運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1959-03-24 第31回国会 衆議院 内閣委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月二十四日(火曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 内海 安吉君    理事 岡崎 英城君 理事 高瀬  傳君    理事 高橋 禎一君 理事 平井 義一君    理事 前田 正男君 理事 飛鳥田一雄君    理事 受田 新吉君 理事 木原津與志君       今松 治郎君    始関 伊平君       綱島 正興君    富田 健治君       橋本 正之君    保科善四郎君      茜ケ久保重光君    石橋 政嗣君       石山 權作君    柏  正男君       八木  昇君  出席国務大臣         外 務 大 臣 藤山愛一郎君         国 務 大 臣 伊能繁次郎君  出席政府委員         法制局長官   林  修三君         法制局次長   高辻 正巳君         防衛政務次官  辻  寛一君         防衛庁参事官         (長官官房長) 門叶 宗雄君         防衛庁参事官         (防衛局長)  加藤 陽三君         防衛庁参事官         (教育局長心         得)      小幡 久男君         防衛庁参事官         (人事局長)  山本 幸雄君         防衛庁参事官         (衛生局長)  石橋 卯吉君         防衛庁参事官         (経理局長)  山下 武利君         防衛庁参事官         (装備局長)  小山 雄二君         外務事務官         (アジア局長) 板垣  修君         外務事務官         (条約局長)  高橋 通敏君  委員外出席者         専  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 三月二十日  建設省職員定数改正に関する請願外一件(足  鹿覺紹介)(第二五六四号)  同(逢澤寛紹介)(第二五六五号)  同(井岡大治紹介)(第二五六六号)  同(石田宥全君紹介)(第二五六七号)  同(大矢省三紹介)(第二五六八号)  同(菅野和太郎紹介)(第二五六九号)  同(吉川久衛紹介)(第二五七〇号)  同(小坂善太郎紹介)(第二五七一号)  同(下平正一紹介)(第二五七二号)  同(内藤隆紹介)(第二五七三号)  同(中澤茂一紹介)(第二五七四号)  同外一件(星島二郎紹介)(第二五七五号)  同(三鍋義三紹介)(第二五七六号)  同(三宅正一紹介)(第二五七七号)  同(亀山孝一紹介)(第二六六六号)  同(田中彰治紹介)(第二六六七号)  同(石橋政嗣君紹介)(第二六八二号)  同(石野久男紹介)(第二六八三号) 同外一件(黒田寿男紹介)(第二六八四号)  同(東海林稔紹介)(第二六八五号)  同(鈴木一紹介)(第二六八六号)  同(關谷勝利紹介)(第二六八七号)  同(森本靖紹介)(第二六八八号)  同外一件(山崎始男紹介)(第二六八九号)  同(逢澤寛紹介)(第二七四四号)  同(片山哲紹介)(第二七九四号)  同(久保田鶴松紹介)(第二七九五号)  同(山中日露史紹介)(第二七九六号)  寒冷地手当増額に関する請願外一件(石山權作  君紹介)(第二五七八号)  同外二件(栗林三郎紹介)(第二五七九号)  同外三件(鈴木一紹介)(第二五八〇号)  同(原茂紹介)(第二五八一号)  同外三件(栗林三郎紹介)(第二六九四号)  同外二件(鈴木一紹介)(第二六九五号)  同外一件(横路節雄紹介)(第二六九六号)  同(横路節雄紹介)(第二七九九号)  公務員の扶養手当改訂に関する請願外一件(石  山權作君紹介)(第二五八二号)  同外二件(栗林三郎紹介)(第二五八三号)  同(鈴木一紹介)(第二五八四号)  同外三件(栗林三郎紹介)(第二六九七号)  同(鈴木一紹介)(第二六九八号)  期末手当増額等に関する請願外一件(石山權作  君紹介)(第二五八五号)  同外二件(栗林三郎紹介)(第二五八六号)  同外三件(鈴木一紹介)(第二五八七号)  同外三件(栗林三郎紹介)(第二六九九号)  同外二件(鈴木一紹介)(第二七〇〇号)  北海道開発局定員外職員定員化に関する請願  外三件(小平忠紹介)(第二五八八号)  同(館俊三紹介)(第二五八九号)  同外三件(松浦定義紹介)(第二五九〇号)  同外二件(山中日露史君紹)(第二五九一号)  同外一件(館俊三紹介)(第二七〇九号)  同外四件(芳賀貢紹介)(第二七一〇号)  同外三件(安井吉典紹介)(第二七九八号)  金鵄勲章年金及び一時金復活に関する請願(池  田清志紹介)(第二五九二号)  召集旧軍人関係恩給加算制復元に関する請願  (池田清志紹介)(第二五九三号)  同(星島二郎紹介)(第二五九四号)  同(大坪保雄紹介)(第二六六五号)  同外二件(清瀬一郎紹介)(第二七〇三号)  同外一件(宇田國榮紹介)(第二七四九号)  同外一件(岡部得三紹介)(第二七五〇号)  同(上林山榮吉君紹介)(第二七五一号)  同外五件(鈴木正吾紹介)(第二七五二号)  同(關谷勝利紹介)(第二七五三号)  同外一件(渡海元三郎紹介)(第二七五四  号)  同外一件(床次徳二紹介)(第二七五五号)  同(中垣國男紹介)(第二七五六号)  同(前田郁紹介)(第二七五七号)  建国記念日制定に関する請願外三件(纐纈彌三  君紹介)(第二五九五号)  同(床次徳二紹介)(第二七四八号)  文官恩給調整に関する請願堤康次郎紹介)  (第二五九六号)  同外二件(野口忠夫君紹)(第二五九七号)  同(坂田英一君外一名紹介)(第二七〇四号)  同(多賀谷真稔紹介)(第二七〇五号)  同(武藤武雄紹介)第二七〇六号)  同外三件(小松信太郎紹介)第二七九七号)  高学歴教員俸給是正に関する請願外一件(石  山權作君紹介)(第二六一九号)  同外二件(栗林三郎紹介)第二六二〇号)  同外三件(鈴木一紹介)第二六二一号)  同外三件(栗林三郎紹介)第二七○一号)  同外二件(鈴木一紹介)第二七〇二号)  恩給法の一部を改正する法律案の一部修正に関  する請願中村時雄紹介)第二六六三号)  建設省第二阪神国道工事事務所定員外職員等の  身分保障に関する請願山下榮二紹介)第二  六六四号)  建設省地理調査所定員外職員定員化に関する  請願茜ケ久保重光紹介)第二六七九号)  同(石橋政嗣君紹介)第二六八〇号)  同(富田健治紹介)第二六八一号)  同(植木庚子郎君紹介)第二七四五号)  同(石野久男紹介)第二七七六号)  旧軍人関係恩給加算制復元に関する請願(船  田中紹介)第二六六八号)  同(關谷勝利君外一名紹介)第二七○七号)  同(田中彰治紹介)第二七〇八号)  農林省定員外職員定員化に関する請願(三田  村武夫紹介)第二六六九号)  同(山口好一紹介)第二六七〇号)  同(本名武紹介)第二六七一号)  同(加藤勘十君紹介)第二六九〇号)  同(堂森芳夫紹介)第二六九一号)  同(八田貞義紹介)第二六九二号)  同(福井順一紹介)第二六九三号)  同(植木庚子郎君紹介)第二七四六号)  同(宇都宮徳馬紹介)第二七四七号)  同(伊藤よし子紹介)第二七七七号)  同(今澄勇紹介)第二七七八号)  同(大西正道紹介)第二七七九号)  同(大貫大八紹介)第二七八〇号)  同(春日一幸紹介)第二七八一号)  同(加藤鐐造君紹介)第二七八三号)  同(久保田鶴松紹介)第二七八二号)  同(小平忠紹介)第二七八四号)  同(館俊三紹介)第二七八五号)  同(塚本三郎紹介)第二七八六号)  同(廣瀬勝邦紹介)第二七八七号)  同(堀昌雄紹介)第二七八八号)  同(松浦定義紹介)第二七八九号)  同(松尾トシ子紹介)第二七九〇号)  同(武藤武雄紹介)第二七九一号)  同(安井吉典紹介)第二七九三号)  同(山中日露史紹介)第二七九三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  防衛庁設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第九四号)  自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出第  九五号)      ————◇—————
  2. 内海安吉

    内海委員長 これより会議を開きます。  防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案一括議題とし質疑を許します。  なお、外務大臣は所用のため約一時間くらいで退席されますので、先に外務大臣に対する質疑をまとめてお願いいたしたいと存じます。受田新吉君。
  3. 受田新吉

    受田委員 外務大臣に対して、今回防衛二法案の最終審議に当って、ぜひ一つお願いしておきたい点があります。それは、あなたは近く安保条約改定及び行政協定改定について、実を結ばせたいという熱意を持っておられるわけですが、防衛に関する大事な条約でありますので、あなたの現在考えておられる改定構想の大綱だけは伺っておきたいわけです。
  4. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 現在考えております改定に対する私の考え方と申しますか、それを申し上げたいと存じます。  今回の改正に当りまして、現行安保条約自主性のない点を改正する、そして総理の言われました日米新時代に対応する形にしていくというのが、根本的な考え方でございます。従ってまず第一にわれわれの考えておりますのは、現在の安保条約のうち、必ずしも現在の状況に適当していないものは、これを抜いていきたいという考え方であります。従いまして内乱条項あるいはアメリカの許諾を得なければ第三国に基地を貸与しない、この点は削除の方針で参りたいと思います。なおアメリカ軍に対しましては、現在アメリカ日本防衛義務条約上しょっておりません。従って明確にアメリカが、日本が他国から侵略された場合に防衛義務を負うように規定して参りたい、こう考えております。それから配備装備につきましては、これを協議事項にいたしていきたい、こういうふうに考えております。なお経済条項等につきましては、こうした条約を作ります場合、基本的な親善関係というものの上に立つことが当然であると思うので、経済的な交流をやるというような条項も入れて参りたいと思っております。なおアメリカ条約を作ります場合に、アメリカ国内におきまして、バンデンバーグ決議趣旨がございますので、その精神については、これを何らかの形で取り入れて参りたい。また条約期限等につきましては、一定の期限を付し、期限がつきますから自然廃棄条項がついてくるというようなことにいたして参りたい、こう存じております。それから条約地域の問題でございますけれども、これは世論に聞いて決定をして参りたいと考えておりましたが、世論の大部分が沖縄、小笠原を入れない方のような意向に最近は向っておるのではないかと私ども承知いたしておりますので、そういう意向のもとに進めるのが適当ではないか、こういうふうに考えております。なお安保条約改定に当りまして、日本国憲法範囲内であることは当然でありまして、その点ははっきり規定の中にそういうことをうたって参りたい、こういうふうに考えております。大体以上の点が本条約に関する私ども交渉態度であり、内容についてのわれわれの考え方でございます。  それから行政協定につきましては、御承知のように行政協定中の二十四条というものは、今回本条約中に入るわけであります。また現在行政協定中に二十四条がありますことはややおかしな点もございますので、これは抜いて参りたい。それから行政協定二十五条の(b)項、いわゆる防衛分担金の問題でございますけれども、これは必ずしも今回の改正に当っては適当でないと思いますので、日本側といたしましては強く米国側にこの条項を抜いてもらいたい、こう考えております。なお行政協定全般につきましてはいろいろな御議論がありますので、私どもそれを十分に現在拝聴もいたしておりますし、また行政協定国民生活に直接つながりをなす面もありますので、むろん慎重に取り扱って参らなければならぬことは当然であります。ただ行政協定中にも、たとえば刑事裁判権のごときは、決して他の国と劣っているわけでなしに、自主性を持った立場にすでに解決されておる問題でありますから、全面的改定と申しましても、全部の条項改正しなければならぬというふうには私ども考えておりません。またNATO条約等と同じような程度のものでありますれば、これはやむを得ぬことだと思います。そういうようなことを考えて参りますと、必ずしも行政協定全般をこの際いじることが適当であろうかどうかということも考えられます。また従来行政協定から起っておる問題につきましては、行政協定規定そのものよりも、むしろその運用に当って、必ずしも適切な運用が行われていないという点からくるいろいろな問題があるようにもわれわれ考えております。そうした問題を考慮しながら行政協定については可能な範囲内において、できるだけ適切な方法をとって参りたい、こういうふうに考えておるわけであります。以上が行政協定改定する私ども交渉態度であります。右申し上げました通り条約及び行政協定に対しては、以上の態度で、また主張をもって進んで参りたい、こう考えております。
  5. 受田新吉

    受田委員 この安保条約改定行政協定改定について、交渉の時期、めどをどこへ置いておられるか、これも伺っておきます。
  6. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 御承知のように、この問題は昨年の十月からマッカーサー大使交渉を進めることにいたしまして、当時予備的な意味において三回ほどマッカーサー大使交渉いたしましたけれども、まだほとんど内容に入りません前に、いろいろな事情のために延びることになって、若干スロー・ダウンして参ったわけであります。従ってこれらの問題につきましては、時間的にもすでに相当な経過をいたしておりますし、また時間的な経過がありましたので、幸いに各方面でもいろいろな御議論が相当活発に出ておるのでございます。従って大体賛成、反対その他各種の御議論が出尽しておると思いますので、私どもとしては交渉の経緯から見まして、いつまでも放置しておくわけにも参りません。従ってできるだけ早い時期にこれを最終的なまとめをいたして参りたいと思っております。相手方のある交渉でありますから、いつまでと申すことは非常に困難ではあると思いますが、しかし今日日本側の大体の考え方もきまってき、また交渉経過における種々の論議等も、アメリカ側においても新聞紙上その他を通じてすでに相当承知しておりますので、日本側態度というものも、ある程度は理解しておるのではないかと思います。そういうことでありますから、最後の取りまとめにおいてそう長期の時間的必要はないのではないか。そうでありますから、少くも今週もしくは来週早々から正式に会談をいたしまして、できるだけ早い時期にまとめて参りたいというのが、交渉当事者としての私の考え方でございます。
  7. 受田新吉

