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1958-12-17 第31回国会 衆議院 文教委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和三十三年十二月十日)(水曜 日)(午前零時現在)における本委員は、次の通 りである。    委員長 坂田 道太君    理事 臼井 莊一君 理事 加藤 精三君    理事 木村 武雄君 理事 永山 忠則君    理事 原田  憲君 理事 小牧 次生君    理事 櫻井 奎夫君 理事 辻原 弘市君       木村 守江君    清瀬 一郎君       鈴木 正吾君    世耕 弘一君       高橋 英吉君    竹下  登君       谷川 和穗君    福井 順一君       福田 赳夫君    松永  東君       増田甲子七君    八木 徹雄君       山本 勝市君    河野  密君       西村 力弥君    野口 忠夫君       長谷川 保君    原   彪君       堀  昌雄君    本島百合子君       山崎 始男君     ————————————— 昭和三十三年十二月十七日(水曜日)     午前十一時八分開議  出席委員    委員長 坂田 道太君    理事 臼井 莊一君 理事 加藤 精三君    理事 木村 武雄君 理事 永山 忠則君    理事 原田  憲君 理事 櫻井 奎夫君    理事 辻原 弘市君       木村 守江君    鈴木 正吾君       谷川 和穗君    増田甲子七君       八木 徹雄君    山本 勝市君      茜ケ久保重光君    西村 力弥君       野口 忠夫君    長谷川 保君       堀  昌雄君    本島百合子君       森本  靖君    山崎 始男君  出席国務大臣         文 部 大 臣 灘尾 弘吉君  出席政府委員         警  視  監         (警察庁警備局 江口 俊男君         長)         法務事務官         (人権擁護局         長)      鈴木 才藏君         文部政務次官  高見 三郎君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     内藤譽三郎君         文部事務官         (大学学術局         長)      緒方 信一君         文部事務官         (社会教育局         長)      福田  繁君         文部事務官         (監理局長)  小林 行雄君  委員外出席者         検     事         (刑事局公安課         長)      川井信太郎君         検     事         (人難擁護局調         査課長)    斎藤  巖君         専  門  員 石井つとむ君     ————————————— 十二月十七日  委員小牧次生君及び原彪辞任につき、その補  欠として茜ケ久保重光君及び森本靖君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員茜ケ久保重光君及び森本靖辞任につき、  その補欠として小牧次生君及び原彪君が議長の  指名委員に選任された。     ————————————— 十二月十日  昭和三十三年九月の水害による公立小学校及  び中学校施設災害復旧に要する経費につい  ての国の負担に関する特別措置法案内閣提出  第一号)  学校教育法等の一部を改正する法律案内閣提  出第二六号)  学校教育法等の一部を改正する法律施行に伴  う関係法律整理等に関する法律案内閣提出  第二七号)  社会教育法等の一部を改正する法律案内閣提  出第二八号)(予) 同月十六日  国立及び公立義務教育学校児童及び生徒  の災害補償に関する法律案山崎始男君外三名  提出衆法第四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  昭和三十三年九月の水害による公立小学校及  び中学校施設災害復旧に要する経費につい  ての国の負担に関する特別措置法案内閣提出  第一号)  学校教育法等の一部を改正する法律案内閣提  出第二六号)  学校教育法等の一部を改正する法律施行に伴  う関係法律整理等に関する法律案内閣提出  第二七号)  学校教育社会教育教育制度に関する件      ————◇—————
  2. 坂田道太

    坂田委員長 これより会議を開きます。  本日は第三十一回国会の最初の委員会でございますので、まず衆議院規則第九十四条の定めるところにより、議長に対し国政調査承認要求をいたしたいと存じます。  本会期におきましては、学校教育社会教育教育制度学術研究及び宗教、文化財保護等に関する事項につき、議長に対し国政調査承認を求めるに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 坂田道太

    坂田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、調査方法その他手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 坂田道太

    坂田委員長 御異議なしと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  5. 坂田道太

    坂田委員長 次に、昭和三十三年九月の水害による公立小学校及び中学校施設災害復旧に要する経費についての国の負担に関する特別措置法案議題といたします。  まず、灘尾文大臣より提案理由説明を聴取いたします。灘尾国務大臣。     —————————————
  6. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 今回政府から提案いたしました昭和三十三年九月の水害による公立小学校及び中学校施設災害復旧に要する経費についての国の負担に関する特別措置法案について、提案理由内容概要を御説明いたします。  本年九月来襲しました台風二十一号及び二十二号は、まれに見る豪雨を伴ったもので、各地に相当の被害を与えましたが、静岡県狩野川のはんらんにおいて見られるように局地的にはきわめて大きな被害を与えたのであります。このことは公立学校施設にかかる被害を見ても同様でありました。  現在、公立学校災害復旧に対しては、公立学校施設災害復旧費国庫負担法の定めがあり、一般的にはこの法律適用により災害復旧の促進がはかられているのでありますが、今回の災害特色からいたしまして、一般法適用だけではなかなか早期の復旧は望み得ない地域が存するのであります。従ってこれらの地域災害復旧については国の負担割合を特に高める等の特別措置を講じ、義務教育施設の早急な復旧をはかりたいと考える次第でございます。これがこの法律案提出する理由でございます。  次にこの法律案内容の概略を申し上げます。第一に、この法律は、昭和三十三年九月の水害による公立小学校および中学校施設災害復旧について特に災害地域政令で指定し、この地域については国の負担割合を四分の三とすることとしております。第二に、経費算定方法について、原形復旧基準としながら、これが不可能または不適当な場合には、効用復旧または代替復旧ができることを定めております。  なお、このほか用語の意義、経費種目適用除外都道府県への事務費交付等所要規定を設けております。以上が、この法律案提案理由内容概要であります。  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げます。
  7. 坂田道太

    坂田委員長 次に補足説明を聴取いたします。小林監理局長
  8. 小林行雄

    小林政府委員 ただいま文部大臣から御説明申し上げました昭和三十三年九月の水害による公立小学校及び中学校施設災害復旧に要する経費についての国の負担に関する特別措置法案について補足説明をいたします。  この法律案は、本則八条および付則二項から成っております。  まず第一案には、この法律目的として、この法律は、昭和三十三年九月の水害によって特に著しい災害を受けた地域における公立の小、中学校施設災害のすみやかな復旧をはかるため、その災害復旧に要する経費についての国の負担に関して必要な事項を定め、もって学校教育の円滑な実施確保することを目的とするものであることを明らかにしております。  第二条は用語意議規定し、この法律で特に明確にしておく必要のある「公立学校施設」および「災害」の語の意議を定めております。  第三条は、国は政令で指定する災害地域においては、公立小学校及び中学校災害復旧費についてその四分の三を負担することを規定しております。  第四条は、国か負担する経費種目は、本工事費付帯工事費設備費及び事務費であることを規定しております。  第五条は、工事費算定方法は、原則として原形復旧を建前とするが、これが不可能または不適当な場合には効用復旧または代替復旧もできることとしております。  なお本条の第二項は事務費工事費に対する割合政令で定められることを規定しております。  第六条は、この法律適用除外の場合を列挙しております。すなわち、建物建物以外の工作物、土地または設備被害額が一学校ごとにそれぞれ政令で定める額に達しないもの、及び設計の不備、工事施行の粗漏または維持管理義務の怠慢に基因するものは、この法律適用範囲から除外することとしております。  第七条は、都道府県教育委員会国庫負担金交付返還等国から委任された事務を行うに必要な経費について、これを国が都道府県交付することを定めたものであります。  第八条は、この法律と他の法律関係について規定したものでありまして、この法律適用を受けたものは、一般法である公立学校施設災害復旧費国庫負担法による国の費用負担は行わないこととしております。  付則では、この法律は公布の日から施行すること、及びこの法律施行前に行われた災害地域における九月災害復旧についても適用することを定めております。  以上この法律案概要について御説明申し上げました。     —————————————
  9. 坂田道太

    坂田委員長 次に、学校教育法等の一部を改正する法律案及び学校教育法等の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理等に関する法律案一括議題といたします。提案理由説明を聴取いたします。灘尾文部大臣。     —————————————
  10. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 まず学校教育法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、学校教育法につきまして、専科大学制度新設し、また高等学校定時制課程及び通信教育課程技能教育施設との連係をはかるため所要の規程を設けるとともに、特殊教育関係規定等整備し、また国立学校設置法につきまして、国立学校における授業料減免に関する規定を設けることとしたものであります。  まず学校教育法改正といたしましては、第一に新たに専科大学制度を設けたことであります。  わが国の高等学校教育機関としては、四年制の大学のほかに、修業年限二年または三年の短期大学がありますが、これは発足当初の経緯もあり、暫定的な制度として認められたものであって、性格も明確を欠くきらいがありましたので、その改善は各方面から久しく要望されてきたところであります。政府においては、このことについて、中央教育審議会を初め各方面の意見を聞いて慎重に検討しました結果、このたび、新たに恒久的な専科大学制度を設けることとし、従来の短期大学は、昭和三十四年三月三十一日までに認可されたものに限り、当分の間、存続できることとし、それ以後は短期大学新設は認めないことにいたしました。  専科大学は、深く専門学芸教授研究し、職業または実際生活に必要な能力を育成することを目的とし、四年制の大学とは、その目的性格を異にするものであります。  修業年限は、高等学校卒業程度入学資格とするものは、短期大学と同様二年または三年でありますが、一貫して充実した教育を施す必要がある場合には、中学校卒業程度入学資格とする修業年限五年または六年の専科大学制度をも認めることにいたしました。この制度は、産業界その他から要望されている充実した中級技術者の養成にも、大きな投割を果し得るものと信ずるのであります。  なお、専科大学は、一年の準備期間をおいて昭和三十五年度から設置できることにしております。  第二は、高等学校定時制課程および通信教育課程技能教育のための施設との連係をはかったことであります。  高等学校定時制課程または通信教育課程に在学する生徒が、学校以外の技能教育のための施設において、高等学校と同程度教育を受けております場合には、生徒は二重の負担を負うことになり、保健上からも適当でなく、また教育上も能率的ではありません。そこで、技能教育施設における学習を高等学校における教科の一部の履修とみなすことにより、その相互の連係を密にし、生徒生活の実態に即した効果的な教育方法制度化いたしまして、科学技術教育振興に資することといたしたのであります。  第三は、特殊教育に関する規定整備いたしたことであります。すなわち、現在、盲学校ろう学校および養護学校幼稚部および高等部は、単独には設置できないこととなっておりますが、関係者の要望もあり、また特殊教育振興見地からいたしまして、特別の必要がある場合には、これらの部をそれぞれ単独設置し得る道を開き、さらに特殊学級の対象となる児童生徒種類につきまして、教育上および実際上の見地から現行規定整備いたしましたほか、盲学校ろう学校および養護学校に就学すべき者の範囲政令で明らかにする等の措置を講じたのであります。  以上の諸点のほか、学校教育法につきましては、就学義務に関する規定等所要整備を行なっております。  次に国立学校設置法の一部改正でございますが、これは国立学校における授業料減免について、財政法および国の債権の管理等に関する法律との関係もありますので、これを明確に規定することといたしたものであります。  次に、学校教育法等の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理等に関する法律案について、その提案理由および内容概要を御説明申し上げます。この法律案は、学校教育法の一部改正による専科大学制度新設に伴い、各関係法律所要改正を加えたものであります。  内容のおもなものを御説明申し上げますと、第一に、教育公務員特例法の一部を改正しまして、国公立専科大学学長及び教員身分取扱いについては一個の学部を置く大学学長及び教員の例によるものとしたことであります。ただし、国公立専科大学前期課程を担当する教員身分取扱いについては大学附置学校教員の例によるものといたしました。  第二に、教育職員免許法等の一部を改正しまして、専科大学前期課程を担当する教員原則として高等学校教員免許状を必要とするものとしたことであります。ただし、必要があるときは免許状を有しない教授等授与権者の許可を受けて前期課程を担当する教諭または前期課程講師となることができるものといたしました。  また、専科大学において所要単位を修得した者には免許状を授与することができるものとしております。  第三に、一般職職員給与に関する法律の一部を改正しまして、国立専科大学学長及び教員給与については国立大学学長及び教員の例によるものとしたことであります。ただし、国立専科大学前期課程を担当する教員給与については国立高等学校教員の例によるものといたしました。  第四に、産業教育振興法等の一部を改正しまして、専科大学前期課程については高等学校に準じてその教育振興をはかるための補助等を行うことにしたことであります。  第五に、装蹄師法等の一部を改正しまして、短期大学卒業程度または高等学校卒業程度資格要件とする資格規定に、専科大学卒業者または専科大学前期課程修了者を加えたことであります。  その他学校教育法の一部改正による規定整備に伴い、関係法律所要規定整備を行いました。  以上が、両法律案提案理由及び内容概要であります。  何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成下さるようお願い申し上げます。
  11. 坂田道太

