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1959-02-17 第31回国会 衆議院 農林水産委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年二月十七日(火曜日)     午前十一時十八分開議  出席委員    委員長 松浦周太郎君    理事 大野 市郎君 理事 吉川 久衛君    理事 丹羽 兵助君 理事 本名  武君    理事 赤路 友藏君 理事 石田 宥全君    理事 芳賀  貢君       安倍晋太郎君    秋山 利恭君       五十嵐吉藏君    今井  耕君       倉成  正君    笹山茂太郎君       田口長治郎君    高石幸三郎君       内藤  隆君    永田 亮一君       三和 精一君    八木 徹雄君       保岡 武久君    角屋堅次郎君       神田 大作君    久保田 豊君       實川 清之君    中澤 茂一君       中村 時雄君    西村 関一君       松浦 定義君  出席国務大臣         農 林 大 臣 三浦 一雄君  出席政府委員         農林政務次官  石坂  繁君         農林事務官         (大臣官房長) 齋藤  誠君         農林事務官         (農林経済局         長)      須賀 賢二君         農林事務官         (農地局長)  伊東 正義君         農林事務官         (振興局長)  増田  盛君         農林事務官         (畜産局長)  安田善一郎君         農林事務官         (蚕糸局長)  大澤  融君         食糧庁長官   渡部 伍良君         林野庁長官   山崎  齋君         水産庁長官   奧原日出男君  委員外出席者         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 二月十四日  委員保岡武久辞任につき、その補欠として小  坂善太郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員小坂善太郎辞任につき、その補欠として  保岡武久君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月十六日  国用製糸業者への原料繭流通措置促進に関する  請願羽田武嗣郎君紹介)(第一四四〇号)  水産物小売業育成に関する請願辻政信君紹  介)(第一四九四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 松浦周太郎

    松浦委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  農林水産行政基本施策及び来年度農林関係予算について、大臣に対する質疑を続行いたします。質疑の通告がありますので、これを許します。西村関一君。
  3. 西村関一

    西村(関)委員 三浦農林大臣お尋ねをいたしますが、本年度の農林漁業基本政策につきまして大臣の方針を承わり、三十四年度の農林漁業予算案についても次官からお話を承わったのでありますが、全体といたしまして三本の柱を立てておられるのであります。私のこの予算に対する考え方は、三本の柱が打ち立てられておりますけれども、その中でどこに重点が置かれておるかという点が明確に出ていないと思うのでありますが、概して言えば総花的な予算である。もう一つは、農業に関する問題はありましても、農民に関する問題が十分に浮び上っていない。言うなれば、農業はあっても農民がないということが感じられるのであります。  具体的に伺いたいと思うのでございますが、たとえば、資源の維持培養をはかることを目的とせられまして、生産基盤整備強化を推進するということをうたっておられまするが、その中で、土地改良事業等におきまして、これが成果を期し生産性を向上さしていこう、こういうことでございますが、果して実質的に個々の農家が具体的にどれだけ潤うていくかということが明確に強く打ち出されていないんじゃないかというふうに感ずるのであります。大臣の御説明の十六ページにありまする、蚕糸業につきまして全桑園の約一割五分の整備転換をすることについて助成をする予算が計上せられておるのでありますが、この一万四千町歩に対する助成金を計算してみますると、一反歩二千五百円ということになるようであります。農民が丹精をいたしました桑を抜きまするのに、そしてそれを他の仕事転換をいたしまするために、わずかに二千五百円しか助成されない。そのあと綿羊を入れることになっておるようでありますが、この綿羊もわずかに二頭分しか予算が計上されてない。こういったようなことで果して養蚕農民に対するところの愛情のこもった施策ができるとお考えになっておられるかどうか。また、価格安定維持流通機構整備ということをうたっておられまするが、その項目の中で、わずかに、臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会というものを設けるということと、青果物については市況の速報の整備産地需要調査出荷調整の指導ということをあげておられるわけでございまするけれども、この調査会のために一千三百万円の予算を計上しておられまするが、このくらいのことで果して価格の安定と流通機構整備ができるというふうにお考えになっておられるか。こういうような一、二の例をあげましても、農民実情に深く心をいたされて農民生活の実態に触れるような施策を行うという意欲を強く打ち出していただくことが不十分じゃないかというふうに私は考えるのでございますが、まずこの点につきまして大臣の御所見を伺いたいと思います。
  4. 三浦一雄

    三浦国務大臣 西村さんのお尋ねも、増産対策があって農民対策がないじゃないか、こういう御批判でございます。かつまた、これに伴う予算措置等も不十分である、こういうことでございましたが、予算の面につきましては、私もこれをもって十全なりとは考えておりません。もっともっと努力しなければならぬということは申し上げてある通りでございます。同時に、ただいま御指摘になりましたが、たとえば土地改良のごとき、あるいはこれに類する農業施設改善等につきましては、実は農民全体を対象にするのであって、田地がよくなればそれでいいんだという考えじゃございません。きのうも各地方の実情等も聞いてみたのでございますし、同時にまた滋賀県等の事情に徴しましても、あるいは湿田を改良して生産力を上げる、あるいはまた用水が不足なために生産力を上げ得ないというところに用水施設をいたしまして、そうして質的改善をはかって増収を期待するということは、現状としましては基本的な施策だと思うのでございまして、決してただ単に増産対策をして足れりとしておるわけではございません。終局は、関係農民生産性を高めて、そうして生活を向上させるということに力点を置いておるのでございます。特に本年はその方面に、従来でございますと土地改良等の経費は二百八、九十億程度でございましたが、本年は幸いにして三百四十億程度まで相当伸ばしたのでございます。もとよりこれをもって十分だとは考えませんが、これらを重点的に運用しまして、そして今期待するようなことに取り進んで参りたいと、こう考えております。  なお、桑園の問題でございますが、昨年来この問題は非常に皆さんに御心配をかけた問題でございましたが、やはり、事情を見ますと、桑園転換等をとります人々に対しましては今まで通り当り二千四百円、町歩当り二万四千円でありますが、これを主として助成する、同時に、この転換につきましては、あるいは小団地の土地改良でもってこれにかえる場合にはそれをするし、さらにまた、小家畜なり大家畜を入れることによって生産性を向上し得る、同時にまた生活を安定するというならば、その方面にいくということで、これはその場所々々に応じて総合的な施策を講じて参りたい考えであります。  それから、流通対策につきましては大市場方面改善を期待したい。これに伴いまして、生産地方面との結びつきにおきまして、出荷調整であるとか、あるいはまたそれらに関する指導的なことをしまするほかに、基本的には主要農産物等につきましては価格支持政策のありますことは御承知の通りであります。  なお、今回は若干でありますけれども東北方面におけるテンサイ糖の問題につきましても、その生産助成する意味において若干の施設を拡充して参りまして、同時に、山村の零細民でありまするところの木炭の生産者等につきまして、一番の痛手は、春暖の候に値下りするということで、最盛期になりますと高くなりますけれども春夏の候において値下りするということは非常に痛烈な痛手をこうむるものでございますから、これに一つの安定的な措置を講ずるということにいたしました。同時に、ただいままでは手がつかなかったのでございますが、今度は大衆魚、たとえばサンマのごとき、これはその加工品価格を支持することによって相当役立つものでございますから、これに手を触れたのでございまして、これらはいずれも零細な人々に対します手を差し伸べたものございます。  ただ線を引いたというだけで太い効果がないじゃないかという御批判は受けたのでございますが、今後ともこれを拡充して、そして組織の整備と相待って対処して参りたい、かように考えております。
  5. 西村関一

    西村(関)委員 予算の面において十分ではないけれども、努力をして今年は各方面予算をふやしていったという御答弁でございましたが、昨年に比べて農林予算が五十五億円ふえておることはその通りでございます。しかし、これは事業量がふえておるか、あるいはまた単価が上ったためにふえておるのであるか、その積算基準がどうなっておるのかということがはっきりしません。昨年の国家総予算に対する農林予算比率と本年度の比率とが、七・七から七・四に下っておるということは、これは私はそれほど問題にいたしませんが、そういう積算基準がどこに置かれておるかというようなことが明瞭でないと思いますので、その点を一つお伺いいたしたいと思います。
  6. 三浦一雄

    三浦国務大臣 今主として土地改良等の問題を中心にして説明を申し上げましたから、まずその方面につきましての事業量の変遷あるいはやり方等につきまして農地局長から説明させます。
  7. 伊東正義

    伊東政府委員 今の御質問でございますが、大臣の御答弁で約四十四、五億のものが生産基盤関係でふえているという御説明がありましたが、それは単価増加その他でふえているのではないかというお話でございますが、これはそういう単価の値上りということで実は組んではおりません。事業量の増ということで実は組んでおります。たとえば土地改良だけについて申し上げますと二十五億の増加、それから干拓でございますと十一億増加いたしております。開墾は五億、それから農業施設関係防災事業は三億ということで、合計四十四億ばかりふえておりますが、これはすべて事業量をふやすということでやっております。  大きなものをとって申し上げれば、たとえば八郎潟の干拓というようなものがございますが、これは昨年は一部の干拓とか準備工事を主として行いましたが、三十四年度からは中央の堤塘にかかって参りますし、愛知用水関係では、国費だけで七億ふえておりますが、これもダム幹線水路、そういうものの事業量をふやすということであります。また、国営の特定土地改良事業等を見ましても、これはすべて事業量をふやすということで全部やっております。
  8. 西村関一

    西村(関)委員 事業量がふえているために総予算がふえたんだという御答弁でございますが、単価が上ったということは全然ない、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  9. 伊東正義

    伊東政府委員 よろしゅうございます。
  10. 西村関一

    西村(関)委員 それでは、この生産基盤拡充施策の問題に関連をいたしまして、ただいま農地局長の御答弁の中にもございました愛知用水公団の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  ただいまの御説明のように、三十四年度の総事業費は百十二億円になっておりまして、三十三年の残を加えると百二十三億というかなりの額が計上せられておるのでございますが、そのうち、政府財政投融資において、これに見合うような国費といたしまして二十二億円、資金運用部門の八十一億円、その他が九億円、こういうような工合になっておるようでございますが、その九億円のうち世銀が一億五千二百万円含まれておりますが、その他九億円というものの中の世銀のものを除いたものはどういうものであるか、それを一つお聞かせを願いたいと思います。
  11. 伊東正義

    伊東政府委員 御質問でございますが、愛知用水は、三十三年度の予算というか資金計画は九十四億になっております。来年は今お話の百十二億というものを組んでおります。その中で国費は三十三年度は十五億、三十四年度は二十二億ということで七億円増加いたしております。そのほかの資金源といたしましては、一番大きいのは資金運用部資金が八十一億であります。そのほかに世銀から一億五千万ばかり借りる。それから前年の繰り越しというようなものを含めまして、百十二億という予算でやっているわけでございます。  これは、事業内容としましては、三十四年度の仕事としましては、契約は三十三年度にいたしましたが、これが主要な事業堰堤関係。それから、幹線水路開渠部分につきましては、ほとんど設計が終りましたので、幹線水路開渠については至急三十四年から取りかかる。それから、幹線水路の中におきましても、従来からやっております兼見のトンネルでございますとか、あるいは白山のトンネルとかいうようなトンネル関係仕事、こういうものにつきましては三十四年からほとんで一斉に仕事に取りかかるというようなことになっております。あと支線につきましては、実は県に委託しているのが多いのでございますが、この分につきましても、三十四年度から本格的にかかるというような工事の段取りになっておりまして、三十三年度はほとんど堰堤重点が置かれたのでございますが、三十四年度以降は、堰堤、それから幹線水路支線というように、全面的に仕事が伸びていくという格好になっております。
  12. 西村関一

    西村(関)委員 この愛知用水の問題につきましては、地元の方でいろいろ問題にしているところがあるようでありますから、この際大臣のこれに対する御答弁を伺いたいと思うのであります。  まず第一に、工事が非常におくれているということ。三十六年度において完成予定でありますが、おそらく二カ年はおくれるのではなかろうか、少くとも何ぼ気ばっても一年はおくれるのじゃなかろうかというふうに言われておるのであります。なぜそんなに事業完成予定がおくれておるのであるか、一体責任はだれがとるのであるかということであります。今年は工事量最盛期でありまして、最初は三十四年度は五十四億円の予定でありましたのが、ただいまのお話のように百二十三億にふくれ上っておる。これは去年の水害のために仮締め切りが二回も決壊したというようなことも含まれておると思うのでありますけれども、当局の監督の不行き届きのためにおくれておるので、事業が十分に成果をあげ得ないということで受益者負担におっかぶせていってしまうようなことはないだろうか。受益者負担にはおのずから限界があることは言うまでもないのでありますが、それと、工事がおくれればおくれるほど、それだけ資金利子負担もふえてくるというわけでございまして、そういったような工事が非常におくれるということは一体どこに原因があるかということを、まず一点伺いたいと思います。  それから、工事契約につきましても、一般のこの種の工事契約よりは契約高が非常に高いということが言われております。昨年の第三十国会におきましても、参議院の決算委員会におきまして、土建業者の間において談合があったのではないかというようなことが追及されておるのでありまして、これに対する答弁もはなはだ明確でなかったようでありますが、この際この点につきましても明確に一つ答弁を願いたいと思うのであります。  このように工事がおくれております原因は、どうやら公団側農林省側との意見対立一つの大きな原因になっているのではないかというようなことが現地で言われておるのでありまして、進藤副総裁がやめられたということも、公団側農林省側対立の犠牲になったんじゃないかというような疑いが多分に持たれておるのであります。こういったようなことにつきまして、大臣は何か聞いておられるかどうか。  まだほかにもございますけれども、まずこの二点につきまして一つお伺いをいたしたいと思います。簡単明瞭にお答えを願いたいと思います。
  13. 三浦一雄

    三浦国務大臣 公団農林省との関係につきましては私から申し上げますが、意見のそごなりあるいは業務運営の面につきましてそご扞格するようなことはございません。緊密に連絡をとってやっております。  工事遅延心配がないか、あるいは工事費の請負についての問題等につきましては、農地局長から説明をさせていただきます。
  14. 伊東正義

