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1959-03-05 第31回国会 衆議院 内閣委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月五日(木曜日)     午前十時五十七分開議  出席委員    委員長 内海 安吉君    理事 岡崎 英城君 理事 高瀬  傳君    理事 高橋 禎一君 理事 平井 義一君    理事 受田 新吉君 理事 木原津與志君       今松 治郎君    植木庚子郎君       纐纈 彌三君    始関 伊平君       田村  元君    富田 健治君       橋本 正之君    保科善四郎君      茜ケ久保重光君    中原 健次君       八木  昇君  出席政府委員         内閣官房長官 鈴木 俊一君         内閣官房内閣審         議室長内閣総         理大臣官房審議         室長      吉田 信邦君         法制局次長   高辻 正巳君         自治政務次官  黒金 泰美君         総理府事務官         (特別地域連絡         局長)     石井 通則君         総理府事務官         (自治庁長官官         房長)     松村 清之君         大蔵事務官         (大臣官房長) 石野 信一君  委員外出席者         宮内庁長官   宇佐美 毅君         専  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 三月三日  旧軍人関係恩給加算制復元に関する請願(大  平正芳紹介)(第一八二六号)  同(田中角榮紹介)(第一八二七号)  同(福家俊一紹介)(第一八六九号)  同(高瀬傳紹介)(第一九二一号)  寒冷地手当増額に関する請願外十九件(羽田武  嗣郎君紹介)(第一八二八号)  同(竹内俊吉紹介)(第一八六七号)  同外五十四件(三和精一紹介)(第一八六八  号)  同外一件(石山權作君紹介)(第一八九七号)  同外二件(栗林三郎紹介)(第一八九八号)  同外三件(笹山茂太郎紹介)(第一八九九  号)  同外四件(鈴木一紹介)(第一九〇〇号)  同(飯塚定輔紹介)(第一九八三号)  同外一件(木村武雄紹介)(第一九八四  号)  同(纐纈彌三君紹介)(第一九八五号)  同外四件(笹山茂太郎紹介)(第一九八六  号)  同外四件(柳谷清三郎紹介)(第一九八七  号)  文官恩給調整に関する請願平井義一紹介)  (第一八二九号)  同(藤枝泉介紹介)(第一八三〇号)  同(田中龍夫紹介)(第一八六二号)  同(津島文治紹介)(第一八六三号)  同(福家俊一紹介)(第一八六四号)  同(片山哲紹介)(第一九一四号)  同(阪上安太郎紹介)(第一九一五号)  同(鈴木茂二郎紹介)(第一九一六号)  同(粟山博紹介)(第一九一七号)  同(田村元紹介)(第一九九三号)  同(大野市郎紹介)(第二〇二四号)  同(中川俊思君紹介)(第二〇二五号)  召集旧軍人関係恩給加算制復元に関する請願  外一件(平井義一紹介)  (第一八三一号)  同(福田篤泰紹介)(第一八三二号)  同(保科善四郎紹介)(第一八六六号)  同(園田直紹介)(第一九一八号)  同(賀屋興宣紹介)(第一九九〇号)  同(鈴木正吾紹介)(第一九九一号)  同(坊秀男紹介)(第一九九二号)  同(黒金泰美紹介)(第二〇二六号)  恩給法の一部改正に関する請願池田清志君紹  介)(第一八五〇号)  同(川野芳滿紹介)(第一八五一号)  同(中馬辰猪紹介)(第二〇二七号)  恩給法の一部を改正する法律案の一部修正に関  する請願今井耕紹介)  (第一八五二号)  同(小川半次紹介)(第一八五三号)  同(大久保武雄紹介)(第一八五四号)  同(高瀬傳紹介)(第一八五五号)  同(竹内俊吉紹介)(第一八五六号)  同(津島文治紹介)(第一八五七号)  同(坊秀男紹介)(第一八五八号)  同(松岡嘉兵衛紹介)(第一八五九号)  同(粟山博紹介)(第一八六〇号)  同(山下春江紹介)(第一八六一号)  同(内田常雄紹介)(第一九〇一号)  同(大野市郎紹介)(第一九〇二号)  同(大橋武夫紹介)(第一九〇三号)  同(亀山孝一紹介)(第一九〇四号)  同(始関伊平紹介)(第一九〇五号)  同(關谷勝利紹介)(第一九〇六号)  同(橋本龍伍紹介)(第一九〇七号)  同(福井順一紹介)(第一九〇八号)  同(福井盛太紹介)(第一九〇九号)  同(増田甲子七君紹介)(第一九一〇号)  同(三田村武夫紹介)(第一九一一号)  同(渡邊良夫紹介)(第一九一二号)  同(亘四郎紹介)(第一九一三号)  同(今松治郎紹介)(第一九八八号)  同(纐纈彌三君紹介)(第一九八九号)  同(金丸信紹介)(第二〇二〇号)  同(正力松太郎紹介)(第二〇二一号)  同(平野三郎紹介)(第二〇二二号)  同(南好雄紹介)(第二〇二三号)  紀元節復活に関する請願田中彰治紹介)  (第一八六五号)  上山市の寒冷地手当引上げ等に関する請願(黒  金泰美紹介)(第一九一九号)  同外一件(西村力弥紹介)(第一九二〇号)  金鵄勲章年金及び一時金復活に関する請願(柳  谷清三郎紹介)(第一九九四号)  建国記念日制定に関する請願外二件(纐纈彌三  君紹介)(第一九九五号)  同(柳谷清三郎紹介)(第二〇二八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  総理府設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第七〇号)  経済企画庁設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第七一号)  大蔵省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第七二号)  厚生省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一二九号)  自治庁設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一二六号)  南方同胞援護会法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一三七号)  日本国憲法第八条の規定による議決案内閣提  出、憲議第一号)      ————◇—————
  2. 内海安吉

    内海委員長 これより会議を開きます。  自治庁設置法の一部を改正する法律案を議題となし、質疑を許します。受田新吉君。
  3. 受田新吉

    受田委員 きょうは自治庁設置法改正につきまして、できればこの委員会でこれを成立せしめたいという誠意を示しておるわけでありまするから、与党諸君ももの静かに耳を傾けてお聞き取り願いたいと思います。そこできょうは自治庁という役所の性格から論じて、今回の改正点に及びたいと思います。自治庁という役所は一体どういう任務を持っている役所か。これは自治庁設置法にちゃんと書いてある。また地方自治法にも地方自治精神もはっきり示されておるわけですが、最近の自治庁のやっておられるお仕事を拝見しておりますると、どうも地方自治の総元締めとしての任務を多少曲げられておる向きがあるのじゃないかという不安があるわけです。何となれば現に都道府県、市町村という、財政的にも窮迫した実情にある地方公共団体に対する権力的な形での態度が、ほのかに見え始めておる。自治庁という役所権力機関というよりは、地方自治を育成するという機関であると思う。そういう意味から私はここで、政務次官おいでになるので官房長とお二人にお尋ねしたいのは地方自治精神からいって、地方公共団体首長公選にしている意義はどこにあるのか、そこを一つお答え願いたいわけです。
  4. 黒金泰美

    黒金政府委員 大へんむずかしい御質問でありますけれども、われわれが通俗的に解しておりますところでは、やはり地方自治団体でございますから、その地方自治団体を構成している住民が、自分が最も適当であるという人を直接に選ぶことが一番地方自治に対していいだろう、こういう見地でもって公選をして首長をきめておる、このように理解をいたしております。
  5. 受田新吉

    受田委員 そうしますと地方公共団体自主性とか民主性とかいうものを尊重する形という地方自治法第一条の精神を具体化させるための一つの方法だ、かように了解してよろしゅうございますか。
  6. 黒金泰美

    黒金政府委員 その通りと存じます。
  7. 受田新吉

    受田委員 地方公共団体自主的運営ということにおきまして、公選制の大きな長所は、中央政治とのつながりにおいて、中央政治の直接の支配からのがれて、地方住民の真の幸福、地方自治の健全な発達という意味公選意義がある、かように了解してよろしゅうございますか。
  8. 黒金泰美

    黒金政府委員 今お話のございましたように、地方自治団体首長でございますから、地方自治団体として適当な人物をお選びになるのであって、国の政府と必ずしも一致するものではない、このように理解をいたしております。
  9. 受田新吉

    受田委員 最近における地方首長選挙市町村選挙に至るまで、政党においては幹事長陣頭に立ち、政府においては総理陣頭に立っておる。そして地方選挙政府つながりがある、政府と同じ立場地方行政をする首長が適切な仕事ができるのだということを、党の方針としても幹事長選挙対策ではっきり言明しておられるし、地方演説においてもそういう演説をされて住民に訴えておられますが、中央政府つながりがある首長住民の幸福であるというこの見解に対して、あなたはどう判断されますか。
  10. 黒金泰美

    黒金政府委員 地方団体首長を選ぶ選挙民も、国会議員を選ぶ選挙民も同じなんでございますから、普通の場合ならば国の与党の方が地方選挙においても勝つのが普通ではないかという感じがいたしますけれども、しかし個個具体的な場合におきまして、必ずしも国会の総選挙でもって勝った党派の者が地方団体首長で勝つとはきまらない。従いまして食い違いのある場合が起り得ると思います。現に起っておるところもございます。ただ、ただいま御質問の点でございますが、われわれの実情におきまして、たとえば交付税算定をいたす、あるいは補助金の問題をきめる、あるいは起債の認可をするという場合におきまして、今の政府与党立場の違う首長を持っております地方公共団体に対して、差別をつけて仕事をしたこともございませんし、また今、後差別をつけようという気も全然ございません。
  11. 受田新吉