    坂田委員長 次に、ただいまの学校教育法等の一部を改正する法律案提案理由説明に対する補足説明を聴取いたします。緒方大学学術局長
  12. 緒方信一

    緒方政府委員 学校教育法等の一部を改正する法律案につきまして、ただいまの大臣説明を補足して御説明申し上げます。  まず第一に、新たに専科大学を恒久的な学校制度として設けることにし、専科大学学校教育法第一条の学校種類の一つとして明記したのであります。また、専科大学は、大学とは目的性格を異にする学校でありますが、大学同様高等教育機関であるという意味で、大学と同じ章に規定することといたしました。専科大学は、深く専門学芸教授研究し、必要があるときは、あわせて高等学校に準ずる教育を施し、職業または実際生活に必要な能力を育成することを目的とするものでありまして、学術研究よりはむしろ専門職業教育あるいは実際生活に必要な教育を行うことに特色があるのであります。  第二に、専科大学入学資格及び修業年限でありますが、高等学校卒業程度入学資格とするものは、修業年限は、現行短期大学と同じく二年または三年でありますが、一貫して充実した専門教育を行う必要がある場合には、中学校卒業程度入学資格とする修業年限五年または六年の専科大学を設けることができるようにいたしました。この修業年限五年または六年の専科大学は、三年の前期課程と二年または三年の後期課程とし、前期課程は、高等学校に準ずる教育を施し、後期課程に進学するために必要な知識・技能を授けるものであります。  第三に、専科大学は、大学のように学部制をとらないで、学科組織によるものといたしました。  また、専科大学には、夜間において授業を行う課程を置くことができるようにいたしましたが、夜間課程を置く場合には昼間の課程の場合の修業年限をそれぞれ越えることができるものといたしております。専科大学並びにその学科夜間課程設置廃止については、文部大臣認可を要することにし、設置認可に関しては、大学設置審議会に諮問しなければならないことにいたしております。  第四に、専科大学教職員についてでありますか、専科大学には、学長教授、助教授、助手及び事務職員を置き、必要に応じて、講師技術職員その他必要な職員を置くことができるものとし、修業年限五年または六年の専科大学にはそのほかに教諭は必ず置かなければならず、さらに、養護教諭助教諭養護助教諭及び前期課程講師を置くことができるものといたしました。  第五に、専科大学を卒業した者が、大学に入学する場合には、文部大臣の定めるところにより、その卒業した専科大学修業年限を入学した大学修業年限に通算することができるようにいたしております。その他、専科大学専攻科および別科を置き得ることとしたほか、専科大学通信教育課程教授会研究所その他の研究施設公私立専科大学の所轄、名誉教授公開議座等に関しては大学と同様とし、大学に関する規定を準用いたしました。専科大学発足につきましては、設置基準の作成、大学設置審議会審査事務及び申請者便宜等を考えて、昭和三十五年四月一日から設置することができるものといたしました。  なお、短期大学は、昭和三十四年三月三十一日までに認可されたものに限って、当分の間存続できることとし、短期大学新設はそれ以後は認めないことにいたしたのであります。  以上がこの法律案内容概要であります。     —————————————
  13. 坂田道太

    坂田委員長 次に学校教育社会教育及び教育制度等について調査を進めます。質疑の通告があります。順次これを許します。辻原弘市君。
  14. 辻原弘市

    辻原委員 私はこの際去る十五日の午後六時ごろ高知下仁淀村に発生いたしました日教組小林委員長初め十数名に対する集団的な暴力問題に対して、文部大臣、それから警察庁の長官並びに人権擁護立場にある鈴本人権擁護局長に対しましてそれぞれ見解を承わりたいと思います。  すでに新聞紙上に報ぜられておりますように、この事件の発生は、当日仁淀森小学校における勤評の問題についての紛争に対して、小林委員長以下が慰問に出向いたところ、これを阻止する同村の森小学校学区内における教育父母会、その責任者は中越何がしというふうに報道せられておりますが、これらの集団が酒気を帯びて、仁淀高等学校の父兄との懇談会を開いているその懇談会場になだれ込んで、時間的にいたしまして七時から十二時に至る大よそ五時間の間、全く言語に絶するような暴行を働いて、電源を五回にわたり切り、消火器消火せんを放して、そうしてそれらの被害者に対して頭からこれを浴びせたり、あるいはいす、机、火鉢、こういったものを手当り次第にぶっつける。しかもその暗やみのなかで見さかいなく集団的な暴力を加えた。その結果小林委員長以下は、少くとも全治一カ月以上の重傷を負い、最もひどいのは、小林委員長は失明するやもしれないというふうなことすら伝えられておる。全く言語に絶する暴力行為であります。私はこの事件に関する限り、少くとも勤評の問題に関連する事件というふうなことで、あるいは勤評に賛成する人々がこの事件を軽視したり、あるいは等閑に付したりするようなことがありましたならば、事態はきわめて重大だと思います。それは教育の場においてかかる問題を惹起したということ、しかもそれが集団的に行われたということ、同時にこういった風潮が従来も高知県下においてはしばしば見受けられた。その中で特記すべき事件としてこれが一昨日起きたのであります。従って私はこの事件に対して、教育全般をつかさどる文部大臣としては、この事態についての明確な見解というものを示される責任がおありになると思うし、同時にまたこれらの対策についても速急な手を打つ必要があると思う。また暴力事件として、警察当局もこれに対する断固たる処置をとる必要が私は直ちに存在していると思うのであります。そういった立場から、まず文部大臣にこの事件についての大臣としての見解を承わりたい。またその対策についてもこの席上において聞かなければならないと思います。
  15. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 今回高知県において発生いたしました不幸なる事件でございますが、私はまことに遺憾に存じております。いかなる事情かあるにせよ暴力をふるうということは断じて容認すべきことではないと考えておる次第であります。返す返すも残念に存じております。ことに小林委員長初め、被害を受けられました方々に対しましては、まことに御同情にたえませんし、お気の毒にも存じておる次第であります。問題が、勤評に関連して起りました紛議に関連して発生いたしました事件でありますだけに、特に私は残念に考えておる次第であります。暴行をふるった諸君に対する処置については、それぞれ関係機関で適当に処置されると思いますが、再びかような不幸な事態が起らないことを心から念願する次第であります。何事によらず、物事は合理的に、平和的に、冷静に進めて参りたいものと思っておりますだけに、実に不幸な悲しむべき事件と考えております。関係の向きを督励いたしまして、勤評問題をめぐってさような不幸なことの起らないようにぜひお願いしたいものと思っておる次第であります。
  16. 辻原弘市

    辻原委員 この問題の背景を考えてみますると、文部省勤評を強行するこの態度を、それぞれの各府県教育委員会文部省の意向を受けて、そうして地教委にその意思を伝え、地教委またこの勤評を強行する。その線で、現場の教職員か非常な難色を示しておるのにかかわらず、現実においては文部省意図通りこの勤評を押し進めておる。ところが一方それに対して教職員が、何とか、自主権を持っておる地教委との間で話し合いを進め、そうしてこれの延期、ないしは勤評が少くとも教育上合理的な形において行われるとは考えられないという趣旨のもとに、この実施の見合せを要求する。こういうような形で対立が深まっておるのでありますが、その間、実施をさせようとする側は、どうも地方の特定のボス勢力との間に何がしの結びつきというか、あるいはそれに対して暗に賛成強行の側に立たせるような、そういった動きもなきにしもあらず、こういうような一連の文部省あるいは都道府県教育委員会の態度というものが、さらに勤許の問題での対立を深めておるし、また勤評をどんな手段ででもともかく実施させる、それに反対する教員はけしからぬのだというふうな空気を現実に地方においてあおっているのではないか、こういうことを実は私は感ずるわけであります。そうしたことが、こういうふうに一部の父兄をして暴力行為をあえてやっても、それは何ら差しつかえないじゃないかという、そういった感情的空気にまで持ってきているのではないかということを、これまた想像するのであります。特に高知県のみならず、同じような暴力的な傾向を持って問題をはらんでおる群馬県下におきましても、やはり一部の父兄が中心となって、教育を守る会あるいは高知県の先ほどの問題を起したところの教育父母の会、こういった一つの集団になって、それが今日非常に暴力的な傾向を生んでおる。この事態は、私はやはり、今日までの事の淵源を考えてみれば、あくまでも勤評を強行する、是が非でもこれをやってしまうのだという、そういったものの考え方に立っておる文部省の態度というものが、きわめて強い影響を与えておる、こう判断をするのでありますが、それに対して文部大臣は一体どういうふうにお考えになるか、この点を承わりたいと思います。
  17. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 今日の勤評問題をめぐりますいろいろな事態に対しまして、その源泉をなすものは文部省の態度だ、こういうふうなお話のように伺ったのであります。もちろん勤評ということが起らなければ、かような問題は発生しなかったと思います。そういう意味合いにおきましては、原因は勤評にあるということになるかもしれませんけれども、この問題につきましての政府の態度については前々から私申し上げておるつもりでございます。いつも同じようなことを申し上げるので、おしかりをこうむるかもしれませんけれども、私は、文部省立場といたしましては、勤評を実施してほしいということを要望いたしておるわけであります。地方はそれぞれの権限に基きまして勤評の実施に移っておるわけであります。このことは、事柄自体ももちろん私は必要なことと思いますが、同時に今日地方教育委員会のやっておりますことは、法律上の職務としてこれを行なっておるわけであります。これに対していろいろ勤評の是非の議論もございましょう。あるいはまた勤評内容についてのいろいろな議論もあると思うのでありますが、ともかく権限のあるところが適法に権限を行使して物事をやっておるわけであります。これについては意見を述べられることを何も妨げるものでもない、また要望があればこれを開陳されることを妨げるものではございませんけれども、これに対して教職員組合の諸君は絶対に反対である、いかなる方法に訴えてでもこれに反対するというような激烈な反対闘争を展開してこられたわけであります。それが今日もなお続いておることを私はまことに遺憾とするのであります。反対の御意見をお持ちになるということについて、かれこれ申すわけではありませんけれども、反対をするならば、やはりその道をもって反対をせられたらよろしい。是が非でも反対をするということは国の行政の前に立ちはだかってこれが進行を阻害する、地方の教育委員会の行政の前に立ちはだかってこれが進行を阻害するという態度であると言わざるを得ないのであります。私はまことに残念なことと思うのであります。そういうふうな態度で、しかもその手段、方法がまことに乱暴な手段、方法を用いておる。時には暴力もふるっておられる。そうしてまた教職員組合としては許されない手段までとって、あえてこれが反対をしようとする。こういうふうなことが今日まで引き続いて行われておるわけであります。これに対しましては、私どもはさようなことのなからんことを望んでおる。すみやかにそういうやり方だけは一つ考え直してもらいたいと口がすっぱくなるほど今日まで申して参っておるつもりであります。だんだんとそういう事態が重なるにつきまして、世間の識者の間にも、教育の前途を憂える人が多くなったということも私は事実ではないかと思うのであります。去る九月十五日のあのいわゆる勤評ストにつきましても、あの状態を見ましたときに、やはり国民の気持が一体那辺にあるか、また現場を担当する教職員の諸君の気持が一体那辺にあるかということは、日教組の幹部諸君ももはやおわかりではないかと私は思うのでありまして、依然として今日まで相変らざるめちゃくちゃな反対闘争を繰り返してこられたように思うのであります。そういうふうなことからいたしまして、この先生の反対闘争のそのやり方が、地方の教育を熱心に考えております父兄の諸君から申しますと、ずいぶん心配になることであります。私はそういうふうな地方における平和で、なごやかに進めらるべき教育がかような姿によって災いをされておる、こういうことに対する父兄の憤激というものが高まってきたと思うのであります。こういう点につきましては、よく教職員の諸君が反省しまして、正しい、とるべき手段をとられることはけっこうでありますけれども、乱暴な理不尽な無暴な反対闘争とか、そのために大事な教育を放擲して省みないというようなことだけはぜひやめてもらいたい、こう思っておるわけでありますが、今日なおさような現象がところどころに現われておるのであります。心から私はこれを残念に思うものでりあます。こういう事態に対する、教育を愛する父兄の憤激というものを私は見のがすわけには参らないと思います。今回の高知県に起りました不幸な事件であります。こういうこともやはり原因するところはさような点にあるのではないかと思うのであります。(発言する者多し)その根本原因に対する認識が、私は辻原君とは違っておるのであります。
  18. 辻原弘市

