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1958-12-16 第31回国会 衆議院 農林水産委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和三十三年十二月十日)(水曜 日)(午前零時現在)における本委員は、次の通 りである。    委員長 松浦周太郎君    理事 大野 市郎君 理事 吉川 久衛君    理事 助川 良平君 理事 丹羽 兵助君    理事 本名  武君 理事 赤路 友藏君    理事 石田 宥全君 理事 日野 吉夫君       安倍晋太郎君    赤澤 正道君       秋山 利恭君    今井  耕君       五十嵐吉藏君    大森 玉木君       加藤常太郎君    金丸  信君       倉成  正君    佐藤洋之助君       笹山茂太郎君    田口長治郎君       高石幸三郎君    内藤  隆君       永田 亮一君    濱地 文平君       松岡嘉兵衛君    三和 精一君       八木 徹雄君    保岡 武久君       足鹿  覺君    角屋堅次郎君       神田 大作君    久保田 豊君       栗林 三郎君    實川 清之君       中澤 茂一君    中村 時雄君       西村 関一君    芳賀  貢君       松浦 定義君     ————————————— 昭和三十三年十二月十六日(火曜日)     午前十一時十七分開議  出席委員    委員長 松浦周太郎君    理事 大野 市郎君 理事 吉川 久衛君    理事 助川 良平君 理事 丹羽 兵助君    理事 本名  武君 理事 石田 宥全君    理事 日野 吉夫君       安倍晋太郎君    赤澤 正道君       秋山 利恭君    今井  耕君       臼井 莊一君    加藤常太郎君       金丸  信君    倉成  正君       笹山茂太郎君    田口長治郎君       高石幸三郎君    内藤  隆君       永田 亮一君    濱地 文平君       三和 精一君    八木 徹雄君       保岡 武久君    足鹿  覺君       角屋堅次郎君    神田 大作君       久保田 豊君    栗林 三郎君       實川 清之君    中澤 茂一君       西村 関一君    芳賀  貢君  出席政府委員         総理府事務官         (自治庁財政局         長)      奧野 誠亮君         農林政務次官  石坂  繁君         農林事務官         (大臣官房長) 齋藤  誠君         農林事務官         (農地局長)  伊東 正義君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   高木 文雄君         農 林 技 官         (農地局建設部         災害復旧課長) 河口  清君         農林事務官         (食糧庁総務部         長)      岡崎 三郎君         農 林 技 官         (食糧庁業務第         一部長)    諌山 忠幸君         農 林 技 官         (林野庁指導部         長)      茅野 一男君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 十二月十六日  委員八木徹雄辞任につき、その補欠として臼  井荘一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員臼井莊一君辞任につき、その補欠として八  木徹雄君が議長指名委員に選任された。 同日  理事赤路友藏君十月二十九日委員辞任につき、  その補欠として赤路友藏君が理事に当選した。     ————————————— 十二月十日  昭和三十三年七月、八月及び九月の豪雨及び暴  風雨による被害農家に対する米穀売渡特例  に関する法律案内閣提出第二号)  農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定  措置に関する法律の一部を改正する法律案(内  閣提出第三号)  繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改  正する法律案内閣提出第一四号) 同月十三日  農家負債整理資金融通特別措置法案芳賀貢君  外十一名提出衆法第二号)  寒冷地畑作農業振興臨時措置法案芳賀貢君外  十七名提出衆法第三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  国政調査承認要求に関する件  昭和三十三年七月、八月及び九月の豪雨及び暴  風雨による被害農家に対する米穀売渡特例  に関する法律案内閣提出第二号)  農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定  措置に関する法律の一部を改正する法律案(内  閣提出第三号)  繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改  正する法律案内閣提出第一四号)      ————◇—————
  2. 松浦周太郎

    松浦委員長 これより会議を開きます。  会期の初めに当りまして、まず国政調査承認要求についてお諮りいたします。  本会期中におきましても農林水産業の種々の重要問題を調査するために、この際議長国政調査承認要求の申し出を行いたいと存じます。調査する事項は、先国会通り、  一、農林水産業振興に関する事項  二、農林水産物に関する事項  三、農林水産業団体に関する事項  四、農林水産金融に関する事項  五、農林漁業災害に関する事項とし、調査の目的、方法及び期間等につきましては委員長に御一任願うことといたし、議長承認要求書提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松浦周太郎

    松浦委員長 御異議なしと認めます。さよう決定いたしました。     —————————————
  4. 松浦周太郎

    松浦委員長 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員の異動に伴い、ただいま理事が一名欠員となっております。つきましてはその欠員委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 松浦周太郎

    松浦委員長 御異議なしと認め、赤路友藏君を理事指名いたします。     —————————————
  6. 松浦周太郎

    松浦委員長 去る十日本委員会に付託になりました内閣提出昭和三十三年七月、八月及び九月の豪雨及び暴風雨による被害農家に対する米穀売渡特例に関する法律案農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案及び繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を順次議題といたし、審査に入ります。  まず三案の趣旨について逐次政府説明を求めます。石坂政務次官。     —————————————
  7. 石坂繁

    石坂政府委員 ただいま上程されました昭和三十三年七月、八月及び九月の豪雨及び暴風雨による被害農家に対する米穀売渡特例に関する法律案提案理由を御説明申し上げます。  御承知通り、本年七月以降九月に及ぶ間において屡次にわたりわが本土に来襲いたしました台風並びにこれらの台風に前後して各地を襲いました豪雨によりまして、狩野川のはんらんにより惨害をこうむりました伊豆地方等米穀生産に損害を生じ、その減収により飯用食糧にも事欠く農家を生じている状態であります。  ここにおきまして、政府は、かかる農家に対しまして、その食糧の不安をなくするために、政府所有米穀特別価格売り渡し、他の災害対策と相待って米穀の再生産確保に寄与したいと考えまして、この法律案提案した次第であります。  次に本法案の骨子につきまして御説明申し上げます。  第一点は、本法案対象となる災害は、本年七月、八月及び九月の豪雨及び暴風雨により政令で定める地域内において生じた災害と規定しております。すなわち適用地域政令で定めるのでありますが、被害程度調査いたしまして、これにより地域の指定をすることといたしているのであります。  第二点といたしましては、本法案によりまして米穀売り渡しを受ける農家は、その生産する米穀災害によって著しい減収を来たし、そのためその生産する米穀飯用として消費する量に著しく不足する旨の都道府県知事の認定を受けることといたしております。 第三点といたしましては、政府都道府県及び市町村を通じて被害農家米穀を売り渡すことにしている点でありますが、これはなるべく被害農家米穀の購入が立法の趣旨に沿って行われるようにはかっているのでありまして、政府都道府県市町村が一体となって農家の救済を期しているのであります。  第四点といたしましては、被害農家米穀をおおむね生産者価格をもって購入できるようにはかっている点であります。  以上が提案理由概要でございます。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことを希望いたす次第であります。  次に、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案提案理由を御説明いたします。  本年三月の融雪害、四月から五月にかけての水害、特に七月以降の相次ぐ豪雨、及び二十一号、二十二号を中心とする台風により、静岡県を初め各地に激甚なる被害をもたらしました。とりわけ農林業関係施設ははなはだしい被害をこうむり、農家は、たび重なる災害のため、多大の困難に遭遇いたし、農林業生産に支障を来たしている実状であります。かような事態に対処しまして、一日も早く損壊施設復旧をはかり、農林業生産の回復をはかることは、焦眉の緊要事でございます。  従来、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律に基く農林水産業施設災害復旧事業費に対する国の補助につきましては、甚大な被害を受けた地域に限りまして高率補助適用をすることとして、被災農家等負担の軽減をはかってきたのでありますが、農地及び奥地幹線林道以外の林道につきましては、農家負担能力等から見まして、現行補助率では十分な復旧を期待することができませんので、被害が特に激甚な場合についてさらに補助率を引き上げ、農家負担を軽減して災害復旧事業の促進をはかり、農林業生産力の増進と経営の安定をはかることといたしました。  以下この法律案概要を御説明申し上げます。  現行法におきまして、農地及び奥地幹線林道以外の林道災害復旧事業につきましては、一般地域のものは当該事業費の五割を補助いたしておりますが、その年の一月から十二月までに発生した災害により甚大な被害を受けた地域におきましては、災害復旧事業費のうち政令で定める一定額以上の部分については、高率補助にはなっておりますものの、いかに被害額が大きい場合におきましても、農地にあっては十分の八、奥地幹線林道以外の林道にあっては十分の七・五の補助率にとどめられておりました。今回の改正は、前に御説明申し上げた趣旨により、この高率補助適用部分のうちさらに政令で定める一定額以上の部分について、農地にあっては十分の九、林道にあっては十分の八・五の補助率適用し、補助率を累進的に高めることにいたしたのであります。  なお、この改正された新制度は、本年の一月から十二月までに発生した災害にかかる災害復旧事業から適用されることとなっております。  以上がこの法律案提案する理由でございます。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。  さらに、繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について、その提案理由説明申し上げます。  政府は、第二十九特別国会において成立いたしました繭糸価格の安定に関する臨時措置法によりまして、日本輸出生糸保管株式会社を通じて生糸及び乾繭買い入れを行うことにより繭糸価格の安定に努めて参りました。同会社は、現在までに相当大量のたな上げを行なったのでありますが、その後の需給事情はなお好転するに至っておりません。このような事態に対処して今回夏秋蚕繭につきまして生産者団体が約三百万貫を市場よりたな上げして繭及び生糸価格の安定をはかろうとしているので、この円滑な実施をはかるため、たな上げした繭の保管会社買価格を特別の価格とすることができるようにすることが必要となったのであります。  この法律案は、以上の趣旨によりまして、日本輸出生糸保管株式会社夏秋蚕繭を特別の価格買い入れることができるようにするための改正でありますが、以下法律案の内容ついてその概略を申し上げます。  第一は、繭糸価格の安定に関する臨時措置法による日本輸出生糸保管株式会社の繭の買入価格を、一万一千二百五十トンすなわち三百万貫でありますが、この範囲内の数量については、政令で定める額に保管費用等を加えた額とすることであります。  第二は、これに伴いまして、同会社が同法により買い入れ等を行なって取得した生糸及び乾繭政府買い入れる場合におきましては、買入金額限度額を五十億円増額して二百億円としたことであります。  以上が繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案提案理由であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決されますようお願いする次第であります。
  8. 松浦周太郎

