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1959-03-12 第31回国会 衆議院 逓信委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月十二日(木曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 淺香 忠雄君    理事 秋田 大助君 理事 進藤 一馬君   理事 橋本登美三郎君 理事 粟山  博君    理事 片島  港君 理事 小松信太郎君    理事 森本  靖君       武知 勇記君    服部 安司君     早稻田柳右エ門君    小沢 貞孝君       大野 幸一君    金丸 徳重君       栗原 俊夫君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 寺尾  豊君  出席政府委員         郵政政務次官  廣瀬 正雄君         郵政事務官         (電波監理局         長)      濱田 成徳君  委員外出席者         通商産業事務官         (公益事業局次         長)      今井  博君         郵政事務官         (電波監理局次         長)      莊   宏君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     野村 秀雄君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    溝上 けい君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     前田 義徳君         参  考  人         (日本放送協会         企画局長)   春日 由三君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   首藤憲太郎君         専  門  員 吉田 弘苗君     ————————————— 三月十一日  委員小沢貞孝辞任につき、その補欠として山  花秀雄君が議長指名委員に選任された。 同月十二日  委員山花秀雄辞任につき、その補欠として小  沢貞孝君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会の  承認を求めるの件(内閣提出承認第一号)      ————◇—————
  2. 淺香忠雄

    ○淺香委員長 これより会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。  質疑の通告があります。これを許します。小沢貞孝君。
  3. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 この前有線放送施設ホームセットを有しない施設の数をNHKから聞いたわけですが、加入数が七十六万で、ホームセットを持たぬ施設が三十二万五千五百、こういうことになっている。従ってラジオセットを持ったものが四十三万五千二百八十九、こういうことになるわけです。これはどうもあまりにも普及率が低いわけです。そこで、この有線放送施設その他は、電波監理局ですか、そっちの方の許可を得てやっていると思いますが、監理局の方の届けはどういう数になっておるのか。できたら、ちょうどここにNHKの方は局別に出ておりますから、一つ局別施設数加入数、これをお聞きしたいと思います。
  4. 濱田成徳

    濱田政府委員 本日資料を持っておりませんので、さっそく調べさせましてお答えいたします。
  5. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 三十分か一時間後には、電話か何かでわかりますか。
  6. 濱田成徳

    濱田政府委員 さっそく調べましてお答え申し上げます。
  7. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 次は、郵政省委託をして放送聴取料徴収している金額、その他たしか三割くらいやって、何億かかっているとかいう話を聞きましたが、具体的に何件で何億あるかということはわかりませんか。
  8. 首藤憲太郎

    首藤参考人 お答え申し上げます。今、郵政委託しております委託局数郵便局の数が、三十三年十二月末現在で四千三百七十九局でございまして、その受け持ち件数が四百二十三万九千二百五十九件でございます。これは全体の契約者の三一%になっております。
  9. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは予算の方で私はっきり見ていなかったのですが、この三一%の四百二十三万九千件を委託して、その委託費ですか、予算ですか、それは幾らになっていますか。
  10. 首藤憲太郎

    首藤参考人 三十四年度の予算に入っております金額は、四億八千二百六十八万九千円でございます。
  11. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そうすると四百二十三万九千件、多少ふえても四百三十万件ばかりなんですが、これが三十四年度の予算では、四億八千二百六十八万幾らということになると、一件当り十何円ということになるのでしょうが、これはどういうことになりますか。そこをお聞きしたいと思います。
  12. 首藤憲太郎

    首藤参考人 一件当り十八円十銭でございます。
  13. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 こういうことを局長さん、御存じですか。有線放送施設を有しているその施設は、自治法に基く新市町村建設促進法施設したところもあります。あるいは農林省関係の新農山漁村建設何とかという、新農村で建設したのもあります。それからこの運営については、農協運営しているもの、あるいは地方公共団体運営しているもの、あるいは何か特別な組織を作って運営しているもの等々あるわけです。等々あるのですが、そこへもってきて、特定郵便局長さんから話があったが、一つ集めてくれないか、こういうようなことでその施設長ですか、施設関係者に依頼をして集めているというようなケースがあるということを聞いているのですが、そういうことはございますか。
  14. 首藤憲太郎

    首藤参考人 そういう例もございます。
  15. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そこで私はお尋ねしたいと思うのです。まだ私はNHKの方の件数、それから電波監理局の方で調べた件数等はっきりしないから、有線放送施設のあるところの普及率が五十何%だというNHKの言うことは、私は信用できないわけなんですが、そういうような工合に、もし特定局長の方から有線放送施設施設長に持っていって、一つ頼む、こういうようなところをやっているとすれば、一回り横にめぐっていっているような気がするんです。NHK郵政省委託し、郵政省出先がまた有線放送施設施設長にお願いをするというようなことで、一件当り十八円の手数料というものが郵政省にいっている。そして郵政省の方からは、有線放送施設長にどのくらいの金額を払っているか、これはつまびらかでないわけです。郵便局の方では、私の方にもっと手数料をくれたらよさそうなもんだのに、こういうようなことがあります。まあまあ、農協でみんな集めてくれぬかい。——これはやみか話し合いか知りませんが、そういうような格好でやっていると思います。そこで私はもっと具体的にお尋ねしたいのですが、郵政省の手を一つ飛び越して、NHK施設長と直接契約するというようなことは考えられないか。これはNHKが直接徴収しているんですから、有線放送施設をやっているところは、何もその局を経由しなくてもいいじゃないか、こういうように考えるわけです。
  16. 首藤憲太郎