    受田委員 あなたが先ほど構想を述べられた中に、私非常に心配な点が一つあるわけですが、在日米軍配備について事前協議という構想を持っておられるようでございます。その事前協議が、何らかの制約のもとに行われなければ、米側独断日本側に押しつけられる、事前協議そのものが圧力のもとに進められるというおそれもあるわけですから、そこに、たとえば核武装をしないという日本憲法精神及び政策の問題なども取り入れて、憲法精神による、日本側自衛権解釈による事前協議、こういうような一札を取って、その在日米軍配備を考えるというような条項を、条約の中に盛り込む用意があるのかないのか、これも確認をいたしておきたい点です。
  8. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 今回の条約改定に当りまして、日本憲法範囲内であるということは当然われわれは再三アメリカに申しております。また条約上にも日本憲法範囲内ということを規定して参りますことは当然なことだと存じます。従いまして条約全体の運営に当りまして、そういう字を入れますのは、一々の問題に対してそれを入れるか、あるいは全体を包括してそうした表現を用いるかということは、条約文作成上の技術上の問題があろうと思います。そういう点については十分研究をいたした上で万遺漏のないようにやって参りたい、こう考えております。
  9. 受田新吉

    受田委員 この新しい条約があなた方の手によってきめられて、それが発効した場合に、たとえば今の在日米軍配備、その使用について事前協議をいたしますにしても、日本側の方は憲法規定自衛隊行動には制約がある。米側には制約がない。そうした一方はオープンであり、一方は縛られておる権力の発動であるという場合に、何らかの規定をしておかないと、日本自衛隊行動そのもの米軍指揮下に入って、よし事前協議をされようとしても、結果的には米側支配下に入る自衛隊行動になるおそれがあるわけです。たとえば日本自衛隊は、外部武力攻撃に対してこれを排除するために防衛出動をするというときには国会承認を得るという規定がある。しかしまた内閣総理大臣独断出動ができる規定もあるわけです。米国憲法はその点について連邦議会で戦争の宣言をするようになっているのです。そこで日本国会承認を得てこれが行動できるように、日本側には制約がされなければならないと思うのです。それと同時にアメリカはこの日本国会承認ということを重視して協議をするというような進め方にしないと、アメリカ支配下に自由に日本自衛隊総理大臣の職権をもって動かされるおそれがある、こういう問題はいかがでしょう。
  10. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 日本自衛隊は当然日本憲法範囲内で行動することでありますし、今回の条約に当りましても日本条約上の義務というものは、日本憲法範囲内であるということは当然のことでありまして、それを前提としてむろんわれわれとしては交渉をやっておるわけでありますから、そういう意味に御理解をいただいてけっこうだと思います。ただそれをどういう条項の中に、どういうふうに表現していくかということは、これは条約締結技術上の問題だと思いますので、今直ちに申し上げかねますけれども、これを気持として今申し上げたように初めから態度として、当然日本憲法範囲内で規定していくということにはなると思います。
  11. 受田新吉

    受田委員 私はあなたの方ではっきりした態度を持っておられないと、日本自衛隊法その他を改正させる運命になるおそれもあると思う。日本の現在国内に施行されている自衛隊法その他の防衛関係の法規は、絶対改正しないような条約になるかどうか、これも確認をとっておきたいと思います。
  12. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 ただいま申し上げましたように日本憲法範囲内のという措置のもとにこれをやっていくのでありまして、従ってわれわれとしては憲法範囲内で国内の諸般の手続きをする以上に、何か義務を負うわけではないことは、われわれの申し上げた態度からして御了承願えると思うのです。
  13. 受田新吉

    受田委員 憲法法律は効力に軽重があるわけです。憲法精神に基いて法律はできておりますけれども条約を結ばれた場合には、国内法条約に規制されるということになりますと、その法律改正しなければならない。憲法ではありませんよ。国内法である法律部分について、改正の必要のないような条約を締結するというお約束ができるかどうか。
  14. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 憲法範囲内でわれわれは処置して参るのでありますから、今の自衛隊法本質を変えることにはならぬと思っております。
  15. 受田新吉

    受田委員 本質論でありますけれども条約によって法律が変えられることは、条約法律に優先するという意味からは考えられることですね。
  16. 林修三

    ○林(修)政府委員 ただいまお答えがあった通り自衛隊法本質が変るようなことは、日本憲法範囲内で結ぶわけでございますから、これはあり得ないことだと思います。ただ技術的な点であるいは改正点があるかないか、これは実は私ども条約の本文なりあるいはこれに付属する行政協定等の具体的なものを拝見いたしませんと、技術的な条項について絶対に改正がないということは、私まだ言い切るだけのあれはございません。しかし本質が変らないことだけは日本憲法範囲内でやるわけでありますから、今の自衛隊外部からの直接侵略間接侵略に対抗して日本を守る、こういう本質が変るはずはないわけでございます。今の条約との関係は、条約技術的な点は私どもも具体的な条約あるいはそれに付属する今の行政協定的なものを見ませんと、今お答えするわけにはいかないわけでありまして、第何条というのが全然変らないなどということは、私たち今お引き受けできるようなことを言うべきものでもないと思います。そういうところは別問題としてお考え願いたいと思います。
  17. 受田新吉

    受田委員 技術的な問題というよりは、今の自衛隊法本質は変えないと仰せられるけれども自衛隊行動については米軍との事前協議ということになれば、その自衛隊法による自衛隊行動は、事前協議によって曲げられる場合があり得るのです。そらした事態を条約規定の中で、日本自衛隊行動等について変更をきせないような規定をはっきりさせておかなければならない、そらした心配を私はしているわけです。条約の中に自衛隊行動制約きせるような、そういうような規定を盛らないように用意されているかどうかということです。
  18. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 われわれとして憲法範囲内でこの条約を結ぶわけでありますから、自衛隊本質は変っておりません。従ってそういうような場合に、たとえば協議の場合に、日本憲法あるいは自衛趣旨に反して協議されることは当然ないと思います。
  19. 受田新吉

    受田委員 一、二問で終ります。もう一つ、あなたは憲法精神に基くのであるから、そんなこまかいことを各部分に入れる必要もないということでございましたが、核武装などということは、日本政策としてもあなた方が否定しておられるので、持ち込みも反対しておられる。そういう問題を、核武装については条約の中に政策として反対するという規定を織り込むかどうか、これもただしておきたい一点です。
  20. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 条約の中に政策として織り込むかどうかということは、われわれとしてもまだ考えておらないところでありまして、日本憲法方針がそうであります以上、当然核武装をしないというような問題についても、その範囲内において考えられるのではないかと思います。
  21. 受田新吉

    受田委員 その範囲内で考えられるというところに危険があるわけです。あなた方の憲法解釈は、核武装ができるような解釈がされておる。政策としてはこれを持ち込まない、こういうことは言っておるのですから、政策として条約に明示しておかないと、憲法解釈いかようにも融通されるおそれがある。はっきりと条約に織り込むという信念を持って交渉に当られる用意があるかないか、これももら一度御答弁願いたい点です。
  22. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 核武装を含めての装備という問題について、われわれは協議して参るわけでございまして、岸内閣は明らかに政策として核武装持ち込みを許しておらぬのですから、そういう趣旨においてわれわれこれを扱っておることはお話の通りだと思います。
  23. 受田新吉

    受田委員 扱っておることというのは、条約の中にそういう規定を何らかの形で政策として盛ることの用意があるということですか。
  24. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 とにかく事前協議をいたすことでありますから、その際に政策としてははっきり出てくると思います。
  25. 内海安吉

  26. 石山權作

    石山委員 防衛問題を考えてみたり、それから安保条約日米行政協定、その前のサンフランシスコの平和条約等を見てみましても、私らの受ける憲法日米条約は、皆さんの意見を聞きますと、これは憲法を無視しているのじゃないのだ、憲法精神を侵しているのじゃない、これは全く質が違うのだ、異質のものであるからという、これは林法制局長官がうまくごねごねと回してしまって答弁していますが、異質のものであっても、受け取るわれわれから見れば、憲法はこういう範囲内だということは、片方ではその範囲をどんどん越えて、いろいろなことがやられているわけですね。この点だけは皆さんの方でも感じたと見えまして、今度の基本条約も、あなたもこの前に言っておられたようですが、いわゆる対等の立場で問題を論じていきたい、こういうふうなことをおっしゃった、こういうことなんですね。ですからこれは異質であっても、確かに日本人から見れば、今の対米条約というものは上下の関係にあるのだ、こういうことはぬぐうべくもないと思うのです。今度は対等というような場合になりますと、一体何を基本にして対等であるか。対等という立場で論議した場合に、いわゆる共同防衛とか相互援助というようなものがどういうふうな格好で論議されるだろうというのが、私たちの非常に注目したいところでございます。今対等ということは、何を基準にして対等の立場で問題を突き詰めていくか、対等の条項を二、三あげていただきたいと思います。
  27. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 私どもは対等と申しておりますのは、こういうことでありますが、一昨年岸総理アメリカに行かれまして、そうしてアイゼンハワー大統領と話をして、そうして共同宣言が出まして、日米新時代がくる、対等の立場で話をしょう、こういうことだと思うのです。そのときの気持からいえば、占領時代に日本人が非常に卑屈であっただろう、あるいはアメリカ人も占領のような気持で日本人に対しておっただろう。従ってこれをやはりそういうお互いの卑屈感あるいは強圧感というものを一切払拭して、そうして同じ国と国との対等の立場で話をやっていきたいということが、総理とアイゼンハワー大統領との共同コミュニケの趣旨だと私は存じております。従ってそういう意味において、われわれが現在の安保条約をながめてみますと、自主性が欠けておるところが多分にある、これはやはり占領時代のできたその精神と申しますか、これがまだやはり現在の安保条約に残っておる。従ってそういうものを払拭して、お互いに一個の独立した国として話し合いをしていこうということが、われわれの申しております対等の立場だ、こういうらふらに考えておるわけであります。従ってそういう観点からながめて参りますと、現在の安保条約というものに自主性が欠けている。従ってできるだけ自主性をこの安保条約の中に織り込んでいきたいというのが、われわれの申しております点なのでありまして、そういうことを御了解いただければ、今回の安保条約改正に対するわれわれの態度というものが御了解いただけるのではないか、こう存じております。
  28. 石山權作

    石山委員 そうしますと、たとえば対等で話し合いをするときに、日本の場合は海外派兵というものが禁止されているわけですが、国内的では、つまり共同防衛という名前がその場合に大きく浮んでくるわけですね。その共同防衛ということは、国内的にある限りには、いつでも同一歩調をとるということが協約の内容になり得るわけですか。
  29. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 国内におきまして、日本を他国の侵略から守っていくという場合に、同じような行動をとりませんければ、ちぐはぐな行動をとることは日本防衛を全うするゆえんではないと思います。従って自衛隊とそれからアメリカ軍とが同一の歩調をもってやると思います。ただ同一の歩調をとるからといって、それが同一司令官のもとになるというようなことでなしに、同一の歩調をとりましても、やはり相互に緊密な連絡をとって参りますれば、同じ歩調は私どもとれていくと思うのであります。そういう意味においてはお話のような、ともに防衛のための作戦を国内においてするということは可能であろうと考えております。
  30. 石山權作

    石山委員 アメリカの駐留軍を目的として外国が攻撃を加える。その場合においては、日本では日本国をば攻撃されたものとみなしてそれに対応する、こういう答弁がなされているわけです。実際問題としてはこういうことがあり得るだろうと思う。たとえば敵の航空母艦あるいは敵の潜水艦から敵が攻撃するわけですね。そうした場合における日本自衛隊は、共同作戦をとった場合には、領海等の関係から見てどういう処置がとられるだろうか。これも協約を結ぶ場合に一つ胸の中に入れて話し合いをしなければ、共同作戦の問題が混乱を起して、そうして紛争に巻き込まれる可能性が大きく出てくるのではないかというふうな心配があるわけですが、そういう場合の実例にはどういうふうに対処されるか。
  31. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 実際の軍事行動内容等につきましては、私も知識が薄いわけでありますから、私から御答弁申し上げるのは適当であるかどうか存じませんけれども、ただ共同にいろいろな防衛のための作戦をするということは、やはり平時からもお互いにいろいろ連絡協調して、いろいろな場合を想定して考えておる問題だと思うのであります。従ってそういうものについて緊密な連携というものを常時やって参りますし、またそれらの情勢に対する協議等も行われて参るわけでありますから、そういうことによってお互いの行動を円滑にしていくということはでき得るのだと私は考えております。
  32. 石山權作

