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1959-03-24 第31回国会 衆議院 農林水産委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月二十四日(火曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 松浦 周太郎君    理事 大野 市郎君 理事 吉川 久衛君    理事 丹羽 兵助君 理事 本名  武君    理事 赤路 友藏君       五十嵐吉藏君    倉成  正君       田口長治郎君    高石幸三郎君       綱島 正興君    永田 亮一君       松岡嘉兵衛君    三和 精一君       八木 徹雄君    保岡 武久君       角屋堅次郎君    金丸 徳重君       久保田 豊君    高田 富之君       西村 関一君  出席政府委員         総理府事務官         (調達庁次長) 眞子 傳次君         農林政務次官  石坂  繁君         農林事務官         (水産庁次長) 西村健次郎君  委員外出席者         総理府事務官         (行政管理庁行         政管理局管理         官)      三浦 善郎君         大蔵事務官         (主計官)   船後 正道君         農林事務官         (大臣官房秘書         課長)     中西 一郎君         農林事務官         (大臣官房文書         課長)     和田 正明君         農林事務官         (農林経済局統         計調査部長)  立川 宗保君         農林事務官         (農地局総務課         長)      日比野健児君         農 林 技 官         (林野庁業務部         長)      田中 重五君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 三月二十四日  委員久保田豊君及び高田富之辞任につき、そ  の補欠として西村関一君及び日野吉夫君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員金丸徳重辞任につき、その補欠として久  保田豊君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月二十日  農道の国庫補助率引上げに関する請願池田清  志君紹介)(第二六四八号)  鹿児島県下の配給精米価格引下げに関する請願  (池田清志紹介)(第二六四九号)  同外二十八件(池田清志紹介)(第二七七三  号)  宮古港を外国産麦類揚港に指定の請願山本猛  夫君紹介)(第二六五〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(投錨禁止区域補  償問題及び農林省職員定員問題)      ————◇—————
  2. 松浦周太郎

    松浦委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  在日米軍による投錨禁止区域補償問題について綱島正興君より発言を求められております。この際これを許します。綱島正興君。
  3. 綱島正興

    綱島委員 実は、資料を先ほど皆さんのお手元に差し上げておいたのでありますが、これに大体議論は尽してございます。昭和二十七年の四月二十八日以前の問題でありますが、昭和二十六年の四月十三日に佐世保向後岬から半径五千ヤードぐらいの海上におきまして投錨禁止されたのです。そこで、この地域でやっておりました関係町村の揚繰網、縫い切り網、船びき網、小型定置、夜だき一本釣、小型の底びき、こういうようなものは事実上全然漁業をすることができなくなった。そこで、講和発効後のものは損害補償を受けておりますが、講和発効とこの投錨禁止期間の間の補償を受けておらないわけであります。これについてはどういうお考えがございますか。まず水産庁から伺いたい。調達庁からでもかまいません。
  4. 眞子傳次

    眞子政府委員 講和発効以前の占領中における漁業損害につきましては、御承知のように、三回に分けて見舞金を支給した事実がございますが、それは、漁業被害の対象、内容、配付区分等、すべて水産庁が所管しておられたので、水産庁にお聞き願いたいと思います。
  5. 石坂繁

    石坂政府委員 詳細なことは部長が参りましてから御答弁申し上げますが、ただいまの問題につきまして、講和発効前の見舞金につきましては、水産庁といたしましては、再三長崎県の県庁の方に照会をいたしまして、損害の事実は数回催告いたしまして、それに基きまして適当な一応の処理はいたしておるのであります。     〔委員長退席吉川(久)委員長代理着席
  6. 綱島正興

    綱島委員 役所の方からおっしゃれば、あるいは再三県庁の方にお問い合せになったのでございましょうが、実はこの地区は受けておらないのでございます。現実に受けておらない。そのことは、この陳情書にも書いてございます通り昭和三十三年の三月十八日、長谷川漁政課長に、これは私も同道いたしましてよく話して、こういうことになっておるのだというお話をいたしておきまして、大へん水産庁も困られて、これは一応済んだことになっておるがどうしたものだろうというようなお話がございました。けれども、これは民間じゃ一向存じないものですから、県庁手落ちでございますか水産庁手落ちでございますか、ですけれども、両方で手落ちがあったと言わなければならない。少くとも何県は幾らと頭割にやっていたのではなく、各県の被害状況に基いて御分配いただいたと思いますが、この分だけは長崎県は補償していないのですから、その分だけあいているはずだと思う。その分だけは補償していただかないと、こちらとしては住民が困る次第でございます。
  7. 石坂繁

    石坂政府委員 先ほどの私のお答えあまり味もそっけもない形式的な答弁になりまして、はなはだ恐縮でありますが、私も、地域場所等につきましては損害実状等につきまして、詳細に承知いたしておりません。なおあとで係官が出まして補充して答弁をいたしますが、私といたしましても、なおよくこれは取り調べてみたいと思います。
  8. 綱島正興

    綱島委員 調達庁の方は、一切講和発効前のやつは関係がないから、これはもう水産庁の問題だということで、自分どもの関知するところでない、こういうお話でございますけれども調達庁事務を引き受けられてから、やはり事前のことについてもお調べになっているのと違いますか。それとも、もう一切知らぬから、その後のことだけだ、こういう事務的なお扱いだけでございましたか。その点だけお伺いいたします。
  9. 眞子傳次

    眞子政府委員 御承知のように、講和発効後の分につきましては、法規に基いて調達庁が所管いたしておりますが、その以前の事柄に関しましては、さかのぼって調達庁がどうするという権限が全然ございませんので、私の方で調査するとか、あるいは支給するとかしないとか、そういったお答えを申し上げることはできないのでございます。
  10. 綱島正興

    綱島委員 伺いましたのは権限のことよりは、お調べになって事情がわかっておりませんかというお尋ねでございます。というのは、発効後みな毎年補償を受けておりますので、それについてはすべて書類が整っておるはずでございますから、大体調達庁の方は具体的によく御存じのはずのように思うのです。もっとも、その前のことになるわけでございますけれども、それだって、海の上のことで、そうめったに事情が違うようなことはないようでございますから、類推してもおわかりでしょうから、伺いたいと思ったのでございます。この際それではお伺いいたしますが、講和発効後である二十七年四月二十九日から一年間の分は幾ら当該地区でお払いになりましたか、この点を伺いたい。
  11. 眞子傳次

    眞子政府委員 二十七年度では五百十六万五千三百四十三円払っております。
  12. 綱島正興

    綱島委員 大蔵省に伺いますが、今までの応答で、大体その前のものが不払いになっておるということはおわかりになったと思う。そこで、大蔵省としては、講和発効したから魚がとれなくなるとかその前はとれたとかいう事情はございませんが、大体この見当のものは支払うべきものであるという御見解があるかどうか、これを主計官に伺います。
  13. 船後正道

    ○船後説明員 佐世保地区操業禁止区域漁業被害につきましては、先ほど調達庁当局からお答えした通りであります。二十六年四月に米海軍措置禁止区域になったそうでございます。講和発効前の漁業被害につきましては、これは、御承知通り、現在の既存法に基く体系とは異なりまして、閣議決定によりまして、行政措置によって見舞金を支給したわけでございますが、当時の事務水産庁が所掌いたしまして、各都道府県にその事務を委託しておったわけであります。政府としましては、二十五年度の補正と二十六年度の補正と二十七年度の予算、この三回にわたりまして予算措置を講じまして、各業者の申請に基きましてそれぞれ見舞金措置は完了しておる、講和発効前のこれらの事案はすべて処理済みでもって、講和発効後の新会計に引き継がれた、かように了承しておる次第であります。
  14. 綱島正興