    松浦委員長 これにて三案に対する趣旨説明は終りました。  午前中の会議はこの程度にとどめまして、午後は二時半より再開することとし、暫時休憩いたします。     午前十一時二十九分休憩      ————◇—————     午後二時四十四分開議
  9. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和三十三年七月、八月及び九月の豪雨及び暴風雨による被害農家に対する米穀売渡特例に関する法律案及び農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、審査に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。久保田豊君。
  10. 久保田豊

    久保田(豊)委員 まず第一に、昭和三十三年七月、八月及び九月の豪雨及び暴風雨による被害農家に対する米穀売渡特例に関する法律案について、大体四点だけ確かめておきたいと思います。  その一つは、これによって大体売り渡しができるわけですが、これは、この前の御答弁でも、代金は一年間無利息延納をする、こういう約束になっておったわけであります。これはもちろん法律に書けないことでしょうが、これに対して具体的にどういう行政措置をされておるのかという点、あるいはこれからするのかという点が一点であります。  それから、第二点は、私の方で見ておりますと、現地の方でこういう措置をやっているわけです。供出農家売り渡しをする農家についてはこれでやっている。ところが、そうでない、いわゆる転落農家では月々売り渡しになっている。価格は少し安いですが、こういうことになっておる。供出農家については貸せるという格好になるわけですけれども、供出農家でない転落農家供出のない農家については月々売り渡しという格好をとっているが、これはどういう理由なのか。これも同じように一年間の延納を認めるのか認めないのか。  もう一つ、これには直接関係ありませんけれども、この前の話で、つまり売り渡し予約金概算金、これについては一年間の延納無利息で認める、こういうことになったはずです。ところが、これについて、そんなことはあるまいと思いますが、一部では、その間の利子を日歩四銭ですかで取るというふうなうわさが飛んで、だいぶ動揺しております。この点は、この前の約束通りはっきり無利息で一年間延納を認めるかどうかという点。 それから、これはひどいところの特殊の例だと思いますけれども、概算金はもらった、一家全滅をした、あるいは全滅はしなかったけれども働き手が全部死んでしまったというふうなのが私の方あたりには多少あるわけであります。こういうものについては特別の減免措置が必要かと思いますが、この点はどういうふうに措置されるつもりか。  以上四つの点についてはっきりしたお答えをいただきたいと思います。
  11. 諌山忠幸

    諌山説明員 お答えいたします。  第一点の延納関係は、これは御承知のように国の所有に属する物品の売払代金の納付に関する法律によりまして延納をいたしております。これは申すまでもありません。
  12. 久保田豊

    久保田(豊)委員 無利子ですか。
  13. 諌山忠幸

    諌山説明員 無利息でございます。  それから、第二点の、転落農家に対しては延納がないのか。これは、転落農家に対しましても、農家である限り同じようにやっております。  それから、第三点の、予約概算金利子減免の問題は、売買条件にも書いてございますように、概算金を返納するまでの利子減免というものは、これははっきりきめておるわけであります。先ほど久保田先生のおっしゃいましたのは、それを返さない場合の一年間のあとの問題にもからんでくると思いますけれども、これにつきましては、従来北海道災害のような非常に多いものに対しましてはあと利子補給政府でいたしたことはございますが、今般のような散発的なものに対しましては、何とか系統内部におきましてそういう措置ができるだけできますように推進をいたして参りたい、こういうふうに現在考えております。  それから、死んだ方の問題は、今経理関係で研究をいたしておりますけれども、これは政府自体が免除にすることもできるじゃないかということが第一点ございますし、それができない場合におきましても、先ほども申し上げました系統内部の問題として、奨励金の配分その他においてある程度考慮するか、いずれか考えて参りたい、こういうふうに考えております。
  14. 久保田豊

    久保田(豊)委員 大体米の売り渡しの方についてはその四点だけが今残った問題でありますので確かめたのですが、大体今の御答弁でけっこうです。  次に、農地の方の農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案ですが、これについて四つ五つの大事な点を確かめておきたいと思います。  その第一点は、今度の法律によって、農地については従来法律措置限度が十分の八であった、それが十分の九になった。林道についても十分の七・五が十分の八・五になった。これは確かに改善であります。しかしながら、この点については今ここですぐにということは非常に困難かと思うが、これの計算の基礎というものは、私ども伺ったところによりますと、要するに今の日本農家としては一反歩について十五万円が負担限度だというところにあるわけです。ところが、十五万円以上かかるものについては九割まで補助するがあと一割は補助しないということは私はちょっとおかしいと思う。この点については、少くともこれは個人財産だからどうという点はありましょうけれども、今の日本の全体の経済の中における農家農家の中における農地の性格というものをもっと明確に把握されるならば、個人財産だから九割までにとどめておく、負担能力のない者に負担させるというふうなことは、私は非常におかしいじゃないかと思う。現実にやってみますと、これは私の方の例でありますけれども、相当大きな災害をこうむったところは、かりにこの九割の補助があっても、これで計算しても実際にそうもらえない。従って相当多額の地元負担をしなければならぬ。ところが、農民の方は、今度のような災害というと、全然ことしの作はとれない、冬作もできない、まかり間違うと来年度の夏作もできない、そういう危険があるわけですね。できたにいたしましても、全部の植付ということはちょっと困難だ、こういう状態である。これを町村でやるにいたしましても、そこにいろいろな問題があって、町村でも負担ができないという問題が相当深刻に出ておって、現に、この九割の補助というものを加えても、その補助残負担について、実は現地においては被害農民町村あと半分だけ負担しろというふうな問題が出て、被害者の方から言いますと、とてもほかの借金でさえどうにもならぬのに、そんな負担を背負わされてはどうにもやっていけないという問題がある。町村の方も、それではとうてい財政が持っていかないという深刻な問題が出かかっておるのであります。まだ工事に着工いたしません。私は町村長にこの問題は伏せておけと言っておるわけですが、そういう問題があるわけです。従って、この点については、農林省としてはなぜ今度九割に頭を押えたか、あるいは八割五分に頭を押えたか、これらについての理由を聞きたいと同時に、今後この点については、今ここですぐこの法律案の内容を改正するということは困難かと思いますが、もう一度根本的に補助率そのものについても再検討する必要があるのじゃないか。どういう根拠でこういう段階制をとってやったのか、ここらについても最近の農家経済の実情から見て再検討する必要があると思うが、こういう点についてはどう考えておるのか。あるいはそういう再検討の作業を進めておるのかどうか。これを第一にお伺いいたしたいと思います。
  15. 伊東正義

