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1959-02-03 第31回国会 衆議院 農林水産委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年二月三日(火曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 松浦周太郎君    理事 大野 市郎君 理事 吉川 久衛君    理事 丹羽 兵助君 理事 赤路 友藏君    理事 石田 宥全君       秋山 利恭君    金丸  信君       倉成  正君    佐藤洋之助君       田口長治郎君    高石幸三郎君       永田 亮一君    濱地 文平君       三和 精一君    八木 徹雄君       保岡 武久君    角屋堅次郎君       神田 大作君    栗林 三郎君       實川 清之君    中澤 茂一君       中村 時雄君    西村 関一君       芳賀  貢君  出席国務大臣         農 林 大 臣 三浦 一雄君  出席政府委員         農林政務次官  石坂  繁君         農林事務官         (大臣官房予算         課長)     丹羽雅次郎君         農林事務官         (農林経済局         長)      須賀 賢二君         農林事務官         (農地局長)  伊東 正義君         農林事務官         (振興局長)  増田  盛君         農林事務官         (畜産局長)  安田善一郎君         農林事務官         (蚕糸局長)  大澤  融君         食糧庁長官   渡部 伍良君         林野庁長官   山崎  齋君         水産庁長官   奥原日出男君  委員外出席者         専  門  員 岩隈  博君     ――――――――――――― 昭和三十三年十二月二十四日  委員高田富之君辞任につき、その補欠として松  浦定義君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 昭和三十四年一月二十六日  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(  内閣提出第五八号)  開拓融資保証法の一部を改正する法律案内閣  提出第五九号) 同月二十九日  北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法  案(内閣提出第八三号) 同月三十一日  農業災害補償法の一部を改正する法律案内閣  提出第九七号)  繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改  正する法律案内閣提出第九八号)  森林開発公団法の一部を改正する法律案内閣  提出第九九号)  日本蚕繭事業団法案内閣提出第一〇〇号) 二月二日  臨時肥料需給安定法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一一四号) 昭和三十三年十二月十九日  地方卸売市場法制定に関する請願井岡大治君  紹介)(第一三四号)  同(大矢省三紹介)(第一三五号)  同外一件(片山哲紹介)(第一三六号)  同(柏正男紹介)(第一三七号)  同(川村継義紹介)(第一三八号)  同(久保田鶴松紹介)(第一三九号)  同(小松信太郎紹介)(第一四〇号)  同(坂本泰良紹介)(第一四一号)  同(島口重次郎紹介)(第一四二号)  同(堂森芳夫紹介)(第一四三号)  同(平岡忠次郎紹介)(第一四四号)  同(森島守人紹介)(第一四五号)  同(柳田秀一紹介)(第一四六号)  同(荒舩清十郎紹介)(第二一八号)  同(池田正之輔君紹介)(第二一七号)  同(岩本信行紹介)(第二一八号)  同(大倉三郎紹介)(第二一九号)  同(押谷富三紹介)(第二二〇号)  同(小泉純也君紹介)(第二二一号)  同(小金義照紹介)(第二二二号)  同(小坂善太郎紹介)(第二二三号)  同外六件(小西寅松紹介)(第二二四号)  同(纐纈彌三君紹介)(第二二五号)  同(高石幸三郎紹介)(第二二六号)  同外二件(高見三郎紹介)(第二二七号)  同(竹内俊吉紹介)(第二二八号)  同(渡海元三郎紹介)(第二二九号)  同(夏堀源三郎紹介)(第二三〇号)  同(中村幸八君紹介)(第二三一号)  同(永田亮一紹介)(第二三二号)  同外二件(西村直己紹介)(第二三三号)  同(野澤清人紹介)(第二三四号)  同(原田憲紹介)(第二三五号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第二三六号)  同(橋本正之紹介)(第二三七号)  同外二件(古川丈吉紹介)(第二三八号)  同(福永健司紹介)(第二三九号)  同(前尾繁三郎紹介)(第二四〇号)  同(松永東紹介)(第二四一号)  同(吉田茂紹介)(第二四二号)  同(山口喜久一郎紹介)(第二四三号)  同(山口六郎次紹介)(第二四四号)  同外一件(山田彌一紹介)(第二四五号)  農林漁業基本法制定促進に関する請願助川良  平君紹介)(第一四七号)  繭価安定機関設置反対に関する請願福田篤泰  君紹介)(第一四八号)  同(小川平二紹介)(第二一二号)  同(南好雄紹介)(第二一三号)  同(長谷川四郎紹介)(第二一四号)  糀屋新田ダム建設反対に関する請願渡海元三  郎君紹介)(第一六四号)  井田川沿岸かんがい用水確保に関する請願(内  藤隆紹介)(第二一五号) 同月二十五日  地方卸売市場法制定に関する請願大森玉木君  外一名紹介)(第二六一号)  早場米制度改正に関する請願石山權作君紹  介)(第二九六号)  繭価安定機関設置反対に関する請願山下榮二  君紹介)(第三六九号)  同(堀昌雄紹介)(第三七〇号)  同(富田健治紹介)(第三七一号)  同(田中武夫紹介)(第四三五号)  同(福田篤泰紹介)(第四三六号)  同(金丸信紹介)(第四八八号)  同(小坂善太郎紹介)(第四八九号)  同外一件(中曽根康弘紹介)(第四九〇号)  昭和三十四年度農林予算増額等に関する請願(  石山權作君紹介)(第三七二号)  八郎潟干拓事業施行に伴うつくだ煮製造販売業  者補償に関する請願石山權作君紹介)(第三  七三号)  八郎潟干拓事業予算に関する請願石山權作君  紹介)(第三七四号)  家畜共済掛金率改訂等に関する請願池田清志  君紹介)(第四三三号)  木炭生産安定の法的措置に関する請願池田清  志君紹介)(第四三四号)  宮城県営中津山村外二町二箇村用排水改良事業  促進に関する請願長谷川峻紹介)(第四六  〇号)  整理転換によるいるか漁業者生活保障に関す  る請願鈴木善幸紹介)(第四八七号) 昭和三十四年一月二十二日  繭価安定機関設置反対に関する請願田中伊  三次君紹介)(第五六八号)  同(渡海元三郎紹介)(第六四八号)  同外一件(藤枝泉介紹介)(第六四九号)  林業政策強化に関する請願長谷川峻紹介)  (第五六九号)  同(保科善四郎紹介)(第五七〇号)  林道網整備拡充に関する請願保科善四郎君  紹介)(第五七一号)  蚕糸業振興安定に関する請願保科善四郎君  紹介)(第五七二号)  木炭価格安定対策確立等に関する請願保科  善四郎紹介)(第五七三号)  漁港整備費増額等に関する請願片島港君紹  介)(第五七四号)  救農土木事業実施促進に関する請願片島港  君紹介)(第五七五号)  干拓事業促進に関する請願保科善四郎君紹  介)(第七一〇号) 同月三十日  夏秋蚕繭の処理に関する請願長谷川峻君紹  