    辻原委員 大臣のただいまの見解には、私は承服するわけには参りません。なぜなれば、現在の勤評に対する反対運動が、国の行政執行の前に立ちはだかって是が非でも反対だという態度に終始しているから、そういったような憤激が父兄の行動にまで結びつくんだ、こういう話があったわけでありますが、問題は、文部省教育長の協議会で作った試案なるものを中心にして、そうしてこれを都道府県教育委員会に押しつけた。本来文部省はこの勤務評定について実施すべき権限の何ものも持っていないはずである。都道府県教育委員会も実施をすべき権限を今日持っていない。実施をするのはそれぞれ市町村の教育委員会であって、都道府県教育委員会は、その計画を進めるだけであります。こういう関係にありながら、事実上は文部省がこの教育長協議会試案を握って、それを全国に押しつけているところに問題が惹起されておる。従ってそれぞれ良識のある都道府県教育委員会と、それから各県教組との間には具体的に話し合いが進み、研究が重ねられて、一例を申し上げれば、過般それぞれ教育委員会と教組の間において妥結を見た神奈川県の例を見てもしかりであります。十八回にわたる検討の結果、そこにあらゆる政治問題からこれを切り離し、またあらゆる現在の法規を検討して、そうして教育効果をいかに高めるか、能率をいかに高めていくかとするその結論は、あのような反省録を中心とした記録である。こういう結論に到達し、これを実施しようとしておるのであります。文部省の考え方からすれば、教育長協議会試案にほど遠いものであって、直接給与あるいは人事等に結びつかないものであるから、これは勤評ではないという見解を表明しておるようでありますけれども、しかし事は都道府県教育委員会がこれによって効果を上げ得ると判定し、現場の教職員がこれによって研修の機会を得、これによって現場の教育の実践の積み重ねをやっていこうとする限りにおいて、私どもはこれは教育に対してかなりの貢献を期待できると思うのであります。そういたしますと、それぞれ両者の間においては、決して反対のための反対ではなくして、建設的な方向において問題が解決しておる。それを文部省がまずこれでなければ承知まかりならぬのだという、強い一個の線を押し通していこうとするその度合いがきつい県教委、あるいは地方教育委員会、こういうところほど問題が出ているということを大臣も考えてもらわなければならぬと思うのであります。それだから、今まで大臣、また文部省あるいは政府も、すべて教職員の絶対反対というこの態度が勤評問題をこじらしておるんだという見解を表明して参りましたけれども、そこに私は根本的に大きな誤謬があると思う。文部省の考え方は、きわめて狭い範囲において、そうして実施の権限も持たないのに、事実上持っているにひとしいような権限を振り回しておるのであります。こういった官僚独善的な行き方が事態をさらに紛糾せしめておる。こう把握するのが正しいと思う。まして今度の高知県の問題が、教組のそういった反対のための反対が非常に強力に展開される。そういったことが父兄の心理状態に反映して、今回の暴力行為に出たのではないかなどという大臣見解というものは、私は聞きようによっては非常に重要な要素を持っていると思います。今の大臣のお言葉が、各県において今一部の者の扇動によって、教組の反対闘争に集団的に対抗しようとしておるようなそういう人たちにどんな影響を与えるか。文部大臣もああ言っているじゃないか、おれたちも教組がしゃくだからやるのだ、これは暴力肯定思想に走りやすいと思う。私は勤評の事のよしあしという問題を越えて、かかる暴力行為が発生するという原因を根絶しなければならぬ。そういった思想をたたきつぶさなければならぬ。こう考えております。その際に大臣の発言というものはきわめて遺憾であると思います。この点についてもう一度大臣見解を承わりたい。
  19. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 今回の勤務評定の実施に当りまして、文部省か一方的に一つの案を地方に押しつけ、これを強行しようとしているということは事実に反しております。さようなことはありません。これも前々から申し上げているところであります。いわゆる地方の教育長の協議会によって作られた試案なるものについて、もちろん文部省当局もこれが相談に乗っているとか、あるいは指導しているという事実はあるかもしれません。しかしこれは地方の教育長の協議会によって決定せられたものであり、文部省の案ではございません。それを基準にいたしまして各地方の教育委員会においては、実施に向って進んでいったと思うのであります。その実施の過程におきまして、やはりそれぞれの県において、独自の立場からいろいろ検討を加えておるのであります。ごらんの通りに、今日までできておりますところの地方の勤務評定の内容なるものは、決して画一的なものじゃございません。県によってそれぞれ幾らか変更を見ておる。その地方その地方においてきめておるのであります。これに対しまして文部省といたしましては一度も干渉がましいことは申したことはございません。地方の自主的な解決に待っておるわけであります。この点はさように一つ御了承を願いたいと思うのであります。お話の通りに文部省が勤務評定を実施するものじゃございません。その点はわれわれもはっきり心得ております。その点についての誤解は一つないようにお願いを申し上げたいと思うのであります。また今回の地方における父兄のやりました暴力事件、もちろんこれを肯定すべき理由は少しもございません。いかなる事情があるにもせよ、暴力をふるうということは、これは許されないことであります。このことは勤評に賛成する側でも、また勤評に反対する側におきましても同様であります。どちらの側もさようなことについては、厳に慎しんでもらわなくちゃならぬことと思うのであります。私は勤務評定絶対反対という意見だけで、父兄が憤激したものとは思いません。父兄が憤激いたしましたのは、平素きわめて仲よくやっておる先生たちか、この勤務評定反対闘争のために、あるいは職場を放棄する、学校授業を放棄する、そうしてあの示威運動に参加する、かような事態に対する父兄の感情というものが激発したのじゃなかろうか、私はかように考えておる次第であります。ただ単に勤務評定反対だというだけで、ああいう事件が起るとは実は想像せられないのであります。この点は事実をよく調査しなければわからぬことでありますけれども、私はそういうふうに見ておるのであります。私がここで申し上げますようなことが、地方の父兄を刺激しまして、文部大臣がああいうのだから乱暴してもいいんだ、こういうふうなことは絶対ない。私は暴力はあくまでも否定をするものであります。これは賛成する側も反対する側についても、同様に言い得ることと思うのであります。
  20. 辻原弘市

    辻原委員 私は言葉じりをとらまえてものを申すのではございませんけれども、人の言葉には響きというものがあります。ニユアンスというものがある。大臣の、今父兄が憤激をしたことにも何がしの理由があるだろうというこの言葉の響きは、私は一般のそうした無理解な一部の父兄層、一部の部落の人々、こういった方面に対しては決して暴力否定の方向に対する影響を与えるのじゃなしに、むしろ悪い影響を与えるのじゃないかということを申したのであります。  それから文部省は、勤評についての実施の権限は持っていないので、決っして文部省の強行するというような態度によって事態が混乱をしているのじゃなしに、今回の問題も発生したのではない、いつも文部省は各府県において自主的にやることについては、干渉がましいことを申したことはない、こういうふうに言われておるのでありますが、事実は私はそうでないと思う。これは私か群馬県に参りましたときも、それから和歌山県において問題が起きましたときも、それからおそらく高知県もそうであったでありましょうし、必ず何がしか文部省の意図が動いておる。また文部省のそれぞれの関係官がまずまっ先に乗り込んできておる。私が公式にお尋ねをいたしましたならば、おそらくはそれは実情の調査だということでお逃げになることでありましょうから、やぼな質問は私はいたしません。しかし問題は事実そういう形において指導しておるわけです。またごく最近の例に至っては、大臣のおっしゃった決して干渉がましいことは一回もしておらないということと反しておる事実がある。それは神奈川県のあの妥結に対する文部省の態度、新聞紙上にも報道せられておりまして、文部省はこれに対してきわめて強い不満を持っておる。そこにおられる内藤初中局長は神奈川県の教育長を直ちに呼びつけて、これに対して何がしの懇談をしておる。まことに大臣の言葉に相反する行為であると思う。この事実は一体どういうことなのか、自主的に都道府県責任を持って計画をする建前でやることについて干渉いたしませんなら、神奈川において教育委員会が決定した事項について、文部省は呼びつける必要もなければ、あるいはそれに対して不満だなどと圧力をかける必要は毛頭ないではありませんか。実際にやっておられることと、ここで言うこととは常に符節が合わないと思うのです。この点については一体どういうことなのか、これもきわめて重要問題でありまするから承わっておきたいと思います。
  21. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 率直に申し上げますが、文部省勤評に対する基本的な立場と申しますものは、地方に対しまして勤評を一つやってほしいということであります。その意味におきましては、文部省は地方に向って勤評の実施を求めておるわけであります。各府県もだんだん実施して参りましたが、神奈川県はなかなか進行しないように実はわれわれは見受けておったわけであります。なるべく早くおやりになるようにということを文部省は申しておったと思うのであります。今回新聞によってわれわれも承知いたしたのでありますが、神奈川県の決定した行政措置なるものを私どもは新聞で見たのでありますが、まさかああいうふうなものが出るとは実は夢にも考えていなかった。と申しますのは、私は結論を申し上げておるわけじゃございませんけれども、あれを見ましたときに、これが一体法にいわゆる勤務評定であるのかどうかということにも疑問を持ったのであります。そこで事務当局も同様の疑問をおそらく持ったことと思いますが、よく調査をするようにということを私は命じてあるのであります。事務当局としましては、神奈川県の教育長に来てもらって、その措置内容なり、その理由なりについていろいろ説明を求め、調査をいたしておるところであります。まだ文部省といたしましては調査中という段階でありまして、ここに結論を申し上げるわけには参らないのでありますが、一見いたしますならば、私どもの想像しております法にいわゆる勤務評定なるものとはだいぶ様子が違っておることもありますので、慎重調査をした上で文部省の態度をきめていこう、長い間かかってああいう検討を行なっておったということは私どもは知らなかったのでありますが、せっかくああいうふうな長い時間をかけて検討したものでありますので、文部省といたしましては、十分慎重にその行政措置なるものについて検討を加えてみたい、もちろん軽卒な結論は出すべきものでない、こういうふうに考えておりますので、今申しますように目下慎重に検討中という段階であると御承知を願いたいのであります。
  22. 辻原弘市

    辻原委員 今お答えになられたことなればしごく穏当だと思います。ところが、大臣のお話に私は問うに落ちず語るに落ちたという感じを持つのであります。やはりこれは大臣のみならず、半務当局を通じてこういう勤評をやりたい。これは言うまでもなく協議会試案だから、それに違ったようなものが出ると、文部省は不満であり、文部省はそれに対して何らかの干渉、圧力を加える、こういうことになっておる。今大臣の答えられたように、それぞれ出たものについて種々検討を加え、文部省文部省としての一つの見解を取りまとめる、しかしそれは地方に対して干渉すべき何ものでもないということであるならばけっこうであるが、新聞紙上なり、その後あの問題をめぐって、私どもが側からいろいろ伝え聞く文部省の態度は、必ずしもそうではない、やはり干渉をしておる。ここに内藤局長は見えておるが、土曜日の午後教育長と会ってどういうような話をあなたはされましたか。今大臣のお話のような趣旨のことであったか。これは私は聞いておく必要があると思う。
  23. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 ただいまの辻原君のお話の中に、ちょっと私として申し上げておきたいと思う点がございますので申し上げますが、私どもが疑問といたしておりますのは、今回神奈川県のやりました行政措置なるものが、法にいわゆる勤務評定であるのかどうかというところであります。法にいわゆる勤務評定のワク内のものでありますれば、かれこれ申すことはございません。しかし法にいわゆる勤務評定ではないということになりますれば、勤務評定は勤務評定として実施してもらいたいという考え方は、当然われわれとしては持つわけのものであります。今回作りましたものがいいとか悪いとか、価値があるとか、ないとか、さようなことは私は決して申しません。申しませんが、それがいわゆる法の要求しておる勤務評定のワクにはまるものかはまらないものかというふうなことを一つ十分検討してみたいと思っておるわけであります。
  24. 櫻井奎夫

    櫻井委員 ちょっと今の問題で関連して質問いたしますが、大臣のおっしゃっておる法にいわゆる勤務評定、法に定めるところの勤務評定、この法は一体何が基準になるかということであります。これは私どもが再三言っておるように、勤務評定の内容を定めるものは人事院規則なんです。人事院規則の一〇—二、これが勤務評定をはっきり規制しておると私は思う。大臣の考えも、その勤務評定の法と言われるのは人事院規則のこれであるというふうに解釈してよろしいかどうか。
  25. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 人事院規則は人事院規則であります。これは国家公務員に適用になるものであります。私の法と申しますのは、直接には地方教育行政の組織及び運営に関する法律であります。
  26. 櫻井奎夫

    櫻井委員 これは重大な文部大臣の意見を私は承わったわけでございますが、この勤務評定を実施するということは、なるほど地方教育行政の組織及び運営に関する法律で規制してあります。しかもそれは、県費負担職員については県の教育委員会が計画し地方教育委員会が実施するのだ——実施するということを規制しておるのであって、その手続がこういうようになるということを規制しておるのであって、勤務評定そのものは、これは国家公務員、地方公務員、教育公務員を問わず、勤務評定の内容を規制しておるのは人事院規則です。このことは明瞭であります。こういうことをあなた方が思想統一していないところに、今日の勤務評定に対する大きな混乱があるのであります。おそらく大臣が今勤務評定の法の規制と言われるのは、いわゆる教育庁の協議会で作ったあれをもってそういうふうに考えておられるのじゃないかと私は想像するのでありますが、もしそういうことになるとすれば、これは法律上非常に疑義がある。この点はどうですか。
  27. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私は、直接には地方教育行政の組織及び運営に関する法律と申しましたが、勤務評定に関する法律は国家公務員法にも地方公務員法にもあるわけであります。その基本的な考え方というものは、いずれも共通であろうと私は考えておるのであります。その意味におきましては何も差別はないと申し上げてよろしいと思いますが、これらの法律共通の条文というものを解釈いたしました場合に、果して神奈川県のやった行政措置なるものがこれに該当するものであるかどうかということについて疑問を持っておるので、調査をいたしておると言っておるのであります。
  28. 櫻井奎夫

