独立ということは、これはもとより必要であります。けれども、今私は給与の面において、あるいはまた営繕管理の面において一つの隘路は、裁判所自身が、政府に対しても国会に対しても、正規の発言のルートを何ら持たないことじゃないかと思うのです。もとより司法の独立は必要であります。けれども、その営繕管理まで司法独立の範囲だとおっしゃって、今のような立場ではやはりこういった根本の問題についての発露は非常に弱いのだと私は思う。予算編成期になると、今の裁判所というものは、どこかに便乗した発言しかできないんじゃないですか。司法の独立というものは、何も政治に対する、つまり政府の予算措置、あるいはまたその政策、方針の決定に発言する場を与えられても、あるいはまたそういう責任を負わされることによって、司法の独立が侵害されるとは私は思わない。そういう考えの中にも、私は一つの大きな隘路があるような気がいたします。今の法務大臣は、裁判所に対して何らの発言権も持っておりません。私は発言権を持つということがいいという立場ではないのです。けれども、そういう点から制度そのものを根本的に考えようとした場合に、どうやって予算的な面の調整をしていくか、どうやって制度を改める面の政治的発言のルートといいますか、道を開いていくかということについて、私は裁判所も御苦心だろうと思います。こういう点も今のような立場でいいのかどうか、この問題を根本的に検討する際に、冷静に一ぺん考えみていただきたいと私は思います。いろいろの裁判の機構、制度については当委員会で長い間懸案になっておりました。最高裁判所の機構改革の問題もあります。これは前国会の解散によって廃案になってしまっておりますが、この問題も憲法その他基本問題について、いずれまた当委員会で問題になると思いますから、そのときに発言いたしたいと思いますが、とにかく今申しましたように、給与というものは非常に重要なんで、この委員会において答弁されるという立場だけでなくて、一つ根本的に御検討を願いたいということを申し上げて、一応私の本日の質疑を終ります。
  30. 内藤頼博

    ○内藤最高裁判所説明員 ただいま三田村委員から、最高裁判所として、内閣なりあるいは国会なり、正式にその意見を提出するようなルートを開くべきではないかという御質問がございまして、実はその点につきまして、非常に御同情ある御意見を承わって、私非常にありがたいと存じておる次第でございます。裁判所が、御承知のように、内閣から独立いたしまして、司法機関としての独立を一そう強化いたした新憲法のもとにおきまして、実はそういった点について私ども非常に日常の悩みを持っておるのでございます。ただいま御指摘のございましたような、国会に対しあるいは内閣に対し、裁判所の意見を正式に披瀝するルートを開くということは、実は私どもの切実な念願であるということをこの際申し上げておきたいと存じます。
  31. 小島徹三

    小島委員長 大貫大八君。
  32. 大貫大八

    ○大貫委員 下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案、これに関連して二、三御質問をいたしたいと思います。  まず最初に、簡易裁判所の性格についてお尋ねをいたしたいのです。この簡易裁判所制度が設けられました当時の考え方というのは、これは、過去の区裁判所というものとは性格を全く異にする考え方から、簡易裁判所というものが設置されたと思うのであります。ですから、判事も特任の判事を充てることができるようなことにもなったと思うのです。ところが今日では、その後何回か改正されて、事物の管轄というものが非常に拡大されて参りました。たとえば民事事件では、訴訟価格十万円未満の事件を取り扱うことができるようになって参りました。これじゃ昔の区裁判所と同じようなものになってきていると思うのです。そうだとすると、これは一体その特任の判事を配置することが妥当かどうかというような問題も出てくると思うのですが、一体今日の簡易裁判所というものがこのままの姿でいいのかどうか、それをまずお伺いしたい。
  33. 津田實