    首藤参考人 それにつきましては、ただいまそういうことはやっておりませんけれども、研究問題として今後研究してみたいと考えております。
  17. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私はまだ、どうしてもこだわっているのです。有線放送施設で、ラジオのないところから、放送聴取料金を取るということについて、私はまだこだわっているわけです。そこで、これは料金体系にも影響があるし、そうさっそくにはいかないのではないかというようにも考えているわけなんですが、こういう直接契約をするというような形の中で、その問題が解決できる糸口がありはしないか、こういうように私は考えるわけです。その前にちょっとお尋ねしますが、一件当り十八円というのは、一カ月一件当りですか、三カ月二百円という一件当りで十八円につくのですか。
  18. 首藤憲太郎

    首藤参考人 一件当りということでございますので、二百円につき十八円であります。
  19. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私はこまかいことは知りませんけれども、郵便局の方はこれによって一件当り十一円もらっていると聞いたが、あと七円というものはどこか途中の経費ですか。
  20. 首藤憲太郎

    首藤参考人 それは、内容については私どもつまびらかにしませんけれども、郵政省事務費というふうに聞いております。
  21. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そうすると、直接の経費が一件十一円で、中間事務費が一件七円というような工合になりますが、そういうことですね。
  22. 首藤憲太郎

    首藤参考人 その内容は私ども実は存じませんので、郵政省事務費というふうに聞いております。
  23. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 ちょっと郵政省事務当局の方にお尋ねしますが、どういう工合になっておりますか、これは。
  24. 廣瀬正雄

    廣瀬政府委員 ただいまの御質問でございますが、ちょっと事務的になりますので、今所管の郵務局次長を呼んでおりますから、もうしばらく御猶予願いたいと思います。
  25. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 二百円につき十八円というと、一件当り九%の徴収経費、こういう格好郵政省の方はなるわけですね。二百円当り経費を含めて十八円ということになると、大体九%の徴収経費だと思います。ところが、三日ばかり前に私が聞いたところによると、NHKの百四、五十億のものを集めるのに十六億前後、大体一一%前後だったと思うのです。そうするとNHKが直接集めるのは一三、四%になって、郵政省に頼むのは九%の徴収経費ということになりますが、そんなに違いますか。私は郵政省の方が、いなかでひまがかかって経費がよけいかかりはしないかと思う。NHKが直接やった方が、たくさんかからないと思う。独自で徴収しているのは、徴収経費幾らになって何%になるか、もう少しそこを詳しく言ってくれませんか。私はこの逆のような気がするのですが……。
  26. 首藤憲太郎

    首藤参考人 この差額につきましては、これは協会の直接集金郵政省委託しておりますものとの内容が多少違っておりまして、協会の場合には直接集金に行っておりますので、その集金人事務費とか人件費、その他いろいろな諸雑費が入って参りますから、そういう差額が出て参るわけでございます。
  27. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そうすると、NHKが直接徴収するよりも、みんな郵政省へまかした方が、徴収経費も安くて、これは非常に企業の合理化ということにもなるような気がするのですが、それは局長さん、逆じゃないのですか。私は、人口密度も高くて割合に取りやすいところを直接やっていて、いやなところだけ郵政省にまかすように感ずるのですが、そうじゃないですか。人口の密集しているところをとると徴収経費が高くついて、いやなところをまかしておいてそっちの方が安くつくというのだったら、経営合理化の上からみんなまかしちゃったらどうですか。
  28. 首藤憲太郎

    首藤参考人 この郵政省委託します分につきましては、その委託しました分について、またさらにわれわれの方の人間がその集金カードを整理するとか、そういうふうな事務的な面の仕事をしているわけでございます。そこでそれらの経費がただいまの十八円幾らに実際上はさらに加算されるということでございます。
  29. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そうすると、こう理解していいですか。直接出先特定局の人は一件十一円もらう、郵政省中間で何か七円ばかりピンはねする、その上へもっていってまたNHK事務費が何割かかさむ、こういうことですね。郵政省へまかしたものだけを考えると、十一円が直接特定局の収入になる、その上さらに郵政省経費が全体として一件当り七円につく、その上へもっていってまたNHKがそれの整理だか統計だか、何かそういうことをやるのに幾らかつく、こういうことですね。
  30. 首藤憲太郎

    首藤参考人 大体そういうことでございます。
  31. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それではこの一件当り十八円というものを、もしNHK有線放送施設運営している事業主体にやらせるとするならば、一件当り十八円支支給して今の状態でも運営ができるという工合理解してもいいですか。私は盛んに提案しているのですが、もしまかせるとすれば、一件当り十八円を事業主体にやっちゃっても、その上にまだNHK経費を持っているのですから、いいわけですね。
  32. 首藤憲太郎

    首藤参考人 理論的にはそういうことにもなろうかと思いますけれども、ちょっとこれは、ただいますぐにはなかなか的確な判断はいたしかねるわけでございます。
  33. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 今お話しいただいたことには間違いないわけでしょう。そうすると、私の方で判断すればそういうことができるということになるわけです。だから、かりにこういうことはできますか。有線放送事業主体と直接NHK契約を結んで、一軒々々回らない、農協なら農協という事業主体が集めてくれ、そういうふうに委託すれば、一件当り十八円の経費を支払うことは、徴収費を増さないでも済むというふうに理解できるわけですが、これはそういうことになるでしょうね。一件当り十八円ということは、今までの料金でいったならば大体九%の徴収経費ということになります。だから、今度は料金が上るから、一〇%ばかり思い切れば、一件当り二十円ですか、二十円というものを、事業主体役場なら役場でもよろしい、あるいは独立した何とか放送協会というようなものを作ってやっていますが、そこでもよろしい、あるいは農協経営主体ならば農協でもよろしいから、それにまかしちゃう、この徴収方法としてそういうことはできませんか。
  34. 首藤憲太郎