    石山委員 私はこの論議の場面で、そういうこまかいことはほんとうは口にしたくはないのです。あなたの良識というものを大いに信用して、外交の大きな舞台で精一ぱいの活躍をしてもらいたいというふうなことを考えておるのですが、なぜ実例をあげなくてはならぬかというと、あなたは憲法範囲内という言葉を使っていられる。憲法範囲内が、最近の国会討論を通じて見ましても、憲法のいわゆるワクというものは一体どこにあるかという疑問が起きてきているわけです。ですから私たちとしては憲法あるいは法律というものをまず抜きにして、実例をあげて問題を論議しなければならないほど、追い詰められたような感じがするわけです。  大体私たちが憲法をやったとき、だれでも交戦国そのものさえもいろいろ論議されたわけでしょう。一体われわれにそういうふうな権限があるかとかないかとか、その次に起きたのは自衛力で、自衛力がだんだん幅を持ってきてしまって、核武装も不可能でないのだ。せんだって今度はなおさら微妙なことを林法制局長官が言っているのです。まことに私は危険な考え方だと思うのです。その場合に自衛隊というものは相対的な環境によって変るというように言っているのです。そうすればお隣でミサイルを持てば、われわれもすぐミサイルを持たなければならぬということに、この論法からすれば、通じていくじゃありませんか。憲法範囲内というようなことをおっしゃっていますが、憲法範囲内ということは行方不明になっておる。この場合となると、法律というふうなものは私はワクがあると思うのです。もちろん時代の変遷に伴い、幾らか解釈は違ったとしても、基本というものはそんなに動くわけのものではないと思う。政策とかいろいろなものはそのつど変るが、法律というものはそのつど変ったのでは、われわれは一体何をもととして正しいかとか正しくないとか、やってはいかぬとか、それはやれるとかいうふうなことになるわけですが、あなたの方の政府代表としての法律解釈をなさっている林法制局長官に言わせると、自衛軍そのものが相対的なものでどこかへいってしまう。ですから、私はあなたにこまかいことを言って、そうした場合にはどういうふうに対処するかということをお聞きしたくなるわけです。この場合非常に残念です。けれども、やはり自衛隊は海外への派兵をしない。そうして自衛隊は攻撃的な兵備ではなくして、もっぱら日本自衛のための兵備である。この基本を私は外交によって、条約によってくずされることが、日本国民のために非常に不幸だ、そう考えるわけなんです。先ほど外相は、これは占領時代とだいぶ変った、不平等なものは直したい、それから憲法に誤解されるような解釈は直したい、こう言っているわけなんですね。ですから、私はそういう意味から一体領海を三海里に置くのか、今はやりの十二海里に置くのか。いわゆる公海の場合は基地でないのだから、潜水艦及び航空母艦は日本海のまん中あるいは太平洋のまん中にあれば、これは攻撃してもいいのかというふうな解釈が当然起きてくるのです。私がそんなことを言うと、それをいいことにして、何か既成事実の答弁をするような危険性があるわけですが、私が言いたいことは、そういうことは条約の中で否定するような考え方で問題を進めていただけるかどうかということなんです。その場合もこれは領土内でないのだから、日本は派兵をしないのだ、潜水艦及び空母はアメリカの攻撃に加わらないのだ、こういうふうなことが条約の中で盛られるかどうかということなんです。
  33. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 条約を締結する際に当事者としての外務大臣としては、憲法範囲内ということを保持して参ることは当然であります。その憲法解釈等については、議会において論争されて、終局的にその範囲が決定することであろうと思うのでありまして、外務大臣が一定の憲法解釈をもちましてやることは、非常に危険なことだと思うのであります。憲法解釈そのものは、与野党を通じ、議会を通じて一定の解釈に到達されるものだ、私はこう存じておるわけでございます。
  34. 石山權作

    石山委員 いわゆる与野党の憲法解釈は新聞でも言っているように、一つの終着点を求めて話をしながらも、終着のポイントがないのだ。いつの場合でも二本並んで走っているというのが憲法解釈になっているわけなんです。ですから私たちがしいて、あなたが憲法範囲内ということに飛びついて、一体範囲内はどこだというふうに追及するのもそんなところにあるわけなんです。憲法の問題は、これも私とあなたとでは双曲線でどうにもならぬでしょう。あなたに言わせると、与野党が決定するのか、世論が決定するのか知りませんが、まだまだ論議しなければ終着点に届かぬと思うのです。あなたは先ほど世論に従って、小笠原、沖縄は共同防衛区域ですかに入れないようなところにきている、こうおっしゃいました。そのときは考えますと、この一番の根底をなすのは、サンフランシスコの平和条約の三条が基本をなしているものだと私思います。しかし私先ほど申したように、行政協定を含めまして、安保条約その他の条約改正に当って、対等の立場をとるような工夫をこの場合するのだ、これを私は信じているわけなんですが、この場合の小笠原、沖縄等の問題に関しまして、政府はもっと突き詰めた強い考え方をこの場合持てないのかということです。たとえば共同防衛区域に含めるとすれば、NEATO等の危険性もあるが、含めないとすれば、日本民族で間違いないところの沖縄人に、われわれの思いというものが全然かからないでしまうわけです。そして不幸にして戦争等がアメリカと行われた場合に、われわれは沖縄の住民に対して何ら手を差し伸べることができないということが現実的に起きるわけです。これに対しては、実際条約上どういうふうにして彼らの生命、財産の安全を期するようにするのか。不幸にして問題が起きたならば、どういう正当性を持った賠償をなすようなことを条約の中に盛るのか。こういうこともやはり考えて条約を結んでいただかないと困るのではないかと思うのでお聞きしたいわけです。
  35. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 沖縄を条約の適用地域に入れるか入れないかということは、今石山委員の言われたようにいろいろ利害得失と申しますか、いろいろ問題があります。従いまして各方面にいろいろな議論がありましたこともむろんのことであります。その議論の一つとして、日本人があそこにいることであり、それを無視することにはならぬかというような御議論もあったわけでありますが、今の国民の多数の御意向というものは、入れない方がいいのじゃないかという御意見に傾いておるように私どもは拝察しておるわけであります。従ってそういう趣旨で今後はやって参りたいと存じてはおりますけれども、しからば沖縄の住民を全然日本がないがしろにしているかといえば、むろん最終的には施政権の返還というものを外交交渉でやって参りますことは当然でありまして、最終的にそういう問題を扱って参らなければならぬと考えておりますが、同時に平時におきましても、沖縄における人たちの経済的な、あるいは文化的な水準の向上なり幸福のために、できるだけの話し合いをアメリカといたしていくということにいたして参りたいことは当然でありまして、私もダレス長官にもその旨を話をしましたり、若干ずつでも政府はそうした措置をとるように、教育の問題等につきましても、教員の交流等につきましても、本年度予算に若干盛ってあると存じます。そういう種類のことによりまして、沖縄の方々の幸福になって参るようにやって参りたいと存じております。戦争が起りました場合に、生命、財産の保護というものは、直接の施政権を持っておりますアメリカが当然の義務としてやらなければならぬことでありまして、その点については、当然の義務を持っておりますアメリカ政府が、万全を尽してやることだと私どもは信じておりますが、そうした際に、むろんアメリカ側に対しても、こういう処置をとってくれることがもっといいのではないかということを、外交ルートを通じて話し得る機会は多分にあるかと存じておりまして、そういうことによってかりに沖縄、小笠原を入れません場合でも、われわれとしては万全の処置をとり得るし、またとっていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  36. 石山權作

    石山委員 先ほど受田委員からも聞いたのですが、アメリカ駐留軍の行動に対して事前の話し合いをする。もしかりに事前の話し合いがならない場合があったとすれば、その場合はどうなるかという疑問が当然起きるわけなんです。今までのアメリカ日本との立場を考えてみますと、話し合いにならないという場合には、一方的なアメリカの言い分を全部聞かざるを得ないというのが、安保条約日米行政協定の一貫した流れだと思うのです。これがまず私たち日本の国の防衛、安危に関する非常に重大なる問題ですが、話し合いがならざる場合のアメリカ軍の動き、それから日米共同防衛によってアメリカから要請された場合の自衛隊の動き、これも協議ならざる場合にわれわれは断然として自説を申し述べて、それを固執することができるような条約になり得るかどうか、そういう自信がおありかどうか。
  37. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 アメリカが現在でも日本の国民の好まざることを、その意思に反して強行して参ろうとは思っておりません。しかしながら現在の条約ではそうした場合に何らの協議事項等もございませんから、相談をするといいましても、それはほんとうに形式的の相談であるかもしれません。しかし今度ははっきり協議事項ということを入れて参るわけでありますから、協議いたします以上は、お話のように協議の整わない場合もあろうと思います。その場合にはむろんアメリカ側が提案したもの、あるいは日本側が提案したもの、いずれか一方が提案いたしましても協議がならない場合には、それは当然実行されないことになっていくのではないかと私は考えております。またそうあるべきだと考えております。
  38. 受田新吉

    受田委員 関連して。非常にいいことを言っていただいておるのですが、二十七年三月の外務委員会で時の岡崎外務大臣は、行政協定事前協議という事柄は、この二十四条というものは何ら関係がないものだ、協議するというだけでもって、いかなる協議になるのやら、内容は一つもない、こう答弁しておるのですね。結局現在は内容が全然ないとあなたも解釈されるかどうか、それを伺います。
  39. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 実は現在の条約、あるいは行政協定を通じまして、行政協定二十四条というところにああいう条項があることは、われわれも非常に不思議なように感じておるわけなのであります。従いまして今回は協議事項というものを本条約の方に入れていくつもりなのであります。従ってそういう意味においては明確になると思うのでありましん、現在の行政協定二十四条に基く協議事項というものは何でああいうところに入ったのか、いろいろ当時の歴史的経過はあるのだと思います。しかし私として理解しにくい点でありますから、字句を削除して、はっきり今申し上げましたように本条約の中に協議事項を入れていきたい、こう考えております。
  40. 石山權作

    石山委員 それから沖縄、小笠原の特に施政権の問題でございますが、こういう機会でなければ、私は施政権の問題等をば深刻に論議する機会がなかなか得られないと思うのです。日本人のほんとうの気持というものが吐露できないと思います。そうしますと与党の諸君はいわゆる南千島の問題はどうなのかと言うのですが、南千島は南千島で、これはソ連とお話しなさるときに出せばいいのであって、その見合いによってわれわれは問題を考える必要はないと思う。与えられた機会において、実際からすると、いかに沖縄の人たち自身が日本復帰を念願しているか、それからわれわれも、私自身も口を開けば、あなたと論議する場合にも、沖縄人が日本の息のかからないような人たちに、生命、財産を全部ゆだねておることがいかに不合理であるか、こういうことを申し上げておるわけなんです。これは何も私一人の問題でないと思う。みんながそういうふうに考えているだろうと思う。こういう点勇気をふるっていろいろ申し述べてもいいのではないか。何もソ連との対象にしておいて問題を伏せておく必要はないのではないか、そういう点についてはどういうふうにして進めていかれるかということも、この場合聞いておきたいものだと思います。
  41. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 沖縄、小笠原をこの条約の中に含めるか含めないかという問題は、含めましても施政権の返還が何らかの形である程度できたといえ、問題が解決できるわけではないのでありまして、含めないからといいまして、沖縄、小笠原の施政権を日本が放棄したということにはならないと思います。私どもはこれは別個の外交交渉でやるべきでありまして、そういう意味において沖縄の人たちの感情なり気持なりというものは、一日も早く日本に復帰したいというのがほんとうの気持だと思います。従ってそういう気持を体してやはり今後とも言うべきことは言うのでありまして、そういう意味においては一昨年総理アメリカに行かれたときも、そういうことはすでに言っておられることでありまして、当時必ずしもアメリカは承諾をいたしておりませんけれども、承諾もしなくてもやはり言わなければならぬ問題だと私どもは考えております。
  42. 石山權作

    石山委員 これは要望になると思いますが、あなたの今まで受田委員や私に対しての答弁からいえば、かなりわれわれの考えている線に近い考え方で進めていくだろうと思うのです。ただ与党の諸君がよけいなちょっかいを出して国政を曲げ、今までの日本の外交路線をゆがめて国に損害を与えた要素になっておりますので、あなたが今国会のこの場において、たくさんの人のいる前で御答弁になったような形でどこまでも進めていただければ、私ら国民全部はあなたを支持するという形ではないですけれども喜ぶだろうと思う。それが今回のあなたの一番の使命だと思っておりますから、まず大いに勇気づけて、私たちはあなたの外交交渉を見ていきたいと思います。
  43. 内海安吉

    内海委員長 柏正男君。
  44. 柏正男

    ○柏委員 私は本日藤山外務大臣の御出席を機会に、この安保条約改正日本の国の防衛の問題をいろいろに変化させるであろう、そういうことがまた国の外におけるいろいろな国にいろいろな感じを持たしておる、そういうことに対して外務当局がどういうことを考えておられるかということをお聞きいたしたいと思います。それにつきまして私は二月の末から三週間ばかり、ベトナム民主共和国に行って参りました。ベトナム民主共和国がこれについてどう考えておるかというお話を参考に申し上げることもまた何かのお役に立つと思いますので、申し上げながら質問いたしたいと思います。  私が参りましたのは、日本人の帰国者の出迎えの件でありました。ちょうどけさ五時に九人の人が門司に入港したのでございますが、私は昨日門司に参りまして準備万端を整えてゆうべの汽車で帰って、きょうのこの委員会に出て参ったのでございますが、けさのラジオのニュースを聞きますと、九人のうちの一人は自殺をいたしております。入港前五時間を控えて、沖縄の人ですが自殺をいたしております。こういうような悲しむべき事実が起っておりますが、私がベトナムを出る前にベトナムの平和委員会の人が心配されたことがほんとうに実現したような気がして、非常に胸を打たれるものがございます。と申しますのは、ベトナムは今度の引き揚げに対しまして非常にあたたかい同情を与えまして、九人の人たちには全部背広の服を仕立てて着せて、しかもパリ仕立ての仕立屋が仮縫いを二度もしたようなりっぱな服を着せて、帽子もネクタイも靴もワイシャツも全部新調してやる。それからトランクまでりっぱなものをつけて出しまして、ハイフォンで乗船させるのを船の都合でフオンケで乗船させた。そのときにベトナムの人が言いますのは、皆さんを日本にお送りするときに、せっかく表玄関のハイフォンから出したいと思ったが、それを裏玄関のフオンケから出すことは、自分たちの気持としてはなはだ相済まないという話でございました。なるほど一応の外交辞令のように思っておりましたが、しかし乗りました船が夕張丸でございまして、石炭船で、非常に古くて、しかも船足もおそく設備も悪くて、こんな船でお帰りすると、何か途中で悪いことがなければいいがと、ほんとうにそれほどまでに心配しておりました。その心配がとうとう実現してしまった。船足がおそいために、あらしのために途中で沖縄に寄ったのです。その自殺をした人は沖縄の人でございまして、沖縄に寄ったときに、偶然にも兄さんに会えて、いろいろな事情も聞いたようでございますが、しかしそれから何日かまたおくれまして、そういうおくれる間にいろいろな心境の変化も起ってきたと思いますが、ともかく入港前五時間で自殺してしまった。何か悪いことがなければいいがというベトナムの人の心配がこんなところで実現したことは、私どもはほんとうに残念だと思います。これもまた考えますと、日本の引き揚げに対する熱意が不十分であった。何でも船を回しさえすればいい、ボロ船でもいいじゃないかということになってしまったのじゃないかと思います。そういうことを考えましても、私は国の外におる——ベトナム民主共和国と申しますと、皆さんどなたがお考えになっても、小国であるというお考えでございましょう。しかしながら小国といえども、あの人たちのあたたかい同情というものは、日本国民はひとしく受け取るべきであると思います。ことにあの人たちは日本に対しては非常なる好意を持っております。日本とは戦っておりません。十年の抗戦はフランスと戦ったのでございます。そのフランスと戦って、フランスを追っ払って自分の国を作って、今日本とほんとうに手を握ってやっていきたい。手を握ってやっていきたいがゆえに、九人の日本人の帰国には非常なる誠意を示しておるのであります。それにもかかわりませず、私が立つときには、ベトナム賠償の問題などは当分この国会に出そうもないということでございましたが、帰りますと同時に、様子が変って、南ベトナムの賠償の問題も、どうやら藤山外務大臣の手で進められている。また今ベトナムで問題になっております問題は、賠償の問題ではなくして安保条約改定の問題でございましたが、安保条約改定の問題は今のように国の防衛力に関係がある、あるいは日米共同作戦がもっと拡大するのじゃないだろうか、こういう点が非常にベトナムを刺激しておりました。しかも南のゴ・ディンジェム政権は、彼らの軍事力は強大し、アメリカと手を握ってやっておる。この実情が北ベトナムの人たちを非常に刺激しております。安保条約改定されると、日本もその線に乗ってベトナムに対する敵視的な立場が強くなるのじゃないか、せっかくできかけた貿易の問題も、今は三月十八日に協定が切れたままになっております。こういういろいろな点から言って、人道的な立場でこの問題を考える意味においては、藤山外務大臣の北朝鮮への帰国に対する力の入れ方、これなどは私はほんとうに敬服しなければならない人道主義的な一つの行き方であろうと思いますが、それと同じくベトナムの人たちも日本人の帰国に対して非常な誠意を示しております。それにかかわらず、こういう問題を通じ、安保条約がアジアの諸民族に非常な刺激を与えておる。南ベトナムへの賠償は平和的な南と北との統一を阻害しておる、こういう事実に直面いたしまして、私は日本のアジアに対する政策というものが曲りかどへ来ておると思う。藤山さんあるいは岸政権が、あくまでもアジアの諸民族を敵視するような政策をとる限り、これからの事態はなかなか容易じゃないと思います。せっかく日本に対して好意を持っておる国家をすら、敵に回すような状態になっていくとすれば、ここら辺でいろいろな問題を考え直さなければいけない。その意味におきまして、一体外務大臣の手元においては、この安保条約改定を通じてアジアの諸民族がどう考えておるか、そういうような情報をどの程度までお持ちであるか、またそういうようなことに対して外務大臣はどういう御所見を持っておられるか、そういう点を承わりたいと思います。
  45. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 今回の安保条約改定は、先ほど来申し上げておりますような考え方で私どもやっておるのでございまして、決して安保条約改定はアジアの各国を敵視しているというような立場でやっておるのではないのでありまして、現在の安保条約を自主的な立場で改善をしていくということなのでありますから、現在の安保条約よりも日本自主性を進めて、よくなって参りますことは疑いないと私は信じております。そうした現在の安保条約よりよくなって参りますことに対して、何かそれが悪くなって、さらに激しくアジアに対する敵視の形になるのだという批判があるとすれば、それは多分に誤解だと思います。私はそういう意味において、誤解が十分解ければ、日本のこの安保条約改定というものに対して、必ずアジアの各国もその評価が違ってくると思います。ただいま石山委員に御激励いただきましたようなことで御了解いただきますれば、私はアジアの諸国の人もそういう反感は持たないことになろうと存じます。
  46. 内海安吉