    ○津田政府委員 簡易裁判所につきましては、その裁判権の範囲等もその後随時拡張されて参っておるわけでございます。もとより簡易裁判所全国に多数これを設立いたしまして、なるべく国民の利便に沿うように、しかも適当な裁判をするようにという前提で設けられたものと考えるわけであります。ただいま御指摘のように、簡易裁判所におきましては、任命資格の異なった判事が相当数配置されておることもその通りでございます。もとより裁判官の任命資格につきましては、高度のものを、しかも優秀者を多く集めて裁判に従事せしめることが理想でございますけれども現実の状態におきましては、なかなかその補充が困難な状況でございますので、適当な人については、任命の資格の違った者でもやむを得ないというふうに考えられるわけでございます。でありますが、また一面、簡易裁判所そのものの裁判機構としてのあり方につきましては、これはやはり問題がないわけではありませんので、簡易裁判所のあり方あるいは現在の簡易裁判所の配置というような問題につきましては、これは検討を要する問題が多々あると思うのでございます。簡易裁判所制度のあり方そのものにつきまして、またかりに現在の制度のもとにおきましても、現在の簡易裁判所の配置等が適当であるかどうかという点につきましては、ただいま鋭意検討をいたしておる次第でございます。ことに簡易裁判所の配置の適正化の問題につきましては、調査も相当いたしておりまして、法務省といたしましてはある程度の結論を持っておる次第でございます。
  34. 大貫大八

    ○大貫委員 私は、今の簡易裁判所というものは、だんだん権限が拡大されて、簡易裁判所を設けたときの精神にだいぶ反するようになってきていると思います。簡易裁判所を設けた当時は、比較的軽微な事件について、むしろ大岡さばきをやるというようなことで、しろうとの判事でもよろしいということで特任判事という制度も置いたと思うのです。ところがだんだん今日では、昔の区裁判所と同じような格好になって参ったと思うのです。そうなりますと、特任判事の問題が非常に大きな問題になってくると思うのです。裁判の裁判権というものが非常に拡大されて参りましたから、そうするとやはり憲法三十七条によると、刑事被告人は資格を有する弁護人を依頼する権利というものが保障されているわけですが、これは当然また弁護人より重大な、裁判をする裁判官に関しても資格を有する裁判官の裁判を受くる権利というものが、当然この憲法の精神でなければならぬと思うのです。要するに、簡易裁判所設置したときとは違って、だんだん権限が拡大されてきた今日においては、やはり簡易裁判所においても、このままでいくならば、昔と同じように、区裁判所と同じような格好になってきているのですから、これは判事も特別な任用というようなことは廃して、やはり普通の判事と同じように、一定の厳格な任用資格を条件とするというのでなければ、大へん将来問題が出てくると思うのです。こういう点についてどういうふうにお考えになりますか。
  35. 津田實

    ○津田政府委員 ただいま御指摘のように、裁判官につきましては、今の簡易裁判所の判事につきましては、特別な任命資格のある者があるわけであります。これは、できれば任命資格というもの、あるいは裁判官その人につきましては、優秀者であることがよいことはもう御指摘の通りであります。でありますが、先ほども問題になりましたように、裁判官の給与等の面におきまして、なかなかその人を得られない、正規の任命資格の人はなかなか得られないというのが現状でございます。この点につきましては、やはり給与の面、待遇の面を改善いたしまして、在野法曹その他の法曹から進んで裁判官になる人ができるようなふうに理想としてすべきだと思うのでございますけれども現実の姿はただいま申し上げましたような通りでございますので、できるだけそれにつきましては任命資格を持つ人をもって補充するということによって、当面の最善の措置とするということ以外にはなかろうと存じます。  なお、具体的の任命内容等につきましては、最高裁判所当局から御説明されるのが相当だというふうに考えます。
  36. 内藤頼博

    ○内藤最高裁判所説明員 ただいま津田部長の方から御説明を申しましたように、簡易裁判所はなるべくは資格者の裁判官をもって充てるべきであるということは、まことにその通りであると存じます。ただ現実の問題として、非常に多くの簡易裁判所を、そういう人たちをもって充てることができないという実情にあるわけでございます。先ほど簡易裁判所の管轄が非常に大きくなっているんじゃないかという御指摘でありますが、まことにその通りでございます。ただ一方におきまして、そのために、現在は最高裁判所の規則で、民事訴訟事務を取り扱わない簡易裁判所を指定しております。そういう措置によりまして、なるべく実際の裁判事務に無理がないような措置を講じているわけでございます。現在民事訴訟を取り扱っていない簡易裁判所は、全部で四十三ございます。そういう点を考慮しながら、実際の裁判官の補職をしているような次第でございます。
  37. 大貫大八