介)(第七五二号)  薬萃山ろくを特定農地開発事業地域に指定に関  する請願長谷川峻紹介)(第七五三号)  国有林の開放に関する請願長谷川峻紹介)  (第七五四号)  大豆価格の安定に関する請願長谷川峻君紹  介)(第七五五号)  木炭価格安定に関する請願長谷川峻君紹  介)(第七五六号)  荒川沿岸用排水改良事業機械費増額に関する  請願長谷川峻紹介)(第七五七号)  菅の沢ため池買収に関する請願柳谷清三郎君  紹介)(第七五八号)  同(石田博英紹介)(第八〇七号)  北海道治山事業拡充強化に関する請願(永井  勝次郎君紹介)(第七五九号)  繭価安定機関設置反対に関する請願外一件(藤  枝泉介紹介)(第八〇八号)  同(福井盛太紹介)(第八〇九号)  石川県に農林漁業金融公庫支店設置に関する請  願(坂田英一紹介)(第八一〇号)  家畜共済掛金国庫負担割合改善に関する請願  (小平忠紹介)(第八六九号)  国用製糸業者への原料繭流通措置促進に関する  請願中澤茂一紹介)(第八七〇号)  同(原茂紹介)(第八七一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 昭和三十三年十二月二十五日  林道開設整備に対する補助金増額に関する陳情  書(第四  〇号)  昭和三十四年度農業委員会予算増額等に関する  陳情書外三件  (第四二号)  うんか防除費国庫補助金交付に関する陳情書  (第四三号)  笠岡湾干拓事業国直轄事業実現に関する陳情  書(第五〇号)  県営かんがい排水事業費国庫補助に関する陳情  書  (第八二  号)  柳谷地内の治山事業施行に関する陳情書  (第八三  号) 昭和三十四年一月二十七日  木炭価格安定対策等に関する陳情書  (第一一〇号)  干害対策関係経費に対する特別交付税等措置  に関する陳情書(  第一四二号)  狩猟法の一部改正に関する陳情書  (第一五七号)  昭和三十四年度農林予算増額等に関する陳情書  (第一七八  号)  昭和三十四年度農業委員会等予算増額に関する  陳情書外二件  (第一八〇号)  家畜共済掛金半額国庫負担等に関する陳情書  (第一八一号)  農業共済団体事務費国庫負担増額等に関する陳  情書外七十一件  (第一  八二号)  救難用航空機増強に関する陳情書  (第一九〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農林水産行政基本施策に関する件  昭和三十四年度農林関係予算に関する件      ――――◇―――――
  2. 松浦周太郎

    松浦委員長 これにより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  本日は、まず農林水産行政基本施策について三浦農林大臣よりその所信を伺いたいと存じます。三浦農林大臣
  3. 三浦一雄

    三浦国務大臣 この国会に提出いたします農林関係予算案及び法律案につき御審議をいただくにあたりまして、これらの予算案の編成及び法律案の立案の基本となりました農林水産行政重点につきまして、その概要を申し上げたいと存じます。  最近における農林水産業生産は、技術の改良発達と投資の増大等により、長期経済計画の想定する生産目標に照らし、米を初めとして順調な伸長が見られ、その結果、食糧輸入量は引き続き減少し、外貨の節約に寄与するとともに、国内購買市場安定の有力な要因ともなり、国民経済安定的成長農林漁業の果している役割はまことに重要なものがあるのであります。  しかし、その反面、農林漁業生産伸長と相待ってその生産性と所得は増加しつつあるものの、なお他産業との間に相当の較差がある現状にかんがみ、今後におきまして国民経済の成長する中にあって経済の均衡ある発展をはかり、農山漁家の福祉の増進を期することは、ひとり農林漁業政策の究極の目標であるのみならず、国民経済質的改善に資するゆえんと考えるのでありまして、これがためには従来にまさる努力を積み重ねなければならないことを痛感する次第であります。  従いまして、政府といたしましては、これまでの各般にわたる施策充実強化をはかり、農林漁業のよって立つ基盤をつちかうとともに、商品生産の進展にも即応して生産流通にわたり経営健全化近代化推進して農山漁家の生活の安定向上に努めることはもとより、さらにこの際農林漁業政策基本について再検討を加え、新しい施策の展開をはかる方針のもとに、三十四年度の予算の編成及び所要法律案の立案をいたすこととした次第でございます。  その施策重点につきまして、その概要を申し上げます。  重点の第一は、長期的観点に立って、食糧の総合的自給度向上と、資源維持培養をはかることを目標とし、生産基盤整備強化推進することであります。  まず、農業につきましては、土地改良事業開拓事業推進をはかり、農業のよって立つ生産基盤強化するため、三十四年度は食糧増産対策事業の経費を大幅に増加するとともに、さらに、特定土地改良工事特別会計愛知用水公団及び農林漁業金融公庫等に対する政府資金の投入を増額いたしまして、経済計画第二年として、土地改良事業開拓事業計画的実施推進して参る所存であります。  土地改良事業につきましては、事業量拡大による事業早期完成をはかることに留意するとともに、特に同一水系における国営事業関連都府県営事業進捗度の不均衡を是正いたしまして、事業効率的促進をはかることを基本方針といたして参りたいと考えております。  すなわち、国営事業につきましては、特定土地改良工事特別会計において計画年次内の完成を期するとともに、他の一般国営土地改良事業におきましても、ダム、頭首工等の施設を有する地区及び早期効果の発生の期待できる地区重点を置きまして事業効果的実施をはかって参る所存であります。  また、都道府県営土地改良事業につきましては、事業量拡大をはかり、国営事業と関連のある事業の進捗をはかる等、さきに述べました基本方針に即して進めて参りたいと考えております。  団体営灌漑排水事業につきましては、補助、非補助のそれぞれの事業を通じまして、その重点を、基幹工事末端工事早期完成と、積寒、湿田、急傾斜等特殊立法地帯農業振興計画実施促進に置きまして、適切な運用をはかることといたしました。特に、前年創設いたしました小団地等補助土地改良事業助成基金制度に基く低利融資事業につきましては、資金ワクを大幅に増大して事業の伸長を期しております。  なお、干拓事業につきましては、特定土地改良特別会計におきまして事業量拡大をはかりますとともに、特に、八郎潟干拓事業につきましては、重要工事である中央干拓工事本格的着工にかかる所存であります。   また、農地集団化事業促進をはかるため、従来の交換分合換地計画推進いたしますこととあわせて、集団化事業と関連する農道につき特にその助成を行い、事業促進をはかることといたしております。  愛知用水公団事業につきましては、本格的な工事体制が整いました事情に即応いたしまして、必要な国費及び政府資金を計上し、工事の進捗に支障のないことを期しております。  次に、開拓事業につきましては、重点既入植者営農安定対策に置き、開拓営農振興を強力に推進することといたしております。すなわち、営農不振の開拓地におきまして、開墾建設工事促進と、必要追加工事実施をいたしますとともに、これらの建設工事と並行いたしまして、振興計画達成上必要な追加営農資金大幅増額、旧債の整理促進開拓融資保証ワク増大営農指導体制強化等実施することとし、振興計画目標達成促進することといたしました。  新規入植につきましては、営農安定が確実と見込まれる地区に限定することとし、前年度改訂いたしました基本営農類型の適用の拡大をはかり、営農早期確立を期することといたしております。  防災事業につきましては、最近における災害発生の状況にもかんがみ、特段の留意を払い、防災溜池老朽溜池農地保全等、それぞれの計画に基いて事業の増強をはかることといたしております。  