    櫻井委員 研究調査をなさることは、これは大いに研究調査をなさっていただきたいと思いますが、その根底にあるものは、日本で実施する勤務評定の内容、どのようなものを実施するのかということは、明らかにこの人事院規則が規制しておるのです。このことは、学者の意見もそういうところに一致しておる。そういう点をあなた方の方ではっきりしないで、標準をはっきりさせないで放置しておかれるところに今日の問題があると思う。きょうは私は関連質問でありますから、研究なさるについてそういう一つのはっきりした見解を統一した上での研究を望んでおく次第であります
  29. 辻原弘市

    辻原委員 今櫻井君から指摘をいたしましたように、地方教育行政の組織及び運営に関する法律を見ても、あるいは教育公務員特例法あるいは地方公務員法を見ても、具体的な勤務評定の実施ということについては触れていないわけです。しかもさらにつっ込めば、勤務評定が給与だとかあるいは人事だとか、こういうものに関連を持たなければならぬということも何らないわけです。ですから、どういう形のものが勤務評定であるかということについては、これは私はいろいろ考え方があると思う。それを今非常に狭い視野でもって、率直に言えば協議会試案というものが常に頭の先にちらついて、点数をつけなければ、ランクをつけなければ、給与あるいは人事に対して直ちに機械的に活用できなければ、勤務評定ではないという考え方、こういう法的根拠は何もないと思うのです。これは大臣お認めになりますね。
  30. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 神奈川県の措置が勤務評定であるかないかというようなことについて、目下検討中であるということを申し上げましたので、私が今これに対して結論がましいことを申し上げることは差し控えたいと思うのであります。ただ私どもの特に疑問といたします点は、勤務評定は国家公務員法によりましても、それから地方公務員法によりましても、また組織運営に関する法律によりましても、職員の勤務成績を評定するということになっております。国家公務員法あるいは地方公務員法では、任命権者が職員の勤務成績を評定するということになっておるわけであります。その記録を作っていくわけでありますが、一体そういうふうなものにこれが当てはまるか当てはまらないのかというふうな点を慎重に検討してみたい、こう申し上げておるわけで、しかしこれは一つの私の疑問点を申したわけでありまして、そういうふうな点がございますので、よく検討してみたいと思います。こういうふうな心持でおるということを御承知いただきたいと思います。
  31. 辻原弘市

    辻原委員 研究を重ねたいとおっしゃるのでありますから、本日これ以上この問題について論及することを避けたいと思いますが、ただそういうだんだんのお話であるとするならば、私は新聞に伝えられるような文部省の干渉というものは事実ないはずだ、また行なってはならないものだ、また非常に即断をして、あれは勤務評定じゃないのだというような見解文部省が発表するなどということもできないことだ。しかしどうもできないことを何か事務当局がやっているような印象を受けるのであります。これは私再三御質問をしているのでありますけれども、そういう事実はないのかどうか、その点を一つ大臣からお答えを願っておきたいと思います。
  32. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 今文部省としまして文部省としての結論を持って、神奈川県に対してこうしろとかああしろとかいうことは申しておらないはずであります。問題はさような疑問点がありますので、いろいろな点についていろいろな角度から質問をし、意見を聞く、また考え方を聞くという段階であると私は承知いたしております。まだ文部省といたしまして正式に神奈川県に何もああしろこうしろと申した事実はございません。
  33. 辻原弘市

    辻原委員 そこで仁淀の問題にもう一度返りたいと思うのでありますが、何か新聞に伝えられるところによりますと、文部省関係者を招致してその事情を聴取されるということなんですけれども、かかる問題を、大臣も先ほど言われましたが、この教育の場に、また教育の場でなくとも、こういった暴力事件はいかなる理由、いかなる契機に基こうとも発生させてはいけない、きわめて遺憾であると大臣も強く申された言葉には、私も一応敬意を表したいと思います。  そこでこういうことを引き起さないために、私は文部省としての行政的な措置が必要だと思う。そこで今後大臣として、これは高知県のみならず、あとで同僚の諸君からもまた群馬の具体的な問題が提起されると思いますけれども、群馬県等においてもそういった問題をはらんでおるわけです。ですから、こうしたことが悪い契機になって次々起るようなことでは、全く教育の場はもう収拾しがたい状態だと思う。勤評のよしあしなどということは飛び越えて、全く日本の教育また教育を中心にして地方での一種騒乱的なそういう姿が現われてくるということは、何としてもこれはしのびない。そこで文部省のそういうことを引き起さないための行政措置というか、文部省の今後の指導方針というものはどういう形におやりになろうとしているのか、真剣に目下取り組んでおられると想像するわけですが、大臣からその所信を伺っておきたいと思います。
  34. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 かような問題はまことに残念なことでありますので、こういうことは繰り返してはならぬと思います。この一つ一つの事態を一体どう収拾していくかというふうなことは、一がいにいうわけにはいかぬと私は思います。それぞれの現地の事情に即した解決方法というものが考えられるのではないかと思うわけであります。今文部省といたしまして、特にこういう行政措置をとる、こういう行政措置をとるというような対策は持ち合せておりません。私は現地においてそれぞれその事情に即して適当な解決の道を発見してもらうように、一日もすみやかに村内が平和になり、学校が平和になるような事態に持っていくように、教育委員会を督励して参りたいと考えておる次第であります。
  35. 堀昌雄

    ○堀委員 ちょっと、今の辻原委員の質問で問題になっております仁淀村の問題でありますけれども、新聞の伝えるところによりますと、十一月の上旬から父兄が学校を占拠して勝手に先生を雇い入れて、そして二つに分れて授業が行われているという事実があるわけです。これについて私どもは、そういうような事実は学校教育として許されているものであるとは全然考えられないわけであります。そういう問題を文部省としては承知しておられたのかどうか、すでに一カ月以上経過してそういう事態が起っておるという点について、一つお答えをいただきたいと思います。
  36. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 文部省といたしましてもそういう事実が、遺憾な事実があるということを承知いたしております。さような状態は何と申しましても異常な状態である。そういう状態を早く正常な状態に戻すようにということについては、地方の関係当局に対しましても常に督励をいたしておるわけであります。高知県における当局におきましても、いろいろこの収拾については苦慮し、努力して参ったところでありますが、遺憾ながらなかなか解決しないというのが実情でございます。
  37. 堀昌雄

    ○堀委員 収拾について努力をするようにという指示をされておったということはあるかもしれないと思います。しかし文部大臣はしばしばここで、われわれは法律に定められたことをその通りに実施をしていくことが建前だということを常におっしゃっておるわけですが、法律では就学の義務というものがはっきりしておって、何回以上休んだ場合は地方教育委員会は、父兄に対して督促をしなければならぬ。督促をしてなお応じなければ、これは学校教育法に従えば罰金をとらなければならぬというきびしい規定があるわけです。そこで一カ月にもなんなんとしておる状態の中で学校と認められないものを学校として考えておるような問題が問題でありまして、これも学校教育法としては、学校と認められないものについてそういうことをやってはいけないということは書いてあるわけです。その点にも違反しておるし、さらに就学義務にも違反しておるし、いろいろ違反しておることについて、事務的な処理が地方教育委員会においてとられておったかどうかということについて伺いたい。
  38. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 この種の問題となりますと、事務的にはなるほど法律的にいろいろお話しになりましたような点があると思います。それで事が片づけば何でもないことであります。しかし問題はそう簡単に片づかない性質の紛争だろうと思うのです。従って今ここで就学義務違反であるとか学校の不法占拠であるとかということを言い立てただけで解決がつく問題であるならば、文句がないと思うのでありますけれども、感情の激するところといいますか、双方相対峙して譲らないという状態のもとでは、それだけでは解決がつかない性質のものです。何とかすみやかに学校職員との間にいわゆる教師と父兄の信頼関係を回復いたしまして、ともども子供のためにりっぱな教育をやっていくような気分になるようにしなければ、なかなか解決がつかない性質のものだと思うのであります。そういうふうな意味合いでわれわれは努力いたしておるわけであります。
  39. 森本靖

    森本委員 関連して。今の森小学校の問題について、これは私の国の問題でありますので、ちょっと文部大臣にお聞きしておきたいと思います。今堀委員から言いましたように、この小学校については先生でない人が現実の問題として教育をする、しかも一般の父兄が学校を不法に占拠しておる。で、先ほど文部大臣も言われましたように、暴力はいずれにしてもいけないことははっきりするわけでありますが、そういうふうな暴力かいけないというようなことについて、こういう学校を不法占拠している、不法の教育を行なっているということを公然と公認をせられるような形に今日まで持っていったことに、この不祥事件が起きているところの一番の原因があるのではないかと私は考えておるわけであります。先ほど来文部大臣は県の教育委員会の方にそういう指示をしたというふうに聞きまするけれども、具体的にそれを解決をつける方向に、県の教育委員会がもっと努力をするということについては、私は不幸にして聞いておりません。だからあなたの方かそういう事実を知って、そして不法な占拠あるいは不正な教育は早く十分に話をつけて正常な学校教育に返りなさいということを、県の教育委員会に指示をしたとするならば、その指示がいかように生かされて、どういう報告が県の方からあなたの方にきているか、その具体的な内容説明願いたい。
  40. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私はこういう種類の問題につきまして、遠くに離れております文部省で、何か法律的にこうだからああだからというふうな措置で片づくものならけっこうでありますけれども、なかなかそう簡単に片づく問題とは思わない。問題は非常に根もあり、入り組んでいる、感想情も激している。こういうきわめて異常な事態か出てきているわけであります。それが、何か私どもが言えばすぐに片づくような問題ならむろんやっていることと思うのでありますけれども、なかなかそういう事態でない。県の教育委員会にいたしましても、いろいろやきもきいたしましてもなかなか解決がつかないというふうな異常な状態のままに今日なお推移しているということであります。この場合、すみやかにそういう事態が平静に返ることはもちろん望んでおりますし、地方の当局はこれに従って努力はいたしておると思うのでございますけれども、いかんせんなかなかそこまで行き着きかねている事態であるということを御了承願いたいと思うのであります。
  41. 森本靖

    森本委員 それでは私は責任ある文部大臣としての答弁にはならぬと思う。こういう事態が一カ月も前に起っている。だからそれが不法であるということをやはり住民に徹底させて——この問題と勤評問題とはまた別個の問題である。勤評についてはなるほど賛成、反対という意見はあるだろう。だからそれについては賛成においては賛成の運動をしてよかろう、あるいは反対は反対の運動をしてよかろう、しかし勤評の賛成、反対の問題とは別個である。そういうふうな学校教育が不正に行われることを正常に戻すところの責任文部省にあるわけであります。そういう文部省学校教育を正常に戻そうという努力をいかようになされたか、その具体的なことを私はここで説明願いたい。そういう具体的な措置をとっているならば、もっともっと私は感情の激発ということは緩和してきているだろうと思うが、そういう措置を具体的に一つもとっておらぬ。傍観的な態度である。だからこういう最終的に不幸な事件が起きている。こういう最終的に不幸な事件というものは、やはりこういうことをやってもまだかまわぬではないかというふうな考え方か若干あるのではないか。そういうことを防止する意味においても、この根本になるところの学校の不正授業を正常な教育に戻すということの努力をしなければならない。そういう努力をする責任文部省にあるわけである。その努力というものを一体どういうようにやってきたのか、それを一つ具体的に説明を願いたい、こう聞いておるわけです。
  42. 内藤譽三郎

