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1959-02-04 第31回国会 衆議院 文教委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年二月四日(水曜日)     午前十時五十三分開議  出席委員    委員長 臼井 荘一君    理事 稻葉  修君 理事 加藤 精三君    理事 木村 武雄君 理事 永山 忠則君    理事 原田  憲君 理事 小牧 次生君    理事 櫻井 奎夫君 理事 辻原 弘市君       北村徳太郎君    清瀬 一郎君       木村 守江君    高橋 英吉君       八木 徹雄君    西村 力弥君       長谷川 保君    原   彪君       堀  昌雄君    本島百合子君  出席国務大臣         文 部 大 臣 橋本 龍伍君  出席政府委員         文部政務次官  高見 三郎君         文部事務官         (大臣官房会計         参事官)    天城  勳君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     内藤誉三郎君         文部事務官         (大学学術初等         中等教育局長) 緒方 信一君         文部事務官         (社会教育局         長)      福田  繁君         文部事務官         (体育局長)  清水 康平君         文部事務官         (管理局長)  小林 行雄君  委員外出席者         文部事務官         (大臣官房総務         参事官)    斎藤  正君         専  門  員 石井  易君     ————————————— 一月三十日  委員本島百合子辞任につき、その補欠として  矢尾喜三郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員矢尾喜三郎辞任につき、その補欠として  本島百合子君が議長指名委員に選任された。 同月三十一日  委員小林絹治辞任につきその補欠として北村  徳太郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 一月三十一日  養護教諭各校必置に関する請願大野幸一君  紹介)(第七三五号)  同外二件(楯兼次郎紹介)(第七三六号)  同(山本幸一紹介)(第七三七号)  (同金子岩三紹介)(第七八六号)  同外二十件(加藤鐐造君紹介)(第八六二号)  同外四十一件(山本幸一紹介)(第八六三  号)  高等学校の授業における生徒の編成及び教職員  配置基準法制化に関する請願北山愛郎君紹  介)(第七三一号)  同(永井勝次郎紹介)(第七三二号)  同(柳谷清三郎紹介)(第七三三一号)  同(宇都宮徳馬紹介)(第七八七号)  同(菊池義郎紹介)(第七八八号)  同外二件(志賀健次郎紹介)(第七八九号)  同(薄田美朝君紹介)(第七九〇号)  同外二十四件(橋本正之紹介)(第七九一  号)  同(三和精一紹介)(第七九二号)  同(坂田英一紹介)(第七九三号)  同(黒金泰美紹介)(第八三六号)  同(楢橋渡紹介)(第八三七号)  同(根本龍太郎紹介)(第八三八号)  同(松澤雄藏紹介)(第八三九号)  同(淺沼稻次郎紹介)(第八五八号)  同(石田宥全君紹介)(第八五九号)  同(岡良一紹介)(第八六〇号)  同外一件(矢尾喜三郎紹介)(第八六一号)  同(夏堀源三郎紹介)(第八九二号)  学校牛乳給食実施に関する請願北山愛郎君紹  介)(第七三四号)  未開発地教育事業整備促進に関する請願(長  谷川峻紹介)(第七三八号)  教育財政確立に関する請願佐藤虎次郎君紹  介)(第七九四号)  学校給食法の一部改正等に関する請願佐藤虎  次郎紹介)(第七九五号)  児童生徒災害補償法制定に関する請願佐藤虎  次郎紹介)(第七九六号)  児童生徒災害補償法制定に関する請願笹山茂  太郎君紹介)(第七九七号)  同(田中伊三次君紹介)(第七九八号)  奄美群島東京大学伝染病研究所支所設置に関  する請願保岡武久紹介)(第八〇六号)  スポーツ振興法制定促進に関する請願中澤茂  一君紹介)(第八六四号)  同(原茂紹介)(第八六五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  文教基本施策に関する件  昭和三十四年度文部省関係予算説明聴取      ————◇—————
  2. 臼井莊一

    臼井委員長 これより会議を開きます。  昭和三十四年度文教関係予算に関し、まず橋本文部大臣より大綱の説明を聴取いたします。橋本文部大臣
  3. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 昭和三十四年度文部省所管予算につきまして、その概要と、特に重点事項として配慮いたしました諸点について御説明をいたします。  昭和三十四年度文部省所管合計は一千七百九億一千二百三十六万三千円でありまして、前年度に対して百六十七億五千九百万円の増額であります。一般会計予算の一二%を占めております。百六十七億円の増額内訳は、義務教育費国庫負担金八十五億、国立学校運営費四十六億、国公立文教施設曲二十四億が増額の主要な部分であります。  次に、明年度予算において、特に重点施策として取り上げましたものについて申し上げます。  第一は、いわゆるすし諦め教室解消の問題であります。義務教育充実して、その水準向上をはかりますためには、特にその前提として学級規模や、学校規模適正化が必要でありまして、これを教職員定数学校施設の両面から推し進めて、今後五カ年の間に計画的に解決していくことといたしました。まず、教員定数の面では、児童生徒減少に伴う教員数減少が約三千七百人ありますが、一方、先年、制定を見ました標準法に基きまして、明年度小学校五十八人、中学校五十四人を限度として、それ以上のすし詰め教室解消することと、教職員適正配置をはかるため、約七千八百人の増員を見込みまして、義務教育費国庫負担金を九百九十億円計上いたしました。  次に、施設の面では小中学校校舎については基準坪数の不足を増築して、すし詰め教室解消し、老朽建物については計画坪数改築し、かつ老朽危険度についても従来の四千五百点を緩和し、あわせて屋体整備学校統合促進等、今後五ヵ年間に計画的に実施するための初年度分として約四十八万坪分、七十七億円を計上いたしました。特に一般要望の強い建物構造における鉄筋鉄件比率を昨年の三〇%から五〇%に引き上げ実施することといたしました。  第二の重点は、科学技術及び科学技術教育振興についてであります。このことの緊急必要なことは今さら申すまでもなく、ここ両三年力を入れてきておりますが、明年度初等中等教育から大学及び学術全面にわたって配慮いたしました。まず、初等中等教育では、理科教育設備産業教育設備補助金増額して、科学技術教育基礎段階充実いたし、大学においては科学技術者養成計画実施中でありますので、明年度国立大学理工系学生約千人を増加し、そのため必要な学科増設設備人員充実をはかると同時に、科学技術教育質的向上をはかるため、教官研究費約十億円の増加を初め、基準経費引き上げに努力いたし、原子力の問題を初め、時代の要請に応ずる研究分野の進展を期しておるのであります。このほか、科学研究費在外研究員派遣費民間学術団体補助私学助成等につきましても、それぞれ予算増額をいたしております。  第三点は、青少年教育及び体育スポーツ振興であります。青少年教育は、ひとり学校教育のみならず、広く社会教育の面においても力を入れるべき問題であり、特に勤労青少年に対しては、各種の方法で勉学の機会を与えることが必要であります。そのため、高等学校特別奨学制度拡充定時制及び通信教育青年学級などの振興のほか、地域青年活動促進青年の家の設置をはかり、特に富士山ろく御殿場に新たに国立中央青年の家を設置して、青少年団体宿泊訓練の場として活用いたす計画であります。体育スポーツは、青少年教育の一環としてのみならず、広く国民各層の間に振興されなければならないものと考えておりまして、そのためよき指導者養成体育施設整備団体活動助成等につき新たに予算計上をいたしまして、一段と努力いたしたい所存であります。  第四には、特殊教育僻地教育、準要保護児童対策等条件に恵まれない分野教育問題であります。教育機会均等の精神から考えても、この分野には格段の力を添えなければならないと存じます。それぞれ従来の施策について予算増額に努めたほか、新たに僻地学童健康管理交通手段教育資料につき、また特殊教育就学奨励としては高等部生徒交通費につき、さらに準要保護対策として修学旅行費につき、それぞれ新たに予算措置を講じた次第であります。  なお、このほか市町村教育長給与につき一部国庫補助の道を開いて市町村教育委員会の育成をはかり、また先年改訂を見た教育課程全面実施のため、広く教員現職教育を徹底いたしたいと考え、さらに校長等につき広く研修機会を拡大する目的で、海外派遣の道を開くなど、所要経費につき新たに予算計上をいたしました。  以上文部省所管予算につきまして、その概要重点につき申し上げた次第であります。なお全体にわたって細部につきましては政府委員をして補足説明をいたさせます。
  4. 臼井莊一