    綱島委員 報告はその通り受けておいでになりましょうが、具体的の事実として処理が済んでいないものが現存することが明らかとなりました現在、帳面がそうなっておるからということじゃ、これは事態を明らかにいたしません。見舞金処理なさるという、それで承知した者はそれでいいでしょう。これは元来法律でも何でもなく一応の処理手続ですから、承知しないということになれば、これは訴えられてもしようがないことに相なると思うのであります。また、大へん安く処理されて、それも最小限度のものだけもらえればいいと存じますけれども、実際は、昭和二十七年の二月二十八日の岡崎ラスク交換文、いわゆる行政協定の二十五条で、米軍施設したいろいろな場合は日本国がその被害については責任を負うという交換公文をやられた。そこで、灯台施設して、この間は投錨してはならない、何となればその海上施設やいろいろなことに差しさわりがあるからということで、直径五百ヤードの間は禁止をする、そういうことになりますと、岡崎ラスク交換文の示すところによって、これはどうしても政府補償しなくちゃならぬというように義務づけられている。これをその後調達庁としてはいわばうまくやって、そうして見舞金はこういう率でやる、何はこういう率でやると、一方的にただ定めておやりになったというだけで、その妥当性も私どもはちょっと了解しかねる。  では、もう一ぺんひっくり返って一つお尋ねをしますが、見舞金をやるという、その見舞金の論拠はどこにありましょうか。
  15. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 私も、見舞金根拠がどうであるかということは、その当時その衝におりませんでしたものですから、この間の沿革なり最終的な理由づけというものをつまびらかにしておりません。これは必要でありますればよく調べて参ります。実際にこれのとられました具体的な根拠は、二十六年の占領軍の演習による漁業者のこうむる損害補償要綱という閣議決定がございます。綱島先生お尋ねは、一体見舞金というものはどういう法的性格かというようなことでございますが、この点につきまして、私は実はこれは全面的にお答えするかあるいは能力がないかもしれませんが、ただ、占領中の行為でありまして、占領軍行為というものと日本国政府の直接の命令なり課した制限というものとのおのずから違いというようなものがその間に反映いたしまして、必ずしもはっきりしない、そこで損失補償というはっきりした姿をとらないで見舞金という姿をとったのではないか、こういうふうに私考えております。
  16. 綱島正興

    綱島委員 問題はこういうところにしぼられてくると思うのですよ。二十年の二月二十八日の行政協定というものは、協定の成立後にだけ局限されて効力を発するという意味か、それとの駐留軍施設についての責任を負うという意味か。二十七年の二月二十八日以後は駐留軍施設のために起ったいろいろな損害については日本国政府責任を負う、こういうことに実はなって参りますので、つまり、それらの行為に関しては、駐留軍責任を負うのか、あるいは日本国責任を負うのか。占領下であろうがなかろうが、要償権というものは決して消滅するものではない。その要償権について、駐留軍のやったことはこれは日本政府責任を帯びるのだという協定をした以上は、私は、日本国政府責任を帯びるのだ、こう思うのですが、そこのところをどういうふうな解釈で見舞金をやられるにしてもやられたか。見舞金根拠はやはりそこにあるのじゃないかと私は思う。いわば、分担金を出したり、向うは総括的に毎年予算でこれを支出するようにやっておる。日本国はすべての事柄について国民に対しては責任を帯びる、こういう協定じゃないか。しかも、その責任を帯びることはラスクとの交換公文ができる前から分担金向うは出しておる。やはりその点についての責任はさかのぼって帯びるという意味ではないか。ちょっと法律的でどうかと思いますが、こういうことをお尋ねいたします。
  17. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 大へんむずかしい問題でございまして、あるいは私の答弁で御満足いただけないかもしれませんが、行政協定に基きまして、たとえば施設区域提供ということに伴う漁業制限に関する特別立法がありますが、これは漁業に関してであります。そのほかに、土地等の収用についてもございます。それから、その後おくれまして、例の防潜網なんか、特定の駐留軍行為によります特別損失法律立法された。これは時期的にはおくれております。これらの法律によりまして、行政協定発効後における施設区域提供というようなこと、あるいは駐留軍行為等に基く損失に対しましては、法律規定された範囲におきまして国が責任を負う、こういうことになっております。私の理解するところでは、行政協定そのものが、占領中における駐留軍行為あるいは占領軍によってなされた制限禁止損失をカバーするということは、行政協定自体によっては出てくるかどうか、はなはだ疑問じゃないかと私は思います。しかしながら、やはり、占領中といえども、それだけ国民としていろいろな損失をこうむったことにつきましては、国家としては、そういう法律的な論議は別としましても、やはりそこに実損がありますので、それに応じましても、あるいはそこに見舞金算定とかいろいろな論議があるかもしれませんが、しかしそういう点から見舞金というものを出しておる、こういうことに相なろうかと思います。
  18. 綱島正興

    綱島委員 元来言えば、国家国民に及ぼしたる損害については補償をするのが当然なことで、これは別段規定を要しない。それが国家であろうが個人であろうが、損害を与えた行為については損害補償義務があることは、これはもう民法の一般原則であります。これは行政法から生まれてくる法則ではございません。そこで、特に、日本降伏をいたしまして行政権の一部を駐留軍に与えておる時代に起ったことについては、それは駐留軍にその行為を許したことは日本国が許したことなんだから、やはり、日本国普通統治時代に与えた行為と何ら異なることなく、損害を償う義務国家は免れていない。幸いにして協定などがあって、そういう場合の損害駐留軍が反対に行うのだという規定があっても、人民に対する損害賠償義務国家は免れない。そういう場合は二重義務だと思うそういう場合は二重補償だと思う。これは明らかなことで、もしも見舞金制度というものを、国家義務はないのだから見舞金でやるのだという考え方閣議で決定されたならら、私は閣議は不当だと思う。法律違反閣議をしておる。これは行政行為については内閣はなすことができます。国会はあらためて立法をしていろいろな権利制限することもできますけれども、たとい立法したところが、法は不利益に遡及せずで、遡及はございません。従って、その当時、国家はこの戦争に関する限りすべての免責権があるんだという立法がない限りは、普通の原則によるので、普通の原則から言えば、加害した者が損害を償うということはもちろんでございます。もしこれを他の方面から観察いたしますと、禁止なり制限に対して、損になるからわれわれは服従せぬでもいい、損までしておられぬ、こういう者が一ぱいあったらどういうことになるか。それじゃつかまえて監獄へ入れろ、留置するということになるでしょう。そういう権利の反面には、行政を担当しておる者としては、それによって起った不利益については負担するという明らかな義務がある。あるからそれができるので、勝手ほうだいにつかまえもする、禁止もするというような考え方は、これは法治国になってから以後の思想にはこういうことは許されない。もしそういうことを万一にも政府考えておったり、行政庁がそういうことを考えておられるとするなら、ば僕はちょっとどうも法律の常識を疑わざるを得ない。どういう頭だろうかと不思議に思う。今までの質問では、そういうことは当然なことだと思うから、そこまでは言わずにおったのですが、高等文官の試験なんか通った者はそういうことは全部知っておらぬければ、これは役人には油断してまかされぬような気がするのですが、どうですか。今のお答えはもう少し訂正していただかぬと工合が悪いように思うのです。
  19. 西村健次郎

    西村(健)政府委員 非常に高遠な綱島先生お話ですが、実は、先ほども申し上げたように、私はあるいは答弁する能力はないので、場合によれば法制局長官というようなところかと思います。先ほど申し上げました意味は、やはり、行政協定というものは、日本国平和発効後において米軍を駐留させる、それに伴う諸般のことをきめたことでありまして、私の理解では、その協定に基く諸般立法措置なりは、これはやはりその後のことである。ただ、問題は、その占領中の占領軍命令とか制限、これに対して日本国政府が当然に補償をすべき責任はあるんじゃないかという御議論だと思います。この点につきまして、私は、当時閣議決定見舞金ということをした意味を今振り返って考えてみますと、当然国家法律的に補償責任を持つ、そういう意味じゃなしに、実質的に同じような効果を見舞金ということで上げたい、こういう考えであったろうと思っております。  なお、余談でございますけれども、やはり、その立法措置と申しますか、占領中、戦争中も同様でございますが、占領国に対しまする請求権平和条約の十九条でわが国が放棄しております。その関係では、占領軍に対しては直接個々の被害者は請求できないことになっております。それとまた、日本国政府国民に対してどういう措置をとるかということは、それはおのずから別の問題であろう、こう思っております。     〔吉川(久)委員長代理退席委員長着席
  20. 綱島正興