    受田委員 あなたの答弁ははなはだりっぱな答弁なんですが、そうしますと政府与党に都合のいい、その立場をとる首長が当選すれば住民は幸福であるという総理以下の御説明は、これは誤まっておりますか、いかがですか。
  12. 黒金泰美

    黒金政府委員 それは、少くともわれわれに対して総理からそういう御命令のあったことも、御指示のあったこともございませんし、また与党幹部からそういう御命令があったこともございませんし、私どもは今申し上げました見解で今後ともに仕事をいたしていく考えでおります。
  13. 受田新吉

    受田委員 これは総理に来てもらわなければなりませんが、非常に重大なことになったわけです。われわれは党の幹部のそういう方針地方における演説の内容をつぶさに伺っておりまして、政府与党に連係のある首長仕事ができるのだ、つながりのない者は仕事ができないのだ、こういうことに対して自治庁としてはそれは間違いである、そういうことは事実ないということを今言われたわけです。事務当局としても、中央にある政府と同じ、たとえば現在では自民党知事交付金獲得をするにしても、補助金獲得をするにしても、社会党知事よりも条件がいいということは全然考えていないかどうか、一つお答え願いたい。
  14. 松村清之

    松村政府委員 事務当局といたしましては、行政を執行するに当りましては法令規定予算規定に基き、また全体に奉仕する公務員としての心がまえで事を処するのでございますので、自民党出身知事だからとか、あるいは社会党出身知事だからということで差別をするようなことはございません。
  15. 受田新吉

    受田委員 事務的な取扱いはそれとして、時に交付金算定基準あるいは補助金額等において、政治的に多少の色をつけるという場合があり得るかどうか、あるいは全然ないかどうかを事務当局政務次官の両方からお答え願います。
  16. 黒金泰美

    黒金政府委員 交付税は御承知の通り法律に基きまして、またその下にあります政令なりあるいは総理府令に基いて機械的に算出されます。特別交付税の点で若干いろいろな配慮を加え得る余地もございますけれども、しかし加えました際におきましても、今仰せになりましたようなことで差異をつけておったことはないと私は考えております。
  17. 受田新吉

    受田委員 事務当局の御見解を伺います。
  18. 松村清之

    松村政府委員 各省によって、ものによって違うと思いますけれども、事柄によりまして多少裁量の余地のつくような場合においては、お説のようなことがないこともないでございましょうけれども、全体といたしましてはさようなことはなかろうかと存じます。
  19. 受田新吉

    受田委員 今の最初のところが大事なところですが、多少差異があり得る場合というのは、いかなる場合でしょうか。
  20. 松村清之

    松村政府委員 個々の具体的な例を示せと言われてもちょっと示しかねるのですが、行政の性質によって、あるいは補助金等交付の種類によりましては、そういうものもあろうかと推量しているわけでございます。
  21. 受田新吉

    受田委員 推量ではいけないわけです。事務当局も長い間事務をされているうちに、たとえば大臣からこうせよというような命令をされるような場合に、それに従わなければならないかどうか。あるいは総理とかほかの有力な閣僚の諸君から、ここをこうしてやれ、補助金はここにこうせよというので、与党から出た知事のところに特にそういう補助金の配分をふやすとかいうような措置を正要求されたようなことがあるかないか、そういう際にそれを引き受けておるかどうかということです。具体的な実態に触れてお尋ねをしたいのです。
  22. 松村清之

    松村政府委員 私直接そういう仕事に携わったり、あるいはそういうことで上司から指示を受けたことはございません。それはたくさんの仕事の上に、あるいは長年の年月の間に、あるいは大臣の良識の程度のいかんによりましては、そういうことも若干あったのではなかろうかと思いますけれども、しかし私ども事務当局といたしましては、そういう指示がございましても、先ほど申しましたように法令規定予算、全体に奉仕する公務員立場、そういうもので判断をしてやっていって参っておるわけでございまして、しかし公務員法にも書いてございますように、そういう範囲内においては適正なものであれば上司命令に従うことが要請されております。そういう意味で全くないということは言い切れないと思いますが、たびたび申しますように、全体的にはそういうものはごくわずかな例外的なことであると私は考えておるような次第でございます。
  23. 受田新吉

    受田委員 自治庁事務当局に長くおられた松村さんの説で、そういうことはきわめてまれな例であって、普通はそういうことはないということでありますが、そのきわめてまれという例が重大だと思うのです。つまり大臣の政治的な発言で、特定のところへ措置を命じたような場合に、上司命令であるという場合に、公務員側の方としてはこれは筋が通らない、公平を期する上からこれは政治的な意味があるという場合には、これはあなたは政治的な意図を持っておられるのじゃないかということを強力に進言するということはやっておられるか。
  24. 松村清之

    松村政府委員 それは事務当局といたしましては、最大のできるだけのことを申し上げてはおります。
  25. 黒金泰美

    黒金政府委員 私補足して申し上げたいと存じますけれども、私が自治庁に参りましてまだ一年にもなりませんが、私の率直な印象を申し上げますると、少しかたくななくらいにがんこなのが自治庁のお役人のような感じがいたします。理屈を非常にこねまするし、法規に照してなかなか言うことを聞かないというのが、自治庁役人の土性骨じゃないかと私はひそかに敬意を払っておるのでございますが、従いまして私が、そうおっしゃるまれな例にぶつかっておりませんものですから、よくわかりませんけれども、もしそういうまれな例がありましても、非常な抵抗を示すのが自治庁役人の風習じゃないか、私のつたない経験から申しまして今申し添えておきます。
  26. 受田新吉

    受田委員 私は大臣とか、政党高級幹部とかいうものが、あたかも自分の力で補助金などは適当に差し繰ってやるというような政治的発言をして、地方民に悪影響を与えている例がたくさんあると思うのです。それが今回各地選挙に現われてきておるわけなんです。これは自分立場をとる候補が当選した場合には差し繰る、そういうことについて便宜をはかれるのだが、野党の者においてはそういう便宜がはかれないのだから、与党立場を守る者を出せという、こういう発言は非常に重大な発言なんです。こういう各地において行われる発言、前の川島幹事長もこれははっきり地方選挙対策において政府与党つながりのある首長を選べ、それが住民の幸福であり、政治的にも効果のある仕事ができるのだ、こういう発言選挙指導上与えておるわけです。こういうことであるならば、むしろ官選知事というもので、政府与党意思を十分体して地方仕事をする官選知事を任命した方がかえっていいことだ。公職選挙法でそういう首長を選び、また地方自治法においてもそれがはっきり公選知事の任命がうたわれている以上、やはり住民の公平な意思で選び出す首長は、そうした政治的意図支配されない純粋な気持で争わなければならぬ。それをあたかも政府与党諸君意図を体する知事でなければ仕事ができないなどという、こういうことを少くとも行政責任者である政府大臣たち発言するということは、非常に住民を迷わすことだ。これは地方自治を侵害することはなはだしいものであると思うのですが、あなた方から申されて、もし政府与党意図をその通りにやらすならば、むしろ公選をやめて官選知事の方がよいとお考えになりませんか。これは純理論立場から御答弁願いたい。
  27. 黒金泰美

    黒金政府委員 ただいまお話がございました点で、そういう発言選挙にどの程度影響されておりますか、私率直に申し上げて恐縮でありますけれども、昨年の総選挙で自由民主党が勝っておるのでございますが、その投票から見れば首長選挙も勝つのが当りまえじゃないか、こういう気がいたします。そういうような感じがいたしますので、必ずしも今おっしゃるようなことが、それほど大きな影響をなしておったかどうか、これは私はまた考えなければいかぬと思います。しかし今おっしゃるようなことで、事実自治庁なり何なりの事務当局が、あるいは私どもが、そういった感情で仕事をしておるかと申せば、これは絶対にいたしておりません。同時に今仰せになりますような、それくらいなら公選知事をやめて官選にしたらいいじゃないか、こういう問題につきましては、今のところはそういう考えを持っておりません。
  28. 受田新吉

    受田委員 黒金さん、あなたは非常に軽率な発言をなさっておるのです。政府与党選挙で昨年勝利したから、従って地方知事自民党立場を守る者がこの割合でいけば当然いかなければならぬ、まれな例外があると先ほども言われたが、この考え方は、あなたは地方自治を侵害しておるのですよ。地方自治住民が公平な立場知事を選ぶので、今のあなたの発言は、地方首長政党支配されるということをあなたがみずから認め、そうして多数党の知事が当選しなければ仕事ができないということをりっぱに裏づけされた発言です。それでは公選意義が全く失われることになる。つまり中央政治で多数占めておるものであるから、地方でもやはり自民党の公認が当選すべきものだ、こういう考え方地方自治を侵害するもはなはだしい。あなたのような自治庁長官がおられるから——自治庁長官じゃない、まだささやかな存在だが、まあ政務次官、あなたのような政務次官おいでになるから、自治庁に対する信頼が失われてきておるのです。そういう心がまえ政務次官が控えておられるから、地方の、たとえば純粋な立場考えなければならない知事などに対して、圧力を加えるような結果が起ってくる。まれな例ということが、あなたのような政務次官がおられるから起ってくる。こういう不謹慎な考え方自治庁政務次官地方選挙考えておられることになるならば、これは重大な問題なんです。これは許されぬです。これは官選知事にして、あなた方の意思の間に間に動く者を任命する方がむしろいいのだが、今は制度を改正しようとは思わないのだという、これもまた言いのがれで、実際は腹の中では官選と同じことを考えておられる。地方住民のための、地方の民主的な運営——地方によっては、政府与党立場でない、もっともっと革新的な立場をとってやらなければならないことがたくさんあるわけなんです。そういうようなところに対しても、政府与党中央で多数をとっているから、当然そういかなければならぬというような考えで、あなた方が自治庁を握っておられるということになれば、今回自治庁自治省にしようか、省に昇格しようかという意図も、これは往年の内務省という、ああした権力機関としての役所にすりかえられるおそれがある。私は純粋な意味自治庁自治省になるというならば、これはある程度肯定してもよいと思っておったのです。しかしあなたの今の御発言のような考え方であるならば、自治省にするということは、結局強権発動原動力になるという疑いを民主的なものを考える人々には痛烈に与えますが、いかがですか、御答弁願いたい。
  29. 黒金泰美