これら土地改良事業及び開拓事業につきまして、長期的観点から事業計画的推進を確保するため、調査計画拡充をはかることといたしております。  土地改良計画につきましては、農業技術の進歩、営農動向等に即応して水資源高度利用をはかるため、早期栽培地域水利調査水資源開発基礎調査地下水調査田畑輪換指導等をさらに積極的に行うこととし、開拓計画につきましては、開拓事業実施要綱に基き、基礎調査基本計画及び実施計画実施することといたしております。  さらに、以上のような施策の円滑な実施をはかりますために、三十四年度より、名古屋にあります名古屋建設事務所農地事務局に昇格いたしまして機構の整備をはかりたいと考えております。  次に、治山、造林、林道事業につきましては、今後増大する木材需要に応じて森林資源の育成とその開発促進するとともに、治山治水事業重点的施行に努めて国土の保全をはかり、特に保安林につきましては、それがきわめて公共性の強い性格を有しますので、この整備維持管理をはかるため、水源林造成事業拡充し、かつ、損失補償事務整備いたしたいと考え、それらの事業費拡充を期することといたしております。さらに、三十四年度におきましては、国有林野事業特別会計民有林協力強化することといたしております。  すなわち、その第一は、国有林野事業特別会計資金を活用し、国有林民有林が併存する特定地域における奥地幹線林道の開設、改良等を国が森林開発公団に委託して実施させるよう、所要法律改正案提出いたしたいと考えております。第二は、造林事業拡大を目途として、一般会計より造林資金として農林漁業金融公庫に出資し、融資造林促進をはかるため特別に長期低利資金の貸付をすることといたしております。  これらのほか、国有林野事業特別会計民有林協力事業といたしましては、林木育種事業拡充強化及び国有林に隣接する地元農山漁村のために、放牧採草共用林野や、薪炭林共用林野改良事業等拡充して参りたいと考えております。  次に、水産業につきましては、その生産基盤である漁港整備につきまして、漁港整備計画に基く修築事業早期完成を期し、全国六百四港の整備事業計画的に実施するとともに、局部改良事業及び区域内の保全施設拡充をはかることといたしております。  なお、漁港関係事業量増大にかんがみまして、行政機構拡充し、水産庁に新たに漁港部を設置することといたす考えであります。  また、漁港整備と相待って新漁場の開発のため、東西カムチャッカ等漁場開発調査を引き続き行うことといたしております。  重点の第二といたしましては、農山漁家経営健全化近代化推進し、あわせて立地に応じ畑地帯その他についての地域的な振興策強化することであります。  まず、農業につきましては、従来に引き続き、水稲生産力安定向上をはかりますとともに、昨年度に引き続き畑作振興対策事業を強力に実施する所存であります。このため、畑作機械化促進のほか、三十四年度より新たに畑地方保全培養をはかる地力保全事業と、畑地生産力向上の障害となっている土壌病害虫の防除を積極的に開始するとともに、商品性の高い畑作物導入生産及び流通改善に努力する一方、畑地灌漑事業につきましても、都道府県営団体営事業を通じまして、補助率引き上げを行う等、その推進をはかることといたしておりますが、これらの措置と相待って農業改良資金制度及び畑作関係試験研究体制拡充するとともに、園芸、畜産等畑作関係特技普及員の増員、畑作総合指導施設新設等農業改良普及組織強化拡充を行うことといたしております。  また、寒冷地農業振興対策といたしましては、引き続き国有の家畜及びトラクターの貸付事業実施いたしますほか、特に、北海道における畑作営農改善対策といたしまして、立法措置を講じて営農改善に必要な農林漁業資金を融通することといたしております。  特に、重要畑作物であるテンサイにつきましては、甘味資源自給力強化を目途として、東北地方にその導入をはかるため、現地における試作と導入可能性についての経済調査実施するとともに、暖地テンサイ生産改良試験実施することとして、その生産振興をはかるほか、テンサイ糖業自立体制を確立するため、三十四年度から砂糖消費税の引き下げと、関税の引き上げ振替措置を行うことにより、テンサイ糖業自立振興が可能となるよう措置したのであります。なお、テンサイ生産及びテンサイ糖の製造の改良発達をはかるための試験研究等の業務を行う特殊法人日本テンサイ糖振興会(仮称)を設立することとし、これに対して政府出資を行うことといたしております。  次に、畜産につきましては、わが国食糧消費構成高度化の趨勢に対応し、かつ、今後のわが国農業経営合理化と発展のための根幹であることにかんがみまして、長期的観点に立って総合的な振興施策を講じて参る所存であります。  第一に、酪農対策につきましては、生産から流通消費にわたり一貫して改善をはかって参るため、今国会に酪農振興法の一部改正案を提案いたすこととしておりますが、これにより、まず生産面につきましては、主要酪農地帯酪農経営改善安定地区を設け、酪農経営改善計画樹立実行をはかることとし、これがため、自給飼料増産推進搾乳期間適正化及び乳牛経済能力検定事業新規実施生乳品質改善事業継続実施等措置を講ずるほか、畜舎、サイロ等付帯施設整備のため農林漁業資金農業改良資金等必要資金を確保して、計画的な酪農経営改善安定をはかるとともに、都道府県畜産会が行う畜産技術経営診断指導事業につきましては、酪農経営改善安定地区に対する濃密指導強化実施することといたしております。生乳取引につきましては、その契約の適正化生産者による共販の促進等をはかるほか、取引について生じた紛争をあっせん調停するための組織を中央、地方を通じて確立する考えであります。次に、牛乳乳製品生産消費との均衡に格段の意を注ぐこととし、牛乳乳製品による学校給食拡充恒久化を期するほか、余剰乳製品調整保管牛乳乳製品消費宣伝事業推進等を行うことといたしております。  第二に、家畜導入につきましては、既存の各種施設を活用して引き続きその導入促進をはかって参りますほか、特に三十四年度は桑園転換に伴う営農改善に資することを考慮し、綿羊の導入強化をはかることといたしております。  第三に、飼料対策につきましては、草地改良及び自給飼料増産事業計画的に拡大強化して、畜産農家飼料自給度向上を期することとし、このため特に高度集約牧野造成改良事業拡大実施して参るほか、新たに大規模草地改良を行うために必要な調査設計の直轄を実施農業改良資金制度による飼料畑の造成または更新のための資金の貸付、乾草調製施設設置助成等を取り上げることといたしております。なお、流通飼料につきましても、輸入飼料に対する政府需給操作力強化等により、需給及び価格の安定をはかって参りたいと考えております。  第四に、種畜対策につきましては、引き続き種畜の確保に努めるとともに、養鶏振興に資するため優良系統ひな導入を目的とした種鶏場孵化場登録事業助成するほか、国立種畜牧場整備計画の一環として、新冠、鳥取両種畜牧場整備促進に着手するほか、優良系統選抜普及をはかるための豚産肉能力検定施設の新設及び肉牛資源開発の根拠地となるべき寒冷地和牛指導施設新設等をはかることといたしました。  なお、これらのほか、家畜衛生対策強化につきましては、都道府県家畜保健衛生所に対する家畜衛生車配置等により、防疫事業強化拡充をはかることといたしております。  また、畜産振興の一環といたしまして、家畜共済制度整備強化をはかることとし、家畜病傷事故の増加に伴い共済掛金率増大をきたすことにかんがみ、農家の掛金負担の軽減をはかるため、所要予算措置を講じ、これに伴う所要法律改正を行うことといたしております。  次に、蚕糸業につきましては、昨年末の繭及び生糸の異常な需給事情の変動に対処し、最低糸価及び最低繭価の改定と桑園整理の助成を行い、当面の価格の安定をはかるための措置を講じたのでありますが、今後、蚕糸業が安定した産業としての基盤を持つための恒久対策について蚕糸業振興審議会にはかって、引き続き検討をいたしますとともに、次のような点に重点を置いて施策を進める所存であります。  