    綱島委員 これは、日本政府というものは日本国民に対して加害をする権利はない。これはいかなる場合にもないのです。加害をしたら必ず補償をしなくちゃならない。また、刑事上の責任を越えた加害をすれば、その担当者刑事上の責任も負わなければならない。民事上の責任だけに問われることをしたならば、弁償をしなくちゃならない。これはもう基本法則である。  そこで、日本降伏をいたしまして、駐留軍にすべてのことをまかせて、要求もしない何もしないという降伏をした以上、日本国というものは、占領国に対して要求する権利はないけれども日本国民に対する義務は厳存しております。これを日本国民権利を放棄するとか、国会において立法をして、権利は放棄すべきものという立法をかりにしても、先ほど念のために申し上げたように、立法をした日からであって、その以前のものについては、実は法は不利益に遡及せずです。これはたとい憲法できめたっていけないのですよ。法は不利益に遡及せずという大原則は、物理上の引力の法則のごとくに、法治国内に通じる世界的法則です。これをないがしろにする法治国というものはない。法が勝手に不利益に遡及して効力を発生するということが許されるなら、法治主義なんというものは根底からくずれる。これは法治主義根底法則だ。そこで、その後駐留軍とどうきめたとかこうきめたとかいうことは、だれが一体弁償の地位に立つかというだけのことであって、そこで、私が申し上げます通り、この講和発効前のものは、つまり、米国が何をしようとかにしようと、それをさせるという降参をした日本国国民に対して責任があるのだ。それについて、西村さんのお話のごとく、政府見舞金という制度が実質上相当額に値するから損害相殺法則をとったのだ、こういうお考え方。実際は損害よりずっと少い額で一方的にやられて、人民どもはそういうものじゃろうと思って閉口しておったというだけのようですが、受取証には、損害を要求せずという、損害賠償放棄を明らかにしておるのだから、これは問題は起らぬですが、これは漏れたやつで、しかも、漏れるというのが、なるほどあまり人が行きもしないところが漏れるというなら格別、向後崎というのはもう佐世保の門口で、大きな灯台があって、もうそれは目を盲にして通ることはできない。それから五千ヤードというものは投錨禁止をしておる。いかりを入れずに漁業のできるのは遠洋漁業以外はこれはできない。沿岸漁業では、たとえ一本釣するにしても、夜たきをしてイカとりをするにしても、引き網をするにしても、投錨禁止されてはこれはとれぬことは相違ない。こういうことですから、一つこの補償というものはみんなされて、損害を要償するには大体どんな原則でするか、こういうことをよくお考えになってしていただかねばならぬのでありますが、実は、先ほど部長が来ていろいろ様式を説明されまして、私の部屋で聞いたのですけれども、どうもその様式によると損害が二十万円になるのだそうです。関係漁民というものは、どうですあなた、おそらく千戸をこえるでしょう。一里も二里も、沿岸漁民がその沿岸で漁ができないとなって、一年に何十円の損害なんという時代に沿わない様式考えられるということが、なるほど財政上は少くせにゃいかぬかもしれぬけれども、それじゃあ、国が持っておる正義を通す基本理論基本態度というものはこわれて、一文もうけの百失いで、国民から、なるほど政府というものはいいかげんなもので、うっかり油断すると政府にどんな目にあわされるやら知らぬ、こういうことになるもとを作るし、また、おそらく、これだけの——数千人の人たちに二十万円であるそうだ。こういうことを出したら、天下の国民は、全く不思議なことで、役所計算というものは魔術師魔術より、詐欺師口術よりは上手なものだと言うと思う。そういうことをしておられたと聞いて、私はびっくりして、これはなかなか役所も油断のならぬものだと今さらあらためて、社会党ばかりじゃない、これは不思議なことだと考えるのですが、どうぞ一つ、この点は、これ以上責めてもどうもならぬかもしれぬけれども大蔵省もよくお考えを願わなければならぬ。ただ金さえ始末すれば道理はどうでもいいという考え方はいかぬので、まあ道理に沿うた考え方をする、こういうことが必要であります。  最後にもう一つ伺っておきますが、調達庁はその後の方式をお持ちになろうから、こういうことで調達庁は五百十六万を一年に出しておられる。同じ一年間のものだから、調達庁計算には非常に漁民は不服がございますけれども、物笑いにならぬ程度の御計算は願わなければならぬ。大蔵省でも、当該行政長官報告では済んだ、あるいはこれだけでよろしいという報告があっても、事実が違っておれば考え直すお考えがあるかどうか、この点を主計官お尋ねをいたします。これはむしろ習慣でもいいのです。あなたがこうするということはおっしゃりにくいかもしれぬ。今までこういうものはどういうふうにしておるというような事例でもよろしゅうございますから、お答えを願いたい。
  21. 船後正道

    ○船後説明員 漁業被害の救済につきまして、占領中の分とそれから講和発効後の分と算定方式が異なるというのは、先生の御指摘の通りでございます。異なる理由につきましては、先ほど水産庁次長からも説明しましたように、法体系の立て方が違うというところに原因するところがあるかと思いますが、終戦及び占領に伴う種々の被害の救済という点につきましては、本件のみならず他の方でも種々の問題があるのは事実でございます。しかしながら、現在の情勢と当時の情勢と相当異なるものがございますので、現在の情勢をもって直ちに当時の補償基準を云々するというわけにも一がいには参らぬのでございます。本件につきましては、事実関係につきまして私どもあまりよく承知いたしておりませんので、とかくの判断はできないのでございますが、もちろん、問題点がございますれば今後よく検討いたさなければならぬと思いますけれども、さて、支給漏れとか、あるいは支給基準が低過ぎるとかいう問題をどうするかという点につきましては、終戦及び占領に伴う種種の補償という点との関連もございますから、今後の問題として検討しなければならない、かように考えております。
  22. 綱島正興

    綱島委員 これは、主計官、よくお考え願いたい。三年も十年も違っておるものではなくて、二十七年の四月二十九日以後のやつは調達庁でちゃんと計算しておられる。その前のやつでありますが、本件について求めまするのは、二十六年の四月十三日から二十七年の四月二十八日まで、つまり講和発効前の一年間なんです。事情はあまり違っておりません。講和という帳面に判を押したからというて、魚が一ぺんに逃げていったわけでもなければ、出てきたわけでもない。値段が下ったわけでもない、特に上ったわけでもございません。これは大して実情には違いはない。問題は、取扱いがどうか、こういう問題です。取扱いの問題は表向きにならなければ見舞金で済むかもわからぬけれども、表向きになれば、これは本質は損害賠償です。だから、これは一つ考えを願って、せめて調達庁がその後計算した基準ではお考えを願わなければならぬ、こういう考え方です。今のお答えでは、いろいろ諸般事情というお話でありますが、事情としては私はそういう事情が本質的な事情だと思いますが、もう一ぺん一つその点についてお答え願いたい。
  23. 船後正道

    ○船後説明員 講和発効を境といたしまして一日でもって算定基準が違うのはおかしいじゃないかという御趣旨と思いますが、やはり、講和という日を境といたしまして、占領軍というものが占領という行為によりまして種々の調達等をしておりました状態から、安保条約に基きまして独立国の対等の条約によって駐留する駐留軍権利ということとおのずから取扱い方が違うのが、占領前と占領後とのこの補償に関する取扱いの相違じゃないかと考えるわけであります。占領中の事案につきましては、先ほども申しましたように、政府としましては法律上の補償というよりは、やはり行政措置としての見舞金ということで、これらの問題を予算の範囲内で処理しておるものでございまして、私どもとしましては、当時の調達庁が十分実情を調査して処理されたものであるというようにしか理解できないのであります。
  24. 綱島正興

    綱島委員 そうすると、こっちの申し上げることが否定になって、そういうことはなかったのだということになると、個条をあげてお尋ねをしなければならぬのですが、投錨禁止が前から起っておったという事実を認められるかどうか、こういうことになるのです。本質はあなた知っておってそういう返答をしておられると思う。本質は損害賠償ですから、講和があろうがなかろうが、そんなことには関係あるはずがない。ただ政府が手続をそういうふうにしたというだけのものであって、それは本質は損害賠償なんだから、何も政府がどうしたこうしたという、それで全部万全だというお考え方は困ると思う。なるほど、行政庁がやったことだから間違いはなかろうと思う、これはそう思われても一応いい。しかし、間違っておったらどうするかという、そこに問題が残る。間違いはなかろうと思うけれども、間違っておったら、それは考え直して妥当なことをするというお考えが正しいので、政府がこれをやっておるというなら、やっておるという証拠を出してもらいたい。やっておったという証拠がなくて、やっておらぬという主張があれば、それは改めなさらなければいかぬことになる。この点についてもう一ぺん一つ……。
  25. 船後正道

    ○船後説明員 当時の水産庁及び都道府県の事務処理につきましては、私ども万々一の間違いもないと思っておるのでございますが、かりにここに調査に間違いがあったという場合でございます。支給基準そのものが低かったという点につきましては、先ほど申しました通り、その他の補償体系との関連もございまして、私ここで発言するあれもないのでございますが、当時の補償基準のままでもいいから支給漏れがあったらどうするかという点につきましては、やはり事実関係につきまして調べる必要があるのではないか。まず、本件は、地方で、——水産庁が主管いたしておりましたが、実際の事務長崎県が担当しておったのではないかと思うのでありますが、それらの点につきまして、大蔵省関係としては事実関係報告を受けておりませんので、そういう点については十分調査する必要がある、かように考えております。
  26. 綱島正興

