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赤松委員 全く法務当局はこの法律に対しましては無知にひとしい。「何人も」とここに入れたのは、
職員をさして言っているのではないのです。「何人も」という場合は外部の者です。つまり、外部の者は、その公務員の中立性を守るために、またその能率をば高めるために、何人もそれを扇動したり、その機能を停止するための扇動をしたりあるいはそそのかしたり、そういうことをあおるような
行為をしてはならない。これは当時の
委員会におきましてもしばしば繰り返し大橋君が
答弁している。マッカーサー司令部の
見解もそうであった。ところが「何人も」というのが、今日は
職員が主体になっている。
職員自身をさしている。そして文部省は故意にこれを使って、
地方団体においては条例を作って、そしてその条例を
教育委員会はさらに狭義に解釈して、今日
地方公務員法違反としてどんどん
教員をふんじばっている。だから私
ども警職法ができますときに、できる瞬間はそうであっても、やがて法律は独走するのだ。かって鉄道公安官を設置する場合にどうでしたか。
猪俣さんがここにおられるが、私も
一緒にやった。鉄道公安官は朝鮮人の
暴行を防ぐためにやるのです、労働争議には使いません。郵便法の場合でもそうではありませんか。それがどんどんこういうようになってきておる。
地方公務員法を立法する場合あるいは改正する場合、「何人も」ということにつきましては長時間にわたってこれを審議し、討論し、そうしてきめた。立法府できめたことが今ゆがめられている。御承知のように、
地方公務員法の母体は国家公務員法です。その国家公務員法を作る場合におきまして、百二条の政治
活動禁止の問題について、その政治
活動とは
一体何であるかということで私どは十分審議しました。今日
政府当局か考えているような政治
活動という
意味では全然なかったのです。志賀君がおられて大へん悪いのですけれ
ども、実際は、あのときマッカーサー司令部がねらったのは共産党である。「何人も」という場合は共産党をさして言っておった。それは議事録をお示ししてもよろしゅうございますけれ
ども、この点について淺井人事院総裁に私質問したが、速記を止めさして、秘密会において淺井人事院総裁は、GHQとの折衝の過程あるいは向うの意向、
政府当局の考え方、そういうものを明らかにして、そうしてこの「何人も」というのは、外部の共産党をさしているということを、当時の
政府当局者は陰に陽にはっきりわれわれに言っておった。だからその議事録を見ると、志賀君の方に加藤充君という代議士がおりまして、これは憲法違反だというので、あの当時
委員会で盛んに議論をした。そのくらい議論のあった問題でありまして、われわれも反対したのでありますけれ
ども、あの法律が成立した。ですから、何人もこれをそそのかし、あるいはあおり、あるいは共謀してこれこれの機能、つまり公務員の中立性を犯したりあるいはその公けの
機関の機能を停止させるようなことをしてはならないという場合には、
職員そのものをさして言っているのではないのです。もしそうだというように法務当局がお考えになっているとすれば、私は
国会の立法の過程あるいは立法の精神をじゅうりんするものだと思う。もう一ぺんその当時の事情を十分検討してもらいたいと思うのでありますけれ
ども、あなたは知事会に出なくちゃならぬといって非常にあわてているようですから、武士の情で、私もうんとやりたいけれ
ども、またあす社会労働
委員会に来てもらってゆっくりやりたいと思いますけれ
ども、そういうような立法過程というものがあったんだということを十分お考え願いたいと思います。
地方の
検察庁の
職員たちは文部省と同じような考え方で、またあの間違った条例と同じような考え方でびしびし検挙している。しかし、たとえば東京、佐賀あるいは群馬、
高知その他において
地方公務員法違反でもって検挙をし、起訴しても、これが裁判にかけられれば、われわれはこれは絶対に白だ、無罪であると確信をしている。ただ問題は、無罪になることを確信をしておりますけれ
ども、電産のストライキのそれを申し上げますと、高裁、最高裁におきまして、あれほど当時やかましかった電産のスイッチを切った争議
行為、これに対しましては九七%まで無罪になっておるということを
法務大臣、御存じでしょう。九七%まで無罪になっております。川崎重工業のレッド・パージはどうですか。これも無罪になって、しかも職場復帰を判決の中でうたい、そうしてその間、三年間の賃金を全額支払え、こういう判決が出ております。ただ私がここであなたに強調したいことは、
教職員が
地方公務員法違反であるというような勝手な
検察庁の認定によって検挙をされる。しかも、行政罰はその前に来るんです。罪になるかならないかは公判によって初めてきまる。その裁判所が判決をしない前に、すでに行政官庁がこれに対しまして免職、減俸その他の過酷な行政罰を課しておる。私はこれは大きな問題だと思うんです。これからたとえば高裁なら高裁まで行って、その間三年間かかって無実だということになった場合に、
一体この
教員はだれが救済しますか。だから私は昨年今の岸総理大臣に対しましてこの点について尋ねた。だからあなたたちか行政罰を加える場合、あるいは
検察庁がこれを検挙する場合においては、よほど慎重に考えてもらわなければならぬ。
人権を守るということのほかに、特に憲法二十八条の労働者の権利について十分に考えてもらわなければならぬ。それに対して岸首相は同感の意を表しておった。しかし今日このようなあいまいな解釈によってどんどん
教員が検挙されておる。まことに私は遺憾にたえません。時間がありませんからこの
程度でやめておきますけれ
ども、明日はこういう問題につきまして、
勤評の各地における
人権じゅうりんの問題ももちろん取り上げていきたいと思います。しかし本質的なこういうような——当時二・一ゼネストまでは罷業権がみな与えられていた。あの
事件によってマッカーサー司令部の命令によって、その罷業権が奪われた。それにかわる法の救済方法として、一方では人事院に勧告権が与えられ、他方におきましては憲法二十八条から出ておる団体交渉権——団体協約はなくとも団体交渉権というものはあるんです。ただそれが明確に書かれていないだけであって、国家公務員の場合におきましても、あるいは
地方公務員の場合におきましても、団結権があればこそ、団結する自由は人事院といえ
どもその規則の中で認めておるじゃありませんか。国家公務員法はこれを認めておるじゃありませんか。そうだとすれば、今日たとえば和歌山等におきまして一方的に行政罰で首にして、首にした者はもう相手にならないといって団体交渉は拒否している。こういうことは全く憲法二十八条の精神に反するものである、こう思うので、こういう点についても特に御考慮をばお願いしたいと思います。