    ○大貫委員 民事事件を取り扱わない簡易裁判所というのは確かに御説明の通りなんですが、それでは民事事件を扱っている判事というのは全部資格を持っている判事かというと、そうではないのです。やはり特任判事が相当民事事件を扱っているという例があるのです。それに対してはどうお考えになりますか。
  38. 内藤頼博

    ○内藤最高裁判所説明員 その点御指摘の通りでございまして、必ずしも民事裁判事務を扱っているところに特任の判事がいないわけではございません。それにつきましては、なるべく能力等も見ますし、また同時にそういう人たちが特に司法研修所におきまして研修を行いまして、そういった事務の担当に支障のないように努めてはいるわけでございます。
  39. 大貫大八

    ○大貫委員 簡易裁判所の取扱い件数については、これは裁判所によって大へんな開きがあるようでございます。たとえば、非常に閑散な簡易裁判所になりますと、刑事事件なんかも一カ月に平均一件くらいしかないような裁判所もございます。ところが、東京のようなところになりますと、大へんな件数を扱っておる裁判所があります。取扱い件数から見ますと大へんなでこぼこがあるわけなんです。これは先ほど登記所のことで問題になったのですが、登記所の場合とだいぶ事情が違うと思うのです。登記所というのは、歴史的に見ましても、大へん長い歴史を持っております。従って、取扱い件数少いからにわかに廃止するということになると、その住民に大へんな影響を来たすのですが、簡易裁判所の場合は、とにかく戦後新たに設置された裁判所でございます。これが取扱い件数において非常にでこぼこがあるようです。従来からあった区裁判所、この区裁判所のあっとたころで簡易裁判所になったところ、これは総じて取扱い件数というのは現在でも多いようです、幾らいなかの方に参りましても。ところが、新たに設けられたいなかの簡易裁判所というのは、非常に取扱い件数少い裁判所地方にはうんとあるのです。こういうものに対して整理統合というか、何かそういうことについての対策、非常なでこぼこに対してどういうふうな対策をお考えでしょうか。それを伺いたい。
  40. 津田實

    ○津田政府委員 先ほどお答え申し上げました中に申し上げておいたわけでございますが、簡易裁判所の配置の問題について検討をしたと申し上げましたのは、まさに御指摘の点でございます。御指摘のように、非常に取扱い件数少い簡易裁判所が相当数全国にございます。簡易裁判所設立当時は、当時全国にありました警察署二署に、二つ警察署に対して一カ所くらいということ、これは令状を求める必要上、必要であるという前提で、大体そういう考えのもとに、全体の配置ができたと思うのでございます。しかしながら、当時と今日と比べますと、交通事情、都市の発達の事情が非常に変っております。のみならず、通信機関、交通機関等の関係から、令状等につきましても、さように多数の個所に簡易裁判所を置いておく必要がないというふうに考えられる次第でございます。のみならず、簡易裁判所にいたしましても、判事の常駐しない庁が相当あるわけであります。こういうような点から考えますると、令状の面等におきましても、必ずしもその簡易裁判所があることが利便であるということも考えられないというような点からしまして、やはりこれについては、相当の統合考えなければならぬというふうに考えておる次第でございます。すでに法務省といたしましては、全国的な調査をある程度終っております。相当数のものにつきましては統合——少くとも暫定的には事務移転等によって、事務統合をやるのが相当でないかというふうに考えております。それに対しましては、法務省当局といたしましては、最高裁判所の方にも事情を説明し、法務省の意見を説明いたしておる次第でございます。
  41. 内藤頼博