    綱島委員 幾ら聞いてもなにですから、これは後日、法律解釈に疑いを持っておられるようなところがあるから、法制局長官を呼んでいただいて、国家は降参して、米国に向けて損害賠償をせぬという発言を国家がしておれば、国民はその損害について当然な主張をできぬのだというような考え方は、それは一体法律効力がある考え方かどうかというようなことを明らかにしたいと思う。ただ、アメリカに請求せぬということを言うた以上、日本政府国民に対して賠償する、こういう言葉と同じで、国民権利というものは変らない。政府が言うたから権利がなくなることがあったら、みんな明日から岸君が言いさえすれば千億円の財産も一ぺんに飛んでしまうということになることがあるかもしれない。そういう話というものは摩訶不思議な話であるから、これは法律家を呼ぶことはちょっと国会の不名誉のように思うけれども、どうもこれは決議してもらいたいというわけにもいくまいから、そのうちに法制局長官に来てもらって答えを聞きたいと思います。
  27. 松浦周太郎

    松浦委員長 適当な時期に善処します。
  28. 石坂繁

    石坂政府委員 先ほどから綱島委員から該博かつ深遠なる法理論を拝聴して参りました。損害賠償の法理につきましては一応心得ておるつもりではありますけれども、無条件降伏行政協定締結までのアメリカ軍によってこうむった個人の損害に対して国家責任はどうあるべきかという問題は、法理上いろいろむずかしい。従って、綱島委員から法制局長官を適当なときにお呼びになるということでありますから、その問題につきましては私どもは申し上げることをこの際差し控えますが、しかし、伺っておりますうちに、私ども承知しておらない事実もあるようであります。事実関係の問題につきましては、私どももとくと調査をいたしたいと思います。     —————————————
  29. 松浦周太郎

    松浦委員長 次に、農林省職員の定員問題につきまして角屋堅次郎君より発言を求められておりますので、これを許します。角屋堅次郎君。
  30. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私は、この機会に、ただいま内閣委員会の方で審議の対象になっております定員法の一部改正の問題に関連をいたしまして、本委員会に関連のある主として農林省関係の定員問題、特に定員外職員の定員化の問題、さらに基本的には農林省の行政機構改革等の将来の方向等の問題に触れながらお尋ねをいたしたいと思います。  まず第一に、話の順序といたしまして、行政機構改革の問題から入りたいと思うのでありますが、御承知のように、昨年の春の総選挙で、与党である自民党は、行政機構改革ということを打ち出され、総選挙後この問題に対する特別委員会を持たれまして、そしてこれが具体化を努力してこられたと思うのでありますが、一方、政府におかれましても、行政管理庁長官から昨年の十月の九日に行政審議会の会長に対しまして行政機構改革問題に対する諮問がなされ、自来、行政審議会において、総会十二回、特別委員会二回、小委員会八回、こういう数次にわたる検討を加えられて、昨年の十二月十五日に国民年金機構に関する答申、さらに越えて本年の一月二十二日に行政制度の改革に対する答申がなされたことは御承知通りでございます。第一の答申の国民年金機構に関する答申の問題は別といたしまして、行政制度の改革に関する答申の内容に入って検討いたしますと、まず第一に、行政機構改善については、人事行政機構の問題、内政中央機構の問題、あるいは治安行政機構の問題、港湾行政の改善問題、審議会等の整理の問題、こういうことが第一項で触れられておるわけでございますし、第二項では、行政運営の改善の面について、行政機関の部局管理組織及び運営の改善、権限責任の明確化、事務管理体制の整備、許認可事務の改善、こういうふうなことで第二項においていろいろ答申がなされておるわけであります。  そこで、農林省関係に限定して考えてみますと、御承知のように、問題になって参りますのは、港湾行政の改善と関連をいたしまして、動植物関係の検疫の問題があるわけであります。おそらく港湾行政の改善の問題についてはこの答申に基いて行政管理庁関係で今日検討を加えられておる段階であると思いますが、伝え聞くところによりますと、農林省関係では、いわゆるこの答申に基く港湾行政の改善に基いて農林省関係の動植物関係の検疫機関が他に移管をされるということには行政運営上から見て適切でない、こういうことで反対をしておられる、こういうふうに承わっておるのでございます。まず、話の順序といたしまして、この答申に関連をした農林省の港湾行政の改善に関連する事項から、農林省の考え方を承わりたいと思います。
  31. 石坂繁

    石坂政府委員 行政機構の改革問題に関連いたしまして、港湾行政機構の改革、それに関連する農林省関係といたしましては主として検疫機構の問題が取り上げられるわけでありますが、ただいま御指摘の通りに、この検疫機構の問題は農林省といたしましては非常に重要に考えておるのであります。すなわち、検疫は、動物及び植物いずれにいたしましても、輸出国及び輸入国の両者に関連を持つものでありますが、これはひとり港湾においての検疫の問題ばかりでなく、国内においての検疫の問題と一貫性を持たなければ検疫の目的を十分達成いたしませんことと、なお、国際条約の関係からいたしましていろいろ影響するところが大きいのであります。従いまして、農林省といたしましては、独自の経験を持ちまた学識のある検疫官が、植物にいたしますればその苗圃における時代から成長から輸出に至るまでの間等につきましても十分の検疫に努力して参っておるわけでありまして、従いまして、農林省関係外の機構のうちに包摂されますということは、農林省といたしましては適当でないという考えを持っておるのであります。従って、今度他の行政機構のうちに農林省関係の動植物の検疫機関あるいは検疫担当官というものが包摂されるということにはならないと思います。
  32. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 この点については、行政管理庁の方からもおいでになっておるようでありますから、従来の検討の経過について若干伺いたいと思います。
  33. 石坂繁

    石坂政府委員 少し私の答弁が不十分だったと思います。ならないという希望を申し上げたわけでありますが、この問題につきましては、まだ政府におきましても最終的結論までいっておりませんので、たしか明日ですか、閣僚懇談会によりまして結論を出ますか、いずれにいたしましても、明日の閣僚懇談会で懇談をすることになっておるそうでございます。
  34. 三浦善郎

    ○三浦説明員 港湾行政機構の改革の問題につきましては、先ほどの御質問の中にもございましたように、行政審議会におきまして検討いたして参ったわけでありまして、審議会の答申の内容といたしましては、政府機関の港の出先機関だけでなく、現在地方公共団体等で行なっておりますいわゆる港湾管理者の仕事まで広い範囲で港湾の関係事務を一元化いたしまして、この際貿易振興の趣旨に沿うように行政の手続なりあるいは貿易の事務の運営なりを合理化して参ろうという趣旨で答申が出ておったわけでございます。その線に沿いまして、審議会の答申の趣旨をなるべく生かすようにどういうふうに具体的な成案を得るかということで目下検討中なのでございますが、この問題につきましては、ただいま農林省の方からも御説明がございましたように、関係各省の間においていろいろ問題がございますし、また、地方公共団体、地方の関係の団体等との間にもいろいろ問題がございまして、これの調整を目下鋭意努力しておるという状況になっておりまして、成案を得次第、できるだけ早い機会に法案の形にいたしまして御審議を願いたいというふうに考えておる次第であります。
  35. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 今の港湾行政の改善の問題については、先ほどの政務次官のお話のように、近日中にこの問題についてさらに具体的に検討するそうでありますが、何か一見いたしますと港湾行政の改善のために関係機関の統合等をやることは行政運営上いいように見えますけれども、やはり、在来のそれぞれの機関についてそれぞれの機関の特性あるいはまたそれぞれの関係省との従来の関係等も具体的にあるわけでございますから、私ども、この点についてはやはり十分慎重に検討して結論を出すべきではないかというふうに実は考えております。  この問題はこの程度にいたしまして、先ほど申しましたように、行政機構改革の問題については、終戦後幾たびかの機会にこの提唱がなされ、あるいは行政管理庁等でも累次にわたりいろいろな成案等が出て参りましたが、今日までの経過の中では、ややもしますと龍頭蛇尾に終って、抜本的な行政機構改革というものの答えが出ないというふうな傾向になっておるわけでございますが、昨年の春の総選挙後のいわゆる行政機構改革の政府与党のかけ声も、当初は非常に勇ましいものでございました。しかしこれも結局、今日いろいろ出されておる関係法案等の経緯を見ますと、いわゆる手直しあるいは一部改善等でございまして、抜本的な行政機構改革をどう考えるかという点については必ずしも明確になっていないわけでございます。そこで、こういう行政機構改革のいわば政府与党の情勢にタイアップいたしまして、農林省関係でも、ある段階では、どう農林省の行政機構改革をやるべきか、こういうことを検討されたと思うわけでございます。その検討の際には、機構の問題についてどう考えるべきか、あるいはまた試験研究機関等の問題についてどう調整すべきか、あるいは、地方にある出先機関あるいは付属機関、こういうものの関係をどうすべきか、あるいはまた、最近の農政の変遷の状況から見て、従来のいわば物を中心にした機構の考え方から、もっと生産、流通、消費までのそういう全体的な考え方の上に立って機構を考えた場合にどうすべきか、こういうことで、おそらく農林省でもいろいろ検討がなされたと私は思うのでございます。一部には、そういう検討の一つの反映として、あるいは農林省の中に流通局とか農業生産局とか、こういうふうな新たな考え方等も出ておるやに聞いておるわけでございますが、これら昨年から今日までの経過、今日の見解、こういうものについてお伺いしたいと思います。
  36. 石坂繁

