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足鹿委員 麦を除く他の重要農産物について
検討しておるということでありますが、これは、関東地方においては麦は畑作の中心であり、また裏作の中心でもあろうと思うのです。しかし、北方農業の場合は全く異なってくる。また、西南地区、西日本の場合におきましても、これは
政府が出しておる資料に基きましても、必ずしも関東におけるような麦の
実情とは違います。麦の重要性を私は否定しておるのではない。その重要産物の地域性というものを重視していくべきではないかということを指摘しておるのでありまして、もし麦を強制
加入からはずした場合に非常に困るというような事態があれば別でありますが、別に国が再保険
措置を講じて、強制
加入と同じような
内容になれば、麦の
加入が著しく減ずるということはなかろうと思うのです。麦自体が二十万町歩も最近減少しておるということは、これは、
政府の価格
対策なり、畑作の輪作体系上における麦作の研究が足らない、そういうところから麦が、減反しておるのでありまして、それと一連の
関係があるのであります。そういう点で、私は麦を決して軽視しておるのではないが、しかし、その地域的な性格をもっとこの
制度に組み入れて、農業経営に密着するような運営にすべきことを私は力説しておるわけでして、その点についてはもっと農業情勢の推移に適合して
検討されんことを特に強く指摘して、この点は終りたいと思います。
それでは、家畜共済の問題が具体的問題として残っておるわけですが、組織、機構上の問題について
一つお尋ねをしてみたいと思います。現在の組織、機構は、中央におきまして
農林省の
特別会計、共済基金、これは任意団体でありますが全国共済協会、この三つに分れておる。ところが、都道府県連合会の運営の
状況を見ますと、昨年末
政府からいただいた資料によりますと、赤字連合会と黒字連合会が半々というような大体の趨勢にあるようであります。もしこの
制度が真に農民の全国的な共済機関としての性格が中心だとするならば、都道府県にいろいろな赤字が出たり黒字が出たりというようなことはあってはならぬと私は思うのです。第一、低被害地の県において主として赤字が出る、そして被害激甚の地において黒字が出るというような、むしろ逆な現象が見られるのであります。そういうことは、何か現在の組織、機構上において、共済という
一つの性格の面からいきますればどうもおかしいと思うのです。現在この
制度は非常に複雑な
制度になっておりまして、その運営も、
法律そのものも、さらにこまかくいろいろな機構に組み立てられておりまして、ちょうど精密機械のようでありまして、なかなかその実態がつかみにくい。もっとこれを簡素化していけということは、これはもう地方へ出たときの強い要望です。とにかく、私
どもがこの問題に取り組んでみても、容易に理解しがたい、全く手のつけようがないという場合もあるわけであります。そういう面をなるべく是正いたしまして、組織、機構をもっと簡素なものとして体系化する
方法はないかという観点からお尋ねをしたいのでありますが、今申しましたように、共済基金なるものを、三十億の出資、国家と連合会の十五億ずつの負担で作ったのはよほど前のことでありますが、その
程度の基金を今必要とするのか。
政府機関としては農林
金融公庫があり、最近は国の
資金によらず自己まかないのできる
農林中金あり、また農業共済
関係の運転
資金等も最近は豊富に出ておる現状であります。農林
金融の全面的な立場から
考えなければ一がいには言えませんが、何か
農林省は、一面において監督権を持ち、
特別会計を持ち、非常に強大な組織を持っておる。話に聞きますと、正規の公務員は課区長以下わずかであって、
あとはほとんど常勤的非常勤労務者ですか、何か定員外の身分も非常に不安定な職員が数百人おって
特別会計の運営に当っておる、そうしてその運営も官僚的な面が強く出て相当非能率的な面も顕著であるという批評も私聞いております。そういうものが積り積って結局農民負担に重なってき、あるいは農民負担を軽減しようという場合にそれが支障ともなるわけであります。そういう面から、もっと中央、地方における組織、機構を再