    ○内藤政府委員 仁淀村の森小学校事件につきましては、私ども非常に事態を憂慮しておりまして、実は先般教育長を呼びまして、これの解決策についていろいろと相談したのでございます。さらに県の方といたしましても、教育次長を現地に派遣いたしまして、あるいは出張所長を通じまして、村の教育委員会と父兄、教師、この三者の間で円満な解決に今日まで非常に努力しておるわけであります。なお、今おっしゃるように、確かに不正常な形で授業が行われておりますので、すみやかに正常な形に戻すように関係者が非常に努力しておるのでございますが、この最初の原因が二つほどございまして、一つは御承知の通り六月二十六日に教職員の全日休暇がございまして、この休暇について非常に父兄が憂慮いたしまして、一齊ストライキにならぬようにということを非常に陳情いたしました。ところが不幸にして六月三十六日に一齊休暇に突入してしまった。そこで父兄側といたしましては、今後闘争のために子供を犠牲にしないという誓約書を双方でかわしまして、一応この問題は解決したのであります。ところが、十月二十八日の第三波の闘争について、事前に父兄との話をしたものの、了解に至らないまま教職員の大多数が再び全日休暇闘争に参加した。そこで父兄は、教職員が一方的に誓約を破棄した、こういうことで、今度は父兄側が同盟休校のような形で、実は十月二十九日以後は子供を学校に出さない。この出さない子供は三百三十八名でございまして、出ておる方の子供は三十三名、こういうような不正常な形になった。  またもう一つの問題としましては、双方でお互いに静かな環境で話し合いを進めていこうということで、だいぶ事態も落ち着きかけておった。そこで十一月十三日に、ともかくいろいろオルグ団が入ってきて、非常に刺激するというので、十三日に父兄とオルグの間に、原則としてはそういうオルグを入れない、こういうふうに申し合せをいたしまして、これも協定を結んだのであります。ところがその後に多数のオルグ団が入ってきた。そこでまた教育の場が乱される、正常な話し合いをすることができない、再びこの協定が破られたというので、父兄が非常に激高した。そうしてどうも信頼感がない、今の教師に子供を預けられないということで、父兄側としては、実は六人の先生を雇って、そして自習の形を続けておる。私どももこれをどういうふうに解決するかということで、実は教育長とはいろいろと懇談もいたしたわけであります。同時に文部省からも係官を派遣いたしまして、実情も調査をいたしました。先般も実は教育長とこの問題をどういうふうに解決するかということで、相当具体的に突っ込んだ話し合いもしたわけであります。ところがその後安芸高校の事件が起きまして、委員長教育長、次長、教職員課長等がいずれもカン詰にあい、病院に入院するというような事態で、今直ちに的確な措置がとれないのは非常に遺憾でございますけれども、なるべく早い機会に私ども関係者に来ていただいて、積極的にこの事態の早期解決に努力をいたしたいと考えております。
  43. 森本靖

    森本委員 今の経過は私も大体承知しておるわけでございますが、問題は要するに、勤評については賛成、反対の御意見があるということは、これは明らかである。だからその賛成、反対の運動というものをそれぞれ合法的に進めるということについては、これは双方の自由なんです。  それからわれわれは教員組合がああいう十割休暇をやるということについては、一応現在の段階においてはやむを得ないと考えるけれども、文部省文部省としてこれは明らかに違法である、処分をするということで、全国的にこういう問題について教員組合を処分しておる。その場合、一方がそういうことをやった場合には処分をして、これは悪いことであるということで徹底的にこれをやっつけておいて、今言ったように、一般の純朴な人たちがそういう無法なことをやる、不法な不正授業をやる、不法に校舎を占拠するということについて、これは明確に不法である、あるいはこういう不正なことをやってはならぬということを、県の教育長なり教育委員会というものが現地に行って、現地の純朴な住民に対していつ一体宣伝されたか。教育長が現地に行ったとかいうことを聞くけれども、現地に行っては一部のいわゆる幹部諸君二、三人と会って、そうして話がまとまらぬということで帰ってくる、そういうことではこの問題の解決はつかぬ。私が最初に言ったように、勤評問題については賛成、反対ということは、これは自由なんです。それを片方が闘争をやれば処分するということを一応あなた方はやっておる。われわれは処分については反対であるけれども……。そういうことなれば、こういう不正授業をやる、あるいは校舎を不法に占拠して勝手に教員を雇うということは、これはこれとして不正であります、これは法律違反であります、ということを純朴な農村の人たちになぜ訴えないか。県の教育委員会なり何なりがもっともっと宣伝をして、こういうことをやっちゃいけませんということをやらないか。それを今日まで全然やっておらぬ。やらずにたまたま現地に行って二、三人の幹部と会って、話がまとまらぬ、あるいはオルグがどうだこうだといって帰ってくる、ここに根本的な原因があると思う。こういうことをほうっておくから、住民がだんだんしまいにこの問題については何をやってもかまわぬということになって、今回のような不幸な暴力ざたが起きてくる。あなたの方はもっと責任をもって、責任ということを明らっかにしてもらいたい。こういう措置を今後大いにとってもらいたい。一般の住民に訴えていかなければしようがない。そういう措置がとれるかどうか。
  44. 内藤譽三郎

    ○内藤政府委員 先ほど申しましたように、十一月の九日に県の教育委員会は同村の教育長と同村の議会対策委員会代表等から事情あるいは意見を聞いて対策を検討した。そのときに県教委のあっせんによりまして同村の教育長と教委の委員長が同校長以下教職員全員と話し合って、双方で確認したことがございます。この中にはもちろん児童の盟休というものは認めることができない、そういうようなことや、あるいは今のようなことは学校の正常な運営でないから、すみやかに正常な運営に戻すようにというようなことが確認されておる。だから大体方向はいい方に向っておった。それが先ほど申しましたように、十一月十三日にオルグ団が多数入ってきた。また……。
  45. 森本靖

    森本委員 だから問題は別だ、分けて考えていかなければだめだというのだよ。
  46. 内藤譽三郎

    ○内藤政府委員 ですから関係者としては一生懸命努力しておる最中なんです。
  47. 森本靖

    森本委員 その努力が足らないのだよ。
  48. 内藤譽三郎

    ○内藤政府委員 足らない点は大いに努力いたしまして、御期待に沿うようにいたしたいと思っております。
  49. 辻原弘市

    辻原委員 そこで警察庁に伺いますが、先刻も申しましたように、この事件が当夜の七時ごろから十二時近くまで行われた。ところが警察がこれに対してともかく行ったのは事件が済んでしまって、関係者が全部引き揚げてしまった後だと私は聞いておる。まことに奇怪しごくだと私は思う。五時間近くも現場においてあらん限りの乱暴ろうぜきが行われておるのにかかわらず、そういう事態について警察は全然放置しておる。のみならずその朝七時過ぎには十一人の県教組の幹部を逮捕した。どう考えてみても警察は何がしかこれらの問題について政治的配慮を加えておるのじゃないか、(「加担しておるのじゃないか」と呼ぶ者あり)というような陰の声がありますが、そこまでは申しませんけれども、どうも巷間伝えられるところによると、警察の態度はおかしいという。もし事実そうだとするならば、これほど警察の威信というか、警察のあり方に深い疑惑を与え、一般の善良な国民の信用を失墜する問題はないと私は思う。私は警察は責任を感じてもらわなければならぬと思いますし、責任を追及しなければならぬと思います。一体これについて警察庁としてはどう考えるか。また事後のこの種の集団暴行事件に対する徹底した捜査あるいは厳然とした取締り方針を明らかにしておるのかどうか、その後の取扱いについてもあわせて承わっておきたい。
  50. 江口俊男

    ○江口政府委員 お答えをいたします。昨日来高知の方から連絡がございまして、ただいままでのところ私たちが知っている限りのことを申し上げます。ただし昨日の連絡とまた本日の連絡が多少食い違うようなこともございまするので、将来におきましてさらに詳しく事情がわかればまた何かの形で御連絡をいたしたい、こう思います。  まず第一点の警察が長らく放置をいたしておったという事柄でございまするが、仰せの通り七時ごろから会議は始まっておりまするけれども、十二時までそれが続いたということになれば計算上五時間に相なります。しかしながら、事件が起りましたのはわれわれの調べでは十時半ないし十時四十分ごろから二、三十分の間でございまして、十時五十分、少くも十一時前には、事件というか、現場の暴行は終っております。それで、警察官がそういうことのためにかけつけましたのは、十時三十五分に仁淀中学の中平という教諭でございましたか、その先生から電話があって、こういうことがあるからというので、まず署におりました者をかき集めて——警部補が現場に行っておりまするけれども、これは御承知の通り佐川から仁淀までは三十キロでございますか、とにかく一時間以上を要するところで、すぐ出かけましたけれども、それは終ったあとに行っています。それから第二陣として参りましたのは、御承知のように夜になりますと全員が署におるわけではございませんので、非常招集をしてかき集めて人数を送るということで、これはその後相当おそくなっております。また同時に県本部に対する報告もございましたので、県本部からは刑事部長、警備課長を指揮者として現場に急行をいたしておりまするので、事件が起ったあとの処置というものは、時間的にそういうことになるのでございまして、非常におそかったというふうには考えられないのでございます。  しかしながら、それじゃそういうところにそういう部隊がいなくても、駐在所なり何なりあることでございますから、どういう措置をとったかということを私きのうから現地に問い合せておりまするが、それに対する答えは次の通りでございます。  まず仁淀には駐在所がございまして、そこは駐在所ですから一人の勤務でございます。事件がいろいろございまするので、隣村の駐在を応援にやって二人でその日はおったわけであります。この二人が、今辻原委員のおっしゃったような時間、七時から十二時までということをとりますと、会議の始まりましたあとにおきましては、何かありはしないかということで校庭まで行っております。校庭で、中を見ながら、何かが起ればすぐ処置をしなければいかぬということで、見ておったのですが、まあ十時半まではこちらが手がけるような事案は起ってないので、十時近く、森から、その小林委員長を囲んで座談会に出ておった父兄のうち、女の方が多いようでございますが、五人、もう帰りたい、帰るについては途中がどうも薄気味が悪いということで、おまわりさん送ってくれということを何とかいう先生から要請をされて、その仁淀から森の部落まで、飯尾という駐在の巡査でありますが、これが送って帰っております。そして駐在所に帰ったところが、十時半ごろないしは四十分ごろ電話があって、仁淀の高等学校で騒ぎが起っているという電話が、やはり本署に連絡をされた中平という教諭からかかってきて、そこの方に出向きかけて途中まで行った。ところが今度は森小学校の方から、今、中内という宿直の教諭が村民に乱暴されているから、すぐ帰ってきてくれということを、本人が出かけた直後に、今度は駐在所の細君が留守番をしているところに言ってきた。これは現実の問題だものですから、今度は仁淀に行く方を、方向を変えて森小学校に行った。森小学校でやはり中内という教諭は乱暴を受けておったのですが、行ったときにはもう帰っていた。しかしながら念のために、また来るかもわからぬというので、そこで三十分ぐらい話をしながら警戒をしておった。こういうのでございます。そして、それが帰って来て本署の隊と合流して、十二時近くにその仁淀の高等学校の現場にはおもむいておるのでございまして、その駐在巡査の行動か敏速を欠いたかどうかということや、あるいはそういう状態のときに数人を送っていくことにすることが適当であったかどうか、あるいはそういう人はどこかに保護をしておいて、やはり現場の警戒に当るべきであったかどうかというような事柄については、なお詳しく調べてみなければわからないと思いまするけれども、警察活動のその日における概要は、現在までわれわれの知り得ている限りにおきましては以上でございます。  それから第二に、そういう時期に県教組の不法監禁事件の捜索なり逮捕なりをやったのばどうかという御意見もございます。その点につきましては、私たちもまことに、その時期が合致したというか、時期がそうなったということについては、誤解を招くおそれもありまするし、また警察の仕事としても、そういう重要なことを二つまで抱えてやるということは、もちろんこちらも一つずつやるよりは迷惑といいますか、困難であることはわかっておりまするけれども、これはああいう事件を予想せずに、もちろん予想のできる問題でもございませんので、捜査令状なり逮捕状なりはおとといの三時にとっておったというふうに聞いておりまするが、やはりそうなってくると、あれはあれ、これはこれというふうに、警察の仕事は政治性を考えずに、今のお話と全く逆に事務的にやっていく方がやはり正しいという判断のもとに高知の方はやった、こういうふうに御了承願いたい。  それからあれはあれ、これはこれと申しましたついでに、今度の事件の捜査でございますが、これは先ほども申し上げたように、その晩すぐ本部からは刑事部長、警備課長が出向いております。と同時に昨日は本部長自身も森の方に出かけて、そうしてできる限りの刑事を集めて、そうして捜査本部を佐川に設け現在鋭意捜査中でございますから、被疑者の身元が割れ、そうしてやりました行為がはっきりする日も遠くない、こういうふうにわれわれ考えております。
  51. 辻原弘市