    首藤参考人 経済的には、個々の場合についてはおっしゃるようなことにもなるかと思うのでございますが、ただこれが全国的な、全般的な問題としました場合に、実はまた別の問題も出てくるのではないか、かように考えます。個々の場合として経済的に考えた場合には、おっしゃるようなことになるのじゃないかと考えております。
  35. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 今度は郵政省の方にお尋ねしたいのですが、まあ、これは郵政省の方でもそういうことでよかろうというような両方の話し合いができれば、私はこの方法は不可能じゃないと思うのです。そうすると、私が日ごろから言っているところのラジオ施設のない有線放送の家から料金を取ろうと取るまいと、とにかく一件当り二十円の経費をやるぞ、それでもって一つらっぱが五百あるのだから五百個分の料金を集めてこいというと、そこの事業主体は、どうしてもあの家は無理だから取れないというところは、この経費だけもらってあれば十分運営できるし、余るから、そこは独自の立場でもって免除ができるのじゃないか。この間から私は、ここでやることすでに五回になるけれども、ラジオのない有線放送の家から聴取料を取るのは無理な家があるから、一部は取ってはいけないということを盛んに言うわけなんですが、もしその放送施設事業主体にこれをまかすことができたならば、一件当り二十円のそういう徴収経費を差し上げて、そのワクの中において、らっぱを備え付けた家の中で三%か五%、わずかなものだと思うのですが、これは社会政策的にもやらなければいけないものだと私は考えているわけです。だから、その人の経費というものはその事業主体が適宜にやりさえすればできるのじゃないかと、こういうように考えるわけです。これについて郵政省のお考え、あるいはNHKのお考え一つお尋ねしたい。私もこれを主張し出したし、何かの道を開かなければ、これはとても済まないと思うわけです。
  36. 廣瀬正雄

    廣瀬政府委員 有線放送の問題につきまして先般来いろいろ御意見を承わっておりますが、きょうはその結論的なところまで到達したようでございまして、御説につきましても、私もごもっともな点があるように思うのでございます。ただ集金の煩瑣その他の点からいろいろ問題はあるのじゃないかと思っておりますけれども、ちょっとでも社会福祉増進を、というような観点からの御主張もよく理解ができますわけでございまして、一つよくこの問題につきましては、御説に基きまして検討を加えてみたいと思いますので、さよう御承知願いたいと思います。
  37. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 実は今回の国会への提案は、今までの生活扶助を拡大して、被扶助者、被保護者全般に拡大していったことに対して、私は敬意を表するわけです。そこで、今次官の方から、私の提案したような問題について検討したいということを言明されて、大へんけっこうなことだと思うわけです。ただ問題は、この受信料免除基準の改訂が、今のは「昭和三十一年六月一日から施行し、昭和三十四年五月三十一日まで有効とする。」こういうことになっていますから、この五月三十一日、つまり、六月一日からの実施に間に合うように、まだあと二カ月、三カ月ありますから、御検討をいただけますでしょうか、そのことをお尋ねしたいと思います。
  38. 廣瀬正雄

    廣瀬政府委員 御趣旨に沿うように、努めて早急に検討の上、結論を出したいと思っております。
  39. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それじゃこの程度で、私はこの免除の問題をまあまあ一応、何回かやりましたけれども、打ち切ろうかとも考えておるのです。ただ、自治庁が新市町村建設促進法、それから農林省が新農村建設というような面で補助を出し、そしてまた村があとは金を引き受けて建設しているのに、ラジオのないような家、しかも、わしところはそんなものは入れてもらったって困りますという家から強制的に徴収をしようとすることは、いわばNHKはあまり虫がよ過ぎはしないか、こういうようにも感ずるわけであります。しかし私は、やはり料金体系影響を及ぼしてはいけないと思いますから、ある程度その事業主体にまかせるというような方法を講じて——事業主体はそうした事情がわかっておりますから、被保護者以外に、要保護者のあの階層については、そこで三%であろうと一割であろうと、これはNHKの方から今私が数字の上から聞いてみると、二十円くらいは一件当り徴収経費を出しても運営できる、こういうことなので、一つそういうような方向にぜひ道を開いていただくように強く要望して、この結果については、六月一日からの免除基準に明確にその規定をうたい込まれることのできるように、一つ善処をお願いいたしたいと思います。  それでは次の質問をいたしたいと思います。私は二、三日ほかの委員会に行って欠席しておりましたので、あるいは重複してはなはだ恐縮かとも思いますけれども、この前、金丸委員質問のついでに言ったのですが、普及率の低下、普及率の伸びが全くとまってしまうということは憂うべき現象です。これを地域的にもあるいは質的にも、まあ空間的にも立体的にもというのですか、これは全国にわたって公共福祉のためにあまねく押し及ぼさなければならないというのは、放送法第七条に規定されたNHKの目的であるわけです。それで、それじゃ一体この普及率を具体的に伸ばす方法について、どういうように考えておるかということでお尋ねしたいわけです。  一つは、ローカル放送というものを豊かにして、放送文化中央集権的なことから、むしろ地方の問題を取り上げて、中央に持ち込んでくるような工合にするというか、これは番組編集ですか、放送事業内容についての改善が私は必要だと思いますし、それは会長さんが、どっか外国を見られて、よき地方紙のあるところよき地方政治あり、ということを言われて、そういう方向で進みたい、こういうことを言われましたが、まずその一つからお尋ねしますが、具体的にそれが今度のこの事業計画及び予算の中に盛り込まれておるかどうかということです。私の見たところでは、教育放送を二時間半増す、あるいはまた何とか総合放送を二時間増すというようなことで、中央における経費——中央における経費というのは、言葉はおかしいかもしれませんが、番組でいえば、中央番組だと思います。こういうものだけを増強して、地方におけるローカル・ニュースの充実、取材の充実というようなことについては一顧だに与えていないということは、はなはだ遺憾なわけなんですが、その点については予算に具体的にどうなっているか、あるいはまた、さらにNHKとしての方針等承われれば幸いだと思います。
  40. 前田義徳