    内海委員長 柏君、時間がありませんから簡単に。
  47. 柏正男

    ○柏委員 先ほどの外務大臣のお話のように、この安保条約改定の中で、区域の変更の点、沖縄とか小笠原を含まないというような考えについては、国民の大多数がそういう含むことを希望しない、そういうことが察知されるからそういうのは入れないのだというお話がございました。とすれば、こういう安保条約というものは要らないのだ、廃棄するのだという考え方が国民の大多数を占めるということになりますれば、外務大臣あるいは岸政権においては、こういう安保条約を廃棄するというところまで進み得る可能性がありますか。またそういう問題について外務大臣はどういう考えを持っておられますか。またこれに関連して、南ベトナムの賠償というようなものが南北の統一を阻害し、また賠償そのものが不純である、純粋な賠償でなくして経済協力である。またゴ・ディンジェム政権も決して正統政府ではない。ジュネーブ協定から見まして、ホー・チミン政権の方が正統である。いろいろそういうような条件から見まして、南ベトナムへの賠償というようなものに対して、南北が統一するまでこれを待たれるというようなことに対してどういうお考えを持っておられるか、御意見を承わりたいと思います。
  48. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 民主主義の国家の運営におきまして、国民の意思がその政策を決定していきますことは申すまでもないことであります。従いまして国民の多数の意思の決定によって、他国との条約というようなものがいろいろ変ってくることは、これまた当然のことでございます。現在われわれといたしましては、国民の多数がやはり安保条約の必要を感じておる、また私どもが主張しております安保条約改定が適当であろうというふうに考えておるわけでございます。そういう意味において私ども今日この改正交渉をやっておることはもちろんでございます。  なおベトナム賠償の問題につきましては、いまだ最終的な解決に至っておりません。いろいろな点においてまだ折衝中でありますので、とかくのことを申し上げにくいわけでありますけれども、しかしサンフランシスコ条約におきまして南ベトナムが調印をいたしております。またそのサンフランシスコ条約によりまして賠償請求権を持っておりますし、われわれはサンフランシスコ条約範囲内において、できるだけ合理的に賠償を支払う義務を持っておりますので、そういう意味において交渉いたしておるわけであります。
  49. 内海安吉

  50. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 防衛庁長官にお尋ねいたします前に、外務大臣に二点だけ質問しておきたい。その一つは、今度の日米安保条約改定の最大の目標というものが、自主性、双務性の確保にあるということは、絶えず言われておるわけです。そこで私お尋ねしたいわけでございますが、今のような不平等な条約が出てきた原因はいろいろあるわけでございますけれども、その中で一番問題にされておりますこれだけの基地を、ほとんど無条件にアメリカに貸与しておりながら、アメリカ軍日本防衛義務を持たない、これはおかしいことの最たるものだ、どうしても防衛義務アメリカに負ってもらうという項目を一つ入れたいということを言っておられるわけですが、日本側がそういう主張をした場合に、アメリカとしてもやはり自主性、双務性ということを考えるだろう、一体それに見合う何らの条件も出してこないだろうかという点で、非常に大きな疑問を持っているわけです。なぜかと申しますと、日本防衛義務というものをアメリカには負わしておらないにもかかわらず、現在すでに先ほど申し上げたように、たくさんの基地を日本は貸しておりますし、それから日本にある米軍基地に対する攻撃あるいは沖縄、小笠原に対する攻撃をも、日本自体に対する侵略とみなすのだという見解をすでに現在とっておるわけなんです。これだけのものを十分にアメリカとしては現在すでに確保しておるわけですから、一体防衛義務を負うとはっきり明文化した場合に、それ以上のものを何にも要求しないで応ずるだろうかという疑問を絶えず私は持つわけです。日本憲法制約アメリカにおいてはバンデンバーグ決議というものの制約、こういうものは依然として私はあると思いますので、日本側にとって非常に都合のいいような条件を果してアメリカ側が無条件にのむものだろうか、何も新しい条件を出さないものだろうかということを絶えず懸念いたしておるわけでございますが、この点まずお伺いしておきたいと思います。
  51. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 新しい条件は特に何も出しておりません。この点はダレス長官と私がワシントンで話をいたしましたときに、ダレス長官ははっきり私に申したのでありますけれども、今日までの安保条約ではなるほどアメリカに一方的だった、しかし今度藤山君の言うことは少し日本に一方的過ぎるのではないか、しかしアメリカ日本との非常な緊密な関係、友好親善関係を強めていくという立場から考えれば、条約上の若干の一方的だということを越えて、そういうことが非常に必要なんであるから、交渉に応じましょうということを言われたのであります。私はこの問題について特にアメリカ側が現在何も特定なものを出してきておらぬのも、ほんとうにそういう日米友好関係を打ち立てるという立場からの考え方だと思うのであります。そういう意味において、今日までも出してもおりませんし、また私どもそういう理解のもとに仕事をいたしております。
  52. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは時間がありませんから次に移ります。いわゆる内乱条項といわれておりますが、これは安保条約の第一条に規定されておるわけですが、これは大体外務大臣としては削除してもらう、そういう建前で交渉に臨んでおられるものかどうか、この点だけお答えを願いたい。
  53. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 この点は現行安保条約自主性を欠いておる、あるいは従属的だという批評の一つがこういうところにあるということは、すでにワシントンでダレス長官にも申しております。従って私としては今日でもワシントンで申した通り、この内乱条項は削除していくということを考えております。現在各方面の御意向も大体私の考えている線に御異存はないようでありますので、私としてはそういう線に沿って交渉を進めていきたいと考えております。
  54. 内海安吉

    内海委員長 飛鳥田君。
  55. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 もう時間もありませんし、原則的な御議論はほぼ皆さん方と同じですから、個条書き的に伺いたいと思います。安保条約改正していくに当って、基地の問題をどう取り扱うかということはかなり重要だろうと思います。外国の例などを見ますと、基地について限定的な協定ができているように思いますので、今度の安保、行政の改定の中で、基地を幾つどことどこというふうに限定するような方向をお考えになっているかどうか。今までの例によりますと、向うが要求をすれば無制限に——無制限という言葉は少し過ぎているかもしれませんが、ある場合には七百も、現在ですら三百幾つあるそうです。そういうようなことでは双務性も自主性も現実的にいえば問題にならない。従って基地の数を限定していかれるそういう方向をとるお気持があるかどうか、これが一つです。  第二には、駐留米軍の使用の目的ということが、今までは極東における国際の平和と安全のためにとなっておりますが、これについて直接日本関係ある場合に限るという方向をおとりになるつもりかどうか。たとえば朝鮮戦争が始まり、日本の基地の中から米軍が極東の国際平和と安全のためにというので出動する、こういう問題も日本の平和、日本防衛ということに直接関係がある場合かどうか、私ははなはだ疑問だと思います。あるいは金門、馬祖等の戦争に際しても、日本の基地から米軍の飛行機を飛ばして第七艦隊を援助するというようなことは相当問題があるのではないか。そこで、私たちは一切こういう問題には反対ですが、あなた方のお立場に立って考えてみて、一歩前進の意味で極東の国際平和と安全のためにという項目をもっと限定して、日本防衛に直接的に関係のある、あるいは日本の平和に直接的に関係がある平和と安全のためにというふうになさる御意思があるかどうか。そういう方向をとろうとお考えになっていらっしゃるかどうか、これを伺いたいと思います。  第三には、これは幾らか希望のような形になりますが、条約区域の概念だけは明白にしておいていただきたいと思います。沖縄、小笠原を条約区域に含めないというお話はよくわかりました。けっこうです。しかしながら先般衆議院の予算委員会で岸総理は、沖縄に駐留している飛行機が日本本土の上を哨戒することについて、全然日米合同委員会なり何なりで文句を言えない、こういう御答弁だったように思います。しかし安全保障条約条約区域とサンフランシスコ講和条約第三条に基く沖縄、小笠原を支配する条約区域とは、区域が明白に違うわけです。従って沖縄に駐留している米軍が、日本本土の上に哨戒飛行にやってくるなどということは、条約区域を明白に意識すれば違法ですから、これに対して白米合同委員会なり何なりで適当に抗議を申し込めるものだと私は思っておりますが、岸さんのこういう御答弁はすなわち条約区域の概念が明白でないというところにあるのだろう、こう思いますので、安保、行政の問題を改定なさる方向について、条約区域の問題だけは頭に明確に入れてお進めいただきたいし、この点についても明確な話し合いをなさっておかれることが必要ではないだろうか、こう思うわけです。以上三点です。
  56. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 日本が基地を提供しますことは、今回の条約においても当然なことだと思います。ただどこどこの基地をやるかということは、御承知のように現在最初にありました基地が非常にたくさん整理されてきております。また今後も整理されなければならぬし、また整理されるとも思っておる。従いましてそういうような具体的な事実の問題を書きますことはいかがかと思うのであります。基地提供については話し合いによってやっていくという方式をとっていきますれば、それで十分ではないかと思うのであります。そういうようなつもりでやっております。また作戦の先ほどお話の問題、極東の平和と安全ということでありますが、御承知のように今度の場合アメリカ軍日本防衛の責任を負ってくれるわけであります。また日本が他国の侵略から防がれること自体が、極東の平和と安全に非常に大きな貢献をすると思います。そういう基本的な立場に立ちまして、極東の平和と安全ということをわれわれ考えて参るわけでありまして、そういう意味におきまして現在の安保条約日本防衛よりもむしろ極東全域の防衛というような形になっておりますのは、相当限定されてくるのではないかというふうに、もし私どもの考えが通って参りますれば考えられると思います。条約区域の表現方法につきましては技術的な問題もございますので、書き方等については問題がございますが、実質的には日本の主権を持っておるところ、施政権が行われておるところということに相なろうと思います。それをどういうような形の言葉で表わしますかは、今日以後の問題になると思います。
  57. 内海安吉

    内海委員長 防衛庁長官に対する質疑に移りたいと思います。石橋政嗣君
  58. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは防衛予算あるいは今上程されております防衛問題の内容に即した質問をやって参りたいと思います。  まず第一に、今外務大臣からも答弁があったのでありますが、いわゆる内乱条項というものは削除する方向でアメリカ交渉する、こういうことでございます。そういたしますと、勢い防衛庁とは密接な連係が、話し合いは今までもなされておったこととは思いますが、今後現行の安保条約第一条に書いてありますようないわゆる内乱、騒擾というものに対処する実力というものは、自衛隊は十分持っておるというように長官はお考えになっておるのかどうか、これからまず答弁していただきたい。
  59. 伊能繁次郎