    伊東政府委員 工事遅延の問題でございますが、当初予定しておりましたより若干今おくれております原因でございますが、一つは、実は余剰農産物の受け入れの関係がありまして、当初余剰農産物見返り資金を相当多額に入れるということで基本計画を三十年に作ったのでございますが、その計画に若干変更を来たすようなことになりましたので、実施計画の公示をいたしますのは三十二年の六月になりまして、若干おくれたことがございます。これがおくれている一つの理由でございます。もう一つ牧尾ダム用地補償問題等につきまして、これはかなり難行いたしまして、用地補償に若干おくれがあったということがございます。もう一点は、先ほど御指摘がありました昨年の仮締め切りの決壊の問題でございます。こういうような原因がございまして、当初計画いたしましたよりもきょう現在では若干のおくれはあります。ございますが、われわれといたしましては何とか当初計画の三十五年度中にはこれを仕上げたいということで、現場を督励しましてやっております。極力当初の予定の三十五年度中にはこれを仕上げたいということで今努力いたしておるわけでございます。  それから、もう一点の入札の問題でございますが、これは、私どもといたしましても十分監督いたしまして、公団の中でも業者の資格の審査委員会というものを設けまして、これは建設省で業者の登録を毎年やっておりますその中から優秀なものをまず選ぶ、さらにもう一つの、今度はだれをその中に個個の事業の場合に入れるかということにつきましては、選定委員会を別に設けまして、おのおの単独でこれを行うことということではなくて、お互い十分協議し合って業者選定をしていくという方法をとっておりまして、私どもとしてはそれを監督してやっておりますので、先生の御心配のようなことがないように十分今後注意したいと思います。
  15. 西村関一

    西村(関)委員 その点につきましてなお伺いたい点がございますが、時間がございませんので、その次の問題に移りたいと、思います。  この愛知用水につきましては、アメリカエリックフロアとの技術提携がなされておる。こういったことも、きまったことではありますが、日本農業土木技術世界的水準であると言われており、東南アジアにおける技術提携考えられておりまする現在の日本技術水準を持っておりますにかかわらず、なぜこのアメリカ技術を入れなければ、エリックフロアと提携しなければこの仕事ができなかったのであるか。しかも、この世銀から借款いたしておりますところの費用の大部分というものが、アメリカ技術者の給料とアメリカ土木機械を購入する費用に充当されておる。月七十万円からの月給を払っておるところの技術者の給与と、それから土木機械を購入する費用に全部充てられておる。七百万ドルという費用がほとんどそれに充当されるというような結果になっておるということに対しまして、一体それまでしてなぜアメリカ技術を入れなければならなかったのか、そういう点が私はまだ十分に理解のできない点でございます。もちろん私は技術専門家ではありませんけれども、どうも、日本農業の問題を考えますときに、日本農業構造それ自体の問題の解決をはかるということとともに、外国からのいろいろな支配やいろいろな圧迫というものをはねのけていくということを考えていかなければならない面が多々あると思うのでございます。もちろん、愛知用水の場合におきましては、そういうような意図のもとに、アメリカ支配を入れるというような考えのもとに技術提携がなされ世銀の金が入ってきたというふうには考えませんけれども、私は、大臣もお読みになったかと思いますが「オレンジ運河」という、新聞記者の書きました小説を読みまして、しかも、これが、現地の人の話を聞きますと、この中に書いてあることがほとんどそのまま愛知用水の問題そっくりだということを言っておるのでございますが、そういったような点から考えまして、どうも多少の疑いを抱かずにはおれないのでありまして、外国資本が入ってきて日本農業改善がはかられるということは、必ずしもそれは一から十まで悪いと言うわけではございませんけれども、国民の利権が外国資本のもとに置かれるというような結果が少しでも出てくることは、やはり警戒をしなければならないと思うのでございます。こういう点に対して現地の多くの農民たちはなお多大の疑問を持っておるようでございますが、この点についてもう一つこの機会に明確にしていただきたいと思うのでございます。
  16. 三浦一雄

    三浦国務大臣 技術援助協定に基きましてEFA技術援助を借りているわけでございますが、われわれとしましても、将来の日本農業土木等につきましては、今後、導入されました機械、同時に日本におきましても機械等もだんだん進歩いたしておりまして、これらを使いまして、これから外国で作りましたものの輸入を防ぐ、あるいはまた技術の面につきましても、日本技術の動員をして参りたい考えであります。ただ、愛知用水につきましては、当時技術援助を受けるという協定をいたしておりますから現在に至っておるわけでございますが、将来の問題としましてはさよう考えております。  この愛知用水におきまする技術協定の沿革と、それから現状等につきましては、政府委員から説明させていただきます。
  17. 伊東正義

    伊東政府委員 補足しても説明いたしますと、今の世銀からの借款の問題でございますが、これは、当時、二十八、九年でございますが、愛知用水事業計画いたしますときに、あそこの地点でロックフィルダムを採用してくれという問題そしてそれをなるべく早く完成してくれというような問題からいたしまして、まだその当時は日本技術では不十分じゃないか、あるいは日本機械では不十分じゃないかというようなことがございまして、世銀からのサゼスチョンがございまして、その結果EFA技術協定をいたしたような次第でございます。  借款内容は、御指摘がありましたように、七百万ドルのうちに、機械が四百四十万ドル、それから役務関係が百五十万ドル、これで大部分でございますが、その後、昨年の九月に、七百万ドルのうちで百七十万ドルは実はキャンセルいたしまして、現在は五百三十万ドルにいたしております。キャンセルいたしましたものは、大部分機械で、百五十万ドルは機械でございます。あとの二十万ドルがその関係利子とか手数料で減って、百七十万減ったのでございますが、これは、大体国産の機械でまかなえるというものが出て参りましたので、先生が御心配になりました、なるべく外国機械なんか減らしたらいいじゃないかというような考え方でございますが、百七十万ドルは減らしまして、五百三十万ドルという借款になっております。  今後は、機械につきましては、部品を入れるだけで、あとは入れないでやっていくというような計画でございます。
  18. 西村関一

    西村(関)委員 それから、工事完成してから、一体水が入ってからここをどうするんだというような、農民に夢を与えるということが非常に欠けておると思うのであります。農地局の方では、この工事完成すればそれでいいということだけしか考えておられないし、どうも農地局と経済局と振興局等の農林省の各関係局の間の緊密な連絡のもとに部内の指導態勢がしっくりいっていないというような感じを愛知用水の問題について私は受けるのであります。これは、現地でも、その点を何とかしてもらいたい、あの公団の畑地の実験場がありますが、あそこの施設なんかでもほとんど動物が一匹もいないというような状態で、果して水が入ってからあそこの畑地をどのような形で——大臣の言っておられますような経営の合理化、健全化というような点に対して、一つの夢を与えていくような指導が現在どれだけなされているか、むしろ現地農民の反感を買っておるというような実情でありまして、水を入れてからどうするんだというような明確な、しかも緻密な総合的な指導態勢、特に畑地農業振興が叫ばれておりまするのに対応いたしまして、そういうことがすでに今からなされていなければならないにかかわらず、ほとんど何ら手が打たれていないということに対して、私は大臣の御答弁を伺いたいと思うのであります。
  19. 三浦一雄

    三浦国務大臣 私から大綱について申し上げます。これは、工事完成しましても、あとの管理形態をやはり整備して参らなければなりますまいと思います。普通の土地改良でございますならば、土地改良区等にこれを管理し運営させるということが常例でございますけれども日本ではいまだかつて例のないところの大規模なものでございますし、それからその施設等も多種多様でございますから、今後の完成の後の管理機構につきましても、周到な考え方からこの整備をしなければならぬ、こう考えております。同時に、ただ単に設備を管理しているというだけでは十全を期し得ないのでございます。今の畑地の試験場等につきましても御指摘がございましたが、われわれ必ずしもただいまのところで満足しておるわけではございません。しかし、その有力な一環としてあそこから一つのなにを見出したいという考えから出ているわけでございますが、同時にまた、三河地帯におきましても、すでに愛知県等の種畜場等は、かつて非常な大きな貢献をしているのでございまして、同地方における従来の調査研究なり、それらを国の施設と併用して、今後の営農方針等を確立し、そうして安定した営農をさせなければならぬと考えます。従いまして、今地区ごとにこまかな計画、同時に総合したものはお示しをする段階にはおりませんけれども、今申し上げたような方向によって、そうしてすみやかに工事完成期前に地元の意見を十分に聞き、これをしんしゃくし、そうして従来の国、地方庁との試験研究の成果を併用しまして、所期の目的を達するようにいたしたい、これが私の所存でございます。
  20. 西村関一

    西村(関)委員 工事完成後というお言葉がございましたが、やはり、これだけの工事をやるからには、関係農民に対して一つの期待を持たせるということが大事だと思うのでございますが、工事完成しない現在におきましても、こういう計画を持っておるのだ、工事完成したならばここはこうなるのだというような、一つの夢を与えるということについて、振興局や経済局においてこれに対する何らかの具体的な計画農民に示される必要があるんじゃないかと思うのでありますが、その点はいかがでございますか。
  21. 三浦一雄

    三浦国務大臣 私が工事完成後と申しましたのは、管理機構について、やはりふさわしいものを整備する必要がある、こう考えておるわけであります。同時に、公団について御指摘になりました総合的な農業経営等につきましては、工事完成前に、部内の各局等を総動員しまして、総合的な対策の樹立並びに指導の適切を期したい、かように考えております。
  22. 伊東正義

    伊東政府委員 今の御質問でございますが、実は、愛知用水公団が持っています畑地灌漑の試験場、あれだけでは私どももちろん不十分だと思っております。それで、農林省内部といたしましては、振興関係で、東海、近畿試験場の栽培第二部が、挙母の近所でございますが、愛知用水公団の受益地の中に新しく作られまして、これがまた畑地灌漑の畑作経営の研究をやっております。われわれといたしましては、両者相待ちまして、そのほかに県の普及員の制度もございますし、これと手を結びまして、完成後の指導には万全を期したいと思っております。ただ、一つ現在起きております問題といたしましては、地元の農民が畑地灌漑よりも水田を開田してくれぬかという希望が実は新しく出てきておりまして、この関係等につきまして、また関係局でどういうふうにしたらいいかということを今相談しておるところであります。
  23. 西村関一

    西村(関)委員 どうも時間がありませんので、これ以上この問題をお尋ねすることができませんが、次に林道の面についてお尋ねをいたしたいと思います。  この関連林道事業として今回も予算的な措置をとっておられますが、採択基準が、利用区域が一千町歩、そのうち国有林が三〇%、民有林が三〇%というようなことになっておるようでございます。そして、その該当地区がずっとあげられておるのでございますが、大規模な山林所有者の利益にはなりましても、中以下の山林業者の利益には一向ならない。一千町歩からの基準に該当するようなところで、三〇%の国有林、三〇%の民有林といったような地域に対してこれを適用するということなんでありますが、この基準をもう少し下げていただくことはできないか。私の方の滋賀県のような場合には一カ所も該当するところがないのでございまして、どうもこれも中以上の上層の山主の利益ははかられまするけれども、中以下の山主の利益には何らこの恩典が及ばないというようなきらいがあると思うのでございます。この点につきましてどうお考えになるでございましょう。
  24. 三浦一雄

    三浦国務大臣 これは林道を敷設する場合の基準のとり方でございますが、同時に、今おあげになりました一千町歩というのは、何も一千町歩という大森林を私は対象にしておるものとは思いません。こういう森林関係の面積が大体一千町歩あれば、こういうことだろうと思うのでありますが、基準のことでございますから、間違うといけませんので、林野庁の長官に一応説明させていただきます。
  25. 山崎齋

    ○山崎(齋)政府委員 一千町歩という点につきましては、今大臣から御説明申した通りでございますが、その林道を開設いたしまして、利用される区域の総体面積が一千町歩という考え方で進んでおるのでございます。一般の道路で申し上げますといわゆる国道というようなものを早急に開設いたしまして、大きく奥地林開発を進めていかなければならぬという見地に立ってこの一千町歩という線を考えた次第であります。
  26. 西村関一

    西村(関)委員 ちょっとその点はっきりしないのですが、その一千町歩の所有主ということでなくても、一千町歩の地域の中の三〇%は少くとも民有林、また三〇%は国有林でなければならない、こういう基準になっているように私は理解しているのですが、そういうようなところに該当する場所はきわめて限られておる、しかも非常な大きな山主でなければその恩典にあずからないという結果が出てくるということを私は指摘しておるのでございますが、その点いかがですか。
  27. 山崎齋

    ○山崎(齋)政府委員 国有林が三〇%というふうに申しますのは千町歩以上の流域のあります場合に、国有林が三〇%、民有林が七〇%、また民有林が三〇%の場合は国有林が七〇%だというふうな関連に立つところを考えておるわけでありますが、この千町歩という流域の中におきまして、大所有者だけがそういうところにあるという実態ではないのでありまして、小所有者から大所有者まで、大体われわれとして考えますのは、七、八十名もの各層の人々がそこに入ってそれぞれ所有関係になっておるというふうに考えておる次第であります。
  28. 西村関一

    西村(関)委員 それでは、そういうような私の心配いたしますような事態が起らないように、一つ十分な配慮を当局においてはしていただくことを要望いたしまして、この問題はこれで切り上げたいと思います。  次に伺いたいと思いますことは、いろいろ調査会を設けられるようでございますが、その調査会を設けられることにつきましては、それぞれ理由のあることではございますが、しかし、一つ調査会の中で私が伺いたいと思いますことは、これは農林省から出されるというような工合には聞いておりませんけれども、内閣におきまして農地被買収者調査会法案というものを出そうとしておるということでありますが、これは、旧地主団体の要求によりまして、旧地主の土地補償のためにこの調査会を設けようとする意図のようでありますが、これに対しまして農林大臣はどのようにお考えになっておられますか。被買収者に対する農地補償をするということを前提としてこのような法案を内閣の方から提案することに対して同意をしておるのであるか、あるいはまた、旧地主の農地に対しては被買収者に何らかの補償をすることが妥当であると考えておられるのかどうか、その点を伺いたいと思います。
  29. 三浦一雄