まず、生産合理化推進するため、年間条桑育の普及をはかるとともに、蚕業技術普及体制を強化することといたしまして、技術普及員の待遇改善及び現地活動の機動力の強化をはかることといたした次第でございます。さらに、繭及び生糸の需給事情の安定のため、養蚕農家が行う桑園の整理に対しまして引き続き助成を行いますとともに、その後作の指導につきましても万全を期する所存であります。また、需要の増進をはかることの緊要性にかんがみ、今回、養蚕団体を含め広く関係業界の協力を得て、市場開拓のための宣伝活動の拡充をはかりますとともに、生糸の新規用途の開拓のため特段の考慮を払うことといたしております。  なお、繭糸価格の安定対策につきましては、前に申し上げましたように、現行の価格安定制度の再検討を要すると考えますが、三十四年度におきましては、とりあえず現在とっております繭糸価格安定に関する臨時措置法の延長をいたしますとともに、養蚕団体が自主的に繭価を適正水準に維持するための販売努力をするよりどころとなる機関として、新たに政府出資による日本蚕繭事業団(仮称)を設立することとし、このための立法措置を考えておる次第であります。また、現行の糸価安定特別会計は、大量に保管いたします生糸の管理費用の増大と糸価の下落による損失を見込んで、三十四年度におきまして一般会計から二十億円を同特別会計に繰り入れることといたしまして、業務の運営に支障のないよう措置いたしております。  林業につきましては、森林経営の集約化及び合理化につきまして、従前の諸施策強化をいたしますとともに、三十四年度より新たに、木炭の流通合理化生産者所得の安定に寄与するため、系統機関等による木炭の保管を推進し、流通の円滑化を期するほか、普及事業の運営強化林木育種事業拡充及び放牧採草共用林野や、薪炭林共用林野改良事業等拡充をはかることといたしております。  水産業につきましては、その基本的制度につきまして、引き続き漁業制度調査会において検討を進めておりますが、三十四年度における振興措置といたしましては、特に沿岸漁業に重点を置きまして水産増殖事業を引き続き実施して参りますほか、沿岸漁業依存度の高い窮乏漁村の多い海域につきまして、総合的な振興措置を講ずることといたしております。さらに、水産業改良普及事業につきましては、その質的拡充強化をはかるため、従来の専門技術員のほか、新たに沿岸漁業改良普及員を設置すると同時に、都道府県水産試験場の強化、漁村青壮年活動の促進を行うことといたしております。また、漁業経営の安定をはかるため、漁業共済制度の試験実施を引き続きまして全国的規模において行うほか、水産物の流通改善につきましても、流通事情の調査を継続いたしますとともに、新たに多獲性の大衆水産物の系統機関による共同保管の促進により、その自主的な流通調整をはかることといたしております。  次に、農地対策の強化と相待って、自作農家の維持安定とその転落防止をはかるため、自作農維持創設資金ワク増大して百億円といたし、資金需要にこたえることといたしましたほか、農山漁村の振興をはかるため、引き続き農山漁村建設総合対策を計画的に実施いたしますとともに、離島及び開拓地のほか、新たに僻地農山村に対しましても、電気導入事業について新たに助成の道を開くことといたしております。また、新しい農山漁村の建設と、日本農業の一そうの発展のためには、次代の農業をになう人物の養成をはかることの重要性にかんがみ、農山漁村青年活動の一そうの助長をはかることとし、新たに中央地方を通じ研修施設の整備強化を行いたいと考えております。  また、農村人口の圧力を緩和し、あわせて二三男対策に資するため、農民の海外送出事業の態勢を強化するほか、農業移住振興基金の新設、青壮年の海外派遣、農業労務者の派米等移住事業の一そう強力な推進を行うことといたしております。  重点の第三といたしましては、農林畜水産物の商品化の進展に伴いまして、市場の拡大、需給及び価格の安定並びに流通機構の整備等につきまして積極的な措置を講ずることといたしております。  まず、食糧の管理につきましては、米麦とも従来通りの管理方式を継続して参る考えのもとに、米の予約売り渡し制による集荷の推進によりまして、政府買い入れ量の増加と、さらに、需給上必要限度の輸入と相待って食糧の配給に万全を期して参りたい所存であります。  また、米麦以外の重要農産物につきましては、必要に応じて政府買い上げの措置を講じ、その価格の低落の防止をはかって参る考えであります。  また、繭糸、畜産物の需給及び価格の安定と消費拡大のための措置や、水産物及び木炭についての流通調整のための施設につきましてはすでに申し上げました通りでありますが、さらに、生鮮食料品につきましては、臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会を設置いたしまして、中央卸売市場をはじめ一般卸売市場及び産地市場対策につき検討を加えることといたしております。  特に、青果物につきましては、市況速報の整備、産地事情の調査及び出荷調整の指導を行い、共販体制の強化と適正な取引の推進をはかりたいと考えております。  農林水産物の輸出につきましては、海外市場の調査及び宣伝活動を強化するほか、米国、英国、北ア、欧州市場等につきまして、生糸、マグロ類、茶、ミカンカン詰等の需要増進事業を行いまして、農林水産物の輸出の増進に努める所存であります。  農業生産資材の大宗をなす肥料につきましては、引き続き内需を確保し、輸出との調整を行うとともに、輸出赤字の国内転嫁を防止するための価格統制措置の継続をはかるため、本年七月末に失効する肥料二法を延長するため所要法律改正を行うことといたしております。  次に、農林水産業諸団体につきましては、機能と組織に応じてその活動促進をはかることとし、農業委員会につきましては、新たに全国農業会議所及び都道府県農業会議の指導のもとに、農業委員会事業としての農家台帳を整備して農村振興に資する措置を講じ、また、農林漁業組合につきましては、職員の資質向上のための研修及び養成に関する施設を拡充するほか、特に農業協同組合につきましては、自治監査制度の強化をはかるために特段の措置を講ずることといたしました。農業共済組合につきましても、職員の給与の引き上げ等の措置を講じまして、その事業活動の促進をはかることといたしております。さらに、さきに発足を見ました農林漁業団体職員共済組合につきましても、本年一月よりその事務を開始いたしましたので、その健全な発達をはかるため、所要予算措置を講ずることといたしました。  以上の施策に即応し、かつ最近における技術の進展に即し農林水産試験研究の重点化を期するため、前年度に引き続き畑作試験研究の体制の整備確立をいたしますほか、放射線育種、草地造成、乳牛飼養標準の設定、土地利用調査、澱粉等の農林水産物加工利用等の試験研究を推進いたしたいと考えております。一方、これに応じまして、研究管理の体制の刷新と研究者の資質の向上に努め、研究の効率的な推進をはかる所存であります。  また、統計調査につきましては、農林施策に必要な基礎的資料の整備に一そう力をいたすとともに、一九六〇年世界農業センサスの実施に万全を期したいと考えております。  最後に、農林漁業基本問題調査会の設置について申し上げます。  すでに申し上げました通り、農林漁業生産力は近年著しく増大しておりまして、国民経済の成長に寄与するところ大であったのでありますが、農山漁家の所得と農林漁業生産性につきましては、他産業のそれらと比較いたしますとき、なお相当の開きがあるのであります。これらの問題は、ひとり農林漁業内部の問題として根本的に解決を要するばかりでなく、国民経済の体質改善とその安定的成長を期する上におきまして総合的に解決を必要とする問題であると言えるのであります。従いまして、この際総理府に農林漁業に関する基本問題を調査審議するための調査会を設置いたしまして、各界の学識経験者の意見を聞き、農山漁家の生活の安定向上農林漁業生産性向上を目途とする基本施策の確立に資することといたしております。  なお、この調査会の設置に即応いたしまして、農林省におきましても、調査会の調査審議活動を円滑にいたすため、所要の態勢の整備を行うことといたしております。  以上、農林水産業施策の概要を申し上げたのでありますが、各位の一そうの御協力を得て、農林関係予算案及び法律案のすみやかな御審議をお願いいたす次第であります。