    ○伊能国務大臣 さいぜん外務大臣が答弁いたしましたいわゆる内乱条項、かように申しておりまするが、私どもとしては国内の内乱につきましては第一次的には警察力、第二次的には自衛隊の力によって、現在の見通しでは十分に処理し得る、かように考えております。ただ外部からの教唆、扇動によって単なる内乱と思えないような大規模なもの、ことに具体的に申し上げますと、かようなことは想定することが適当でないと思いまするが、万一の事態に日本自衛隊が一応防衛の準備行動というようなものに入ったような際に、外部の教唆、扇動等の関連においての間接侵略というような形の大規模なものについては、協議によって処理するということを想定いたしまして、一応内乱についてはわれわれ十分処理する力を現在では持っておる、かように考えております。
  60. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 時間を節約する意味で、安保条約の第一条に言ういわゆる内乱条項と言ったので、いわゆる後段の意味であることはおわかりになっておると思います。そこでやはりこの交渉とも関連いたしまして、防衛庁としては最近非常に間接侵略に対する防衛対策の確立ということに重点を置いておるようであります。来年度の予算の編成方針の中で、重点事項としてやはりこの項目が掲げられておるわけでございますが、一体具体的に対処するために、たとえば予算上あるいは編成上、配置上どのように考えておるのか、一つ克明に御説明を願いたいと思います。
  61. 加藤陽三

    加藤(陽)政府委員 お答え申し上げます。来年度の主として陸上自衛隊について申し上げますと、陸上自衛隊は内部態勢を整備するという考え方で予算も取っておるわけでございます。今おっしゃいました点につきましては、まず考えておりますことは三つの方面隊を作る。今方面隊は北部と西部にございます。北海道を北部方面隊が、九州及び山口県を西部方面隊がやっております。その残余の区域を三つの方面隊に分けたい。そして方面隊ごとに管区隊及び混成団を置きたい、こういうように考えております。これはどういうことかと申しますと、現在管区隊、混成団等におきましては日常の訓練のほかに、あるいは募集をやりますところの広報でありますとか、あるいは補償でありますとか、あるいは演習場の管理でありますとか、いろいろな行政的な事務があるのでございます。こういう事務を管区隊、混成団から離しまして方面隊に持っていく。そうして管区隊、混成団は訓練に専念させてしまえということが第一でございます。  この点に関連をいたしまして、今度国内の治安警備に関する訓練を強化することにいたしております。具体的に申し上げますと、今まで警備訓練に当てておりました時間は、幹部について申しますと年間個人訓練を十五時間、部隊訓練を十二時間やっておったのでございますが、今度はそれを個人訓練を四十二時間、部隊訓練を五十二時間やりたい。陸曹について申し上げますと、従来は年間個人訓練が十六時間、部隊訓練が十二時間でありましたものを、今度は個人訓練を二十時間、部隊訓練を五十二時間やりたいと思います。陸士について申し上げますと、従来は個人訓練が十二時間、部隊訓練が同じく十二時間でありましたのを、今度は個人訓練を十六時間、部隊訓練を五十二時間というふうに強化したいと思うのでございます。  これにまた関連をいたしまして、新しく教育団という編成を考えております。教育団の任務といたしますところは、今まで新隊員が入りますと約十週間の前期基本訓練というものを、全国にあります十二の新隊員教育隊でやっておったのであります。そこを終りますと各職種別の部隊に配属になりまして、普通科とか機甲科とかいろいろございますが、そこへ行きましてまた約十週間の基本訓練を行うことになっておりまして、部隊の訓練上若干の支障があったのでございます。それを今度は教育団を作りまして、前後期の基本訓練を教育団において一貫して行うということによりまして、教育団の訓練を終りまして部隊に配属になりますると、すぐに一応役に立つというふうな体制に持っていきまして、部隊の行動能力を増強したいということを考えておるのでございます。  さらにこの方面隊のことにつきましては、今まで各管区隊、混成団ごとに警備の区域をきめております。それを広い範囲の方面隊にまとめまして方面隊としての警備区域を持たせまして、その中における部隊の融通性のある運用をいたしたいと思うのでございます。と同時に、今までの経験によりますと、たとえば東京なら東京付近で部隊を集中しなければならないという場合には第一管区総監なら第一管区総監に他の管区部隊の部隊を持ってくる、あるいは長官の直轄の部隊を持ってきまして第一管区総監の指揮下に入れるというふうなことでやっておりましたが、第一管区総監としては自分の指揮下に入りました部隊の装備、実力、どの程度の編成ができておるかというふうなことについても、必ずしも明確でないというふうなことがありましたので、広い区域に方面区域を分けまして、その管内で事ある場合におきまして、指揮下に入る部隊については平素から装備、実力練成の状況を承知しておきたいというふうに考えておるのでございます。  それからこの点につきましてさらに通信団というものを今度編成することにいたしております。通信団を編成いたします理由は、部隊の通信の機能を増加いたしたいということでございます。通信には御承知のごとく固定通信と野外通信の二つございます。固定通信と野外通信とが有機的に連携いたしませんと、通信機能としては万全でないと思いますので、今度通信団を作り、その通信団のもとに固定通信と野外通信を一括いたしまして運用させたい。これによりまして部隊としての通信能力というものは増大をいたすと思います。その他にもございますが、これらのことが主として間接侵略防衛態勢の強化に寄与する、こういう考えでございます。
  62. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 今の御説明を聞いておりますと、結局こういうことじゃないかと思うのです。いわゆる陸上自衛隊というものの主たる任務は、やはり間接侵略に備えるということになるのだ。今配備、編成、装備、訓練というようなものをざっとお聞きしたのですけれども、さしあたって陸上自衛隊は直接侵略間接侵略の場合にそう形が違ってくることはないのじゃないか。従って間接侵略に対する防衛態勢の確立ということは、結局陸上自衛隊というものの主たる任務は間接侵略に対するものとしてはっきりさせるのだ、直接侵略に対するものは航空自衛隊というものが柱になって主としてやる、こういうふうな考え方になるわけですか。
  63. 加藤陽三

    加藤(陽)政府委員 私どもの考えておりますところでは、もちろん陸上自衛隊につきましても直接侵略というものは大事な仕事でございます。ただ今までの編成、装備、訓練等の状況などから見まして、直接侵略と同時に間接侵略の方にも相当の重さをかけなければいけないのに、十分かかっていなかったように思うのであります。そこで間接侵略に対する防衛態勢を強化したい。直接侵略の方を減ずるということではございませんけれども間接侵略の方にも重さをかけたいということでございます。
  64. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 大体私が言ったことを肯定するような答弁だと思うのです。そこで先日グラマン問題が盛んに論議されましたときに、防衛庁は、当時の左藤長官は、積極的に、従来の経過あるいは今後の見通しといいますか、考え方といいますか、そういうものをお述べになりました。その中で、今私が指摘しましたわが国の防衛は、まず侵略が起る場合に空からあるだろう、だから勢い防空第一主義にならざるを得ないというふうな考えを述べておられたようですが、この考えは現在の防衛庁長官においても変りはないのでございますか。
  65. 伊能繁次郎

    ○伊能国務大臣 御指摘の通りでございます。
  66. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そうしますと、この防空第一主義というものが、果して現在の防衛力整備目標の中で貫かれておるかどうかという点に、私は非常に疑問があるわけなんです。その点をまず第一にお伺いしたい。防空第一主義を貫く場合に、その主力となるのはいわゆる二十七隊の戦闘機ということがいわれておるわけでございますが、一体これの整備というものが、いわゆる計画の実現期日である三十七年度末までにできるのかどうかという点でも、疑問を持っておるわけでございます。こういう点について今からずっと具体的に質問していきたいと思うのでございますが、まず概略のお答えを願っておきたいと思います。
  67. 加藤陽三

    加藤(陽)政府委員 今石橋委員の仰せになりましたごとく、わが国の地理的な事情から申しまして、日本防衛を考える上におきましては、航空及び海上というものがまず取り上げられなければならないと思うのでございます。しかしさればといって、陸上、海上が全然必要でないということはもちろんないのでございまして、全般的に日本の地理的条況から考えれば、まず航空、それから海上というものに主力を注がなければならないと思うのでございます。防衛力整備の目標につきましては、いろいろ御批判があろうと思いますが、航空自衛隊の方は技術的な問題からいたしましても、なかなか短時間にこれをやり上げるということがむずかしいのでございます。時間を要するということは一つ御了承願いたいと思うのでございます。現在持っておりまする防衛力整備計画のもとでは、お話のごとく二十七隊の要撃隊というものを中心に考えているわけでございますが、この二十七隊の要撃隊に対しまして、現在は第一、第二、第三、第四と四つの航空団ができておりまして、八隊ができているわけでございます。
  68. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 次々に質問をしていくためにお伺いしておきたいのですが、この戦闘機二十七隊が整備された場合に、いわゆるジェット機の機種別機数というものは一体どのようになるとお考えになっているのですか。
  69. 加藤陽三

    加藤(陽)政府委員 ジェット機の機種別機数につきましては、現在のところ二十七隊は全部ジェット機で装備したいという考えでございます。二十七隊のうちの十八隊はF86F及びF86D、残りの九隊は問題になっております次期戦闘機、FXといっておりますが、これで充てたいと思っております。
  70. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 航空第一主義を貫くのだとおっしゃる。それにはそれなりの理由があるわけです。ところが現にF86Fの方にいたしましても、すでに供与分のうち四十五機を返すというような事態が出てきている。それからF86Fのうちの国内生産の分についても、FXが決定しないために月産能力というものを落して、一カ年繰り延べているという事態が起きている。とにかくこの面からいっても、整備目標というのは完全にくずれているのではないかと思う。一つ供与の方も検討してもらいたいと思うのです。たとえば今防衛局長が言っておりましたF86Fと同時に重要な役目を果すことになっているF86D、これも防衛庁が出しておりまする資料をいろいろ検討してみますると、非常に数字に自信がない、ぐらぐらしているような感じがいたします。きょういただきました航空自衛隊の現有装備品、その中でF86Fは現在二百九十六機ある。F86Dは四十四機ある。こう書いてあります。ところが防衛庁の予算案の大要説明の際には少くとも三十三年度末までに幾ら見込んでおったかというと、F86Fの方は二百九十八機、F86Dの方は五十八機、ここで相当開きが出てきているわけです。供与を期待しておったものがどんどんおくれておる。果して期待するだけアメリカから来るのかどうかわからないというような事態がここに起きているわけでございます。最近ドーレーパー委員会の報告なるものが非常に問題になっている。援助の大幅削減という問題もすでに現実の問題になっている。私はこういうものを指摘いたしまして、もはや警備目標というものは今のまま固執していても無理ではないかと再三質問をしておりますが、いや大丈夫だとからいばりをいたしますけれども、いかがですか。まずアメリカの供与という面から、防衛庁の説明がこのように過去一、二カ月の間にぐらっと変ってきて、予算編成の際に当初説明資料として出ておった五十八機というようなものは来そうもないという事態に追い込まれてきているのではないかと思いますが、いかがですか。それからもう一つ、二百九十六機という現有F86Fの中には、四十五機という返還分は入っていないのでしょうね。この二点をお伺いいたしたい。
  71. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 F86Fは二月末現在二百九十六機でございます。これは四十五機返還済みの数字でございます。F86Dはこの資料に四十四機と書いてございますが、これは今帳簿上四十四機になっておりますが、実際は一機クラッシュを先般いたしましたので、四十三機でございます。いずれ帳簿を合わすことになっております。今御指摘のように、予算の関係の書類で、年度末は五十八機入るということになっておりますが、これはF86Dは大体六十機供与のはっきりした約束ができておりまして、二機は三十二年席に入っております。従って三十三年度五十八機を加えまして六十機になる予定でございます。ところが現在のところ、四十四機しか来ておらないわけでございまして、もう十六機供与不足という現在の実情でございます。この供与を促進する意味におきまして、いろいろ事務的にも折衝しておりますが、現在木更津にすでに十五機来ております。ところが一つの問題は、搭載部品その他で多少こっちの気に入らないものを取りかえてくれというようなことを要請しておりますし、もう一つは、日本自衛隊の持っておるF86Dも米軍のF86Dも、ちょっとエンジンの関係で先般支障がございまして、一時は飛行停止を一斉にやったような期間がございまして、そのエンジンを総点検しまして、それをあとで全部直してもらって、初めて引き渡すという格好になっておりまして、それで引き渡しがおくれております。三月末までに十五機が全部入るか、今事務的な検討では、とても全部入らないで、少しずれる公算が多いわけでございますが、ともかく十五機そのものは来ておりまして、多少ずれましても、これは一応入る。われわれの方では事務的にはそういう確信をもって引き渡しを促進しておる次第でございます。
  72. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 供与の分はその程度にいたしておきますが、いわゆる国内生産、共同生産の面においてちょっとお尋ねいたしておきます。それはFXに入ります前に、現在進行いたしておりますP2Vの面でちょっとお尋ねしてみたいのでございますが、このP2Vは三十三年度から三十七年度までに生産を予定しておった。これは昨年予算審議の際に、国庫債務負担行為として国会承認を求めておるわけでございますが、この面でもどうも一貫した数字が出てきておらないような感じがするわけです。昨年説明がありましたときには大体三十四年度に六機、それから三十五年、三十六年、三十七年度でそれぞれ十二機、こういう説明があったようです。ところが本年の官房長の説明によりますると、これが三機ということになっております。それから同じく先ほど指摘いたしました防衛庁予算案の大要、これでいきますと、二機ということになるのじゃないかという感じがするわけです。何かしら一貫性がない。しかも予算の方で見て参りますと、昨年この国庫債務負担行為の承認を求めた際には、三十三年度は一億七千九百万円、それから三十四年度が十六億六千八百万円で、これが六機相当分、こういうことになる。あとは三十五年度で四十億一千三百万円、三十六年度で五十億三千四百万円、三十七年度で四十億八千二百万円、こういう説明になっておったようですが、今度、三月十六日現在で防衛庁の方で調べていただいたのによりますと、三十四年度が金額がうんとふえて、二十一億六千八百六十万二千円というようになっておる。そうすると、機数は減ったけれども、予算の方はずいぶんふえておる、こういうことになりますと、最初防衛庁が考えておったようなアメリカの分担額といいますか、負担額といいますか、そういうものが見込み通りいかなかったのじゃないかという感じがするわけです。一番最後の三十七年度にそれがしわ寄せされておるわけです。こういうことを検討してみた場合に、国会に説明をいたしましたアメリカの負担額というものが、当初予定された通りにいっておらないのじゃないかという感じがする。それを裏づけるものとして、同じくこの予算案の大要なるものによれば「P2V—7航空機の国内生産に対する米国援助額は未定なるにつき計上せず。」こういうような注釈までついておる。一体これは何事だという感じを持つわけでございますが、ここのところを一つわかるように御説明願いたい。
  73. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 P2Vの生産計画につきましては、御指摘のように当初の予定を少し変えました。当初は月産一機ベースでございまして、三十三年度の予算を一億七千八百万円、総額百四十九億余りの国庫債務をもらいまして、第一機が三十四年度に十月から出て、あとずっと一機べースでいきますから、御指摘のように三十四年度は六機、三十五、三十六、三十七年度は十二機、合計四十二機でございます。それを、理由はあとで申しますが、三十四年度三機、三十五年度十機、三十六年度十四機、三十七年度十五機で、総計四十二機というような数字に変えたわけでございます。  その変えました理由は、米側との交換公文並びに細目取りきめは昨年の一月の二十五日にいたしました。その取りきめの実際の決定、サインが少し実はおくれたのでございますが、そのときにすぐ米国政府が向うのロッキードその他の会社と契約をして仕事を進めてもらえば、間に合ったのでございますけれども、それが少しずれまして、その契約ができましたのが四月でございます。正式の契約はもうちょっとおくれますが、米国では仕事を始めていいというような書類を出しますから、それが出ましたのが四月でございまして、その後それに基きまして、両方の会社でいろいろ生産のスケジュールを調製いたしましたところ、初年度の六機というのはどうしても間に合わない。三機にせざるを得ないということになったわけでございます。三機にいたしました場合に、あとでその三機分を取り返すためには、あとの方で作ります治工具を相当前に出さないといかぬ。そうしますと、今度は日本側の会社の川崎の方の治工具の工数が一ぺんに集中しまして、組み立てハンガーが足りなくなるというようなことによりまして、やむを得ずそういうスケジュールを土台にして、日米間で話し合いいたしまして、外務省と米国大使館で口上書をかわしまして、そういう生産計画に変えた次第でございます。先ほど三十四年度二機というような数字があるとおっしゃいましたが、そういう数字はないと思います。生産計画の点はそういうことでございます。  それに伴って金の面のことを申し上げますと、日米間の話し合いでは、日本側は百五十一億四千八百万円、アメリカ側が百五十五億五千八百万円、こういうことになっております。アメリカ側の契約は、これはこれより少しも減っておりません。全部これで発注いたしております。日本側の百五十一億の内訳は、この中には向うからもらいます資材の輸送費が入っておりまして、一億七千二百万円ばかりのものは、一ぺんに五年分取るわけにいきませんので、これは三十三年度分と二十四年度分に少しずつ、必要なつど組んでおります。従って飛行機の本体の購入費の方は百四十九億七千六百万円という総額を国庫債務と一緒に御承認を得ているわけですが、輸送費の方は年度ごとに組んでいくという仕組みにしております。この総額の方も、総額としては変りませんが、ただいま御指摘のように年度割りが少し変っております。もっとも当初の年度割りというのは、これは実はざっくばらんに申しまして、生産計画の協定ができまして、三十三年度の予算で一億七千八百万円いただいて、国庫債務を御承認願ったわけですが、そのときの、三十四年度以降の年度割りというものは、生産計画は実はまだはっきり具体的にしてなかったわけです。八月にこちらから人をやりまして、いわゆる向うの生産工程を見まして、それとこっちの生産工程を合わしてやるという作業をやりまして、それができましたのが去年の暮れごろで、それがはっきりできませんことには、各年度割りの数字というものは、実ははっきり立たぬわけでございます。従ってこれは法律的にも予算的にも、三十四年度以降の年度割りというものは、継続費と違いまして、意味はないわけなんで、一応年度割はこんなことだということで、突っ込んであったわけです。それが今申しましたような生産計画がはっきり立ちまして、これに合わして、いろいろ資金繰りをやって年度割りを考えてみますと、先般資料で提出しましたような数字になりまして、前より機数が減りますけれども、本来が相当前の方が足りなかったということで、われわれの試算では、実は前の三十四年、三十五年が総額三十億くらい足りないのですが、これは経理局なり、大蔵省方面のいろいろなにがありまして、資金繰りを変えるとか、いろいろな操作をいたしまして……。
  74. 内海安吉

