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野原委員 私はこの際
国鉄運賃改定の問題に関しまして十分意を尽したいと思いますが、ただいま問題になりました、
丹羽君からいろいろと疑問の点が出ましたが、このことをまず先に明らかにしておきたいと思います。
実は、ただいま
資料としてもらいましたこの
国鉄側の
資料でございます。この中に、第七条の貨物
運賃改定に関する
国鉄側の
意見、
考え方が載っております。この中にはっきりしておるのです。つまり、
永野運輸大臣がおっしゃったことは、これはむしろ率直な
意見として私は敬意を表しておる。非常にいい
意見だと思います。これに対して何も
国鉄側も矛盾したようなことを言っておりません。ただ、今
山内鉄道監督局長の
意見が多少違ったようでありますが、今私がいただきました
資料を、関連のある問題だけ読んでみます。「しからば将来
等級表の全面的改訂を行わんとするときはどうするか、もし賃率表を動かすことなくして全般的改訂を行うものとすれば、それは各貨物間に著しい増減が生じて、合理的な
等級表が出来ることは
考えられない。即ち
貨物等級表は商品学的立場によって分類され格付されているので、そのような変更は
等級表の自殺的行為ともいうべきであろう。従ってそういう場合には常に賃率表の改訂を必要とするから、
等級表そのものは
国会の
審議を必要としていなくとも、そういう改訂の
内容は
国会の
審議会の対象となる機会が必ずあることとなる。」ということが、本日私の請求によって国有鉄道が出された
資料に載っておるのであります。でありますから、すでに
国鉄側では当然これは
国会の御
審議をいただくという
気持でこういう
資料が出ておるのですから、
運輸大臣が
お話しになったことは何も矛盾がない。むしろ堂々と
運輸大臣としての責任においておやりになってよろしい、そう思うのであります。もし、いやしくもこれほど大きな問題を一
国鉄総裁の
諮問機関である
運賃改定の
調査会が
答申をしたからといって、それをうのみにするというふうなことがもしあれば、それこそ大きな政治的責任である、政府の立場において許されないことだ、私はかように
考えております。
さて、私は、これから
運輸大臣並びに
十河国鉄総裁に
一つお伺いしてみたいと思うのであります。
まず、
国鉄運賃改定という問題は、産業経済全般にわたって及ぼす
影響というものはまことに大きい問題であります。従って、これは
改定をする場合においても慎重の上にも慎重を期してもらいたい。これは、その点から見れば、今日
国鉄総裁の
諮問機関として
運賃改定に対する
調査会を設けられて、いろいろと時間をかけ百回以上の
委員会を開かれて御
審議をしておられることはまことにけっこうなことであります。これは今までいろいろと不合理もありますので、その点を合理化して、この際ほんとうにりっぱな
運賃体系というものを作られることは、私はけっこうだと思います。これは大いにやっていただきたいのでありますけれ
ども、いやしくも
国鉄というものは
国民のものである。従って、公共的なものであると同時にいわば独占的な企業でもある国家の大きな
機関としての性格というものを
考えるべきである。この
運賃改定というものによって生ずるところの、わが国の産業経済に対する大きな
影響というもの、これを十分
考えていかなければならぬ。
経済界の混乱が起るようなことがあってはならぬと思う。特に、弱小な中小企業であるとか、あるいは農林漁業のような産業というものに対する
影響というものを
考えるときにおいては、十分なる配慮を必要とする。これは
国鉄側で出したのではないとおっしゃっていますが、先般貨物協会から出ておる中間報告というものがあるのであります。その中間報告なるものを拝見いたしまして、これは容易ならざる問題であると
考えましたことは、すでに中間報告に示されておる幾つかの
内容、これは深刻な今後の大きな問題をはらんでおる。今回の中間報告によりますと、上位
等級を引き下げて逆に下位
等級を引き上げるような
一つの案が出ておる。もしこういうことがなりました場合、
国鉄の企業的採算主義というものによって、公共的使命というものを忘れる。そうして、独立採算制というものを強調するあまり、ほんとうに
国民経済全般のことをもし忘れて、単なる合理主義という名のもとに
改定をやるというようなことがあるとすれば、これは断じて許すことはできない、さように
考えておるのであります。
運賃制度調査会なるものの中間報告にすでにこういうような意図が明らかに出ております。これに対しましてはわれわれ重大なる関心を持っておるわけであります。万一にも
国民生活に不可欠な
農林水産物資等の大幅な値上り等があるならば、暴挙であります。これは、最近ようやくにして安定を取り戻しておる、わが国の経済が安定成長をしておる
過程において、この経済を混乱に陥れることが
一つの要因になる。私はそういう点から見てこの際この問題を明らかにいたしたい。
そこで、私は、今回の
改定の趣旨というものが、
国鉄側あるいは
運輸省側のいろんな
意見等を聞いても、またこの
調査会の目途を見ましてもはっきり示してありますように、必ずしも
運賃の増収を目途としてやっておるのではない、あくまでも合理化のためにやるのだ、今までの不合理をただすために行うところの措置であるということをおっしゃっておる。
運賃の
改定はすでに三十二年の初めにやっておる。一三%の引き上げはしておる。事実は約一六%くらい上げておるようでありますけれ
ども、とにかく
運賃の値上げはすでにもう一応の段階において済んでおる。あとはその当時
運賃を合理化そうという案があったようでありますが、それがなかなかできなかった。そのために、いずれ機をあらためて時間をかけて
運賃の
改定に乗り出すという決意をもって現にやりつつあるわけです。そのこと自体は私はけっこうなことだと思うのでありますけれ
ども、元来の目的が合理化にあるのであって、
運賃の増収を
考えておるのではないということをはっきり言明しておられる。
運賃の料率を合理化するというようなお
考えで進めておるということであるならば、そんなにあわてる必要もないと思う。やはり時間をかけて十分
国民の代表
機関である
国会の議を尽すことが当然であるということを私は
考えるのであります。もし万が一にも
国鉄が
運賃改定に対して合理化の名において幾分かの増収をもくろんでおるとすれば、増収をしなければ
国鉄の経営がやっていけないというような事態にあるのかどうか、その点まず
一つ国鉄の経営の現状を
お話しいただきたい。私
ども、ただいま
国会で
審議しております
資料を拝見いたしまして、三十四年度の
国鉄の経営状況というものを見ましても、一応黒字になっておる。差引利益八十億円が国有鉄道の会計として計上されております。でありますから、必ずしも赤字になっているわけではない。すでに八十億円の利益がはっきりと計上されており、衆議院で
審議いたしましてこれは通過した。こういうのでありますから、もしも
改定するとしても、それは単なる合理化だけであって、何ら
運賃の増収ということを
考えておるのではないということは、もうすでに
説明の
通りだと思うのであります。しかしながら、この
国鉄の今日の経営の実態というものは、
国鉄合理化五カ年計画でいろいろと合理化を進めておられるようでありますが、その
過程においていろんな必要な資金もございましょう、それに対してはいろんな手当もしておると思いますけれ
ども、もしもそういう
国鉄をやっていく上において
運賃改定を急がなければならぬような事態にあるのかどうか、その辺を
一つ明らかにしてもらいたい。
運輸大臣並びに
国鉄総裁から経営の状況等をお伺いいたしたい。