  4. 松浦周太郎

    松浦委員長 これにて大臣の所信表明は終了いたしました。  農林関係予算について政府当局の説明を求めます。石坂政務次官。
  5. 石坂繁

    ○石坂政府委員 昭和三十四年度農林関係予算案についての概要を御説明申し上げます。  まず一般会計における農林関係予算案の総体について申し上げます。  農林省所管合計といたしましては九百二十八億一百万円となっております。これに総理府所管の北海道関係公共事業費九十三億九千四百万円、離島振興関係経費十五億一千八百万円、原子力平和利用等に要する経費一億円、及び農林漁業基本問題調査会に要する経費一百万円、労働省所管の農林関係公共事業費一億七千五百万円、建設省所管の農林関係営繕費八千九百万円、大蔵省所管の農林漁業金融公庫資金七億円並びに文部省所管の麦製品学校給食費十五億七千万円を加えました農林関係予算合計は一千六十三億五千万円となり、これを昭和三十三年度当初予算に比較すると金額において五十五億一千六百万円の増となります。  かように関係予算におきまして増額を見ましたおもなものは、公共事業費において五十八億八千四百万円、糸価安定特別会計繰り入れにおいて二十億円、日本蚕繭事業団出資金十億円、牛乳乳製品学校給食及び調整保管において八億三千万円、農林漁業金融公庫資金において七億円、一九六〇年世界農業センサスにおいて六億四千四百万円、人件費において九億三千三百万円等であります。  この反面減額になったおもなものは、非補助団地等土地改良事業助成基金において六十五億円、酪農振興基金出資金において五億円等であります。  次に本予算案編成重点について申し上げます。  第一に、農業生産基盤拡充に関する経費についてであります。  土地改良事業開拓事業等の農業生産基盤拡充に要する経費といたしまして三百四十億四千五百万円を計上いたしました。  1、まず土地改良事業拡充に要する経費として百八十六億四千二百万円を計上し、その推進をはかることといたしましたが、   (一) このうち新たに水系開発予算といたしまして三十二億九千一百万円を計上し、水系全般を一体とした総合開発目標として国営事業と関連県営事業の進展の不均衡を是正し、事業効率的促進をはかることといたしましたが、この構想のもとにおいては、特定土地改良工事特別会計において実施中の四地区と、一般会計において実施中の国営十地区及び県営事業二十八地区を含み、それぞれ事業推進をはかることといたしました。   (二) 次に、水系開発予算以外の一般土地改良事業につきましても、その計画的推進をはかることといたしまして、百十九億四千九百万円を計上いたしましたが、そのうち特定土地改良工事特別会計事業につきましては、継続実施中の七地区計画期間内の完成に努めるほか、新規三地区に着工いたすこととし、一般会計の国営地区につきましては、ダム、頭首工等施設を有する地区及び早期効果の発生可能な地区重点を置き事業実施するとともに、新たに六地区に着工するほか、全体設計実施地区として七地区を採択することといたしました。また、県営事業につきましては、水系開発予算と同一の構想で事業の進展をはかることとし、特に完了予定地区、他事業関連地区、部分効果発生地区等を優先することとしております。団体営事業は、重点を国営、県営等の基幹工事に直接関連する末端工事においてその早期完成をはかりますとともに、積雪寒冷、湿田、急傾斜等、特殊地帯農業振興計画の達成に努めますほか、前年度創設されました非補助団地等土地改良事業助成基金による非補助低利融資を大幅に拡大することといたしました。    土地改良に関する調査計画といたしましては、二億二千三百万円を計上いたし、その精度を高めることとし、大規模新規四地区について調査を開始するほか、特定河川につき水系開発基本調査を行うことといたしました。   (三) 次に、愛知用水事業につきましては、国費二十二億円を計上、篠津泥炭地開発事業につきましては国費十二億一百万円を計上、それぞれ工事進捗に努めております。  2、干拓事業につきましては、五十七億四千九百万円を計上いたしまして、八郎潟その他の継続実施中の地区につき特定土地改良工事特別会計による計画期間内の完成を確保するとともに、さらに新規三地区に着工することといたしました。   また、全体設計実施地区として新規一地区を採択し、調査計画として新規三地区を加えることといたしました。  3、防火事業につきましては、海岸保全、防災ため池、老朽ため池、地すべり防止事業等に重点を置き、その計画的推進をはかることといたしました。  4、次に、畑作振興基盤となる土地条件の整備をはかるため、畑地土地改良事業に要する経費として四億九千八百万円を計上いたし、地下水の開発利用調査や畑地灌漑排水事業実施するとともに、同事業に対する現行補助率引き上げを行うことといたしました。   また、農地集団化事業促進するため七千五百万円を計上し、従来の交換分合換地計画推進するほか、集団化事業と関連する農道事業に対して助成を行うことといたしております。  5、開拓事業につきましては、これが刷新強化をはかるため、七十七億六千万円を計上し、次の施策を講ずることといたしました。   (一) まず開拓計画につきましては、新開拓方式に基く特定農地開発事業地域、市町村農地開発事業地域及び小規模開拓事業地区の区分に応じ、それぞれ調査計画を進めることといたしまして、特定農地開発事業地区については新規四地区、市町村農地開発事業地域については新規約四十地区調査を開始することといたしました。   (二) 開墾建設工事につきましても引き続きその促進をはかることといたしておりますが、国営地区については新規五地区に着工するとともに、新規四地区の全体設計を実施することといたしました。   (三)新規入植につきましては、入植戸数を千七百戸とし、入植営農の質的向上目標として基本営農類型適用地区拡大をはかることといたしております。また、営農不振の既入植地に対しましては、開拓営農振興臨時措置法に基く振興計画をもととして、建設工事、開墾作業、土壌改良事業の遅延を取り戻す等、所要事業計画的推進をはかりますとともに、既入植者の旧債の借りかえと、これに伴う利子補給、開拓者資金融通特別会計における振興対策資金の融資ワクの拡大及び中央開拓融資保証協会に対する政府出資の増員等の措置を行い、その振興に努めますほか、営農指導員を増額して開拓地営農指導を充実強化することといたしております。  6、なお、以上のほか災害復旧事業費として六十二億八百万円を計上いたしまして、過年災について極力残事業の解消に努め、三十一年災までについては三十四年度において完了いたすこととなっております。  第二に、畑作営農改善に要する経費についてであります。  1、まず畑作営農の後進性の要因となっておる畑地土壌生産力の低さを打破するため、継続実施中の諸施策に加え、新たに畑地地方の倍養保全に関する総合的な基本調査を行うとともに、全国主要地点において地方変動観測調査実施することとし、また、従来放任せられていた畑地土壌病害虫防除事業を強力に推進するため、主要畑地について検診調査を行うとともに、被害激甚地において防除を実施するに必要な農薬及び防除機具に対して助成を行うことといたし、これらに必要な経費一億三千二百万円を計上いたしました。  