    辻原委員 なお詳細な報告を求められておるようでありますから、多くを申しませんけれども、しかし今伺った報告の事実と、われわれが聴取した事実の間にも食い違いがございます。新聞紙上に報道せられておることとも食い違っております。それは六時に森小学校に一行が出向いた。そのときにすでにかなり不穏な空気があったために仁淀高校に引き揚げて、それから六時過ぎに二階の裁縫室で会合が持たれておる。その会合が持たれておる直後に、数は比較的少かったけれども、面会強要と、乱入という事態が、その時刻過ぎに起っておるわけなんです。そういたしますと、その集団は逐次数がふえてくる。しかも酒気を帯びてきておる。乱暴ろうぜきという形がすでに現われておる。こういう事態の中でそのことについて所要の手当をしなかったということについては、私は、その詳しい実情はわれわれ現場におったわけではありませんからわかりませんけれども、しかし、どうもふに落ちないわけです。そういうことならば、何で一応の報告なり連絡というものが駐在と本部との間にとられていなかったか。その程度の警戒というか、予防的措置は——集団が酒気を帯びてどろどろどろどろと一つのところから一方のところに移動している。それがお祭とかなんとかいう事態なら別問題ですが、平常な状態、しかもまたそういう危険が予想されるような前段、経過があるわけなんです。それを事件が終ってしまって、完全に被害者被害を受けて、そして一方加害者が引き揚げてしまった後に警察官が到着をしておる。ここに、故意だとまで私は極論はいたしませんけれども、非常に手ぬかりというか、ふに落ちない点がたくさんあります。これらの経過についても、今後警察庁として詳細に調べられて、われわれもその報告を受けたい。  それから十一人の逮捕の問題は、結論から申すとそれは偶然の一致だとあなたは言われるわけですが、偶然の一致にしろ、きわめて非常識です。確かにあなたのおっしゃる通りです。片一方に人権、ことに人の生命に関するような集団的な暴力事件が起きておる。その時刻から申しますと、十二時からと仮定して、朝の逮捕が七時とすると、わずか七時間の間に今度はその被害を受けた側に対して、それを逮捕する。常識的にまた人道的に言ったって、私はあり得べからざることだと思う。かりに事務的、機械的にやったとお話しになるなら、その間の連絡というものは全く半身不随です。高知県警察の県警本部の方針というものは、半身不随だと酷評して私は差しつかえないと思う。誤解を持つのは当然なんです。だからそういう事実を結び合して考えると、決して事をひん曲げて考えようとは思わぬけれども、どうも警察当局の態度というものが、一方にウエートのあるようなお話が先ほど同僚森本議員からありましたが、文部省の態度についても、一方には厳罰主義をもって臨み、一方が法を犯してもそれについてはのらりくらり、こういうようなへんぱな形が行政の上にあるいは取締り方針の上に現われるから、事はますます紛糾するんだ。この点を警察当局として十分心して、少くともこの種の事件が再び発生することのないように、徹底した取締りを行うべきだと私は思うのです。時間がありませんから、それ以上のことは本日は申しません。
  52. 江口俊男

    ○江口政府委員 辻原議員もおっしゃるように、われわれも現地におったわけでございませんから、時間的な点あるいは状況について食い違いがあることはやむを得ないと思いますが、ただいままでに入っておる連絡によりますれば、座談会の始まったのか七時十分、それから父母の会というものが五十人くらい来て会見を申し入れたのが八時三十分でありますが、その場合、小林委員長は、代表だけならば会ってもよいということを言われた。しかしながら、代表だけではなしにやはり会いたいというような意味で押し問答をした事実がございます。しかし、そういうふうに騒がしくなったものだから、場所を下から二階へ変えて会議をやっておられるのでありまして、会議は一応九時三十分に済んでおります。そして事件が起りましたのは、自動車のタイヤが破られておった関係で、委員長以下の方々がまた元の二階に集まっておられるところに、十時半ごろ下に集まった父兄の一部が乱入したというのが私たちの知っております事実でございます。それから状態がどうであったかということについて、これは想像でございますけれども、会議に出ておった教組側の方が、巡査に、この方々を森まで送ってやってくれというようなことをせっかくおっしゃったところを見ますれば、あとで行われたような乱暴がそこで起るというふうには見れなかったではないか。これは、しかしなおお互いに調べてみなければわかりませんけれども、われわれが受けている報告から推しまして、私はそういうふうに想像することもできる。こうただいまは考えております。  それから十一名の逮捕の問題とこれとの関係がどうであるから半身不随だというようなお話でありますが、これは決してそうではないのであって、こういう問題が起る前にそういうことはちゃんと手続をやっておったのであるから、それは結果において同時になったけれども、私たちの方でそういうことを予期してやったのではないということ。それからもう一つは、被害者を逮捕しているというようなお話でございますか、ここで被害のあった方々は逮捕いたしておりません。将来の調べにおいてその人たちに及ぶか及ばぬかということは別問題でありますが、昨日の手入れにおきましては、そういう人たちは除かれておりますので、念のために申しておきます。
  53. 辻原弘市

    辻原委員 擁護局長に伺いたいと思います。この件は警察の問題であり、文部行政の問題であると同時に、人権問題にとっても見過せない重要な問題であると思う。しかも、この問題が発生する以前においても、父兄が教員をつるし上げにする、あるいは登校を拒否して追い返す、こういった問題が続出しているわけです。また高知県のみならず、群馬県においても同様の問題があり、沼田等におきましては、新聞に報道せられておりますように(やはり一齊賜暇の問題をめぐっての父兄の対立の中に、今度は父兄が教員の登校を拒否する、あるいはある地区においては、父兄一人々々をPTAの会長とかあるいは区長、こういった人々が呼びつけてアンケートを求めたり、教組の脱退あるいは勤評の賛成、こういうことを強要している事実が随所にあるわけです。私は事のよしあしは別として、そいういう形において人権が侵害され、あるいは強要があった場合、それが暴力等になって脅迫をせられる、こういうような事柄を放置していくならば、これは教育問題から発展して重要な社会問題であると思う。このことについては擁護局としてもおそらく調査をされてしかるべく措置をされていると思う。それについてはあなた方の持っておられる所要の勧告権も発動されようし、また中には一部のものに扇動をせられて、事の中身についての十分な理解を得ないで、そうした集団的行動に参加をしている向きもあるではないかと思うのであります。これらの人に対しては、やはりそういった行為についての善悪の判断を十分指導する必要がある、こう考えるのでありますが、擁護局では当面の高知県の問題、またそれらに関連する強要、脅迫、こういった人権問題、また群馬県下における問題等々具体的に調べられておるか、その措置はどうか、これをお答え願いたい。
  54. 鈴木才藏

    鈴木(才)政府委員 まず高知県の仁淀村の森小学校に関連する事件でございますが、十五日前の森小学校下の教育父母の会というものと、それから森小学校教職員及び同校の子供を守る会、この二つの教育関係者の間に相当激しい感情的な対立がございまして、先日高知県の地方法局長から種々の人権侵害がある旨の訴えがあった。特にこれは教職員並びに子供を守る会の方からの申告でございました。つい最近その情報報告が届きまして、私の方ではこの申告されました事態が事実であるとするならば、人権上非常に遺憾である。特に教職員に対する村八分的な行動あるいは強制、圧迫的な行動があったという申告であります。最近情報か届きましたばかりで、私の方はまだ検討いたしておりません。しかるべく高知県法務局を通じまして実態を調査してみたいと思っております。  さらに群馬県の問題につきましても、教育委員長あるいは教育長、あるいは校長、そういう方に対する教職員関係の方の強制圧迫的な行動があるという申告があり、また逆の場合もあるので、たとえばPTAの方が教職員に対する圧迫を与えた、種々の形における人権侵害があった、こういうふうな報告にも接しておるのであります。近く私の方からも人を派しまして、実態の調査に着手する予定でおります。  私は、教育の場にある者、また教育関係する方々が、事はいかようでありましょうとも、また原因はいかようでありましょうとも、感情のおもむくまま、人権侵害の事実が非常に多く発生しておるということは、非常に遺憾に存じておりまして、まだわれわれ日本国民の人権に対する自覚と申しますか意識か地についていない。何らかの闘争の過程におきまして、すぐに人権侵害、しかも悪質な人権侵害が起るということは非常に遺憾に思うのでございます。これは現象的に一つ一つの人権侵害の事実をつかまえまして、私の方から勧告をいたすことも必要でありますか、この具体的な事件を契機といたしまして、しかも最も日本国民の代表的なインテリと言われる方々、また子供の教育に関心を持つPTAの方々の間に、無意識と申しますか、あるいは中にはおそらく意識的じゃないと思うのでありますが平然としてこういう人権侵害事件が起るということは、まだまだわが国民の人権意識というものが地についていないということを如実に示すものでありまして、非常に私は遺憾に思うのであります。今後はできる限り法務省の人権擁護委員、その他の関係者を動員いたしまして、ほんとうの人権意識を身につけるように努力をしていきたいと思うのでございます。
  55. 坂田道太

    坂田委員長 原田憲君。
  56. 原田憲

    原田委員 私はただいま辻原君が質問された高知県仁淀村の森小学校事件について質問をしたいと思うのでありますが、この夏に、同じ高知県の山奥の檮原村というところで、やはり学校教職員と父兄とが対立をいたしまして、学校授業を放棄して大会におもむいた先生たちの授業を拒否するというような問題が起きたのであります。そのときに私は実地を見に参りまして、父兄の皆さん、学校教職員の方々と会って話し合ってみたのでありますが、お互いにお互いの立場というものをよく理解し合うということが問題の解決の最大点であり、ほかからたくさんな人が押しかけるということは、非常に問題を混乱せしめるだけであって、解決策にはならないということをはっきり把握することができた。というのは、当時もたくさんなオルグ団が檮原村へさして抑しかけてきた。これに激高した村民がこれらと衝突を起しかけた。結局、村当局あるいは教育委員会が中心となりまして話し合いをつけた。そしてその話し合いは、オルグ団も引き揚げてくれ、村のことは村で解決するから、ということで最後の話し合いがついておるのであります。今度の仁淀村の森小学校事件を見てみましても、やはり、この山奥へさして事件が起きると人が押しかけていって、その村におけるところの解決策ということをよけいに混乱さしておる。先ほど初中局長の話を聞きますと、大体おさまりかけておったところへ小林委員長が出向いたので、またこういう非常な不祥事が起きたということでございますが、このような騒ぎの起きておるところは、群馬県と高知県と、この二つに大きな事件が起きて、ほかの府県にはそのような大きな事件が起きておらないように私は考えておるのだが、なぜ高知県でこういうことが起きるかということについてどういう把握をしておられるか、ちょっと当局に伺っておきたいと思うのであります。
  57. 内藤譽三郎

    ○内藤政府委員 勤務評定につきまして、すでに勤務評定規則ができましたのが四十二でございまして、そのうち勤務評定書の提出がほとんど終りましたのが三十四、五県に及んでおるのであります。そこで最近になりまして、日教組は特に東においては群馬、それから西においては高知を拠点にいたしまして、この拠点闘争によって、ここでこの勤評の実施を阻止しようという強力な運動を展開されておるように見受けられるのでございます。それが一つは群馬におけるああいう形で混乱が起きた、また高知においてもこういうような不祥事態が起きたのではなかろうかと思っております。
  58. 原田憲

    原田委員 初中局長の話を聞いておりますと、勤評問題を中心として、日教組の方針が群馬と高知を拠点にしておる、それがこういうことの一つの原因じゃないかというようなお話でありますが、私はそればかりじゃないと思うのです。日教組の中にも条件闘争派とか徹底闘争派とか分かれておりますが、高知県の教組のあり方というものは、現在の日本教職員組合が九月の十五日に一齊ストをやった、しかしこれは成功しなかった、この成功しなかったということは、教職員諸君が日教組の指令に従わなかったということなんです。日教組の中央のやり方を不信任しておる。これは勝負がついておるのです。ところが、その後スケジュールを組んで、二波、三波と計画しておる。そのときにも日教組の本部では三時まで授業しようじゃないかということを言うと、その中で全国的に最も強いのは高知県で、高知県では十割をやろうと言う。なぜかというと、それはいわゆる高知県教組の考え方が大いに動いておると私は思う。現在の日本教職員組合の中でも、流行語で御三家だとかなんとかいう言葉がはやっておりますが、高知県の教組のあり方というものは、現在の日本教職員組合に対して非常に批判の声が高いが、それより高姿勢な、もっと強い言葉で言うと、先鋭化した革命分子の動きというようなところまでなってきておる。選挙を見ましても、この前の選挙でも、高知県においては社会党と自民党が一緒になって現在の溝淵知事を推した。県教組だけは川村元知事を推した。今度もやはりそういうような態勢で、教組というものが一つ別な団体になって、そして教職員組合の活動でなしに、猛烈な政治活動を展開していくというようなことが見られておる。そしてその具体的なことになりますと、この前も檮原村のときに私は言ったのだが、ちょっと話が横道にそれるが、警察当局に質問したい。あのときに、あれは勤評問題ではない、地方事務所長を四人かえるという人事の問題です。これを県の教育委員会がやった。それに対して集団的に押しかけてきて、そして県の教育長をヵン詰にした。便所にも行けないし電話もない。こういう部屋で何時間も監禁したために、教育長は便所へ行きたいからドアをあけようとしたら、外に人がおって、上の人の命令がなければあけられぬと言うた。これは明らかに不法監禁なんです。だれがやったか、その人はだれかわからぬけれども、上の人の命令がないからあけられぬという。この上の人とはだれか。そういうことをはっきりしておかないから、何をやってもいいんだという思想になってくる。だから治安を守るものはそういうことははっきりしておかなければいかぬということを申し上げて、その後あなた方は調査するということであったのです。その問題について調査をされましたか、伺っておきたい。
  59. 江口俊男