    前田参考人 この点につきましては、ローカル放送拡充に対しましては、時間増はいたしませんが、しかし内容拡充強化のために、御審議いただいております予算面では、一億三千二百八十万円一応組んでおります。この低普及地域には幾つかの事情がございまして、たとえば無電灯地帯あるいは文化指数——文化指数と申しますのは実は私どもの使っている言葉でございますが、文化指数が非常に低い地域、それからまた文化指数割合に高くても、たとえば新聞の購読習慣がないと同じように、聴取習慣が非常に低いところなど、いろいろ性格によって異なるわけでございますが、無電灯地帯につきましては、従来からもいろいろ普及の面あるいは施設の面で御協力申し上げながら、そうしてまた番組内容の面でもその裏打ちをするという方針をとって参っております。それから文化指数の低い地域に対しましては、有用な番組を現地に持っていって、現実に皆さんに見あるいは聞いていただいて、ラジオを備え付けられることがいかに有効であるかというような御理解を願う努力をずっと続けて参っております。明年度からはさらに一そうその方法を強化いたしたい、こう考えております。現実東京都下でも去年、ある島ですが、ここはほとんどラジオ聴取者がありませんでしたが、現実番組を持って参りまして、二日ないし三日にわたってそこで公開番組その他を実施いたしました結果、その地域では聴取者が一挙にふえたという実例もございますので、そういう努力を今後一そういたして参りたい、こう考えております。
  41. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そういう具体的な計画がおありになって大へん喜ばしいことです。私はぜひ——どうもこの間の放送法の改正その他教育関係中央権力による統制というような、何か教育文化について上から統制されるというようなことが、非常に最近の傾向としてありはしないかということを憂えるわけです。だから、せめてNHKは、政府の支配を受けないし、独自の立場公共福祉、そして政治的にも中立でやらなければならぬ立場なんです。そこで会長の言われたように、よき地方紙のあるところよき地方政治ありということ、また民主政治の基盤は地方自治の発展からというようなこともあるわけです。埋もれた地方文化を引き起してもらったり、また政治的にも経済的にも文化的にも、地方におけるいろいろの声というものを十分起してきて、むしろそれを中央に反映するというような番組編成ですか、事業計画を立てていくということが、また間接的には普及率を増すゆえんであろう、こういうようにも考えますので、そういうような方向一つ善処方をお願いいたしたいと思います。  次は、この前もちょっとお尋ねしかけましたけれども、普及率増進の意味において、国民所得に応じた、三段階ぐらいな聴取料考えてはどうか、こういうことを私は常に考えておるわけですが、どうですか。たとえば二カ月に二百円という人と三カ月に二百円という人と四カ月に二百円という人、こういうような工合段階を設ければ、一番上の階層は百円、その次の階層は六十六円六十六銭ですから今と同じ六十七円、その次の階層は五十円、そういうような工合になりはしないかと思います。これは国民所得階層というものはわけなくわかるのです。個人所得税あるいは法人税を納める者とか、あるいは均等割のみを納める者とか、それから納めない者とか、その次には被扶助者全額免除ですから、つまり四段階になるわけです。こういうようなことは具体的にはお考えになりませんか。そうすることによって普及率が伸びるのじゃないか、私はこういうように考えるわけです。
  42. 首藤憲太郎

    首藤参考人 ただいまのお話につきましては、おっしゃるように、たとえば所得税の額とかその他によって一応の基準はあるかもしれませんけれども、さらに深く掘り下げていきますと、なかなかはっきりした合理的な基準というものを発見することはむずかしいんじゃないかと思います。それからもう一つは、それが事務的に行われる段階におきましては、非常に煩瑣になり、また付帯しました種々の問題も起ってくるんじゃないか、かように考えられますので、ただいまのところはその問題については考えておりませんが、今後研究は進めようと考えております。
  43. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 「明日のNHK」ですか、これの三十二ページ、三十四ページをちょっと見ていただきたいと思います。三十三年から三十四年に対しては料金の値上げ等があって三十三億五千万円ばかりの収入増です。ところが、三十四年から三十五年に対してはもう一億五千万しか伸びがありません。それから三十五年から三十六年にいくときにはもう一億しか伸びがないわけです。それから三十六年から三十七年に対しては一億しかもう事業収入の伸びがないわけです。三十四年だけは料金を上げて三十三億五千万という収入があった。それだけでもう収入はストップしてしまった、こういうことを意味すると思います。つまり三十二ページの普及率が年々一%しか伸びていない。従って、料金の伸びも百四、五十億の中で年々一億しか伸びない。そういうことは一体どういうことですか。普及率をもっと伸ばそうという努力が足りないのか、あるいは実際には伸びるんだけれども、料金値上げの収支予算の都合上増収というものを年々一億ぐらいに押えて、隠蔽しておいたのか、これはどちらなんですか。
  44. 首藤憲太郎

