○茜ケ久保委員
政務次官の御
答弁はわかるのです。わかるのですが、しかしやはり
地方自治体というものをほんとうに名実ともに育成するためには、財源が一番大事だと思うのです。たとえば
先ほどの
官房長の
答弁を聞いておりまして
感じますことは、
自治省にしたいということは、閣内における
発言ないしは
地方自治体を育成するための
自治庁としての
仕事の内容等から、
自治省にしたいという
考え方があります。それもわかりますけれ
ども、私
どもが非常に不安に
感じることは、今のような
地方自治体の財源の実態において、もし
自治省というものができて、
中央で強力なものができますと、昔の内務省式になってくることは当然である。
地方自治体を育成強化するという美名のもとに、実質的にはいわゆるかっての
中央官庁の出先
機関である県になるということを含んでいるわけです。そこに私
どもが簡単に
自治省に対して賛成できぬ理由がある。そこで、今の
政務次官の御
答弁はよくわかるのではありますけれ
ども、私は日本がほんとうに民主主義的に発達していく過程においては、今の自治体を財政面からも強い
発言力と、また自治体としての自主的な運営のできる面に持っていっていただかぬことには、おそらくはなかなか容易ではないと思う。そこで今あなたのおっしゃった富裕県とあるいは貧弱県がございます。これは現実にあるのでございますから、私はそう言っていただいても別に難はないと思う。しかし今の国に全部吸い上げて、国が実権を持って、国の言うことを聞かない県は出さぬとはおっしゃらないけれ
ども、
先ほど受田君も指摘したように
知事選挙なり、市長
選挙のときに、
総理大臣やいわゆる
政府側の方に行っていただいて応援なさる。私はこれはいけないとは言いません。けっこうです。けっこうですが、そのこと自体が自治体の
住民に、何か
政府の側につかなければ損をするのだという
考え方が浮ぶのは、今の自治体に対する国の
方針というものが、今や財政的な面で裏づけがないところにあると思うのです。これは五割くらいの財源を持っておれば、何も
総理大臣が来ようと、あるいは
中央の
大臣が来ようと、
住民にとっては大した問題じゃないと思う。遺憾ながら全支出の一割くらいしか収入を持たぬ府県やその他の自治体というものは、やはり何か
中央の政治とつながらぬと
自分の自治体がどうにもならぬということを直感するわけです。そこに問題があると思うのです。そこで、私が
政務次官にいわゆる五割なら五割の財源を確保しなさいと言うことが無理だということは承知しております。承知しておるけれ
ども、そういうことに全面的な努力がなされぬことには一向進歩しないです。私は残念なから今の
中央の政治においては、それがなされてないと思う。それに対していろいろな難点、問題はございましょう。問題はあろうけれ
ども、
地方自治体が五割限度くらいのものを持つということが前提であるならば、それに近づくためのいろいろの
検討なり、いろいろの努力がなされて、一歩々々積み重ねていくものがなくちゃならぬ。ところが戦後十数年何ら変らない。むしろ逆行する面も出ております。これでは相ならぬと思う。そこでこれは
官房長もそうだが、ただ単に
自分あところの官庁を庁から省にするという努力もけっこうだけれ
ども、
地方自治体がこんな実態では、あなたのところは幾ら省になってもだめです。
地方自治体をしっかり固めて、少しぐらい
中央の政治が変っても、
地方自治体は厳として
自分たちの
自主性をもって運営していける基礎を作らなければいかぬと思う。これがなかったら私は
意味がないと思う。これに対する御意見と、今後どのような具体的な努力をするか——私は努力をする面があると思う。
政務次官と
官房長と両方
答弁を願いたいのであります。