    臼井委員長 次に補足説明を求めます。天城会計参事官
  5. 天城勳

    天城政府委員 お手元にお配りいたしました文部省所管昭和三十四年度予算要求額事項別表につきまして、補足説明をいたします。  最初に義務教育費国庫負担金でございます。中身は給与費負担金教材費負担金に分れます。給与費につきましては、ただいま御説明の通り、明年度児童生徒の減が見込まれますので、それに伴います教員減が三千七百七十人ございますが、一方標準法の実施によりまして小学校五十八人、中学校は五十四人を限度としてのすし詰め学級解消の措置を講じますために、七千八百三十八人の教員増を見込みまして、プラス・マイナス純増四千六十八人の増員の給与費を見込んだわけでございます。増額の給与費のうちの八十三億のおもな内訳は、備考にございますが、この七千八百人の増に伴うものが十二億九百万、それから明年度公務員全般につきまして、初任給基準引き上げが行われる予定でございまして、これに要する金額が十億でございます。それから昇給原資として三%分を重込みまして三十二億三千五百万。それから期末手当が三十三年度に直りまして、それを平年度化いたしますための経費が十四億七百万。それから暫定手当を毎年引き上げてきておりますが、明年度は五%に上って参ります。この分が八億五千六百万でございます。それから僻地手当定率改訂、これは昨年振興法の改正によりまして、四%から二〇%刻みが、八%から二五%刻みに直りまして、この改訂に要する増が一億一千五百万でございます。それから退職手当の算定率を、実績にかんがみまして千分の二十五に引き上げるための財源として一億六千六百万。それから恩給費の増が三億五千万でございますがそれから一応差引計算をいたしますので、児童生徒の減少に伴います教員減三千七百人分が三億三千七百円と計算いたしまして、大体八十三億の増になっております。  教材費につきましては十七億二千九百万で、二億二千九百万の増でございます。大体一七%の単価増になっておりまして、新単価は小学校二百三十円、中学校三百五十円と備考に書いてある金額にいたしたわけでございます。  それから文教施設でございますが、国立文教施設公立文教施設に分れております。国立文教施設におきましては三十五億二千九百万円で四億二千五百万の増でございます。これは国立学校の病院、研究所等の建物の経費でございます。  次の公立学校文教施設でございますが、これが七十七億二千九百万で、約二十億の増になっております。これはただいまも御説明申し上げましたように、いわゆるすし詰め学級の解消を五カ年計画で実施していきたいという考え方で、初年度分として計上いたしたわけでございまして、実施坪数は四十七万七千五百五十六坪でございます。なお全体を通じての問題といたしまして、構造比率引き上げをいたしまして、鉄筋鉄骨造を五〇%にいたしました。また義務教育費並び高等学校老朽危険校舎の改築の場合の危険度のとり方でございますが、四千五百点以上五千点未満のものにつきましても、大体三分の二はこの計画の対象に入れるということで坪数の増加をはかったわけでございます個々につきましてはこの表に上っております小中「学校の校舎の問題につきましては、この五ヵ年の間に、児童の増減の波がいろいろございますので、必ずしも五カ年間平均の形でこれをやっていくわけではございませんので、明年度は小中とも児童、生徒は減少して参ります。それを見込んでの明年度分の計算でございまして、小学校は前年度よりも金額は減っております。それから屋体につきましては、戦災坪数を復旧するという計画、中学校小学校の規模まで上げていくという計画で五カ年で実施しております。  特に指摘すべきことだけ申し上げたいと思いますが、小中学校学校統合でございますが、これは町村合併の促進に関連いたしまして、すでに市町村で議決済みのものは全部この間に建設していきたい。なお府県で統合の計画に入れているものもございますので、そういう補完分といわれているものも若干この中に含めておるわけでございます。  それから一つ飛びまして危険校舎の改築は、三十六億で八億七千万の増でございますが、これはただいま申し上げましたように、一昨年の調査によるものを解消するほか、五千点までのものの三分の二を対象に入れていきたい、こう考えております。  二ページに入りまして、非義務関係でございますが、幼稚園、定時制、それぞれ金額の増額を行なったわけでございますが、特に危険校舎におきましては四億八千六百万で、大体前年度の倍額ほどを高等学校危険校舎改築分として計上いたしました。高校の戦災復旧は、計画によりまして三十三年度をもって一応終るわけであります。公民館等社会教育施設につきましては、五百万の増額をいたしたわけでございます。  それから文教施設災害復旧でございますが、これは三十三年度の災害復旧を三十三年度、三十四年度にまたがってやることになっておりまして、三十四年度分につきまして一億二千五百万計上いたしたわけでございます。  第三の育英及び学徒援護事業費でございますが、そのうちの育英制度の拡充、ここでいう育英会の補助金事務費の補助でございます。(ロ)の貸付金でございますが、ここで四十四億百万円、一億五千七百万円の増でございますが、この増額の主とした要素は、昨年度から実施しております高等学校生徒に対するいわゆる進学保障制度、この特別奨学制度を拡大したわけでございまして、前年度五千人が出発いたしましたが、明年度はこれが学年進行のほかに千人拡大しまして、六千人でこの予約制度を実施していきたいと考えておりまして、この金額が加わったのが増加のおもな理由でございます。学徒援護会御存じ財団法人学徒援護会に対する補助金でございまして、管理費等の増加分でございます。  それからその次の国立学校運営費でございます。これは七十二の国立大学、それから久留米の短期大学、その他病院、研究所全体の運営費でございまして——総額四百四十六億七千四百万円、前年度に比べて四十六億五千七百万円の増になっております。ここで備考欄に掲げてありますように、一つは教宣研究費の基準の引き上げをいたしまして、文科系は前年度の一〇%増、それから理工系、これは実験系統でございますが、その講座制については三〇%、学科目制については二五%、それぞれ増額をはかったわけでございます。それから学生経費につきましては、大学院の学生は四〇%、その他学部、技術関係につきましては一〇%の基準の増をはかったわけでございます。それから基準系統におけるおもな増額でございますが、新規につきましては、理工系技術者養成計画を実施中で、明年度九百四十七人の増募を見込んでおりますが、これに関連いたしまして短期大学部を新たに三つ設置いたします。それから夜間の理工系の学部を二学部、理工系の学科を十八新設いたす予定でおります。その次に大学院講座担当教授につきまして待遇改善をいたしたいと考えておりまして、本俸の約七%を待遇改善の経費として計上いたしておるわけでございます。  なおこの国立学校運営費四百四十六億の、学校と病院と研究所の割合は、ここにございますように、三百二十三億、八十五億、三十八億という割合になっております。  三ページに入りまして、科学技術教育振興関係の経費をまとめたわけでございますが、最初は理科教育研究に要します理科設備補助金で、五億計上いたしまして五千三百万の増でございます。これは理科教育振興法に基きます計画的な補助金でございます。  第二番目の産業教育施設設備補助金でございますが、これも産業教育振興法に基きます補助金でございますが、八億計上いたしまして九千九百九十四万六千円の増でございます。これは御存じの通り、中学校高等学校産業教育関係設備費施設費、それから船等につきまして支給いたしておりますが、設備費におきまして、特別設備費、これは前年度から実施しておりますが、特別設備補助金としまして農、工、水産につき七千五百万円、その次は新設課程設備費の補助といたしまして、機械、電気おのおの十五課程、工業化学五課程の新設を予定しまして、その設備費を一億一千八百万円計上いたしました。これはやはり高等学校卒業程度科学技術者増加養成計画考え方に入っておりまして、前年度機械、電気それぞれ二十一課程を設置いたしましたが、本年も引き続き実施したいと考えております。それから分校、これは産業高等学校の分校、一年課程の産業科におきましての設備の充実を考えております。共同実習所、これは学校の共同実習所でございますが、その設備費等につきましても前年に引き続き計上いたしております。それから施設費は、大体今申し上げました設備費を計上してある事項につきまして、設備費もあわせて考慮する考え方で三億九千八百万円を計上いたしております。三番目の高等学校産業教育のための実習船建造費補助、これも計画に従って進んで参っておりますが、明年度は六十トン級の船四はい、三十トン級の船二はいと、六ぱいの建造費の補助を計上いたしております。  次に中学校産業教育研究指定校補助金でございますが、これは設備費でございます。前年に比べて約五割ほど増額いたしまして、大体一億三千万の経費を計上いたしました。中学校  だけは補助率が二分の一でございます。  以上が初等中等教育関係であります。  (3)以下が大学局関係であります。在外研究員派遣費は一億六千万計上いたしまして、五千万の増でございます。大体百五、六十人の教官の派遣が可能かと思っております。  次は科学研究費でありますが、これは御存じの、一研究テーマについて研究費を交付する名分でありますが、十五億四千六百万円、前年に対しまして一億四百万の増額になっております。事項は四つありまして、備考欄に掲げてございますが、特に科学研究費交付金に重点を置いて十一億九千六百万円を計上いたしてございます。  五番目、六番目は私立大学関係助成金でありますが、(5)は、私立大学研究設備助成、これは自然科学系、人文科学系合せまして私立大学研究設備の水準を上げたいということで、これは法律がございます。法律に基いて補助金を計上しておりますが、二億四千百万円、約四千四百万の増でございます。  六番目の私立大学理科特別助成でございますが、これはやはり理科系学科増設、学生増募を積極的に援助したいという考え方で計上しておりますが、明年度三億九千百万で、前年の約倍額を計上いたしました。これは、学科新設の場合には三分の二の補助、既設のものにつきましては二分の一の補助で実施いたしております。  七番目が南極地域観測事業でございますが、現在第三次の観測隊が出ておりますが、第四次分といたしまして二億一千二百万を計上いたしております。金額を申しますと、船の改装費が前年度非常に大きかったのですが、それが入っておりませんために四億五千万ほどの減になっております。  八番目は、民間学術研究団体の振興でありますが、これも幾多の項目に分れておりますが、一つはこれも法律がございまして、民間学術研究機関に対する補助金、これは三十三件を認めまして六千二百万でございますが、四ページに入りまして、日本学術振興会という財団法人がありますが、これに二千万の補助金を出したい。前年度四百万でございましたが、これは特に学会の非常に要望のございます流動研究員制度を実施し、あるいは若い研究者に対するフェローシップを与えるという事業を学術振興会でやっていただくというために二千万円計上いたしたわけであります。  それから事項の6といたしまして、教職員の研修でありますが、最初は、御存じ教育課程の改訂がございましたので、これの趣旨徹底とあわせて現職教育を実施したいということで、初等、中等、職業を通じまして教育課程講習会費を三千百十七万六千円計上いたしております。それから理科教員実験講座、これは特に実験を中心とした講座でありますが、前年から引き続きまして実施する予定でございます。教科書教育課程の改訂に伴いまして全部再検定ということになりますので、これに伴いまして、これは些少でございますが、ほんとうの事務関係の経費の増額であります。  二番目の学校長等海外派遣、一千万の新規の計上でございますが、これは  先生方に海外へ研修に行く機会を広げたいということで計上いたしました。  七番目が教育の機会均等という事項でくくりましたが、これは四つほどの事項か入っております。  最初が準要保護児童対策と書いてございまして、備考欄にございますように、四つの施策をきめております。