    石坂政府委員 行政機構改革の問題は、端的に申しますならば、機構を簡素能率化する、こういうふうに抽象的には言い得るだろうと思いますが、しかし、さていかにこれを改革するかという問題になりますと、ただいま角屋委員の御質問中にもありました通りに、きわめて複雑多岐であります。従いまして、速急になかなか参らないむずかしい問題であると思います。従いまして、行政審議会等によりましてあれこれいろいろ検討を願って参ったわけでありますが、ただいま御指摘の、農林省内部においての検討の結果がいろいろ外部に現われておる、こういうお話がございましたが、あるいはトライアルの案として、あるいはプライベートのオピニヨンとして、ないしは事務的の考え方が一、二お耳に達しておる点もあるかと思いまするけれども、しかし、農林省全体といたしましては、まだそういう問題の具体的な案はできておらないのであります。御承知通り、ただいま農林水産基本問題調査会についての御審議を願っておるわけでありまして、この法案成立後この委員会ができるわけであります。従いまして、一面行政審通会の審議の結果と対照して、この基本問題調査会におきましても農林水産関係の機構についての御審議も願い得る範囲に属すると思いますので、それらと兼ね合せまして、その後成案を得ますように進んで参りたいと思っております。今日の段階におきまして、農林省の案として発表するような段階にまで至っておりません。
  37. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 農林省の行政機構改革と申しましても、これはやはり、国家行政機構全体の中において骨組みをどうするか、そういう中でやはり農林行政の機構問題というものは出てくるわけです。従って、これだけを取り出してどうするということにはならないだろうと私は思います。御承知のように、従来の論議の中でも、農林省の機関の一部を含めまして国土開発省等を作るというような見解もあるわけでございまするから、従って、やはり、国の機構全体の中で農林行政の推進をいかにするのが適当であるか、しかも、最近の農政の変遷等から見まして、やはり、旧来の考え方に拘泥せずに、今日の事態に即応した農林行政のあり方はいかにあるべきか、こういうことについては省といたしましても真剣に検討してもらいたいと思うのでございます。  この問題はこの程度にいたしまして、次に、今御承知のように政府の方から定員法の一部改正の法案が出ておるわけでございますが、この問題の不合理な点について、先般私は総括質問の第一陣で出ました際にも農林大臣に最後の質問の中で指摘したのでございますけれども、まだ関係部長が来ておらないので、この点は部長出席のあとに回しまして、定員外の定員化の問題についてさらに触れてみたいと思います。  御承知のように、昭和二十四年の五月三十一日、法律第百二十六号でもって定員法が公布せられまして、翌月の六月一日から発足をいたしましてから、要するに、政府職員については、定員内の職員と定員外の職員、こういう大きな区分けがなされたわけでございます。しかも、定員外の職員につきましては、今日までいろいろそれぞれの関係委員会あるいは関係者の努力等もありまして、常勤労務者あるいは常勤的非常勤等については、それぞれ違いまするけれども、だんだん待遇その他の面についても改善されて、ほとんど定員内職員と変らないという事態まで進展をしてきているわけでございます。しかし、同じ国家公務員として政府機関に勤めながら、一方は定員内職員として正規に勤務できる、他方、いわゆる特別のいろいろな差異がないはずなのに、常勤労務者あるいは非常勤職員として長い間そういう身分のままに拘束をされておる、こういう不合理については、むしろ定員法そのものがこういうことを結果づけておるわけでございまして、何とかして是正をしなければならぬということは、国会内でも従来から論議された経過があるわけでございますが、昨年も、そういう観点からいたしまして、定員法の手直しが、大体三分の一近く定員外の定員化ということに進んだわけでございます。そこで、昨年の定員外の諸君の定員化の問題のときには、国家公務員法が基本的に改正をされる場合に定員外職員の定員化を抜本的にやるのだ、こういうふうに言われて参りました。国家公務員法につきましては、御承知のように、公務員制度の改革に関する公務員制度調査会の答申というのが昭和三十一年十月十五日になされましてから、具体的に総理府の中に公務員制度調査室というものができて、国家公務員法の改正問題について、あるいはこれに関連した人事院等とも十分連携をとりながら、今日まで改正をされて参りました。おそらくは今次国会に提案をされるんじゃないかというふうに予想されておったのでございますが、しかし、この国家公務員法の改正そのものの政府のねらっておるところは、私どもから申しますときわめて反動的な性格のものが幾多伏在をしておるわけでございますから、これが出されて今日われわれが賛成できるかということになると、むしろこれは、従来から考えておられたようなそういう内容であるとつぶさなければならぬということにも相なるわけでございますけれども、そういう国家公務員法の改正の際に定員外職員の定員化の問題については抜本的に考えたい、こういうふうに言っておった政府与党の経緯からいたしまして、本年の定員法の改正の中ではそういう意味では定員外の定員化というものは全然出されてきていない。そこで、去年が定員外の定員化の第一年目である、本年が第二年目である、来年が第三年目で、三カ年計画で定員外の定員化を完全に消化いたしたいという従来の考え方というものが、国家公務員法の改正がいまだに結論が出ないということで犠牲にされてしまっている。しかし、定員外の定員化というものは、今日このままに放置できない現状にあるわけでございまして、御承知のように、定員外の定員化の実数等を見て参りましても、これは行政管理庁の数字あるいは私どもが入手している資料その他で若干の数字の違いはありますけれども、御承知の、常勤職員については大体三万八千、常勤的非常勤については大体三万四千、両方合せますと大体七万二千近くの、いわゆる定員内の職員と何ら変らない、勤務条件で勤務している職員が現実におるわけでございます。農林省の場合をとらえてみましても、御承知のように、大体一万三千名近くの常勤労務者、並びに一万九千三百七十五名の常勤的非常勤、さらに、もっとゆるやかな意味における非常勤職員ということになりますと十六万九千七百四十一、こういうふうな数字になってきますが、やはり、常勤労務者並びに常勤的非常勤職員、こういうものの定員化ということが焦点に相なって参るわけでございます。  そこで、農林省の方にお伺いしたいのでございますが、今御承知のように、政府からは定員外の定員化の問題について法案としては提案されておりませんけれども国会の中では、やはりこの際第二年目として定員外職員の定員化をやらなければならぬ、こういうことで、内閣委員会の中でも与党と社会党の中でいろいろ努力がなされておるわけでございます。農林省といたしましては、実際の勤務の実態その他から見まして、ぜひ実現をしてもらいたい、こういう熱意のもとに考えておられるのかどうか、定員外の定員化の問題についての考え方を承わりたいと思います。
  38. 石坂繁