    黒金政府委員 ただいま大へんおしかりを受けて、まことに取るに足らぬ者から申し上げて恐縮でございますが、ただ私が今申し上げましたのは、先ほどおっしゃった点のみで選挙の結果がきまったのではないのじゃないかしら、もっとほかにあるのじゃないかしらということを申し上げたのでありまして、私は必ずしも地方知事政党に属さなければならぬということも実は考えておりません。同時に、どちらが勝たなければならぬとも考えておりませんし、それは自主的にきまるものである。しかし結果的にこういう今までの結果が出たことはすなおに認めなければいかぬ、ということをかりに党の首脳部なり何かが言ったにしましても、それだけできまっているものではないのじゃないかしら、こういう点を実は強調し過ぎたのかもしれません。その点は御了承を賜わりたいと存じまするが、今お話のございましたような官選にしようということは、今のところはわれわれは何も考えておりませんし、また自治庁自治省にしようという案は、行政機構改革調査会ですか、審議会の答申が出ております。私どもも寄り寄り検討はいたしております。検討はいたしておりますが、今御懸念になりますようなことは、あるいは私の発言から非常に御懸念になったかと存じまして、その点恐縮に存じますけれども、そういう考え方は実は持っておりませんで、今の任務のままで、外局よりは省にした方が適当でないか、こういろ考えでおるような次第であります。
  30. 受田新吉

    受田委員 あなたは中央自民党が現在多数であるから、多数の占める割合地方もいくのが当然なんだということを発言されておるのです。それははっきり今発言されておる。そのお考えはあなたの中にはっきりあるのです。これは動かすことはできません。従って、多少ほかの事情があるとかいっても、政府与党の側の方へ立つ知事が当選するのは当りまえだという御意思がはっきりしておるのです。それは先ほどからの何回かの御発言で確認できる。そういう考え方は間違いだということを私が今指摘したわけです。地方自治中央政治との立場は、純粋に違った感覚で見なければいかない。中央政府と同じようなものが地方にあるべきだというのじゃないのですから……。なぜこの地方自治法ができておるのですか。なぜ自治庁設置法ができておるのですか。自治庁というのは、そういう政治支配からのがれるためにがんばってくれなければならぬ、原動力にならなければならぬ役所じゃないですか。その役所の大事な政務次官が、軽々しい党の首脳部意図を体したごとき御発言をされることにおいては、われわれは、将来自治庁自治省になった場合のその権限の強化ということ、地方に対する権力の行使がいかに強烈であるかを思わせるにはなはだしいものがあると思います。行政審議会で、自治省が真に政治支配の中からのがれ、そういう権力行使の圧力の中からのがれて、純粋に地方住民の発達のために役立つ役所であるというならば、われわれとしてもこれは耳を傾けなければならぬのですよ。けれども、あなたのようなお考えでできるお役所であるとなるとこれは問題がある。私はこれはあなた御自身ではなかなか解決ができないだろうと思うので、行政府の最高責任者である総理大臣、都合によればこの地方選挙対策を指導した幹事長を呼んで——これは自治庁任務の中の大事なお仕事ですから、一つ委員長においてお取扱いを願いたいのです。  私はもう少し事務的にお尋ねしますが、行政審議会が答申した問題で、自治庁自治省にすることの必要性と、それから現実に今政府の中においてはどういう考え方を持ってこれを進めておるのかという経過をまずお答え願いたい。
  31. 松村清之

    松村政府委員 自治庁を省にしなければならないという理由でありますが、自治庁というのは、なるほどこの人数はそう多くはございませんが、やっております仕事予算法律案、そういう点を考えてみましても、優に普通の省以上の、ある予算等は省の中で一番多くの予算をかかえておるわけであります。また起債等の額を入れますれば、もっと多額なものになるのでございます。ところが現在自治庁の責任者であります長官は、総理大臣を補佐する役にすぎぬものでございまして、閣議におきましても提案権がない。総理大臣でなければ自治庁仕事についての提案権がない。あらゆるものが総理大臣を通じてなされる。こういうことで、事務の簡素化、合理化の上から申しまして、あるいは執務の責任体制の上からいたしましても、専任の大臣を置くことが——専任の大臣と申しましても、内閣法にいう主任の大臣という意味大臣を置くことが、地方自治を擁護、育成する、中央において地方自治のために発言する力を持ち得る、こういうことで必要性を痛感しておるのでございます。ただいま政務次官からお話がございましたが、行政審議会の答申がございまして、現在いろいろどういう案にするか検討中でございますので、最終的にどらということを申し上げるほどの案になっておりませんが、できましたならなるべく早い機会に提案の運びに持っていきたい、そういうふうに考えておるような次第でございます。
  32. 受田新吉

    受田委員 自治庁自治省にしなければならないということは、主管の大臣の権限の問題が一つあるということでしたが、総理府の外局の長局としての権限行使で、実際問題として支障が起り得る具体的な例を一つお示し願いたいです。
  33. 松村清之

    松村政府委員 これは事務的と申しますよりか、むしろ政治的な考えになるかとも思いますけれども、閣議におきまして地方自治のために発言するという場合におきましても、それが内閣法による主任の大臣と、ただ単に総理大臣の補佐にすぎない長官とでは、そこに非常に差異があるわけでございます。先ほど申しましたように閣議に案を提出いたしますにしても、長官には提案権がない、総理大臣にしかない。こういうようなことで地方自治のために発言する力というものは——これはむしろ政治的な意味における力だろうと思いますが、それは主任の大臣を置いた方が、単なる長官よりも非常に力強いものになるだろう、そういうふうに考えておるのでございます。
  34. 受田新吉

    受田委員 総理府の外局のそれぞれの庁の長官が、閣内における有力な実力者である場合がしばしばあるわけです。そういった場合には別に総理府の外局の長であろうと主官の省を持つ長であろうと、政治的には全く同じことで、別におれが総理府の外局の長であるからといって、小さくなって発言しておるわけではないのですから、そういう政治的な発言権という点においては、むしろ総理大臣をかさに着る上においても都合がいいのじゃないですか。
  35. 松村清之

    松村政府委員 それは少し逆説的な言い方になるかと思いますけれども、防衛庁とか経済企画庁というようなときには、そういった仰せのような大臣が来られるようなこともあるかと思いますが、自治庁というような総理府の一つの外局という形でおる、そういうことがかえって——こう言ってははなはだ工合が悪いかと思いますが、そういった有力な大臣がそこに就任されるということも、実際問題としてなかなか考えにくい。これを一つの省にすれば……(「青木正不信任か」と呼ぶ者あり)別にうちの大臣を不信任しておるわけではございませんが、主任の大臣として専任を置く方がよりいいのではなかろうか。まことにこういう席で申し上げるのは何ですが、昨年も大臣を二、三入れかえるというような事例もございまして、そういう点やはり外局というところに原因があるのではなかろうか、これはまあ事務当局としてそういうふうに考えるのでございます。
  36. 受田新吉

    受田委員 官房長自治庁には歴代粗末な大臣が来てしょうがない、有力な実力者がなかなか来ない、防衛庁や経済企画庁へは大物が行くがここへは小者が来るのだということと同じような意味の御発言があったわけですが、これは事実松村さんの率直な御意見だと思って、あなたの純粋性を非常に尊重します。そこで御承知のように自治庁長官、この間も警職法が飛び出すと青木さんに公安委員会の方を専門にやっていただいて、愛知さんが自治庁長官を兼ねて、その愛知さんはどういうことになるかというと、これは法務大臣という選挙取締りの総帥でありながら、選挙法の番人でありながら、選挙法を犯してまでも選挙運動をやらなければいかぬというような意気込みで、宮城県知事選挙においても選挙違反ぎりぎりまで、近いうちに恩赦もあるというような発言をして大いにみんなを激励したということです。そういうおそろしい法務大臣が今もおいでですが、それが自治庁長官を一時兼ねられた。結局自治庁という役所はそうしたお粗末な大臣に適宜交代してもらってやっておられる役所で、そうお感じになるのは事務当局の切実なお声だろうと私は了承します。  そこで私はどうしても総理と青木自治庁長官に来てもらわぬと、この問題は解決しないことになったのです。今のお二人の首脳部発言で、自治庁のあり方に対する重大な疑義が起ってきたわけです。そして青木さんにもここで意見を述べてもらって、自治庁の権威を一つここで示してもらいたいと思う。私はお二人に申し上上げておきますが、私はこの法案についての最終決定の段階にくるかこぬかは、はっきりお約束できない段階になりました。そこでこの法案自身に入りますが、自治庁のお仕事として今度新しく設置法の改正地方財務会計制度調査会というものを置くことになったという今回の御提案でありますが、この地方財務会計制度を特に指摘してやっておられる理由です。これは提案理由の中に一応、その合理的で能率的な整備というところに目標を置いておられることを伺うのですけれども、今まではそういうことができなかったのですか。これまではこういう制度を設けなければそういう目的が達せられなかったのですか。
  37. 松村清之

    松村政府委員 この地方団体の財務会計制度は、明治の府県制、市町村制以来ほとんどそのままの姿を残しておりまして、地方自治法ができましてからもそれについて十分研究を遂げ、改正をする機会を見なかったわけでございます。それで今後府県、市町村の財務会計制度を新しい時代にふさわしいように改正したい、そういうためにはやはり学識経験を持った人々にお集まり願って、その人たちの御意見をいただいて、それに基いて改正しよう、そういうことで今回御審議をお願いするようになった次第でございます。
  38. 受田新吉