    首藤参考人 これは全国の世帯数から割り出しまして、またその未加入の世帯の階層その他を分析してみまして、この五カ年間の努力目標をわれわれ考えたのでございます。この五カ年間の努力目標をどの辺まで置くのが妥当であるかということを考えました結果、三十七年度において八六・七%というところが妥当であり、しかもこれが一応の限度じゃないか、こういうふうに考えて算定したわけでございます。従いまして、この八六・七%というのにつきましては、別に甘い、辛いという問題もございません。むしろこれは相当に努力しなければならぬ数字じゃないか。今後の未加入階層の状態からいきますと、今後の開拓につきましては、たとえば一%ふやすためには、その一%の階層はずっと下っておりますので、従ってその一%の中身というものは従来より非常に困難が増してくるのではないか、こういうように考えております。そういう観点からいたしまして、三十七年度にはおそらく八六・七%というものがわれわれの努力の限度じゃあるまいか、こういう考え方をしたわけでございます。それを一応もとにして収入を算定いたしまして、その収入を算定いたしましたものに応じまして事業計画を作っているわけでございます。従いまして、この事業計画も三十四年度、三十五年度、六年度、七年度とおのおの増加の金額に応じました工夫をしまして作っておるわけでございます。従って、これにはおっしゃるような意味の含みとか、あるいは少し無理過ぎるというふうな面は、われわれといたしましては考えておりません。
  45. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そうすると、このたびの値上げによって、第一放送については全国漏れなく難聴地帯を解消して聞くことができる、これは大へんけっこうです。放送法第七条の一つの目的、平面的な一つの目的はNHKは果しておると思います。果すことができると思います。難聴地帯を解消し、第一放送については全国をカバーできる、こういうわけですから、これは平面的にはそれでできるのです。しかし、五カ年計画が終った年に八六・七%で、あとまだ一四%のものが放送を聞くことができないということで、協会公共福祉のために、あまねく全国において受信できるように放送を行うことを目的とする、この公共福祉のためにあまねく放送を享受することができるという目的に沿うというんですか、それを果すことができないということになりますが、一体これに対してはどういう方針で臨まれますか。これは会長なり何なりの基本的の問題だと思います。私は、普及率を伸ばすためには、今言ったように、所得別の三段階徴収料金だとか、あるいは今の有線放送下においてラジオを聞けないようなところは免除するとか、これからまた取り上げる点がありますけれども、そういうふうないろいろな具体的な方法考えなければならぬと思うのです。その方法について、今度の五カ年計画収支予算事業計画の中には何らうたわれておらないわけです。だから、その根本方針について私はお尋ねしたいと思います。
  46. 溝上けい

    ○溝上参考人 放送の全国普及に対しまして、われわれ施設の面におきまして拡充して、いわゆるカバレージを一 〇〇%に上げる、この問題は、お話のように完了するつもりでおりますけれども、実際それだけの電波が行きましても、今までいろいろお話のありましたように、実際上地方によりましては普及率がある程度低いために、全国を平均しますと八六・七%というところがぎりぎりじゃないかと考えておりますが、実際問題としまして、いわゆるほんとうに加入しておる数、有料だけのものの数でありますが、そういうものは、電波の分布状態からいけば今後さらにもっと上り得るわけです。さらに普及率を上げていくという努力は続けたいと思っております。ただ、その普及率として計算します場合、大部分は大都会に集中された人口が非常に大きなウェートを持っておりまして、地方普及率の悪いところの普及率が若干上りましても、全体の総合的な数字にはなかなか影響が少いという関係にもありますので、これを格段に上げるということは困難性が非常に多いという気がいたしますが、もちろんこれは今後とも引き続いて普及率をいろいろな対策によって上げていきたいというふうに考えております。
  47. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 今度政府にお尋ねします。未点灯部落に対して電灯を入れてやる——電灯のないのは、憲法第二十五条の健康にして文化的な生活とはいえない。だから私は、電灯を入れるためには、国や県や村が援助しなければならないという方針に基いているかどうか知りませんが、とにかく未点灯部落に対しては国が補助を出し、それに伴って県も補助を出し、市町村もまた協力をして未点灯部落を解消するというような努力をされております。これは電気のないということは、憲法違反といえばおかしいですが、憲法に言う健康にして文化的な生活とはいえないから、国もこういうことに対して援助していると思うのです。私は電波を拡充するということも、もはやすでにそれと同じ段階になっておると思うわけです。従って、一四%はラジオを聞けない階層である。これだけ料金を上げてやっても一四%はラジオを聞けない階層があるということがはっきりこの計画の上から出ているわけです。これに対して、一体政府はどういうような手を打とうとするか。この点について、郵政大臣から御答弁をいただきたいと思うわけです。
  48. 寺尾豊

    ○寺尾国務大臣 NHK努力としては、今、副会長からもお答えをいたしましたが、私はやはり小澤さんの言われるように、少くも最高の普及率、理想は一〇〇%でありますが、それにはいろいろのファクターもありましょうからそこまではいかないとしても、少くも八六・七%、こういうものをもって足れりとするとかあるいはこれ以上いかないだろうとかいう観測はとるべきではない、かように考えるわけであります。ただこれが三十七年度までの目標といたしまして、NHKがこういう一応の目途によって努力していこう、この八六・七%の普及率まで上昇させるためには、大きな努力も要るのであるから、これに対して努力をしていこう、こういうのでありますが、続いて私はこれをさらに上昇させる、この普及率を九〇%あるいはそれ以上にも上げる努力は、やはり政府としてもNHKにその努力を要望していきたい、かように考えております。
  49. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 実は昭和三十三年度から始まる五カ年計画に基いてことしは料金を上げて、平面的には第一放送は全国をカバーできるような施設を作ってという、まことに表向きはいいことなんです。しかし一皮むいて内容を見れば、もう来年からは一%しか普及率は上昇しない、従って来年あたりはもう限度だ、こういうことなんです。具体的にこの計画に現われた数字というものは、従って第一次五カ年計画の後も引き続き努力をするという抽象的なことでは、この料金値上げの際においては大臣の言明として私は納得できないわけです。これだけ料金を値上げするからには、質的にももっとあまねく放送電波の享受を国民が受けることのできるようにしなければならないと思うのです。それには私は具体的にこの間からいろいろあげているわけです。階層別の料金考えちゃどうだとか、あるいはまた被扶助者は今度は免除になりましたから、要扶助者に対してはどういう措置を講ずるとか、地方放送を充実させるとか何らか具体的な方法があってしかるべきだと思う。あるいはまた無電灯部落の電気導入に対して政府が補助していくがごとき、何らかの普及率上昇のための援助というものが政府にあってしかるべきだ、こういうふうに考えるが、具体的な方法一つ——抽象的にやりましょうというだけでは私は納得できないわけです。
  50. 寺尾豊