そのうち教科書給食費の補助につきましては従来から実施しておったのでございますが、(2)の修学旅行費の補助につきまして明年度から新規に始めたい、こう考えております。これは小学校六年、中学校三年の最終学年におきます修学旅行におきまして、準要保護児童に対する補助をいたしたい、これは準要保護児童のみならず要保護児童に対しても適用していきたいと考えております。そのほか給食費におきましては本年度一・五%の対象人員明年度は二%に引き上げる。それから医療費におきましては、保険単価の改定、本年度は半年分でございましたのでこれを平年度化したために金額の増を見ているわけであります。  それから五ベージに入りまして(2)の施策といたしまして特殊教育振興関係を掲げてございます。一つは盲ろう児童生徒就学奨励費でございます。補助率は六〇%でございまして、従来義務制は大体助成の施策を進めてきましたが、高等部につきましても義務制並みにしたいということで昨年から充実して参りました。現在教科書給食費につきまして高等部を見ておりますか、明年度交通費も加えたい、こういうふうに考えております。  その次は特殊学級設備等の整備でございまして、これは普通の学校の精薄児童のために特殊学級を設備していきたい、その設備費の補助を計上しております。明年度は二百学級分、本年度分の約倍になりますが、二百学級分を計上いたしました。と同時にここに肢体不自由児学校スクール・バスを備えつけたい。これは単に通学だけでございませんで、教育上非常に活用する分野が広いのでありまして、スクール・バスの購入費をわずかでございますけれども計上いたしたわけでございます。  (3)はへき地教育の振興でございまして、これもいろいろの事項がございますが、備考欄について申し上げますと、自家発電施設、これは四十校分、従来からやっておるのでありますが、再計上と書いてございますのは、形の上で公立文教施設費のへき地集会室と一本に計上いたしておりますので、ここで再計上いたしたわけでございます。  それから通学用の手段として通学のバス、ボート、これを五台、二隻新規に計上いたしました。  その次はへき地教員の住宅建設費の補助でございますが、これも戸数で約二割ほど増加いたしましたが、特に補助率を本年度の三分の一から二分の一に引き上げまして五千二百万円の計上でございます。  (3)のへき地集会室は、これは公立文教施設費の再計上でございます。  へき地資料作成、これはわずかでございますが、僻地学校に対する教育費料を特別に作りたいという考え方で計上いたしたわけでございます。  へき地教員の養成機関、これも僻地が非常に多い北海道あるいは離島の多い長崎等におけるへき地教員養成機関の設置、これは従来の継続でございます。  (6)は新規でございまして、へき地学校の保健管理の経費の補助でございます。昨年の振興法の改正に伴いまして、保健管理については国が補助することになりましたので、大体医療機関のない無医村地帯で、医療機関から離れておる学校を対象としまして、医師の巡回診療をいたしたい。その場合の医師の診療手当当の補助を考えておるわけでございます。  (4)の養護学校の教育費の国軍負担金でございますが、御存じの通り養護学校の義務制はまだ施行されておりませんが、盲ろう院に準じて財政的には措置をするということで、給与費教材費につきまして国庫負担をいたしております。明年度教員増、学校増等を見込み、それから教材費につきましては一般の学校と同じような単価の改定をいたして七千四百万の増をいたしております。  それから事項8といたしまして青少年教育の助成でございます。最初は定時制教育の振興でございますが、六ページの(2)項にございますように設備費、それから通信教育運営費、これは従来から法律に基きまして実施しております補助金でございます。(3)に通信教育用の教科書が民間で非常に出にくいということで学習帳を兼ねた教科書の編集を国で援助したいということで新たに二百九十万の予算を計上した次第であります。  事項(2)は社会教育関係の青年学級の充実でございまして、運営費として七千七百八十万の補助を計上いたしております。これは普通学級につきましては補助単価の増額をはかりたい。一学級当り三万円にしまして、補助金を一万円くらい引き上げたい。そのほかに職場におきまする青年学級、いわゆる職場学級の分として新たに金額も普通学級より高くしたいという補助金を見込んだわけであります。約二千万円の増加でございます。  それから青年の家、これは本年度六千万計上いたしまして約十五カ所ほど設置いたしましたが、明年度も計上をいたしまして同じくらいの整備を計画いたしております。  その次の(4)は、国立中央青年の家の設置でありますが、富士山ろくの御殿場にあります旧軍施設が解除になりまして、約三万坪の敷地と三千坪の建物がございますが、これを青少年の活動の訓練の場にしたいということで新たにこの家を設置することにいたしまして、明年度は補修費等を含めまして一億一千九百万円の計上をいたしたわけであります。  (5)の青少年活動の助成であります。これも新しい事項として計上しましたが、これは地域青年団の活動を助成いたしたいという経費でございます。やり方としましては青年のグループの県内研修あるいは府県を越えての研修、これは生活あるいは生産問題につきまして各地の青年が交歓し合うという行事の補助金でございます。  それから(6)の教育テレビ対策でございますが、これも御存じのように教育テレビが放送を始めますので、これの番組の作成あるいは影響力の考査等をいたすために一千万円計上いたしたわけであります。  それから公民館等の設備整備でございますが、施設関係は公立文教施設費の項に計上いたしておりますが、ここでは設備関係であります。明年は特に児童文化センターというものを設置したいというので、この中に含めて計上いたしております。  それから(9)は社会教育特別助成でございますが、これは五千七百万で九百万ほどの増額になっております。これは社会教育上特に助成すべき事項につきまして援助する経費でございますが、青少年の活動とかあるいは婦人教育等をこの事項で実施していく予定でございます。  それから(10)の体育スポーツ関係の整備でございますが、最初に体育の指導者の養成といたしまして従来からやっております市町村体育指導委員の整備拡充、これを千三百五十四万一千円計上いたしております。それから体育施設の整備といたしまして国立競技場に三千二百万の経費を計上いたしました。これは国立競技場でなお整備すべき点がございますほかに、運営につきましても補助をいたしたいという考え方で計上したわけでございます。減額は、設備費の前年度に対する減でございます。それから国民体育施設の整備として、地方にスポーツ・センターを設置していきたいということで、三千万新たに経費を計上いたしました。この中身は、大体三百坪くらいの体育館、それから。プールを合せまして、地方にみんなが容易に利用できるような体育施設を作っていきたい、普及したいという考え方で、本年度は五カ所分を計上いたしたわけでございます。三番目のスポーツ団体助成でございますが、これは体育協会補助金、国民体育大会の補助金で、従来からの継続の経費でございます。八ページに入りまして、国際スポーツレクリエーション等の助成といたしまして、現在国際的にスポーツの交歓が盛んでございますが、参加のきまっておりますオリンピックの冬季大会、それからデヴィス・カップ、あるいは学生オリンピックといわれております学生スポーツ週間参加費等を計上いたしたわけでございます。次のオリンピック対策費は、準備委員会に対する補助金でございます。  それから11の体育振興特別助成費、これも体育関係につきまして特に助成すべき事項につき、一括計上した経費でございます。六千八百万の計上でございまして、事項につきましては、まだ細目は決定しておりませんが、ここにあるような構想で考えておるわけでございます。  12の学校給食関係でございますが、最初に施設設備整備の補助金、これは学校数七百三十校といたしました計上でございます。準要保護児童生徒学校給食費補助、これは先ほど申し上げたものの再掲でございます。定時制も従来から計上しておる経費でありますが、百五校分を計上いたしました。学校給食会の助成、これは取り扱い物資の増加に伴う増員分でございます。それから(3)の食糧管理特別会計の繰入金、これは明年度学校給食用の小麦使用量が十五万七千トン見込まれておりますので、これに対する政府の補助金、ミス・プリントがあって恐縮でございますが、百グラム一円でございます。百グラム一円の補助をいたすその分をここに計上して、特別会計に入れる金でございまして、十五億七千万円でございます。  それから13の国際文化の交流関係といたしまして、最初は国費外国人留学生招致、最初に留学生の人数でございますが、明年学年進行が百三十名ございますので、新規に七十名入って参ります。加えまして二百人の給与費が四千八百万、それから二番目に東南アジアとか中近東からの学生に対しましては、片道の旅費につきまして一部を補助いたしたいということで、新規に二百五十万を計上いたしました。第二番目は沖縄に対する教育援助補助費でございますが、最初の沖縄学生の招致、これは従来からやっておる経費の継続でございまして、新規十一人増額でございます。指導主事の沖縄派遣でございますが、沖縄の教育援助につきまして積極的に指導主事を派遣したい。この派遣費として二十四人分、六カ月ということで千百三十万六千円を新規に計上いたしました。それから沖繩教員の内地派遣制度実施、これも従来から実施しております現職教員を内地に送るというための経費であります。  (3)、日仏会館改築費補助金でございまして、前年一千万円補助いたしましたが、継続して二千万円を補助して三千万円を日本政府から補助いたすことといたしました。(4)の国際教育協会の補助金でございますが、先ほど申し上げました国費外国人留学生の宿舎と補導の世話をいたしております財団法人、これに対する補助金が千百七十七万円でございます。寮に入り切れない学生もございますので、これに登録宿舎制度を実施いたしておりますが、その分で三十人分。それから会館の若干増築等がございまして、これを計上いたしたわけでございます。国際会議出席旅費は、予定の会議費を前提として計上したわけでございます。前年度より減じておりますのは、前年度ユネスコ総会があった関係でございます。  14のユネスコ活動と文化財保存事業の拡充でございますが、ユネスコは、計画に従いまして海洋資源開発等の調査をいたし、また日本の思想文献の紹介等を計画しております。明年は国際会議がユネスコで一つございまして、エカフェ地域の国の職業技術教育のワークショップを日本でやることになっておりますので、そういう経費を計上したわけでございます。文化財保存事業関係でございますが、国立劇場の設立準備費として二千万、これはせっかく土地がきまりまして、明年度設計の懸賞募集をいたしたい、その所要経費でございます。保存事業費は前年に比べて約四千万円の増加でございますが、もろもろの防災事業、改修等をやっていく予定でおります。  以上のほかおもなものを出しておきましたが、ここで二、三申し上げておきますと、二番目の学校図書館設備補助でございますが、これは高等学校と盲ろう養護学校の高等部のみを現在対象にいたして千百九十六万の計上でございます。それから次の私立学校教職員共済組合の補助金でございますが、これは長期につきましては百分の十五の実績負担、それと事務費の一部補助の計上でございます。それから四番目に学校安全会の事業として新たに千二十万の計上を見ておりますが、これは学校管理下におきます児童のけが病気等につきしまて救済の事業をする学校安全会というものを設置する、このための補助として一千万を計上したわけでございますが、これは別途法律案を用意しておりまして、御審議をわずらわす予定であります。その次は、市町村教育長の給与の補助でございますが、新たに三億八千八百万円計上いたしました。大体市につきまして三万五千円、町村について二万円の支給単価で三分の一を補助したいという考え方でおります。  以上合計千七百九億の予算を計上したわけでございます。  以上で説明を終ります。     〔委員長退席、原田委員長代理着席〕
  6. 原田憲