    伊東政府委員 御質問の点でございますが、実は、農業用施設農地につきまして補助率の差別をつけておりますことは、三十一年にこの法律改正しますときからすでにそういう形になっております。これは、今先生もおっしゃいました中で、農業用施設農地との間の違いかもしれないという意味の御説明がございましたが、実は、われわれ考えておりますのも、やはり農業用施設農地との間では若干性質の違いがあるのではなかろうかという考え方に立ちまして、農業用施設は十分の十という補助率までございますが、これを九割ということで実はとどめておる次第でございます。残余につきましては、これは農林漁業金融公庫補助残融資もございますので、われわれとしてはそれでやったらどうだろうかということでこの法律案提案したわけでございます。  今先生から、農家経済調査から言ったらどうだという御質問でございますが、われわれ、これは第一生計費が幾らくらいかかるというようなことで算定をいたしまして、農業用施設と大体同額の十五万円ということで線を切りまして、十割、九割というようにしたのでございますが、目下、これをさらに十割というふうに持っていくということにつきましては、これは非常にむずかしい問題があるというふうに考えますので、残った分につきましては公庫融資ということでこれを提案したような次第でございます。
  16. 久保田豊

    久保田(豊)委員 従来の農林省考え方は、今お聞きしたように私どもこれは承知しておるわけです。しかしながら、相当に深刻なことが起っているのは、今申したように、それだけでは片がつかない問題が出ているというところにあるわけです。それから、なお全般的に、たとえば農地については五割、八割ですか、それから今度九割という新しいランクができた、こういうことでも実はやり切れない面が相当今日の農家経済の実態なり経済全体の中で出ておる。そういう点から、もう一度この点は再検討する必要がありはしないか。特に農地についても、ひどい災害をこうむったときには、ある限度以上のものについては十分の十というものを認めて私は一向差しつかえないじゃないかと思うのですが、今ここですぐにこれをさらに修正をするということも、いろいろの事情で困難と思うので、この点をさらに再検討してもらいたいということを要望いたすわけです。  それから、もう一点は、今度の改正によって九割という新しいランク農地についてはできたわけですが、その補助残についてはどうするのかという点であります。今のお話では、これは公庫災害融資という問題も出ておる、それでいったらいいじゃないかというような御答弁でありますが、これは、従来の例から言っても、また解釈の問題ですが、農林省としてはこの際一本でいくつもりなのかどうか。地方財政法の十条の三の八号、「土地改良及び開拓による施設又は耕地の災害復旧に要する経費」、これは起債対象になるはずであります。しかも、十一条の二においては、この八号は除外になっておりません。従って、従来の例でも、これが起債対象になった例も相当あるやに聞いておる。これをやはり起債対象にするということが私は必要だと思うのですが、この点について農林省はどう考えておるか。ただ十分の九という新しいランクを設けたからそれでいいというものではなかろうと思う。あとは借金でやれと言えるものではないと思う。この点についてはどう考えておるのか。特に、きょうはここでは質問を差し控えて、地方行政委員会でやろうと思っておりますが、十万円以下の小災害は、御承知通りいろいろな経過があって、これにはある程度起債を認めて、そしてそれの元利補給についても、これは国が財源措置を講ずるということに閣議でも決定をしておるはずであります。従って、そういうものになる限りはこの十万円以上のいわゆる大災害といいますか。そういうものについても当然起債を認むべきである。従来も認めた例がある。法文上も認めてはいけないという根拠は一つもありません。むしろ、ここにはっきり出ておるように、これは起債を認めなければならぬ対象になっておると私は理解していいと思う。これに対して農林省の見解はどうか、それから自治庁の見解はどうか、さらに大蔵省はこれに対してどういう見解をとっておるのか、この点をはっきりしていただきたいと思います。
  17. 伊東正義

    伊東政府委員 今の御質問の点でございますが、われわれの解釈といたしましては、先ほど申し述べましたような補助残については全部農林漁業金融公庫融資だけというふうには考えておりません。これは、市町村財政事情その他、あるいは条例等もございましょうし、残りの分について起債をやれるところはその市町村においてやっていくということも当然あり得るというふうに考えております。両方でいけるのじゃないかというのが農林省の解釈でございます。
  18. 奧野誠亮

    奧野政府委員 お話がございましたように、個人財産復旧につきまして、国が補助する残りの部分について当然地方団体が一定部分負担するのだ、こういう建前はとりたくないと考えております。しかし、御指摘もございましたように、九割までは国がめんどうを見なければならない、残りの一割も深刻なものになっておる、その場合にその農地復旧事業を地方団体が行うのだ、しかも一割分についても幾らかの援助を地方団体としてもぜひしたい、そういう場合に、その部分について地方債を許可してもらいたい、こういう問題になって参りました場合には、地方債の許可をいたしたい、こういう考え方をいたしておるわけであります。
  19. 久保田豊

    久保田(豊)委員 財務局長にもう一度お尋ねいたしますが、そういう場合に、地方団体——主として市町村ですが、市町村が要するに災害復旧事業をやった場合に、いわゆる補助金以外の分については全額の起債を認めるのかどうか。それから、その起債の元利償還については当然普通交付税がつくはずでありますが、これも普通のほかの場合と同じように九五%つくのかどうか、またつけるのかどうか。もしつけ得ないとすれば、それはどういう事情によるのか、財源が少いからつけられないのか、あるいはその他の事情があるからか。その点を明確にしてもらいたい。
  20. 奧野誠亮

    奧野政府委員 個人財産復旧につきまして、当然地方団体が一定部分負担するのだ、こういう建前はとりたくない、かように申し上げたわけであります。しかし、個々の事例に即しまして、深刻な事態から地方団体としても当然負担をしたいのだ、そういう場合に直面いたしまして、さしあたり地方債でまかなうよりいたし方がないという団体につきまして、地方債の許可申請がありました場合には許可するように持っていきたい、こうお答えをいたしたわけであります。従いまして、そういうような問題でありますので、当然その元利償還額を基準財政額に算入していくのだという点につきましては問題があると考えております。従いまして、将来特別交付税の配分等に当りまして、そういう事情は考慮いたしたい、しかし、機械的に基準財政額に算入するということは、当初申し上げましたように、農地復旧につきまして当然地方団体が一定部分を分担するのだ、こういうような建前になってくるおそれがあるものでありますから、そういう点については慎重な措置をしていかなければならない、かように考えておるわけであります。
  21. 久保田豊

    久保田(豊)委員 原則論は一応お話はわかるわけですが、実際の措置が問題なんです。と申しますのは、たとえば、自分のところだけを申し上げて皆さんには大へん御迷惑と思いますが、伊豆災害のごときは、こういう補助残農地だけではない。農業施設もあります。あるいは公共施設等もあります。これはいろいろによって違いますが、これの総額が、町村でやるとして勘定した場合に、大体において十七億くらいになるわけです。それ以外にいろいろの経費が要る。しかも収入が何もないという実情。農家の方も、繰り返し申しますように、当分の間負担能力が回復する道がちょっとないわけです。そういう場合に、これをどの程度あなたの方で見られるのか、それから、それに対して元利補給をするのかしないのかということは、実は災害復旧がなるかならないかの一つの大きなめどになるわけです。私はこれは繰り返しこの前から申し上げておるわけです。ですから、原則は一応お話があったようですが、これは適用の問題としてもよろしゅうございます。やはり、相当ひどい災害の場合は、私は町村がやるよりほかには災害復旧はおそらくできないと思う。そういう場合には、全額を認めて、これに対して交付税を規定通り九五%をつけ得ないまでも、交付税なり何なりでもって十分これに算定をするということをやってもらわなければ、実際にはあとあとこの問題が長く町村財政問題にもひっかかって参ります。また災害住民の立ち上りにもこれが非常に大きな問題になって参りますので、重ねて今のもう少し具体的な点の答えをしていただきたいと思います。
  22. 奧野誠亮

