○大野(市)
委員 零細農の解消策は、実際なかなか限られた国土でむずかしいことだと思いますが、その中で、先ほ
ども問題になりました
農業法人問題が出てくるわけであります。
實川氏に対する御答弁で
農政の基本的なお
考えは承わっておりますが、私
ども、この問題は単なる法律論だけでふたを締めておくわけにはいかないのではないかと思うのです。それで、現にこの
委員会でも去年の春から始まった話でありますし、わが党内においてもこの
農業の
法人化の問題に対しては
委員会もできておるようであります。それだけでなくて、その
農地法の問題を扱う
農業委員会の代表である
農業会議所の会長
会議が九日にあって、それぞれ要望事項も取りきめて動き出しておる
実態でもございます。特に、われわれ聞いておりますと、たとえばその要望事項の中でも、
農地法の除外例として
農業法人を法制化してくれ、ただし
農地法の基本精神である
自作農主義のワクの中ではずれないように作業はしてほしい、それから、根本的には
所得税法を改正して
農家の家族俸給を経費として認めるように、それから、そのことはなかなかむずかしいかしらないが、実現するまでは、とりあえず今できておる
農業法人を他の
一般法人と同じような取扱いにしてもらいたいという要望であると聞いておるのでありますが、私は、
農業会議所のその要望事項を承わりましても、
所得税法の改正で
農家の家族俸給の経費算入という問題を取り上げましても、たとえば、現行税法の中で簡易青色申告の
制度がございまして、
農家ではこれを活用して、いわゆる申告の活用によって効果をあげておる
農家も見ておるのであります。この点については、いろいろ見解があると思うので、結論的にはわれわれはこの
委員会で発言を保留せねばならないのですが、現実に活用しておる諸君もありますなどで、従来の指導方針を一切がっさい御破算にして家族俸給を全部経費に落せということに対しての問題では、やはり意見を私は持っております。それから、さらに、
農業法人化の理由を聞きましても、いろいろあるようでありまして、たとえば、一番納得のいくのは、均分相続による
農地の分散を防止するためにはとかくそういう法制でカバーできないかということは、私は非常に危惧すべき
一つの理由だと思います。あるいは、
経営面積の制約がある、
零細農家を
農業技術面の適用の
立場から広く一緒に仕事ができたらという
経営面積の制約を避けたいという
考え方からの理由も、私は現在の法規のワクを越えてこれはやはり正しい
一つの進め方のように思うわけであります。それから、今度は
農業の帳簿の記入がむずかしいからというので、それらを一緒になってやれば分業でやられる、そうすると経営の合理化ができるという実利論もあるわけであります。あるいは、もっと端的に、
生産の
共同化がほしいのだからやるのだ、あるいは、そういうことによって、合理化による資金の蓄積ができるから、自分で
農業の
近代化ができるじゃないかというような付加した議論も一緒にあるようでございますが、私は、あげたそれらの理由はいろいろ十分な根拠があるように思うのであります。特に、すでに六百二十八もできておって、しかも大体内容は果樹園がおもにやっておられるというのですから、これは先ほど
大臣からもお話がございましたが、自作農維持の精神から言って、
分配のときに能力の差、努力の差で問題が起きる可能性があるからという御意見も承わっておりますが、これは私も同感でございます。だから、果樹園のような形で、いわゆる田植えやその他のような非常に限られた時間に集約
労働を注がねばならぬというふうな
労働条件と違う、
農業の中でも園芸あるいは果樹園というふうな分野にこの
農業法人の芽が出たということは、やはり
分配問題、それから努力、能力というふうなその要因になる部分に対する異論があるせいじゃないかと憶測をしておるのでありますが、何はともあれ、ここで騒ぎが大きくなっておりますので、私は、
農業法人については、法律論にとらわれないで、
大臣としてもいま一歩この問題に対して、経営規模の適正化をねらうという意味で、場合によれば
農地法の三
町歩などという
限度はあるいはもうすでに狭いものかしれないのでありますから、こういう点で果敢な
一つの着想を御
研究願い、御発表願うべきじゃないかと思うのであります。ですから、私は、経営規模の適正化は、機械の導入、農作業の変化をしておりまする今日の状況においては、三
町歩では少くなったのではないかと思います。この点に対する
大臣の適正規模の
限度についての御意見を承わりたいと思います。