    三浦国務大臣 今回農地被買収者調査会法案というのを作りました。これは、旧自作農創設特別措置法によりまして当時の農地を買い上げて、これを現実の耕作者に解放したわけでございますが、この措置は、すでに御承知の通り、昭和二十八年十二月二十八日の最高裁判所におきましても判決で明らかにされておる通り、旧地主に対しまする農地の補償をいたしてこれは取りきめられたものでございます。農林省としましては従来一貫して参りましたことは、この補償の改訂もしくはやり直しというようなことはいたしません。正当に行われたこととして最高裁の判決をあくまでも支持してやりたいという考えであります。同時に、今回この調査会を設けましたことは、あれだけの大きな社会的な変革でございますので、諸多の問題が生じておりますことも、これは事実否定はできないだろうと思うのでございます。そこで、内閣としましては、補償を前提とはしておりません。しかしながら、この問題は幾多の社会問題等も生起しておるから、その実態をよく調べてみたい、同時にまた、その事態によって何らかの措置を講ずべき要があるかないか、要否を見たい。同時に、かりに何らかの措置を万一講ずるとしても、いかような方法等があるかということについて、一つ冷静に事態を見ていきたい、こういうふうなことで調査会が設けられたものでございます。従いまして、ひとり農地の問題だといってこれは農政以外の重大問題でございますので、内閣にその調査会を置くということに相なったわけでございまして、この調査会の結論はいかように出るかわかりませんが、農林省としましては、従来堅持しました方針は微動だにしない、くずさない、こういうふうな考えを持っております。
  30. 西村関一

    西村(関)委員 次に水質汚濁の問題でございますが、これは審議会を設けることに相なっておるのでございますが、この審議会の委員の構成につきまして、被害者でありまする漁民の利益を代表するところの委員が多くこの中に入らなければならないと思うのでございますが、聞くところによりますと、その委員会委員の中には全漁連の会長一人しか入らないというようなことを聞いておるのでありますが、これでは、せっかくこの法律ができましても、実際の運用の面において被害漁民の利益がどれだけ守られるかということに対して大いなる疑問を抱かざるを得ないのでございますが、こういう点につきまして、事実はどうなっておりまするか、お伺いをいたしたいと思います。
  31. 奧原日出男

    ○奧原政府委員 水質審議会のことにつきましては、ただいま企画庁内部において人選をいたしておる最中でございます。水産業関係ももちろんこの審議会の中におきまして十分意見が反映できるように人選についての話合いをいたしておる次第でございまするが、ただいま全漁連会長一人という話がございましたが、われわれといたしましては、学識経験者といたしまして当然水産関係に非常に精通した学者のお方にも参加を願う、こういうふうなことに考えておるのでございまして、ただいま全漁連会長お一人というふうなことには相なっておらない次第でございます。なお内部の人選中の人事の問題でございますので、この程度でお許しをいただきたいと思います。
  32. 三浦一雄

    三浦国務大臣 これは非常に重要な問題でございますから、私の所存も一言申し上げます。これは、水質の基準に関する審議会、こういうことになっておるのでございます。そこで、われわれの方としては、これにはその方面のベテランたちをぜひ出して、学術の方面からも強く主張していきたい、こういう考え方でございまして、今水産庁長官からも申し上げた通りであります。しかし、その他の面につきましても、ただ単に技術上の主張をするだけでは事足りるとは考えませんので、なお人選等につきましては企画庁長官ともよくおはかりしまして、できるだけ本法設定の趣旨を貫徹させるように努力いたしたい、こう考えるのであります。
  33. 西村関一

    西村(関)委員 もう一点だけお伺いして質問を終りたいと思いますが、それは派米短期農業労務者に関する問題でございます。これは実は私のところにアメリカにおける関係青年から二回にわたりましてるるその実態を訴えて参りました書面が届いておるのでございます。これによりますと、現地におきましてもかなりこれらの関係青年たちの間にいろいろな問題が惹起されておるということがうかがわれるのでございまして、この点につきましては、すでに一月の二十七日付の朝日に、「カリフォルニア日本人短期農業移民の苦情」という見出しで大きく朝日の記者が取材をいたしておりましたから、大臣もごらんになっただろうと思うのでございますが、私のお尋ねいたしたいと思いますることは、このことそれ自体はけっこうなことなのでございますけれども、純真な日本の農村青年、特に二、三男の対策から申しましても、日本農業に従事しているところの青年が、アメリカの進んだ農業技術を身につけてくる、またアメリカの民主主義を学んでくるというようなことで、非常な期待を持って出かけて参りました者が、宣伝と実際の状態とが大きな食い違いがあるということのために、そこに問題を起しておるというようなわけでございまして、一々具体的な事柄については申し上げる時間がございませんし、大臣もそれらの点については御承知のことだと思うのでございますが、ただ、私が指摘をいたしておきたいと思いますことは、宣伝文と契約書の内容が違う。そしてそのことは、実際の収入の面において大きな開きができてくる。場合によると、三年間働いてもほとんど何も持って帰れないというような者もできてくる。そしてまた、向うにおける待遇は、その施設の面において、食事の面において、最初の宣伝文書とは非常に大きな違いがある。そしてまた、もう一つ問題点は、ここに福祉資金という名目でもって総収入の四%を差し引いておるのでございますが、この四%の福祉資金の総額が、すでに昨年の末において約九千万円、本年度においては一億円をこすというような巨額な費用となっておるのでございますが、これらの使途が明瞭でない。すでに今日まで病気やその他で送還された者に旅費を貸しておるということはございますが、それらを差し引きましても、八千万円以上の金がどう使われておるかということが非常に明瞭でない。聞くところによると、協会の方においてこれを保管しておる面について、この金の使途について、現地の派米されましたところの農民諸君からかなり疑惑の目をもって見られておるというようなことをるる訴えてきておるのでございます。これらの点につきまして大臣は御承知であるかどうか。せっかく計画されましたこの派米短期農業労務者の制度が、国費の補助によって遂行されております今日、こういう問題が起っておるということに対して、どういうふうにこれを善導していくかということ、また、この派米短期農業労務者の協会に対する監督指導というような面に対して、大臣のお考えを伺いたいと思うのでございます。
  34. 三浦一雄

    三浦国務大臣 今の内容にわたりますことは、私も御指摘のあったことはまだ初めてでございます。今までは非常に円滑にいっているように聞いておりました。非常に人数の多い労務者のことでございますけれども関係の局長から事実の詳細を説明いたさせます。
  35. 増田盛

    ○増田政府委員 派米短期労務者の問題でございますが、これの指導監督に関しましては前々からよく注意をしておる次第でございます。この機構は、大体募集、選考、訓練、これが農林省の所管になっております。それから、見地におきます就労機関等は外務省でございます。従いまして、予算等もそれぞれ農林省、外務省と区別されて計上されておる次第であります。そうしてこれは三十一年開始したのでございますが、現在、三十一年度に渡米しておる者が千名、それから三十二年は結局渡米できません。三十三年に三十二年度分といたしまして二百五十名の者が渡米いたしております。三十四年度はまだ具体的な計画ができておらないのであります。  現地の就労事情に関しまして、私どもも非常な関心を払って、これに対しましては監督指導の任にある者が逐次渡米してそのつど、状況を見ておるのでありますが、私どもが三十一年度にこれを県を通じまして農村に周知徹底する場合に、いろいろそこに希望的な観測等がありまして、これに応募してくる者は夢を描いてくる。ところが、実際にアメリカに送りまして、大体の送り先の農場の見当はつけておるわけでありますが、行ったあとで、外務省の出先機関、それから駐在員等の世話によりまして、日系あるいはその他の系統の農場に入るわけでございますが、その方面におきます事情等も食い違いがありまして、いろいろ苦情がありましたことは御承知の通りであります。ただ、収入の面でございますが、最近の調査によりますと、大体一人当り五十万ないし六十万くらいのものは貯蓄しておるようでございます。いろいろ百万程度という話も当初あったのでございますが、それには達しませんが、この程度の金額にはなっておるようであります。  それから、資金の問題でございますが、これはおそらく内地に送ってきている資金だと思います。これは私も実はこの使途に関しまして現在資料がありませんので深く承知しておらないのでございますが、私の聞いておるところでは、これは確実なところの銀行に預金してある、こういうことでございます。しかし、この使途に関しましては、会計上の検査もあったことでございますし、はっきりしておるわけでありますが、後刻さっそくその資料を取り寄せて御報告申し上げたいと思っております。それで、一つその資金の問題について申し上げますが、要するに、今言ったように、外務省の関係ではっきり所管が分れておったのでありますが、国といたしましても、募集・選考しておるのが農林省でございますので、私どもも非常に関心を持っておる次第であります。ただ、送金して参ったその資金に関しましては、私実はこの話を初めてお聞きするわけでありまして、この所管に関しましては、私の方の所管かどうかわからないのでございますが、一応そういう事情は調べてみたいと思っております。
  36. 西村関一

    西村(関)委員 募集の点については農林省に責任がおありになるのでありますが、私が最初に尋ねましたのは、私がここに持っております宣伝書と契約書が食い違っておることです。宣伝書の計算によると約八十万円くらいになるのですが、実際の契約書によって計算すると、何ぼよく計算してみても六十万円そこそこにしかならない。非常な食い違いがある。もう一つは、福祉資金の問題が契約書には出ておりますけれども、宣伝書には出ていないのです。そういう二重の文書、しかも、契約書は、渡航する直前に、続む間もない、読む力もない農民にそのままそこで判こを押さしておるというようなことで、実際そういうところから期待を非常にたくさん裏切られておるという結果が出ておる。そういう募集の面における手違い、これはやはり農林当局の責任だと思います。こういうことも一つ十分な監督をしてもらわないといけない、こう思うわけです。
  37. 三浦一雄

    三浦国務大臣 今の問題は、もう少し事情を解明しまして、そして次の機会に報告を申し、また説明をさせるようにしていただきたいと考えます。なお、外務省の関係にもあるというのでありますが、共同責任でございますから、その方面の資料も整備して説明させることにしたいと思います。     〔石田(宥)委員「所管を外務省から持ってこなくちゃだめなんだ」と呼ぶ〕
  38. 西村関一

    西村(関)委員 今も石田理事が言っておられますように、やはり移民政策の一元化ということを、これは大臣もこの中でその点をうたっておられますが、この点は強く要望しておきたいのですが、こういうことで、責任のなすり合いで、外務省に責任があるのだ、外務省に言えば農林省に責任があるのだというなことで移民問題が進まない。これはもう世界のどの国の移民政策よりも日本が一番おくれておることは大臣御存じの点なのでありまして、その点はことしの政策の中にも出ておるわけでありますから、私はこの機会に強く要望をいたして、時間が参りましたから一応私の質問を終りたいと思います。
  39. 倉成正

    ○倉成委員 ただいまの西村委員の御質問に関連して、派米短期農業労務者の件で、この制度は非常に画期的な有意義な制度であることは私も同感でございます。いろいろ現地で問題がある点は西村委員指摘通りでございます。私は、昨年の三月と四月、二回にわたりましてカルフォルニアの現地へ参りまして、キャンプに泊ってこれらの労務者の方と一緒に生活して参りました。具体的な問題を一々ここで申し上げるといろいろ差しさわりがあろうかと思いますが、現地の方々が内地の両親その他に心配をかけたくないということで、内地には非常にいいたよりをしておられます。が、現実には相当苦しい生活、希望の持てない生活をしておられるキャンプもあることは事実でございます。たとえばキャンプ間の移動がうまくいかないとか、あるいは機械を利用してやる作業が十分できなくて、肉体労働だけに限られてくる、そういうようないろいろな問題、これを一々申し上げるのは今後渡米される方への影響がございますのでいかがかと思いますが、特に大臣にお願い申し上げたい点は先ほど振興局長からお話がございまして、しばしば実情調査しておるとおっしゃいますがやはり責任のある人が現地のキャンプに泊って現地実情を見るくらいの誠意が必要じゃないかということを特に御要望申し上げたい。  それから、もう一つは、ある程度予算的な援助を、——現在の援助ではやはり不十分と思います。これは農林省省当局としてお考えいただきたいというのが、現地を見た実感として私は申し上げますが、一言だけつけ加えさせていただきます。
  40. 松浦周太郎

    松浦委員長 丹羽兵助君。
  41. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 もはや今日までに他の委員から総括的なまた基本的な問題はすべてお尋ねにあったと思いますので、なおまた続けて尋ねようとはしておりません。きわめて部分的な問題を私はたくさんお尋ねをいたしたいと思っております。大臣も一時十分前に何か御都合があるということでありますので、お尋ねしたいのを意見をはさまずにきわめて端的にお尋ねをいたしますので、御答弁をいただく側も一つ答弁で時間を取らぬようにきわめて簡単に要点だけを一つ答弁願いたい。そうでないと大臣がお帰りになるのを待っていただかなければならぬことになりますから、一つ簡単に御答弁を願いたいと思います。  今申し上げましたようにきわめて部分的な尋ねでありますが、やがて問題になってくるであろう食管特別会計について一つお尋ねしたい。  第一点は、三十四年度の予算米価が一万二百五十円であるように承わっておりますが、その算定の基礎を簡単にお知らせ願いたいと思います。     〔委員長退席、大野(市)委員長代理着席〕
  42. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 一方二百五十円はこういう計算であります。まず、三十二年産米の政府支払い平均価格九千九百六十九円に、昭和三十二年七月から昭和三十三年六月までのパリティ指数一二四・三四と三十三年十月のパリティ指数一二二・一四、それの比をかけまして、九千七百九十一円という基本価格が出ます。それに等級間格差の六十七円、包装代の二百十五円、予約売渡申込加算百七十五円、これを合計いたしますと一万二百四十八円になりますので、ラウンドにいたしまして一万二百、五十円、こういう一応の試算で予算米価をきめておるのであります。
  43. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 本委員会でも米価審議会におきましてもずいぶん問題になっておりますが、ただいま承わりました計算によって荘準米価が立てられたのでありますけれども生産費及び所得補償方式による強い要求があったのでありますけれども、それを今承わるところによりますと取り入れられていないのですが、その考え方を承わりたい。  それから、今の話を聞いておりますと、予約米価の減税措置は三十三年米でやめる腹のような計算に見受けられますが、その点一つ承わりたい。  それから、今お答えにありました百七十五円、それは申込加算金百七十五円ということでありますが、それには今までは百円であったのが七十五円の減税措置分が加えられた、こういうことに考えるのでありますが、その七十五円の基礎を承わっておきます。
  44. 三浦一雄