検討すべき段階に来ていはしないか。そして、現在農業共済協会がございますが、これは全くの任意機関であって、しかも各都道府県連合会から
資金を集め運営に当っておる。どうもわれわれには解せない機構上の矛盾を持っておるように思うのであります。協会を正規の
業務指導機関にして、
農林省は監督権だけを持つ、そして
特別会計等はむしろ中央機関に集めて、そして基金は
農林漁業金融公庫の中に別
ワクを設けるとか、あるいは
業務を農業
関係の
金融機関に委託するとかいうふうにいたしていきますならば、まだまだ簡素体系化の上に資すべき点がありはしないかと思うのです。現在十五億円の農民出資が基金に行われておりますが、これは
自己資金の利回り等を
考えれば四十億以上の運営になって回っておるという話も聞いておりますが、事実上どうか存じませんが、もっと、この基金の現在のあり方、その運営の問題、いろいろ
考えていかなければならぬ点があろうかと思います。聞けば農業共済協会は今度の農業団体職員共済組合の基金にもその職員は
加入しておらぬ。しかも、その存在の立場というものは、この農業共済
制度については農政上の重要な役割を果しておる。また連合体のかなめ役として機能を果しておる。にもかかわらず、その身分は全くの任意団体の職員として放任されておる。そういうことがあり得るでありましょうか。どうも現在の組織、機構上においてなお再
検討されなければならない面が出てきておるのではないか、そういうふうに私は思います。ついででありますから申しますと、先ほど述べた連合会段階においては、ある
災害頻発地帯の連合会は黒字だ、西日本の低被害地は赤字を持っておる連合会が多い、そういうことは矛盾とはお
考えにならないですか。ほんとうの全国的な農民の共済機関だとするならば、お互いが平等の立場に立ってその結果が運営されなければならぬ。にもかかわらず、府県区域の大小、あるいは事業分量等によって、その運営の間には赤字の出る連合会と黒字の出る連合会があっていいでしょうか。むしろ、交通機関やいろいろな点から見まして、もはや連合会を必要としない段階がきているのではないか。むしろ中央に一本つける。都道府県の傘下にある組合は、私
どもの鳥取県でいきましても、従来百八十くらいの組合が五十幾つに再編成されておる。
そのものになお連合会があり、支所があり、出張所がある。一体そういう複雑な機構を必要とするのかどうか。私はそういう段階がきておると思うのです。それらがみんな農民負担にほかならない。あるいは国家負担が、当然農民負担の軽減に持っていける金をそういうところへ使っておる場合もあろうとも言えます。そういう点から
考えてみまして、これは少し乱暴な意見かもしれませんが、やはり末端組合が大きくなったわけでありますから、これを中央と直結していくのに、
一つの都道府県なりある
一定の区域を区切って連絡機関なりあるいは中継機関が出ていけばけっこうやれるのじゃないか。それはすなわち機構の簡素化に通ずるし、一面経費の軽減ということも運営によっては生まれてくるのではないか。どうも、十数年前のアメリカ占領時代において向うさんの
意思が相当に入ってできた
制度が自来十数年を経過して日本の農業情勢や各般の方面に大きな変化がきておるにもかかわらず、このものは依然として旧態依然たる姿を持っておるというところに私は問題があるのではないかと思います。意見が非常に多くなりまして恐縮でありますが、少くとも組織、機構上の問題についても、ここに何らかの
実情に即するような
考え方を行なっていかなければならぬ。市町村の組合を合併させる、そうすると必ず
予算の場合に事務費の削減問題でいつもあわてさせておる。町村で合併をしたのはその組合のためによかれかしと思ってやられたことでしょうが、結果的には国の事務費負担を軽減するために町村組合を合併したと言われても弁明の余地がないような
実情に地方組合を追い込んでいる。そういうことが私はあっていいかと思うのです。こういう問題全体を通じて再
検討をして、組織、機構上もっと簡素にして強力な
改正をし、しかも体系を新しく建て直していく必要がありはしないか、そういう点を痛切に感ずるわけでありますが、
政府においてはこの点についてどういう
態度をもって臨んでおられるか、また、これからやろうとしておられるかを伺いたい。