    受田委員 国の財務会計制度の方は漸次整備してきた。地方もこれに間に合わしていかなければならぬという御意思ははっきりわかるのですけれども、今までその現状で済んでいたことを取り上げてやらなければならないということ、このこと自身があなた方の方で地方自治というものに対する今までの御認識がおくれていたということを物語るものか、あるいはそういうものはなくとも今までは済んでいたという、現状がそうであったというのか、そこを一つ。
  39. 松村清之

    松村政府委員 これは率直に申し上げまして、御承知のように戦後新しい地方自治制度ができまして、制度の大改革あるいは税の改革、あるいは最近町村合併等、そういったたくさんの仕事が次から次へ出まして、地方自治をいいあり方にするためにはこの最後の段階として財務会計制度——これは国の方は戦後やってこられましたけれども、こちらはそういうものを経た後におきまして、その財務会計制度の整備をもってりっぱな地方団体を作り上げていきたい、そういう段階に到達しました。時期としては多少おそいかもしれませんけれども、これからやりたい、こういう考えでおるわけでございます。
  40. 受田新吉

    受田委員 自治庁では事務的にこういう問題は十分調査研究されておることであろうと思いますし、自治庁の現在のお役人の中でそうした協議会のようなものが作られて頭のいい人ばかりそろっておるのですから、あなた方のところで十分おぜん立てができる問題ではありませんか。
  41. 松村清之

    松村政府委員 仰せのように現に私ども役所におきましても財務会計関係の問題点、これについてどういうふうに解決していったらいいか、こういうことを研究もし、調査もいたしております。しかしやはり事が非常に技術的、専門的にわたる部面もありますので、外部の学識経験者の知恵をお借りしてよりいいものを作り上げた方がいいだろう、こういうことで調査会を設けたい、こういうふうに考えたのでございます。
  42. 受田新吉

    受田委員 従来地方財政審議会というようなものも制度的にあったので、そういうようなことを考えてみると、そういう機関でさらに分科会のようなものを作ってやるというような方法はないのですか。
  43. 松村清之

    松村政府委員 ただいまも地方財政審議会という審議機関がございますが、これは交付税の配分なり起債の配分なり、そういった地方財政、地方税についての自治庁行政の執行の重要な部面についての御審議を願う機関でございまして、財務会計制度のようなものを調査、審議するについては、機関の性質から申しましても、人的構成から申しましても適当でない、こういうふうに思っておるのでございます。
  44. 受田新吉

    受田委員 自治庁の方で今政令で出そうとされておる委員の構成等についてはどういうものがあるのか、試案をお示し願いたい。
  45. 松村清之

    松村政府委員 委員につきましては数的には二十名以内に限定いたしまして、その構成者といたしましては財務会計に学識経験のある人、それからこれも結局終局的には学識経験者になるかもしれませんが、地方団体でそういう仕事に携わっておるような人も考えておるのでございます。
  46. 受田新吉

    受田委員 学識経験者というその分析をもう一歩掘り下げて伺いたいのです。
  47. 松村清之

    松村政府委員 具体的にはまだ名前等をきめておりませんので、申し上げるまでの段階に至っておりません。
  48. 受田新吉

    受田委員 人選のことを私は申し上げておるのではない。どういう層から出そうとされておるのか、たとえば税務あるいは財務、その他の実務者あるいは大学の会計法の教授とか、こういうような分析はできておるのですか。
  49. 松村清之

    松村政府委員 いずれ最終的に法律にいたしますので、公法、私法の学者、それから最近地方では公益企業というものが非常に盛んになっておりまして、それについての会計の問題点もありますので、公益企業について学識経験のある者、また近代会計学、民間企業の会計経理その他行政学、経営学等の学者、専門家に御参加を願いたい、こういうふうに考えております。
  50. 受田新吉

    受田委員 この間行管の岡部局長が、一人で二十も兼ねている委員があることを示されたわけです。同じ人間がたくさんの委員を兼ねて、本務も兼務もみんなおろそかになっておるということを率直に申されておる。あなたの方で委嘱されようとするその委員は、それぞれのそうしたほかの審議会委員会、それらの行政委員会のメンバーになっているかどうかということを考慮されるかどうかを伺いたいのです。
  51. 松村清之

    松村政府委員 先ほど申しましたようにまだ具体的にきめておりませんので、どういうことになるかわかりませんが、私どもといたしましては、現実に会議等を開きました場合に、集まっていただかないと困りますので、ほかの審議会を兼ねておるかどうか、そういう問題は第二義にいたしまして、十分調査審議に参加でき得る人を選びたい、こういうふうに考えております。
  52. 受田新吉

    受田委員 調査に参加できる人ということになると、ほかの委員をなるべく兼ねていない人を選ぶということになるわけですか。
  53. 松村清之

    松村政府委員 結局抽象的にはそういうことになろうかと思いますが、しかし中にはこの人でなくてはという人もあろうかと思いますので、委員を兼ねておる人も出てくるかもわかりません。
  54. 受田新吉

    受田委員 この人でなければというのが災いをして二十にもなってきたわけです。そこでこの人でなければというので拝んでその人に就任を求めるという形をとると、岡部さんもこの間言うておられたが、一人が二十人役もやらなければならぬ問題も起ってくるのです。あなたの方ではそういうことを十分考えて間違いがないような構想を持っておらなければいけないと思うのです。私は自治庁に対する質問については、総理それから青木長官とお二人を招かなければ、最終的な結論が出ない問題が今あるのです。それはいろいろ選挙に関係した中央の誘惑的な発言についてお尋ねをしなければいけない問題が出てきた。そこで自治庁に対する質問を暫時保留して、宮内庁の関係を先に質問さしていただきます。
  55. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 ちょっと関連して質問させていただきます。受田君の質問に対する政務次官官房長答弁の中で重大な問題があると思う。これは私は議員としても国会としても軽々にはいかぬと思うのです。従って今受田君の言ったように、長官と岸総理に出てもらって究明すべき点があるのです。それはそれとして内閣委員会では自治庁に対し質問をする機会がなかなかないので、こういった法案が出たときでなければできません。先ほどから政務次官官房長答弁を聞いておりますと、いかにも日本の自治制度が整備されて首長公選はもちろん、相当自治体としての独自的な活動ができるような答弁でありますけれども、私の経験からいたしますと、それぞれ議員なり首長選挙等もだんだん板につきまして、形の上では地方自治制度が整備したかのように思いますけれども、一番肝心な財政的な面に全然自治制度の特徴がないために、各府県の予算を見まして、市町村予算を見ましても、県あたりはひどいところになると約九〇%が国の交付金なり、いろいろな名目の補助金に依存をしておる。県独自の財政は一割、百億の予算にすれば十億くらいしかないということでは、これは形の上では自治体であっても、実質的には昔のいわゆる国の出先機関である県と大差ない、ここに問題があると思う。この点を相当思い切って改革していかなければ、日本の自治制度というものは私は完全なものにはならぬと思う。そこでどうしても地方自治体に税収入なりその他地方自治体独自の財政収入をこれ以上ふやすことはできないものか。国が八割ないし九割のものを握っておかなければならぬ具体的な必要性が何かあるのかどうか。私に言わせれば全部とは言わないけれども、最低限五割限度は、それぞれの自治体における独特の収入源がなければ、私は自治体としての実質的な活動はできぬと思うのです。ところが今申しましたように、これがそうなくてはならぬという理由と、また私が申し上げたように五割程度の自治体自体の財源がなければならぬと思うのだが、これに対する政務次官の御見解を承わりたい。
  56. 黒金泰美