    石坂政府委員 定員外職員の諸君に対しましては、私も気の毒に思っております。従いまして、農林省といたしましては、できるだけすみやかに、できるだけ多くの人を定員外から定員にするように、努力いたしております。先般農林大臣も予算総会におきましてさような答弁をいたしておりますが、省内におきましては人事担当の諸君は先般来組合の幹部諸君なりと再三折衝いたしまして努力いたしますと同時に、他の関係省庁ともこの話し合いを続けております。私自身も、先般組合の代表者の諸君にも会い、また政務次官会議等におきましてもこの題問を持ち出しておるような次第でございますが、ただいま御指摘の、熱意を持ってやっておるかどうかという御質問でございますが、もちろん農林省は上下をあげてこの問題につきましては熱意を示してやっておるような次第でございます。
  39. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 農林省といたしましても、定員外の定員化の問題については誠意をもって努力をしておる、こういう政務次官のお話でございますが、私どももその努力については必ずしも疑うわけではございません。私ども、あるいは実際の定員外の者、該当者あるいはそれを受けた国会内のそれぞれの努力によりまして、今日この手直しの問題が表面化しておるということは、まことに喜ばしいことだと思うのでございます。ただ、この定員外職員の定員化という問題の場合に、農林省に限定して考えてみますと、御承知のような、常勤労務者、それから常勤的非常勤のうちでも林野を除いた場合にはいわゆる時間登録者というのがあるわけでございます。これは現実に常勤労務者と何ら変らないような配慮のもとに考えがなされておると思っております。また、林野の場合で言いますと、常勤労務者に該当するのが常用作業員であり、また時間登録の常勤的非常勤に該当するのが三七特例法の適用者であると考えております。そういう意味でとらえて参りまして、これらの者の合計者をいわゆる定員内にするという前提で当然考えられておると思うのでございますが、今与党と社会党との内閣委員会等でのいろいろな折衝の過程の中では、まず本年度の場合は常勤労務者の定員化ということで了承してくれないかということを与党の方が言っているやに聞いておるわけでございますけれども、御承知のように、常勤労務者といい、あるいは常勤的非常勤の場合といい、これは、学歴を見ましても、あるいは今日までそういう身分で勤続して参りました年数別の経過等を見ましても、全然相違がないわけでありまして、昨年の定員外職員の定員化の手直しの場合におきましても、常勤労務者あるいは常勤的非常勤ということに必ずしもこだわらずに、常勤的非常勤の中から定員内に繰り入れられた数もかなりあることは御承知通りでございます。従いまして、これは、今進められておる中で、一部伝えられておる常勤労務者に限定するということでなくて、常勤労務者、常勤的非常勤も含めての定員化、こういうことで考えなければならぬと思うわけでございますが、その点につきまして農林省の考え方をお伺いしたいと思います。
  40. 中西一郎

    ○中西説明員 ただいまのお話にございましたが、農林省の常動的非常勤の中で、特に常勤的職員と変らない人たちについて時間登録というものを実施しております。実質的に比べてみまして、林野庁でも似たような流用性のある仕事をしておられる人があることは事実であります。かねて、農林省としては、二年前からですが、常動的非常勤の中でも特に登録された人、それから常勤職員全部を含めまして、予算上定員化してもらいたいということを要望いたしてきている、そういう意味で、農林省としては将来にわたってもおのおのの希望と熱意を持って仕事をしていきたいと思います。
  41. 田中重五

    ○田中説明員 林野庁におきましては、ただいま秘書課長から御答弁を申し上げましたように、常用作業員のうちで、時間登録にほぼ該当するような三十七条特例法適用者という職員がございまして、この分につきましては、定員内職員とその勤務の状態、職務の内容はほとんど同様な仕事に従事をいたしておりますので、これは従来とも定員内に繰り入れられるように林野庁といたしましては努力をいたして参りました関係もございまして、今回の繰り入れの問題につきましては、これがその中へ入ることを私どもとしましては大いに希望いたしておる次第でございます。
  42. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 参考までに、常勤労務者あるいは時間登録の常勤的非常勤、林野の場合におきます三七特例法適用者の数については資料で若干の数字の食い違いができる可能性もあるわけでございますが、この際合計だけでけっこうでございますが、常勤労務者、時間登録の常勤的非常勤、並びに林野の場合の常勤作業員、常用作業員のうちの三七特例法適用者を含まない常用作業員、こういう者の正確な数についてお知らせを願いたいと思います。
  43. 中西一郎

    ○中西説明員 まず常勤職員の定数から申し上げます。三十四年度の予算で常勤職員の予算定数は一万二千九百三名であります。このうち林野庁は八千七十六名、公共事業関係でおります。それから、常勤的非常勤職員ですが、私の方で登録いたしておる数字と林野庁の三七適用者を合計しますと七千七百八十四名おります。このうち林野庁の三七適用者は五千七百五十八人であります。
  44. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 この数字は私の手持ちの数字と若干僅少の差はありますけれども、これは実態と予算定員その他の問題との違いであろうかと思いますので、おきたいと思いますが、先ほども申しましたように、今問題になっております定員外職員の定員化という問題を考える場合には、農林省といたしましては、常勤労務者はもちろん、常動的非常勤のうち、時間登録あるいはまた三七特例法の適用者等については、当然対象者としてこれの定員化ということで考えてもらう、また、そういうことで政府与党に努力してもらわなければならぬというふうに考えておるわけでございます。実際問題といたしましても、先ほども触れましたが、この常勤労務者あるいは常勤的非常勤のうちの時間登録者等の学歴別あるいは勤務年数別等を調べてみますと、大学卒業者等も相当な比率を占め、大体旧制の中学あるいは新制高校が比率としては一番高いようでございますけれども、相当な学歴を持ち、また、勤務年限等を見ましても、長きにあっては十年を越える、実際の平均のところが大体五年前後、こういうふうな状況のように統計上現われておるわけでございますが、こういう実態から申しましても、同じ役所の中におって同じ仕事の内容を持ちながら、一方は定員内職員、一方は定員法で縛られておるために長きにわたって定員外職員で呻吟をしなければならぬ、こういう実態について、やはり、業務のスムーズな運営の立場から見ても、すみやかに解消しなければならぬことは当然でございまして、今度そういう機運になりました機会に、昨年の第一次の手直し、本年の第二次の手直し、特に本年の第二次手直しは国家公務員法の改正を控えての手直しでございますから、大幅な手直しという前提に立って十分努力をしてもらいたいというふうに思うわけでございます。  この点について行政管理庁の方からも来ておられますが、この定員外の定員化という問題については、昨年約三分の一近くの手直しをやりながら、本年度は全然そういうような手直しが提案されなかった。これは、先ほど触れましたように、国家公務員法の改正等とにらみ合せて、公務員法の範囲等についていろいろ検討をしてこういうふうになったのだというふうにおそらく答弁をなさると思いますが、今日具体化してきておる定員外職員の定員化の問題に関連をして、行政管理庁の方の考え方をお伺いしたいと思います。
  45. 三浦善郎