    ○内藤最高裁判所説明員 簡易裁判所整理統合につきましては、数年来法務省との間に取り上げられた問題でございまして、ただいま法務省から御説明申し上げましたように、最高裁判所の方にも常時連絡があるわけでございます。最高裁判所といたしましても、各裁判所に意見を照会いたしまして、裁判所限りの意見は一応全国から集まったものがあるのでございます。しかし、今度は実際にそれを廃止するというようなことを考えました場合に、やはり一つ一つ事情を検討いたさなければならないわけでございますが、さて一つ一つ検討いたしてみますと、やはり十年前設立されました当時、地元の方々の非常な御援助があったり、いろいろな御好意を受けていることも多くあるのでございます。件数少いから、すぐにこれを廃止するがいいということは、必ずしも言い切れないところがあるのでございまして、これは一つ一つについて十分に事情調査いたしまして、事件の数のみならず、交通状況、それから住民の方々の希望と申しますか、そういったような諸般の事情をよく検討いたしまして、そうして廃止なりあるいは事務の移転なりというふうに持っていきたいというふうに考えている次第でございます。
  42. 大貫大八

    ○大貫委員 その問題について、確かに地方協力を得て、りっぱな建物なんかもできているところをにわかに廃止するということも、いろいろ困難な事情もあると思います。ところが反面において、判事が配置されていないというようなことは、実際上不便この上もない。そこで、どうでしょうか、巡回裁判制度というようなこと、そんなことを裁判所としては考えられないものですか。今の建物を利用して、巡回裁判というか、判事がそこへ行って、特定の日に裁判に関与するということですね。
  43. 内藤頼博

    ○内藤最高裁判所説明員 巡回裁判の制度は、御承知のように外国の例にもございますし、私ども十分にそういうことは日本でも活用し得るのではないかと考えております。ことに簡易裁判所のように、全国すみずみまで置かれる裁判所であり、また件数も、必ずしも常時裁判官がいるほどの件数がないというところには、この制度を採用したらどうかということは、私ども検討している次第でございます。現在まだ研究の段階ではございますが、確かにそういうことも一つのいいお考えではないかというふうに存じております。
  44. 大貫大八

    ○大貫委員 なお、この法律の別表として掲げられておる簡易裁判所のうち、いまだ別表にはあるけれども開庁されてない、実際に、判事はもちろんのこと、書記官以下の職員も配置されてない、全く未開庁の裁判所があるやに聞いておりますが、そういうのは事実であるかどうか。事実とすれば、その数はどのくらいなのか。
  45. 内藤頼博

    ○内藤最高裁判所説明員 最高裁判所からお答え申し上げます。簡易裁判所が開設されましてから現在まで、なお未開設のものが九庁ございます。これは発足以来いろいろな事情があって開庁に至らなかったわけでございますけれども、おもな理由は、やはり適当な庁舎敷地が得られなかったこと、また庁舎も、建物がなかなか得られないという事情、それから必ずしもそこを開庁してそれほど数多くの事件も期待されないというような事情があったわけでございます。これは、数多くの簡易裁判所を一斉に発足いたしました当時、その後順次に充実はして参りましたけれども、今日そこまで及ばなかった庁でございます。そのうち一、二のものについては、地元の方でもいろいろ熱心な御要望もあったのでございますけれども、大部分は、地元の方からも、交通の利便の関係等でございましょう、必ずしも強い要望もない、招致いたさないというようなことから、ついこういった状況になっているわけでございます。これは実は簡易裁判所を設けました本来の趣旨から申しますれば、こういうものは一日も早く開庁しなければならないことではございますけれども現実事情として、実は今日までそういった状況できているわけであります。
  46. 大貫大八

    ○大貫委員 その九庁については、今どうお考えになるのでしょうか。今までも、今おっしゃるような理由で開庁しなかったとするならば、これは廃止してもいいのではないかという気もするのですけれども、この九庁のうちでさらにこれを開設したいというのか、時期を見て廃止するという御意思か、その辺を伺っておきたいと思います。
  47. 内藤頼博

    ○内藤最高裁判所説明員 最高裁判所限りの意見を申し上げますれば、時期を見て廃止すべきものが大部分ではなかろうかというふうに考えております。ただほかにも、そういえばそういう場合に整理すべきものもあるのでなかろうかというような意見もございまして、今日まだペンディングになっておるわけでございます。
  48. 大貫大八