2、次に、畑作関係のその他一般耕種改善事業といたしましては、引き続き各種畑作物の原採種圃の設置、大豆特別指導地の増設、園芸等振興調査会の開催等を行うこととして一億八千五百万円を計上いたしております。  3、さらに、畑作営農のための施策として、別途農業改良普及事業において新たに畑作農業総合指導施設を設置いたしますほか、寒冷地帯の畑作改善対策といたしましては、土層改良並びに農作業の大型機械化を行うため前年度に引き続き大型トラクターの導入を行うとともに、北海道における畑作営農改善対策として前年度から開始した農林漁業資金貸付については貸付ワクを十二億円に増額することといたしました。また、寒冷地適作物として有望なテンサイ振興をはかることとし、試験研究の強化、原採種苗圃の増設に加え、新たに東北地方テンサイ導入するための試作に対して助成することとしております。さらにテンサイ及びテンサイ糖業改良発達をはかるため新たに特殊法人日本甜菜糖振興会(仮称)を設置して、これに政府出資を行うとともに、寒冷地以外の暖地につきましてもその導入に必要な試験研究に対し別途助成措置を講ずることとし、これらに必要な経費として二億三千九百万円を計上いたしております。  4、以上の経費のほか、畑作改善の関連施策といたしましては、畑地の土地改良事業畑作物流通改善対策並びに畜産振興に意を用いますとともに、試験研究につきましては、北海道、九州の地域農業試験場の畑作部及び関東、東山地域農業試験場の畑作総合試験地の設置並びに運営に必要な経費を、また、農業改良普及事業につきましては、前年度に引き続いて園芸、畜産、機械化関係の特技普及員の増員に必要な経費を計上し、さらに、農業改良資金につきましては、園芸作物優良種苗導入事業等を対象事業として取り上げることといたしました。  第三に、畜産振興対策に要する経費についてであります。  1、まず、酪農対策につきましては、十五億五千六百万円を計上し、飲用乳等の学校給食拡大(四十万石)のほか、新たに余剰乳製品調整保管補助並びに消費普及啓蒙事業推進を行う等、牛乳乳製品生産消費の均衡をはかるための施策拡充するとともに、全国七百八十地区における酪農経営改善安定計画の樹立指導等酪農振興法改正法の施行に必要な経費について助成を行うことといたしております。  2、次に、家畜導入につきましては、四億二千二百万円を計上し、寒冷地帯を対象とする家畜国有貸付、有畜農家創設事業及び畜産による中小農振興対策による家畜導入並びに世界銀行資金によるジャージー種乳牛の導入を引き続き実施して参る所存であります。  3、飼料対策につきましては、一億五千八百万円を計上し、その拡充をはかることといたしておりますが、特に草地改良及び自給飼料対策につきましては、高度集約牧野の造成・改良事業拡大実施を行いますとともに、新たに大規模草地改良を行うための必要な調査・設計の直轄実施農業改良資金制度による飼料畑造成または更新のための資金の低利または無利子貸付、乾草調整施設設置助成等を新規事業として取り上げ、飼料自給度向上のための施策の充実を期することといたしております。以上のほか、農家の購入飼料の需給安定対策につきましては、飼料需給安定法の適切な実施をはかるため、食糧管理特別会計における飼料の輸入量を増加するとともに、政府売却基準価格につきましては、畜産価格の下落傾向を考慮し、今後適正な水準に定めたい所存でございます。  4、家畜の改良増殖及び衛生対象につきましては、八億一千四百万円を計上し、都道府県種畜設置補助家畜伝染病予防法による家畜疾病予防等、従前の施策に加えて、新たに乳牛の経済能力検定事業優良系統ひな導入のための種鶏場及び孵化場登録事業都道府県家畜保健衛生所整備充実のための家畜衛生車の設置等につき助成を行いますほか、前年度着手した国立の種畜牧場整備強化を進めるとともに、寒冷地和牛指導施設及び豚産肉能力検定施設を新設することといたしております。う、家畜共済制度につきましては、一般会計から家畜勘定への繰り入れ八億七千四百万円を計上いたしております。これは、来年度は家畜共済掛金率の改定期に当りますが、最近の疾病傷害事故の増加により掛金率は相当の増高が予想されますので、農家負担を軽減するための措置でありまして、その内容は別に御説明いたします通りであります。  6、以上のほか、農民の畜産に関する技術向上対策につきましては別に申し述べます通り、特技普及員を増員して農業改良普及事業における畜産部門の強化をはかりますとともに、畜産技術及び経営診断事業の乳牛部門を強化して継続実施することといたしております。  第四に、蚕糸業の安定に要する経費についてであります。  1、まず、養蚕経営合理化対策につきましては、三億七千一百万円を計上し、養蚕の生産性を高め、繭の生産費を引き下げる目的をもって、新たに年間条桑育を強力に推進するための指導地の設置助成を行いますとともに、繭の需給事情に即応して養蚕農家が行う桑園の整理転換につき助成を行い、養蚕技術改良対策の強化等と相待って長期にわたる養蚕経営の安定をはかることといたしております。  2、次に、繭糸価の安定対策につきましては、糸価安定特別会計における生糸及び繭の買い入れ資金の一部に充てるため、一般会計から同特別会計へ二十億円を繰り入れますとともに、繭価を適正水準に維持する目的で設置される日本蚕繭事業団に十億円を出資し、繭糸価安定の強化をはかって参る所存であります。  3、生糸の需要増進対策につきましては、一億円を計上し、従前の米国における消費宣伝事業及び市場調査を一段と強化拡充して参ることといたしております。  第五に、農林畜水産物等の価格安定その他流通改善及び輸出振興対策に要する経費についてであります。  1、まず、食糧管理特別会計における米麦の管理を継続して参ることはもちろんでありますが、その他の主要農産物、飼料等につきましても、その価格安定をはかりますため、一般会計から同特別会計農産物等安定勘定へ十億円の予算繰り入れを行うことといたしております。  2、次に、農林畜水産物の流通改善対策につきましては、新たに臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会を設置し、また、青果物の市況速報を整備して生産者の出荷調整に資するとともに、主要品目についての産地事情調査を行う等のため、一千三百万円を計上いたしました。このほか、家畜及び食肉流通改善のための施策を確立するため調査検討を行いますとともに、別に述べますように水産物及び木炭について流通調整対策を新たに講ずることといたしております。  3、農林水産物の輸出振興につきましては、生糸の海外消費宣伝事業のほか、輸出農林水産物の需要増進対策のため、七千五百万円を通商産業省に計上し、海外市場調査及び宣伝事業強化することといたしております。  4、以上のほか、農林水産業に必要な各種生産資材対策につきましては、八千三百万円を計上し、肥料、農薬、農機具、流通飼料等の検査を引き続き実施し、その品質の改善保持に努めて参る所存であります。  第六に、森林資源の育成に要する経費についてであります。  1、まず、林野公共事業費につきましては、治山事業費に四十四億四千九百万円、造林事業費に二十九億三千百万円、林道事業費に森林開発公団補助を含めて二十五億九千九百万円を計上いたしております。    これらのうち、治山事業につきましては、復旧治山事業にあわせて予防的治山事業拡充することとし、造林事業につきましては林種転換を主とした拡大造林重点を置き、また、融資造林事業の伸展をはかるため、農林漁業金融公庫貸付条件を改善することとし、これに要する資金として一般会計より七億円を公庫に出資することといたし、林道事業につきましては、奥地林開発を中心に林道網整備を行うとともに、国有林野事業特別会計において新たに七億八千九百万円を計上し、民有林関連林道の開設を森林開発公団に委託して実施することといたしました。なお、以上のほか、林業関係の災害復旧事業費等に五億三百万円を計上しております。  