    内海委員長 小山さん、もう少し簡潔に。
  75. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 承知いたしました。五億だけ三十七年度のを三十四年に回した。五億だけ前に回すことにいたしまして、現在でも三十四年度以降のものはわれわれの見積りでございまして、今後予算的に、総額の範囲内で、毎年度どう具体化していくかということは、そのときの生産のスケジュールに見合ってやるということになろうかと思います。
  76. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 正式にきまらないうちに国庫債務負担行為の承認を得るために、大体のところを示したということにもちょっと引っかかるものがありますけれども、それはさらに追及いたしますまい。  ただそれでは一つ、この新しい機械の問題で、左藤長官が本委員会において説明した際に、やはりアメリカとの話し合い、それから予算編成の時期、そういうようなものを説明しているわけなんです。それでいきますと、米国側のいわゆる負担額というものが大体はっきりしてから、閣議に持ち込んで、そして日本側の負担額を予算化する、こういう手続を説明しているわけなんです。そうするとP2Vに関しては、この手続は必ずしも守られていないということになるわけですが、この説明の際は、従来のやり方もありますから、今後もこういたしますというふうに左藤長官は言っておられたのですが、この点はどうなんですか。
  77. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 P2Vの実質的な話ができましたのは一昨年の十二月でございます。いろいろサインを集めまして、調印いたしましたのが一月二十五日でございます。そのときには、政府部内の予算案の中には、総額は入れてございます。ただいま申しましたのは、将来の年度割りについては確たる見通しが立たないということを申し上げたので、総額としては、それで確定して国会に出しておるわけでございます。それで国会を通ったら発効するという条件でサインをした、こういうことでございます。
  78. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは次の質問をいたしますが、新しい機種がきまらないわけです。この点で完全に最低一年間はずれるということになるわけです。いろいろ弁解もしておられたようでございますけれどもアメリカ側の方は、この点について予算化されておるのですか。予算化されておるとすれば、負担割合というものはどういうふうになっておるのか、この点御説明願います。
  79. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 FXの問題ですか。アメリカはまだ話し合いしておりません。こちらの機種もきまっておりませんから、予算化しておりません。
  80. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そうしますと、先日私の質問に対して答えておったように、日本の方で決定次第補正の道もあるのだというのは、これはアメリカの方は予算化されていない、負担率もわからぬということになると、ちょっとつじつまが合わないのじゃないですか。
  81. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 機種がきまりまして、いろいろ交渉しまして、負担割合がきまり、仕事の分野がきまるということになると思います。そのときに日本側はかりに補正予算ということもあるかもしれませんが、そういうことを考えられない場合には、三十五年度予算に乗っけなければいけないと思います。ただアメリカ側は——日本側が三十五年度の予算に政府としては出す。それが国会を通って発効するという条件で、それを認めてもらって、向うに予算があれば、アメリカ側の仕事は、こちらの三十五年度予算が通って使えるようになる前に、仕事を始め得る場合がありはしないかという意味のことを先般申し上げたわけであります。
  82. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 アメリカの方の予算がないとあなたはおっしゃっておるのですが、ないのにそういう交渉ができるわけですか。
  83. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 先ほど申しましたのは、アメリカ側で予算の確立したものは今ないと言ったわけでございまして、アメリカ側に予算的な、アメリカの五九会計年度あるいは六〇会計年度になるか知りませんが、向うでかりにこの春、何月ごろになりますか、かりに五月ごろといたしましても、話がきまりまして、日本政府としては三十五年度の予算に計上する。それが国会を通れば発効する、発動するという条件でやって、アメリカがそれを信用すれば、アメリカの予算がそのときに使えるものがあれば、それを確定して、すぐ向うの仕事は発足し得るということがありはしないか、こういうことを申し上げたのであります。
  84. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 確定したものがない、しかも今問題になっておりますように、ドレーパー委員会の報告に基き、あるいは大統領の教書等をも検討してきたときに、対外武器援助の削減ということはもう具体的になってきておるわけです。少くとも、あなたがおっしゃっておるような方式があるかどうか知りませんが、今防衛庁が考えておるような新機種の共同生産について、いわゆる負担の折半方式というようなことをまだ固執し得るような状況にあると防衛庁はお考えになっておるわけですか。
  85. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 今アメリカの予算と言いましたのは、FXとして確定したものはない。しかし一般の軍事援助予算というものはあり得るというわけでありまして、ただいま御質問の意味が非常にむずかしい問題で、すべて今後の交渉になるわけでございます。一般的に軍事援助が逐次減ってきておるということは事実でございますが、まあ五九会計年度も総額としてはそうまだ減っていないわけであります。六〇会計年度も、これは今後米国の議会の審議の結果どうなるかわかりませんが、政府の要請というものはそう急激には減っていない。これがあるいは日本に対する援助の具体的な問題で、今後の日本との話し合いがどういうようになりますか、今申し上げるわけにも参らぬわけでありますが、総額としてはそう急激には減っていないと言い得ると思います。
  86. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは新しい機種がきまらない、それだけ古い戦闘機というものに依存しなくてはならない率というものが高くなるわけです。その点はいわゆるその装備によって少しでも改善したいということを言っておられる。たとえば一つの例として、サイドワインダーなんということを言っているのですが、このサイドワインダーを昭和三十三年度、本年度予算で五千万円でしたか、計上して承認を得ておりながら、品物がまだ着かないというように聞いておるのですが、この点はっきりさしていただきたい。もし着いておらないとすれば、おくれている理由は一体何かということ。それから三十四年度にさらに幾らか計上しているのではないかと思うのですが、この額は一体幾らかということ、それからサイドワインダーに限らず、空対空のミサイル、誘導弾、こういうものが、ほかに三十四年度の予算の中に、どこかから買うとか、あるいは供与を受けるとかいう形で計画が盛られているのかどうか。そういう問題について一つ御説明を願いたいと思う。   [委員長退席、高橋(禎)委員長代   理着席〕
  87. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 サイドワインダーにつきましては、有償援助の形をもちまして、三十三年度に約五千万円で十四発買うという予算が認められております。これにつきましては年度早々、五月の末ですか、事柄は重大でありますという意味で、そういう手続を進めるという了承を得まして、その手続は進めておりましたが、実は有償援助の手続の場合に、顧問団等を通じまして、これはたまだけならば簡単ですが、付属品がいろいろあるわけでございまして、その仕様書を書いて、こういうものを何発、こういうものを幾らというような要請書を出すわけでございますが、その要請書が間違っておったりいろいろなことで手続が少しおくれまして、まだ現物を入手する段階に至っておりません。それともう一つは、向うの方が、当初はいわゆる在庫品があるだろう、それを引き抜いてこれるだろう、数もわずかだからと言っておりましたのが、在庫品を引き抜く順番がなかなかむずかしいというようなこともありまして、今の見込みでは大体秋ごろになるのではないかと思っております。それからサイドワインダーにつきましては、本年度におきましては総発数九十発、総額三億二千八百万円で——前の十四発はまず実験用に使いますが、それをもちまして実戦航空団のパイロットを訓練するために、九十発を入手する交渉をしたい、こう考えております。あとのお話のロケットその他につきましては、86Dに積みますロケットを少し購入することになっております。
  88. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それは何という種類なのですか、その86Dにつけるというのは。
  89. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 86Dは機銃を持っておりません。もっぱらロケットでございまして、マイティ・マウスという名前であります。
  90. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それからもう一つ。今後の防空態勢を整備するためには、有人機と地対空のミサイルの併用が望ましいということを左藤前長官は答弁しておられるのです。この答弁にも関連いたしまして、やはり来年度予算編成の重点事項の一つに、技術開発、特にGM関係の推進ということがうたわれておる。これも私は若干関連性があるのではないかと思う。それからいつかアイローネなどというのが突如として飛び出して、新聞を騒わしたということがあったのですが、一体エリコンとかそういったもののほかに、この地対空の関係でどういった種類のものを今入手する計画をしておるか、あるいは入手しておるか、そういったことを一つ具体的に御説明願いたいと思う。
  91. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 地対空の誘導弾につきましては、先般エリコンを買っていただいて、これが入ってきていろいろ研究をしているわけであります。それとともに、エリコンのアイデア等も取り入れられるものは取り入れまして、日本自体として研究開発を進めておる段階でございます。現在装備用あるいは研究開発用で、エリコン以外のもので具体的にどういうものをどうくれ、そういう計画並びに交渉を行なっているということはございません。かつて二度ほどにわたりまして、研究開発用でございますが、地対空の誘導弾をナイキその他について要請したことはございましたが、それはいろいろの関係で一応ストップのような格好になっております。それ以後特にこういうものを装備用あるいは研究開発用として要請したことはございません。
  92. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そうするとイタリアのスタッキーニ社ですか、それとの契約で買うことになっておりますアイローネはキャンセルになったのですが、これにかわるものは何も買わないのですか、それでもいいのですか。
  93. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 ただいま仰せのアイローネは、変な格好になって非常に恐縮しておるわけでございますが、これは空対空のロケットでございます。さっき申しました86Dに積むマイティ・マウス式のものでございまして、これについては部分々々には技術開発上参考になる大事なものがあるのでございますが、マイティ・マウスも、86Dが入っておりまして、これは有償援助で買える段階になってきておりますので、そういうことを土台にして技術開発を進めて、将来は国産を開発したい、こういう考えでおります。
  94. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは時間がありませんので、項目的にお伺いして参りたいと思います。まず一つは、航空機の事故が非常に多い、こういうことで、これに重点的な予算を使いたいというので、三十三年度は相当大きな予算と債務負担行為の承認を得ておられるのですが、これを承認してもらうことによって、支出することによって、どの程度防止できたかという実績を一つ御説明願いたいと思います。
  95. 小幡久男