    ○寺尾国務大臣 小澤さんの御所見としてはよく私もわかります。ただ聴取料を取るということだけを目的にしないで、あらゆる面の聴取できない因子がどこにあるか、まずこういうことによって、それが聴取料を払えないあるいはラジオの受信機を買えないというような階層が何%あるかというようなこまかい調査も必要になりましょうし、それらに対してはどういうような形で、政府並びに日本放送協会ができるだけ聴取ができるような努力をしていくかということは、これはきわめて当然なことであり、その努力はしなければならぬと思うのであります。ただ私は聴取料段階をつけるというようなことについては、この場合いかがかと思わざるを得ないのは、あるいは郵便料金、電信電話料金、こういったような文化生活をするに必要なものについては、できるだけ安い料金をもってこれを一律に均等に国民が支払っていく、これを負担していく、こういうことでないと特定人は多く払い、しからざる者はまた違った料金をという段階——こういうふうな国民にあまねく、日本全国の全世帯にも聞かしていこうということであれば、私は聴取料そのものはもう一律にしていく。それを小澤さんがおっしゃるように考えたくない。その理由がどういうところにあるかということによって、社会福祉的にあるいはまた生活保護といったようなものに対する今回の処置も一連のものだと思いますが、小澤さんがいろいろ先般来非常に真摯な検討をなさっておるような問題について、NHKとしてはさらにそういったような検討を進めていくべきではないか、この際段階をつけてこれを解決するということは相当検討を要する問題ではないか、かように考えておりますので、具体的な問題につきましては、今後ともさらに御指摘のような点を検討をしつつ、できるだけ普及率を高めて、第七条に示しますところの全国あまねく聴取できるようなNHKの使命に精進すべきだ、かように考えております。
  51. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それじゃ一歩進めます。一体ラジオの電気料金というものは幾ら取られておるのですか。今通産省の方を呼んでいるようですが、まだ見えないのですけれども、一体定額で、ラジオを備え付けておる場合電気料金幾らかかっているか。従量制ならば幾らですか。たとえば東京電力なら東京電力管内の例でけっこうです。
  52. 首藤憲太郎

    首藤参考人 一日五時間聞く場合に大体六十円というふうに聞いております。
  53. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それは従量制でしょう。定額ならもうきちっときまっているのですが、定額なら幾らですか。
  54. 首藤憲太郎

    首藤参考人 定額の場合は、ちょっとただいま資料がございませんが……。
  55. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは東京電力なんだそうですが、二十ボルト・アンペアから三十ボルト・アンペアのラジオが一台七十三円七十銭、七十四円ということです。これは定額です。三十ボルト・アンペアを超過すれば、また小型機器の扱いということになりますれば、五十ボルト・アンペアでは一カ月につき百十八円八十銭というようなことになりはしないかと思うのです。これで見ればラジオ聴取料よりは電気料金の方が高くつくと思います。だから一体この電気料金というものについて、これはNHKと経営の方式は違います。あれは独占会社です。しかも通産省だかの公共事業令によって政府の監督、指導だか何だかできるはずです。ラジオ普及について電気料金については、政府としては何か検討というか、とにかく考えてみたことがありますか。
  56. 莊宏

    ○莊説明員 実は最近の状況をつまびらかにいたしませんが、かつて電気行政が逓信省にありました当時におきまして、逓信省といたしましてはラジオのためにできるだけ電力関係の便宜をはかるべきである、こういうようなはっきりした方針を持って行政をやっておりました。その当時、たとえて申しますと、ラジオをつけるために新たに差し込み口をつけなければならないというような場合において、めんどうな手続を要し、簡単にラジオをつけることができないという状況にございました。その場合に電力会社を指導いたしまして、二灯プラグというものを使ってラジオを用いることは差しつかえないということをはっきりさしたこともございます。その他料金の問題につきましても、ラジオについては特段の便宜をはかるように、また昼間送電のない地帯についてはラジオをできるだけ聞いてもらうことができるようになるべく昼夜間送電にするようにいたしたり、こういうような措置をいろいろといたした次第でございます。この関係は通産省の方に電気行政が移りました後においても、向うでは当然頭に置いてやっているものと、かように考えております。
  57. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは政府に聞きたいのですけれども、生活保護者は一体ラジオを聞けるような電気料金免除——今度は放送聴取料も被扶助者全額免除ですが、これは料金や扶助料がちっとも関係がない。生活被保護者に対しては、ラジオを聞けるような補助を与えていますか。あるいはまた電力会社が免除していますか。——お答えがなければいいです。生活扶助の中には、月額百五十二円の電気料金を支給するようになっているそうです。四十ワット一個かそこらつければ、それで終りだそうですというようなことを言っていました。ラジオ聴取料なし、水道料は実費を払う、こういうことだそうです。だから生活扶助者については、NHKは非常に便宜をはかって、被扶助者に対してラジオ聴取料免除するけれども、片方政府の許可、認可を受けるところの電気料金の方は、ラジオをつけちゃいけないんだぞという料金徴収の仕方です。これは同じ行政としては矛盾していませんか。片方の生活扶助の方は、電気料金というものが、四十ワットかそこらつければもう料金は終る、こういう扶助料しか出していません。従って、ラジオをつけたって、その電気料金の払い場がないというのが、被扶助家庭の扶助料の状態です。これは同じ政府として、片方は、NHKの方は——これは私は今になってありがとうございましたと言うわけではございませんけれども、NHKの方はそうやって放送聴取料免除しているが、電気料金の方は、そんなものをつけたって電気料金を取る、こっちはいいが、それに対して扶助料を与えていない、こういうのが実情です。
  58. 寺尾豊