    黒金政府委員 ただいま茜ケ久保さんからお話がございましたように、目標とし、理論としてはあなたのおっしゃることにできるだけ近づけるのがいいと思います。ただ御承知のごとくに財源の偏在と申しましょうか、これが非常に激しい。粗税の中心は所得課税であるのか、消費課税であるのか、流通課税であるのか、財産課税であるのか、こういう、ことになると思いますが、一番中心は所得課税でございましょう。これまた申し上げるまでもございませんけれども、東京、大阪、名古屋といったところにほとんど国の全体の所得の六割ないし七割が固まっておる。ほかの残余のものが各県にばらまかれておる、こういう事態でありますために、そういった所得課税の面を地方に委譲いたすとしますと、非常に変な格好になります。それから消費課税につきましても、製造課税の場合もございますし、実際に消費の面で捕捉する場合もございますが、消費の面で捕捉しますれば、やはり大都市中心になります。製造によってやりますと製造工場の存在等において非常にでこぼこがございます。流通課税、その他いろいろやって参りましても、なかなか各地方にうまく配分できる財源がないものでございますから、やむを得ず所得課税を国の方にいたしまして、所得税、法人税、酒税、この主税の二八・五%を交付税として分ち与える。できるだけの財源は地方に与えながら、あまり不均衡にならないような財源、たとえば住民税でありますとか、あるいは固定資産、こういうものは各地に財源がございますので、そういうものを中心にして、そうやって分けておきまして、その不足の分を今申し上げた交付税で配分をしていく、こういうやり方をとっておるわけでございます。しかしそれで果して現状のままでいいのかどうかということになりますれば、われわれとしてもできるだけ地方自治と申します以上は、地方の自主的財源をふやして参りたい。どうやってふやせば一番全体に及んでふえるか、それから同時に交付税を分けます場合におきましても、貧弱な県と富裕な県、富裕といっては非常に語弊があるかもしれませんが、比較的の問題で申しますと貧弱な県の方にできるだけ財源が多くいくように、こういうような措置をとりながら漸次改善の方に向っておる、これが現状でございまして、今あなたのおっしゃる根本の理屈に対して決して反対でありません。賛成であります。実情とにらみ合せながら逐次にそれに向って参りたい、こんな考えで努力をしておるわけであります。
  57. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 政務次官の御答弁はわかるのです。わかるのですが、しかしやはり地方自治体というものをほんとうに名実ともに育成するためには、財源が一番大事だと思うのです。たとえば先ほど官房長答弁を聞いておりまして感じますことは、自治省にしたいということは、閣内における発言ないしは地方自治体を育成するための自治庁としての仕事の内容等から、自治省にしたいという考え方があります。それもわかりますけれども、私どもが非常に不安に感じることは、今のような地方自治体の財源の実態において、もし自治省というものができて、中央で強力なものができますと、昔の内務省式になってくることは当然である。地方自治体を育成強化するという美名のもとに、実質的にはいわゆるかっての中央官庁の出先機関である県になるということを含んでいるわけです。そこに私どもが簡単に自治省に対して賛成できぬ理由がある。そこで、今の政務次官の御答弁はよくわかるのではありますけれども、私は日本がほんとうに民主主義的に発達していく過程においては、今の自治体を財政面からも強い発言力と、また自治体としての自主的な運営のできる面に持っていっていただかぬことには、おそらくはなかなか容易ではないと思う。そこで今あなたのおっしゃった富裕県とあるいは貧弱県がございます。これは現実にあるのでございますから、私はそう言っていただいても別に難はないと思う。しかし今の国に全部吸い上げて、国が実権を持って、国の言うことを聞かない県は出さぬとはおっしゃらないけれども先ほど受田君も指摘したように知事選挙なり、市長選挙のときに、総理大臣やいわゆる政府側の方に行っていただいて応援なさる。私はこれはいけないとは言いません。けっこうです。けっこうですが、そのこと自体が自治体の住民に、何か政府の側につかなければ損をするのだという考え方が浮ぶのは、今の自治体に対する国の方針というものが、今や財政的な面で裏づけがないところにあると思うのです。これは五割くらいの財源を持っておれば、何も総理大臣が来ようと、あるいは中央大臣が来ようと、住民にとっては大した問題じゃないと思う。遺憾ながら全支出の一割くらいしか収入を持たぬ府県やその他の自治体というものは、やはり何か中央の政治とつながらぬと自分の自治体がどうにもならぬということを直感するわけです。そこに問題があると思うのです。そこで、私が政務次官にいわゆる五割なら五割の財源を確保しなさいと言うことが無理だということは承知しております。承知しておるけれども、そういうことに全面的な努力がなされぬことには一向進歩しないです。私は残念なから今の中央の政治においては、それがなされてないと思う。それに対していろいろな難点、問題はございましょう。問題はあろうけれども地方自治体が五割限度くらいのものを持つということが前提であるならば、それに近づくためのいろいろの検討なり、いろいろの努力がなされて、一歩々々積み重ねていくものがなくちゃならぬ。ところが戦後十数年何ら変らない。むしろ逆行する面も出ております。これでは相ならぬと思う。そこでこれは官房長もそうだが、ただ単に自分あところの官庁を庁から省にするという努力もけっこうだけれども地方自治体がこんな実態では、あなたのところは幾ら省になってもだめです。地方自治体をしっかり固めて、少しぐらい中央の政治が変っても、地方自治体は厳として自分たちの自主性をもって運営していける基礎を作らなければいかぬと思う。これがなかったら私は意味がないと思う。これに対する御意見と、今後どのような具体的な努力をするか——私は努力をする面があると思う。政務次官官房長と両方答弁を願いたいのであります。
  58. 黒金泰美

    黒金政府委員 ただいまのお話ごもっともだと思います。われわれが努力を怠っておったかのようにおっしゃいますが、毎年ある程度ずつは前進してきたように私ども考えております。なお今後一体どうするのか、今たとえば交付税の問題につきましては別途地方行政委員会で御審議願っております。これによりましてもできるだけ貧弱な県に多くの財源を与えたいという努力は一生懸命やっております。しかもこれは今お話が出ましたけれども、別の機会でもけっこうですが、ゆっくり御説明すればおわかりいただけると思いますが、地方に恣意的に配っておるものではございません。法律に基きまして基準ではじきまして配っております。今お話のような御懸念はこういう点からも私はないと思います。  なお将来どうするかという点でございますが、一番根本の点は地方団体と国との事務分量の配分の問題が先だと思います。その後に、その事務に対してどの程度の財源を付与するか、これは国税と地方税との配分問題だと思います。それから今度事業をやるについて補助をどうするか、あるいはそうやって財源を配分してもなおかつ貧富の傾斜のあまりひどいところをどうやって調整していくか、交付税の問題こういった問題についてわれわれなおざりにしておるわけではありません。別途これは総理府からの御提出かと思いますが、内閣に国税、地方税を通じます税制の調査会を設けまして、二年でありましたか三年でありましたか、根本的の解決をはかって参るようお願いをしておる次第であります。こういうものを通じまして、今お話の点、非常に大きな問題であり、国と地方の財源関係に大きな影響を及ぼすことでありますから、慎重に検討していただきまして、今お話のような方に早く持って参りたい、そのためには私ども地方自治団体側の代弁者として努力を続けて参る決心でございます。
  59. 松村清之

    松村政府委員 ただいまのお話、全く同感の点もございますが、地方財政的には先ほど政務次官お話し申しましたように、これは限度がございます。従って要は、たとえば補助金等をできるだけ整理しまして、そういう道具をもって地方自治支配されないようにすれば、足らない財源だけを地方に与えて、その財源の範囲内であれば地方が自主的にこれが使える、こういう体制を作り上げれば、地方自治は一段と確立される、こう私は常々考えておるような次第でございます。
  60. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 質問はこれで打ち切りますが、私はこういう問題は相当真剣に考えて、それも自治庁が、自治庁立場でなくて、自治体の立場考えていただかぬと解決しないと思うのです。これはもちろん私がこう言ったから明日から変るものではありませんし、むずかしいこともわかっておりますけれども、それをやらなければならぬと思うのです。従って自治庁は、自治省に昇格する計画もけっこうでしょうけれども、と同時に、より重要にそういうことを考えていただいて、そういうことが一歩心々解決するための努力を全面的にしていただいて、やがていつかの国会にはこれを実現されて、国会側からおほめの言葉をもらうくらいの熱意を持っていただきたい。これは私の注文を申し上げて質問を打ち切ります。     —————————————
  61. 内海安吉

    内海委員長 次に大蔵省設置法の一部を改正する法律案経済企画庁設置法の一部を改正する法律案総理府設置法の一部を改正する法律案厚生省設置法の一部を改正する法律案南方同胞援護会法の一部を改正する法律案日本国憲法第八条の規定による議決案の各案を一括議題とし、質疑を許します。木原津與志君
  62. 木原津與志

    ○木原委員 出されました法案のうち、私が質問したい点は、憲法八条の規定による議決の案件でございます。これを宮内庁の方に御答弁を願いたいと思います。  今度皇太子の御成婚に当って、民間その他の団体から財産上の寄与を受けるについて、その限度額が百二十万円をこすであろうということで、本件の議決を求めるようなことになったのだろうと思いますが、一体今度の御成婚について、あなた方はどれくらいの財産上の寄付を受けるというような予想でもしておられるか、その予想額があれば教えていただきたい。
  63. 宇佐美毅

    ○宇佐美説明員 ただいまの御質問でございますが、申し上げるまでもなく憲法の第八条の規定によって、皇室贈与あるいは贈与を受けるという問題は国会の議決を要するということになっておりまして、その精神は、そういう問題について制限をするという考え方であろうと思うのでございます。従って実際の取扱いにおきましても、私どもはその精神に従って考えるべきだとも考えておるのでございますが、しかし現実の問題としては、ずいぶん現在においてもいろいろな問い合せもございますし、全然その道をふさぐということもどうかという考えから、一定の制限のもとに、こういったほんとうの国民の気持をお受けした方が適当ではないかという趣旨から、この議決案を提案しているのでございまして、今のところどのくらいの額になるかというようなことにつきましては全然見当がつきません。
  64. 木原津與志

    ○木原委員 この金額が莫大な金額になるというような場合ですね、そういうような場合、その寄付された物品なりあるいは寄付された金銭というようなものは、これは皇室の私有財産になるのですか、あるいは国有財産になるのですか。
  65. 宇佐美毅

    ○宇佐美説明員 この議決案にもございます通り、一定の期間を限って、その受ける限度につきましても、内閣のきめた基準によって受けるということでございますが、一応その基準におきましても、相当特殊な場合だけに限るという考え方でございまして、実際の場合には金銭等はお受けしない、品物だけという考え方でございます。これはもちろん国有財産ではなく皇室の私有財産ということになります。
  66. 木原津與志

    ○木原委員 皇室の国有財産と私有財産のお話が出ましたからこの際お聞きしますが、憲法八十八条には「すべて皇室財産は、国に属する。」ということになっておりますが、そうすると、この国に属する財産のほかに、皇室の私有財産というものが別にあるのでございますか。もしあるとすればその財産はどのくらいの財産になるか、それを御答弁願いたい。
  67. 宇佐美毅

    ○宇佐美説明員 憲法の規定の八十八条に、すべて皇室の財産は国有とするという規定がございますが、この制定の当時の考え方といたしまして、陛下及び皇族の身まわりのお品というものは私的なものであるということに解釈されて参っておるわけであります。そういうことで、そのほかに毎年内廷費というものが法律にきめられた額によって皇室が受けておられまして、天皇その他の内廷におられる皇族の御生活の経費ということになっておりまして、それで求められた品、そういうものがいわゆる御私有のものになるわけであります。これはもちろん事務的には台帳で整理は一応してございますけれども、どのくらいの評価ということは今ちょっとここで申し上げかねるわけでございます。
  68. 木原津與志