    ○小幡政府委員 実績を申し上げます。昭和三十二年八月に航空事故対策委員会を作りまして、そこでいろいろ事故対策を樹立しまして、それに基きまして予算をお願いしてきたわけでありますが、それ以前におきましては件数が百五十五件ございましたのが、三十二年の九月以降に参りますと四十六件に減少しております。機数が相当ふえたにもかかわりませず、ちょうど反対に事故の方は減少して参っております。
  96. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 次に同じように、募集の実績が上らぬ。平均応募率は、三十年度は五・二八倍、三十一年度は四・九四倍、三十二年度は三・七ないし四・四倍というように、毎年々々落ちていく。それでは困るというので、やはり予算を大きくつけているわけですが、この点は実績が上っているわけですか。
  97. 山本幸雄

    ○山本(幸)政府委員 募集の経費につきましては三十三年度と三十四年度では若干減っておる形になっております。本年に入りましてからの応募実績も、三十二年度に比較して非常によくなって参りまして、三十三年度の応募者数は二十一万九千ほどになっておりまして、倍数としては五・六倍くらいになっております。これは募集の諸要件がございまして、主体的な要件もありますし、客観的な要件もありますし、それらが入りまじってこういう結果になったのであります。少くも今年度は地方連絡部を中心といたしまして、相当努力をした結果が実ってきたものと考えております。
  98. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 最後に二つ、一つは毎年防衛庁の予算が消化率が悪い、繰越額が多過ぎるといって問題になっておりました。これが昨年度は少し改善されておったわけでございますが、今年度は一体どの程度の繰り越しになるものか、大体の見通しを述べていただきたいことと、もう一つは在日米軍の実勢力、それから当面わかっておる撤退計画、この二つを伺いたい。
  99. 山下武利

    山下(武)政府委員 最初のお尋ねの繰り越し見込み額でございますが、比較のために三十二年度の繰り越しを申し上げますと、契約未済の繰り越しが約十五億円、その他契約済みの繰り越し、それを全部入れまして契約未済、契約済み合せまして約九十余億円の繰り越しでございます。これはその前の年間に比較いたしまして非常に好転しておるとわれわれは考えております。三十三年度の繰り越しにつきましては、今のところまだ正確な数字を申し上げる段階には至っておりませんが、契約未済の繰り越しは大体昨年程度十五億円前後と考えております。それから契約済み繰り越し合せました全部の繰越額におきまして去年よりも若干好転をいたしまして、今のところは大体八十億前後ではないかと思っております。
  100. 加藤陽三

    加藤(陽)政府委員 在日米軍の実勢力でございますが、昨年十二月末現在の調べしかございませんので、これによって申し上げますると、陸軍は補給支援部隊として約一万人余でございます。海軍は基地部隊及び航空部隊におきまして約一万数千人、空軍は四万人弱となっております。撤退兵力につきましてはまだ正確な通知を受けておりませんが、空軍の方は若干撤退するのではなかろうかというような考えを持っております。
  101. 高橋禎一

    高橋(禎)委員長代理 飛鳥田君。
  102. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 時間がありませんから簡単に伺います。今度市ケ谷の陸軍士官学校跡と麻布三連隊の跡が米軍から接収解除になった、こういうことで、越中島から今の新庁舎に越してきてからまだ二年しかたちませんのに、もう防衛庁の庁舎移転という問題が内部的には出ているそうであります。そして特に三月末の庁議で決定するのだといううわささえ聞くわけであります。一体防衛庁長官は今の庁舎から防衛庁を移転させる御意思があるのかどうか。また同時に移転させるというつもりならば、いかなる理由でどこを選ばれるか、こういうことについて伺いたいと思います。
  103. 伊能繁次郎

    ○伊能国務大臣 お答え申し上げます。官庁庁舎につきましては、御承知のように大蔵省管財局並びに建設省の建設関係等で総合的に計画を立てておりまして、御指摘のように防衛庁を移転して参りましてからまだあまり時間がたっておりませんが、現在通産省が他の建物を借用いたしておるとか、いろいろな官庁街の官庁の総合的な配置、配備等の関係から、政府部内におきまして、先般ハーディ・バラックス、パーシング・ハイツ、市ケ谷並びに麻布の連隊等の場所があきましたので、率直に申し上げまして、通信関係その他各般の関係から、どこが使用することが一番適当であるかという観点に立って協議をいたしました際に、防衛庁がこれを使用することが他に比較してより適当ではなかろうか、こういう意見が政府部内でありまするものですから、当方といたしましてもそれが果して指摘のごとく適当であるかどうかということを目下検討中でございまして、本年度末を目して直ちに決定をするという段階には参っておりませんが、政府部内において防衛庁に対してそういう勧奨のあるということは事実でございます。
  104. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 今最後のお言葉が非常に私重要だと思うのです。政府部内から防衛庁に移転しろという勧奨があるということでありますが、私はやはり自衛隊の内部に、もとの古巣に戻りたいという印象がかなり強いのじゃないだろうか。また同時に国民自身としても、自衛隊がもとの陸軍士官学校跡へ戻ったり、麻布三連隊跡へ戻りますと、またもとへ逆転をしていくような印象をどうしても持たざるを得ないのじゃないか。少くともこれらの庁舎に対しては相当な印象が国民の中に蓄積されているわけです。従って少くとも防衛庁がここへ戻っていくことについては、国民的な感情という点からも考え、あるいは内部的なもとの軍人の人たちが古巣に戻りたいというふうな考え、こういうものも相当考慮をなさらないと非常に危険ではないだろうか。そうしてまた庁舎がそう再々移転をしていくということも私は好ましいとは思わない。通産省が借家をしておるという具体的な実情とこの問題とを、そう軽々に取りかえていいものかどうか。私はそういう点を考えてみますと、この点について相当な御考慮をいただかなければいけないと思うのです。そういう点もお考えをいただいて御決定をいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  105. 伊能繁次郎

    ○伊能国務大臣 さいぜん申し上げました官庁内部の庁舎の総合的な配備の問題でございますので、御指摘のように個人的と申しますか、庁内の意向としては、今の場所についてみな非常に適当であるから残りたいという気持が強いことも事実でございます。これは全体としてただいま御指摘になりましたようないわゆる郷愁的な意味では全くございませんで、政府部内における方面からの勧奨、しかしながらこれは一度ごらんをいただきますとわかりますが、麻布の方は全く新庁舎で旧来の跡形というものは全くございません。市ケ谷の方もその後各種の建物が続々建ちまして、外から見ますとあの数万坪のワクは旧来と同じように見えますが、中は全く違った形でございますが、私どもとしてもこれらの点については慎重に考慮をいたしておりまして、ただいま御指摘のあったような早々にきめるとかなんとかいうことでなく、私自身この問題に関して、政府部内からいろいろな問題が起りましてからも、いろいろな点を考慮して、慎重にどういうように処理することが適当かということを研究中であります。
  106. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 まだ移転に決定せられたわけではありませんから、あるいは杞憂にすぎないかもわかりませんが、麻布三連隊の方をお選びになる場合には、ここに在日米軍顧問団が今おられるわけです。そうなりますと、この在日米軍軍事顧問団が移転をいたしません場合には、同じ庁舎の中に併存する形になるだろう。一緒にいる方が便利だという議論も出てくるかと思いますが、しかし一緒にいるということの便利さが、ちょうど台湾に行ってみますと、蒋介石の隣に軍事顧問団が部屋を持っておって、とたんに指図を受けておるような形になりはしないだろうかということをおそれるわけです。在日米軍軍事顧問団はいかなる場合でも防衛庁の庁舎と同居はしない、こういうことをおっしゃっていただけるでしょうか。
  107. 伊能繁次郎

    ○伊能国務大臣 これは相手のあることでございますから、私から明確な言明をすべき筋合いでもなかろうと存じますが、御指摘の点等につきましては私どもも同様な考え方は持っておりますので、現在まだバーディ・バラックスに移るとかなんとかということについて最終的な決定はいたしておりませんが、万一そういうような形になれば、御指摘のようにこれはおそらく向う側も一緒に住むというようなことについては一応考慮をされると思いまして、われわれの方もその点はできるだけ避けてしかるべき方法をとるのが適当であろう、こういう考え方は持っております。
  108. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 なおこまかいことですが、麻布の場合には東京大学の生産研究所というのが部分使用を申請しているそうですが、この問題ともからめて同じ庁舎の中に二つあるというようなことをお認めになるのでしょうか。
  109. 山下武利

    山下(武)政府委員 東大の生産研究所で御要望になっておりますのは、龍土町の方にあります旧三連隊の跡でございまして、今防衛庁が移ろうという今のお話でありますところは旧一連隊の跡であります。電車道をはさみまして相対しておりまして、地域的には全く別のところであります。名前は同じバーディ・バラックスと言っておりますけれども、全く別の地域でございまして、競合することはないと思います。
  110. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 庁舎の移転については慎重であられんことを望みます。  第二の質問として、最近防衛庁の研究所の方ではミサイルというものの開発に非常に力を注いでいる。これは予算を拝見してもかなり明らかにわかるところです。そういう方向のよしあしは別として、この問題にからんで経団連の防衛委員会というのですか、そういう方向からミサイル開発のために公社を設置する、こういうような意見がしばしば出ておるそうであります。アメリカなどを見ましても一社、一会社がミサイル開発のために莫大な設備投資をすることを不利益としまして、政府が公社を結成し、この公社によっていろいろな工場あるいは生産手段等を提供して、研究を続けさせるという方法がとられているかと思いますが、日本でも今そういう要求が経団連の方から通産省あるいはあなた方の方に出ているかと思いますが、防衛庁としては将来ミサイル開発のために公社を設置するというような方向を考えておられるかどうか。もしおられるとすれば、どういう具体的な腹案を持っていらっしゃるのか、伺っておきたいと思います。
  111. 伊能繁次郎

    ○伊能国務大臣 ただいまの御指摘の点につきましては、巷間伝えられるところ私もさような話を聞いておりますが、まだ防衛庁に何ら経団連の防衛委員会でありますか、その種の委員会から公式の申し入れはございません。われわれとしては今後これを従来のように役所として助成的な方法によって開発していくという方法をとるか、まだ内容を全然見ておりませんのでわかりませんし、いわゆる経団連の当該部局が主張する公社的なものがどういうものであるかということも、私ども実際にその書面その他の内容を見ておりませんので、一がいにお返事はできかねるところでございますが、私どもとしては今のやり方についても別段支障はないと考えておりますので、もしそういう申請が出ましたら、その暁においてこの問題を取り上げて処理したいと思います。
  112. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 これはさらでだに防衛予算というものが増大をしていって、非常に国民生活の上にも影響を及ぼしつつある段階でありますので、もしまたこういう形で何らかの政府資金を出していくというようなことになりますと、これは非常に重要な問題じゃないだろうか、こう考えられますので今お伺いをしたわけでありますが、そういう傾向はただ単にミサイル開発のための公社設置という問題だけではなしに、最近あなたも御出席になったかと思いますが、日米兵器工業会が合同の委員会を開かれた、こういうお話も伺うわけです。その会談が第一回でありますので、具体的にどこまでのお話し合いを進められたかは私たちは知りませんが、しかしアメリカの兵器工業会と日本の兵器工業会とが手を握って、ますます兵器生産についての負担部分を政府あるいは国民の予算におおいかぶせていく傾向をとるだろう。すなわちそのうちの一つが公社設置という傾向ではないだろうかというふうにわれわれには思われるわけです。これはまだあなたはお聞きにならないというお話でありますから、これ以上議論をしても仕方がありませんが、私は公社を設置してそういうものを援助していくとか、あるいは日米の兵器工業会がお互いに握手をして、政府予算あるいは政府の資産の中に寄りかかってくるような方向については、厳重にこれを監督していただかなければならぬと思います。この点についていかがでしょうか。
  113. 伊能繁次郎

    ○伊能国務大臣 防衛産業と一がいに申しましても、これは一般の重工業、一般の化学工業、その他一般のいわゆる科学技術の水準を基礎といたしたものでございますので、それらの点につきましては主管の通産省あるいは経済企画庁、もしくは原子力の平和利用というような観点から、科学技術庁等において、一般の日本の科学技術の水準の向上に関する助成、奨励の措置はとっておりますが、私どもとしてはわれわれが防衛上特に必要なものについて試作、開発等についての所要の予算を計上いたしておりまするわけで、防衛庁自身がそういった方向にまで、特に一般産業的なものへ、それが防衛関係があるということから特段の助成の措置を講ずるというようなことは、現在のところ私どもこれは一般行政にまかすべきことで、防衛庁としては考えておりません。
  114. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 そうおっしゃるわけですが、今石橋さんもお聞きになりましたようにF86Fの生産はスロー・ダウンをしてきた。同時に次期戦闘機のFXは未決定だ、こういうようなことから日本の航空機工業の中に約二年間くらいの空白期間が生じてくる、こういうようなことを考えられて、防衛庁の方ではその間の空白をどう埋めてやるかということに、かなり苦慮せられておるように私たちは思うわけです。そしてその苦慮の結果が、部品の整備とか、あるいはC46ですか、輸送機を整備するとかいうような方向で空白期間を埋めてやる、こういうことをお考えのようであります。しかしC46などという飛行機が今までの国会の幾つかの論議、そこに提出をされた事実によっても、ほとんど言うに足りない飛行機であることは明らかだと思う。ところがそういうものを特に注文をしてやることによってその期間を埋めてやるというやり方は、これは明らかに国民の負担においてそういう航空機産業を守ってやることになるのではないかと私は思うのです。何も無理して日本の航空機工業をわれわれの予算で守ってあげる必要はないのではないか、そういう点からも先ほど申し上げたような危険を私は非常に感じるわけです。こういう航空機工業が、一般の民間が使うような旅客輸送機のようなものを作っていくというようなことであるならば、政府としてある程度の予算を投入するなり、あるいは援助をするなりすることは私は可能だと思います。そして国民もこれを認めると思います。しかし今の日本の航空機会社というものは、ほとんど防衛庁に納める戦闘機とかその他の戦闘用の飛行機しか作っていない。あるいはヘリコプターを作っているとおっしゃるかもしれない。そういう点でこれを援助、助成していくことが果してどんなものか、こういうことを感ぜざるを得ないわけです。この点についてどうでしょう。
  115. 伊能繁次郎