    奧野政府委員 私たちは農地関係の復旧農地所有者の責任に属するものだと考えておるわけであります。しかし、農地所有者の負担だけではどうにもならない、そういう意味で国が援助されていると思います。その援助の程度が足りないならばその援助の程度を上げてもらいたい、こういうようなことを私たちは考えておるわけでありまして、あとの個人の負担に属するものについて、融資の問題としては農林漁業金融公庫からの融資の道があるはずじゃないか、こう思うわけであります。国が援助する、地方団体が援助する、どちらも国民の租税負担に基くものでありますから、国が一部を援助し、地方団体が一部を援助するというようなことを制度的にきめるべきものではない、もし援助する程度が足りなければ国が援助する程度を引き上げればいいじゃないか、こういう筋合いだと考えております。そうしますれば、九割まで国が負担するからあとの一割は個人負担に属するのだ、そう言い切ってしまいたいわけですが、御指摘になりました通り、その一割が大へんな事態に置かれる深刻な場合もあって、しかも地方公共団体としても積極的に何とかしたい、こういうような事情が出てきました場合に、そういう部分については頭から地方債を認めないのだ、これも穏当ではございませんので、そういう場合に、農林漁業金融公庫融資もございましょうが、地方公共団体が自分の負担で積極的に何とかしたいという点については地方債を認めたいのだ、こういう考え方を申し上げておるわけです。
  23. 久保田豊

    久保田(豊)委員 どうもまだはっきりしませんが、そういう特殊な深刻な場合には地方債を全額認めるのか、申請があったものを切るのかどうか、はっきり私が聞きたいのはその点です。
  24. 奧野誠亮

    奧野政府委員 原則的には、受益者負担といいましょうか、所有者の負担を伴うものだ、こう考えておるわけです。
  25. 久保田豊

    久保田(豊)委員 その点について大蔵省側の考えを一つ聞きたい。
  26. 高木文雄

    ○高木説明員 私、担当でありませんので、若干不正確になるかもしれませんが、私の承知しておる範囲で申し上げますと、ただいま自治庁からお答えになった通りでございまして、原則論としてはあくまで、個人財産についての制度が現在補助率が十分の八なり十分の九になっておりますれば、その補助残については個人の負担として、当面の資金繰りとしては農林漁業金融公庫からの融資として処理をするのが原則だ、しかしながら、具体的な場合にそれではできない、全然負担の能力がないという場合には、農林公庫としても償還の見込みのないものを貸すわけには参りませんでしょうし、市町村としてもそれを黙って見ているわけにも参りませんでしょうから、そういう非常に特殊な場合においては、ただいまのお話のように、特例的にと申しますか、弾力的な運用の一つとして起債が認められることがあり得る、そういうふうに了解しております。
  27. 久保田豊

    久保田(豊)委員 繰り返して質問をいたしますが、地方財政法の十条の二の八には、はっきり、「土地改良及び開拓による施設又は耕地の災害復旧に要する経費」は国がその一部を負担する、「災害に係る事務に要する経費」としてこれは大体において法律に規定しておるわけです。だから、この場合においては耕地ということですから当然個人財産です。しかも、その次の十一条の二においては、これはつまり交付税をつけないとは言っていない。つけると言っておるのです。これははっきり、この限りにあらずの条項に入っておらない。ですから、私は、個人財産だから原則として出さないのだが、実情によってある程度町村がやる場合においては考慮するということになるので、ひどい場合にはそういうものはやはり原則として見てやるのだ、軽い場合にはそうする必要がないというのがこの法案の建前だと思うのですが、この点はどうです。
  28. 奧野誠亮

    奧野政府委員 先ほども繰り返し申し上げましたように、今おっしゃいます規定がございますので、私たちは災害復旧について地方債を起そうとする場合には起すことができるのだということを申し上げておるわけです。起さなければならない関係の規定にはなっていないはずでございます。なお、交付税で災害復旧費を見ていきますのは、本来、自分の所有、自分の管理に属するものにつきまして災害復旧のための金を使った、その財源を見ていこうという趣旨であるわけでございまして、その内容はさらに精細に規定しなければならないわけでありますが、法律に書いてあります災害復旧事業費というものは本来はそういう建前にのっとっているものだ、こう考えているわけであります。
  29. 久保田豊

    久保田(豊)委員 その点は議論にわたりますからこれ以上はやめますが、この点は、特に三十三年度の災害については御承知通り、小災害について云々という問題も出ておるだけに深刻でございますから、これは一般論としてでなく、三十三年度、特に二十一号災、二十二号災、十一号災についてもそうでありますが、ひどい災害を受けたところについては、これは格別に一つこの規定を活用されて善処されんことをお願いいたしておくわけです。  それから、もう一つそれに連関して農林省並びに自治庁あるいは大蔵省に見解をはっきりただしておきたいのは、特にことしのように災害がおくれた場合、そうしてまた予算措置が十分でない場合、これはどうしても農民の方から言いますと来年度の植付期までにはでき得れば大部分の耕地の復旧をして植付をしなければならぬわけです。ところが、予算は、あとでちょっと私は触れようと思いますが、補正予算はそんなについておらない。全体としますると事業費のわずかしかついておらないのであります。農地、農業施設については、そういう場合に、これはどうしても来年度の事業費なりあるいは何なりというものを繰り上げ、つまり施越し工事をやらざるを得ない。ところが、施越し工事をやった場合においては、その施越し分については地元負担分その他については起債を認めない、静岡県あたりで自治庁に聞いた場合にはそういう返答だということです。そうしますると、これはわずかばかりの二〇%前後あるいは二四、五%程度の事業費しかついておらない。少くとも七〇%ないし八〇%はやらなければならぬのに、用をなさぬ。ところが、その施越しを、——これは中金なり何なりから借りてやるよりほかありません、町村にしましても県にしましても金がないのですから。その施越しをやった分については起債を認めない、こういうことでは、これは復興の意味をなしません。施越しをやった分についても起債を認めるのか認めないのか。この点私どもは当然認むべきだと思う。国の予算措置がそういういろいろな事務的な関係から切られるのでありますが、現地の実情はどうしても繰り上げてやらざるを得ない、こういう事情にあるものについて、施越しをやったためにそれに対する起債分を落されるということは、災害復興の実情に合わないと思う。この施越しをやった分についても、もちろんその次の年になりましょうけれども、この施越し分に対しては起債を認めるのか認めないのか、この点をはっきりしてもらいたい。農林省並びに自治庁、大蔵省等の見解をはっきりしてもらいたいと思う。
  30. 奧野誠亮

    奧野政府委員 一応本年度内に復旧すべき部分について国の補助予算がつけられているものだ、こういうように私たちは考えておるわけであります。従いまして、地方債計画をいたしますに当りましても、それに見合って地方債の資金の準備をいたしておるわけでございます。従いまして、個々の団体において工事費以上の事業をやるから地方債を認めろと言われましても、そういう資金は用意していない。従って、そういう事業について地方債を認めるということはできない、こう考えているわけであります。時によりまして、国の補正予算がおくれる、しかし仕事をやらなければならない、さしあたり起債でまかなっておく、あとで予算がきまった場合に補助金をつけていく、そういうことも例としてはあるわけでございます。そういう場合には、もとよりその地方債も資金手当をいたしましょうし、同時にまたそれがための地方団体の負担については国としてめんどうを見ていかなければならないと思います。しかし、ことしはそういう建前で私たちは補正予算が組まれたわけではないと了解しておるわけでございますので、施越しについて特に地方債を認めるのだというような用意はいたしていないわけであります。
  31. 久保田豊

    久保田(豊)委員 もう少し問題をはっきりいたしますが、ことしは御承知通り補正予算は普通補助率で二八%くらいしか見てない。ですから、実際の事業費になりますと一八%か二〇%しかないのですよ。あれは特別補助分といいますか高率補助分が全然入っていないわけです。従って、全事業費から見ますと、公式の予算というものは一八%か二〇%しかないわけです。高率補助が三割全額が来ても、それだけの復旧をしたのではなかなか植付ができないわけです。そこまでいかないから、どうしても、これはどの程度になりますかわからぬが、次年度のものを繰り上げてある程度やらざるを得ないわけです。そういう場合に、今年の起債分、もちろんこれは当然つくものと思いますが、来年度の起債分についても、施越しでもってやってしまったから、それについては起債は来年度認めない、こういう建前でいくのか。それでは現地復旧はできない。ですから、今年の分はもちろんてすが、しかし、施越しをした次年度の分の補助残についても起債を認めるのか認めないのかという点をお聞きしているわけです。全体の要る金を起債でもって貸してくれと言っているわけじゃありません。金はほかで融通して仕事はやるが、その次の年に補助金が来る、そのときに補助残というものが相当ついてくる、その補助残について起債を認めるのか認めないのかという問題です。
  32. 奧野誠亮