    三浦国務大臣 生産費・所得補償方式の算式を取らぬのかということでございますが、前回にもお答えいたしましたが、この計算式につきましては、実際の採用につきましても非常にきめ手が乏しく、理論的にもきめかねるものでありまして、農林省としましては、米審等の意見もございましたけれども、採用しかねておったわけであります。しかし、この方式等の研究についても、実はストップの状況にあったのでありますが、昨年私はそのなにを前進して研究してみようということで、食管の方にも今研究を命じておるわけであります。なお不幸にしてそのいい結論を得ておりませんが、できるならばその方面においてもいい結論を得たい、こういう段階でございまして、従って、来年度の予算米価をきめます場合には従来の方式を踏襲しておる、こういうことで御了承を願いたいと思います。  なお、減税及び加算関係食糧庁長官から説明いたさせます。
  45. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 御指摘のように、予約加算を百七十五円にしております。これの計算の基礎といたしましては、従来の加算を百円、それから、予約減税を、三十四年産米については予約減税に相当するものを予約加算の方に回したらいい、こういう考え方で七十五円をプラスして、合計いたしまして百七十五円というのを出しております。この予約減税の基礎といたしましては、所得税が十五億、地方税が八億、合計二十三億円が、三十四年度から所得税の扶養控除の引き上げ等によって所得税納入が減る、それに従って地方税の負担も減ってくる、もしかりに従来通り予約減税するとすれば予約減税される額というものは先ほどの所得税で十五億、地方税で八億、合計二十三億と算定いたしまして、それを来年度の予算に計上しております集荷予定数量三千二百万石で除しまして、そうすると七十二円というふうに出るのでありますが、これでは俵当りの計算が工合が悪いので、ラウンドにしまして七十五円という数字をはじいておるのであります。
  46. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 議論になりまするからやめまするが、予約米の減税措置は三十三年米でやめる、そのときにその措置として七十五円を見る、こういう七十五円の算定の方法の基礎でありまするが、今承わっておりますると、きわめて不安定なように、基礎がばく然としておるように私は思いますけれども、またゆっくり後日米価についてお尋ねいたしたいと存じます。  それから、次にお尋ねしたいのは麦でありまするが、ついでに長官に、三十四年度の麦価について、食糧庁は米麦価額の算定の基礎となる農業パリティ指数の基準年次を三十二年から三十四年に改める方針をきめたと数日前の新聞に報道しておりまするが、特に麦の価格については、基準年次が二十五年から二十六年になっておるのには相当な理由があってきめられたと私どもは聞いておる。食管法によって定まっておるのである。この点は相当問題になると思っておりますが、もしそうなるとすれば、このことによって麦価の下るおそれがある。たださえ今日耕作農民は麦が安いと言っておるときであるのに、下るようでありましては問題でありまするが、大臣は、また長官は、この二十五年——二十六年というのを訂正して三十二年なり三十四年にするという、これは法律の改正をしなくてはなりませんが、法の改正までしておやりになるのかどうか、御意思を承わりたい。
  47. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 御指摘通り、これは法律できまったのでありまして、私の方ではこれを変える考えは持っておりません。ただ、パリティ方式を採用する場合に、やはり生産費の構成項目が変ってきておりますから、一体今のままでいいのかどうかという問題を研究しておることはあると思いますが、今変える意思は持っておりません。
  48. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 次に、調整資金の勘定について、まことにこまかいことでありますが、お考えを伺っておきたいと思っております。三十三年度から食管特別会計の経理区分を作って、米麦関係科目から生じたところの損益をこの資金によって会計内部において調整を行うというために、百五十億であったか設けられたと承知しておりますが、それが、三十二年度の決算によって六十七億の赤字が出たと報告されております。その分を取りくずして、残りが八十三億となった。今後取りくずした分の六十七億を一般会計から繰り入れするように要求をせられたと聞いておりますが、それは認められなかった。そのまま八十三億になっておりますが、これで調整資金勘定は本年度門に合っていくお考えかどうか。もちろん政府予算関係上間に合うとおっしゃるでありましょうが、その自信があるかどうかということを端的にお尋ねしたいと思います。
  49. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 調整資金の問題は、食管特別会計の性格から言って、買入れ、それからコスト、販売、この出入りを調整するために置いた、こういうことでありますが、これは一体普通の企業における固定資産に見合う、資本金に見合うものか、あるいは赤字補てんのものか、これを設定するときにいろいろ議論がございましたが、現在までの運用では、それだけ食糧庁の運転資金がふえた、こういう格好になっております。従いまして、御指摘のように、運転資金をふやしますと、これは金利のかからない金でありますから、それだけ食管会計の赤字が少くなる勘定になります。もしこれが減れば、それだけよけい食糧証券を発行するなり国庫余裕金を借りなければならないということになると思います。そういう意味で、私の方は、調整勘定を設けまして百五十億の調整資金を置いているんだから、これを絶えず百五十億あるようにしてくれというのが当初の要求でございますが、結局三十四年度の食糧管理勘定の赤字を見ましてもまだ十七、八億残る勘定になる。そこで、まだ残るのだから、この際は一般会計の総ワクとの関係からにらみ合せてもう一年繰り入れを待ってもらってもいいんじゃないか、そういうことで本年度は繰り入れを見送ったのであります。
  50. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 次に私は予備費について簡単にお尋ねしたいのですが、輸入食糧の勘定において予備費を多く見ております。これは私はどうもおかしいと思うのです。外国産の米麦の輸入数量は、見せかけ上は大幅に減少しておるのです。これは事実減少の数字が出ておりますが、予備費に含みを持たせてできるだけ買い入れをしようというようにも考えられる。五十億からそれが増額されておるが、これはどういうわけか。輸入食糧勘定の買い入れ数量の関係は減少しておるのに、この勘定だけは黒字百九十億——外米が二十八万トン、外麦が百六十一万トンで百九十億、こういうように見込んでおりますが、どうも、見ますと、予備費の積算の基礎というか、これは私どもにはこの会計において了解しにくいのですけれども、そのふえた理由を一つお尋ねいたしたい。
  51. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 まず第一点は、今の輸入単価が、御承知のように、運賃も最低、それから買付先の市況も非常に安い、こういうことになっております。従って、運賃等につきましては実勢を一応予算に組んでおきますけれども、運賃のフレ等も予備費で見なければならない。これが第一点であります。それから、もう一点は、従来でありますと、食管一本の予備費で、どこの勘定にも使えた、こういうことでありましたが、今度は勘定の経理区分がはっきりしまして、それぞれ国内米勘定、国内麦勘定、輸入食糧勘定、こういうふうに分けますと、どうしても予備費を別々にすると多少余裕をとっておかないと運用がむずかしくなる。この二つの理由から予備費を多くしております。
  52. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 食管法の点について最後にもう一点お尋ねしておきたいのです。農産物勘定でありますが、カン澱、バ澱等予算上の数量は相当見込んでおるようであります。これは数字が示しておるのですが、その予算上の買い入れ数量を大幅に見込んでおる理由を承わりたい。これはむしろある程度過去の実績というものを基準にして立てるべきではないか。それと、そういうことを申し上げますわけは、現在政府の手持ちが約四千万貫あるというように聞いております。このストックはどういうように処理するのか。そういうストックを持ちながら、今度相当数量の買い入れを見込んでおるが、これを一つ伺いたい。私は今予備費の計上というか計算について長官から承わりましたけれども、そういう点から考えましても非常に明確を欠く。何かその間においてもやもやしておるようなものがありますが、それだけ大きなストックがあるのにかかわらず、また農産物の買い入れを非常に多く見ておる。こういう点を承わりたい。  と同時に、大臣一つ承わっておきたいのですが、食糧庁の考えておりますように、本年度大麦においては五十八万八千トンの輸入が一体必要であるか。それから、小麦なんというものも相当増産されるようになり、農民はこれの増産に努力しておりますが、なお本年度は二百七万四千トンを見込んでおります。こういうものを入れなかったならば、わが国の食糧というものの解決ができないのか。これは世間でいろいろ言われておりますから、一つ大臣から承わっておきたいと思います。もう一つ余剰農産物協定を今後大臣は締結されるおつもりであるかどうか、これらをあわせて伺っておきたいと思います。
  53. 三浦一雄

    三浦国務大臣 澱粉の買い入れについては食糧庁長官から説明いたさせます。  大麦それから小麦等の輸入量でございますが、やはり国民生活を安定させるためには食糧の安定ということが非常に重要なことでございまして、需給の事情からこの程度はやむを得ない。私の信念としましては、国内のを増産しましてなるべく輸入食糧を減らしたいという存念ではございますけれども、ただ一片の主観的な見方をして、そして国民生活全体の安定を欠いてはいかぬ、こういうようなことで、これは需給上のことからさような措置をとったのであります。  それから、余剰農産物の受け入れにつきましては、私はただいまのところこれを受け入れる考えはございません。
  54. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 澱粉の買い入れ数量を三十四年度ふやしたことについて御説明申し上げます。これは、私の方で、澱粉の生産見込み、出回り数量を勘定しまして、澱粉の需給関係から言ったら、この程度はいよいよ詰まったら買わなければならぬという数字を今までの調査でもってはじいておるわけであります。そこで、なぜ去年よりふやしたかという問題でありますが、これは、昨年の秋カンショ、バレイショの価格をきめるときにも、これを将来どうするかということで非常に問題になりまして、やはり、一つは、調整団体で自主的調整をすることを主にして、できるだけそこで処理できるようにしたらどうだろうということであります。しかし、それにしましても、最後の締めくくりが調整団体で調整できなかったときには、政府あとしりぬぐいしてくれるということをはっきり約束してもらわなければ、危なくてやれない、これはもっとものことでありますから、計算に基きました数量をそのまま計上しておるのであります。これを買うということになるとあまりおもしろくないのでありますが、しかし、いつでも買い入れ態勢を整えてその準備だけはしておこうということであります。
  55. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 次に森林資源の育成に要する経費のうち、造林事業についてお尋ねいたしたいと思います。大臣の御説明の中に、造林事業の拡大を目途として一般会計より造林資金として農林漁業金融公庫に出資し云々と申されておりますが、なるほど三十四年度は三十三年度より金額においては約七億円の増加となっておりますが、面積においては一向増加に見るべきものを示しておりません。その上造林資金を補助金より融資へ三十三年度の約一割の二万七千町歩を切りかえておりますが、なぜこういうように補助金よりも条件が悪い融資の方にお切りかえになったか、大臣の所信を承わりたいと思います。
  56. 三浦一雄

    三浦国務大臣 仕組みを変えましたことにつきましては後ほど御説明させますが、今回資金の面について重大な内容の変更をしておることは御承知の通りであります。従来は五年の据え置きであと十五年の年賦償還、これでは造林、森林資源の涵養に適さぬことは御了承下さることと思うのです。そこで、今度は二十年間据え置きまして、その間に間伐を上げ、そうして利用率を高めたときに償還していくということでございますから、これは造林等には最も適する措置だと思うのでございます。従いまして、資金をふやし、条件を緩和しまして、そうして森林組合その他の造林を促進して参りたい。同時にまた、造林費を転換しましてそっちの方に向けたということにつきましては、林野庁の方から説明させます。
  57. 山崎齋

    ○山崎(齋)政府委員 公共事業費におきまする造林費は、大体三十四年度、三十二年度と金額におきまして同額でありますが、面積は先生が今御指摘になりました通り減少しておるのであります。その理由といたしましては、御承知の通り、造林事業の補助の単価について検討いたしますと、その大部分がいわゆる人夫賃ということになるのであります。それが従前におきましてはわずかに二百六十五円の積算から出発しておるのでありまして、自家労力等を使ってやるにいたしましても、この単価では現実にあまりにそぐわないという実態にあります関係上、われわれといたしましては、三十四年度は当然単価の値上げをまず考えるべきではないかということに重点を置きまして、これを二百八十五円の線にまで値上げをするということに力を入れましてこの予算を編成したという関係でありまして、今後におきましても、この単価を前提として、また事業量の拡大に極力努力したいというふうに考えております。
  58. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 ただいま御説明にもありましたように、面積においては全然ふえてない、ただ単価においてふえた、こういうことでございまして、せっかく大臣が造林事業の重大性を考え事業拡大を目途としておられるその御説明にはなっていないと私は考えるのであります。と同時に、大蔵省自身が、予算説明の中の造林のところで、二万七千町歩を融資に切りかえたと言っておるのです。だから、あなた方が何とおっしゃろうとも、これは美辞麗句を並べるだけで、実際には造林事業の拡大にはなっておらぬと私は考えるのであります。  それらの意見はまた後日やることにいたしまして、それでは、この出資に関連いたしましてお尋ねしたいのですが、農林漁業金融公庫とこの七億というものとの関係云々ではありませんが、そういうことと幾らか関連しておりますからお尋ねしたいのですが、今申し上げた公庫と開発銀行等よりの継承金の現在について若干お尋ねしたい。法の第四条第一項による資金となる第三十二項によるところの金額は一体どうなっておるか。わかりやすく申しますと、出資になるもので継承した払い込み金額と回収した金額、こういうものは一体どうなっておるか、どの程度の回収金があるのか、またどの程度残っておるのか、見返り資金と開発銀行の関係、復金との関係、それを一つ詳細にお知らせを願いたいと思います。それはただいま資料の持ち合せがないかと思いますので、ここで承わろうとは考えませんが、この点は委員長にもお願いしておきますが、今申し上げたように、どの程度の回収金があったのか、またどの程度残っておるのか、見返り資金と開発銀行の関係、復金との関係を、別々に事こまかに一つ資料として出していただきたいと思います。そうしてまた、その中に償却高というものがあるはずでありますから、私は調べておりますが、その償却高はどのようになっておるか、そしてそれは何を基準に償却せられたか、会社で言いますならば差損金に相当するものでありますが、これがどうなっているか。先回もありましたように、政府では開拓者にはどんどん返すように取り立てを請求しておる。ところが、こういうようなものは返されていない。私はその数字を持っておりますけれども、そういうものを、もしここで御答弁いただけなかったら、資料でけっこうでありますから、事こまかに、どういう部類のものが返されて、どういう団体のものが残っておるのか、どういう事業体が現在償還していないか、こういう点を詳細にお知らせを願いたい、こう思っております。御答弁をいただければけっこうでありますが、御答弁をいただけなかったら資料で要求したいと思います。
  59. 大野市郎