2、次に、保安林整備につきましては、保安林公共性の大なることにかんがみ、これが整備維持管理重点を置くこととし、水源林造成事業に一億三千二百万円を計上いたしましたほか、保安林の指定に伴う補償を実施することとし、これがため必要な調査都道府県に委託することといたしました。  3、その他の林業関係の主要経費につきましては、まず、林木品種改良事業に一千三百万円を計上いたしまして、林木の新品種育成のため年次計画に従った計画的実施を期して都道府県に対する必要経費の助成を行いますほか、国有林野事業特別会計民有林政協力の一環といたしまして、林木育種場の運営費を一括国有林野事業特別会計に計上し、林木育種場支場二カ所の新設を含めて強力に育種事業推進をはかることといたしました。また、木炭関係につきましては、四千八百万円を計上いたしまして、前年度に引き続き木炭生産指導を行いますほか、新たに規格改正に伴いまして科学的格づけのために必要な器械の整備費につき助成いたしますとともに、木炭流通合理化及び生産者所得の安定をはかるため、系統利用機関等が行う流通調整事業に対し必要な助成を行うことといたしました。  第七に、水産業振興に要する経費についてであります。  1、まず、沿岸漁業の振興につきましては、沿岸漁業における生産力を維持増強し、沿岸漁家の経営の安定をはかるため、三億五千四百万円を計上いたしまして、前年度に引き続き水産資源の保護増殖のための助成及び漁業共済制度の試験実施に関する調査委託を行いますほか、沿岸漁業に対する依存度の高い海域につきまして総合的な沿岸漁業振興対策を拡充実施することといたしております。  2、次に、漁業の生産条件の整備につきましては、国際漁場の確保と未開発漁場の開発についてその発展をはかりますとともに、漁港整備計画に基く漁港整備事業計画的に実施するため四十三億二千二百万円を計上し、継続三百八十二港及び新規四十八港について事業実施いたしますほか、局部改良事業及び区域内の保全施設拡充を行うことといたしました。また、水産庁漁港部を新設し、漁港関係の調査等の充実をはかることといたしました。なお、このほか、漁港関係災害復旧事業等に七億六千四百万円を計上いたしております。  3、水産物の流通改善及び需給の安定につきましては、千七百万円を計上いたしまして、前年度に引き続き水産物の流通過程、生産地状況等の調査につき補助するとともに、これら水産物のうち漁獲が季節的に一時に集中する大衆多獲魚について価格の安定と系統利用の促進をはかるため、系統利用機関が行う流通調整事業に対し必要な助成を行うことといたしました。  第八に、農山漁村の振興に要する経費についてであります。  1、新農山漁村建設総合対策につきましては、既定計画に従いまして、特別助成事業の新規計画樹立地域を九百八十五地域、事業実施地域を継続一千地域、新規一千地域、計二千地域として事業推進をはかることとし、これに必要な経費三十三億円を計上いたしております。  2、一般助成事業のうち、小団地開発整備事業及び離島電気導入事業につきましては引き続き拡充実施するほか、新たに農山漁村僻地における電気導入事業促進するための助成を行うことといたし、これらに必要な経費として四億九百万円を計上いたしました。  3、農山漁村青年の自立を促進し、農山漁村の振興に資するため、農山漁村青年対策を強化することとし、農村建設青年隊、農村建設班、青壮年海外派遣、農業労務者派米及び農業講習等の事業を継続実施するほか、新たに農業について中央及び地方に青年研修施設を、また漁業について地方に研究器械をそれぞれ設置することとし、これらに必要な経費として二億五千四百万円を計上いたしております。  第九に、海外移住及び国際技術協力の推進に要する経費についてであります。  1、海外移住につきましては、前年度と同様一万人の送出を目標といたしておりますが、三十四年度は、地方における移住事業活動を拡充強化するため、都道府県に専任職員を新設するとともに、地方海外協会に対する補助を農林省に一元化してその充実をはかることといたしました。また、移住に関する系統資金融通の円滑化をはかるため、農業拓植基金の設置に対して助成を行うこととし、これらに必要な経費一億二千九百万円を計上いたしております。  2、次に、海外農漁業技術協力の積極的推進をはかるため、新たにパキスタンの農業技術センター及びセイロンの漁業センターの設置運営について援助することとし、これに必要な経費を外務省所管に計上いたしております。  第十に、農林水産業諸団体の活動促進に要する経費についてであります。  1、まず、農業委員会の関係におきましては、その組織及び活動を維持するに必要な経費十億八千六百万円を計上いたしましたが、このうち新たに二千二百五十の農林漁業地域を対象として農業委員会の農家台帳整備に要する経費を助成することといたしております。  2、次に、農林水産業協同組合関係につきましては、その検査指導に必要な経費一億二千九百万円を計上するとともに、連合会の整備促進対策及び不振単協の整備強化措置を既定計画に基き推進するに必要な経費の確保をはかっております。このほか、三十四年度は、新たに、農林漁業組合職員の養成講習事業につき助成を行うため、一千四百万円を計上するとともに、農業協同組合中央会については、その活動促進のため七千四百万円を計上し、従前の事業に加えて新たに自治監査の強化をはかるために監査士の設置を補助することといたしております。なお、三十三年度発足しました農林漁業団体職員共済組合に対しましては、給付に要する経費の一部と事務費を補助するため一億四千七百万円を計上いたしました。  3、農業共済団体につきましては、前年度に引き続き損害評価に関する団体の機能の充実と職員の給与の改善重点を置き、二十三億五千二百万円を計上いたしております。  第十一に、試験研究、統計調査及び技術普及の強化に要する経費についてであります。  1、まず、試験研究につきましては、二十億九千九百万円を計上いたし、これが推進強化をはかることといたしました。すなわち、国の試験研究機関においては新規研究項目の追加、前年度に引き続く畑作試験部門の整備、放射線育種試験照射場の新設並びに研究管理協議会、試験研究運営調整費の設置等、試験研究管理体制の強化を行い、また都道府県の試験研究の助成においても農林水産業にわたりその充実をはかることといたし  ております。  2、次に、農林水産関係技術普及事業につきましては、園芸、畜産、機械化関係特技普及員五百三十人、生活改善普及員九十二人、開拓営農指導員五十人の増員及び沿岸漁  業改良普及員四十八人の新設等により、技術指導の充実向上をはかることといたしましたほか、農業及び林業普及所運営費の充実、蚕糸普及員の機動力強化及び待遇改善畜産林業技術の普及指導の濃密化等を行うこととし、これらに必要な経費として三十一億八千二百万円を計上いたしました。  3、また、農林水産関係統計調査につきましては、既定の調査に加え、一九六〇年世界農業センサスを実施して農林施策に必要な基礎的統計資料の体系的整備をはかるとともに、新たに牛肉及び豚肉の生産調査等を実施することといたしております。また、これらの統計調査の充実にあわせて、能率増進のため機動力の強化をはかることとし、これらに必要な経費といたしまして十五億八千九百万円を計上いたしております。  第十二に、農林漁業基本問題に関する調査促進に要する経費についてであります。  現下のわが国農林漁業生産性向上経営改善、就業構造の近代化等の基本問題に当面していることにかんがみ、わが国農林漁業の現状と将来のあり方に検討を加え、農山漁家の生活の安定に資するための基本施策調査審議するため、総理府に農林漁業基本問題調査会を設置するとともに、これに伴い、基本的な重要事項について調査、企画立案に当る所要の人員の増加を行うこととし、これらに必要な経費として三千三百万円を計上いたしております。  