    奧野政府委員 もしお話が、本年度、来年度にわたって補助される部分について、地方負担分を今年全部やってしまった、来年補助分に見合う仕事があるのだが、仕事は本年度やってしまった、来年の補助金に見合う負担分をことし地方債が起債できないから来年度で起債許可しろ、こういうお話ならば、当然そういたしたいと想います。ただ、補助分が少いので、どんどん仕事をやっていくとそういう施越し分が相当出てくるじゃないか、それを長期の地方債で許可していけ、こうおっしゃいますと、これはやはり予算に見合う起債しかできない、こうした事態は起ってくるだろうと思うのですが、あと部分については資金繰りの団体として当該団体で考えていただくより仕方がない、こういう考え方をいたしておる次第であります。
  33. 久保田豊

    久保田(豊)委員 それはまだ問題が少しはっきりしないようです。つまり、今年の補助金がわずかでしょう。ですから、その補助残といういものが相当あるわけですね。今年は当然起債がもらえる、ところが全体の事業費のわずかしかいかないから、それだけやっても農地復旧は進まないわけです。ですから、どうしても来年度のものを前寄せてある程度やらなければ植付はできないということになる。来年度の分について補助金のつく分はよろしゅうございます。これは起債をいただかなくても何をしなくてもつなぎなり何なりでいくわけです。ところが、施越しでやっておる分については、この補助残については起債がつかないという解釈が県庁あたりではとられているわけですね。そういうばかなことはわれわれはないと思う。かりにどこで金を借りてやったにいたしましても、この補助残についてはやはり来年度において起債を認めていく、こういう措置がとれるのかとれないのか、これは当然とるべきではないか、それでなければ復興の意味をなさぬ、こう申し上げているわけです。この点はどう考えているかというわけです。
  34. 奧野誠亮

    奧野政府委員 お話の趣旨は、おそらく農業施設災害復旧に利用してしまっているのじゃございませんか。
  35. 久保田豊

    久保田(豊)委員 いや、施設農地と両方です。
  36. 奧野誠亮

    奧野政府委員 農業施設の場合にも、国庫負担のあります残りの負担、地方団体の負担に属しますものと、土地改良区などの負担に属します分と両方あるだろうと思います。地方負担に属する部分について地方債の対象にしているわけでありますが、その分を優先的に初年度につけていくものですから、結果的に今おっしゃるようなことを地方団体で言っているのじゃなかろうか、私はこういう推定をいたします。要するに、補助金に見合ら負担額のちち、補助残のうちで本来地方団体の負担に属する部分については地方債をつけていきたい、しかし土地改良区の負担に属するものにまで地方債をつけることは穏当でない、こういう考え方でございます。
  37. 久保田豊

    久保田(豊)委員 大へんくどいようですが、問題がはっきりしないので、もら少しはっきりしたいと思うのですが、確かに施設農地と両方あるわけですね。農地の扱いについては前のお答えで大体わかったわけです。ですから、全体の事業が今年二〇なり二二、三なり、それだけしかないのですから、当然来年度分についてもこれをやらなければ植付ができない。今年の分については当然起債がつけられるでしょう。つまり、それは地方負担でやる場合です。土地改良区がやる場合はあなたの方で起債はできないから、その場合は問題がありませんが、町村がやる場合ですよ。繰り上げてやった場合に、来年度のものは補助残の分が繰り上げてやられるわけです。その点についての起債を認めるのか認めないのか、こういうことなんです。
  38. 奧野誠亮

    奧野政府委員 災害復旧起債につきましては、当該年度については原則として地方負担分の全額地方債を認める、こういう方式をとりました。次年度以降につきましては、起債対象額を押えて参ってきておるわけであります。できる限り一般財源等でまかなってもらって、残りのどうにもならない部分について地方債の起債を認める、こういう方針をとって参っておるわけであります。しかし、いずれにいたしましても、地方負担の総額はわかっているわけですから、その総額を対象にして地方債をつけていきたい。従って、それがたまたま地方負担に属するものについて繰り上げてやっただけのことで、それがために全体の地方債を考える場合に対象に入れない、こういう考え方は持っておりません。ただ、今申し上げましたような受益者負担の問題あるいはまた現年災と過年災との間において取扱いを若干別にしているというような問題がありますことを御了解願っておきます。
  39. 久保田豊

    久保田(豊)委員 それでわかりました。施越しをやっても、ある制約はあるが起債は認める、こういうことですね。  そこで、今ちょっとあなたがお触れになったもう一つの問題点ですが、大体今までの自治庁の考え方からしますと、現年災については起債を認める、しかし次年度以降については制約をして、つまり額を落す。ところが、予算のつけ方はどらか、事業の配分はどうかというと、御承知通り、うまくいった場合でもって三、五、二という比率になる。今年あたりの場合はとても実際はそういっておりません。いっていないですから、初年度分としては二割もいくかいかないかというようなところなんです、実際の補助金のつく事業費から見れば。従って、現地負担分が非常に多いわけです。それから二年度、三年度と、うまくいっても七割以上、大体において七割五分くらいが次年度以降に繰り越されるわけです。それに対して補助残について起債を押えて、現年度は見るが、過年度についてはどんどん落していってつげないということは、これはちょっとおかしいじゃないか。特に災害のひどい場合は、そういうことをやられたのでは、今年も地方団体としては財政が非常に苦しいが、しかし実際に現われてくるのは来年度が一番ひどい、あるいは再来年度が一番苦しくなる。私も町村長をやっておりましたからよく実情を知っております。今年の災害のあれが地方財政に収入としてどう現われてくるかというと、来年度が一番ひどい。しかも金の出る方は来年度が一番多い。なければ仕事ができない。こういうことになった場合に、その補助残について、初年度についてはまるまるでないまでもそ、れに近いものを見てくれた、その次はそれを四割とか五割を落す、こういうことをやられたのでは、復旧事業はらまくいきませんし、それに連関する地方財政がらまく立っていかない。これについては今までのやり方を変えていただいて、少くとも二年度については、これは仕事の量の多いときであり、金の要るときであります。しかも財政的には町村が一番苦しくなるときである。こういう際ですから、私は、次年度の分についてもはっきりこれは起債を認め、そしてその間の元利補給については措置をするということがぜひ必要だと思うのですが、この点についてはどういうふうにお考えなんですか。
  40. 奧野誠亮

    奧野政府委員 災害の発生時期やその集中度等によって事情はいろいろ違らわけでありますが、起債の充当率の問題につきましても弾力をもって考えていかなければならないと思っております。御指摘の静岡県の事例のような場合は、集中的に災害が起っておるわけでございますので、過年災の起債の充当率につきましてもできる限りこれを引き上げていかなければならない、こういう考えを持っているわけであります。
  41. 久保田豊

    久保田(豊)委員 大蔵省はその点どうお考えなんですか。
  42. 高木文雄

    ○高木説明員 ちょっと権限外でございますので、申し上げかねますので、御勘弁願います。
  43. 久保田豊

    久保田(豊)委員 もう一点お伺いしておきます。と申しますのは、特にこれは大蔵省にもお伺いしておきますが、大体本年度の補正による災害予算は御承知通りの普通の補助率でいっているわけですね。それですから、実際の事業費に比べますと非常に金額が少いわけです。私どもの理解では、金額は普通補助率でいっておるのですから少い上にもってきて、三〇%やるというが、三〇いっていない。事実上は二七・八%。聞くところによりますと、農地については大体三〇%以上にいっておるが、農業施設については大体において二〇%以下だ。そういうことになりますと、本年度の問題としてはどうしても農業施設等の金額が非常に大きいから結局そういうふうに落ちたことでしょうが、これに対しては当然本年度の補正予算の中で予備金の残があるわけでありますから予備金の残で措置すべきものだと私は考える。少くとも農地、農業施設が並行していくということは事業形態からして当然のことだと思う。これについて農林省はどう考えておるか、大蔵省はどういうふうに措置するつもりか、明確にしてもらいたい。それが一点。  もう一点は、来年度については今予算編成期ですからこの問題は当然問題になっておると思うが、ことしは御承知通り普通補助でいっておるわけだ。ですから、来年度は普通補助金五〇%分、できれば五〇%分と、それからさらに高率補助分の二年分があるから、当然加算されて予算措置されなければならぬ。またそれがそういうふうにして当然現地に流れてこないことには災害復旧はうまくいかないことになるが、この点については農林省としてはどういうふうなお考えを持っており、措置をされておるか、大蔵省はこれに対してどういう考えで扱おうとしておるのか、この二点をはっきりお聞きしておきたい。
  44. 伊東正義

