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足鹿委員 午前中、大臣のおいでになりますまで、
農業法人問題につきまして、
農林、
大蔵両事務
当局並びに
国税庁に
お尋ねをしておったわけでありますが、最後に
農林大臣に
お尋ねを申し上げたいと思います。
農業を目的とする
法人に対する基本的な
方針とでもいいますか、この点について伺い、さらに今までの
質疑応答の経過からの点について伺いたいと思います。
農地改革によりまして地主制度が崩壊した。その結果
農業生産力は非常な飛躍、発展を見たわけでありますが、残念なことには、
農業の零細性というものは
解決されないで、むしろ零細性は進んでいく状態になっております。この問題をどう
解決していくかということは、今日の
農政の一番大きな問題だと言えると思うのです。
農地法は地主の制度に対しまして抜本的な
解決を加えたもので、これは画期的な問題でありますが、今日の
段階におきましては、もはやこの
農地法の基本理念とでもいいますか、自作農主義そのものでは、零細性を克服し、日本
農業の近代化と合理化、それを前進させていく協同化の問題は
解決できない現状だろうと思うのです。こういう点から、最近、各都道府県におきまして、
農業を目的とする
ところの
法人が出てきまして、その数は六百をこえておる。ずっと遡及いたしますと、
国税庁の
調査によりましても千を突破しておるわけでございますが、最近におきましては六百。その中で
農地法上の問題を持っておりますものが二百ばかりあるわけであります。
法人設立の目的はこの
税負担の軽減をはかりたいということが主眼であるようでありますけれ
ども、この
法人の性格とかあるいはまたその
内容ということにつきましては、これは問題はあることにはありますが、とにもかくにも、この重い税金からのがれ、さらに近代的な
農業生産力の増大、拡充をはかろうとしておる
一つの方向は明らかに出ておると言っていいと思うのであります。
農林省が自作農主義を現在の
農地憲法として持っておられることに対して、今直ちにこれの
結論を求めるということが非常に困難な問題であるということは私
どももよく存じていますが、少くとも現在
農業法人化の問題をめぐって問題が起きておりますのは、
大蔵省側は、
農地法違反であるがゆえをもって
法人そのものを否認するかのごとき
態度をとられ、
一つの事例を申しますならば、
昭和二十七年に設立をし、自来数仲間
法人としての取扱いを受け、その役員あるいは社員におきましては、報酬を受け、その報酬から源泉徴収を税務署に納入をしておる、こういう事例もあるのであります。にもかかわらず、
農林省の
農地法違反をたてにとって、
大蔵省は、これを遡及
課税として
個人申告に切りかえしめることを、相当強要に近い威嚇的な
態度をもってやられて、鳥取県あるいは徳島県等において問題が起き、それが端緒となりまして、現在天下の大問題になっておるのであります。それは、ただ単にこの
法人が適法になっておるとかおらないとかということよりも、むしろ日本
農業の将来のあり方、その指向する方向をこの問題が含んでおるから、あらゆる言論報道機関あるいは学会その他の面において大きく取り上げられておるわけでありまして、この点につきましては
農林大臣もよく
御存じのことであろうと思うのであります。
そこで、この問題の
解決といたしましては、まず当面三月十六日に
確定申告の期日が迫った、そこで、もう余日がありませんので、従来
設立登記をし、法務局が認可を与えた
法人を、
農地法上の
疑義をもってこれを否認し去るというような
国税庁なり
大蔵当局の
態度につきましては、
納得できないのであります。この点について先日来
大蔵委員会において
政府の所信をただし、また本日当
委員会でこの問題を取り上げていただいておるのでありますが、午前中の質疑において明らかになりましたことは、期日が切迫をしておるので、
国税庁の直
税部と
農林省の
管理部が出されました
意見の食い違いというものについて、
両者間でこれを協議
調整をして、十六日の
確定申告に間に合わせる、こういう言明を午前中
農林省並びに
大蔵当局から聞いたわけであります。
これはこの問題を
解決していく上に一歩前進だと思うのでありますが、この
自民党の
法人化小
委員会に
農林省が
提出いたしました
意見、また直
税部が同小
委員会に出しました
意見については長くなりますから省略いたしますが、
両者ともその事実は認めておられるのであります。これをどう
調整するか。少くとも国が認めた
法人に対しては
実質課税の
原則に基いてやるべきものであり、遡及
課税をするとか、あるいは年度を画して、ある部分は遡及
課税を適用しないがある部分以下は遡及
課税をするんだとかいうようなことでは、この問題の重大性にかんがみて処置がつかぬので、
農地法上の問題とは別個に、まず現在起きておる事態に対して問題を
処理しなければならぬという
意見は、午前中の質疑において完全に一致いたし、その点については御言明があったわけであります。
そこで、その点を
農林大臣として特に強く関心を払われて、
大蔵当局とも十分折衝を遂げられて、
法人の
実態がどうだとか、あるいは
経理上の不備があるとかいうような点ではなくして、そういう点があるならばこれは指導によって是正していけばけっこうなのでありまして、現在起きておるものに対しては、少くともこれは
実質課税の
原則から、遡及、
個人申告に切りかえて追徴をするというようなことがあってはならぬと私
ども思うのであります。そうして、今後の問題については、
農林省に対して香川県の
農業会議の会長名をもって問題の核心に触れた
質問書も出ておることでもありますし、これは重要な問題であるから直ちに
検討の結果をここで言うわけにも参らぬという
伊東農地局長の
お話でもあります。私はもっともだろうと思うのですが、その問題はその問題として、私が前段に述べた、現在の
段階におきましては、
農地法の基本理念である自作農主義に基く運用では零細性の克服ができない、その
一つの道として
農業法人が生まれてきた、その
農業法人が
一つの
課税上の問題で大きく動揺すると申しますか、非常に困難な場面に到達しておる、この
二つの問題をどう
処理していくかということが一番大きな問題だろうと思うのです。前段の
農業を目的とする
法人に対する
ところの
農林大臣の基本的なお
考えと、それから、三月十六日を前に控えて、
両者間で協議
調整をするということについて、遡及
課税あるいは
個人申告への切りかえということはなくして、まずできたものはできたものとして、適法にでき上ったものに対しては
実質課税の
原則からこれを認めていく、こういう
態度が私はもっとも重要な
態度であろうと存ずるのであります。
ところが、私きょう資料を持ってきておりませんが、先日
農林大臣は仙台に御出張の際に何かこの問題について談話を発表されまして、ちょっと忘れましたが、どうもわれわれが期待しておったような
農林省の
立場というものが非常に不明確のような印象を受ける談話を発表されておったように思うのであります。新聞でありますからよくわかりませんので、この際その点について、もし御
意見がありましたならばあわせて大臣の御所信を承わりたいと思います。