    ○大貫委員 もう一つ大阪に都島簡易裁判所というのがあるようですが、これは法律では都島区に設置するということになっておりますが、実際は大阪の東区に設置されておるというのですけれども、これは事実でしょうか。事実とすれば、どういうわけでこうなったのか。
  49. 内藤頼博

    ○内藤最高裁判所説明員 私からお答え申し上げます。御指摘の都島簡易裁判所は、都島区に設立されることに法律上なっております。現在大阪の東区で事務を扱っておりますのは、これは大阪簡易裁判所事務を移転しているということになっているわけでございます。これもやはり都島区の中に適当な庁舎敷地、並びに庁舎が得られませんために、やむを得ず大阪の簡易裁判所庁舎でございますところの、東区にございます庁舎においてその事務を扱っているわけでございます。
  50. 大貫大八

    ○大貫委員 こまかいことですが、何か敷地はすでに都島区に確保されているというふうに聞いておりますが、どうでしょうか。
  51. 内藤頼博

    ○内藤最高裁判所説明員 私の承知いたしております限りでは、適当な敷地が都島区にはないと承知いたしておりますが……。
  52. 大貫大八

    ○大貫委員 敷地は確保はしてないわけですか。
  53. 内藤頼博

    ○内藤最高裁判所説明員 はい。
  54. 大貫大八

    ○大貫委員 けっこうです。
  55. 小島徹三

    小島委員長 他に御質疑はございませんか——鍛冶良作君。
  56. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あまりいいことでないのですが、先ほどから聞いておると、さっきの登記所と同じような感じがしたので、一言御質問いたします。金がないのでいい判事を雇われない。仕方なしに特任判事を雇う。まことに情ないことですが、これはあべこべですよ。先ほどから言っておるように、裁判官というものは、特に大事な聖職である。ほかの行政官と違うのだ。そういう特任判事を設けられるというときに、私はずいぶん反対したんです。特任判事なんかではいかぬのだ。この建前を堅持しておらなければ、問題は解決せぬと思うのです。それは、金がないから安ものを買ってやろうということでは、どうも本末転倒のように私は心得ますが、この点いかがでございますか。
  57. 内藤頼博

    ○内藤最高裁判所説明員 まことにもっともなことと存じます。しかし、最初に簡易裁判所が五百五十六ですか、昭和二十二年に設置されましたときに、これは当時の実情として、特任判事ということはやむを得ないということで出発したわけでございます。その事情が今日なおまだ解消していないと私考えておるわけでございまして、ただいま御指摘のように、さらに努力をして、そういう事情を解消すべきであるということは、まことに仰せの通りと存じます。
  58. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そこで、法曹一元というのですが、近ごろ裁判所並びに法務省の方から法曹一元を言われるようになって、私はまことにけっこうだと思いますが、もう少し私は深くこの点で考えていただきたいと思うのは、法曹一元を実現しようと思っても、裁判官及び検事の手当が薄いから、なり手がないとよく言われるのです。私はそんなことはないと思う。われわれは昔から、裁判官なり司法官なりという者は、行政官より特別にいい手当をもらわなければならないのだ、こう申しまするが、学校も同じ、成績も同じくらいの者が出ていって、一方は行政官になった、一方は検事になった、判事になった、それで、ただおれは判事になったから偉いんだといったって、なかなか人は承知しやしないのです。どこから見ても、なるほど判事というものは偉いものだ、判事には特別の高給を与えなくちゃいかぬものだということを実感させなくちゃ、これは実現できぬ。この点にわれわれは法曹一元の根本を置いておるのです。たびたび言うことですが、最高裁判所の判事は特別の位もありまするし、待遇もいいのですが、だれも文句を言いません。なぜか。私はこれは選任の方法に特別なことをやっておられるからだと思うのです。法曹一元は私はここから出発していってもらいたい。なるほどこういうことで出てきておられるのだから、検事は普通の者とは違う、なるほどこのことで判事は出てきておるのだから、判事には特別に手当をやらなければならぬ、こういうことになる。そうなってくると、おのずからこういうことで出てこられた以上は、弁護士をやっておるよりか少い手当では採用できないじゃないか、なぜ同じものをやらぬか、ここから行かなければならぬ。それをどうも現在のものであるからなり手がない、こう言われるが、私はそういうところから法曹一元というものを考えていただきたいと思いますが、いかがにお考えになりますか。
  59. 津田實