    ○木原委員 すると、今度御成婚に関して受けられる民間からの物品はすべて皇室の私有の財産になる、こういう答えでありますが、そうなるとさらに私この婚姻の性格についてお聞きしたいのです。皇太子の御成婚、これは国事であるか皇室の私事であるかということについて、いろいろ国内でも論議があるようでございます。私個人の考え方からすれば、皇太子は天皇ではない、国の象徴という立場を持っておられる方ではないのでありますから、その人が平たくいえばお嫁さんをもらうという行事でございまするから、これは私は純然たる皇室内部の私事だというふうに考えるべきじゃないかと思うのでございますが、先般政府は、閣議決定事項としてかどうか、その点記憶ははっきりしませんが、この皇太子の御成婚については国事にわたる部分と皇室の私事にわたる部分と、二種類に分けて考えておるようであります。従ってそういうことから、この御成婚は国事であるからというので、これも今民間でやましく問題になっております。政治問題にもなっております。この機会に恩赦をやるのだというようなことまでいわれておるのでございますが、そういう点にかんがみまして、御成婚のことが一方国事であり、一方皇室の私事であるというような解釈を政府がやっておるので、私どもその間の区別がわからないのですが、宮内庁ではこの皇太子の御成婚は国事と見ているのか、皇室の私事と見ているのか、その点の見解を明らかにしていただきたい。
  69. 宇佐美毅

    ○宇佐美説明員 皇太子殿下の御婚儀の法律的な解釈については、過去においても御質問がございまして申し上げたのでございますが、今お述べになりましたように、過般の閣議決定によりまして、結婚の儀と朝見の儀と祝宴というものは国の儀式として行うということに決定せられたわけでございます。その基本的な理由は、結局皇太子という公的な御地位の方で、皇位継承にも関する問題であり、きわめてその御結婚というものが国家的に見ても重要な意味もあることでございまして、従ってその御婚姻の決定についても皇室会議を経なければならないというようなことでございまして、やはりここに公的な性格があるものと解釈をいたしたわけであります。なおそのほかに宮中、皇室の中だけで行われる儀式がございまして、これはもちろん国家の儀式と見ずに宮中、皇室内部の儀式として内輪で行うという考え方でございます。そういう理由から閣議決定になり、今日その方針で進んでいるわけでございます。今度の贈与をお受けになるということにつきましては、それはあくまでお祝いの品を天皇、皇后あるいは皇太子に差し上げるということでございまして、これはそういった直接の公事と離れた問題でございますが、このことは憲法に基く制限があるためにこういう議決をいただくわけでございます。
  70. 木原津與志

    ○木原委員 今の御答弁でわかったところとわからぬところとあるので具体的に言っていただきたいと思うが、今度の四月十日、もう目前に控えておりますが、この婚礼の儀式の中で何と何が国事か、何と何が皇室の私事か、その点を具体的に教えていただきたい。
  71. 宇佐美毅

    ○宇佐美説明員 ただいままで皇室の内部の儀式として行われましたのは、いわゆる納采の儀というのが一月に行われております。これから行われますものは今三月十六日を予定いたしておりますが、御結婚の日をきめる告期の儀というものでございます。それから四月十日に結婚の儀と朝見の儀というものが行われまして、この二つが国の儀式として行われる。結婚の儀は申し上げるまでもなく一番中心の御結婚の儀式でございます。朝見の儀と申しますのは、公式に天皇、皇后と皇太子及び皇太子妃が会われてごあいさつをされるという式でございます。そのあと、ごく内輪の儀式でございますが、供膳の儀という儀式がその日の夕方行われます。これは両殿下が初めて食事をともにされるのでございます。そのほか、これは古くから伝わった三箇夜餅の儀と申しまして、めでたいもちを供えるというような、ごく内輪の儀式がございます。そのあと二日置きまして祝宴の儀、これは内外に御結婚を披露されるという意味でございます。十三日から三日間にわたって五回に分けて行われる予定でございます。そのあと、これも従来のしきたりで、神宮及び山陵に皇太子、皇太子妃両殿下が御奉告に参拝されるというのでございます。以上が国事と皇室内部の式でございます。
  72. 木原津與志

    ○木原委員 そうすると、今回の御成婚に要する費用として予算が計上されておりますね。その国家で支弁する予算の中で、今あなたのおっしゃった国事に関するもの、それから皇室内部の私事に関するもの、両方含めたものを国家が負担するということになるのですか。それとも国事に関するものだけを国家が予算を見るので、私事にわたるものは皇室の私有財産でやるというようなことになるのですか、どちらですか。
  73. 宇佐美毅

    ○宇佐美説明員 明年度の予算案で御審議願いました二千万日余の経費は全部国事に要する経費、大部分が祝宴に要する経費でございます。その他の、将来着る着物でございますとか調度類というものは、みんな内廷の経費で準備をするはずでございます。
  74. 木原津與志

    ○木原委員 そうすると内廷の経費、すなわち皇室の私有財産でそれだけの皇室内部で行ういろいろな儀式の費用をまかなうだけの——失礼だけれども、相当膨大な金がかかると思うが、それを皇室の私有財産だけで支弁されるということになるのですか。
  75. 宇佐美毅

    ○宇佐美説明員 皇室内部の諸儀式は、経費を見積りますと、ほとんど目に立つような経費はかかりません。実際はあと呉服でありますとか調度類の準備にかかるわけであります。これは毎年の内廷費のうち御節約願って、こういった不時の場合に幾らか備えてございます、そういうものでいたすわけでございます。今の両陛下が御結婚のときに予算を立てたのを見ますと、十分の一以内くらいで、きわめて簡素に行われるわけでございます。
  76. 木原津與志

    ○木原委員 こういう機会でないとあなたにお尋ねする機会がないから私お聞きしたいのですが、今国有財産と私有財産の話をしましたから、ついでにお聞きしますが、われわれ見たことはありませんけれども、本なんかで読んだ三種の神器というものがありますね。あの三秘の神器という宝物ですか、これは国有財産ですか、皇室の私有財産、天皇陛下御一家のものですか、その点聞かして下さい。
  77. 宇佐美毅

    ○宇佐美説明員 皇室経済法に規定がございまして、皇位とともに伝わるべき由緒あるものは、皇位とともに後嗣に伝えるという規定がございます。これは皇位というものは公けの地位であって、それに伴うお品でございます。これは今の観念で申しまして、陛下の御身位に当然伴う品でございまして、今の法律の所有権論で申しますれば、陛下とともに伝わる御私有でございまして、これは永久に後嗣に伝える立場のものであると申し上げるほかはないと思います。
  78. 木原津與志

    ○木原委員 そうすると三種の神器という宝物は国有財産ではなくて、皇室の私有財産で、これはずっと世襲的に相続するということになるわけなのですか、もう一度その点を……。
  79. 宇佐美毅

    ○宇佐美説明員 公けの立場におられる陛下の御所有でありまして、今の言葉でいえば御私有であって、これを世襲の後嗣に伝えられる品であるというふうに考えられるのであります。
  80. 木原津與志

    ○木原委員 もう一つ、成婚のことですが、国家的な行事だとおっしゃるのですから、その点については私と見解を異にしますが、おそらく非常に盛大な婚礼の儀が行われることであろうと推測いたします。ここで私はちょっとあなたに特に申し上げておきたいことがあるのですが、先般岡山の池田さんのところに、何番目の皇女の方ですか、厚子皇女様という方がおこし入れになりました。あの当時私どもが聞いたところによりますと、厚子宮様がおこし入れのときには、婚礼の道具だけで貨車何両か持っていかれたというようなことが伝えられて、当時一般民間の間には、皇女といえども現在は国民の税金で養われておる人だ、しかも養っておる国民の大部分は嫁に行くのにふろしき包み一つさげていくというような状態の中にある。こういう現実の国民生活の中で、皇女がお嫁に行かれるのについて貨車何両も連ねた嫁入り道具を持っていかれるということは、同じ婚礼でありながらあまりに差がひど過ぎるという声が当時民間にあったわけであります。あなたはそのことをお聞きになったかどうか知りませんが、こういうようなことで、民をしてそういう声を放たせるということになりますれば、せっかくこのおめでたい婚儀もかたなしになってしまう。だから今度の皇太子の御婚儀は、おそらく厚子さんの御結婚とはどだい意味が違う。それだけ重要であり、それだけ国家的な意味もあることでございます。将来日本の国の象徴になるお方でありますから、意義ある婚礼の儀を国民とともに何人もお祝いして、そうして将来をことほがなければならぬという気持は、これはもう国民だれしも持っておるのですが、もし今度の御婚儀に当って、再び一般の国民の間から、この前のあの池田さんのところへお嫁に行ったときのああいうあまりにひど過ぎる、これでは何ぼ何でもひどいじゃないかというような声が、今度の御婚儀に当っても国民の声として起るということになりますれば、これは私はゆゆしい重一大な問題だと思う。こういう声が国民から起るということは、やがて天皇制廃止という声が国民の中から出てくるおそれなしとしない。だからその衝に当っておるあなた方は十分その点に意を用いられ、戒心せられまして、少くとも華美であり、そうしてその御婚儀が非常にぜいたくである、一般の国民の嫁に行く姿とはあまりにかけ離れているというようなことをいわれて、せっかくのこの御婚儀に国民の怨嗟の声が出てくるということになりますれば、これはあなた方の責任だ、政府の責任だと私は言わなければならぬと思うのです。事は非常に重大なことでございます。大げさにいえば天皇制の根本にかかわる重大な問題だと思いますから、その点についてはどうか一つ慎重に考慮を払われて、少くとも皇室はぜいたくだ、天皇はぜいたくだ、天皇の皇子がぜいたくだというようなことを国民に言わしめないような婚儀を取り運ばれるように、特に私はあなたに御注意申し上げたいと思います。その点に対するあなたの所見をお聞きしたい。
  81. 宇佐美毅