    ○大野(市)委員長代理 丹羽委員に申し上げますが、大臣は十分前に御退席という初めからのお約束がありましたから、ただいまの御質問の事項は資料として当局から出していただくように取り計らいますから、さように御承知をいただきたいと思います。なお、時間がそういう工合で一ぱいになりますが、御結論は一つ急いでいただきます。
  60. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 せっかく委員長からのお話でありますから、承知いたします。  次に、先ほど西村委員からもお尋ねがありましたが、愛知用水関係であります。  農地局長は三十五年度に完成するというお話でありまして、大臣もさように考えておいでになりますが、もし万が一この変更がある、あるいは工事費の変更がある——第一次に私どもが法案を審議いたしましたときと、それから第二次に農林省が変更いたしましたときと金額も相当違っております。私その数字も持っておりますが、時間の関係上申し上げませんが、それらの十何億という負担がほとんど農民にかかってきておる。こういうことからして、万が一やれぬときには、——やれるとおっしゃるでしょうが、やれないときはその資金はすべて国が負担して農民にはかからないようになってくるのか、そういう点を一つ大臣からお聞かせ願いたいと思います。
  61. 三浦一雄

    三浦国務大臣 先ほど、工事完了の見込みにつきましては、所定の期間内に完成いたしたい、こういうことでございますので、各般の困難等もありましょうけれども、極力所定の期間に完了したい考えであります。その後における善後措置、なかんずく負担の問題でございますが、これはそのときになってみませんとわからぬことでございますが、できるだけ従来の考え方を堅持しまして、負担のあまりかからないように、そして公団を設立した趣旨に合うような方向に持っていきたい、こう考えております。
  62. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 愛知用水関係でもう二点お尋ねしておきたいのですが、愛知用水の法律を作ったときの性格とだいぶ変って参りました。そこで、第一にお尋ねしたいのは、農地転用でありますが、大都市名古屋の周辺にこういう用水ができまして、食糧増産のために灌漑水として使われるでしょうが、それに伴って既耕地の転用がやかましく言われております。中には愛知用水負担金を完納するまで農地の転用ができないというようなことで、世間では愛知用水工事の進捗にそのこと自身が非常に支障になっているといわれております。これは許されないことでございますが、愛知用水の受益地内、特に既耕地等において農地の転用をなさるのか、それとも愛知用水工事費負担金が完了するまで農地の転用を許可なさらないのか、その点を一つ承わっておきたい。  それから、現在愛知県と三重県が血眼になって東海製鉄誘致運動をやっております。このきめ手は水の問題です。愛知用水の水を渡すということになりますれば、当然愛知県が有利になります。あるいはそれを渡さないということになりますれば三重県が有利になるのですが、この点大臣のお考えを承わりたい。事と次第によりましては愛知用水そのものの今後の進行の上に、住民として、農民として重大決意を——先ほど西村君の言われたように、態度をはっきりしなくてはなりません。そこで、一体愛知用水の水を将来できますところの東海製鉄に売り渡すのかどうか、その点をはっきり一つ聞かしていただきたい。先年なくなりましたが、大津副総裁はこの問題については言を左右にしてはっきりしておりません。この点一つ承わっておきたいと思います。
  63. 三浦一雄

    三浦国務大臣 農地転用の問題でございますが、これは国費を相当投じてやることでございますから、これは所在の農民諸君に耕地を与えたいというのが念願でありますることは御承知の通りであります。しかし、事情もだんだん変ってきた場合に、しからばどこまでも他に転用することを拒否しておるかと言いますと、いろいろな事情の場合には利益勘定をいたしまして転用もしておるわけでございます。ただ一般的に、愛知用水公団関係地区を許すとか許さぬとかいうことを抽象的、一般的にお答えすることは不適当だと思うのであります。それは実地に即して具体的な事情を判断の上、最終的に決定すべきものと考えます。  それから、用水の問題でございますが、製鉄を予想して水を計算してあるのか、あるいは耕地関係、さらに若干の工業用水は供給するようになっておると聞いておりますが、かりに公団計画に当初から予定しておらぬものをやれと言いましても、これは御無理な要望だろうと思うのです。それは実際に即して判断しなければならぬと思いますが、ただいま私はその事情をよく存じませんから、補足して農地局長からも答弁さしていただきます。
  64. 伊東正義

    伊東政府委員 東海製鉄の問題でございますが、この問題につきましては、実は愛知県から公団に対しまして、公団で作る幹線水路を使用させてほしい、水は、従来の工業用水に割り当てました水と、さらに、毎秒五トンという数字を言われておりますが、ほしい、しかしそれは愛知用水農業用水には影響のないような方法で自分の方からとって、水路だけは愛知用水の水路を使わしてほしいという話はございます。一方、三重県の方から実は農林省に対しまして、まだ東海製鉄とはっきりしたことではございませんが、今の愛知県の話が名古屋の新聞等に出ました関係で、その新聞を見て、愛知県がそういう余った水を持っていることは下流県としては非常に農業用水関係からも問題だ、また東海製鉄を三重県ということを県側が考えた場合にも非常に問題があるので、これは無関心ではあり得ないということを、まだ文書ではございませんが、口頭で話がございます。そういうような段階でございまして、愛知県から公団に、水路を使わしてほしいという申し入れがあるのでございますが、これは非常に下流の岐阜県、三重県の問題にもなりますし、愛知用水公団自身の計画にも非常に関係のある問題でございますので、われわれとしましては、慎重に検討した上で、どういう御返事を愛知県にするか、まだこれは検討の段階でございまして、何ともきめてはおりません。
  65. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 大臣、大へんお忙しいところ恐縮でございますから、簡単にお尋ねします。  小家畜振興策でございますけれども大臣の今度の御説明では一向深く触れておられません。しかし、わが国の農家における小家畜は非常な重要なものでございまして、政府は養蚕において手を焼き、酪農においては、もちろん将来に明るい見通しはありましょうが、今のところとやかく問題が起きておるようでございます。そういうときでありまするから、めんどうだと思われておるのか、小家畜、特に養鶏というものについて政府は一向力を入れておられませんが、昔から鶏百羽飼ったら大学を卒業できた。どんな百姓屋でも鶏を飼っていないところはないのであります。特に、三十四年度から国民年金が行われるといたしましても、現金収入のきわめて乏しい農家にとっては養鶏ほどけっこうなものはないのでございます。その養鶏が今きわめて不振であり、不振というよりも不安定であります。そこで、先回養鶏振興法について法案が出され、目下政府でも研究中であるというようなことを漏れ承わっております。農家はこの法の出ることを一日千秋の思いで待っておりまするが、内容は別といたしまして、政府は養鶏振興をはかるもとにおいて何か措置を講ぜられると言っておられる以上、法案をいつごろお出しになるのか、承わりたいのであります。  それから、酪農振興法の一部改正でありますが、これは前々からわが党におきましても社会党におきましてもやかましく言っておる。酪農家が安定するために酪農振興法の一部を改正してくれ、今のところ大企業、大メーカーに押えつけられ、非常に酪農者は困っておりますから、もう少し安定した行き方がしたいというので、酪農振興法の一部改正を迫っておりますが、これまたどうしても出していただかなければならぬと願っておりますけれども政府はどのようなお考えをお持ちか、承わりたいと思います。
  66. 三浦一雄

    三浦国務大臣 私からお答え申し上げます。  養鶏振興の問題につきましては、国立の施設を拡充するということと、民間の優良種鶏場の孵化場を育成するということは焦眉の急であると考えるのでございますが、三十四年度にはとりあえずこの任意登録制を進めるということにいたしております。  なお、養鶏振興法の提案の問題でございますが、前国会におきましても議員立法として御提出のございました経緯にかんがみまして、農林省でも極力この振興のための検討をいたしております。まだ結論を得ておりませんが、御趣旨に沿いたい考えで進んでおります。  それから、酪農振興法の改正は、前国会におきましても申し上げました通り、ぜひ出したいということで準備しておりますが、まだ各省との間の話が若干まとまっておらぬ点がございまして、私の所存では、おそくとも二十日の閣議決定で提出の段取りをきめたい、こう考えておりますが、内容等につきましては後ほど政府委員から説明申し上げます。
  67. 大野市郎

    ○大野(市)委員長代理 丹羽委員に申し上げますが、約束しました時間を過ぎましたので、午後に回していただきます。  この際、石田委員より資料提出の要求がございますので、石田君。
  68. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 食糧庁長官にちょっと資料要求をしたいのです。内外米麦の需給見通し数字を一つ出していただきたい。それから、さっき僕がちょっとメモしたのですけれども予算米価一万二百五十円の内訳を出してもらいたい。それから、もう一つ食糧庁長官はきわめて簡単に予約減税の所得税該当分十五億で、住民税該当分八億円だとあっさり言っておられるけれども、この数字の基礎はきわめてむずかしいはずなんです。それと、この数字のはっきりしたものを、どういう積算で十六億と八億というものになったか、その内容一つ出していただきたい。それだけです。
  69. 大野市郎

    ○大野(市)委員長代理 午前中の会議はこの程度にとどめ、午後は二時三十分より再開し、質疑を続行いたします。  これにて休憩いたします。     午後一時九分休憩      ————◇—————     午後二時四十八分開議
  70. 松浦周太郎

    松浦委員長 これより再開いたします。  休憩前に引き続き大臣に対する質疑を続行いたします。丹羽兵助君。
  71. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 次に、私は韓国ノリの輸入計画について、御計画が立っておりますれば、承わりたいと思います。昨年秋ごろに韓国ノリの輸入が大へんやかましくなって参りました。それに対して、われわれは、国内生産の立場から考えて、この輸入に対して極力阻止したものでありますが、そのことのためか、特に昨年の秋から暮れにかけましてノリの価格が非常に高くなって、消費者にとって思いがけない大きな負担となっておるわけでありますが、果してそれが高くなって生産者がそれだけの所得があったかと申しますると、漁民である直接の生産者、これは一向所得が上ってない。どうして消費価格は高くなり生産価格は上ってないかということを研究しますると、韓国ノリの輸入が、政府計画が途中で変って、ある程度阻止された、こういうことからその結果を生んで、問屋等においては思いがけない利得を上げておる人があるのですが、途中で計画が変って下げたりすることが、そういうようないろいろ予期せざる事態になって参りまするので、政府としてはきめた計画通り進めていただかなくちゃならぬと思いますけれども、その点について、現在のところどのように計画を立て、お考えになっていらっしゃるか、大臣でなくとも関係者でもけっこうでありますが、お知らせをいただきたいと思います。
  72. 奧原日出男

    ○奧原政府委員 韓国ノリの輸入に関しましては、かねてから立てておりまする方針、これは国会からも申し入れがありました方針でございますが、非生産期に一億枚を限度として輸入をする、こういう方針を今後も堅持して参りたい。また、これが配給につきましては、需給調整協議会の意見を尊重する、こういうことで進めて参つりたい、かように考えておるのでございます。ちょうどただいま生産期でございまして、ことしは非常な豊作の気がまえでありまして、産地の相場は昨年に比べれば相当弱含みでございます。そういう状態でございまするので、今、今までの方針を変える考えは持っておらない次第でございます。
  73. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 そうしますと、計画通り本年も一億枚入れる、こういう御計画でございますか。
  74. 奧原日出男

    ○奧原政府委員 これは商取引の問題でございます。国といたしましては、年間一億枚を限度としまして非生産期に入れるというワクを一応取りきめておるだけのことでありまして、それだけのものが果して入るかどうかということは、商取引その他いろんな情勢によって定まって参つるかと、かように存ずる次第でございます。
  75. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 そういうように政府が途中で変更したり変ったりするということは、ひいては生産者がたたかれる非常に大きな原因になってくるのでありまして、ただいまも申し上げましたように、昨年その一億枚というものに入れるか入れないかということは、市場価格に非常に大きく影響し、ひいてそれが上っただけある程度生産者にいっておるならば、これはもうやむを得ぬことでもありましょうが、お調べになっていらっしゃるでしょうが、生産者というものの価格は全然上っていない。それが、消費者は非常な高い価格で入れなくちゃならない。それが韓国ノリが入るか入らぬかという政府調整によってそういう現象を生むのですから、そういう制度の上においてはやむを得ないかもしれませんが、とくと考慮をせられる御意思があるかどうか、その点をも重ねて承わっておきたいと思います。
  76. 奧原日出男