    ○三浦説明員 ただいま御質問の中にもございましたように、定員外職員の定員化につきましては、従来国会の方からも強い御要望がございまして、行政管理庁だけでなく、公務員制度調査室あるいは大蔵省関係省庁の間でこれの取扱いについては検討を進めて参っておったわけでありますが、従来の考え方といたしましては、先ほどお話にもございましたように、公務員法におきまして公務員の身分関係制度の明確化を行いました上で、定員外職員の問題もそれとあわせて根本的な解決をはかろうという趣旨で検討を進めて参ったわけでございます。たまたま、現在国会の方で御審議を願っております定員法を提案いたしますまでの間に、その話し合いが政府部内の検討の調整がつかないで成案を見ることができませんでしたために、今回の定員法の中には定員外職員の定員化の措置に沿う部分の数字というものは計上されないということに相なったわけでございますが、なお、この点につきましては、現在も検討を続けておるわけでありまして、なるべく早い機会に成案を得て御審議を願うということにしなければいかぬというふうに考えております。それで、ただいまの御質問にもございましたように、現在常勤職員というものと常勤的非常勤職員というものが制度上雇用契約の上から言いましてできておるような格好になっておるのでございますが、実態から申しますと、必ずしもこの両者を区別することができないというような状況でございます。ところが、その常勤的非常勤職員というものは、これまたなかなか実態の把握が困難でございまして、各省それぞれの基準によりまして千差万別のものがいわゆる常勤的非常勤という形式に雇用されておるというような状況でございまして、これの実態を把握するということがまた一つ非常にむずかしい問題でもあったわけでございます。そういうような問題を考えますと、結局、公務員の範囲というものをどういうふうに考えるかという問題を一応検討して、今後そういう身分関係の職員が出ないようにするにはどうしたらいいかという問題まで検討いたしませんと、定員外職員の問題が解決できないということになるわけでございまして、そういう趣旨で検討しておったわけでございますが、その作業が結局今回の定員法に間に合わなかったということは、まことに申訳なく存じておるわけでありますが、現在でもなおそういう点について検討を続けておるわけでありまして、至急御審議が願える段階に持ち上げて参りたいと、こういうように考えております。
  46. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 公務員制度調査会の答申によって、御承知のように、一般職、特別職こういう二つの大別の中で、一般職の方の関係のものはなるべく僅少にして、特別職の方のものにある程度数を——今日定員法にいう定員は当然でございますが、定員外にある常勤労務者あるいは常勤的非常勤のうちからも、できれば行政管理庁あたりで特別職の方に回したい、こういう意図が相当強いのじゃないかというふうに実は予測しておるわけでございます。こういう点については、やはり当然公務員法の性格及び範囲ということが基本的に問題になるわけでございまするけれども、今行政管理庁あるいは人事院等の意見は必ずしも調整がなされておらぬと思いますけれども、極端に走りますと、かつてのいわゆる天皇制当時の天皇の官吏といわれた公務員の考た方に返ってしまって、今日憲法の第十五条でいう全体の奉仕者としての立場の公務員という性格をむしろ昔に逆行さしていくということにこの定員の問題については走る要素がある、こういうふうにも考えておるわけであります。従いまして、今日定員外職員の定員化の問題が具体化しておる際にも、そういう動き等と関連をして、必ずしも私どもが望むように定員外の職員の全員定員化という問題がスムーズにいかないという現状にあることはまことに遺憾でございます。しかし、これはやはり、国家の給与を受けておる、そうしてノーマルな状態において正規に恒常的な業務をやる者については、今検討されておる国家公務員の中の一般職、こういう考え方考えるべきであろうと思うし、そういう前提に立って、今の定員外職員の常勤労務者あるいは常勤的非常勤等についても、この機会にできる限り全員定員化の線で努力してもらおう、こういうふうにお願いをいたしたいわけであります。  これは農林省の方にお聞きするわけですけれども、今国家公務員法の改正の問題の中でいろいろ論議がなされておる経過等も私知っておりますが、そのうちの公務員の性格及び範囲の問題についてはそういう気持でやってもらいたいと思いますが、同時に、国家公務員法の改正は、私が今考えておるところでは必ずしも進歩的なものでなしにむしろ逆行的な方向に持っていく可能性を持っておる、こういうことを申し上げましたが、この際希望だけを申し上げておきますけれども国家公務員の場合における労働権あるいは労働条件の問題等については今非常に大きな制約を受けておりますけれども、これらの問題については、過去の労働運動等の経緯から見ましても、いわゆる公労法適用、あるいは一般の労働組合等の情勢等も勘案をしながら、一歩前進をした形において積極的に農林省関係においても具申をしてもらいたい、こういうふうに希望を申し上げておきます。  統計調査部長がおいでになっておるようでございますから、今政府から出されております定員法の問題に関連をしてお伺いをいたしたいと思います。  御承知のように、今政府から出されております定員法の一部改正の中では、農林省関係でただ一つ、統計調査部について百名の人員を厚生省の国民年金関係に割り振る、こういうことで減員の提案がなされておるわけでございます。私も、もともと統計調査部に籍を置き、そして第一線にあって調査を担当した経験を持っておるわけでございますから、終戦後統計関係の機構ができて今日までの長きにわたる変遷についても身をもって体験をいたしております。特に、昭和二十四年あるいは二十六年、こういうときの大規模にわたる人員整理等のいわゆる提案等に対して、私どもも非常な努力をしたわけでございます。昭和二十六年度の場合には、根本さんが農林大臣の当時でございましたが、ほとんど雨の日も風の日も毎日のように農林大臣の私邸に行って、これが減員の復活ということに努力をしたことも記憶にあるわけでございます。もちろん、当時は、与野党を問わず、政府から出されておりました農林省の大幅の行政整理というものについては、これはどうしても農林行政を守る立場から修正をしなければならぬというので、特に、農林省の責任者の方でも、あるいは食糧庁の長官であるとか、あるいは当時の統計調査部長とか、むしろあの当時は反政府官僚だと言われることをあえて押し切って、自分の信念を貫いて委員会でも発言をされたことは御承知通りでございます。そういう経過等もあって統計調査部の今日の人員になってきておるわけでございますけれども、今度の国民年金に百名減員の模様等を聞いておりますと、統計調査部等にある程度の機動力を付与する、そういういわば交換条件として百名の国民年金への拠出についてはこれを承諾をした、こういうふうな形で伝えられております。同時に、こういう累次にわたる統計調査機構の人員の変遷、特に減員等の変遷等から見て、第一線で統計調査機構の発展のために日夜努力をしておる職員の方では、何か統計調査機構の将来というものについて不安を持たざるを得ない、こういうふうな気持になっておりまして、私どもの方にも、そういう意味において、統計調査機構の安定のためにぜひ一つこの重要性あるいは今後の発展のために努力してもらいたいというようなたくさんの陳情等もいただいておるわけでございます。この際統計調査部長にお伺いしたいのでございますが、農林省の中でただ一つ統計調査部に限定をして国民年金局に百名を拠出したということの経緯はどういうことであるのか、お伺いしたい。
  47. 立川宗保

    ○立川説明員 ただいまのお尋ねでありますが、本年の予算の編成の過程を通しまして、総体としての政府内部の仕事の運営あるいは定員の配当というようなものについて経緯があったわけでありますが、その際に、新たに今回国民年金という仕事を始めますために、新しく人員を要する、そのために、予算の編成の過程におきまして、農林省につきましては統計の関係の職員の中から国民年金の仕事に配置がえを若干の人数についてするという要請がございまして、いろいろの曲折の末、業務に支障のない限度であるというように判断をいたしまして、そのような結論になったというわけであります。
  48. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 立川部長のきわめて低姿勢の話を聞いておると、追及をするのがまことにつらいような気がするわけでありますが、しかし、これは恩愛を乗り越えてただすべきものはたださなければならぬかと思うのでございます。御承知のように、統計調査部の働いておる職員の業務過重の実態というものは、農林省の他の部局に比して一番ひどい状態にあるというふうに私は承知をしております。これは、かつて私どもが人事院に統計の業務の非常に労働強化の問題について行政の訴願をいたしまして、人事院で詳細に検討してもらった経緯もございます。その際に、人事院の方では、統計調査部の働いておる職員の業務の実態あるいは労働条件がきわめて劣悪である、これはぜひとも改善をしなければならぬ、こういうことを農林省の方に意見を具申されたことは部長も御承知通りであります。その後決してそういう労働強化の実態というものは改善されてきておらない。実際問題として、仕事をやる場合には、やはり機構、予算、人員、この三者が一体になって初めて行政のスムーズな運営ができるわけでございますけれども、この予算の問題については、たとえば統計の場合には、一九六〇年度の世界センサスがなされるという関係上、予算がある程度増加いたしますけれども、そういう予算の増に伴うところの人員の必要な増というものが当然考えられなければならないのに、かえって人員は減じておる。労働強化というものが決して改善されていないような状況の中で、依然として苦しい状況にあえがなければならない、こういうことになろうかと思います。具体的に考えてみましても、たとえば、作付動態調査については、一事務所あたり二千戸の業務量が新しく予定されてこようとしておる。     〔委員長退席吉川(久)委員長代理着席〕 牛肉の生産費調査についても百五十戸のものが新しく予定をされる。あるいは豚肉の生産費調査についても百五十戸のものが新しく予定される。先ほど申しましたように、世界農業センサスについては十六万の集落の調査をやらなければならぬ、これは国際的な問題でございます。こういう新規に予定されておる業務に見合った人員というものを一応計算をしてみますと、大体七百七十二名の増加に人員として相ならなければならぬという一つ計算があるわけでございます。さらに、これに、今日正規の状態以上のオーバー労働というものを正常状態で勤務するという形にして増員等を考えて参りますというと、優に一千名を突破する新規増をやらなければならないということに相なるわけでございます。そういう実際の実態にあるにかかわらず、現実に他の部局では全然ないのに統計から百名もの拠出をするということは、私はどうしても納得がいかない。今内閣委員会で審議されております定員法の改正の問題の中でも、この百名減の問題については、元に戻してもらわなければならぬということでいろいろやっておるわけでございます。当然これは筋道を立てていかれれば了承されることだと私は確信を持っております。そういう点で、統計調査部長の、予算折衝の過程では機動力の問題との形の中で了解をつけたかもしれませんけれども、これは必ずしも今日の実態に即応してないという実情に私はお認め願えると思うわけでございますから、ぜひ一つ定員法の手直しの際に統計調査部長としての努力をしてもらわなければならぬじゃないか。かって、先ほども申しましたように、統計機構の問題が人員整理の面で大きな危機に直面したときに、当時の安田部長が自分の信念を通しました。やはり、そういう過去の経緯にかんがみても、この際下部におけるところの統計機構に対するところの不安、こういうものを解消する意味からも、この点については解決をする努力をしてもらいたいと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
  49. 立川宗保