    ○津田政府委員 ただいまの仰せまこうにごもっともでございまして、やはり法曹一元の結果、そこに任命されるところの判事というものは、一般行政官なり検察官と違って、特別の資格を持ってする判事でなければならぬ。そういう判事について特別の待遇を与えるということは、当然であるということに帰着せしめなければならない、かように考えるわけであります。それでは何からそれに手をつけるかということになって参ると思うのでございますが、要するに、そのような判事を何百人、何千人というふうに設けることは、非常に困難であろうと思うのであります。また、特任の点を度外視いたしましても、現実に人を得ることが非常に困難だろうということになりますると、現在ありまするところの事件に対しては、どういうことになるかということになりますと、またやはりそれと違った任命資格の裁判官もやはり要るのではないかということが考えられるわけでございます。あらゆる事件をさばく裁判官について、最も優秀な人を、最も高給で雇えればいいのでありますけれども、それは近い将来の問題としては不可能であるといわざるを得ない。そこで、今のそういうふうな特別な任命資格をもってした学識はもとより、一般常識に富む優秀な裁判官を配置する場合に、現実事件に対していかなる態度をもって臨むかというような問題が当然出て参ると思うのであります。そういう任命資格の高い判事であれば、経験年数も高いであろうし、従って、年令も高いであろうということになるわけです。今日の訴訟手続の実態におきましては、非常にこまかい問題が多々ありまして、言葉は悪いですが、ほんとうに肉体労働に近いといわれるような種類の事務もあるわけです。そういうものは、そういう高い資格の判事からは全部取り払っていかなければ、現実になり手がないと思う。そういうことを考えますると、やはり手続法の面についても相当の改革を要するであろうと思うので、そういうものを同時に実現しなければ、今の高給を出しただけでは優秀な裁判官は得られないということも現実であろうというふうにも考えております。そういうような大きな司法制度の改革の一環として、ただいま、これは言葉の上ではございませんで、ほんとうに鋭意検討いたしておる次第でございます。
  60. 大貫大八

    ○大貫委員 ちょっと関連して。——参考までにちょっとお聞きしておきたいのですが、現在簡易裁判所の特任判事というものは、実員何名ぐらいですか。
  61. 守田直

    ○守田最高裁判所説明員 正確な数字は把握しておりませんけれども、大体二百名程度であります。ちょっと全体の数字を申し上げます。これは一月十五日現在でありますが、簡易判事の現在員は六百八十五名であります。そのうち大体二百名程度が特任の簡易判事であります。最近の採用状況を申し上げますと、昭和三十三年度が九名、それから昭和三十四年になりまして任命いたしましたのが八名、その中にはいわゆる裁判所にありますように多年司法事務に従事した者もあります。あるいは知事、県知事なんかをやったことのある、いわゆる学識経験者も含まれております。下級裁判所から——簡易判事推薦委員会というのがありまして、そこから推薦して参ります。それに対しまして、最高裁判所に設けられております簡易裁判所判事選考委員会なるものがありまして、そこで試験問題を作成し、それによって筆記試験及び面接試験をやりまして、ふるい落しまして、これならば間違いないだろうというところで八名ないし九名ぐらいに厳選して任命しているというのが実情であります。なお、特任の判事は、いきなり一人で事務を扱わなければならないというような裁判所には初め配置いたしませんで、いずれも地方裁判所所在地の簡易裁判所、すなわち手をとって教えてやれるという簡易裁判所に配置させまして、六カ月ほど修習をさせます。その上でそれぞれ単独で仕事をいたしますような簡易裁判所に出しますが、その間に、順次司法研修所に入れまして研修をして、その能力を補充しているというのが実情でございます。
  62. 小島徹三

    小島委員長 他に御質疑はございませんか。——御質疑がなければ、本日はこれにて散会いたします。     午後三時三十二分散会