○安田(善)
政府委員 御
指摘の点は二点の問題があると思いますが、これは、生乳取引に関しまする契約が円滑にまとまるか、双方にそう不満がなしに妥協にしろ円満にまとまるかという問題は、生産者側、乳業者側、また、乳業者が製品にする上について、あるいは販売に関する、それをとりまく経済事情等、強弱とか、日本の経済事情とか、そういう問題がいろいろあると思いますが、もう一つは、やはり制度の建前の問題があると思います。従来は、発達の
過程で、乳業会社がなるべく小単位に、普及奨励をするかわりに取引を個々または小さいまとまりで、その間で取引をしようとしておったことな
どもあったり、また、直接代金授受をするときに、
一般の規格がきまって相場が定期的にでも立つというような
状況にまだありませんし、伝統もございまして、事実問題、経済事情がそこまでいっておらなかったこともあると思いますが、逐次これは業界の認識とまた制度の
改正をもって慣行を積み重ねて解決をしていくべきものと思うのであります。
今回は
現行法の不備をできるだけ実情に即しながら強化しようとしたことでございますが、第一点は、従来は、都道府県知事が、紛争の事件が起きるごとにあっせん
委員を任命しまして、その人をしてやらしめるということになっております。あっせん
委員は公正である人であればあるほど、候補者名簿が事前に用意されましても、何となく逃げがちのようでございます。昨年の夏以前を申しますと、私
どもに来ておる報告は
全国に六件法規で取り上げたことがあります。まとまりましたのは神奈川が一件だそうでございます。事実上はいろいろあったと思います。それを今回は知事にやらせまして、知事であれば常置的に必ずおってその職務を執行できる。
委員の任命を辞退できないというふうにできるのではないだろうか。あわせて、知事があまり片寄ったことをやってはいけませんので、予算
もととのいまして、都道府県ごとに生乳取引調停
委員会を置いて、そこの意見を聞いてやることにいたしました。
その次の点は、大メーカーが
全国的な組織をもちまして各地の酪
農家から生乳を買いましても、実情は、目下のところは、同じ会社が地区ごとに違う乳価を操作して一応集まっておるのであります。その
程度がどの
程度でよいかということはいろいろ問題があると思いますけれ
ども、乳製品を必要とする地域とか大都会に近い市乳を中心とする地域で、同じあるAという会社が乳業会社でありましても、あるいは全酪連でありましても、大体において地域格差がある
程度ついておるのであります。従いまして、その大メーカーの
全国的なものを相手とする場合でも、紛争が都道府県内に起きる場合においては、まず第一は、これは単なる知事というよりは法に基く国の機関としての知事だと私
どもは解釈しておりますが、知事がまず片づけてくれる、努力をしてくれる。従来はあっせんと調停との間が多少不明確でありまして、案を具してこれでやってまとめてもらいたいというときを調停といいまして、案を具さない場合をあっせんといっておるのが、必ずしもそうしなければならないわけではありませんが、最近の法律の文例のようだという内閣法制局の御意見もございましたので、あっせんと調停を分けながら以上のような措置をとりましたが、さらに、一次的には知事があっせん調停をするのがよいと同時に、むやみに弱くてはいけませんので、
農林大臣が知事に向って必要があるときには助言、
資料の提示、その他必要な協力をする規定を置きまして、この法文においても、本省が都道府県知事が行うものをあっせん調停において協力をする、こういうふうにしておるのであります。地方自治法等によりますと、これは国の機関の知事とありますので、やるべきことをやらないのは、別途本省
大臣から、やるようにという訓令というか指示といいますか、それをいたすつもりでございます。そういうふうに考えますと、
農林大臣は、知事の努力を待ちまして、その
あとで知事が片づけ得ないことを処理するということと、一県内以上に影響が大きくて、特にここに規定してありますように、生乳取引の不安定、酪農の不安定、そういうような広範囲な影響を及ぼすときに、中央で取り上げる、中央で取り上げますときには
農林大臣の責任においてやるのでありますが、これもまた予算を付してありますが、中央生乳取引調停審議会の意見を聞いてまず行うか行わぬかをきめる、
大臣が行うようにきめましたならば、知事は、従来やっておった措置を、
資料その他は提供しなくちゃいけませんけれ
ども、自分があっせん調停することをやめさせる、そうしまして、中央であれば適当な調停員を設け得て、常時不即不離の立場において
大臣の責任において調停員をして行わしめますことができるので、中央生乳取引調停審議会
委員のうちの三名を、これは公平を期するためであることは昨日申し上げた
通りでございますが、三名を調停員として指名をして調停を行わしめる、この場合は
大臣がおるけれ
ども調停員に行わしめる、調停員に
大臣は行わせねばならぬ、そういう規定にして強化をしたつもりであります。
御提案を申し上げておる
趣旨と、御審議をいただいておりまする御
質疑に対する
説明はそういうわけであります。