    伊東政府委員 御質問の点は二つございまして、本年度の補正予算では金が足りない、予備金の要求をするのじゃないかという問題が一点でございます。これにつきましては、補正予算をやりますときには、実は過去三カ年の実績の査定率を使いまして、そういうものではじくわけでございます。今御指摘のように、農地については大体合ったのでございますが、農業用施設は若干それよりも高い被害になっております。この差につきましては、御質問通りでございまして、農林省としましては金額をあげまして今大蔵省に残っている予備費でその分は埋めてもらいたいという交渉を実はいたしておるわけでございます。それが一点でございます。  二番目の高率補助の問題でございますが、従来は高率補助は三年目から実は出ております。当年度はもちろん、二年目も出ていませんで、ことしでありますと、三十五年の予算から出るというのが過去の例であります。われわれとしましては、ことしの三十三年度のわかった高率のものについては三十四年度から予算を計上すべきであるということで、災害復旧の予算の要求を変えまして追加いたしまして、三十四年度から三十三年度分の高率補助をやってほしいという予算の要求を今いたしております。
  45. 高木文雄

    ○高木説明員 三十三年度の予備費から出せるかどうかという点につきましては、ただいま農地局長からお話がございました通り農林省から御要求を受けておりますが、予備費全体の問題としていろいろな問題があるのでございまして、現在のところ必ず予備費からこの災害復旧に回せますというお約束はできかねます。ただ、非常に問題であるということは、確かに、農地局長が御指摘になりましたように、補正予算を出しました当時と今日とで若干数字に異動がございましたので、問題があるということは承知しております。  それから、明年度の問題につきましては、つまり高率補助分の国庫負担差増額を二年目に計上するか三年目に計上するかというのは、これまた御指摘のようにきわめて深刻な問題であると考えておりますが、これについては、明年度災害復旧予算並びに公共事業全般の予算の中をどういうふうに割り振るかということでございまして、また、あるいは公共事業のワクを全体としてどうするかという問題でございます。まさに数日中に最終結論を出そうといたしておるのでございます。結論がどうなるかということはただいま申し上げかねますが、農地局からも強い御要求がございまして、ただいま検討をしておるというところまでしか申し上げられません。
  46. 久保田豊

    久保田(豊)委員 農林省としては当然、以上二点については措置すべきだと思うのです。ただ、大蔵省が財布を握っているのだから、その財布のにらみ合せで、つけるかっけないか、認めるか認めないかということでは、災害地は困るわけです。大蔵大臣も、私が予算委員会質問したときは、善処するとはっきり言っておる。それに、今ごろになってまだ金の勘定をしてみなければつけるかつけないかわからないということでは、困るわけです。それでは現地災害復旧できませんよ。災害を受けた農民の身になってものを考えてもらいたい。今年ものが全然とれなくて、うちは流された、何は流された、みんなすってんてんなんです。今現地はどうなっているかというと、まだ金がはっきりしないものですから、工事を始めたのは建設省関係の河川工事だけですよ。ほとんど全村の耕地がやられているのに、今ようやっとくい打ちを始めたところです。しかも、金の始末がつかない、来年度の見通しがつかないということで、町村は見通しが立たない。農民は、金もない、食うものもない、何もないものですから、せっかく全国の皆さんから御同情にあずかって救援物資がたくさん来ても、その救援物資を今売り始めておる。こういう深刻な状態です。私どものところにもこんな大きなくつを持ってきて買ってくれと言う。外国人がよこしたくつです。これはあなたならはけそうだから、うちははく人がないから、やりたいけれども買ってくれと言ってきておる。金も何もない、子供が学校に持っていく銭がないから買ってくれと持ってくる。ちょっといいようなものはどんどん売りに出している。こういう深刻な状態になっているときに、——大蔵省もいろいろ金の勘定はむずかしいでしょう。特に今度のように、金の勘定をせずにいろいろの約束だけしちゃった、銭は出さなければならぬ、ところが銭の方はなかなか勘定が合わない、こういうことですから、大へんだろうとは思いますけれども、この点は一つ災害復旧の意味がほんとうに生きるようにやっていただきたい。そうでなくても、それだけのものを見ていただいたってなかなか現地はうまくいきません。それを、まだ勘定してみなければわかりませんというのではこれはどうにもならぬわけです。ぜひこの点は特別に……。ですから、私は、きょうはぜひ主計局長にと、そういう約束をしているのです。している御本人に出てきてもらって、どうするかという点をはっきり聞きたいのです。うまいことを言って、困らせない困らせないと言って、現実に困るじゃありませんか。これではどうにもやりようがありません。もし高率補助が三十五年度に入るということになったら、とうてい復旧なんかできません。この点一つ特別に考慮していただきたい。これは私どもの地元だけではない。ひどいところはみなそうだろうと思う。ですから、この点は十分一つ考えてやっていただきたい。  なお、これに関連して、ここで法律通りましたら、農業の方の九割、載せますか載せませんか、来年度予算に。どうなるのですか。この点もはっきりしていただきたい。
  47. 高木文雄

    ○高木説明員 第一の点については、前回、今お話しのように予算委員会のときのお話もございましたが、十分承知しておりますので、重ねてただいまの御趣旨を伝えまして、最終決定の際に考慮したいと存じます。  第二の点の、今の九割の分を載せるか載せないかという話については、その部分だけの問題でなしに、根っこからの差額を来年度載せるかどうかという問題でございますので、結局第一の問題と同時に解決するしないという問題になると思います。
  48. 吉川久衛

  49. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 ただいまの同僚の久保田委員からの質問に関連しまして、主として農林水産施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案に関連をいたしまして、数点にわたって簡単に質問を申し上げたいと思います。  御承知のように、本年度災害は二十八年度災に匹敵をする大災害だと言われているわけですが、国会の方ではいろいろ臨時国会でもああいうふうな醜態がございまして、補正予算の成立、さらに災害関係法案は通常国会に持ち越される、こういう事態になりましたことは、これは与野党を問わず非常に災害地に対して申しわけのないことだというふうに考えるわけです。  そこで、私どもがこの法案審議するに当ってまず農林省の方にお尋ねしたいことは、本年度夏甚大なる被害を受けた災害について、災害復旧事業が具体的に、いろいろ補正予算の成立ないしは予算の関連法案審議等の渋滞にもかかわらず、実際に復旧事業が円滑にいっているかどうか、こういうふうな問題について、十一号台風以来、特に二十一号、二十二号等の最近の災害を中心にしてどういうふうな復旧事業の査定あるいは工事の進捗等がなされているかという点を農地局長の方から簡単にまずお伺いしたい。
  50. 伊東正義

    伊東政府委員 第一回の査定の問題でございますが、これは実は十二月上旬にはことしのは全部終りました。ただ、これは決して早いとは申し上げかねるのでございまして、われわれとしましても、なるべく早くという意味で、たとえば静岡等については各府県から二十名ばかりの応援を頼んで派遣するとか、あるいは農林省も、本省のみならず、熊本でありますとか、岡山とか、比較的風水害の被害の少かったところの職員をこちらの方に持って参りますとか、いろいろな人的動員をいたしたのでございますが、終りましたのは十二月上旬でございます。これにつきましては、われわれとしましても災害の査定につきましては実は大蔵省と一緒に共同査定をやっております。あとで問題が起きませんようにという意味で共同査定をやっております関係もありまして、若干おくれているということはございますが、これにつきましては、われわれとしましても、もう少しなるべく機動性を持たせまして早くやることに将来改めていきたいと思っております。  それから、災害復旧の状況でございますが、これにつきましては、たとえば、われわれの方としましても、災害地の希望がありますれば、農業機械等を買いますとか、あるいは機械公団の機械を活用するというようなこともいたしましてやっております。ただ、今ここで府県別に何十パーセントぐらい進んでいるということはまだ申しかねますが、先ほど問題になりました施越し工事等につきましては、来年度の植付になるべく間に合うようにということで、県等に対しましてはなるべく施越し工事をやって植付に間に合うようにというような指導を実はいたしているような次第でございます。
  51. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 今現在の復旧事業の進行状況については具体的に申しかねるということでございましたが、もうすでに二十二災の災害等でもすっかり経過いたしておりますから、こういう関係法案審議に当っては、ある程度はやはり大綱的な本年度災に対する災害復旧の現状というようなことについて参考資料を提示して法案審議を願う、こういう心がまえが必要ではないかと私は思います。これは今後こういう問題をやる場合の心がまえとして一応申し上げておきたいと思う。  そこで、先ほど久保田委員からも質問がありましたが、今年度の補正予算そのものは本年度災に対比をしてこれは必ずしも十分ではなかったというふうに私どもも思うわけですが、これは実際に仕事をやってみた農林省当局の方が事実をよく知っているわけでございまして、例の三、五、二という三カ年計画の復旧事業の比率でもって本年度第一年度が確保されているかどうか、こういう問題についてお伺いしておきたい。
  52. 伊東正義