    ○宇佐美説明員 順宮様が池田家と御結婚の場合に、非常にたくさんなお道具をお持ちになったような御発言でございますが、私は全然そういうことは聞いたこともございませず、実際私は現にそのときおったのでございますが、その要する経費は全部内廷でまかなったわけでございまして、とうていそのような人目を驚かすような御準備ができるはずもございません。おそらく何かの間違いであろうと思います。むしろわれわれは御質素なので申しわけないと感ずるほどでございます。今回の御結婚については、もとより両陛下初め皇太子様もごく簡素にというおぼしめしでございますし、私どももそういうつもりでございます。簡素の中にも厳粛にいたしたいという考えを持っておりますので、ただいまるるお述べになりましたことは全く御同感であり、われわれといたしましてはそういう気持を十分表わすように努力をいたしたいと考えます。
  82. 平井義一

    平井委員 ちょっと宇佐美長官に関連してお尋ねします。皇太子殿下が御結婚終了後に外国にお二方で行かれるというようなことがちまたに伝わっておりますが、その点いかがでございますか。
  83. 宇佐美毅

    ○宇佐美説明員 そのうわさは外電等がもとになっておるように私ども思いますが、全然ああいう外電のような根拠は何もございません。今御外遊については何も考えておりません。
  84. 平井義一

    平井委員 御承知の通り外貨節約の時期でございますから、そういう外遊などという問題につきましても長官は十分考えていただきたい。むしろ国内の律々浦々をよく状況を知られて、そして間違いのない国民の象徴になるように、先般も申し上げたのでありますが、くれぐれもその点を長官が注意をされていかなければ、将来先ほど木原氏が申し上げた通りのような状況が起らないとも言えないのでありますから、この点十分に一つ御注意また御研究を願いたいと思います。
  85. 受田新吉

    受田委員 総理府設置法改正法案の中にある皇居造営審議会のことですが、私は詳しくは明日他の委員諸君とともにお尋ねしたいと思いますけれども、ちょっと伺っておきたいのです。この審議会内閣総大臣の諮問に応じて皇居造営に関する重要事項を調査審議する機関になっておるのですけれども、皇居を現在の位置でそのまま適当な造営を考えられるということと、皇居造営については適当な場所が他にあって、そこへ陛下がお引っ越しになるという構想を新たにした皇居造営ということも考えられる。そのいずれをも含んだ広い意味から皇居造営を考え審議会か、あるいは現在の皇居の場所に限定してそこへ作り直すという意味審議会か、どちらでございますましょうか。
  86. 宇佐美毅

    ○宇佐美説明員 過日も申し上げました通りに、宮内庁の事務的の一応の将来の見通しというもので建てたい、あるいは審議の際の一つの資料にしたいという意味考えておりますのは、過去においていろいろ検討の結果、今の皇居に設置すべであるという考えを持っております。しかし審議会においてもちろん皇居全体の全体計画ということにも当然及ぶと思いますから、そういった議論を拒否する意味は持っておりません。
  87. 受田新吉

    受田委員 そうすると皇居造営審議会か皇居を適当な場所に移して、そこでむしろ構想を新たにした陛下のお住居をおきめするがいいという結論になれば、それに従われるわけでしょうか。
  88. 宇佐美毅

    ○宇佐美説明員 もちろん審議会を置きます以上は、審議会の御意見を尊重して研究するということでありまして、政府として、将来国会の問題もございます。十分尊重して研究するという趣旨でございます。
  89. 受田新吉

    受田委員 尊重ということは、審議会の結論がそういうふうになった場合には、そういう外部へ皇居をお設けするということがあり得ると理論的には考えてよろしゅうございましょうか。
  90. 宇佐美毅

    ○宇佐美説明員 審議会に決定権があるわけではございません。しかしそういう意見が立ちましたときには、十分尊重して研究するということでございます。
  91. 受田新吉

    受田委員 後々の質問の根拠になるものを一つ二つお尋ねしておくのですが、法制局次長もおられますし、官房副長官もおられますから、この前ちょっと触れたことでございますが、現在元号を規定する法律的根拠がない。前の皇室典範には一世一元制があって、明治元年の例にならうという規定が一つあった。それが今ないということになると、天皇が皇太子の御結婚になる昭和三十四年四月十日を契機として元号を変えて、日本を民主的な生まれ変った国ということにしようという御意思を持たれて、国民もまたそう考える場合には元号を変えることが可能であるかどうか、これを御答弁願いたいのです。
  92. 宇佐美毅

    ○宇佐美説明員 元号の基本的問題について私どもはっきりした法律的根拠をここで申し上げるのはどうかと思いますが、前の皇室典範において元号というものがあり、昔の太政官布告で一世一元という規定がございます。これが生きているか死んでいるかというような問題があると思います。しかし今の新しい憲法の問題で将来元号をどうするかということについては、法律を要することだろうと考えます。従って後段の御質問でございますが、そういうことについては今まで考えたことはございませんし、また実際問題としてわれわれとしてはそういうことについてにわかに御賛成いたしかねると思います。
  93. 受田新吉

    受田委員 太政官布告で一世一元がきまったのではなくて、皇室典範の規定の中に一世一元の規定があり、明治元年の例にならうという規定があったように記憶しておるが、いかがでございましょうか。
  94. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 便宜私からお答え申し上げます。ただいまのお尋ねはどうなっておったかということであったかと思いますが、旧皇室典範には御承知の通りに、「踐祚ノ後元号ヲ建テ一世ノ間二再ヒ改メサルコト明治元年ノ定制二従フ」という規定がございます。そこで明示元年の定制として引用されておりますのが、先ほどお触れになったかと思いますが、明治元年の太政官布告に一世一元のことが書いてあるというようなことであったかと思います。
  95. 受田新吉

    受田委員 そうすると、たとえばきょうにも不幸にして陛下が急になくなられて、元号を改正する場合がかりに想定されると、元号は一体どこがきめられることになりましょうか。
  96. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 先ほどもお触れになりましたが、ただいま申し上げました通りに旧皇室典範の規定にかわるような規定が現在の皇室典範にせよ、そのほかの法律にせよ、実一は規定がございません。まあ現在は一種の国民的習律といたしまして、昭和という年号が使われているものだと思いますが、お尋ねがありましたように、何かの際に新たなる年号を立てるということになりますと、それは法的な拘束力を持たせる意味におきましては、実は今の制度のもとではそれはできないであろうというふうに考えます。何か約束事のようにやっていくことは、これは事実上の問題でございますが、別でございますが、法的な拘束力を持たせるものとしては今の制度のもとではそれは困難なことであると考えます。
  97. 受田新吉

    受田委員 それは困ることですね。それでは大へんなことです。たとえば今日陛下がかりにおなくなりになられるという場合に、昭和三十四年というのが引き続き続くのかどうか、これを一つお答え願いたいと思います。
  98. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 ただいま申し上げましたように、そういう場合を想定した場合に、国民的習律としてそのまま継続していくかどうか。少くも新たなる年号を法的拘束力を持つものとして立てることはできないだろうというふうに考えます。
  99. 受田新吉

    受田委員 そうすると現状では陛下がおなくなりになられても、昭和の年号がずっと続き、皇太子が即位されても昭和の年号が続く、かように考えてよろしゅうございますか。
  100. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 ただいまの問題は、結局現在あります昭和の年号自身が国民的習律の問題でございますから、従ってその後に習律としてそれが継続するかどうかという問題であって、法律的にそれは続くべきであるとか続くべきでないとかいうようなことは、ちょっと申し上げかねる問題だと思います。
  101. 受田新吉

    受田委員 これは非常にあいまいな問題ですね。重大な問題です。非常に大欠陥だ。私は今政府が何か用意されているのかと思ったら、たとえば陛下が急になくなられるというわれわれ考えたくない事態が起った場合に、昭和の年号がずっと続くことは国民的習律として認めるのか認めぬのかについて非常にあいまいなのです。法律的根拠がない。大体現状として、今日陛下がたとえば脳溢血でおなくなりになられる場合がかりにあられたと想像すると、皇太子が直ちに天皇におなりになられるわけですね。これは考えたくない事態でありますが、われわれ政治家としてはやはりここまで考えなければいかぬ。陛下がおなくなりになられた後に年号をどうするかということを国会で審議して、その審議の結果皇室典範の改正を行なって、御即位の後何日もたって年号が変るという形になるのかどうか、ちょっとお答え願いたい。
  102. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 これは受田委員は先刻御承知のことだろうと思いますが、旧皇室典範から新皇室典範に変る際といいますか、新たに法律を制定する際に、元号の問題をどうするかということは、少くも私ども法制当局者としては当然に考えたことでございます。実は当時元号に関する法律の制定を準備したことさえございます。しかし当時は御想像のような、連合国司令部が存在しておった際における問題でございましたために、それが制定する運びまで至らなかったわけでございまして、法律問題として、少くとも法的拘束力を持たせるものとしてこのまま放置してよろしいかと言われると、それは何か考えなければならぬ問題だろうというふうに思っております。現に先般でございましたか、この内閣委員会において私ども長官である林長官仰せになったことでございますが、それについては少くも研究をしなければならぬ問題だろうということを申し上げたと思いますが、私が申し上げるのもそれに尽きておるわけであります。
  103. 受田新吉