    ○江口政府委員 ただいまの檮原の問題につきましては、私ここに資料を持ちませんし、また最近その結果の報告を得たことを知りませんので、別にお答えしたいと思います。
  60. 原田憲

    原田委員 そういうことであるから、みな国民が、不法なことをやっても、それが集団で行われ、労働組合運動あるいは職員組合運動という名において——実力行使というのは暴力行使なんだ。そういうことを平気でやっておることについて何にもやらぬのなら、われわれもやってもいいじゃないか、こういうことになってくる。和歌山においても、和歌山市民の目の前でジグザグ行進をやって非常に迷惑をかけておる。それに対して、警察は何にもせぬと見ておる。だからあの十九日の日に、もしあのまま放擲されておったら、おそらく市民がみずからその集まっておる人たちに手をかけたらどういうことになるのか。だから警察はしっかりしてくれということを申し上げたのでありますが、この高知県におきましても、今度の事件が起きたところの一つの原因があると思う。そういうことが看過されていって、何をしても、集団的に行なった暴力事件が看過されていく。  それから勤務評定の問題に関しまして高知県の父兄の人たちが一番不満に思っておることは、よその府県で行なったことは、不法なことはちゃんと罰せられておる。ところが、高知県では何も処分されない。こんなことなら、法というものは何のためにあるんだ、こういうような考えから一つは立ち上ってきておる。それからこの高知県の森小学校のときもそうでありますが、六月二十六日のあの事件が起きるまで村は割合先生を大事にして、平穏にきておる。その先生たちに、今までは先生たちの言うことを何でも聞きましたやないか。勤務評定反対で判こを押せというたら判こも押した。家庭訪問に来て、選挙のとき手伝えというたら、選挙に手伝いました。選挙違反やけど、先生たちの言うことならやりました。学校だけは休んでくれるなと頼んだのに学校を休む。だから二度とこういうことをせぬといてくれという誓約書をかわした。ところが、誓約書をかわしておるのに、また二度三度やる。これでは、こういう先生に教えてもらっておっては子供の教育はまかせられぬ。約束を破ってかかるようなことならまかせられぬというような素朴な考え方です。素朴な考え方だから、怒るのは無理ないと思う。私が先生たちに会ってみたら、先生たちは、あれは無理に約束せられたと言っておった。いかなる強圧に対しても断固はねのけていくくらいの気慨を持たなければ、教師として生徒に何も教えられぬ。私は、そういうところにこの仁淀村の森小学校の一つの混乱の原因があると思う。それを教育委員会が中へ入ってちゃんと押えるだけの人を残念ながら教育委員会に得ていない。私が調べたところでは、五人あるべき教育委員会に四人しかおらない。一人欠けておる。村長も中へ入って話をすると、たくさんの人が押しかけてきてわあわあやる。こういうことで話がつかぬ。話が暴力事件のところでちょっとよそへそれましたが、私はこの問題についての高知県の教組の動きというものについて、今初中局長は日教組云々という話がありましたが、ただそれだけじゃないということを把握しておられるかどうか。問題を解決するのに非常に重大な点でありますから、そのことをもう一度伺っておきたい。
  61. 内藤譽三郎

    ○内藤政府委員 高知県の場合は、お説の通り組合のあり方の点が一つ問題だと思う。先般も実は十割闘争をたびたび繰り返しておりますし、日教組の指令以上に上回った行動が現われておることも事実でございます。それから地教委の態勢が、これも必ずしも県の教育委員会の方針に協力していない点がございまして、三十幾つかの市町村においていまだに評定票を提出しない、勤評反対の態度をとっておる。それから県の教育委員会の態勢も十分固まっていない、そういうようなところに教育委員会に対する一部の不信もあるのではなかろうか。この点は十分に認めておりますので、教育委員会の管理態勢がもう少ししっかりするように、特に教育委員会にも要望いたしておるわけでございます。
  62. 原田憲

    原田委員 私もう少し詳しく質問したいと思っておったのですが、あとに質問者もあるようですから、時間がないので、要点だけを申し上げておきたいと思まいすが、高知県の教組の委員長、副委員長というのは共産党員であるといわれておるが、それを知っていますか。
  63. 内藤譽三郎

    ○内藤政府委員 党員であるかどうか、私どもも正確な資料はございません。
  64. 原田憲

    原田委員 高知県ではこれはもう通り相場になっておるのであって、こういう強い党意識を持った方が委員長あるいは副委員長という要職を占めて引っぱっていこうとする、そこに私は一つの大きな問題があると思う。森小学校におきましても、たとえば運動会で万国旗を立てた。そしてそれを倉庫にしまっておいたら、日の丸の旗だけはみなちぎってある。中共の旗を日本でちょっと破損したというたら国会で大問題になる。総理大臣があやまれというのでありますよ。そうしたら日本の国内で、そうだそうだ、あやまれという議論をする人もあるのです。自分の国の旗を引きちぎっておる。重大問題ですよ。これは一体だれがやったのか。村民は、これは先生か、あるいはその先生がそういう教育をしておるから子供がやったのじゃなかろうかというように考えておる。教育の中立を守る法律には、教唆扇動することによって先生がそういう一党一派に偏した教育をしたときは刑罰に処するということをきめてある。この法律の第三条であったと私は記憶するのでありますけれども、そういうことか非常に強く現われてきてもそれに対して何らの措置がとられない。それでは自分たちが実力でやるより以外に道がないじゃないかというところにこの行動の大きな原因がある。そのことについてもよく把握して、あなた方は指導助言をされる必要があるということを申し上げたい。学校を不法に占拠して勝手に先生を雇ってきて勉強さすことも、これは悪いことは悪い。それだけじゃない。そのよって来たる原因をよく把握して指導助言をきれるがよかろうと私は思う。もう一つは、この事件はなかなか込み入っておると思う。これは私の邪推かわからぬが、たとえば一番重要なポストを占めておる県の教育委員会がこれを解決する大きな力を発揮しなければならない機関である。その機関に対して——また知事もそうです。やはり行政管理者としてこれは県下に起きた大きな問題でありますが、知事、教育長、教育委員長、それらの人を、安芸高等学校という高等学校勤評問題に対する処分に関連して、高等学生を連れてきて、これを集団的に何時間も監禁同様にして遂に病院に入院さした。現在の高知県の教育委員会というものば麻痺しているのですよ。行政というものも麻痺しておる。そこへ小林委員長がのこのこと来た。小林君は何も知らなくて、来い来いといわれて行ったのじゃなかろうかと思う。たまたまそれが祭の日であった。祭にはみな酒を飲んでおる。そこへ十五日に行った。そこで騒ぎが起るくらいのことは、よく考えてみたら、これは起るべくして起った問題のように思う。先ほど初中局長から、幸いに平穏に終りかけてきたといわれた、そこのところへ、この村の人は、この総本山は小林委員長だと思っている、その人を連れてきた。新聞を読んでみたら、その日は祭であったと書いてある。人間は酒が入ればおとなしくしておろうと思っても自己の行動というものは誤りがちなものだ。そういうことを考えるときに、私は高知県の森の問題は、ただ単なる森小学校の問題ではないということを頭に入れてほんとうに真剣に考えてこの処置ということをやらなければならぬ。あそこで事が起きたら自民党が乗り出していった、社会党が乗り出していった、そうしてわあわあ騒ぎ回ったらますます混乱を大きくする。私はそんなことは望まない。県の教育委員会、そしてその村の教育委員会、それから先生の代表者であるなら校長、これらの人か村長を中に入れてほんとうにゆっくり真剣に熱意を込めて語り合って解決しない問題は私はないと思う。それについて教育当局であるところの文部省は、適切なほんとうの状況判断をして指導助言されるように望んでおきたいと思います。
  65. 坂田道太