次に昭和三十四年度の農林関係特別会計予算案について申し上げます。  第一に、食糧管理特別会計について申し上げます。  この会計は昭和三十三年度より国内米、国内麦、輸入食糧等の六勘定に区分し、収支損益を明確にしてその処理運営をはかってきたのでありますが、今後も一そうその適正化に努力いたしたい所存であります。  三十四年産米につきましては、集荷数量を四百八十万トン、国内麦の買い入れ数量百二十六万八千トンと予定いたしております。また、国内米の政府買い入れ価格は、予約減税の廃止に伴い、その減税に見合う加算金を含めるとともに、消費価格は据置といたしましたほか、これら米麦の管理につきましてはすべて従来の方針を継続して参ることといたしております。  外国食糧の輸入は、国内米麦の生産量及び持越量を考慮し、需給上必要な限度の買付を予定いたしております。農産物等安定勘定につきましても前年度に引き続きその買い入れ費を計上いたしておりますが、特にテンサイ糖につきましては、別途砂糖消費税の一部を関税に振りかえることによりまして、テンサイ糖業自立振興が可能となるよう措置することとし、輸入飼料につきましては別途申し上げましたように畜産政策の進展に応ずる方針をとることといたしました。  なお、この会計の損益見込みにつきましては、国内米、国内麦、輸入食糧の各勘定を通じまして三十三年度約三十七億円、三十四年度約二十八億円の損失を見込んでおりますが、調整資金は三十四年度当初なお約四十六億円の残がありますので、一般会計からの繰り入れは行わないこととし、農産物等安定勘定につきましてのみ前年同様十億円を一般会計から繰り入れることといたしております。  以上によりまして、各勘定区分に従い歳入、歳出の規模を申し上げますと、国内米管理勘定六千三百十三億一千六百万円、国内麦管理勘定七百六十二億二千二百万円、輸入食糧管理勘定一千四百六十六億七千五百万円、農産物等安定勘定五百五十二億八千九百万円、業務勘定百六十四億一千百万円、調整勘定六千五百七億二千九百万円となっております。第二に、農業共済再保険特別会計について申し上げます。  このうち、基金勘定につきましては、その歳入、歳出はともに二十九億八千二百万円を計上しております。  次に、農業勘定は、歳入、歳出ともに百十億四千万円と、前年度予算に比べまして六億二百万円の減少となっておりますが、これは三十三年度の推定引受実績を基礎においたこと等のためでありまして、これにより一般会計からの受入額は五億五千万円減少し七十四億七千五百万円となっております。  家畜勘定につきましては、歳入、歳出ともに三十二億四千三百万円でありまして、前年に比し五億七千万円の増加となっております。従来は牛馬につき死廃部分の最低共済掛金の二分の一を国庫負担いたしておりましたが、三十四年度からは死廃部分の共済掛金の二分の一を別に定める金額を限度として負担することとし、また、乳牛については加入奨励金として乳牛の病傷部分に対する掛金率の上昇部分の一部を補助することとしたのでありまして、これにより一般会計繰り入れは二億八千万円を増加し八億七千四百万円となっております。  第三に、国有林野事業特別会計につき申し上げます。  この会計は三十四年度より林力の増強を経営計画に従って強力に実施することとし、経済発展による需要の増加に対応し、生産基盤拡充を行い、なおその資金と組織を活用して民有林林政への協力をいたすこととしております。  三十四年度における伐採量としては一千八百万立米(前年度一千七百万立米)を予定し、これらによる歳入五百三十億四千六百万円を計上いたしておりますが、歳出面におきましては、奥地未利用林開発のため林道新設、生産面における機械化、造林治山事業及び官行造林等にその主力を注ぐ一方、林政協力といたしまして、国有林と関連する民有林林道の開発、従来一部一般会計の負担で実施いたして参りました林木育種場の運営等を行うほか、三十三年度剰余金見込み額の一部を林政協力のため一般会計に繰り入れました。これに伴い、一般会計より農林漁業金融公庫に出資を行い、長期、低利による融資造林促進を行うことといたしておりますが、これら諸施策実施す。るため、この会計の歳出総額は五百四十億四千六百万円と予定しております。  第四に、糸価安定特別会計について申し上げます。  この会計の歳入、歳出は二百九十五億円でありまして、前年に比し大幅の増額を来たしております。  これは、現在繭糸価格安定に関する臨時措置法に基き日本輸出生糸保管会社が保有する三十三年産の春蚕及び夏秋蚕繭にかかわる生糸につき政府買入期限の到来する九万三千俵分百八十二億五千万円のほか、すでに借り入れた借入金の返済六十三億五千八百万円、その他管理費を含め前述の歳出を要するのであります。これらの財源といたしましては、証券発行及び借入金二百七十五億円のほか、三十三年産生糸及び繭の買い入れのための経費の支払い財源の一部として一般会計より二十億円の繰り入れをいたすこととしております。  なお、三十四年産繭及び生糸につきましては、別に設置される日本蚕繭事業団の事業と相待って三十三年度と同様の方針により本会計を通じ繭糸価格の安定をはかりたい所存であります。  以上の各特別会計のほか、特定土地改良工事特別会計、開拓者資金融通特別会計につきましては、別途御説明申し上げておりますが、森林火災保険、漁船再保険、自作農創設特別措置、中小漁業融資保証の各特別会計につきましては、前年に引き続きほぼ同様の方針で計上いたしております。  次に昭和三十四年度の農林関係財政投融資計画について御説明申し上げます。  昭和三十四年度における農林関係財政投融資計画は四百三十九億円でありまして、そのおもなるものは次の通りであります。  1、まず、農林漁業金融公庫につきましては、三十四年度の貸付計画として四百三十二億円を予定いたしております。この原資計画といたしましては、産業投資特別会計からの出資七十億円、一般会計からの出資七億円、資金運用部等からの借入金二百十五億円、回収金等百二十億円、計四百十二億円であります。なお、融資造林事業促進のための一般会計からの出資七億円、非補助土地改良事業低利融資の拡大等につきましてはさきに述べた通りでありますが、このほか三十四年度は自作農維持創設資金を百億円と大幅に増額いたしてあります。  2、次に、開拓者資金融通特別会計につきましては、三十四年度の貸付計画は、営農及び共同施設資金五億七千一百万円、振興対策資金十三億八千万円、農地開発機械公団地区営農資金二億七千万円となっておりますが、この原資計画は、資金運用部等からの借入金二十八億円、その他回収金等でまかなうこととしております。なお、開拓営農振興対策の一環として、不振開拓農家の償還能力を考慮して本会計における償還金回収率を引き下げることといたしております。  3、特定土地改良工事特別会計の総事業費百十二億一千八百万円に見合う資金計画は、資金運用部からの借入金三十億円、一般会計からの繰入金七十億八千二百万円、その他十一億三千六百万円であります。  4、愛知用水公団事業の三十四年度総事業費百十二億円に見合う資金計画は、国費二十二億円、資金運用部八十一億円、その他九億円であります。  5、森林開発公団の三十四年度総事業費二十三億千八百万円に見合う資金計画は、国費四億五百万円、資金運用部五億円、関連林道収入七億八千九百万円、その他六億二千四百万円であります。  6、農地開発機械公団事業におきましては、三十四年度の国営干拓事業に対します土木機械の貸付事業等のための資金三億円を資金運用部から借入することといたしております。  以上をもちまして農林関係一般会計予算案及び特別会計予算案並びに財政投融資計画概要の御説明を終ります。何とぞよろしくお願い申し上げます。
  6. 松浦周太郎

    松浦委員長 これにて農林省関係予算の説明は終了いたしました。  大臣の所信並びに予算に関する説明についての質疑は後日に譲り、本日はこれにて散会いたします。     午後零時十二分散会