    伊東政府委員 今御質問の点は、先ほど久保田委員にもお答えいたしましたが、実は補正予算をやります場合には過去三カ年の実績をとりまして査定率をやってみたわけでございます。その結果出ましたものは、農地につきましては今度の査定率は従来より低くなっております。それで、農地補助金の三、五、二の進捗率は上っております。ただ、農業用施設につきましては、過去三カ年の実績よりも今度の実績の方がかなり高く出ます。結果におきまして三にはまだなれませんで、一八くらいの今数字でございます。それで、先ほど御質問がありましたように、われわれとしましては、補正予算を組みます場合にはこれはどうせ見込みの率を使ってやるのでございますから、差が出た場合には予備費から出してくれというようなことを実は大蔵当局にやかましく言いましてあの補正予算を組みましたので、先ほど御答弁いたしましたように、その差額につきましては、補正予算を組みました経緯もございますので、どうしても予備費で出してほしいということで今要求を出しております。その結果としまして、われわれは、どうしても、農地は三以上でございますが、農業用施設につきましては最低三まではぜひ持っていきたいというふうな考えでございます。
  53. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 これは、私、ちょうど農林大臣が就任の当初に農政に対する基本方針と施策を示されたときに質問をした中で、災害の場合におけるいろいろ災害の教訓というものが具体的に出て参る、そういう災害の教訓というものについては、政治の貧困であるとかなんとかいう与野党の攻撃の素材としてじゃなしに、やはり、実際に災害復旧事業、あるいは災害復旧事業に関連のない地域に対しても、事前にこういう対処をしておけば災害が未然に防げたであろう、あるいは被害がごく少くて済むであろう、こういう対処が十分でなかったたために非常に大きな災害になる、こういうような問題についてはそれぞれの地域における災害の教訓というものを明らかにする必要がある、こういうことを申し上げたところ、その点については今後十分留意をして、そういう場合には明らかに委員会に提示をしたい、こういうことを申されておったわけですけれども、本年度の災害を通観をいたしまして、今申しました質疑応答に関連して、災害の教訓というようなものについて一つ農地局長の方から集約をしてお話を願いたいと思います。
  54. 伊東正義

    伊東政府委員 御質問でございますが、われわれ受けました教訓で一番大きく感じましたことは、いろいろ今まで農林省の予算でやって参ったのでありますが、ここしばらくは実は大災害がございませんで、いわゆる防災関係の仕事、これは、防災ため池でございますとか、あるいは老朽ため池でございますとか、そういうようなことにやはりひるがえってみますればもう少しわれわれとしては力をそそぐ必要があるのじゃなかろうか。たとえばことしの早魃地帯や何かをとってみましても、そういう施設が比較的よくできておりましたところは被害が案外少くなっておるというようなことを、私は特に早魃等についてそういう感じを持ったのでございますが、防災的なことは直接増産ということの経済効果が結びつきませんので非常にむずかしい問題でございますが、われわれとしましては、そういう問題についてもやはりもう少し重点を置いてものを考えていくべきじゃなかろうかというようなことで、来年の予算につきましては、これは農地局の一つの大きな柱にいたしまして考えているような次第でございます。これは私の受けました一番大きな感じでございます。
  55. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 今の災害の教訓の問題に関連をしているわけでございますけれども、やはり総合的な治山治水という対策を根本的に考えていくことが必要であろうと思う。やはり農林省であるとか建設省であるとかいろいろ各省のなわ張り争いというようなことがあってはならないので、災害そのものはそういう各省の業務の分担いかんにかかわらず公平に来るわけでありますから、やはり道路、港湾、農地、いろいろなものを通じて、集中的に災害に見舞われる場合に、結果が、その辺のところに総合性の欠如というところに案外出てくる場合があるのです。現状の日本の河川の場合に、たとえば集中豪雨というものが本年は相当に発生したわけですけれども、河川の設計等で一体どれくらいの集中豪雨にたえられるかという、そういう設計の資料というものの素材といいますか、そういうものが具体的に重要河川については整備されているのかどうか。こういう点はちょっと農地局長の関連をはずれた建設省関係の関連の仕事になるかと思いますけれども、そういう問題が整備されて、実際にここはどの程度の集中豪雨にはたえる、しかしこれ以上オーバーした集中豪雨に対しては決壊その他の事態を生ずる、こういう問題が明らかにされて、従ってこの治山治水の総合的な事業推進の中で最もウイーク・ポイントのところから重点的にそういうものを進めていくことが計画的に考えられなければならぬと思いますけれども、そういう総合的な治山治水の関連の中での具体的な分析検討というものがどの程度に整備されておるか、そういう問題についてお尋ねいたしたい。
  56. 伊東正義

    伊東政府委員 これはほかの省にもわたります重要な問題でございますが、たとえば河川でありますれば、当然、治水五カ年計画を建設省が立てておられますので、今御質問の点は検討はあると思います。ただ、御指摘のように非常にいろいろな政策に総合性が欠けるのではないかというお話は、私も実は企画庁におりましたときにそういう感じを持ったことがございます。たまたま今御質問のありました災害のことでございますが、これは昨年でございますか、台風常襲地帯に対する法律通りました。これは、その地帯の指定がありますれば、今御指摘の河川、治山の問題、あるいは港湾の問題、農地の問題を含めまして、各省でそこの地帯の総合的な防災計画を立てていく、そうして審議会で決定するというような法律であります。これなんかは、今御指摘のありました防災関係について総合性を持たせていくということにつきまして一つの現われではなかろうかと私は思います。われわれといたしましても、今御指摘のような点には注意いたしまして、農林省の中だけで考えましても、農地の問題とか治山の問題がありまして、総合性を持たせてものを考えろという御質問はわれわれも当然のことと考えております。
  57. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 十一号以来二十二号にかけての災害の中で、地方自治体等から強く要望された問題の一つであるいわゆる救農土木事業の実施という問題、これは本年度の災害の中でどの程度に今顧みて施行されておるか、あるいは来年度の予算要求とも関連いたしますけれども、従来もそれぞれの災害の際に要望され質問されたのですけれども、どの程度に施行されておるか、この点を一つ簡単に伺ってみたい。
  58. 伊東正義

    伊東政府委員 救農土木事業の御質問でございますが、救農土木事業をことし考えましたのは、旱魃地帯につきまして考えたわけでございます。これは、目下農林、建設両省で、その早魃地帯に希望の事業はどういうものかということを各県に照会をし、金額を割り当てまして、二億三千万円の範囲でやっております。  それから、台風の問題でございますが、これにつきましては、従来救農土木事業をやりましたのは冷害対策でやっております。風水害等につきましては、相当災害復旧事業が地元に出ますので、これについては過去においても救農土木事業としてはやっておりません。そこで、われわれといたしましては、風水害問題については、若干農林省でありますれば団体営のワクの残りがありますので、そういうものにつきまして、特に風水害の地帯等で希望なものを考えよというようなことを今各県に照会をいたしまして集計を待っておるというのが現状でございます。
  59. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 この法案通りますと、委員会に出されております資料によりましても、国の補助金の交付の増加額は一億六千二百万円程度になりますが、現実にこの法案が通過した場合に、事務の取扱いとしてはすぐ履行されて円滑に実施に移されるという段取りになっておるかどうか、事務的なことですけれどもお伺いいたします。
  60. 伊東正義