    ○原田委員長代理 それでは、これより去る一月三十日の委員会において、文部大臣より所信の表明のありました文教基本施策に関し、またただいま説明のありました昭和三十四年度文教関係予算に関し質疑を許します。加藤精三君。
  7. 加藤精三

    加藤(精)委員 文部予算説明を拝聴いたしますと、いかに文部省の仕事が広範な事項にわたるかということを痛感するものでございまして、それほど広範でございますので、個々の問題につきまして非常に掘り下げて、突っ込んでそれについての政策を研究するということが、いかに超人的な大臣でございましても、また秀才の官僚でございましても、困難なことをしみじみと感ずるものでございます。     〔原田委員長代理退席、委員長着席〕 それで思い切って、われらが選挙した国会が作り上げた政府に対しまして、国民は協力しなければならないということを痛感するものでございまして、ことごとに政府の説に反対々々といって、反対のみに終結しましてこれを妨害するということは、国家の能率に非常に影響するということを感ずるものでございまして、正しき意味におきましての正当な意見、ためにするための反対じゃない、ほんとうの国民の声を代表した反対とか質問とか、そういうものはもとより民主主義的に尊重せらるべきものでございますけれども、妨害のための妨害というようなことがあるような感じがするのでございます。(発言する者あり)発言は国会議員の自由でございます。かれこれそれをも妨害し、あるいは暴力を加える等のごときは国会議員の本分に反するものでございまして、何も徳目教育をやるわけじゃないのでありますけれども、その点十分に御了解を願います。  質問の内容であります。いかに文部行政がやりにくいか、いかに歴代の文部大臣が実績を上げにくいかということでございまして、われわれは当面差し迫ったたくさんの教育緊急問題があると思いますが、われわれの信任して選出したる内閣、選出したる各国務大臣に思う存分手腕を振わせるというイギリスの議会制度のごとき、そういうふうな美しい情景を日本の国の政治にも私は期待するものであります。そういう意味におきまして、広範なる文部行政の中におきまして、なおもわれわれは与党、野党とも政府にいろいろな意見を反映して、こうやって育て上げたりっぱな昭和三十四年度予算と思いますけれども、なおもそれにつきまして、われわれが編成協力後いろいろな感想を持つことは当然でございます。  それにつきまして、いささか予算の内容そのものにははずれるかもしれませんけれども、そしてまた間接には相当予算の内容とも関係する問題で、学童の安全の問題を一つ取り上げて、新しき大臣の新しきアイデアをお伺いしたいものでございます。全国に約五万数千の鉄道踏み切りがあるということを聞いております。しかも鉄道にあらざる大都会の電車、自動車等の非常にひんぱんに往復するところの踏み切り、すなわち児童横断路というものが数多くあるということを聞いております。手近の東京都につきましても、数千の横断路があるということを聞いておりますが、特に改善を要する横断路ですら数百を数えるということを聞いております。われわれ毎朝国会に通勤いたしますにいたしましても、近時自動車交通の激増から見まして、この学童の危険につきましては憂慮にたえないのでございます。最近の新聞、ラジオ等によりましても、学童がしばしば東京都におきましてもハイヤー、トラック等によりましてはねられて重傷をいたし、また死亡をいたしているのでございます。私考えますのに、国家の行政は国民の生命、身体の尊重ということに最も重点があると考えているのであります。この個々の動物的、肉体的生存の上に、あるいは種々な精神的な要素が加わり、そこに思想、文化も花が咲くのでございまして、個々の活存、生活というものを守るということはこれは国家問題の基礎じゃないか。それより非常に進化した段階におきまして、あるいは芸術を楽しみあるいは宗教を楽しむということになりますれば、あるいはこれは国家問題を超越しまして、世界共通の、価値の世界を追求するという面になるかもしれませんが、そのどこまでが国家問題であるかということは、これは私よくわかりませんが、哲学の世界で考究すべきものと考えるのでございますが、さしあたり児童の生命を守るということは、国家として最も重要な問題になると思うのでございます。そういう意味におきまして、この鉄道踏み切り及び都会における学童横断路の問題、これは児童教育上重大な問題でないか。先ごろ私ラジオで承わりますと、ある区に児童横断路がございまして、そこで停止信号があって安心しておったところが、そこヘトラックがとまらないでやってきてひかれてしまった、その子供の言うことに、自分はもはや大人を信じられない、それから標識を信じられないと言うたということでございます。これを聞きました東京都の当該係官は、繊断路という場所において、生活に即して、実際に即して安全教育をやるべきだということを言うているのでございます。私は教育学の専門家でもございませんけれども、知能の低い、まだ幼稚である児童生徒に対して、そういう危険な場所で安全教育をやるということは、果してトラックの乗組員あるいはハイヤーの操縦者が非常に良質の注意心を持っているか持っておらないか。あるいは性質粗暴であるかどうか。あるいはそのときにどれくらいの車両が錯綜しているか、そういうふうな非常に複雑な条件の中で、そうしてその中において安全を守っていこうというそういうむずかしい環境の中に、危険な環境の中において、安全教育をしていくことを学校児童に要求することはきわめて困難であろうと思うのであります。鉄道踏み切りにつきましては、第一種から第四種まであるそうでございまして、第一種は踏切番の小屋がございまして、そこに踏切番がいて、遮断機の上げ下げをそこで操作する、そういう周到な鉄道踏み切りであるそうでございます。それからあるいは自動警笛とかあるいは交通巡査と学童との共同でやるところ、あるいはもっと細部に言えば、特に登校、下校の時間、そういうときだけ警察官が警戒する、指導するというような各種の種類があると思うのでありますが、どうしても自動警戒装置の必要な場所におきまして、それを一個設置するのに相当な金額がかかる、東京都のそういうふうな学童横断路の危険を排除するためには、数十億に上る経費を要する、それで、そういうふうな学童横断路の災害予防装置をいたしますためには、現在の東京都の予算では、年に二カ所くらいしか設備できないということをラジオで言うておったのでございます。こういうようなことは、経費の不足ということではとうてい看過できない問題じゃないか。特にこういう問題につきましては地方債の公募債でもいいから認めて——その公募債は大都市の必然性からくるのでございまして、また大都市の財政は比較的伸張力があるのでございますから、大きくこの起債を認めて、思う存分な解決を一両年の間にやってしまうことが先決じゃないか。これをわれわれ文教委員や文部省が、大都市に向って、何とかしてこれは決議でもって要求するというようなことに進んでいただくわけにはいかぬかということを考えるのでございます。学校教育というものは、もともと生徒の幸福を増進すべきために存在しているものだと考えるのであります。ところが学校教育の環境整備が、もし安全という見地から見まして非常に有害なものであるならば、かえって学校があるために生徒は不幸になるのだ。私、若いときに、教室に結核の子供が非常にたくさんできる、しかも教室の前列から向って二番目の列と三番目の列に一番結核の子供ができる、それは学校の先生が結核であって、その飛沫が二列目と三列目に一番飛ぶ、そこで、そこに濃厚感染が発生したということを聞いたことがございます。また有名なリューベック事件というのは、水道の水に結核菌が入りまして、その学校生徒が大量に結核になったという世界的な事件があったそうでございます。そういう例をとりますれば、学校というものの存在が、健康的な幸福な子供をたくさん集めてきて、そこで結核菌をまき散らすことによって学童を不幸にするということになるのであります。それと同時に自動車交通、汽車の交通、そういう交通が学童を危険な状態に陥らしめて、バスと電車とトラックと、そういうものの中に子どもがはさまれて重傷を負う、生命を失うというような関係がある場合に、そういうところを通らせるということは、すなわち幸福な児童を連れてきて、そして危険な目にあわせるということに、結果におきましては、学校の機能がなるわけであります。学校というのは教育を授ける場所であるばかりでなくて、子供の順調なる健康の成長というような問題、あるいは社会事業的に、社会政策的に子供の生活を援助するというような、単に教育事業としてだけでなしに、より社会的な有意義な機関でなければならぬということを痛感するものであります。そういう意味におきまして、もしある市町村がその市町村の議会の議決を経て、自動車交通の非常にひんぱんな国道の周囲に学校を建てまして、そして大多数の、七、八割の児童が跨線橋とか危険な魔の踏み切りとかいうところを通ってその学校へ通わなければならぬというようなことになるならば、それは学校の位置そのものが学童の身体生命の危険性を激増させるものでございます。現在の小学校中学校配置の現状におきましては、また市町村の行政の実際におきましては、われわれも六年数カ月市町村学校配置その他について苦労して参りましたが、なかなか敷地の購入が困難でございまして、そうした踏み切りとか跨線橋とか、自動車交通、汽車交通の錯綜地帯とか、そういうものを避けると学校建築の好適な敷地を見つけることができなというような場合が非常にあるのでございまして、その結果安きにつきやすいのであります。そこで学校整備はこれから五カ年間に画期的に行われるのでございますが、その場合、町村合併の成果ともにらみ合せまして、危険校舎改築移転する場合もありましょう、また新しく敷地を求めて統合して小中学校を作る場合もありましょう、そういう場合に文部省はこの安全教育の見地から、また最終的には学校の目的である児童の生命身体の危険防止という面から、こういう五カ年計画の当初においてこそ、画期的な御施策があってしかるべきものだと考えておるのでございます。私たち、事文教に従う国会議員は、ラジオや新聞におきまして学童の踏み切り事故や横断歩道の事件を見聞きしますときに、また警視庁の前その他で、きょうは交通事故でどれだけ死亡した、重軽傷が何名あったということを見ますときに、一日も早く、学童の身に迫る危険を何とかして防止しよう、こういう非常に強い、そして何とも言えない、やむにやまれないような改善の要請に胸が一ぱいになるのでございます。われわれは、事文教に関しては社会党、自民党というような区別をあまり重要視しておりません。われわれは同じようにヒューマニズムに立ちまして、わが国の学童の幸福を願うものでございます。こうした通学路における鉄道踏み切り、都会地の学童横断路の危害予防、安全教育、これに対しましての行政、財政措置というような面につきまして、新しい大臣の御抱負を承わりたいと思いまして、きわめて尽さない質問を申し上げるわけであります。
  8. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 ただいま加藤委員の御質問の御趣旨は、全く同感でございます。学童の幸福のために、交通事故のようなものによってけがをするというようなことは、何とかして絶無にしたいと思うのであります。現実は非常に危険がございますので、この防止の方法としては、危険事態のないように、いろいろな標識を設置いたしましたり、あるいは警察官の配置をいたしましたりするような施設をして、子供にけがのないようにいたします配慮、それからもう一つは、子供自身の交通安全に対する教育という両面のものがあると思います。何と申しましても幼い子供でございますので、登校の際に子供が旗振りをして交通整理をしているようなのを見ましても一非常に心もとないのでありまして、中にはお話のありましたように、そういうものを無視していくような不届きの運転手もいるというよう状態でございますが、一番大事な問題といたしましては、児童自身の危険のないようにいたします道路の交通取締りに関します施設をいたしますこと、あるいはまた人を配置するといったようなことが一番大切な問題だと考えております。従来からもいろいろ配慮はされてきたと思いますけれども、なお私、ただいまお話のございました趣旨に従いまして警察、PTA等とも連絡をとりながら、これのための具体施設についての検討を進めて、それを促進して参りたいと考えております。都市等についても、それに応じまして必要な施設等を要すれば、文部当局としても一緒になってそれの要請もし、また施設促進できるように配慮をいたして参りたいと考えております。  それから、この五ヵ年計画に従って新規に統廃合等をいたします場合には、ただいまお話のございましたようにいろいろ敷地問題は、どこでもむずかしい問題がございますけれども、学童の交通安全という点については十分配慮を払う必要があると思いますので、位置等をきめますについては、都道府県教育委員会の決定の際に、十分その点の考慮が払われるように、文部省といたしましても所要の手配をいたしたいと考えております。なお児童自身の交通安全に関します知識、配慮といったような点につきましては、従来社会科等を通じまして学校でもいろいろ配慮があると思いますが、その方も今後とも十分配慮いたして参るつもりでございます。何といってもやはり物理的に危険の度合いを少くする施策というものが第一にあるべきだと思います。加藤委員のお話にございました点につきましては、ただいま申したような線に沿って努力をいたして参りたいと思います。
  9. 加藤精三

