○石橋(政)委員 行動の伴わないものは、これは観念論をやっても始まりませんし、時間がありませんから、それでは本論に入りたいと思います。
それは最近参議院の本
会議におきましても問題になりましたF86F戦闘機の返還問題、それから新しく作ろうとしておりますいわゆるグラマンF11F—1Fの生産問題、そういうものをひっくるめて私は戦闘機問題と
防衛計画との関連、そういう立場から一つ
質問してみたいと思うわけです。
私が言いたいことは、今
政府が持っておりますところの、岸総理がわざわざ御携行になってアイゼンハワー大統領のところまで持っていってお見せになったところの
防衛力
整備目標、普通いわれておる
防衛三カ年
計画、これはもはや本質的にくずれ去っているのじゃないか、こういうことを主張したいわけなんです。それをいろいろな角度からやりますと時間を食いますから、いわゆる戦闘機、航空機という問題に焦点をしぼってやりたいと思うのですが、私がなぜこの
計画がもはやくずれ去ったかと言いますと、やはり
三つの角度から見ていいと思う。
一つは、この間戦闘機を返した、こういう形の中で現われておりますいわゆるアメリカの供与兵器を現実に返さざるを得ないような状態になってきているということ、その背景にあるものはいわゆる軍事援助の大幅削減という方向がアメリカにおいてとられておるということです。こういう立場。日本の
整備目標を達成するためには、相当
部分の供与をアメリカに期待するという一項が入っておるわけです。日本の立場からいえば、なお相当
部分をアメリカの供与に期待するとある。その期待されておる方のアメリカ側では、軍事援助削減、特に現物を供与するという形、しかもそれは無償供与という形をだんだん減らしていこう、こういう大綱が打ち出されてきておる。そし現象面においては、四十五機返還というものが現実に現われてきておる。それだけじゃない。
防衛庁が
計画しておるところの供与期待の飛行機というものは、現実に到着しておりません。来年度だって、これだけをもらいたい、たとえばF86Dを六十機もらいたいというような
計画は書いてありますけれ
ども、これは来そうもありません。そういう面からくずれかかっているということが一つです。それからもう一つは、新しい機種がきまらぬということです。これはもうすでに完全に一年間おくれております。そうしますと、ことしの
予算にこの初年度
経費が少くとも織り込まれ、生産を九月ごろから始めて、初めて
防衛計画の達成にどうにかすべり込める、こういうお話であったのですが、すでにもう来年度の
予算には全然当初
経費というものは組まれていない。そうしますとどう見たって一年間は完全におくれている。ここから
計画の狂いがもう現実にきているということ。それから第三番目はこれに関連がある。結局新しい機種の生産に入れない。入れないものだからどういう手を打ったかというと、
政府が今F86Fを生産している三菱救済のために、その間を何とか食いつながすために、次の機種を作るまでの間を食い延ばすために、その生産速度をものすごく落してしまった。今のところ月産四機ぐらいになっているのじゃないかと思う。どこから私がその数字を引っぱり出したかというと、ことしの三十三年度末の現有F86Fと来年度末のF86Fというものとの見込み数が書いてあります。その差をはじき出してみたらたしか四十六機です。そうしますとこれを十二カ月で割ってみると四機ないのです。月産四機以下に押えてしまった。ここからも
計画はくずれてくるのです。ざっと見ても以上の
三つの点から、どうしたってこの
防衛計画というものは完全にくずれる時期に来ている。それをなおかつ大丈夫です、大丈夫ですと言おうとする意図がわからぬことはないけれ
ども、やはり率直に言わないと私は工合が悪いと思う。
国民に対しても
国会に対しても、もう少し責任を持って明確にお答え願わなければ因る。あくまで主張されるなら、私は一つ一つ今から材料を出しお尋ねいたしますが、いかがです。