    受田委員 私はこの間長官にお聞きしてあいまいなお答えがあったから、対策を立てることができておるのじゃないかと思ったのです。そうしたら依然としてそれができておらぬということでありますると、たとえば陛下の御意思で四月十日に元号を変えよう、皇太子の御結婚を契機として新しく生まれる民主的結婚による新しい時代を作る意味で昭和の年号を変えて、生まれ変った年号でやろうということをお考えになられて、年号を変えるという表明をされることを押える根拠がありますかどうか、これもちょっと伺いたい。
  104. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 そのお気持を押える根拠があるかどうかということでございますが、要は元号制というものを立てまして、昭和の年号あるいは昭和が変って何々という年号というようなものを、法的拘束力を持たせるものとして考えていくべきかどうかということに帰着する問題だろうと思います。それについては日本が今まで使っておりました元号というようなものでなしに、何か西歴紀元というようなものを使ったらいいじゃないかという論も一部にはあるように承知いたしておりますが、いずれにしましても、この問題はどうするかということをまず検討いたしまして、そうして必要なそれに相当する措置を講じなければならぬ問題だろうと思います。この問題は一法制局として考えるべき問題ではなくて、全体的な高い視野から考慮していかなければならぬ問題ではなかろうかと思うのでございます。
  105. 受田新吉

    受田委員 内閣官房長官の御意見はいかがですか。政治的責任者としての御発言を願いたい。
  106. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 元号の問題につきましては先般林法制局長官にお尋ねがあり、また本日法制局次長、また宮内庁長官にもお尋ねがあったわけでございますが、林長官お話のありました際から、官房長官のところでもいろいろと研究をいたしておりますが、ただいま法制局次長お話しになりましたようなことで、法律上の問題としてはこれをただ単に国民的な習律としてそのままにしておきますことでいいかどうか、御指摘のように非常に問題があろうと思うのであります。従って、これは早急に研究をいたすべき問題だと思うのでありまして、法制局の方でさらにいろいろと研究をしていただきまして、内閣としても、これに対する対策を立てたい、しかしまだこれについての結論を出す段階にまでは至っていないわけであります。
  107. 受田新吉

    受田委員 私はここで、陛下も人間でいらっしゃるのだから、陛下がおなくなりになられる場合、あるいは陛下が御自分の御意思で年号を変えたいと言われる場合、いろいろな場合を想定しなくちゃならぬと思うのです。たとえば急に陛下がおなくなりになられた場合、昭和という元号は現状においてはそのまま続くことになるのか、あるいは変ることになるのか、ここをはっきりしていただきたい。つまり現在急に天皇の崩御、天白五の即位ということが起った場合に年号はどうなるのか、これを一つお答え願いたい。
  108. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 それは先ほどお話のございましたように、旧皇室典範の十二条あるいはその前の行政官布告の明治元年の一世一元という定制、そういうものが今日国民的習律として動いておるということでありますならば、一世の変らない限りそのままということになるわけでありまして、先ほどお話のように途中で変るというようなことは習律としてはないのだという解釈になるでございましょうし、あるいは昭和という年号がそのままずっと継続していくのだというお話先ほどございましたが、そういうふうな習律として現在の実情考えるならばそういうふうにもなろうかと思うのであります。それなればこそどういうふうに——今後の憲法上の問題として検討いたしま場合は、どういうふうに定めていくかということが相当重要な問題であろうと思うのでありまして、これはやはり慎重に、またお話のようなことを考えますれば、できるだけ早く検討しなければならぬ問題であるというふうに考えているわけであります。
  109. 受田新吉

    受田委員 私が今ここでお尋ねしているのは、陛下がおなくなりになられるという考えたくない事態がきょう今起った場合の措置はどうなるかをお尋ねしておるわけです。お答え願いたい。
  110. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 そのような事態が不幸にしてございましたならば、それはもちろん直ちにそういう事態に応じて、政府としても何らかの対策を立てなければならぬと考えます。
  111. 受田新吉

    受田委員 そういう事態に応じてということは、それに応じてそれからどういう措置をとることが考えられるのですか。
  112. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 それは非常に重大な問題でございまして、内閣としてもそのような事態になりますならば、直ちに慎重に検討して結論を出すことになろうと思います。
  113. 受田新吉

    受田委員 慎重にしていては間に合わないのです、年号は変えるのなら即時に変るはずなんですから。それを慎重にやっておるうちは昭和が続き、途中でまた何かに変るということになる。慎重にやっておったのでは間に合わないのです。あなたは非常に慎重に事を考えておられるが、今日にでもわれわれの考えたくないような事態にぶつかった場合に、ちゃんとしたものがちゃんとなければいけないのです。政府が今から慎重に検討するでは間に合わない事態が起る。きょう今そういう事態が起った場合にどうなるのか、内閣はその場合はどういう措置をとられるかということをお尋ねしているのです。これは国民すべてがはっきり知っておかなければならぬ問題ですから。
  114. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 結論はまだ出ておらぬわけでありますが、その結論を出すについては事柄が非常に重大でございますから慎重にやらなければなりませんが、先ほど御指摘のようにすみやかにやらなければならぬことはまさにその通りでございまして、一つ十分御質問の趣旨を体しまして、政府としても検討いたしたいと思います。
  115. 受田新吉

    受田委員 そうすると、たとえばそういう事態がかりにあった場合に、法律的な基礎はどういうことになるのですか、公文書その他はどういうことになるのですか、きょう今そういう事態が起った場合。
  116. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ですから、その場合にどういう措置をするかということは、政府として慎重に検討いたしまして結論をすみやかに出したいと思います。
  117. 受田新吉

    受田委員 その政府検討するというのは、行政府の内閣の責任でやるわけですか。
  118. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 行政府としてもちろん内閣の責任でやると考えます。
  119. 受田新吉

    受田委員 内閣の責任で元号をきめるというふうに了解してよろしゅうございますか。
  120. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 個々の国民的な習律をさらに法律の域にまで高めまして、法的拘束力を持つ元号ということになりますれば、これは当然法律問題でございますから、立法が必要になってくるわけであります。そういう点について検討をする責任は行政府としての内閣に当然ある、かように考えております。
  121. 受田新吉

    受田委員 それを措置する責任でなくて、検討する責任ですか。
  122. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 その措置が立法を要する事項でございますれば、国会と御相談しなければできぬわけでございますが、行政権だけの措置ということになれば、もちろん内閣自身で措置をするということになると考えます。
  123. 受田新吉

    受田委員 行政措置として内閣だけでやっていい問題ですか。
  124. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これはまた重大問題でございまして、それについても結論を出さなければならないと考えております。立法として措置するか、しからざる方法によるかということもその重大な検討問題だと思います。
  125. 受田新吉

    受田委員 きょうにでも非常事態が起った場合に、立法事項か行政事項かを検討するということで間に合いますか。
  126. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 非常に御心配になられますお気持はよくわかるのでございまして、そういう態度で政府もこれに臨みたいと考えます。     〔「そのときはそのときでやるからいいじゃないか」と呼ぶ者あり〕
  127. 受田新吉

    受田委員 あなた方は簡単に考えておられるが、私はこれは非常に大事な問題だと思う。簡単な問題ではないですよ。(「重大過ぎるのだよ」と呼ぶ者あり)だから、きょうにでもそういう非常事態が起ったときに、どういう措置がとられるか、政府がこれから検討するというような、そういう怠慢な政府ではいけないと思う。こうした近く皇太子の御結婚を迎えられるというとさに、陛下が元号を変えられるという御意思を持たれたということも含めた杉で、何か直ちにここでされなければならない。しかし今きょうにでも非常事態が起ったときには、政府は何の対束もないという全くお手あげの状態ではないですか。これはどうするのか。陛下も人間でいらっしゃるのだから、そのこともわれわれは十分考えておかなければならぬのですよ。そのときになって法律事項にするか、内閣の事項にするかというようなことを相談するということで間に合いますか。私はこの間から何か用意されたかときょうは期待しておったのですが、依然として、しかも今はまことにお手あげの御回答です。これでは私ははなはだ不得要領です。この次の質問の機会までに政府は態度をきめて、皇室典範の改正をするならする、あるいは法的機構を設けて内閣の事項にするとか、天皇の国事事項にするとかいうようなことを適当にされなければいけないと思うのですが、しかしこれは非常に差し迫った解決の問題だと思うのです。ゆうちょうにかまえておる問題ではない、委員長そう思いませんか。
  128. 内海安吉

    内海委員長 そこでこういう受田さんの質問のような問題に対しては、政府はどうなんですか。一体これは明治から大正、大正から昭和と移っていくいい前例もあるだろうと思いますが、ただいたずらに法的な根拠というのでは、答弁になるまいと思う。そういうものを、法的な根拠というもの、前例というものを織りまぜたような意味で御答弁になればわかるのじゃないか、こう思うのですけれども、そういうような意味において、きょうは……。
  129. 受田新吉

    受田委員 あなたのような御意見では解決しないですよ。法的な根拠は要るのです。今のような一世一元的な、国民的慣習などということで、そういう習慣でいくということでは解決できない問題です。
  130. 内海安吉

    内海委員長 しかしそれは前例とからんでいきたい。今までのように、どうも明治、大正、昭和といかないから、こういうように立法に持っていきたいという答弁にくれば、あなたの御要望にこたえることができるのじゃないか、こういうように私は考えているのです。
  131. 受田新吉

    受田委員 答弁になりませんよ。そういうことでは今いかないことになっている。つまり公文書を出すのに、だれがどう出すかという根拠がないから、つまり元号を変える根拠がないから、このまま続けるという根拠がない。だから全然あなたのは答弁にならぬわけです。私は承知できない。次会に解決を政府に要求しておきます。
  132. 内海安吉

    内海委員長 この次の機会に、受田さんの要望に何とか満足のできるような答弁を要望します。  次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。     午後零時五十二分散会