○
渡部(伍)
政府委員 先ほど
中村委員、それから前に
芳賀さんから御質問があったときに
説明しましたが、従来までは、関税、消費税の関係から言って、
幾ら日甜のように
コストの安い会社でも、損をしなければ輸入糖の相場に太刀打ちして販売することはできなかったわけであります。そういうことで、毎年々々、農林省の
原価計算で、これが安いとか高いとかトラブルを重ねて、個別的な
価格をきめておる。さらにはまた、他人の会社はうまくきめてもらっておるけれども、おれの会社はきつくやられておる、こういういろいろなトラブルがございます。そういうことは必ずしもおもしろい
状態ではない。そこで、消費税を少くして関税を上げまして、その結果ノーマルな運転ができるならば自由に販売ができ輸入糖と太刀打ちができるような
一つの
条件を作ったのであります。そういうふうな
条件を作りますと、新しい
工場では、先ほど来お話がありますように、国際的な相場の変動に基く糖価の見通し等もなかなかめんどうだ。従って、私の方の計算では、
原価計算をいたしまして、販売経費を見て、すれすれで販売可能というところの輸入糖の相場まで予想されるのであります。そういうことで、
あと心配でおちおちテンサイ糖の
製造もできないというおそれもありますから、非常に
生産費の安い
日甜を除いては、創業早々のものはこれを買わなければならぬ、その他のものは標準
価格で買上申込みがあれば買い上げるということで、てん菜
生産振興臨時措置法の第四条についても運用方針をきめておるのでございます。ところで、
日甜の場合でございますが、これは本年度三十三年の
価格をきめましたが、それは四十五円五十銭でございました。普通の標準糖価は五十三円十四銭ということになっておりますから、そこに非常な開きか出ております。そうしますと、この
法律このままでは、
政府に売れといっても、
政府に売ったのでは、関税、消費税が切りかえられた後においては損をいたしますから、
法律の
規定を直さなければ売ってこない。すなわち、第四条では「てん菜糖の買入をすることができる」ということになっておりますか、それを、テンサイ糖を売り渡さなければならない、こういうふうな強制命令を出さなければ売ってこない、こういうことが予想されます。従って、全量買い上げということは、
法律の
規定を直さぬ限り、こちらが
幾ら予想してもこれを強制することはできない。また、もしそれを強制するということになれば、輸入糖の精製業者におきましても、これはピンからキリまであるので、非常に採算のいいものと悪いものとございますか、それらについても、もし
日甜のように強制買い上げしなければならないということになれば、一般精製糖も強制買い上げしなければつじつまが合わない、こういうことにもなるだろうと思います。そういうわけで、強制買い上げは工合が悪いということであります。
さらに、御指摘のありました一般製糖業者との関係でございますが、製糖業者は、
日甜のものだけは買い上げてくれ、そうして
政府はテンサイ糖をたな上げして輸入糖をもっと有利に精製ができるようにしてくれ、こういう虫のいい実情でございますから、私が申し上げますように一般の精製糖も一緒に買い上げるならば必ずしも理屈か通じないことはないと思いますけれども、テンサイ糖だけを、
政府が買い上げなくてもいいものを、買い上げるということになれば、それだけ輸入糖の増ということも考えられるので、おもしろくない。さらにまた、そういう有利なテンサイ糖業者がいると、農民の
売り渡し価格に悪影響を持って、Aの
工場で千斤三千百五十円できめられておる
価格以上に払ったならば、Bの会社もそれと同様な
価格を要求されるだろう、こういう
日甜以外の会社の
意見として全量買い上げということを言っておりますが、
日甜で余裕があればその地域のものはある程度得をすることができる
条件は出てくると思いますが、それを無理に各地域とも強制的に同様にするということも多少、行き過ぎじゃないか、こういうふうな関係がございますので、やはり、
制度の切りかえによって反射的に出る特別な利益は納付金で吸収しますけれども、その残りは企業努力によって各社が競争し合った方がいいじゃないか、こういうことで、非常に
生産費の安い
日甜のものは買おうと思うても今の
法律のままでは買えない、こういうことから、先ほど御
説明しましたような三十四年度以降の買い上げ方針をきめてございます。