    加藤(精)委員 了解。
  10. 臼井莊一

    臼井委員長 次に櫻井奎夫君。
  11. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 私は、ただいま説明がございました三十四年度文教予算につきましては、説明の直後でございますので、詳細については今後検討させていただきますけれども、説明の途中において気のつきました二、三の点について大臣に御質問を申し上げたいと思うのでありますが、その前に一つ、大臣も新たにかわられたことであるし、この前の委員会において橋本文部大臣の御所信のほどを承わったわけでございますが、重ねて、一体橋本文教行政の最も重点とするところは那辺にあるのか、あなたの任期中にどうしてもこれだけはやっていきたい、こういうものがあるに違いない。先ほど加藤さんもおっしゃったように、文教行政というものはすこぶる広範多岐にわたっておるのであって、これは全部を満足のいくようにはできない。しかしこの点だけはどうしても自分の就任中にやりたい、こういう文教行政の重点的な問題点がございましたら、この際お聞かせを願いたいと思います。
  12. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 文教行政はただいま加藤委員からお話のありましたように非常に広範多岐にわたるがございまして、全体の重要性というものは、それぞれ何が必要、何が不必要というようなことはないので、私はそれぞれのウエートというものを破らないことが大事だと考ております。しかしその中においても、おのずから重点とをうでない部分とはあると思います。やはり私は一番大事なことは、何と申しましても、義務教育の内容を改善、充実するということである。それに次いでは科学研究の充実をはかっていくというような点が、全体のバランスを破らないように全面を見て文教行政をやりながらも、特に重点として頭に置かなければならぬことであると考えております。
  13. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 義務教育の内容を改善し、その水準を高めていく、これが最重点施策である。こういう御所信の表明がありました。なお二点としては、科学技術教育の質の向上をはかるんだ、これは私どもも全く同感でございまして、そういう意味において、大臣の今後の御施策について御協力を申し上げることにやぶさかではございません。ぜひ一つそういう重点的な政策を強力に推し進めていっていただきたいのであります。  そこでこの予算案について少しく申し上げますが。まず一番の義務教育費国庫負担金の問題でございます。これは先ほど大臣がおっしゃられた義務教育の内容改善の重点的な問題であろうと思います。今日、日本の義務教育の当面しておる最大の難関は、何と申しましても、やはり都市におけるすし詰め学級の問題、それから山間部における僻地教育をいかに振興するか、こういう大きな問題点にしぼられてくるんじゃないかと思う。その中で今回はこのすし詰め学級解消するんだ、こういう大きなスローガンを掲げられまして、この国庫負担金も相当の増額を見ておりますし、教員数も三千二百名増、こういうことになって、自民党は文教政策として五ヵ年間において日本のすし詰学級を解消するんだ、こういうことを大々的に宣伝もしておられるし、各新聞、ラジオ等もそういう問題を取り上げておるわけでありますが、しからば内容的に、果して五ヵ年間における文部省の予算で現在の日本のすし詰め学級解消できるかというと、私は多大の疑義なきを得ない。こまかい点はいずれあとで質問いたしますが、きょうは大きな問題点だけ申し上げてみたいと思うのであります。特に今回はいわゆる公立義務教育学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律、これは三十三年法律百十六号として通過いたしたわけであります。その基準によって今回のこの定数というものをはじき出されたと思うのでありますが、それで一応中学は五十四人どまりになるし、小学校は五十八人どまりのものにして、それ以上のものを本年度解消する、こういう施策のようでございます。ところが今日日本のすし詰め学級の状況を見ますと、文部省から出しておる統計によりましても、小学校における五十八人以上というのは、全体のパーセンテージから見ると実に微々たるもので、一一・九%であります。特にそれ以下の五十一人から五十五人、これは二一・七%の大きな比率を占めておるし、四十一人から五十人までが最も大きいので、三四・四九%ですから、まあ三五%、こういうのが現実の姿であります。今回この五十八人を解消するとすし詰め学級が一段落し、非常な前進をするような宣伝をなさっておりますけれども、この五十八人というのはすし詰め学級の中のわずか一一・九%にすぎない。おそらく来年度から当面される、さらに五十八人以下の学級を解消されるということになれば、実に膨大な予算が必要じゃないかと私は思う。中学においても同じことがいえるわけであります。こういう点につきまして、五カ年計画というものを果してほんとうに三十八年度までに完成するという固い決意でやっておられるのかどうか。今年度は実に安易な行き方であると思う。一一・九%というのはわずかなものである。今度来年度から起きてくるのは、もっと大きな問題が起きてくる。これをどうしても解消していく、五カ年で必ずやるのだ、こういう御意思があるのかどうか、この点をはっきりお聞きいたしたいのであります。
  14. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 今回の予算編成の実態的な過程は灘尾前文部大臣が非常に御苦労されたのでありますが、私も旧臘以来引き継ぎまして、これにタッチをいたしました。今回の予算編成に当りましても、ただいま櫻井委員からお話のございました点、ひとり三十四年度予算のみでなくて、ほんとうに五カ年計画を遂行するという意味で、後年度を考えながら予算を組むという点に前文相の御苦心もあり、財政当局の苦心もあったのであります。五カ年計画をぜひ遂行いたすという固い決意で、その第二年度分として今度の三十四年度予算を組んだ次第でございます。
  15. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 その予算を組まれたことはわかるのですけれども、あなた方の考えておられるこのような予算で、果して五カ年間で解消ができるかどうか、そういう自信を持っておられるかどうかということを私はお聞きしておる。たとえばこのすし詰め学級は、教員の数をふやすということだけでは解消できない。もう一つ教員の定数を増加すると同時に、入れものである学校の教室を建てていかなければすし詰め学級解消はできない。たとえば文教施設費の方を見ますと、今日不正常な授業をやっておる、不足しておる教室というのは、小学校で大体一万四千教室、中学校は三千教室です。これを建て増していくということになれば、私どもの計算では大体六百七億の費用が要ります。六百七億とすると、五カ年間でこれを解消するとしても、一年間どうしても百億以上の予算計上していかなければいけない。ところがどうです、今回はたった七十七億じゃないですか。あなた方は百二十億を要求されたということを聞いておりますが、百二十億の要求が七十七億に押えれて、それぞれ文部省はへこんで、これですし詰め学級解消するということになると、おそらく五カ年計画は六カ年計画になるのじゃないかという非常な危惧を私どもは持っている。このような予算で五ヵ年計画ができるのかどうか、来年度は倍くらいの予算計上される決意があるのかどうか、五カ年計画の実態を私は言っておる。このような教員配置と、それからこのような施設予算では、五カ年どころか十カ年かかります。それに対する大臣の決意を私は聞いている。こまかい予算上の数字の点については、これは相当者でもかまいませんけれども、ほんとうに人員の定数の面からと施設の面から、五カ年間で解消するんだという決意は、やはり最高責任者であるあなたがしなければならぬが、それだけの決意があなたにあるのかどうか。口だけでは義務教育の内容充実が私の一番の重点政策だと言っておるけれども、それを裏づけするところの予算措置を、あなたは今後ほんとうに全政「治的生命をかけてやられる意思があるかどうかということを、私は質問いたしております。
  16. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 ただいま御質問の通り、五カ年計画を完全に遂行するつもりで決意をいたしております。年度割の計画を考えまして三十四年度予算を組み、そして三十五年度以降五カ年計画を完全に遂行するつもりでございます。
  17. 加藤精三