    伊東政府委員 この法律の実施につきまして事務的にどうかという御質問でございますが、これにつきましては、実は災害の起きました当時よりいろいろ議論いたしましてこういう結論になりましたので、大体関係の県等には内々こういう方針で国会に法律を出したいというようなことも連絡はいたしておりますので、事務的にこれが出まして支障を来たすというようなことはございませんで、ほとんど円滑に行われるだろうというふうにわれわれは考えます。
  61. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 先ほど久保田委員からも御質問がございましたが、小災害復旧対策の問題でございますけれども、これは、本委員会において小委員会を作ったときの答申の中にも、従来一事業十万円の事業費のワクというものを五万円程度一つ引き下げて法の改正を考慮しよう、確かこういう小委員会の答申がなされておると私は記憶しておるわけですが、おそらくこういう問題については本改正案を検討される場合にも十分検討されたと思うわけでありますし、この点について、本年度災害の累次の災害のそれぞれの時期に、地方自治体の方からも、小災害に対する対策というものを十分重視して考えてもらいたいという要望もある。災害復旧事業あるいは土地改良事業等がどんどん計画的に進捗して参りますと、どうしてもやはり小災害の発生する率というものが多くなってくる。これは、私どもがいただいております資料によりましても、小災害の発生の割合が、たとえば昭和三十二年度の災害に例をとりましても、十万円以上の災害と対比いたしまして、金額で約二〇%、被害件数で一三〇%であろうというふうに推定がされておりますが、おそらく昭和三十三年度、本年度の場合にはもっとこのパーセンテージが上昇しているのではないか、こういうふうに考えられるわけなのであります。そこで、こういう小災害復旧に対する対策の中で、十万円をもう少し下げて、せめて五万円程度以上の基本的な法改正という問題についてどういうふうに検討されて最終的にこの法案になったのか、この点についてお伺いいたします。
  62. 伊東正義

    伊東政府委員 小災害につきましては、実はいろいろ検討いたしまして閣議決定をいたしております。その閣議決定は、金額には触れておりませんが、小災害につきましては、起債をやりまして、元利を、財源を国が保証していくという閣議決定を実はいたしております。われわれが考えております小災害と申しますのは、昭和二十八年災害にありました十万円以下三万円以上というふうな範囲で考えております。これにつきましては各省とも実は意見が一致しております。ただ、これが、国がこの財源を心配し元利を保証する場合にどういう方法でやるかということにつきましては、実は関係省でいろいろ検討いたしておりますので、最終的な結論はもうしばらくお待ちを願いたいと思いますが、今検討いたしております。
  63. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 次に、これも災害のいろいろな問題を審議するときにしばしば論議された問題でありまして、先ほど私が質問いたしました災害の教訓の問題とも関連をするわけでありますけれども、本法案趣旨からいきまして、従来から災害の場合の復旧事業は原形復旧ということを原則にして改良的な復旧事業という問題については付随的に考慮されておるが、これを、恒久的な対策との関連の中で、やはりそういう災害の生じた機会に改良的な災害復旧事業というものを中心に打ち出してやるべきではないか、こういうことが当然考えられるわけでございますけれども、今度の法案改正の場合にも、もっとそういう趣旨を積極的に生かして改正をさるべきではなかったか、こういうふうに思われますが、この問題と関連して、従来それぞれの災害が生じた場合にも、常に本委員会の満場一致の決議をもってこの趣旨を生かすような附帯決議がなされたが、具体的に本年度のそれぞれの災害の中で改良復旧的な性格の事業をどの程度盛り込んでやったか。これは非常に目の子算用みたいになりますけれども、その辺のところを一つお伺いしておきたいと思います。
  64. 伊東正義

    伊東政府委員 御質問の点は、この法律にも、原形復旧が不適当でありますとかあるいは困難な場合という場合には、改良的な問題を含めまして実際に災害復旧をやるということにしておりますけれども、金額的には二億足らずくらいの予算を計上いたしまして、災害関連事業として改良復旧をやっていくということにしております。
  65. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 時間の関係もありまして簡単に集約いたしたいと思うのですが、本年度のような大きな災害が生じますと、政府の立場から言いましても、あるいは総理大臣あるいは農林大臣、あるいは建設大臣等が直接現地を視察し、関係の係官等もそれぞれ災害地に派遣をされまして、災害復旧対策の早期樹立のために努力されるわけでありますけれども、災害が終りましてから日がたつにつれまして、具体的な政府の施策あるいは具体的な予算の裏づけというものが、一体下部の段階でどういうふうになっているかという点が案外閑却視されるという傾向があるだろうというふうに考えられるわけであります。そこで政務次官にお伺いしたいのでございますが、本年度は、静岡を初め各地に従来にないような大災害が生じているが、為政者として、災害復旧事業あるいは災害に関連したいろいろの施策というものが具体的にどういうふうにおろされ、どこに隘路があって、現地の農漁民にいたしましてもあるいは一般の住民にいたしましても、政府の政治の足りない点をさらに具体的にどういうふうに望んでいるか、こういう点を機会あるごとに視察をして万全を期するということが必要であろうと思います。ちょうど通常国会が一時休会いたしましてから休会明けの国会までにある程度期間がありますから、あるいはその他の機会でもけっこうでありますけれども、そういう点でやはり法の不備な点を改正する一助にもしなければならぬし、災害地の実際の切実な要求にこたえるという為政者の心がまえとしてもそういう態度が必要ではないかと思いますが、いかがでございますか。
  66. 石坂繁

    石坂政府委員 災害直後には、災害対策本部を作りまして、伊豆半島等にはいち早く本部を移しまして対策を講じて今日に至ったことは御承知通りであります。その後の復旧状態あるいは対策の実施状態等につきまして、ただいまの角屋委員の御意見はまことにごもっともな御忠告でございますので、この後私どももその点は十分に注意をいたします。
  67. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 災害関係の法案審議するときに、私は、先般の委員会では主として水産関係の問題に触れましたが、今度の法案改正では、農地林道についてだけ法案改正がなされているわけですけれども、私はそのときにも申し上げましたが、農林水産関係の災害という問題を考える場合に、農の場合でも、あるいは林の場合でも、水の場合でも、農漁民等の対象から見て不均衡な災害復旧補助率、あるいは災害対策措置、やはりこういうものがないように検討することが必要だと思うのです。そのときに意見を申し上げましたけれども、具体的な法案改正では結局農地林道ということになりましょうが、やはり、この法案改正の場合には、先ほど申しました小災害に対する対策の問題にいたしましても、あるいは基本的に改良復旧をもっと積極的に織り込むというような問題にいたしましても、今申し上げました農林水産業の均衡的な施策という問題からいたしましても、一つ将来さらに根本的に検討していただきたいと思うのですが、この点について政務次官の御見解を承わりたい。
  68. 石坂繁

    石坂政府委員 農林水産全般について総合的にいろいろな関係を持たせまして政策を進めて参るということは非常に重要なことだと存じております。ただいま朝野の間にいわゆる農業基本法を制定すべしという議論がかなり強く起っておりますが、さて、いかなる範囲、いかなる柱を立てて基本法の検討をするかということになりますと、これもなかなか容易ではないようであります。従いまして、農林省といたしましては、明年度におきましてこの農業基本法制定に関する調査会を作りたい、こういうふうな考え方で、その方向に進めておるような状況でございます。
  69. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 最後に私は、冒頭にも申し上げましたように、本年度災害についての補正予算あるいは関連法案についてはいろいろな事情でおくれて参りました。実際の復旧事業の施行というものは、冬季の作業というものは、コンクリート一つ打ち込むにいたしましても、なかなか悪条件になってくることは御承知通りでありまして、そういう意味から、従来のそういう対策のおくれというものを、この法案が成立後すみやかに取り返す、こういう心組みで災害地の要請にこたえていただくように希望を申し上げまして、私の質問を終りたいと思います。
  70. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 他に質疑はありませんか。——なければ、これにて両案に対する質疑は終了いたしました。  次に、両案を一括して討論に付します。  討論はございませんか。——なければ直ちに採決いたします。  まず、昭和三十三年七月、八月及び九月の豪雨及び暴風雨による被害農家に対する米穀売渡特例に関する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  71. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  次に、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  72. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  次にお諮りいたします。ただいま可決いたしました両案の委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  本日の議事はこの程度とし、明十七日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、これにて散会いたします。     午後四時三分散会      ————◇—————