    坂田委員長 茜ケ久保君。
  66. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 特に群馬県の問題について文部大臣警察庁に対しまして端的にお伺いしますから、簡単明瞭な御答弁をお願いしたいと思います。  もう新聞や報告等で御承知と思うのでありますが、群馬県におきましても勤評問題を契機に非常な混乱が起っております。そういった中で私考えるのでありますが、文部大臣が岸内閣の一面の重大な任務を帯びて文部行政に当っていらっしゃるのでありますが、勤評問題が起って以来今日まで約一年近い間、当委員会における文部大臣としての答弁並びに外部に向ってのいろいろな発表等を伺っておりますと、非常に自信と確信を持って勤評問題の解決と申しますか、勤評実施について強い態度で臨んでいらっしゃる。そういった中で私が感じますことは、特に今度のこういう群馬や高知の問題が起って以来感じるのでありますが、いわゆる日本の文教面においてこれほど大きな問題のあったことはないと思うのであります。おそらく有史以来の重大な問題だと思う。そういった問題を起した原因が——それはいい悪いは別として、これほどの重大な問題が起ったときに当って、その全責任を負っていらっしゃる文部大臣として果してその責任を感じていらっしゃるかどうかということを私は非常に疑問に思う。これは私だけじゃないと思う。一般の国民も、勤評に賛成の諸君ですら、文部大臣のこの問題に対する責任感についての疑惑を多分に持っていると思う。あなたは勤評絶対実施だ、これは法が示しておるのだからあくまでもやるんだということはおっしゃるけれども、しかしそういったことからいわゆる反対運動が起り、しかもこれが非常に深刻になって参りまして、ついに流血の惨を起すような事態になったのであります。しかも教育のゼネストといわれることも起っておる。こういった中で、あなたは依然として責任を感じていらっしゃらないという感じを私どもは持っておる。こうなりますと、これはあなたが幾ら勤評を断固実施するとおっしゃいましても、国民の中には、いわゆる勤評には賛成であっても、この勤評を実行しようとする意図の中に、あなたが幾ら否定なさっても、政治的ないろいろなものが包含されておるということをだんだん感じてきている。そうなりますと、勤評の実施ということもあなたにとっては大事だろうけれども、それがひいては日本の教育に大きな害悪を流す原因にもなるし、また一面あなたは声を大にして道徳教育振興を盛んに言っていらっしゃいますが、あなたも新聞を読んで御存じでしょう、まず岸内閣と特に文部大臣か一番先に道徳教育を受くべき状態にあるということが、投書等にはずいぶん出ている。こういうことを考えますと、この際文部大臣として重大な責任を感じて——私に端的に言わせると、これは日教組が反対したからとはいいましても、教育の全責任を負っている教員組合という五十万の組織の者が、中には一部いろいろあるでありましょうが、全組合員をあげて反対しているという実態は、ただ単にあなたが法によって強行するというだけでは解決がつかぬと思う。従って私は普通の政治常識であれば、文部大臣は当然責任を負って引責辞職すべき重大な問題だと思うのですが、そういったことは何らなさっておらない。それはお互いに見解もありましょう。しかし私はこれは少くとも一般の政治常識ならば辞職をして国民の前にわびなければならぬというほどの問題だと思うのだが、こういう点に対して、最近の事態からあなたはどういうふうに——あなたの所見は先ほど承わった。責任です。文部大臣としての責任をどのように感じていらっしゃるか、この点を一つ端的にお尋ねいたしたい。
  67. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 責任ということでございますが、非常に広い意味から申しますれば、文教行政に関してすべての責任は帰するところ私にあるということは申し上げてよろしいかと思います。何か私のやったことかまずくて、そのための責任というふうなお話でありますれば、またお答えは別になってくるのであります。私はもちろん何といたしましても責任を回避するものではございません。もし私のやりましたことについて責任を追及するものがあれば、遠慮なく一つ追及していただきたいと思う。ただ今回の勤務評定の問題について事態が非常に紛糾しておる、その紛糾の責任はすべて文部大臣にあるというふうな御見解であるといたしますならば、遺憾ながら私はこれに御同意するわけに参らぬのであります。問題は、たびたび繰り返しておりますのでどうかと思うのでありますけれども、一体この勤務評定の実施ということについてなぜああいうような反対をしなければならないのかということが実は私にはわからない。反対の意見を持たれることもけっこうであります。またこういうところをこうしろという要望をなさることもけっこうであります。さようなことをかれこれ私は申しておるのではありません。しかも今日まで日教組の諸君は、私に対しまして勤務評定のどこが悪いからここをこうしろという話は一度もないのであります。常に絶対反対、いかなる手段に訴えてもこの行政を阻止する、こういう態度に出ておられるのであります。しかも絶対反対もまだよしといたしましても、その反対闘争のやり方というものはどこからどこまでも違法ずくめである、こういうようなことで今日までやってきておるのでありまして、私は今日この教育界の混乱の責任を負うべきものありとすれば、その最も大きなものは日教組であるというような考え方をいたしております。従って今日のこの不正常な、異常な教育界の混乱というものを何とか収拾し、そうして教育界の姿を正しくして参りたい、あるいはまた教育行政をもっとすっきりしたものにしたいということが私の念願であり、また同時に私の責任を尽すゆえんである、かような考えのもとにやっておりますので、さよう御了承願いたいと思います。
  68. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 私は今の答弁のような考え方のところに問題があると思うのです。今度の問題があげて日教組に責任があるということだけで文部大臣がもし平然として何らの反省もなければ、私は重大な問題だと思う。もちろん私は日教組にも全然責任がないとは言えないかもしれません。しかし今度の教育界の混乱のすべてがあげて日教組の責任であるとして、文部大臣が先ほど私が指摘しましたことに何ら反省の色がないということは当然許されないと思う。あなたは勤評問題の責任か私に全面的にあるとは思わぬと自分でおっしゃるけれども、先ほどの答弁を聞いたり質問を聞いておりますと——これはもちろん実施の責任なり企画は、県の教育委員会なりそれぞれのものにあるでありましょう。けれどもあなたは終始一貫勤評を断固実施するのだということを言明していらっしゃる。一歩もそれから下っていらっしゃらない。さらに日教組が勤評反対をする理由がわからぬとおっしゃるけれども、まだあなたは一度も、私が新聞やラジオないしは国会の答弁等を聞いておりましても、あなたが親切丁寧に教組に対し一般に対して、こういう理由で、こういうことであるならばこういう教育的効果があるからこういうふうな勤評を実施するのだという御説明もあまりなさっていらっしゃらない。ただ法できまっているから、行政処置だ、こういうことをあなたは言っていらっしゃる。もし教組の反対の理由がわからぬとしたならば、教組の委員長なりあるいは執行部と、幾ら絶対反対であったとしても、あなたもやはり絶対に施行するんだ、施行する以外に何ら話し合いの余地はないのだという態度をお改めになって、一応具体的な問題について話し合いをなさるべきだと思う。それをなさっていらっしゃらない。古い話ですが、大学学長諸君がああいう努力をした。そのときも日教組はいさぎよくその話を受けて、文部大臣と話し合うことをきめておる。あなたはせっかくの大学学長諸君のそうした御苦労に対して、一片の誠意も示さずにこれを却下していらっしゃる。こういったことを考えますと、私は、あなたはあなたの立場から、日教組の言うことはわからぬとおっしゃるけれども、われわれ国民の側から考えると、文部大臣もただ頑固一徹ではいかぬと思う。やはり大臣は懇切丁寧な御説明なり、あなたの教育に対する、勤評についての御誠意の現われがなければならぬと思う。残念ながら、私だけでない、国民は最近あなたの頑固さについては感心をしている。岸内閣の灘尾文部大臣という存在は頑固一徹、言い出したら聞かぬということは、国民に行き渡っておる。しかし、あなたを通じて、勤評をなぜ実施しなければならないかということは国民に理解されていない。私どもが折衝すると、法律だから執行するということしか説明しない。その点が問題だと思う。  そこで今度の混乱の原因が日教組だけにあるとおっしゃるけれども、日教組にも全然ないとは言えないかもしれない。私はないと思う。けれども、あなたも、今言ったように、勤評実施についての混乱の責任があなたに全然ないということは言えぬと思うのです。これはくどいようですが、文部行政に対する私どもの態度について重大な関連を持っておる。こういう高知、群馬を契機として起っておる混乱、たびたび指摘しているように、教育上かってないような最悪の事態に立っておるとき、あげて日教組にその責任があって、文部大臣灘尾さんには何ら反省するに足る責任がないとお考えかどうか、もう一ぺん念を押しておきます。
  69. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 勤務評定に対する私の立場は、先ほどから申し上げました通り、地方の実施当局に対しまして勤務評定を法に従って実施してほしいという立場に尽きるわけであります。この勤務評定の実施に対しまして、あらゆる努力を傾けて阻止しようという激烈な闘争が展開せられたわけであります。さような激烈な闘争をするということが、私にはわからぬというのであります。当りまえに問題を処理していけば、ああいう激烈な闘争にはならなかったのであります。意見を述べられることもけっこう、要望を述べることもけっこうです。実は話し合いといいながら、話し合いではなく、つるし上げであり、カン詰めであるということは申し上げた通りであります。群馬において、勤務評定票の提出をしようというと、猛烈な阻止運動をする。なぜ一体そういうことをしなければならないのだろうか。もちろん勤務評定というものについて、一ぺんきめたことを万劫末代までも変えてはならぬというわけでもないし、不断の努力によって改善していくことにお互いに努力するということは、けっこうなことでありますけれども、しかし一つの筋を通して進めていこうという際に、あくまでも実力をもって阻止するということは容認するわけに参らぬというのです。そういう意味において私といたしましては、この勤務評定がそれぞれの地方において実施せられるまでは、これを推進して参りたいと思っておりますし、また同時に、これに伴う教育界の混乱に対しましては深刻な反省を求めたい。そうしまして、教育界が一日もすみやかに平静な状態に返るよう努力することが、私の責任を尽すゆえんである、かように考えております。
  70. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 もう一点。あなたは日教組に対して憎しみを持っていらっしゃるようでありますが、日教組も合法的な存在であります。それは別として、日教組の存在というものに対して、あなたは否定的な態度をとっておられますが、あなたとしては日教組というものは存在すべからざるものであるというようなお考えを持っていらっしゃるのか、日教組の存在は合法的であり、しかもこれは当然組合として成長すべきものであるというようにお考えか、この点を一点だけ伺いたい。
  71. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私は日教組に対しまして、感情的に憎しみをもってこれに対しているつもりはございません。むしろ職員組合として健全な発展を遂げてもらいたい。日教組をつぶすとかそういうことをいまだかつて申したことはございません。健全な組合として発展してもらいたのであります。日教組が現にやっていることが、いかにも職員団体として行き過ぎであり、あるいは間違った行動をしばしばとっておることを遺憾に思うのであります。本来の組合らしい平静な姿に戻ってもらいたいと思っております。
  72. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 まだいろいろあるのでありますが、時間がありませんので、警察当局に伺いたいのです。  これは群馬県でたびたび起っておる問題でありますが、先生が自分の学校に登校すべく学校に行こうとする、そうしますと、いわゆる教育振興会というような団体の諸君が、多数校門にピケを張って、登校する先生を阻止して学校に入れない、こういう事態がある。これは明らかに公務執行妨害だと思う。先生が自分の職場である学校に行こうとするのに、それを教育振興会と称する団体の幹部の諸君が、多数暴力をもって登校を阻止しておる。これは明らかに公務執行妨害だと思う。これに対して警察は手をこまねいて傍観しておる。これは重大問題だと思う。たとえば十一月の五日にも、全学連の一部が国会議事堂の周辺に集まろうとしたら、あなたの部下である警察官多数が要所々々におって、善良なる通行人をとめて入らせない。幾らか力を加えると、公務執行妨害で検束するという事態がある。群馬県における、先生を学校に入れないという実力行使は、明らかに公務執行妨害だと思うが、警察当局見解はどんな見解であるか。しかもこれは現行犯である。これに対して何ら手を打たないのはおかしいと思うが、どういう見解をとっておられるのか。
  73. 江口俊男

    ○江口政府委員 お話の通り、学校の先生は自分の学校に入ることが自分の仕事をやる前提でございますから、それを阻止する態様が暴行脅迫にわたれば、仰せの通り公務執行妨害でございます。ただ立ちはだかって、いつまでも話し合いをする、とにかく制約をする、どういう話し合いをしているのか知りませんけれども、その状況が暴行脅迫にわたらなければ、公務執行妨害にはなりません。従いまして、今まで起りました事案について報告を受けている限度におきましては、再三警告をした。これは御承知のように、犯罪がまさに行われんとしているという場合におきましては、警職法の警告というものがもちろんできます。しかしながら、それをどうして実力で排除しないかというと、この間もいろいろ問題になりましたように、その先生方の生命、身体に危険が及んでいるという状況でなければやれないというのが、御承知の通りの建前でございますので、警察としては父兄方に、暴行しちゃいかぬ、脅迫しちゃいかぬ、しかしこれも長引けば、静かな形であっても公務執行妨害罪の問疑をされるおそれがあるから、その警告はそのつどいたしておるようでございます。それ以上に父兄側が出て教師に対して乱暴を働いたというようなことがあって、それを警察が傍観しておるということがございますれば、私たちの方としても、なお詳しく調べなければいかぬ、こう考えますが、私たちの聞いております限度におきましては、今のような状況でございます。
  74. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 あなたは暴行とおっしゃるが、先生が教室に入って子供を教える、これは先生の公務なんです。たとい言葉は激高しませんでも、暴力を加えませんでも、先生が学校に入って教室に入ろうとすることを阻止して、多数の力を利用して追い返して教室に入れぬという実態は、明らかに公務執行妨害だと思うのです。たといなぐりませんでも、先生が自分の学校へ入って子供に授業をするという事態ができないということは、多数の、何百人の父兄が腕をを組んで、あるいは罵倒したりいろいろなことをやって、先生が正常な形で校門から自分の教室に入れぬという姿は、私は明らかに公務執行妨害の現行犯だと思う。先生はやむなく帰っておる。しかも一回ではない。数回にわたって行われておる。その間にはいろいろな問題がありますが、時間がありませんから申し上げませんが、この一点だけを……。警察当局は参議院の速記録を見ると、何か警職法の改正までも解れておるのですが、これは警職法に関係ないのです。警職法に関係なくて先生が自分の教室に入れぬという実態、しかも多数の暴力によって……。これは警職法の内容いかんじゃなくて、明らかな公務執行妨害の現行犯だと思う。これが公然と許されておるのは、私はおかしいと思う。どうなんですか。
  75. 江口俊男

    ○江口政府委員 先ほども申し上げましたように、単に入れないという状態だけでは、公務執行妨害罪に法律的になりません。ただいまおっしゃったように常識的には公務ができないのだから、公務執行の妨害じゃないかということは言えますけれども、列法の条文をお読みになればわかります通り、暴行、脅迫が加わらなければいかぬので、その暴行、脅迫の状態というものが、公務執行妨害罪として検挙するような程度であるかどうかということにかかってくるわけであります。だから警察としてはそういうおそれがあるから、警告は何べんもいたしておる。警告をするというのが、警職法の改正いかんにかかわらず、現段階においては当然の任務であります。それが暴行、脅迫という状態になれば、もちろん犯罪として検挙もできます。また、現に生命、身に影響がある状態であれば、現在の警職法におきましても排除ができます。
  76. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 今のあなたのおっしゃることは、その通りでしょう。しかし、あなたの方の報告はどこからきているかわかりませんが、利根郡の川田村の小学校においては、明らかに暴行が行われている。しかも先生が川に落されてけがをしている。こういう実態があるのです。これはあなたの方に報告がきていなければ調査してもらいたい。現にそういう暴行もあるし、脅迫もある。脅迫というのは、いわゆる日教組を脱退しなければ入ってはいかぬ。これは明らかに脅迫です。今文部大臣もおっしゃるように、日教組を否定していない。もちろん合法組合だから、さすがの灘尾文部大臣も、日教組はりっぱな組織だと言っている。その日教組を脱退しなければ、絶対学校に入ってはいかぬ。これは明らかに脅迫です。これは人権擁護局長のお話でもそうです。日教組を脱退しろと、多数の者ががんがん言うことは、これは明らかに脅迫だと思う。こういう事熊があるのに、あなた方はただ一方的な報告だけで、警察のとった態度を合法化しようとしている。きょうは時間がございませんから、またあらためてやりますけれども、とにかくもう一点だけ、この日教組を脱退しなくちゃならぬという、いわゆる多数の脅迫を、あなたの立場から、やはり脅迫でなくて正常な話し合いとおっしゃるかどうか、この点もう一ぺん伺いたい。
  77. 江口俊男

    ○江口政府委員 日教組を脱退しなければ通さないという事柄について、それは脅迫になるかならぬというのは、私はその言い方にもよろうと思いますが、なおよく研究をしたいと思います。ただ言うというだけが即脅迫だというふうにはもちろん考えられないのであります。
  78. 坂田道太

    坂田委員長 西村君、一分だけ許します。
  79. 西村力弥

    西村(力)委員 時間がありませんから、一分だけお許しを願いたいと思います。文部大臣にお伺いしますが、今の警察当局の、公務執行妨害というものは、説得の形における限界においては、それは成立しないというお話ですが、それを文部省も御承認になりますかどうか。こういう見解承認せられるかどうか。
  80. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 具体的な事例でなければ判断をしにくい問題だと思います。私どもは、そういう問題につきましては、やはりそれぞれの責任当局の見解を尊重したいと思います。
  81. 西村力弥

    西村(力)委員 それではその逆の場合、一例を言いますと、講習会に参加する教員を組合の人々が説得して、それの参加を放棄するようにというような行動を行なった。こういうことも全然法的に問題がない、こういう工合にわれわれは受け取ってよろしいのか。その通りであると私は思うのですが……。
  82. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 説得とか話し合いとかいう言葉だけでは、私は判断はできないと思います。具体的な状態によって判断すべきものじゃないかと思っております。
  83. 坂田道太

    坂田委員長 本日の会議はこの程度とし、次会は公報をもってお知らせいたします。  これにて散会いたします。     午後一時三十八分散会