    加藤(精)委員 関連して。櫻井君の御質問は、世耕大臣の例をとれば、非常にいい御質問だと思います。ところが私が非常に疑問に思っている点が、実はそこにある。私は予算編成をした政府当局でも何でもないのでありますが黙って見ていますと、小学校は政府の方針や政府の行政だけで立つように言われているが、それだけで義務教育小学校は立つべきものじゃないのです。国で力を及ぼし得るものは三分の一か、四分の一か、五分の一にすぎないので、これは地方自治団体が営み出すものなんです。社会党の言葉でいえば、地域ぐるみの熱望によって営み出されるものが、小学校であり中学校であります。それで文部大臣だけ責めても何ともならぬのですよ。日本国憲法には、自治体の自治を決定する権利は地方自治団体自体にあるのですからね。その点から見て、国家だけが独走してもしょうがないじゃないか。果してそれを受け入れて、日教組の言葉でいえば受けとめて、そしてこれに対処するだけの力が、地方自治団体と地方団体の財政力にあるかどうか、あるいは議員さんの選挙地盤養成に必要な橋梁とか道路とか、それを先にしないで、そういうことを耐え忍んで、そしてその村の自治の万全を期するために、そこの村の自治、そこの村の青年の体質を鉄筋コンクリートのようにかたくするために、教育優先だということを言うところの議員さん、理事者が果してどれだけあるかという問題に関連いたしまして、これは五カ年計画最初に、地方団体当局者等にも、国家としてもあるいは政党としてもPRをする必要がある。それを伴わずして、単に政府だけ独走することを勧めるということは、たとえば五百億の増額をするとしますと、私は地方団体ではおそらく二百数十億のなお大きな財源を調達しなければならぬと思う。現在の地方公共団体にはそれだけの増税の余地があるかというようなことを十分お考えになる必要があるのじゃないか。それで、櫻井先生には御質問する理由はないわけでありますが、文部大臣に、そういう点の御配慮も並行してお考えになった結果、こういうふうな数十億の増額にとどめたのではないかという疑いがございますので、その点を御質問いたしたいと思います。
  18. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 公立文教施設充実の問題については、これはもうただ放置しておいて五ヵ年計画がすくできるとは考えておりません。やはり国といたしましても、地方団体といたしましても、いろいろな苦労も要りますし、それからまた予算の編成についてもいろいろな面での理解を深めなければならぬと考えております。あらゆる面について考慮をしながら、将来予想される難関を打開して五年計画をぜひ遂行する決心でおります。
  19. 加藤精三

    加藤(精)委員 地方自治団体の財政再建計画が三十四年度または五年度で大半が完成を告げまして、再建計画の制限を受けないで、自由に予算を組める年度になる、ことに昭和三十五年度よりは、再建団体というものはほとんどその再建計画上の義務を履行して、自由に予算を組める時代になると思う。そういう時代に入りますので、文部省におかれては、昭和三十五年度を期して、この五ヵ年計画のすなわち第二年度におきましては、大きな施設予算を組むべく、そしてそれに地方団体の意識も教育優先ということに固まるように御努力をなさる御意思がありゃいなや。
  20. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 そのつもりでおります。ただいまお議のありましたようなことを考慮いたしまして、五年間の計画を立てておる次第でございます。
  21. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 私がただいま申し上げましたのは、すでに五ヵ年計画が二年度に入っておるわけですね。ところがこの二年度の出された予算を見ますと、この速度では五ヵ年では解消不可能だということを私は大臣に申し上げておるのです。従ってあなたがほんとうに五ヵ年で解消するという御決意であるならば、来年度予算というのはもっと大幅によほどの決意を持ってなさらなければ、ただから宣伝に終ってしまう、そういうおそれを持っておるがために、私は数字をあげてなお大臣の御決意をお聞き申し上げたわけであります。昨年度、今年度のこの予算では決して解消できません。これは十年計画になるのですから、必ず五ヵ年で解消するとおっしやるならば、それだけの決意を持って予算折衝をなさらなくちゃならぬ、こういうことを強く申し上げておるわけであります。  それから教材費の負担でございますが、教材費を国が負担するという根本の精神は、これはやはり父兄の負担を軽減するというところにある。今年は幸いにして二割増になっておるのですが、しかしこれはほんとうに軽減するには五十億くらい必要だと思いますが、それは一つの理想論でございますので、五十億とはとても参らないと思のですが、この教材費負担金の増というものが、逆にこの予算では裏の方で何らの配慮かなかったと同じ結果を生じておるということを私は申し上げたい。なるほど教材費負担金の項目においては二割増しになっておるし、小学校は二百三十円、中学校は三百五十円とそれぞれ増してきているわけです。しかし実質は、父兄の負担の軽減というのは、文部省の予算の項目を増加すればそれで軽減できるということでなくて、実質的にやはり父兄の財布から出る金を節約する、なるたけ少くする、こういうことにあろうと思う。今年のこの予算を見まして、教材費負担はなるほど増額しておりますが、うしろの方に参りまして、今日非常に問題点となっております給食費の問題に参りますと、ここに大きな問題があろうと私は思う。給食はほとんど全国的に普及いたしておるわけですか、この給食費の食糧管理特別会計繰り入れについて、百グラム一円を補助負担しておるようであります。ところが、小麦は今日百グラムが一円八十銭であります。従ってここに生ずる八十銭というものは父兄が負担しなければならぬ。百グラム八十銭ですから、三百グラムが二百四十円です。こっちの小学校の父兄負担軽減二百四十円というが、給食費の方で父兄は大幅に負担していく、こういうことで、項目の上ではなるほど父兄負担の軽減というふうになかなかりっぱな項目が上っておりますけれども、実質的には父兄の負担は軽減するどころか重くなっておる、こういうことを私は申し上げたい。小麦の価格は御存じだと思う。こういうふうに、百グラム八十銭は父兄にしわ寄せされてきておる。こういう問題を大臣ももう少し慎重にお考えにならないと、言っておることと実際に行われておる予算の遂行という面についてはそういう矛盾が出てくる。この点はどういうふうにお考えになっておりますか。父兄負担の軽減ということは、ただここの項目だけ減らすのでなく、もっと全般的な小中学校における父兄負担の軽減ということから考えていただきたいと思うのでございますが、大臣の御所見を伺いたい。
  22. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 父兄の負担は今後もできるだけ減少いたして参りたいと思います。今回教材費につきまして配慮いたしたのも、そうした一貫した政策の一つであります。給食費の点につきましては、アメリカ側でお骨折りくれておりましたグランドがだんだん減少して参りましたので、この点につきましては、本来的に日本側で負担すべきものをアメリカ側が援助してくれていたのがだん、だん減ってきておるという形であります。父兄負担という形から申しますと、それを個々に切りかえていくという格好が、できれば望ましいのでありますが、全部埋めるということが困難でありますので、ある程度やはりグラントの減りました分だけ給食費は上ったわけであります。総体の父兄の負担の減少という点につきましては、今後機会のあるたびにそれを配慮いたして参るつもりでございます。
  23. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 今の問題ですね。これは小麦が百グラム一円であった場合もあるのです。それを全額負担しておったこともあるわけです。価格が変動しているわけです。価格が変動しておる場合には、その変動に応じたやはり柔軟性のある措置をとっていかないと、そういうふうに実質的には父兄が大へんな負担をする。これは教材費という形では出ないわけですけれども、給食という形で実質的に父兄が出していくわけですから、やはりそういう総合的な観点に立って立案されて、初めて父兄の負担の軽減ということがいえるのであって、一方だけ負担を軽減しても片一方で出すのがふえていくということになれば、何ら父兄負担の軽減にはならない、こういうことを私は言っておるわけであります。そういう点についてもう少し総合的にお考えをいただきたい。  それから義務教育学校施設費の問題でございますが、これは大臣も御承知だと思いますが、老朽校舎危険校舎、それからいわゆる中学の新しい校舎、そういうものに対して今まで法律かばらばらでございました。それを文教委員会におきまして法律を一本にするということに成功を見たわけでございます。義務教育学校施設費の問題でございます。その中で今日問題となっておるのは負担の率がでこぼこであるということ、たとえば危険校舎は三分の一であるとか、あるいは中学校の新しくできる校舎は二分の一である、こういうふうに一本にまとめることには成功いたしたのでありますか、問題点として残っておるのはそういう国の負担の率がでこぼこである。やはり私は義務教育施設費というものは負担率は平等であるべきである、こういう考え方を持っておりますし、幸いにもこの前の国会においては、この文教委員会で満場一致そのような決議をいたしました。負担率を二分の一に、危険校舎も老朽校舎もあるいは屋内体操場、こういうものも負担率を全部同様にして、そしてそういう施設の改善をはからなければならないという決議をいたしておるわけであります。残念なことには政府の方からそのような法律が提案されてこないのを遺憾と思うのでありますが、この点は大臣はどのように考えておられるか。そういう法律案を出される恵山心があるか、あるいはそういう方向に向って努力をされる意思があるかどうか。国会の文教委員会の決議でございますから、これは当然大臣としては尊重さるべきだと思うのでありますが、御意見をお聞かせ願いたいのであります。
  24. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 ただいまの御質問については従来も御決議の趣旨に沿うように文部当局としても当然努力して参るべきもの、だと思います。現在政府内でどういうふうに具体的にその問題の処理が進行しておりますか私存じませんので、政府委員から答弁いたさせます。
  25. 小林行雄