    ○奧原政府委員 私は、今のノリの生産から消費までの流れの状況が決して合理的にいっておるとは考えておりません。生産者の共同販売もまだ非常に不徹底でありまして、また、都市内部におきまする流れも、もっと門戸を開放して合理的にやっていく必要があろうと、かように考えております。また、韓国ノリそのものの扱いにつきましても、私は、今のやり方自身につきましても、需給調整協議会におきまして十分再検討して、もっと合理化することに努めるべきではないか、かような考え方を持ちまして、関係者の指導をいたしておる次第でございます。
  77. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 次に、今年度の予算に上っておりまする農業拓植基金について大臣お尋ねをいたしたいと思いますが、移住者の財産処分及び移住資金等の調達のために農協系統資金を使用することとして、これがために中央及び地方に農業拓植基金というものを設立して、債務の保証及び再保証を行う、こういう制度を作るという考えで、これに要する経費三千万円が上っておりまするが、一体その受け入れ態勢というものがどういうものであるか、事業計画というものは一向わかりませんが、受け入れ態勢とか事業計画、それから民間側の出資が考えられておるかどうか、なおまた、これによっていかに移住者の財産処分を行い、移住資金を調達していこうとするのか、また、今後募ろうとしておられる拓植基金の性格というものをはっきりしていただきたい。保証の倍率等々。また、基金の役員なんかもおきめになっていらっしゃるが、予算が組まれております以上は考えておられるでしょうが、その役員になる者の性格だとか、あるいはそのなった者の責任、こういうことを一つお聞かせいただきたい。私の考えでは、こういうことは少くとも三千万円の金を国民の血税によって出資することになるのでありますから、法律をもってその内容を明らかにしておかれた方がいいんではないかと思う。こういうばく然たる予算の組み方といいますか、一向われわれにはそういう基金の制度というようなものははっきりしてない。それに金が出たりなんかするということはいわゆる農業団体にいつも問題を起しておりまする補助金のやみ取引のような気配がある。大臣は、こういう予算を要求しておられる限りにおきましては、この基金というものをはっきりと国会を通じて性格を示しておかれた方がいいと私は思いますので、お尋ねをしたようなわけでありますが、この尋ねました点に御答弁を願いたいと思います。
  78. 三浦一雄

    三浦国務大臣 拓植関係の基金を設けてやりたい、こういうことで予算に組んであるのでございますが、実は本年度から移住問題につきまして従来の扱いをもう少し改善をしていきたいということで、昨年の八月に移住振興対策というものを関係省のところで話し合いまして、まず国内でやります問題と海外でやります問題を分けて考えて、国内での問題は、移住者の募集であるとか選考であるとか、あるいはこの人たちを訓練するというようなこと、同時にまた、来年度は大体一万人程度予定しておりますから、この人たちが海外に出ますといいましても、農家のことですから、家屋を持っておる、若干の資産も持っておる、こういうようなことでございます。こういうようなものの跡始末をつけずにはなかなか出ていけない。そこで、出ていく人たちに後顧の憂いのないように、同時に関係の農協等も心配してやらなければならぬ。そこで資金等も要るわけでございますが、その際といえども、やはり一つの信用制度によりまして、保証制度によって円滑を期したいというのがわれわれ基金制度をやりました本旨でございます。ただ、基金をすることについての機構をどうするとか、あるいは運用をどうするかということでございますが、ちょっときょう関係の者がおりませんから、後ほど資料として差し上げるようにさせていただきたいと思います。
  79. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 後ほど資料としてちょうだいいたしまして、政府のお考えも知り、また私ども考えを述べたいと思っております。大臣のおっしゃいましたように、機構及び運用等について詳細なる資料をお出しいただくようにお願いをしておきます。  次に申し上げたいのは、農林中金の調整勘定の閉鎖に伴いまして、これまでの調整勘定の益金処分についてお尋ねをいたしたいと思いますが、その益金は二十七億から三十億と予定されておる。この益金を漁業団体育成のために有効に利用するように昨年の春以来与野党とも叫んでおりまして、重大な問題になっておるのであります。しかるに、政府は、社会党の反対があったにもかかわらず、三十億円を昨年末の第二次補正の財源に、勝手にというわけではありませんが、使われた。その当時社会党は相当反対をされたのですが、その際政府当局、農林省は、その果実相当額といいますか、金利五分として一億五千万円ぐらいになるでしょうか、これは必ず確保して、農業漁業団体の活動促進費として三十四年度予算には計上する、こういうようにお話がございました。それはもう天下に約束した事実であります。また約束せられたはずでありますけれども、三十四年度の予算を見ますると、その行方は全く不明であります。どこに出ておるかわからない。農林漁業団体の職員の教育費だとか補助金等に一千万円そこそこ新規に計上されておるが、これによってただいま申し上げた益金の相当額が有効に使用されておるなどとは私どもは絶対に考えられない。こちらの確保してある金を、政府が都合によって、予算が組めないからといって持っていって、それを農民のために使うことを約束しておいて、これが今日三十四年度の予算には見つられないというようなことでは、実に残念というか困りまするが、農林大臣は一体どういうお考えか、承わらしていただきたいと思います。
  80. 三浦一雄

    三浦国務大臣 ちょっと詳しい経緯を官房長から説明させますから、一通りお聞き取りを願います。
  81. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 ただいま御質問にありました農林中央金庫の調整勘定の閉鎖に伴いまして、益金が約三十億、その使途につきまして、これを別途に振興基金というふうな構想によりましてその果実を農民関係の団体の活動費に利用していきたいという案を、今御指摘になりました通り、われわれの当初予算当時において考えておったわけでございます。ところが、三十億といいますと、金利五分といたしまして果実が一億五千万円になる。この一億五千万円のそれぞれの活動費目につきましては、従来とも中央会あるいは農業団体その他の活動資金に一部充てられておった、予算上計上されておったものもその中に包含されておったわけでございます、それらも含めまして三十億の基金を設けて、その基金を年々の果実として活用していきたい、こういうことであったわけでございます。同時にまた、この三十億につきましては当初予算のときにわれわれの考えておりましたのはこれを一般会計から農林漁業公庫に出資いたしまして、その公庫に出資いたしました金利によって別個に基金を設ける、それによって果実を利用する、こういうことであったわけでございます。  その後三十四年度予算につきまして大蔵当局と折衝いたしました経緯を申し上げますと、この三十億を公庫に出資するといたしましても、金融機関である公庫が団体の活動費等にその生んでいきます果実を支出するということについては、金融機関の性格としてもこれはもともと非常に性格が違うものであるからということで大蔵当局の方の了解を得なかったのでございますけれども、しかし、予算の結果におきましては、この果実一億五千万円というのを大体一億程度にいたしまして、そうして一億程度の活動費を予算の中から支出するということにいたしまして、補助金を計上するということにいたしたのでございます。従いまして、一億五千万円の中に入っております団体の活動費のうち約一億程度は、一般会計の予算として支出するということにいたしたのでございます。具体的に申しますと、農協中央会に対する活動費、それから農林漁業団体の職員の通信教育施設の補助金、それから漁業協同組合の職員養成施設の補助金、森林組合の職員養成施設の補助金、拓植農協に対する補助金、これを合計いたしますと九千八百五十万円、約一億ということになるわけでございまして、われわれといたしましては、今後ともこの活動費は年々計上して参りたい。従って、三十億という形で基金を設けるという構想は、予算折衝の過程において形を変えまして、結局基金で予定しておる活動費を一応毎年一億ということで計上するということにいたした次第でございます。  なおまた、補正予算においてこれを財源として提出したことについて、従来の経緯からおかしいではないか、こういう御質問があったのでございますが、これは、その当時におきましても、要するに法律上国に納めなければいけない、金に端的に言いますと色がついていないものでございますから、これは一応補正予算には財源として計上するけれども、しかし、農林当局としては、これで全部が解消したものではないということをはっきり大蔵当局とも申し合せて、このような操作をいたしたわけでございます。
  82. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 これは、もっと時間をかけて、私どもは、政府考えておることが正しいのか、今の御説明をもって了とすることができるかどうか、また私が考えておりまする考え方が受けるのかどうかは別といたしまして、今の説明によりますれば、これはもう当然政府としてその果実益金として見る相当額から出すべき筋合いのものではない。数字は一億そこそこなんでしょうが、これは当然一般から出炭すべき筋合いのものであって、それをもってそちらの方と相殺勘定をしようということは、私どもとしては納得ができない。これはどうしても納得ができないと私は思いますけれども委員長や両党で申し合せになっております私の質問の時間が制限されておりますから、また後日に譲ることにいたしますが、しかし、大臣は、もちろんそれで了承せられるでしょうが、大蔵省に承知しつつだまされておいでになるかもしれませんが、こういうことを三十五年度以降においてもとっていかれるかどうか、私はそれを一つ承わりたいと思うのです。先ほど森林造成のことにつきまして私は大臣お尋ねをした。なるほど、大臣の御説明では、造林は重要だから大いに拡大するというような声明をしておいでになる。予算にはふえたのだ、こういうふうに言っておいでになりますが、決してこれなんかは、補助単価はふえたに違いありませんが、造林区域というものはふえてない。そうして大蔵大臣は何と言っているかということ、あなたは予算をふやして造林拡大だと言われまするけれども、大蔵大臣は、おれの方は融資と切りかえしたのだ、こう言っているんです。ここらでも、われわれのいう、大臣と大蔵大臣との考え方が違う。ちょうどこれと同じことなんで、こんな金は当然そちらから見るべきものであって、その果実の捕捉というものは全然見られていない。全く詐欺にかかったようなものです。この詐欺にかかったと同じようなことを、大臣、今後やっていかれるか。それならば私どもとしては承服しかねる点を見出すのでありますが、大臣の御所信を承わりたいと思います。
  83. 三浦一雄

    三浦国務大臣 これは、今官房長はありのまま説明申し上げたのですが、この過程に至ります間に、やはり農業団体方面の意向も徴しております。いろいろ話し合いもしておる。三十億程度、これは法律的に言えば当然返さなければならないのですけれども、これに因縁をつけたなには、農業政策の方に使ってほしい、こういうことできたわけでございます。しかし、農業団体では、せめてその出てくるところの利子分だけでも、監査であるとか研修であるとか、そういう方面に使ってほしい、こういうことにもだんだん話し合いを進めまして、そこで、それを官房長が話したような仕組みにするか、あるいは一般財源としてもらってそれに充てるかということになってきたわけでございます。でありますから、農業団体の希望している点は、金額については多少の出入りはございますけれども、おおむねその要望をいれたことにもなっておりますので、これは決して詐欺にかかったとかいうようなわけではなかろうと思います。
  84. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 受ける方と出す方との見解の相違で、私はあくまでそういう考えを持っておりますが、与党である私が大臣とそういつまでもやっておるわけにいきませんので、またの機会にもう少し勉強して大臣との意見の相違を考えてみたい、こう思っております。  次に、もう一つ二つお尋ねしたいのですが、今、政府、特に農林省関係で、地方庁に頼む、地方団体に委託をして仕事をやらせるというのに非常な手落ちがあるのです。たとえて申しますると、農業普及員の人件費とか、その地区の普及事務所の運営の補助金等について考えてみますると、昭和三十三年の四月十五日に出ました法律第五十八号でありますが、農業改良助長法が一部改正になりまして、十月一日をもって農業改良普及所がきっちりときめられたのであります。そうして、人件費及び地区の普及所の運営補助金というものは、法律第十六条の三の規定によって、国庫補助が三分の二の運用をするということに解釈されておりまするが、非常に基準の額が低いために、市町村、またはひどいのになりますると単位の農業協同組合が、もっとひどいのになりますると地元の農民がこの事務所の経費を負担しておるというようなことを農林省は一体御存じかどうか。全く農民のために作った普及所の普及員に対する経費が、県や市はもちろんのこと、今言ったように、地元の農協ならまだしも、農民までもこの事務費を負担しているというのが多いのですけれども、一体これでいいのかどうか、こういうようなことが実際国としていいと考えておいでになるか、それを一つ承わりたいのです。  それから、先日もどなたからかお尋ねがあったと記憶しておりまするが、農業協同組合法の第九十四条によって、県区域末端の農業協同組合に対し県は検査を実施しなければならないことになっておるわけであります。健全な発展をはかる上においてこの検査の奨励はもちろんおろそかにすることはできないのでありまするが、検査の実施に努力をしておるところであってもその検査員が非常に足らない。検査の実施に万全を期するその検査員の数を確保する措置が全然講じられておらない。だから、健全なる農業協同組合にまた不正の起きないように指導しよう、検査をしろということになっておっても、ひどいのになりますと二年目くらい、もっとひどいのがあるかもしれません、そういうことで検査をやったことにしておる。だから、今日農業協同組合にはいろいろの不正が起きたり、不正とは言いませんが、あやまちが起きる。だから、もっとこれは指導しなくちゃならぬ。農林省は法律を作りながら一向これらに対してできるような予算措置をそれぞれの地方に対してしていないのですが、こういう点を一つ大臣にしろその他の方でもけっこうでありますが、お聞かせ願いたいと思います。
  85. 三浦一雄

    三浦国務大臣 普及員のセンターであります普及所等の経費を農民自体に負担させているという引例でございますが、実はこれは初めて聞いたのであります。かような実態でございますならば非常に問題でございまして、よく事情を精査しまして対処いたしたいと思います。同時に、検査員等の問題でございますが、これは農林省で一部助成して職員を配置しておったのでございますが、今度は、この検査員等は一部公共団体の負担すべきものだというふうな考え方から、一部公共団体のなにとして交付税の方へ回した分はございますけれども、われわれはこれで十分だとは考えておりません。従前の組織によりまして農林省その他におきましても組合検査員、検査官等の制度が相当拡大しておったのですが、だんだん発達するにつれて、やはり自然にそういうようなことのないように防止する、先ほど御論議がありましたいわゆる自主的な監査制度をやるとか、あるいは組合の研修を重ねるというのもその一端でございますから、両々相待ってその検査の周到を期していきたいと考えます。
  86. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 次にお尋ねいたしたいのは、先回他の委員からお尋ねがあって農地局長から御答弁がございましたが、この御答弁では私はあきたらないものを感ずる。それでは満足しかねまするので、特に大臣に承わりたいと思いますが、それは、入植開拓者、開拓農民であります。これの経営の安定に関して、安定というより現状大臣に救っていただかねば、せっかくここまで努力して参りましても開拓者は逃げ出さなくちゃならない、逃げ出すにも逃げ出せない、こういう状態に実際あるように見受けられます。特に、開拓者は、いろいろの種類、いろいろの時期に金を借りておる。この金の返済に全く混乱しておる。営農しつつ、百姓しつつ、こういう金の返済はいつだ、こういうときに返さなくちゃならぬというので、非常に複雑なために、開拓組合ですら困っておる。また、返す金すらない。先ほど私が申し上げたように、一方事業者に貸した方の金はこげつきになっておって、しかも返させずに待っておる。政府はそれを認めておられる。認めてというか、返さぬでもやむを得ないという態度をとっておられる。しかし、このかわいそうな哀れな開拓者からは無謀に取り上げようとし、非常に強く請求しておいでになる。今の開拓者は政府から借りた融資を返済するどころじゃない。これは言うべきことではないかもしれませんが、実情はそうなんです。それから、今申し上げたような複雑な借り方で、全く困っておりますが、これを統一して救おう、あるいはこれを当分の間たな上げしておこう——先般農地局長は、自作農創設資金でそちらの方で措りかえをするのだ、こういうようなお話でありましたが、そんな借りかえどころで開拓農民は立ち上っていけないのです。できたら、当分の間全国の開拓者に返済を待ってやるというか、たな上げを当分する、これくらいの思い切りのよい政策を農林省はとっていただきたいと思いますが、これには大蔵省もごてごて言うでしょうけれども農民の父として特に農民に親しまれ理解を持っておられる三浦農林大臣は、この開拓者に対してあたたかい恩愛の気持を持って処理されようと努力をされておるかどうか、承わりたいと思います。
  87. 三浦一雄