    ○寺尾国務大臣 この点につきましては、私も詳細小澤さんから教えられて、そういう事実を今御説明いただいたようなわけでありますので、通産省とも十分相談をし、検討いたしまして、これに対する通産省の現在やっておる方法、あるいはまた将来これをどういうふうに扱うかといったような意見も、大臣と相談をいたしまして、早急に一つお答え申し上げたいと思いますから、それまでお許しを願いたいと思います。
  59. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 実はこの間もちょっと読みかけましたが、少し長くなるのですけれども、私は逓信委員として中国地方を視察したときに非常に感銘を受けたから、そのことを申し上げたいと思うのです。この普及率を向上しよう、ぜひ低階層の人にも電波の享受を与えようということで一生懸命やっている。これは中国の五県だけらしいのです。この前、私ちょっとここで発言した広島県放送文化普及委員会常任委員の藤井吾平という人ですが、小澤先生にお願いいたしたいと思います。放送文化普及委員会というものは、全国の中で中国五県だけと聞いておりますが、これはラジオを通して生活文化、社会文化社会福祉を高揚しようという官民合同の組織で、郡市町村にも支部を持って、昭和二十四年から活動しているのでございまして、中国五県の連合体もございます。」これが普及率が非常に低いということを言って、「ラジオの業界の方々の心のこもった贈りものとして御寄贈、また篤志家の方々の新品の御寄贈、あるいは遊休機械の御寄贈をいただいて、生活困窮者、極貧者にお贈りするわけでございます。しかし一方、聴取料とか電力料は要るわけでございます。ただ幸いに、逓信関係、放送関係の御高配をいただいて、この聴取料は先年免除していただいたのでございます。ところが、電力料は依然として要るのでございまして、この電力料の出場がございません。この点については、放送文化普及委員会としても、それぞれ関係方面の方にお願いしたのでございますが、これは中央で解決しなければできないことである。あるいは厚生省で生活保護があるではないかというようなこともございます。しかしながら、聴取料についてはすでに御高配をいただいていることでございますし、同じ範疇に属するこの電力料についても、逓信委員会の方で立法措置を講じていただいて、この極貧者にも、空気や水と同じように吸い取られるものを取らしていただきたい、恩恵に浴さしていただくようにお願いしたいのでございます。」これは私はこの懇談会か何かのときに来て聞いて感銘したわけですが、電気料金については、だれも全然知らないでいるし、検討も加えていないわけです。それで最近頭打ち制度の廃止ということが行われて、またどうも家庭料金が上るというふうに、電気料金の方もそういう段階です。だからこの際ラジオや何かの電気料金について、生活扶助者にちゃんと扶助料をやるか免除をするか、この料金についての検討一つ大臣にお願いをしたいわけです。近く料金改訂等が行われるかどうかは、大臣の方ではわからないかもしれませんが、どういう状況ですか。
  60. 寺尾豊

    ○寺尾国務大臣 そういうことはただうわさに聞いておりますが、真実は私も存じませんけれども、それらも加えまして、生活保護者に対して、ラジオ聴取料免除する措置をした、しかしこれが電気料金ということに関連をしておるので、この問題については通産省として現在どうしておるか、あるいはこれに対してどういうような方法を講ずるかという、小澤さんの今の御質問の要旨を十分検討いたしまして、なお通産大臣ともこれらにつきましては十分検討いたしたいと思いますが、今通産省から見えたそうですから、なお御質問願います。
  61. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それでは通産省の公益事業局次長さんがお見えになりましたので、お尋ねしたいと思うのですが、生活扶助の中に電気料金は百五十二円入っている、私はこういうように聞いたわけです。それでラジオを聞くような料金が入っていない、こういうわけなんです。そこで電気料金の改訂については、法的には私は詳しくはわかりませんけれども、通産省の認可、許可ということが要るはずです。だから、こういう生活扶助者にラジオを聞えるような工合にその免除をやるとか、そういう道は開けないものかどうか、そういうことを検討したことがあるかどうかというような問題について、お尋ねしたいわけです。
  62. 今井博

    ○今井説明員 一般的にそういう問題はまだ検討したことはございません。
  63. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 こういうものに対する免除の制度というものは、公共事業令や何かにありませんか。たとえば生活扶助者に対しては免除をしてやるとか、そういうようなことはできませんか。九電力会社に対してそういうことはできませんか。料金認可の際に道としては開けますか。
  64. 今井博

    ○今井説明員 公共事業令にはもちろんそういう規定はございません。しかし、それが全然不可能かということになりますと、これはいろいろな政策を加味するということもありますから、全然不可能とは申しませんが、ただ電気料金制度として、これはやはり定額の料金は非常に安くする、そういうことによって社会政策的な面を考慮していたしておる次第であります。それを全然ゼロにする、免除する、そういう点につきましては、電気料金というのは、電気会社がやはり一つの私企業形態としてやっておりますから、やはり何らかの料金をいただくということでないと、全然免除するということは、電気料金制度としては好ましくない、こういうように考えております。
  65. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私はしろうとの計算でやるからよくわかりませんが、従量の場合ラジオをつけて——定額の場合なんかスイッチの入れ方にもよるでしょうが、定額の場合なんかキロワット・アワー当り十二円にも十五円にもつきはしないですか。製造原価は、電気なんかおそらく発電端においては二円から二円五十銭くらい。それがラジオについては、定額灯であったらば、おそらくキロワット・アワー当り十五円くらいにつくと思うのです。およそ七、八倍ももうかってラジオから料金を取る、こういう格好になっていやしないかと思うのですが、その辺は今次長が言われたように社会政策的な低額料金でと言われておるのですが、話が逆じゃないですかね。
  66. 今井博

    ○今井説明員 今私が申しましたのは定額の電灯料金のことでございまして、定額の電灯料金ラジオをつけた場合には、これはキロワット・アワーでいただいているというよりは、一台幾らという定額でいただいておると私は考えております。たとえば五十円とか、そういうことであります。
  67. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 定額料金をキロワット・アワー当りに換算すれば、一キロワット・アワー当り十四、五円につきやしないですか。二十ボルト、三十アンペアが七十三円……。
  68. 今井博