    小林政府委員 義務教育学校施設整備につきまして先ほど来お尋ねのございましたように、一応予算面では五カ年計画の長期安定した計画はできたわけでございますが、ただいま御指摘のございましたようになお将来の問題といたしましては幾つかの点がございます。ただいまお話のございましたように、たとえば小学校危険校舎改築あるいは不正常授業の解消の負担率か他の場合と比べて低い。ほかの場合は二分の一でありますが、これは三分の一になっている。これは是正すべきではないかというお尋ねでございますが、私どももさように実は存じます。ただ現在の実情から申しますと、そういった面もございまするけれども、それよりも一刻も早く危険校舎改築をし、またすし詰め学級解消をするということの方が、負担率よりも現実の問題としては焦眉の急でございますので、政府といたしましては、さしあたってこちらの方に重点を買いていたわけでございまして、将来の問題としては、負担率の問題等につきましても十分考慮をして参りたいと思っております。
  26. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 これはやはり負担の率がまちまちであるということは不合理であるし、やはりそういう施設解消という方向に進んでいくのに非常な無理があるのじゃないかと思います。従ってこれはやはり文部省でも真剣にそういう点を御考慮願いたい。私どもはここで与野党一致してそういうふうにあるべきであるという決議をいたしておるのでありますから、国会の決議は尊重してもらわないと困る。ぜひそういうふうな方向に持っていってもらいたいし、私どもまた議員立法することもやぶさかではない。自民党の皆さん方もこれには大賛成で決議をされたわけでありますので、反対はなさらないと思う。  それからこまかい点に入りますと恐縮でございますので、この次の機会にいたしたいと思いますが、すし詰め学級と同じように一番問題点になっておる日本の僻地教育でございます。僻地教育振興というのは、今回の予算を見ますと何ら目新しいものがない。ただ保健管理費補助というのが出ておるが、中にバス五台、ボート二隻となっております。これは村の予算か県の予算かと思ったところが国の予算らしい。一体このバス五台、ボート二隻をどこに配置しようとなさるのか、しかもその三分の一の補助でございます。これはないよりもましだ、こういうお話かもしれないが、国の予算としてバス五台の二分の一、ボート二隻の二分の一の補助をやって、そうして僻地教育振興しているということは、これは薬にしたくてもそういうことを言うべきではないと思う。僻地は相変らず教育の谷間として放置されているのが今日の予算の現実です。この点について文部大臣はどういうふうに考えておるか。この五台と二隻というのはどこにどういうふうに配置されるのか、これは担当の方でもいいし、僻地教育予算全体については一つ文部大臣の御答弁をいただいて、バスとボートの問題はだれか関係者に御答弁願いたいと思います。
  27. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 総体の予算の中でいろいろな問題もございますが、僻地教育の問題につきましては今後とも十分骨を折って参りたいと考えております。なお具体的な問題につきましては政府委員の方から答弁いたさせます。
  28. 内藤誉三郎

    ○内藤政府委員 ただいまお尋ねのスクールバススクール・ボートの配分の点でございますが、本年は試験的に実施いたしておりまして、今のところまだどこからも御希望がきておりません。本年度は一応予算計上しまして、その趣旨を普及いたしまして、できるだけ適正に配当いたしたいと考えております。  なお僻地教育につきましては、先ほど会計課長からも申し上げましたように、本年度は特に教員充実及び確保が大事であろうと考えまして、僻地手当の大幅増額をいたしまして、(「大幅ト)じゃない、小幅だ。」と呼ぶ者あり)四%を八%にしたわけでございますから倍でございます。それに要する予算として義務教育費国庫負担金の中に一億数千万円の予算増額されておるわけでございます。
  29. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 やはりこの僻地教育の問題としては非常な問題があります。これは今後僻地教育問題を審議するときに特に私は申し上げたいと思います。本日は時間もございませんので先に進みますけれども、やはり義務教育を刷新する、改善する、こういう大臣の決意であるならば、すし詰め学級だけが問題ではないのです。それも大きな問題であると同時に、やはり車の両輪のごとく片一方に大きな問題点となっておるのはこの僻地なんです。北海道に行ってごらんなさい。北海道の八割くらいは僻地です。そういうところで国民としての義務教育が行われておる。義務教育は子供が受ける権利を持っておる。それが全く電気もないようなところで義務教育が行われておる。こういう点については、陳情がある、あるいは圧力が多いというところだけ重点的に考えないで、ほんとうに教育の谷間、声なき声をやはり文教政策に反映しなければ、いかに義務教育の内容を改善する、向上をはかるといっても、取り残されたものはいつまでも下積みになって取り残されておるというような現実では、これは大臣の意思とおよそ反対の現象が続くと私は確信します。ぜひ文部省は、僻地の問題についてはもっと真剣になって取り組んでもらいたい。昨年度予算から幾らふえておりますか。内藤局長は、四%が八%になったというが、そんなものはスズメの涙ではないか。そういうことで僻地振興したなんてとんでもない考えだ。そういうところはまことに微々たる予算計上であるけれども、全く驚きいったことには、新規要求の中に、教育長の給与を三分の一国が補助するんだ、こういうことで三億八千万円かの、これは去年になかった膨大な数字を掲げてありますし、それから教科課程改訂に伴う教職員研修をやる、こういうことで、実に昨年の四倍に上る膨大な経費計上してある。大事なところには予算をさっぱり力を入れないで、そうしてこういうところに非常な新機軸を出そうとしておられるわけでありますが、一体教育長というのは、これはもちろん特別職でありますが、一般教員の場合は、義務教育職員国庫負担法という法律によって給与というものは支給されておる。こういう給与というものを、補助によって毎月々々くれていこう、こういうことが、法的にいろいろ問題点はあると思のですが、筋道としてそういうことがあり得るのかどうか。あなた方はやろうというのですから、あり得るとおっしゃるわけですが、筋道として少し曲っておるのではないですか。一般職は全部法律によって給与というものは規定されておる。校長に管理職手当をつけるという場合も、管理職手当という法律を通して管理職手当をあなた方はなさったわけだ。今回は教育長には三分の一給与補助するとなっておる。こういう点ははなはだ不明朗であると思うが、大臣はどういうふうにお考えですか。
  30. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 ただいまお話がございましたけれども、自治体において負担をいたします給与につきまして、国が補助をいたしますということは、これは考えていいことだと考えております。教育長の給与というものが十分でございませんで、やはりそれが教育長の充実という点に必ずしも十分でないように考えられますので、やはりこの点につきまして国がめんどうを見ますことは、むしろ財政がだんだん充実して参りますれば、地方自治体のためにできるだけ考えていきます方が、教育の能率を上げる上でもけっこうなことだと考えて、今回は予算計上した次第でございます。
  31. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 給与を増されるということに私は反対をしているわけではない。給与を増すならば、そこにやはり立法措置等の必要があるんじゃなかろうか。特別職といえども、これは給与でございますからね。それを自治体の職員の給与補助するということがあり得るとおっしゃられておりますが、どういうことがございますか。たとえば市町村の吏員と申しますか、公務員に国が給与補助しておるという前例がございますか、お伺いをいたしておきます。これはだれか政府委員でけっこうです。法律なしに国が給与補助するという前例があるかどうか。
  32. 内藤誉三郎

    ○内藤政府委員 詳細に研究しておりませんが……。
  33. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 詳細に研究もしないで、こんなものを出すのか。
  34. 内藤誉三郎