    ○立川説明員 ただいまいろいろな事実をあげてお尋ねがございましたが、本年度いろいろと業務がふえる点は、ただいまお話しのようなことでございますが、反面、昨年度限りでもう打ち切ってしまうという仕事もまたあるわけでございます。たとえば、畑作の臨時調査でありますとか、緊急畜産センサス、集落調査沿岸漁業の臨時調査でありますとか、あるいは農村動態調査、農家動態調査というようなものは本年度は行わないわけでありますので、かたがた、ふえる業務があると同時に、減る業務も一方にあります。先ほどお話のありました、仕事の量をでざるだけ減少しまして、質のいい統計結果を出すように努めるということは、当然なすべきことであると思いますので、昨年度やりましたが本年度はやめるという業務のあるほかに、経常的な業務全体についても、いろいろと工夫をいたしまして、調査の結果をよくするとともに仕事の量は減らしていくということをやって参ります。全体としての計算をいたしてみますと、先ほどの百名というのは、質的には減少の方向になるわけでありますが、その人数といたしますと、総体としての統計調査部の職員定数は一万二千をこえておるわけでありまして、それに対しますと、いわば比率的にはそう大きな数ではありませんので、今のように業務の内容を合理化する計画を持っておりますが、そのようなものを実行いたしますと、本年度の仕事の中身は、十月から百人減少するということになりましても、昨年度よりはかなり合理化をして仕事を楽にすることができる、こういう具体的な判断をしておるわけであります。
  50. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 統計調査部長は開き直っておるようでございますが、何か、一つの法案が出てしまうと、それに見合って答弁をしなければならぬ、そういう気持があるのじゃないかと私は思います。私は、それは第一線にある職員の実態を見詰めた部長答弁であるとは思わない。統計調査部の人員の変遷は、私ども十分承知しております。かって昭和二十三年ごろ御承知のように一万九千八百十名であったものが、累次にわたる行政整理の結果、先ほどお話しのような段階に来ておるわけでございます。しかも、統計の業務のやり方等については、いろいろ変って参りまして、かつての農作物中心主義の、特に米麦を中心にした調査、いわば作物の統計から、経済あるいはその他の農林水産全体の総合的な調査に変遷をして参りまして、これから問題になろうという農林漁業基本問題調査会等の中で農林業の基本政策を考える場合にも、最も大きな指針になる統計を整備しなければならぬ、そういう重要な任務を持っておると私は思うのであります。従来、農政の問題でもあるいはその他の国政でも言えることでございますけれども、統計そのものは非常にじみな仕事でございますから、ややもすれば軽視されがちになる。しかし、ほんとうに科学的な合理的な農政をやるという立場から考えました場合には、当然実態を鏡に映した統計に基礎を置いてものを考えなければならぬことは当然のことでございます。そういう意味で、私は、統計機構というものについては、何らの動揺も考えるべきじゃない、むしろ将来充実を考えていくことが必要だろうと考えております。先ほど部長が触れられました、たとえば昭和三十三年度に行なってきた業務の中で、あるいは農業動態調査、農家の動態調査、あるいは緊急畜産センサス、沿岸漁業対策の臨時調査、こういうものについては、業務運営面の合理化ということは、実測調査は行わない、こういうことに相なっておるわけでありますけれども、しかし、統計というものは歴年の数字があって初めて生きてくる。そういうことでございますから、やはり、実測調査というものは現実になされなくても、補完的な調査というものは当然考えていかなければならぬ。また、これはそういうことで今後対処するということになるだろうと思います。そういう補完調査的なものを考えて参りますと、やはりその面においてはそう大きな変動はないと思う。むしろ、先ほど申しましたような、新たな作付動態調査あるいは牛肉の生産費調査、あるいは豚肉の生産費調査、あるいはさらに本年度国際的に大きく評価されなければならない一九六〇年の世界農業センサス、こういう業務等考えてみた場合に、減らす職員というものは全然なくして、先ほど言ったように、少くとも業務オーバー労働等を考えれば一千名をこえる人員の増をこの面だけでも当然考えなければならぬと思っております。これは結局立川さんは安田さんほどの骨がないのかもしれませんから、これ以上お互いに問答しても場合によっては水かけ論になろうかと思いますが、あるいは、委員会ではそういう低姿勢のお話であろうとも、実際はこういう問題については何とか復活したい熱意があるのかもわかりません。しかし、いずれにいたしましても、農政面におけるところの統計調査機構の位置ずけというようなことについては、部長は十分確信を持ってやられるだろうと思いますが、この点はいかがですか。     〔「答弁は簡単に」と呼ぶ者あり〕
  51. 立川宗保

    ○立川説明員 非常に内容の充実したお尋ねでありますので、簡単というわけにも参りませんが、お話のように、仕事の性質といたしましては非常に地道でありますれども、それだけにゆるがせにできない仕事であると思っております。いわば、従来の統計のやり方といたしまして、非常に多く聞いて少し発表するというような傾きがややあったかと思いますが、それを、できるだけ聞き方、調べ方を少くして、知り方を多くするという角度から仕事を進めていかなければならないと思いますが、その仕事の持つ内容といたしましては、今後ますます重要になるだろう、こういう工合に考えております。
  52. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 今の点については、部長は、いわゆる統計調査のあり方として、悉皆調査、標本調査、これらのからみ合いについては、サンプリング調査の標本的なものでやり得る部面を今後十分生かしていくというような趣旨で言われたのじゃないかと思う。これは、もちろん、調査の対象になる項目等によりまして、当然悉皆調査でやらなければならぬ問題もありましょうし、また、サンプリング調査で、一定の誤差の範囲内で標本を選んで推計をする、こういうことで従来もやって参りましたし、また、そういう面でやるということも十分生かしていく、これはその通りだと思う。いずれにいたしましても、これはこの前の農林大臣に対する総括質問の中でも私は触れたことでございますけれども、御承知のように、今日の農林統計というものは国際的に非常に高く評価をされておる段階にあるわけであります。今度の世界農業センサス等がその成果をさらに一段と高め得る好機にあるわけでございます。そういう時期に、そういう業務を推進するに十分な体制というものを考えていくということは、これは、私は、政府責任であり、また直接業務を持っている統計部長責任であろうと思う。これはあるいは統計部のことから離れて述べるかもしれませんけれども、たとえば農林関係予算をきめるときに、非公共の面は別といたしましても、公共事業関係予算というものはある程度がさっと何十億というように加わってくる。しかし、それは加わるけれども予算だけは加わったのであって、それに見合った人員とかいうものが一体どうなっていくのかということは予算折衝の過程では考えない。こういう点が大きな欠陥を生んでおるのじゃないかと思う。やはり、機構、予算、それに見合った人員、この三つが三位一体にならなければならぬのだけれども予算折衝の中では、いわゆる花形になるような公共事業についてはどっと何十億というものが加わる。そういう際に、そういう予算が加わって公共事業関係が充実するということは、仕事そのものが充実するということはいいのだけれども、それを遂行すべき人員についてはほとんど考慮されていないから、これはなかなか大へんだということを私どもは具体的に承知をしている。こういう面は、やはり為政者として十分考えてもらわなければならぬと思う。話は少しそれたようですけれども、それは、統計の場合にも、世界農業センサス等の問題を考えると同様のことが言えるのじゃないか。でありますから、今政府から出しておるところの百名の振りかえということは、この際全体的に見て不合理であり、不適切である。むしろそれは今度の定員外の職員の定員化という問題の中においてこの問題を是正してもらうと同時に、農林省全体としての定員外の定員化については、従来の統計関係のオーバー・ロードの実態から見て、プラスをして考えてもらう努力を統計調査部長としてはやってもらいたい。それがやはり第一線に働いておる人の希望であろうと思います。  時間の予定もありますので、以上をもちまして、農林省を中心にいたしました行政機構改革の問題、さらに、今政府から出されております定員外職員の定員化の問題の中で特に統計関係の問題に触れましたが、これはこれだけではなくて、御承知の水産関係における漁港部の設置のわずか五名の増員の問題、あるいは名古屋の農地事務局の新設に伴うわずか五名の新設の問題、こういうことについても、やはり、業務、機構、人員、こういう面から見て不合理をこの前も若干指摘したわけであります。こういう問題も含みますけれども、今ちょうど与野党の努力によって定員外の問題が定員化されようという機運の中でございますから、今まで述べた以外のいろいろな実態についても、今答弁に立たれておる方々は十分承知しておるところでありますから、この数日間の経過の中で、第一線の職員がほんとうに熱意を持って業務の推進ができるように、理事者側としても最大限に努力をしてもらいたいということを希望いたしまして、私の定員法関係に対する質問を終ります。
  53. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 本日の議事はこの程度とし、次会は来たる二十六日開会することとして、これにて散会いたします。     午後零時四十五分散会