    ○今井説明員 ただそういう制度を今まで実施いたしておりまして、これについてはそういろいろ強い反対とかあるいは陳情とかいうものをあまり聞いておりませんので、比較的その点はうまくいっているのではないかと私は考えております。
  69. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 先ほど御答弁いただいたのにくどくなりますが、これはもう政府でやろうと思えば、電気供給規程ですか、公共事業令ですか、それを若干何とかするような工合にすれば、これは特定な免除というようなことの道は開かれるわけですね。あるいは逆に生活保護費の中に織り込むということで厚生省関係の担当としてでもいいのですが、これは政府としてやろうと思えばそういう道は開かれるわけですね。これは公益事業局でもいいし、郵政省でもいいのですが……。
  70. 今井博

    ○今井説明員 電気料金制度といたしましては、先ほど申し上げたように全然免除するということは、これはわれわれとしてはいたしたくございません。と申しますのは、この料金制度としてやはり全体を一応原価主義ということでやっておりまして、できるだけ低くするということの努力はいたしますけれども、全然ゼロにする、しかもそれを電気料金だけで考えるということは、電気料金制度としては現在考えておりませんし、またそういうことを生活保護という面でやられる場合にはやはり国家全体としてそういう施策を考えてやられるのがいいんじゃないか、私はそう存じております。
  71. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 大臣の方はどうですか。
  72. 寺尾豊

    ○寺尾国務大臣 これはやはり今御答弁がありましたが、国の施策としてNHKが生活保護を受けておる被保護者に対して、今度、今回の措置として三十四年度からはラジオ聴取料免除する、こういうことをやろうとしておるわけでありますから、これがきまれば、やはり通産省の今の御答弁によっても、これを全部免除するということは不可能であっても、これに対して一連の政府の施策として、電気料金というものを軽減をする、あるいはまたこの免除したものに対するラジオの電気料というようなものに対しての特別な措置をする、こういうことは私はあってしかるべきものだ、かように考えております。
  73. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それではだいぶ長くなりましたので、そろそろ打ち切りたいと思いますけれども、電気料金の方は、原価主義とかいうむずかしい政策に基いて、免除は好ましくないということになれば、片方ではNHK放送聴取料免除しているんですから、生活扶助費の中に、ラジオ聴取料というものを当然料金として与えてしかるべきだ、そうでなければ、同じ政府でやっているのに、片方の放送聴取料の方は免除をしろといって免除した、片方の電気料金の方は取るぞということで、筋が通らないと思うのです。これは当然生活保護費の中へ、月額四灯くらいならば七十円になるか八十円になるか、ラジオを据えた家へは電気料金を扶助で与えて当然だ、こういうふうに考えますので、一つそういう面についても御努力を願いたいと思います。  それからいま一つお尋ねしたいのは、今度月に八十七円になりますから、低額所得者に対して、なるべく安い二千円か三千円のラジオ——戦争中に国民型とかなんとかいうことを私は聞いたことがあったが、ああいうものを安く作って普及していくという方法はできないものですか。たとえばNHKがそういう努力をすれば、二、三千円だとすれば、月に八十七円ならば一年間に千円、二年もたてば二千円ばかり料金として回収できるわけです。だから、二、三千円のこういう安いラジオ普及できるような方法を、一四%階層を対象にしてそういう施策をスタートさせなければいけないと思いますが、そういう具体的な何かありますか。
  74. 首藤憲太郎

    首藤参考人 日本放送協会は、日本放送協会といたしまして、この受信機がいいとかいうような意味の指定なり勧奨というものは公式にはいたしかねるわけであります。ただ実際問題といたしまして、メーカーと始終連絡をとりましてこれを指導しております。この低廉と性能というものにつきましては、常に協会がメーカーを指導いたしまして、メーカーも始終相談に参っております。実際的な面におきまして、低廉でいい受信機を作るという努力は今日まで続けておりますし、今後も続けるつもりであります。一方受信者に対しましては、受信者の受信機が故障しますとか、そういうような面がございました場合には、お求めに応じまして、協会の職員が参りまして相談するとか、ラジオ屋さんに連絡をするとかいうような御便宜をはかっておるわけであります。
  75. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 終りに一つだけ、私はこういうことを大臣に聞いていただきたいと思う。二、三年前私が県会議員だったとき、無電灯部落、電灯のないところの子供たちが学校に来て、ラジオや電気の話をすると、その子供たちは、そのグループから離れて、どこやらよそに行って遊ばなければならないというさみしい状態であった。いろいろ県や国に運動して補助金をもらって、暮れの十二月二十八日だったと思ったが、電灯を小澤県議骨を折ってもらってありがとうございましたというので、電灯のつく日に私は呼ばれて行ったわけです。私が呼ばれて行ってしばらくたつと、どこかでスイッチを入れたらぱっと電灯がついた。ラジオもまたあらかじめ月賦で買っておいたのかどうか知りませんが、ありったけ大きな声でスイッチを入れて鳴らしたわけです。開拓地の山奥です。そうしたら開拓地の子供たちは、泥んこの中へ飛び出してきて、飛び上って喜んでおるわけです。二十戸や三十戸の開拓地です。ところが、その中に三軒とか五軒とかラジオの入らない家庭があるわけです。その子供の様子をじっと私が見ると、お母さんのところに飛びついてさみしがっておるんですよ。こういう現実を見たときに、電気と同じようにラジオもやはり入れてやらなければならないと思ったが、この値上げ中に、具体的にそういうものが全然入っていない。あるいは安いラジオをふやすとか、電気料金免除するとか、あるいは段階別にやるとか、ローカル放送をやるとか、私が具体的にいろいろ申し上げている二、三の問題について検討していただくということになったので、これは具体的に一四%階層に責任を持って政府NHKラジオを聞かせるようにするのが、放送法の目的であり、あるいはまた憲法の精神だと思うのです。そういうことを強力にお願いをいたしまして、私の質問を終りたいと思います。
  76. 淺香忠雄

    ○淺香委員長 次会は明十三日金曜日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。     午前十一時五十二分散会