    ○内藤政府委員 今のお話ですが、給与の点で具体的に法律なしにあるかないかという点でありますが、これは後ほど調査してお答えいたしたいと思います。
  35. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 そういうずさんなことで予算を組むのかね。これがもしかりに法律違反になるかどうかわからないけれども、法律にそれが違反しておったという場合に、この三億何千万という国費は一体どうなるのだ。
  36. 内藤誉三郎

    ○内藤政府委員 今お尋ねの点は、従来も予算補助はたくさんございましたし、現在もあるはずでございます。ただ具体的にどういう職種かとおっしゃった場合に今お答えいたかねる、こう申し上げたのでございます。この点は従来からもやっておりました。  それからいま一つ、先ほど管理職手当のお話がございましたけれども、管理職手当につきましては、これは別に法律を私どもは必要としていなかったのであります。ただ、市町村が負担するか都道府県が負担するかということが明確になっていないので、義務教育の諸学校の校長に管理職手当を出すのはこれは都道府県が負担するのが適当である、こういう法律を先般お願いしたわけであります。国立学校につきましては、人事院規則で管理職の問題がきまるわけでございます。その人事院規則を受けて地方では管理職手当を支給するわけでございます。支給する支給しないということは法律の根拠ではございません。
  37. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 支給するしないと言っているのではない。そういう管理職手当も、どこからどういうふうに出すという手続をちゃんと法律できめて出してある。これを地方におろす場合、一体どういう形でおろすか、この補助というものは交付金の中に入れるのですか。地方にはどういう形で実際具体的におろしていくのか、そのおろす道筋  を言って下さい。
  38. 内藤誉三郎

    ○内藤政府委員 これは直接市町村補助いたしたいと思っております。今お尋ねの管理職手当のことでございますけれども、管理職手当については、黙っておりますれば市町村が持つことになるわけでございます。そういう疑問がありますから、都道府県に負担をさせる義務を課する場合は、これは法律を要するという意味でありまして、今回の市町村教育長に補助をする場合には別に法律を必要としないという考え方を持っているわけでございます。
  39. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 それではこれは、教育長の給与補助として市町村におろしていく、こういう考え方でございますね。
  40. 内藤誉三郎

    ○内藤政府委員 さようでございます。
  41. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 その法的解釈については、私も今これを見ただけでありますから、研究をいたさなければならぬと思います。しかしまず今までの例として、特別職の給与のこういう形はあまり聞かない。文部省がこういう異例の考え方に立たれたというのは、やはり今日の教育長というものを文部省が掌握をしたいという一つ考え方がはっきりあると思う。どういうわけで教育長に三分の一も国が補助をしなければならないか、その根拠を一つ承わりたい。
  42. 内藤誉三郎

    ○内藤政府委員 現在市町村教育長は、その責務の重大さに比較いたしまして、非常に給与の実態が低い。この中には三千円、五千円、八千円というような、一万円以下の給与をもらっている方も相当多いのです。そこでせめて町村のレベルにありましては二万円程度まで引き上げたい。教育長が管轄しておりますところの学校教職員の平均給は二万円をはるかに越えているわけです。校長は大体三万五千円から四万円が全国平均になっているわけです。これに比べて教育長が一万円以下であることは、あまりにも待遇が低過ぎるのではなかろうか、かような点を考慮いたしまして、その待遇改善に資するため、国が三分の一の補助をいたしたい、こういう趣旨でございます。
  43. 加藤精三

    加藤(精)委員 関連して一つだけ。私非常に不思議に思いますのは、市町村教育長の待遇が人道的にもほとんど許すべからざる低俸給であって、そして小学校中学校の先生たちは行き詰まり職業で、停年とか首切りとかにおびえておる場合において、これは実質的に小中学校の先生の職場の拡張であります。就職の機会を豊富ならしめることであります。そうしてほとんど言語に絶する低俸給であるにかかわらず、それに国庫補助を出すということにおいて昇給の勢いをつけ、実際の国庫負担は結局地方財政計画、地方交付税の面においてある程度必要な程度は、これはそれだけ給料の支払い実績の……。
  44. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 委員長、質問中ですが、私は……。
  45. 臼井莊一

    臼井委員長 ちょっと待って下さい。
  46. 加藤精三

    加藤(精)委員 私は政府に聞いているのです。
  47. 臼井莊一

    臼井委員長 櫻井君、発言中ですから……。
  48. 加藤精三

    加藤(精)委員 そうした実際に教育者のためを思って、また教育が権威あるために、初等教育人員を確保するための実質的な教育者の待遇改善です。小学校長の優秀な人が教育長になるのです。そういう人の待遇改善をしようとするのに、何だか法律違反じゃないかとか、どうもそういうことに金を乱費するのはいかぬとかいうことを言われるのは、私は実に心外なんです。(「それは質問じゃない」その他発言する者あり)だからそういうことは当らないのだ、そして日本の初等教育の権威を高め、すべての行政事務が円滑に行くためにやったのだという熱烈たる気魄を政府の御答弁の中に入れていただいて、そうして社会党を啓蒙していただきたいと思うのであります。そういうことができるかどうか御質問申し上げます。
  49. 橋本龍伍

    橋本国務大臣 私が先ほど答弁のとき申しました趣旨は、ただいま加藤委員から御質問のありましたような趣旨で予算計上いたしましたということを、先ほど申し上げたのであります。
  50. 小牧次生

    ○小牧委員 委員長要望いたします。議員の言論は確かに自由であると思いますが、しかしほかの議員が質問をしておられる最中に、関連ということで質問される場合には、聞きょうによっては、政府側で答弁される答弁の内容について、補足的な、答弁的な質問をされたり、あるいは質問ではなくて自分の所感を述べるというようなことは、これは筋道が非常に違うと思う。これは与野党を通じて、今後委員会の運営において委員長は十分一つ慎重に、質問をされる方については注意をしていただきたい。私は要望をいたします。
  51. 臼井莊一

    臼井委員長 ただいま小牧君の御発言がございましたので、その趣旨によって御発言を願いたいと思います。
  52. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 私は質問続行中でございます。今日のような委員会の運営ということになると、私どももこれでは正規な質問ができないのです。筋道を立てて質問をしておる。その質問のつど関連々々というようなことになれば、これは今後の委員会の運営としても非常に考えなくてはならない。今小牧君の方からも要望がありましたが、私は特に委員長の善処をお願いいたしておきます。  今政府側の答弁によると、教育長の給与が非常に低かった、実態はそのようであった、まことにその通り。これは小さな市町村においては教育委員は別といたしまして、その職務に専念する立場にある教育長というものの待遇というものは、処遇よろしきを得なかった、まちまちであります。従ってこれを高められるということについては、私ども何も異議を申していない。しかしそういう趣旨であるならば、補助とかいうような形でなく、もっとすっきりした、いわゆる法的体系をもって、この人たちの身分を安定すべきであるというのが私の理論です。負担ということになれば、負担は打ち切ることもできる。そういうことになれば、あるときにはこれが負担を三分の一にやって、ある場合はそういうものは財政上の都合で打ち切った、こういうことにしても何ら法律的には抵触しない。従ってそういう人たちの身分を確保するためには、やはり法を制定して、そして将来の安全を期さなければ、今日あなたのおっしゃる通り処遇よろしきを得ないために、地方に行っては教育長というものは、実際これは言葉が過ぎるかもしれませんけれども、いわゆる専門職の中学校小学校先生方を指導するところの立場にある教育長が、実は資格においてはなはだ疑わしき点があった。これはあなたもよく知っておられる通り事実なんです。そういう教育長にほんとうにりっぱな人がならなかったというのは、やはり給与の低いという面も、その一つの大きな原因をなしておったと思います。そういう教育長に、専門職である教職員の勤務評定を強行さしておられる自民党の態度には、私は非常な疑点を持つ。あなたが認めておられる通りです。地方の教育長というものが、今日ほんとうの専門職である教職員を批判し、これを評定する力があるかどうかということは非常な疑問がある。それが大多数です。そういう教育長に、今日あなた方勤務評定の実施者としての大きな権限を与えておられる。そこにも今日勤務評定問題が非常に混乱する重大な原因があると思う。この問題についてはもっと掘り下げて、もう少しこういう人たちの身分を確立するためには、一体補助という形で市町村に配付するのがいいのか、もう少しこれを別の角度から安定さしていく方がいいのか、これは一つ問題点として考えていただきたい。こういう補助の形で持っていくということは非常な疑点が残るし、なおそのような職種がほかにあるということもあまり聞かない。保健所の職員か何かにはそういうのがあるように聞いております。これはしかし必置のものではないのです。教育長というものは法律によって必ず置かなくてはならぬ職種でしょう。そういうものを補助対象にしていくということが、法的にいいか悪いか、こういう問題点がここに私は出てきておると思う。  きょうは一時までというお約束であります。まだたくさんございますが、また次の機会に誤りまして、最終的には今回の橋本文部大臣の提出されましたところの予算案というものは、およそすし詰め学級解消にはほど遠い。それから僻地教育というものにはきわめて冷淡である。科学教育についても私は申し上げたいのですが、これは後日に譲ります。そういう教育長をひもつきにすること、それから道徳科といいますか、修身科を新設することによって、いわゆる道徳教育実施するために教育課程改正して、その趣旨を徹底させるために文部省か官製の講習会を開く、こういうところに膨大な、去年より三倍も四倍もの経費を使っておる。私どもはこういう文教給策ということについては批判なきを但ない。こういうことを一つ申し上げ永して、私の本日の質問を終了いたします。
  53. 臼井莊一

    臼井委員長 本日はこの程度といたし、次会は明後六日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会いみします。  これにて散会いたします。     午後一時一分散会