    三浦国務大臣 開拓地の問題は、特に不振開拓地区についての対策は非常に私も心配しております。来年度におきましては、とりあえず八千万円の保証基金を増額いたしまして、そして第一に態勢を整備したい、こう思います。同時に、今までの計画によりますと、七割程度開拓民から返還させるという計画だったそうであります。これは実際に合いません。従いまして、これは極度に切りまして、そして経営の弾力のある方面からの返済を期待してこれを三割程度にとどめる。政府からの八千万円の基金を増額しますから、この信用保証の制度も拡大して参る。同時に、不振地区におきまして、しさいに見ておりますと、道路がなかったり、あるいは電気の導入がなかったり、そういうようなことで、基本的な施設が欠けておるということはもう御承知の通りであります。そこで、来年度におきましては、不振地区にはとりあえず建設事業等を拡大して参りたい。そして電気の導入であるとかあるいは基礎的な条件を整備する、同時に、今申し上げたような基金の面につきましても改善を加えて手を差し伸べる、そしてその営農の改善と地位の向上をはかって参る、こう考えます。そして、現状では仰せの通りまだ不十分でございますが、なお今後ともできるだけ現在の施設を総合的に運用する、そして役立つようにいたしたい、かように考えております。
  88. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 ただいま大臣が七割なり六割は返済しておる、こういうお話であり、またこの返済のできるように、できない者は融資の方法、保証の方法を考えてやる、また、増産というか、所得の上るように建設事業も進めていくと言われましたが、私は、現在の開拓者、私の近くの諸君を見ておりますと、その六割、七割を返すというそのことは、所得があって返しているのじゃない。返す余裕のないところを返しておる。なぜかと申しますと、今大臣のおっしゃったように、この金を返さないとこちらの金が借りられない。この金を返さないと建設事業をやってくれないということで、悪く言うと国が脅迫するのです。返せばやってやる、この金を返さねばこの補助金をつけてやらない、こういう圧迫をしてくるから、ほんとうに泣きの涙で食うものも食はずに出しておるのです。そこなんですよ。そうでありまするから、大蔵省は文句言うかもしれませんけれども大臣は、思い切ってもう十年や十五年の間これをたな上げにしてしまって、今大臣からちょうだいできるところの建設事業をどんどんやって、喜んで返していくような完全な営農体になれるような方法に——今困っておるのは借金なんですが、この借金を返すのは、今言ったように、喜んで返すのではない。次がやっていただけないから返す。それをやらなければ立ち上っていけないから、やむを得ず出す。そうでありますから、今借りておりまする金を統一して当分の間たな上げするような努力をやっていただけるかどうか、これを私は重ねて承わりたいと思うのであります。  それと同時に、もう一つ、ついでというわけではありませんが、ちょっと角度は違いまするが、近ごろ朝鮮人の帰還問題が非常に問題になっております。これと全然関係のない問題ではないが、今北鮮に朝鮮人を帰すならば南鮮に拿捕されておるところの漁民を帰さないと、まことに人道上許すべからさることを韓国は言っておるのです。人質にすると言っておるのです。この人は全部漁民なんです。今日特に漁民の立場を考えておって下さるところの農林省、水産庁は、韓国とのあつれきから、漁民にとって公海自由の原則のもとで人質にされるような、拿捕されるごとき不祥事態が起らない行政指導に、もう少し誠意をもって当るべきではないか、こう私は思います。人質にとられておる漁夫、これらの家族のことを考え、思いをいたしまして、もう少し今後の行政指導に誠意をもって水産庁は当ってほしい、こういうことを私は考えておるのですが、一つこの点もお聞かせ願いたいと思います。  それから、もう時間の都合がありますので、もう一つだけついでに御答弁を願いたい。二月十二日の省令で政府は規則を出しておられる。イルカの漁獲禁止の規則でありますが、これは相当重い罰則があるようであります。体刑がついておる。一体、イルカというものが、それほどまでに罰則を作って、懲役という体刑を考えて禁止しなくちゃならないものか。一体、こんな法律を作って、果してこういうことを取り締ることができるかどうか。一つお尋ねをしたいと思っております。それから、こういうようなむずかしい法律ができるときには今までは聞くところによりますと委員会にもときどき御相談あったそうでありまするが、今度は抜き打ちで全然知らない。もちろん政府がやられることですからやむを得ませんけれども、漁業法の六十五条ですか、数字は忘れましたが、あれは全くおそろしい法律になっておる。もう大臣が勝手に何でもきめてしまえる。そうしてこれに対しては何らの救護策というか救われる道は考えられておらないのです。できておる法律ですからとやかく言うわけではありませんが、大臣、これを次から次へと——これも六十五条で出ておるのですが、こういうものをたてにしてどんどこどんどこ自分だけのお考えでお出しになったら、これこそほんとうに自由というものが侵されてしまう。こういう点をも一つ、そして、イルカというものをとることを禁止しておりますが、イルカというものをとって一体どういうような利害が国民の上にあるのか、これをもお知らせをいただきたいと思います。
  89. 三浦一雄

    三浦国務大臣 先ほどの第一の開拓農民に対する負債の整理の問題ですが、できるだけ借りかえ金、延納、もしくは返還金の削限、同時に今申しましたように信用保証制度の拡大によって、その点はだんだん片づけて参りたい、こういう考えでございますが、今たな上げして、いわばある意味においては貸付金等を消却したらどうかというふうなお話でございますが、これは、消却して切り落すということになりますと、非常な重要なことであります。にわかに今きめかねるわけでございます。なお精査して、開拓民の立っていくように考えて参りたい、こういうふうに考えます  それから、韓国に抑留されております漁民でございますが、これは非常に遺憾でございます。というのは、日韓会談におきましてもこの点を終始主張いたしまして、同時にまた、御承知の通り、韓国側では、従来の李ラインといい、平和ラインといい、あるいは漁業管轄区域、こう一一言うて独占排他的な領有権を主張し、その線内に入ると韓国の行政権である、こういうようなことで、国際公法にも認めてない、国際慣例にもない、同時にまた、わが国も他国との間には自由な立場、対等の立場でいろいろ協定はしておりますけれども、その事情に反するようなことをしておる。そこで、われわれとしては、その非を反省を促すとともに、同時にまた日本といたしましてはある程度の対案を出したのでございます。すなわち、機船底びきの禁漁区域、さらにトロールの禁漁区域等、資源保存についての対案を出したのでございますけれども、依然反省をせずに、漁業管轄権というものを従来の李ラインに主張してくる。そうしてこういうようなことになってきておる。そうして、今度北鮮にその関係の人を帰すということを契機にして、彼らの方ではまた李ラインを強化をして拿捕するというようなことを言っておるわけでございます。そこで、日本側としましては、御承知の通り、あそこには、トロールもしくは底びきのごとき相当トン数の大きいものも出ておるのでございますが、五トン、十トンくらいの小さな船がたくさん出ておる。この船舶には無電の装置も何もないわけです。そこで、無電の装置等をつけさせまして、監視船なりあるいは巡視船等から指導しまして、そして事実上李ラインをわれわれは認めているのじゃないのですから、ただ向うの方から拿捕もしくは追跡等があった場合に、その難を事前に避けるような態度をとりたいということで、寄り寄り関係省の間で話を進めて、今後抑留を受けないようにさせたい、こういうふうに考えております。同時にまた、抑留されている人々に対しましては、これはやはり、従前の外交交渉を通じて、非人道的な取扱いをしないように、一日も早く帰してもらうようなことは、われわれとしましてはぜひともやっていただくようにしたい、こう考えます。  イルカの漁業につきましては、いろいろのいきさつがあるようでございますから、水産庁の長官から委曲説明させていただきます。
  90. 奧原日出男

    ○奧原政府委員 一昨年発効いたしましたオットセイに関しまする条約によりまして、オットセイの海上猟獲を禁止いたしておるのでございます。従来、イルカの漁業者がイルカを猟銃によって漁獲いたしまする際に、実態的にはオットセイの密猟を混獲という面でやっておったということも、これまたおおうべからざる事実であるのでございます。そこで、われわれといたしましては、単に条約の実施を法的に強制するだけでは足らないのでございまして、イルカ漁業者に対しまして、より有利な経営の成り立つ別な漁業に転換させていく、こういうことが適当である、かように考えまして、約五億の金を計上いたしまして、イルカ漁業者が従来やっておりました突棒漁船を廃船いたしますとともに、新しくモウカザメはえなわ等のより有利な漁業に転換する際の廃船交付金、あるいは船舶建造に対する補助金、漁具に対する補助金あるいは銃手の失業に対する交付金等の金を支出いたして参ったのでございまして、大体におきまして昨年の終りをもちまして一応イルカ漁業者転換は一段落いたした、かように考えるのでございます。そこで、われわれといたしましては、新しくまた猟銃によりましてイルカを漁獲するというふうなものがさらに漫然と発生をいたして参りますれば、せっかくの転換措置もむだになり、かつまた条約で約束いたしましたオットセイの海上猟獲をとめる、こういう趣旨にもそぐわなくなる次第でございます。ちょうどイルカの回遊期とオットセイの回遊期とが若干のズレがございまして、大体イルカは旧正月までが相当な値もありまた漁獲が多いのでございますが、オットセイはむしろ二月の末から六月にかけて回遊をいたして参ります。そこで、イルカの猟銃による漁獲を最小限度必要なる範囲において規制をする、こういう建前をもちまして、本省その他とも十分漁業法六十五条の法的な根拠につきましても打ち合せをいたしまして、そうして二月の二十日から六月の二十日まで猟銃によるイルカ漁獲をオットセイの来遊する地帯に限って禁止をする措置を講じた次第でございます。これはオットセイの密猟防止の最小限度の必要の範囲内においてそういう措置を講じた次第でございます。  ただただいま、いかにも当局の独断でこういうことをやるかというようなお尋ねがございましたが、実は、漁業法に基きまして、中央漁業調整審議会、こういうものがございまして、これは全国の関係業者等を網羅いたしました委員会でございますが、これに省令の制定につきましては事前に協議をしなければならないことに相なっておるのでございます。その意見を徴しましてこの省令を制定いたした次第でございます。
  91. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 私はこれで質問を打ち切らしていただきますが、先ほど来私の尋ねましたことについて、大臣から、関係者がいないので答弁ができない、資料でお答えをすると言われたこともありますし、私からしいて後日お尋ねしたいために要求いたしました資料がございます。この資料をできるだけ早くお出しをいただくことを重ねてお願いをいたしまして、質問を打ち切らせていただきます。
  92. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 関連して一問だけ。  開拓融資の問題について丹羽委員からいろいろ質問がありまして、これは今では七種類くらいありまして、これを統合する努力をされるという大臣答弁でございますが、これは努力していただきたい。  当面の問題ですが、昨年の災害の際にも、天災融資の問題についてここでしばしば問題になりまして、連年災害を受けた場合に、すでに償還期に到達しておるものがまた重なるような場合、これをどうするかということで、私どもは立法措置を要求したわけでありますけれども、立法措置をしなくとも従来の償還部分はこれはプラス・アルフアとして貸し出しをする、こういう言明がありましたので、これを了承したわけです。ところが、最近、特に開拓関係では、資金ワクの割当は、昨年の三—五月、五—九月、この二つだけで三十九県で十二億ほどの融資額のワクがあるわけです。ところが中金の窓口の方に参りますとなかなかこれを出してくれない。一月末までの実情では、十二億のうち一億八千万ほどで、ようやく三一%程度が貸し出しを受けられるような見通しにすぎないわけです。昨年も実はこの問題がありまして、各府県にまでワクがおりておるにもかかわらず、貸し出し当局が貸し出しを渋っておるために、肥料や農具の購入に支障を来たすということが問題になって、その際中金の当局もここへ来てもらって善処させた例もあるわけでありますが、今のような状況で参りますと、また肥料や農具の購入に支障を来たすおそれが多分にあるわけです。いろいろ聞いてみますと、農林省考えておることと中金の方の考え方の間にどうも食い違いがあるようです。これはぜひ一つ今のうちにすっきりした対策を立ててもらって、昨年のようなことを繰り返さないように、そして、同時に、深刻な被害を受けておるところに天災融資法の資金が末端まで行かないというようなおそれがあってははなはだ遺憾なことでありますので、今のうちに手配を願いたい。何か事情があれば官房長からでも事情をお聞かせ願っておきたいと思うのですが、とにかく、せっかくの天災融資が末端に行かないで満足に植付ができないというような事態を起さぬようにしていただきたいと思うのです。
  93. 伊東正義

    伊東政府委員 今の御質問でございますが、割当金額——現実に貸し出しが出ました金額は御質問通りであります。これはわれわれも非常に心配しておりまして、実は最近も私の方と中金の方と両方で現地に数県参りまして、いろいろな出ない理由等を究明いたしまして、できればなるべく早く出してくれというようなことで、現地にも行って参ったような次第でございます。若干、考え方におきまして、たとえば中金の方で前の借金の返済ができてない者には貸さぬというような指導を県によってはしておられるところもあるのでありますが、そういうものにつきましては、たとえば開拓融資保証法で保証をしておるものは、若干の延期があっても、それは片方で保証があるのだから貸してもらっていいんじゃないかというようなことを話しましたり、あるいは政府の債権の履行延期の手続をとっているものであれば貸し出してもいいのじゃないか、いろいろ解釈の問題がございますが、そういう問題を統一いたしまして、何とか今おっしゃいましたような事態にならぬように努力したいというので現在やっております。今後ともそういう努力は続けていきたいと思っております。
  94. 田口長治郎