    ○伊能国務大臣 私どもとしては今のC46のお話がありましたが、今回政府で考慮せられましたのは中型輸送機の問題でございまして、これについてはただいま飛鳥田委員御指摘のような一般民間産業助成という観点すなわち航空機工業の水準を向上するという観点に立っておると思いまするが、またFXの未決定による問題、さらにF86Fのスロー・ダウンの問題等につきましては、私どもとしては全く経済コマーシャル・べースにおいてやっておりまして、相手方に異常な損害を及ぼすことに関しては最小限度にとどめたいという問題、さらにまた率直に申し上げまして、将来の航空機産業の維持ということについて、防衛庁としてコマーシャル・べースでやり得る範囲のものはやっていかなければならぬと考えますが、一般のものについては通産省において明確に、科学技術の水準向上の観点から助成の措置をとるのが適当であろう、政府全体としてはさような考え方で進むつもりでおるわけであります。
  116. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 それでは次の問題に移ります。小さな問題ですが、今防衛庁の持っておる銃砲弾の備蓄は一体どの程度のものがあるのか、あるいは燃料はどの程度お持ちなのか、伺いたいと思います。
  117. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 銃砲弾につきましては御存じかとも思いますが、供与によりまして相当たくさんの銃砲弾の供与を受けております。現在メートルトンで言いまして十一万一千八百十トンばかりでございます。ただこれは弾種別に相当のアンバランスがございますので、訓練射粍弾に足りない分だけは逐年ほんのわずかずつ発注しております。燃料につきましては各種の燃料がございますが、艦船に使います重油関係は割にたくさん持っておりまして、平時使用の大体六カ月分ぐらいです。それから自動車ガソリン、航空ガソリンは平時使用の大体三カ月分ぐらい、ジェット燃料はタンクの関係もありましてほとんど備蓄はございません。ただ今回呉にあります吉浦のタンクを防衛庁が使えることになりましたので、これに予算の許します範囲内において逐次備蓄をしてノーマルな程度の、現在は運転操作用にも事欠く程度でございますので、運転操作用程度のものはためて参りたいと考えております。
  118. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 今のお話はよくわかりましたが、銃砲弾などについてもたくさんあるもので六カ月分ぐらい、あるいは三カ月分以上保有しているものは少いという話を私は聞くわけです。それから燃料、すなわちガソリンについても、航空機いわゆるジェットに対してはほとんど備蓄はないし、一般の飛行機についても平時の三カ月分ぐらいだというお話です。もしそうなれば、私は非常な疑問を持たざるを得ないわけです。一体平時の六カ月分や三カ月分ぐらいのものを、銃砲弾にしても燃料にしても持っておって、そんなことはないと思いますが、もし戦時に至ったらこれは一カ月分をまかなうに足りないだろうと思います。私はしろうとですけれども……。もっと少いかもしれない、十日分ぐらいしかまかなえないかもしれない。もしそうなれば、ガソリンがなくて飛行機が飛べない、撃ちたくてもたまがないわけです。そうなりますと、そのガソリンやたまを供給してくれるのはだれでしょう。これはアメリカでしょう。そうなりますと、どんなに自衛隊が自主独立などと口でおっしゃっても、現実には燃料を補給してもらう、アメリカさんにあごで指図をされざるを得ないわけじゃないでしょうか。もう撃ちたくてもたまがない、それではおれたちと一緒に戦うのならば、おれたちの言うことを聞くのならば、たまを補充してやろう、燃料も出してやろう、こういうところにあなた方がいつも口癖のようにお使いになっている共同防衛という言葉が出てくるのだろう、こう私たちは邪推せざるを得ないわけですが、一体そういうことで日本自衛隊自主性というものが保たれていくのか、こういうことを長官に伺っておきたいと思います。
  119. 伊能繁次郎

    ○伊能国務大臣 御指摘のように、しばしば御論議をいただいておりまするが、日本の国力ではなかなか有事の場合をも十分に考慮した備蓄、装備をいたしかねていることが現状でございますので、私どもとしては逐次そういったものについて御指摘のような、当面有事の際に直ちに必要とするものにつきましては、できる限り国内の貯蔵施設等につきましても、米軍の返還その他の措置等によってこれをまかないたい、かように考えておるわけでございまするが、一朝有事の際におきましては、御指摘のごとくそう長い期間を独力でまかなうということはとうてい困難なことは御指摘の通りであります。そのために日米安全保障条約あるいは国際連合等に加盟いたしておるわけでありますが、これらの問題につきましてもさいぜん外務大臣がお話しいたしましたように、今後は双務的な関係で、お互いに十分話し合いによって万全の措置をとるという形を新しく条約の中に入れるということで、全体の解決をしていきたい、かように考えております。
  120. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 日米安全保障条約に加盟しているのは、そういう燃料だとかなんとかを売ってもらうためではないのだろうと私は思っておったのですが、そういうところに日米安全保障条約の重点があるというのは今初めて伺いました。今の長官のお話ですと、すぐはできないけれども今にというお話ですが、これはたしか今から四年くらい前であったと思いますが、辻委員が燃料はどうだといって質問をいたしましたときに、木村篤太郎長官は胸を張って三カ月分あります、こうおっしゃったと思います。三カ月分よりも今の方がむしろ悪くなっている。四年の歳月というものは、ちっとも問題を解決してはいないというふうに私は感ぜざるを得ないわけです。同時に、それはそれとして、それではそういう時期がくるまでは、アメリカにのど首をぎゅっと握られてしまって、自由にあやつられる軍隊ということにならざるを得ないと思うのです。そういう現状をお認めの上でそういうふうにおっしゃられたのかどうか。今お話を聞いていますと、ピストルは買ったけれども、たまはまだ買っていないのだ、こういうことのような感じがいたします。そういう点で、経済的なあるいは装備の点から日本自衛隊というものが、いかにアメリカによって死命を制せられておるか、従って動かんと欲するならば、その命令に従わざるを得ないような仕組みになっていることを、あなた方はもっと率直に国民に対してお示しになる必要があるのじゃないか、こう私は思いますが、いかがでしょう。
  121. 伊能繁次郎

    ○伊能国務大臣 これは御意見は御意見として拝聴いたすわけでありますが、われわれの防衛計画といたしましては、備蓄の問題ももちろんできるだけすみやかに整備をしていかなければならぬと思いますが、先般木村長官がお答えしました当時と現在において特段に減っているというようなことは私どもとしてはない、かように考えております。日米安全保障条約、国際連合憲章加盟盟約国であるという観点は、もちろん油や弾薬のためにあるわけではなくて、日本の安全と独立を守り、あわせて世界の平和に寄与する根本の趣旨のものでありますが、御承知通り自衛隊は発足いまだ決して日長いという状況にありませんので、御指摘の点等については、いろいろと欠陥もあることを私どもはみずから認めざるを得ないとは思っておりますが、これは今後国会その他世論の御援助を得て、十分とまではいかないにしましても、ある程度の力を持ち得て処理していきたいというのが私どもの強い願望でございます。
  122. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 この問題にからめて、あなた方は先般ドレーパー委員会日本に来られたときに、いろいろな要請をなすったと伺っておりますが、そういう要請がほとんど今度はいれられない。今新聞の伝えるところによりますと、年間一億ドルくらいのものが四千万ドルくらいになってしまうということでありますが、なぜこんなにあなた方の要求がドレーパー委員会によってけられたのか、その点について思い当る節はおありでしょうか。
  123. 伊能繁次郎

    ○伊能国務大臣 実はこの問題につきましては、私ども事態も重要でありますので、アメリカ関係責任者にもさっそくお尋ねをしたわけでありますが、御承知のように単なる新聞記事ということでありまして、アメリカの在日の責任者の人々も何ら公電に接しておらない。また先般のドレーパー・ミッションにおけるわれわれの会同における内容から見ても、特段にかようなものが減るというようには自分たちも理解しておらない。従って、いずれ詳細な内容が来ることと思うので、その上で善処をするようにいたしたい、かように考えておるわけでございまして、私どももこの点について、四千万ドルとかなんとかいうような内容につきましては、新聞紙上でどういう形で現われたかということについては詳細知るところではありませんので、事態が重要でありましたから、私自身もこの問題については非常に心配をして、目下事態の究明に努力をいたしておる次第でございます。
  124. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 もし対日軍事援助が削除されるような場合には、今年度の予算を前提とした対日軍事援助の額がくずれるので、当然来年度予算に影響してくるというようなお話が参議院においてあったそうであります。それはそれとして、新聞の伝えるところによりますと、日本が相当程度防衛力の強化をはかるか、あるいは攻撃用ミサイルなど、核兵器に対する現在の立場を変えることをきめるとするならば、というふうに書いてあるわけです。こういう点について、新聞の伝えるところは、あなたの関知するところではない。それはけっこうです。一体ドレーパー委員会が参りましたときに、日本防衛について、まさかお茶を飲んでにやにやと笑っただけではないでありましょうから、いろいろお話し合いになったはずです。そのときに日本防衛がどの程度に将来行われるのか。すなわち日本防衛計画について、相当詳しくお話しになったはずです。これはお話しにならなければ、軍事援助を要請する余地はありませんから、そういう防衛計画の将来についてお話しになった。それがやはり相当程度という問題とからんでいると思うのであります。向うでは、この程度までやってもらえないかという希望があったと、これも想像するわけですが、そういう点についてお話し合いはなかったのでしょうか。  さらにもう一つ、日本が将来攻撃用ミサイルなどを持ってほしいというような希望が向うからあったのかなかったのか。
  125. 伊能繁次郎

    ○伊能国務大臣 この問題はきわめて大切な問題でありますので、私から事態の経過を明らかにしておきたいと存じます。  第一段といたしまして、御指摘の軍事援助を増減の条件として、核兵器もしくは特段の装備をすれば減らさないとか、ふやすとかいうようなことが新聞に伝えられておる。この点につきましては、私就任当時はもちろんでございますが、その前からも軍事援助についてさような条件が付加せられておるという点は万ないということを明確にいたしておきたいと存じます。  ドレーパー・ミッションにつきましては、御指摘のように約二時間有余にわたりまして、私ども防衛の現状並びに軍事援助の日本の国力、国情から判断して、軍事援助の継続の必要性というものについて、私並びに関係の責任者から、るるドレーパー委員会に報告かたがた折衝いたしました。一方ドレーパー委員長自身は、自分たちの委員会は、大統領に、アメリカと経済援助もしくは軍事援助の関係にある締約諸国間を回って、軍事援助その他の関係がいかに能率的に、あるいはそうでない状態において行われておるかということを調査するのが目的であって、自分たちにそういった要求をされるということは一応見当は違うのだ。しかしながら日本のそういう希望の趣旨はよくわかったから、それはしかるべき機関へ伝えましょう。かようなことで、私自身は将来の日本防衛産業のあり方等の関連からかんがみましても、ここ五年程度は、軍事援助はできるだけ従来通りいただけるように、ごあっせんその他御援助が願いたい、こういう話をいたしましたが、今御指摘のような、これこれの条件があればどうこうというようなことは一切なかったということを申し上げておきます。
  126. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 ドレーパーミッションに防衛力の現状について説明をしたということしかおっしゃらないのですが、防衛力の現状について説明をすると同時に、今後の防衛の目標、計画、そういうものはお示しにならなかったのですか。そうして将来の防衛産業のために、こうおっしゃる以上は、当然そこに防衛計画というものが前提になければそういうことは言えないだろう、こう思うわけですが、防衛計画については一切お触れにならなかったのかどうか。
  127. 伊能繁次郎

    ○伊能国務大臣 申し忘れまして恐縮でございますが、当面の三十五年度、航空機の一部につきまして三十七年度の防衛目標につきましては、詳細に説明をいたしました。それで時期の問題につきましては、まだ鋭意研究中であるから発表する段階でない、かように申し上げた次第であります。
  128. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 私たちが防衛計画について伺うと全然とぼけてしまって、いざドレーパー・ミッションが来ると、今お話のように、かなり詳細にお話しになるというようなことについて、私たちは非常な不満を感ぜざるを得ません。同時にまた今年度、明年度だけの防衛計画というおっしゃり方をしておられましたが、そういうこと自身がナンセンスだと私たちは考えます。一刻も早く国民に批判を許すために、批判を自由にさせるために、そうした詳細な防衛計画を御発表になることを私は求めます。しかしこの点についてこれから議論をしましても、もう時間がありませんし、水かけ論でしょうからここでとめますが、今度はこまかい問題として統幕会議の権限が強化されるというような法案が出るという話を伺っておりましたが、この問題についてどうお考えになるのでしょうか。  同時にもう一つ続けて伺っておきますが、今度は対島に監視隊を作るというお話ですが、これが北鮮、南鮮を目標にしたものでないということを最初に断わっておられますが、しかしこの点についてそういう注釈をつけてきたところで、やはりそう解釈をせられるということは当然だと思いますが、この点についても御意見を伺っておきたいと思います。
  129. 伊能繁次郎

    ○伊能国務大臣 今回御審議を願っております二法案提出の経過におきましては、いろいろと防衛庁内において論議を重ねまして、その一部として統幕機構を総合調整の機関として一そうその形態を明確にし、強化するというような点も考えたことも事実でございましたが、これらの点につきましては、全体的にそういった問題については防衛庁の自衛力の整備と相待って、今それだけをやるという問題よりも、さらに十分検討を遂げた上で明確な案を御審議を願うのが適当である、かように考えまして今回は取りやめた次第でございますが、その内容についても今後十分検討した上でいずれ御審議を賜わりたい、かように考えております。  それから対島の問題でございますが、これは対島に海上レーダーの施設を設けるということで、部隊を設置するという状況でございます。
  130. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 最後に、有償援助協定はもう調印をせられたと思うのですが、調印をせられましたならば、われわれに資料として後ほどお示しいただきとうございますし、もしそれが調印前でありますならば、いつごろ調印をせられるのか、一つお聞かせいただきたい。以上です。
  131. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 大して実質的には問題ありませんが、閣内、各省との調整がつきかねるところがございまして、まだ進んでおりません。遠からず話し合いがついてきまると思います。
  132. 高橋禎一

    高橋(禎)委員長代理 しばらく休憩いたします。午後二時より再開することといたします。     午後一時二十五分休憩      ————◇—————   [休憩後は会議を開くに至らな   かった]