    ○田口委員 関連して……。  先ほど、日韓問題につきまして、丹羽委員に対して大臣から答弁があったように思うのであります。私は、この問題につきまして、今委員会を通じていろいろな論議はいたしません。ただ、問題は、今釜山に百五十三名の抑留者がおります。そのうち百四名は刑余の人でありますが、この百五十三名がいずれも栄養不良その他で非常にからだが弱っておるのでございます。今回、北鮮に鮮人を帰すという問題から、御承知の通りの韓国の抗議によりましてこの百五十三名がこの上帰還することがむずかしいということになりますと、これは重大問題でございますから、この抑留されておる船員の帰還ということについて特に政府としては御努力を願いたい。  それから、さっき大臣は小型無電の話をされたのでありますが、大蔵省ではこの小型無電の補助を三分の一程度でやろうという意思があると思うのでございますが、李ラインで苦しんでおる漁業者に三分の一を出させ、県から三分の一を出させて、国が三分の一ということでは、予算ができてもなかなか実行がむずかしいと思うのでございまして、農林省のこの三十四年度の予算編成に当りまして要求されましたように、補助率はあくまでも二分の一ということで努力をしていただきたい。  この二点だけを一つお願い申し上げておきます。
  95. 松浦周太郎

    松浦委員長 神田大作君。
  96. 神田大作

    ○神田委員 時間の制限がありますから簡潔に要点だけ質問をします。こまかい点につきましては後ほど各法律案審議のときにお尋ねをしてゆきたいと思います。  まず第一に大臣お尋ねしますが、大臣は今度の農林予算の獲得に努力されたようでございます。しかしながら、数字的に見ますと、全体の予算に比較いたしまして、去年が七・六%、ことしが七・四%というように、パーセンテージにいたしますと戦後一番低い率でございます。こういうような状態では農業振興にはならぬと考えておりますけれども大臣はどうお考えになりますか。
  97. 三浦一雄

    三浦国務大臣 われわれとしましては、農林予算の拡大を今後とも努力いたしたい、こう考えております。
  98. 神田大作

    ○神田委員 こういうように農林予算が少く、ほかの省に比較いたしまして非常に大事であるにもかかわらず、このように農林予算の獲得に困難をきわめておるということは、政府の方の基本的方針が立っておらぬのじゃなかろうか。いわゆる農政が低迷しておるから、予算の獲得が場当り的な要求であり、場当り的な予算を大蔵省から預けられておる、こういうようにわれわれには思われる。三浦農政ももう二年になるのでありますからして、あなたの特色を持った根本的予算要求の基本線を出すべきであるにもかかわらず、これらの点につきまして何らそういう基本線を持っていないということは、いわゆるよろめき農政であると言われ、混迷農政である、こう言われるゆえんだと思うのですが、これに対しましてどういうふうな反省を持っておるか、お尋ねいたします。
  99. 三浦一雄

    三浦国務大臣 いろいろ御批判がありますが、私は私なりに農政の筋道を通してやっておる、こう考えております。
  100. 神田大作

    ○神田委員 あなたはあなたなりの農政の筋道を通しておると言いますが、何らあなたの特色ある農政というものは出ていない。そういうことを去年の委員会におきましてもわれわれが指摘したのでありますけれども、何ら進歩しておらない。これは私は全国の農民の輿望をになっておるところの農林大臣としては責任を大いに感じなければならぬと思うのでありますが、ただそういう場当り的な答弁でもって、五百万農家が非常な苦しみの中におるときに、場当り的な農政を今後進めていくということに対して、あなたは責任を感じなくてはならぬと思うが、あなたはどういうような責任をとるつもりでありますか。
  101. 三浦一雄

    三浦国務大臣 場当り的だとおっしゃいますけれども、それはあなたの御批判でございまして、これは意見の相違でございます。
  102. 神田大作

    ○神田委員 そういうふうな答弁はけしからぬ。少くともわれわれの質問に対して、あなたは筋道を通しておる農政だというのじゃなしに、やはり、一つの筋道を通しておるならば通しておる個所を一つ一つ指摘して答弁してもらいたいと思います。そういうただ何となしの答弁では困ります。
  103. 三浦一雄

    三浦国務大臣 別に具体的なお答えのしようがないので、これまで申し上げた通りであります。
  104. 神田大作

    ○神田委員 それでは、今度あなたの言いたいことを私の方から言ってあげましょう。まず、農林漁業基本問題調査会というものを立てて、これから三浦農政、あるいは岸農政といいますか、それを立てるというお考えでございましょうが、これは来たるべき地方選挙並びに参議院議員選挙を前にして多分に選挙目当てのゼスチュアが含まれておるのではなかろうかと思うのでありますけれども、この調査会においてどういう結果が出るかわかりませんが、これに対しましてあなたは責任を持って立法的処置をするかどうか、それをまずお尋ねします。
  105. 三浦一雄

    三浦国務大臣 これは選挙目当ての提案ではございません。同時に、私は農政を預かっておりますが、農政そのものをどなたが御担任になっても、基本問題を策定すべき時点に来ている、こういう信念でございますから、今回皆さんに御審議をいただきたいということになっておるわけであります。
  106. 神田大作

    ○神田委員 この調査会は、前の同僚委員からも質問があったようでございますけれども、この調査会委員の選任とか、これを一体いつごろ具体化して農民の輿望にこたえ得るような立法的処置をする考えがあるのか、その点をお尋ねします。
  107. 三浦一雄

    三浦国務大臣 ただ抽象的な法律を作るという目途ではございません。時々農林省としても資料を持っているものもありますし、早くできたものにつきましてはあるいは必要があれば立法、あるいは予算措置を講ずる、同時にまた、これはもう私からかれこれ申し上げるまでもなく、日本農業を成立させる条件につきましても、御承知の通り非常に困難な問題がありますから、これらの問題につきましては、相当時間を要すべきものは時間を要してもその方向を求めたい。それによって法律にしなければならぬ場合には法律にするし、同時にまた予算その他の制度をもって解決するならそれを取り急ぎやるということで、その遅速等は事情に応じてやりたいと考えております。
  108. 神田大作

    ○神田委員 大臣としては、一体どういう考えのもとにこの調査会を設立し、この調査会においてどういう方向に日本農業を持っていくつもりであるか、その点一つお尋ねします。
  109. 三浦一雄

    三浦国務大臣 今回基本的な問題についてやはり学識経験者からいろいろ御意見を聞きたいと考えておるものでございますから、私は私なりの考えは——それは御批判がありますけれども、持っておりますが、それだけでは足りぬと思う。ことに、先ほど申し上げました通り、農政を貫く諸般の問題はやはり個々に基本的に考えなければなりませんから、それを打ち出したいという考えでございまして、やはり調査項目自体につきましても意見を問いたいし、同時にまた、討議の対象、研究の対象等、問題にすべきことも調査会で十分に検討していただきたいと思います。同時にまた、私は今度の問題はただ単に農政のワク内だけで片づく問題でないと思うのであります。少くとも国民経済全般にわたり関係のあることも多いものでございますから、そういう意味で、私は今度の農政問題を広い見地で検討していただき、その関連においていい結論を得たい、こう考えておるわけでございます。
  110. 神田大作

    ○神田委員 少くとも責任ある大臣がこういう大きな問題を提起しておきながら、そういう調査会に対する使命とか、それに対する考え方というものは、今の答弁のようなばくたるものでは私は非常にたよりないことだと思う。たとえば日本の現在の農業における価格支持政策を基盤にしてそれをどういうふうにしていくとか、あるいは適正規模の農業経営へ持っていくための方針をどういうふうに打ち出すか、少くとも今のようにばくたることを言っておるならば、この調査会成果は何ら上らない、ただ机上の空論になってしまうと思うのでございます。これにはよほど腹がまえを持って、——この調査会を作る以上は、日本農業に対する将来のあらゆる面におけるところの、もちろん予算的な重大な決意が要るし、また日本農業の構造においても相当重大な決意がなくちゃならぬと思う。もしそれがないとすれば、私がさっき言ったように、選挙対策から花火を打ち上げ、おれたちは農業の基本問題について調査をするのだ、こういうことをやるのだというただばくたることを言って、そうじて現在農業基本法を作れというような農民の切なる願いをこういう調査会というようなことでごまかそうとしているのではないかと思うのだが、その点どうですか。
  111. 三浦一雄

    三浦国務大臣 これは神田さんとは意見を異にしますが、もしそれ選挙対策であるならば、こんな調査会を作るという迂遠なことであっては大して効果はないでしょう。しかし、私は今度この就任以来の諸般の問題にぶつかりまして、従来の農林省施策した点、同時に考えている点、これ自体に、個々の問題につきましてもやはり基本的に考え直すべき時期が来ている、こう考えましたがゆえに、この問題を、先ほど申し上げましたように、古い関係を、また同時に新しい面から見直して、そうして建て直して参りたい、こういう所存であります。そうして、同時に、経営規模等について、何か案があるならば、それはもうそんな調査会などよりもすぐに実行に移すべきであります。しかしながら、この経営規模を策定するにつきましても、あるいは農家の収入をいかように確保するかということにつきましても、あるいはまた農家の就農、いわば雇用政策の面から見ましても、この問題はそう簡単には参りませんので、私はやはり、その角度から十分に意見を聞きつつ建設的なものに持っていきたい、こういう決心でございます。
  112. 神田大作

    ○神田委員 この調査会を基本にして農業基本法というようなものを作る考えがありますか。
  113. 三浦一雄

    三浦国務大臣 いろいろな諸外国の立法例のありますことは皆さん御承知の通りであります。同時に、基本法というふうなことは通俗的には言っておりますが、さような構想でいくべきかどうかということもまだ決定はしておりません。従って、われわれとしましては、総理大臣説明もありましたし、私もまた質疑に答えました通り日本生産力自体は絶対量としては拡大して参っております。しかし、第一次産業、第二次産業、第三次産業との間にだんだん較差が出て参っている。そうして生産性の向上があるにかかわりませず農家の収入の方は減退している。相対的に非常に悪化している。これがつまり、このままで推移するならば日本の国民経済の産業の構造から言ってもアンバランスなものになる。そこで、われわれとしましては、農業にいかようにメスを入れてこれを改善すべきか、同時にまた農山漁家の方面の経済の安定のためにも今の角度から万策を尽して参りたい、こういうふうな所存でございまして、必ずしも法律を想定するというだけではございません。先ほども申し上げました通り、もしそれ立法を必要とし、立法する方がむしろ政策の推進に役立つということでありますならば、その労は避けないつもりでございます。
  114. 神田大作

    ○神田委員 これは諸外国の例にも見る通り農業はどうしても政治の谷間に置かれがちでございますので、この基本的な問題を農業基本法というような法律でもって定めて、そして政府がこれに義務づけられてこれの予算の裏づけをするというように法律でこれを守って初めて私は意義あるものであると思うのです。ただ、今までのように調査をし、今までのように作文をするのであれば、ずいぶんこれはやっているだろうと思う。農林省でも、過般は農林白書も出ており、農地白書も出ておるというように、いろいろ調査する上において、そういう問題で単に文書にすることであるならば、これは今までもやっておることである。ここに法的な裏づけをし農民を守ることによって、私は意義があるのだと思う。そういう考えのもとにあなたたちはこの調査会を作るのであるか。ただ私がおそれることは、大臣が言うように、必要に応じて法律を作る必要があれば作るというように逃げておりますけれども、そういうものでなしに、基本的な農業の柱というものをはっきりと立てて、それに法的な裏づけをして初めてこれは信頼されるのであって、ただ調査しただけでは、今までやったことと何ら異ならないと思うのでありますけれども、その点をはっきり御答弁を願いたいと思います。
  115. 三浦一雄

    三浦国務大臣 農政の推進につきまして、規範としての法律を制定して国家意思を決定する、制約するということが必要な事項が出て参りますならば、もちろん立法の労は避けない、こう申し上げておいたわけでありまして、一般的にただ法律をもってやるというわけじゃございません。同時にまた、せないとも決して申していないわけでございます。
  116. 神田大作

    ○神田委員 どうも大臣は確信を持ってこの調査会を作っておるようにわれわれには聞えないのでございますけれども、この問題のこまかい点はあと委員会の席上においてこまかく御質問を申し上げたいと思います。  次に、大臣は、「重点の第一は、長期的観点に立って、食糧の総合的自給度の向上と、資源の維持培養をはかることを目標とし、生産基盤整備強化を推進することである」と言っております。それで、土地改良事業、開拓事業を強力に推進するというようなことを言われておりますけれども、たとえば開拓事業は、先ほども同僚委員から質問があったように、予算面を見ましても、この強力な推進をはかっておらないのです。一体、どういう点において、強力な推進をはかり、食糧増産の自給度を高めるために開拓事業に対してどれだけの熱意を持っておるか。予算面に出ておらない。既存開拓農家に対する施策は多少予算面において盛られておりますけれども、新規入植は後退しておる。こういう問題についてどうお考えですか。
  117. 三浦一雄

    三浦国務大臣 開拓に関します政策は、断片的な説明では御納得はいかぬだろうと思いますが、第一には、先ほども若干申し上げましたが、不振地区に対します建設工事の推進であるとか、保証制度の拡大に伴う融資の改善であるとか、さらに機械開墾の推進等もその一助であります。さらにまた、畑地の問題等につきましても、これは対象として開拓地が選択されるものでございます。これらを総合しまして、従来の施設より相当数段の施設を拡充いたしたい、こう考えております。いずれそれらは、予算面に個々に各所に出ておりますから、総合して資料としても差し上げたいと存じます。
  118. 松浦周太郎

    松浦委員長 本会議が開会されますので、本日の会議はこの程度にとどめ、明日は午前十時より開会いたすこととし、これにて散会いたします。